説明

電気掃除機

【課題】電動送風機から吸気ダクトへ伝達する音を低減して、騒音を低減する。
【解決手段】前面に集塵装置2と連通する開口27aを有し底面に電動送風機と連通する排出口27bを有する吸気ダクト27の内部にインナーダクト60を設け、排出口27bに対向する吸気ダクトの内壁面を、二重壁面で構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集塵装置と電動送風機との間に吸気ダクトを備えた電気掃除機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、特許文献1に記載の電気掃除機では、電動送風機ユニットに連結された消音器を備え吸気開口に対向する入口を有したチャンバとチャンバに内蔵した吸音部材とを備え、このチャンバの長さや空洞あるいは形状を工夫して騒音低減を図っている電気掃除機が記載されている。
【0003】
また、特許文献2に記載の電気掃除機では、電動送風機を本体ケース内で覆う電動送風機カバーを備え、この電動送風機カバーの外側に電動送風機の吸気側と連通する吸気側空間を区画する消音カバーとを具備して騒音低減を図っている電気掃除機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−125214号公報
【特許文献2】特開2010−82167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された電気掃除機では、電動送風機ユニットの吸気側,排気側に連結された消音器が直列に配置されており、電気掃除機本体に内蔵した場合、電気掃除機本体の全長が長くなる問題があった。また、チャンバおよび吸音部材に加えて消音効果を発揮する空洞があるので全体の体積が大きくなり、電気掃除機本体の大きさ(容積)が大きくなる問題があった。
【0006】
特許文献2に記載された電気掃除機では、電動送風機カバーの外側に電動送風機の吸気側と連通する吸気側空間を区画する消音カバーとを具備しているが、吸気側と連通する流路が何度も湾曲しており、掃除機の基本性能である吸込力を低下させる問題があった。
【0007】
本発明では、掃除機の吸込力を低下させることなく、掃除機本体の長さを長くすることなく、掃除機本体の大きさを大きくすることがなく、騒音を低減した電気掃除機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、吸気ダクトの電動送風機側開口に対向する吸気ダクトの内壁面を、多重の壁面で構成したことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、吸気ダクト内部に、円周面に複数の孔を有する筒形状の開孔部を有する消音筒を備え、消音筒の前面に形成された壁面を、集塵装置に対向させたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、吸気ダクトの電動送風機側開口に対向する吸気ダクトの内壁面を、多重の壁面で構成したことにより、電動送風機から吸気ダクトへ伝達する音を低減でき、騒音を低減できる。
【0011】
また、本発明によれば、吸気ダクト内部に、円周面に複数の孔を有する筒形状の開孔部を有する消音筒を備え、消音筒の前面に形成された壁面を、集塵装置に対向させたことにより、電動送風機から吸気ダクトへ伝達する音を低減するだけでなく、特に高周波音(約4kHz〜10kHz)低減でき、騒音を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例の掃除機本体の横断面図である。
【図2】(A)は、本発明の実施例の集塵装置の斜視図であり、(B)は、本発明の実施例の集塵装置の横断面図である。
【図3】(A)は、本発明の実施例の内筒および外筒の斜視図であり、(B)は、本発明の実施例の内筒の裏側の斜視図である。
【図4】(A)は、本発明の実施例の塵埃収容部の前蓋を開いた状態の斜視図であり、(B)は、本発明の実施例の塵埃収容部の後部フィルタを開いた状態の斜視図である。
【図5】(A)は、本発明の実施例の塵埃収容部の前蓋の塵埃収容部外側から見た正面図であり、(B)は、本発明の実施例の塵埃収容部の前蓋の塵埃収容部内側から見た正面図である。
【図6】本発明の実施例の塵埃収容部の前蓋の除いたときの塵埃分離部側から見た正面図である。
【図7】本発明の実施例の電気掃除機の外観図である。
【図8】本発明の実施例の排気ダクトとフィルタとコードリール室の平面図である。
【図9】本発明の実施例の掃除機本体の横断面図である。
【図10】本発明の実施例の掃除機本体の平面断面図である。
【図11】本発明の実施例の吸気ダクトユニットの外観図である。
【図12】本発明の実施例の吸気ダクトを分解した展開図である。
【図13】本発明の実施例の吸気ダクトユニットの正面図である。
【図14】本発明の実施例の吸気ダクトユニットのA−A断面図である。
【図15】本発明の実施例の吸気ダクトユニットのB−B断面図である。
【図16】本発明の実施例の吸気ダクト部による騒音低減効果を示す周波数特性グラフである。
【図17】本発明の他の実施例の吸気ダクトを分解した展開図である。
【図18】本発明の他の実施例の吸気ダクトの外観図である。
【図19】本発明の他の実施例の吸気ダクトユニットの正面図である。
【図20】本発明の他の実施例の吸気ダクトユニットのC−C断面図である。
【図21】本発明の他の実施例の吸気ダクトユニットのD−D断面図である。
【図22】本発明の他の実施例の吸気ダクト部による騒音低減効果を示す周波数特性グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施例1および実施例2を説明する。
【実施例1】
【0014】
図1と図9に、本発明の実施例の掃除機本体の横断面図を示す。電気掃除機の使用状態では、掃除機本体1が横置きとなり、電気掃除機の収納状態では、掃除機本体1が縦置きとなるのが好ましい。電気掃除機の使用状態において、本体吸気口21側を前方(上流側)、本体排気口30側を後方(下流側)とすると、電動掃除機の使用状態では、本体吸気口21と本体排気口30がともに床に対して略水平となり(掃除機本体1横置き)、電気掃除機の収納状態では、本体吸気口21が重力作用方向上側となり本体排気口30が重力作用方向下側(掃除機本体1縦置き)となる。図1と図9は、電気掃除機の使用状態での掃除機本体1の横断面図である。
【0015】
図10に、集塵装置2を取り外した状態で掃除機本体1を切断したときの本発明の実施例の掃除機本体の平面断面図を示す。また、本実施例では、図9に示すように掃除機本体1を横置きした場合、本体吸気口21のある方を掃除機本体1の前方向、本体排気口30のある方を掃除機本体1の後ろ方向とし、掃除機本体1の前方向と後ろ方向にかけて掃除機本体1の縦方向と呼ぶ。また、本実施例では、図9に示すように掃除機本体1を横置きした場合、把手16のある方を掃除機本体1の上方向、車輪55のある方を掃除機本体1の下方向とし、掃除機本体1の上方向から下方向にかけて掃除機本体1の高さ方向と呼ぶ。また、本実施例では、図10に示すように掃除機本体1を横置きした場合、掃除機本体1の両側にある車輪55の一方の車輪55から他方の車輪55にかけて掃除機本体1の幅方向と呼ぶ。
【0016】
まず、掃除機本体1の構造を説明する。吸い込んだ空気から塵埃を捕集する集塵装置2は、掃除機本体1の前側に着脱自在に配置される。集塵装置2の長手方向(軸方向)を重力作用方向とすると、掃除機本体1の高さが高くなる。一方、集塵装置2内の旋回流の軸方向(集塵装置2の軸方向)が重力作用方向に近いほど遠心分離作用による分離効果が大きくなり、集塵装置2内の旋回流の軸方向が重力作用方向に対して45°を超えると遠心分離作用による分離効果が極端に低下する。そこで、掃除機本体1の高さを小さくすると共に遠心分離作用による分離効果の低下を抑制するために、本実施例では、集塵装置2の軸方向は、重力作用方向に対して40°〜45°程度とする。ただし、遠心分離作用による分離効果を高くするには、集塵装置2の軸方向は、重力作用方向に対して40°よりも小さくてもよい(例えば、0°)。塵埃分離部(旋回部)4を下側に配置し、塵埃収容部5を上側に配置する代わりに、塵埃分離部4を上側に配置し、塵埃収容部5を下側に配置してもよい。この場合は、入口管3は、塵埃分離部4の軸方向の前側端部の円周面に接続されるのが好ましい。
【0017】
集塵装置2は、吸い込んだ空気を旋回させ、遠心分離作用(サイクロン方式)によって塵埃を分離する塵埃分離部4と、塵埃分離部4に連通し、塵埃分離部4で分離された塵埃を収容する塵埃収容部5を備える。塵埃分離部4と塵埃収容部5とは、集塵装置2の軸方向に配列され、それぞれの軸方向端部で接続され、連通する。つまり、塵埃分離部4は、掃除機本体1の前側に配置され、塵埃収容部5は、塵埃分離部4よりも掃除機本体1の後側に配置される。使用者が塵埃分離部4と塵埃収容部5とを容易に分離可能なように、塵埃分離部4と塵埃収容部5とが連結されている。掃除機本体1の前端に、管状の本体吸気口21を備える。塵埃分離部4の軸方向の前側端面の一部は、開口しており、その開口部が入口管3に接続される。塵埃分離部4の軸方向の前側端面ではなく、塵埃分離部4の軸方向の前側端部の円周面が、入口管3に接続されてもよい。
【0018】
塵埃分離部4は、中空の略円筒状の外筒6と、外筒6と同心軸で外筒6に内包される中空の略円筒状の内筒7を備える。旋回流の軸心が重力によって重力作用方向にずれることによって遠心分離作用による分離効果が低下するのを抑制するために、塵埃分離部4の軸方向が重力作用方向に対して傾いている場合には、内筒7の軸心を外筒6の軸心に対して下方向にずらしてもよい。図3(A)に示すように、外筒6の軸方向一端面(前側端面)は、入口管3に接続される開口を除き閉塞されており、外筒6の軸方向他端面(後側端面)は、開口している。外筒6は、使用者から塵埃の堆積が見えるようにまたは外筒6外に設けたセンサが塵埃の堆積を検出できるように、透明または半透明のプラスチックや樹脂で構成されるのが好ましい。内筒7の軸方向一端面(前側端面)は閉塞されており、内筒7の軸方向他端面(後側端面)は、開口している。図3(A)に示すように、内筒7の軸方向一端面の閉塞部分の中央に、内筒7の軸方向内側へ凹んだ凹み部8が形成される。入口管3は、内筒7の軸方向一端面の閉塞部分、つまり凹み部8に対向している。図3(A)に示すように、凹み部8の一部は、内筒7の外周端まで達している。空気の圧力損失を低減するために、凹み部8の開口方向は、下方向であるのが好ましい。ただし、凹み部8の開口方向は、上方向でも横方向でもよい。図3(A)に示すように、凹み部8の内筒7の外周端部では、凹み部8が内筒7の半径方向に真っ直ぐに向くのではなく、やや円周方向に傾いている。図1に示すように、凹み部8の軸方向の深さは、内筒7の円筒部分の軸方向の長さの略半分程度である。ただし、凹み部8の軸方向の深さは、内筒7の円筒部分の軸方向のほぼ全長にわたってもよい。この場合は、内筒7の円筒部分のほぼ全長にわたって内筒7の円周面の一部に凹み部8の開口が形成されることになる。さらに、凹み部8の外周端部に、案内管38が接続される。案内管38の断面は略1/4円形状であり、内筒7の外周面に沿って形成され、内筒7の外周面も流路の内壁面の一部を形成する。案内管38は、内筒7の外周面に円周方向に数cm程度形成される。よって、入口管3によって軸方向に流入した空気は、凹み部8によって半径方向に向きを変え、さらに、凹み部8の内筒7の外周端部でやや円周方向に変えられ、さらに案内管38で円周方向に変えられる。また、凹み部8は凹凸がなく、曲面で形成されるのが好ましい。これによって、圧力損失を抑制しつつ空気を十分に旋回させることができる。案内管38は、なくても構わない。内筒7の軸方向他端面(後側端面)の外周に、外筒6へ向かって延びる外延部34が形成される。つまり、図3(A)に示すように、内筒7の軸方向他端面(後側端面)は、内筒7の内側が開口した円環状となっている。
【0019】
図3(A)に示すように、外延部34の円周方向の一部は、開口している。この開口によって、内筒7外の空気が、塵埃収容部5に流入することができる。内筒7は、菌の繁殖を抑制できるように、抗菌作用のある金属(例えば、銀,銅)や抗菌物質(例えば、銀,銅)を含有するあるいは塗布された金属(例えば、ステンレス)で構成されるのが好ましい。ただし、内筒7は、円筒部分も含め樹脂で構成されてもよい。そして、図3(A)に示すように、外筒6の軸方向他端面から内筒7が軸方向へ挿入されることによって、外延部34の外周端が外筒6の内周に当接され、その結果、外筒6の軸方向他端面が閉塞される。使用者が外筒6と内筒7とを容易に分離可能なように、外筒6と内筒7とが連結される。内筒7の円周面に、複数の貫通孔33を備える。複数の貫通孔33によって、内筒7はフィルタ機能を有する。この貫通孔33によって、大きなごみが内筒7内へ流入することなく、内筒7外側から内筒7内側へ空気が流入することができる。吸込力にもよるが、1円玉以上の重さのごみは、外筒6内を吸い上げられることができず、外筒6内に残ることがある。使用者が外筒6と内筒7とを容易に分離可能なように、外筒6と内筒7とが連結することによって、使用者は、外筒6と内筒7とを容易に分離でき、外筒6内に堆積したごみを容易に排出でき、また、内筒7の貫通孔33にひっかかった髪の毛や糸くずを容易に除去することができる。
【0020】
塵埃分離部4と塵埃収容部5との接続部の気密を保つために、内筒7の軸方向他端面に、パッキング9を備える。パッキング9は、外延部34に設けられるだけでなく、内筒7の軸方向にも突出している。よって、内筒7の内側は、完全な中空ではなく、パッキング9によって一部閉塞空間が存在する。さらに、パッキング9の内筒7の内側へ突出した部分に、内筒7の軸方向内側へ凹んだ凹み部39が形成される。凹み部39は把手の機能を有する。これにより、使用者が凹み部39に指を挿入して、塵埃分離部4あるいは内筒7を保持することができる。外延部34の上側の一部は、開口しており、前蓋11の外側流路35に連通する。つまり、外筒6の内側であって内筒7の円筒部分の外側が、前蓋11の外側流路35に連通する。図3(A)に示すように、外延部34の上側の一部の開口の円周方向の壁面は、円周方向に案内管38の開口に対向する側の壁面が高く、円周方向に案内管38の開口側の壁面が低いのが好ましい。例えば、塵埃分離部4を前方から見た場合に案内管38の開口方向が反時計回り方向だとすると、外延部34の上側の一部の開口の円周方向の壁面のうち左側の壁面が高く、右側の壁面が低い。つまり、外延部34の上側の一部が開口しているため、外延部34の円周方向は、内筒7の外周の一周分には満たないが、らせん状にずれている。よって、内筒7外の旋回流は、外延部34の上側の一部の開口の円周方向の高い壁面にぶつかって、スムーズに軸方向へ向きを変えることができ、旋回流に含まれる塵埃も塵埃収容部5へ流れやすくなる。一方、内筒7の内側は、前蓋11の内側流路36に連通する。
【0021】
塵埃収容部5は、軸方向一端面(前側端面)と軸方向他端面(後側端面)とが開口し、横断面で略逆三角形状の中空のケース10を備える。ケース10の軸方向一端面は、開閉可能な前蓋11によって閉塞される。前蓋11の下端部に軸31を備え、軸31はケース10の下端部によって支持される。前蓋11は、軸31を支点としてケース10の軸方向に前後回動可能である。前蓋11の上端部のケース10側には、爪が突出している。一方、ケース10の前側上部に、使用者が押下することが可能なボタン17(レバーでもよい)を備え、ボタン17に、ケース10の前側に延びる伝達棒(ロッド)18が連結されている。伝達棒18の一端は、ボタン17に連結され、伝達棒18の他端は、爪状に形成されている。伝達棒18の他端の爪は、前蓋11の上端部の爪に係合可能である。ケース10に前蓋11が閉じられた状態では、伝達棒18の他端の爪と前蓋11の上端部の爪とが係合して、前蓋11が開くのを防止することができる。そして、使用者がボタン17を押下すると伝達棒18が前側へスライドして(上側に回動してもよい)、伝達棒18の他端の爪と前蓋11の上端部の爪との係合が解除され、重力によってケース10から前蓋11を開くことができる。把手16の形成方向が水平であるのに対して、ケース10の軸方向一端面(前蓋11部分に相当)の法線方向は、水平方向に対して45°〜50°傾斜している。つまり、使用者が把手16を握って塵埃収容部5を持ち上げた際には、ケース10の軸方向一端面(前蓋11部分に相当)は、下方向(重力作用方向)を向いている。よって、重力によってケース10から前蓋11が開くことができる。尚、後述するが、集塵かご(集塵容器)12が、バネ(弾性体)によってケース10の前側へ飛び出すように付勢されていれば、集塵かご12が前蓋11の後面を押すため、使用者がボタン17を押下すると、集塵かご12の押す力によってスムーズにケース10から前蓋11が開くこともできる。
【0022】
ケース10の軸方向他端面は、開閉可能なフィルタ15によって閉塞される。フィルタ15の下端部に軸32を備え、軸32はケース10の下端部によって支持される。フィルタ15は、軸32を支点としてケース10の軸方向に前後回動可能である。フィルタ15は、断面形状が略四角形の枠体内にプリーツ状に折られたフィルタ部材が形成される。図4(B)に示すように、フィルタ部材の波方向は高さ方向(重力作用方向)であるのが好ましい。フィルタ15は、例えば、高密度のHEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)である。HEPAフィルタとは、定格風量で粒径が0.3μmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率をもち、かつ初期圧力損失が245Pa以下の性能を持つエアフィルタである。フィルタ15のケース10の反対側の面に、パッキング25を備えていてもよい。パッキング25には、塵埃収容部5の軸方向他端面と掃除機本体1(特に吸気ダクト27入口)との気密を保持できる。尚、軸31と軸32は、共用されてもよい。また、軸32は、フィルタ15の下端部ではなく、フィルタ15の上端部に備えられてもよい。
【0023】
ケース10に、集塵かご12を内包する。集塵かご12の形状は、一つの面が開口したかご形状,箱形状または容器形状であってもよいし、ちりとり形状であってもよい。つまり、集塵かご12は、開口と反対側に凹んだ形状を有する。集塵かご12の断面形状は、略四角形状であってもよいし、略円形状であってもよいし、略三角形状であってもよい。集塵かご12の断面形状は、開口面から底面へ向かって、小さくなるのが好ましい。これによって、塵埃が排出される側(開口側)に向かって断面積が拡がるため、使用者は、集塵かご12内に堆積した塵埃を容易に排出することができる。集塵かご12の形状は、枠体(支骨)によって形成される。集塵かご12の開口面以外の底面,上下左右面に、金属やナイロンなどで構成されたメッシュ部材が被覆または貼着されているのが好ましい。集塵かご12の底面だけでなく、上下左右面にも通気性を持たせることによって、集塵かご12の底面に塵埃が堆積しても流路を確保することができ、吸い込み空気の圧力損失を低減し、吸引力の低下を抑制することができる。このメッシュ部材は、通気性があり、塵埃を捕集するフィルタ機能を有する。通気性があり、塵埃を捕集するフィルタ機能を有するものであれば、メッシュ部材の代わりに使い捨てのティッシュペーパでもよいし、メッシュ部材とティッシュペーパとを組み合わせてもよい。例えば、メッシュ部材の上に使用者がティッシュペーパを装着してもよい。集塵かご12の開口面は、ケース10の軸方向一端面(前側端面)の開口面に一致する。つまり、集塵かご12の開口方向と、ケース10の軸方向一端面の開口方向とが同一である。そして、図6に示すように、集塵かご12の開口面の外周端の上側半分程度は、ケース10の軸方向一端面の内周面に当接し、集塵かご12の開口面の外周端の下側半分程度は、ケース10の軸方向一端面の内周面に当接していない。集塵かご12に下部に軸14を備える。軸14は、ケース10内に支持される。よって、集塵かご12は下部の軸14を支点として、ケース10の軸方向前後に回動可能である。これによって、塵埃収容部5から前蓋11が開かれた際に、重力によって塵埃収容部5から集塵かご12の一部が飛び出すことができる。ケース10に対する軸14の形成位置は、ケース10に対する軸31の形成位置と同じ側(下側)であるため、塵埃収容部5から前蓋11が開かれた際に、前蓋11によって阻害されることなく、塵埃収容部5から集塵かご12の一部が飛び出すことができる。さらに、軸14に、集塵かご12を前蓋11側に押し出す方向に弾性力が作用するつるまきバネを備えてもよい。これによって、塵埃収容部5から前蓋11が開かれた際に、バネの弾性力によって塵埃収容部5から集塵かご12の一部が勢いよく飛び出すことができ、使用者は、集塵かご12内に堆積した塵埃を容易に排出することができる。さらに、集塵かご12は、上下に2分割されており、つまり上半分の枠体(支骨)と下半分の枠体(支骨)という2つの構造物からなるのが好ましい。2分割された集塵かご12は、集塵かご12の底面の外側に形成された軸13によって連結される。よって、図4(A)に示すように、集塵かご12は、底面の中間を支点として、集塵かご12の開口面が上下に割れる。特に、集塵かご12の一部が塵埃収容部5から飛び出した際に、集塵かご12が上下に割れる。これによって、使用者は、集塵かご12内に堆積した塵埃をさらに容易に排出することができる。特に、集塵かご12の内面にへばりついた塵埃も容易にはがし落とすことができる。ただし、集塵かご12の上下2分割の構成は、必須ではない。また、上述したように、ケース10の前側は重力作用方向に対し40°〜45°傾いていることに加え、集塵かご12は塵埃収容部5から30°傾いて飛び出すため、集塵かご12内に堆積した塵埃を略重力方向に排出することができる。
【0024】
前蓋11内には、軸方向に貫通する外側流路35および内側流路36が形成される。そして、外側流路35は、前蓋11の上側に形成され、外側流路35の一端は塵埃分離部4の特に外筒6と内筒7の筒部の間にあたる外延部34の開口に連通し、外側流路35の他端はケース10の特に集塵かご12の開口に連通する。電気掃除機の停止時に、集塵かご12に堆積した塵埃が外側流路35および塵埃分離部4に逆流するのを防止するために、外側流路35の他端は集塵かご12の開口のうち半分よりも上側あるいは上端近傍に連通するのが好ましい。ただし、外側流路35の他端は、集塵かご12の開口の中央部に連通してもよい。さらに、電気掃除機の停止時に、集塵かご12に堆積した塵埃が外側流路35および塵埃分離部4に逆流するのを防止するために、外側流路35の内部または他端部に、外側流路35を覆う逆止弁(図示せず)を形成するのが好ましい。逆止弁は、上端を支点として、集塵かご12へ回動する。ただし、逆止弁は必須の構成ではない。外側流路35の断面積は、外側流路35の一端から他端へ向けて拡大している。外側流路35の形成方向は、外側流路35の一端から他端へ向けて前蓋11の外側から中心側へ向かう方向である。つまり、集塵かご12の外側から中心側へ向かう方向である。外側流路35から集塵かご12へ流入する空気の乱れを抑制するため、外側流路35の形成方向は、集塵かご12の外側流路35が連通する側の壁面(上側壁面)の方向であるのが好ましい。内側流路36は、前蓋11の中央から下側にかけて形成され、内側流路36の一端は塵埃分離部4の特に内筒7の軸方向他端開口(内筒7内)に連通し、内側流路36の他端はケース10の特に集塵かご12の外側に連通する。内側流路36の他端は、集塵かご12の外部下側に連通するのが好ましい。内側流路36は、外側流路35を避けて形成される。内側流路36の断面積は、外側流路35とは逆に、内側流路36の一端から他端へ向けて縮小している。
【0025】
塵埃収容部5の上部外側には、水平方向に延びる、使用者が握ることが可能な把手16を備える。使用者は、この把手16を持って、塵埃収容部5を上方へ持ち上げ、塵埃分離部4を掃除機本体1に残したまま、塵埃収容部5のみを掃除機本体1から取り外すことができる。尚、塵埃分離部4と塵埃収容部5とを連結していれば、使用者は、この把手16を持って、塵埃収容部5を上方へ持ち上げれば、塵埃分離部4と塵埃収容部5とを一体として、つまり集塵装置2そのものを掃除機本体1から取り外すこともできる。図1に示すように、塵埃収容部5の軸方向他端面(フィルタ15部分に相当)の形成方向は、垂直面(重力作用方向)よりはケース10側に傾斜するのが好ましい。つまり、塵埃収容部5の軸方向他端面の上部よりも下部がケース10側に近いのが好ましい。また、図1に示すように、塵埃収容部5の軸方向一端面(前蓋11部分に相当)の形成方向は、垂直面(重力作用方向)よりはケース10側に40°〜45°程度傾斜している。つまり、塵埃収容部5の軸方向一端面の上部よりも下部がケース10側に近い。これによって、塵埃収容部5の軸方向一端面と軸方向他端面とは、垂直面(重力作用方向)を基準として、逆ハの字形状となる。これによって、使用者が塵埃収容部5を上方へ持ち上げる際に引っかかりが少なくなり、使用者は、塵埃収容部5を掃除機本体1から容易に取り外すことができる。そして、使用者は、塵埃収容部5の取り外し後に、凹み部39を持って、塵埃分離部4を上方または斜め上方へ持ち上げ、塵埃分離部4を掃除機本体1から容易に取り外すことができる。図1に示すように、塵埃分離部4の軸方向他端面(入口管3部分に相当)の形成方向は、垂直面(重力作用方向)よりは外筒6側に傾斜するのが好ましい。つまり、塵埃分離部4の軸方向他端面の上部よりも下部が外筒6側に近いのが好ましい。これによって、使用者が塵埃分離部4を上方または斜め上方へ持ち上げる際に引っかかりが少なくなり、使用者は、塵埃分離部4を掃除機本体1から容易に取り外すことができる。また、使用者が塵埃分離部4を取り外す場合だけでなく、塵埃分離部4と塵埃収容部5とを一体として、つまり集塵装置2そのものを掃除機本体1から取り外す際も、集塵装置2の軸方向一端面と軸方向他端面とは、垂直面(重力作用方向)を基準として、逆ハの字形状となるため、集塵装置2を上方へ持ち上げる際に引っかかりが少なくなり、使用者は、集塵装置2を掃除機本体1から容易に取り外すことができる。
【0026】
本体吸気口21には、ホース継手管20が挿入され、ホース継手管20を保持可能である。本体吸気口21の一端に、パッキング22を備える。これによって、ホース継手管20と入口管3との気密を保持できる。掃除機本体1の前方下端(集塵装置2の下側)に、キャスタを支持するためのキャスタ支持部23を備える。掃除機本体1内の後方上側に、掃除機本体1の前後方向に延びる吸気ダクト27を備える。吸気ダクト27の延設方向一端の開口27a(集塵装置側開口)は、フィルタ15に対向する。吸気ダクト27の一端の開口27a付近に、補助フィルタ26を備える。これによって、集塵装置2外に残った塵埃を電動送風機28が吸い込むのを抑制することができる。吸気ダクト27の延設方向他端は閉塞されており、吸気ダクト27の延設方向他端近傍の下部、つまり、電動送風機28側が吸気ダクト27の排出口27b(電動送風機側開口)として開口している。掃除機本体1の吸気ダクト27の一端の開口27aの上部に、フィルタ15に接触する位置に、フィルタ15に付着した塵埃を除去する除塵装置24を備える。除塵装置24は回転体の外周にらせん状のバネ(弾性体)を備える。除塵装置24はモータによってまたはコードリール41の周囲に設けられたコード47の引き出しによって回転して、らせん状のバネがフィルタ15のフィルタ部材を弾くことによって、フィルタ15に付着した塵埃を振るい落とす。上述したように、フィルタ15の波方向は高さ方向のため、振るい落とされた塵埃は重力作用方向に落ちやすくなっている。フィルタ15から振るい落とされた塵埃は、ケース10内に堆積することとなる。これによって、フィルタ15の目詰まりを抑制し、空気の圧力損失の低下を抑制し、吸引力の低下を抑制することができる。
【0027】
図1と図9に示すように、掃除機本体1内の後方下側に、吸引力を発生する電動送風機28を備える。電動送風機28は、電動送風機28の吸込口28aが上方を向く縦置きで設置される。電動送風機28は、吸込口28aの面からその吸込口28aの面の反対面までが最も長い。そのため、電動送風機28の吸込口28aが上方を向くよう電動送風機28を縦置きで設置することによって、ホース継手管20から本体排気口30までの掃除機本体1の長さを短くすることができる。掃除機本体1内において電動送風機28の上部には吸気ダクト27が設けられており、電動送風機28の吸込口28aと吸気ダクト27の排出口27bとが連結されている。本実施例では、電動送風機28を掃除機本体1内に設置した場合、電動送風機28の上部に吸込口28aを有し、電動送風機28の側部に排気口28bを有するよう設置される。掃除機本体1内において、電動送風機28の下流側かつ電動送風機28よりも前側に、電動送風機28の排気口28bに連通する排気ダクト40を備える。さらに、掃除機本体1内において排気ダクト40の下流側かつ排気ダクト40よりも前側に、排気ダクト40に連通するフィルタ29を備える。排気ダクト40とフィルタ29は、ねじなどの固定手段で固定されている。これは、排気ダクト40とフィルタ29を固定することで排気ダクト40とフィルタ29との気密を保持でき、電動送風機28の排気口28bから出る全ての排気がフィルタ29を通過することができるようにするためである。フィルタ29は、断面形状が略四角形の枠体内にプリーツ状に折られたフィルタ部材が形成される。フィルタ部材の波方向は高さ方向(重力作用方向)であるのが好ましい。フィルタ29は、例えば、高密度のULPAフィルタ(Ultra Low Penetration Air Filter)である。ULPAフィルタは、定格風量で粒径が0.15μmの粒子に対して99.9995%以上の粒子捕集率をもち、かつ初期圧力損失が245Pa以下の性能を持つエアフィルタであり、HEPAフィルタの粒子捕集効率よりも高い粒子捕集効率を有する。そして、掃除機本体1の後端面に、本体排気口30を備える。
【0028】
図10に示すようにコード47は先端にプラグ43を有している。プラグ43を部屋などにあるコンセントに差し込むことで電気を得る。充電式掃除機以外の電気掃除機の使用時には、プラグ43をコンセントに差し込まないと電動送風機28などを作動させることができない。そのため、電気掃除機の使用時に邪魔にならない箇所にコードリール41を設けることが好ましい。以下、コードリール41を設ける場所をコードリール室42と呼ぶ。掃除機本体1の前部からプラグ43やコード47が出るように掃除機本体1の前部にコードリール室42を設けた場合、進行方向にプラグ43やコード47が出ることになるため掃除する際に扱いづらい。掃除機本体1の側面部や上面部からプラグ43やコード47が出るように掃除機本体1の側面部や上面部にコードリール室42を設けた場合も掃除をする際に扱いづらい。掃除機本体1の後端面からプラグ43やコード47が出るように掃除機本体1内の後部にコードリール室42を設けることで進行方向や方向転換の邪魔とならず、扱いやすくなる。本実施例では、電動送風機28とコードリール室42は、掃除機本体1内で隣り合うように設けられている。また、電動送風機28とコードリール室42は、掃除機本体1内で集塵装置2よりも後部に設けられている。
【0029】
図1,図9に示すように排気ダクト40は電動送風機28とフィルタ29の間に設けられている。排気ダクト40は中空の部材であり、電動送風機28の側部から下部を覆う外周部分44(図8では右下がり対角線が引いてある部分)と、電動送風機28の排気口28b周辺からフィルタ29までの間を連通する筒形状の通路部分48とから構成されている。外周部分44の形状は略角柱状であり、その直径は掃除機本体1後部の幅の約半分であり、高さ方向の長さは電動送風機28の高さ方向の長さよりも短く、外周部分44の上面は開口部44aを有しており、外周部分44の側面には開口部44bを有している。外周部分44の上面と電動送風機28の間にはゴムなどのパッキング19が設けられており、排気ダクト40と電動送風機28の間の気密を取ると同時に電動送風機28使用時の振動を抑える効果を有している。外周部分44側面の開口部44bは電動送風機28の排気口28bと対向している。外周部分44上面の開口部44aの大きさは電動送風機28の直径よりも大きく、外周部分側面開口部44bは電動送風機28の直径よりも小さい。
【0030】
また、図8に示すように、通路部分48は筒形状の2つの部分から構成されている。1つは一側面に対して他側面が傾斜している部分(以下、通路部分A45、図8では横線が引いてある部分)で、もう1つは一側面と他側面が略平行となっている部分(以下、通路部分B46、図8では右上がり対角線が引いてある部分)である。通路部分A45も通路部分B46もともに開口部である入口を有している。通路部分A45の入口(以下、入口A45a)は外周部分側面開口部と連結しており、通路部分A45の出口(以下、出口A45b)は通路部分B46の入口(以下、入口B46a)と連結しており、通路部分B46の出口(以下、出口B46b)はフィルタ29と連結している。入口A45aは出口A45bよりも小さく、入口B46aと出口B46bはほぼ同じ大きさである。入口A45aと外周部分側面開口部44bは同じ大きさをしており、また出口A45bと入口B46aは同じ大きさをしている。また、入口A45aから出口A45bまでの長さは入口B46aから出口46bまでの長さよりも長い。これは掃除機本体1の全長が長くなることを防ぐためである。また、排気ダクト40の通路部分48内では、外周部分44と連結している入口A45aよりもフィルタ29と連結している出口B46bの方が広い。また、通路部分48の入口A45aから出口B46bまでの高さは変わらず、通路部分48の上面と下面は平行となっている。掃除機本体1において、外周部分44から通路部分A45までがコードリール室42の横に配置されており、通路部分B46とフィルタ29はコードリール室42の前に配置されているため、入口B46aから出口B46bまでの長さが長くなるとそれだけ掃除機本体1の全長も長くなる。排気ダクト40は、入口A45aから出口B46bを連通する通路を有している。通路部分48が大きくなっていくとは通路部分48の内部を連通する通路が大きくなっていくことを意味している。掃除機本体1を横置きした場合に、通路部分A45を掃除機本体1の側方から見たときの図(正面図)と掃除機本体1の後方から見たときの図(側面図)はともに長方形であり、掃除機本体1の上方から見たときの図(平面図)は台形となっている。通路部分B46の正面図,側面図,平面図は全て長方形である。排気ダクト40の外周部分44と通路部分A45は連結されており、通路部分A45と通路部分B46は連結されている。それぞれの連結部分は滑らかになるよう連結されている。これは、それぞれの連結部分で、排気の気流の乱れや無駄な引っかかりが生じないようにするためである。通路部分A45においては、一側面に対して他側面が約40度から50度傾くような構成となっている。これはフィルタ29の大きさに合うように大きくなっていくという効果、流速が遅くなるという効果に加えて電動送風機28横に配置されたコードリール室42を避けて大きくなっていくという効果も有する。本実施例ではコードリール室42の平面図は長方形となっている。コードリール室42の長辺と通路部分A45のコードリール室42から離れた側の一側面とは略平行となっている。通路部分A45のコードリール室42に近い側の側面は入口A45aから出口A45bにかけてコードリール室42に近づくように傾斜している。通路部分B46は電動送風機28の前からコードリール室42の前までの幅を有している。外周部分44と通路部分B46とを直接連結せず傾斜部分である通路部分A45を間に挟んで連結したのは以下の理由による。外周部分44と通路部分B46とを傾斜部分を設けずに連結した場合、外周部分44の幅から通路部分B46の幅へと急に幅が広がることになる。この場合、電動送風機の排気口28bからでた排気が幅の広がった部分まで行かず、フィルタ29を大きくしたことによる効果が少なくなってしまう恐れがある。これを避けるためには徐々に幅が広がる構造とし、排気がフィルタ29の幅の広がった部分まで行きやすい構造とすることが好ましい。徐々に幅が広がる構造とするために通路部分A45があり、これを設けたことによる効果は上記の通りとなる。本実施例では出口A45bの大きさが出口B46bの大きさよりも小さい構造としたが、この限りではない。出口A45bの大きさを出口B46bの大きさと同程度の大きさとし、外周部分44からフィルタ29まで(入口A45aから出口B46bまで)徐々に幅が広がっていくような構造とすることも可能である。本実施例では通路部分Aや通路部分Bの正面図,側面図,平面図を長方形や台形と規定したがこの限りではない。その他にも通路部分40が広がっていくような構造をあらわすものであれば正面図,側面図,平面図は円形でも角形でも効果には問題がない。
【0031】
掃除機の騒音を低減するためには、騒音の発生源である電動送風機28からの音を小さくすることが必要である。上述したように、本発明の実施例では、電動送風機の排気側に排気ダクト40を設けてフィルタ29を全ての排気が通過する構造としているため、捕集効率を高めるとともに排気側の騒音を低減している。しかしながら、電動送風機28から発生する音には電動送風機の吸込口28a側に設けた回転する羽根車(図示せず)から上流側に向かって発生する音も大きい。
【0032】
図11は吸気ダクト27の外観斜視図である。吸気ダクト27の開口27aの直前には、前面ユニット62が形成される。前面ユニット62のうち吸気ダクト27の開口27aに対応する位置は、通気性を有する格子状部63が配置される。格子状部63は、吸気ダクト27の開口27aの中心を基準として半径方向に延びて形成された支骨および円周方向に延びて形成される支骨によって構成される。そして、塵埃収容部5のフィルタ15から排出された空気は前面ユニット62の格子状部63を通過して吸気ダクト27内部へ流入する。
【0033】
図12は吸気ダクト27を分解した展開図である。吸気ダクト27は、図15に示すように、断面の一部が凹んだ略四角形の筒形状を有する。吸気ダクト27の断面積は、延設方向一端(前側)から延設方向他端(後側)へ向かうに従って小さくなっている。吸気ダクト27の延設方向一端は開口しており(開口27a)、集塵装置2と連通する。吸気ダクト27の延設方向他端は閉塞している。よって、吸気ダクト27は、上面,底面,左右それぞれの側面および奥面を有する。そして、吸気ダクト27の底面の延設方向他端側に、電動送風機28の吸込口28aと連通する排出口27bを有する。電動送風機28の吸込口28aは、電動送風機28の回転軸を中心とした円形状であるので、吸気ダクト27の排出口27bも円形状を有する。よって、吸気ダクト27の開口27aと排出口27bとは一直線上に形成されるのではなく、略L字形状の関係で形成される。よって、開口27aに対向する吸気ダクト27の面が奥面で構成され、排出口27bに対向する吸気ダクト27の面も上面で構成される。排出口27bは、吸気ダクト27の底面の最も奥側に形成されるのではなく、奥面よりも手前側に形成される。これによって、排出口27bと吸気ダクト27の奥面との間には空間ができ、排出口27bから開口27aへ伝達する音を吸気ダクト27の奥面に反射して開口27aへ伝達する音によって打ち消し、吸気ダクト27を伝達する音を低減できる。図10に示すように、縦置きされた電動送風機28は、上下方向の断面形状が電動送風機28の回転軸を中心として略円形状であり、図9に示すように、羽根車が配置される電動送風機28の上部(送風機部分)の外径が、電動機が配置される電動送風機28の下部(電動機部分)の外径よりも大きい。そして、図12に示すように、吸気ダクト27の底面は、電動送風機28の上部に相当する部分が内側(上側)へ凹んでおり、段差を有する。つまり、吸気ダクト27の延設方向の断面積は、開口27aに対して、電動送風機28の上部に相当する部分では小さくなっている。
【0034】
そして、吸気ダクト27の内部には、本実施例1の特徴であるインナーダクト60が設けられている。インナーダクト60は、吸気ダクト27の内壁に沿った形状を有するが、吸気ダクト27の排出口27bに相当する部分だけでなく電動送風機28の上面に相当する部分が開口している(開口66)。ただし、電動送風機28の上部に相当する部分のうち電動送風機28の上面に相当する部分を除いた電動送風機28の上部の側面に相当する部分は、インナーダクト60で覆われている。つまり、電動送風機28の上面に相当する部分は、吸気ダクト27の底面が形成されるが、インナーダクト60では覆われていない。電動送風機28の上面に相当する部分にはインナーダクト60を形成しないことによって、吸気ダクト27内の流路断面積が小さくならないだけでなく、電動送風機28から吸気ダクト27へ伝達される振動が増加しにくい。つまり、吸気ダクト27の排出口27bと電動送風機28の吸込口28aの間には、気密兼防振部材が挟まれており、電動送風機28からの振動が吸気ダクト27へ伝達するのを抑制している。電動送風機28の上面に相当する部分もインナーダクト60で覆ってしまうと、吸気ダクト27の電動送風機28の上面に相当する部分の剛性が高くなり、電動送風機28からの振動が吸気ダクト27へ伝達しやすくなる。そこで、本発明の実施例1では、吸気ダクト27のうち電動送風機28との連結部である排出口27bの周囲にはインナーダクト60を形成しないことによって、吸気ダクト27のうち電動送風機28との連結部の剛性を抑え(ある程度の弾性をもたせ)、電動送風機28から吸気ダクト27へ伝達される振動が増加しにくくしている。ただし、電動送風機28の上面に相当する部分にインナーダクト60を形成しない構成は、本実施例1の必須の構成ではない。また、少なくとも吸気ダクト27の排出口27bに対向する吸気ダクト27の上面にインナーダクト60が設けられていればよい。そして、インナーダクト60は、吸気ダクト27の内壁よりも一回り小さい(数mm程度小さい)大きさを有する。よって、吸気ダクト27とインナーダクト60との間には、数mm程度の空間が形成される。インナーダクト60の開口縁67は、外周側へ延びて形成されており、その結果、インナーダクト60が吸気ダクト27内に挿入された状態ではインナーダクト60の開口縁67が吸気ダクト27の開口27aに当接する。これによって、吸気ダクト27に対するインナーダクト60の位置ずれを抑制するだけでなく、吸気ダクト27とインナーダクト60との間の空間に空気が流れ込むのを抑制している。さらに、吸気ダクト27とインナーダクト60との間に吸音フィルタ61(吸音材)を配置する。吸気ダクト27とインナーダクト60の間に吸音フィルタ61を貼り付けてある。吸音フィルタ61としては、スポンジや発泡ウレタンフォーム,グラスウールなどがある。スポンジや発泡ウレタンフォーム,グラスウールなどは、材料内に空洞を有するものである。インナーダクト60は、吸気ダクト27と同様に樹脂によって構成される。インナーダクト60の内壁面は、凹凸がないのが好ましい。吸気ダクト27とインナーダクト60の間に吸音フィルタ61を配置する構成は、本実施例1の必須の構成ではない。
【0035】
図13に、吸気ダクトユニットの正面図を示し、図14に図13のA−A部分の断面図を示す。図14の断面図からわかるように、吸気ダクト27内部では、吸気ダクト27とインナーダクト60の二重壁構造となっており、その間に吸音フィルタ61を挟持することによって、回転する羽根車(図示せず)から上流側に向かって発生する音を低減している。吸音フィルタ61は、上面,左右それぞれの側面,奥面,電動送風機28の上面に相当する部分を除いた底面に、挟持される。吸気ダクト27とインナーダクト60との間に吸音フィルタ61を配置せずに単なる空間としても、吸気ダクト27内壁を三重壁としてもよい。インナーダクト60を設けないものに比較して、騒音を低減する効果はあるが、吸気ダクト27とインナーダクト60との間に吸音フィルタ61を配置することによって、騒音低減効果が向上する。また、ダクト内部の流れ64を略L字状にすることによって回転する羽根車(図示せず)から上流側に向かって発生する音が直線的に塵埃収容部5のフィルタ15を通過することがないため、ダクト内部の流れ64が直線的に通過するものに比較して、羽根車からの音が上流側へ伝達するのを抑制できる。本発明の実施例1では、塵埃収容部5は本体外郭を形成するように露出しているため、塵埃収容部5を通過して外部へ出てくる騒音が掃除機本体1内部に塵埃収容部5を収容しているものに比べて大きい。そこで電動送風機28の吸込口28aを上側に向くよう電動送風機28を縦向きに配置するとともに、塵埃収容部5から電動送風機28の吸込口28aまで吸気ダクト27を設け、吸気ダクト27の電動送風機28の吸込口28aと対向する面を二重の壁面(インナーダクト60と吸気ダクト27)で構成し、二重の壁面の間に吸音フィルタ61を設けることによって騒音を低減することができる。図15に図14のB−B部分の断面を示す。図15に示すように吸気ダクト27の側面65も二重の壁面で構成し、二重の壁面の間に吸音フィルタ61を設けているので更に騒音低減が図れる。
【0036】
騒音低減結果の一例を図16に示す。このグラフは吸気ダクト部27による騒音低減効果を示す周波数特性グラフであり、改善前(点線)はインナーダクト60と吸音フィルタ61が無い状態での測定結果、改善後(実線)はインナーダクト60と吸音フィルタ61を取り付けた状態での測定結果を表している。本実施例1では、電動送風機の回転数が約34000回転/分となっており、掃除機特有な高周波の音は回転する羽根車が原因である。羽根車の羽枚数は8枚であることから、改善前のグラフによれば、約4.5kHz付近に耳障りな高周波の音が発生している(ブレードノイズ)。更にブレードノイズの整数倍した周波数(約9kHz付近)でも同様に騒音が発生している。改善前と比較すると改善後は全体的な流体音が低減されていることがわかる。吸音フィルタ61として発泡ウレタンフォームを用いているが、二重壁による透過音を更に低減するためには、より比重の重い素材で構成することも有効である。
【0037】
次に、電気掃除機の動作時(使用時)の空気の流れを説明する。図1中の矢印は、空気の流れを示す。使用者が電気掃除機の電源をONにすると、電動送風機28が作動し、吸引力を発生する。ホース継手管20から吸い込まれた空気は、入口管3を通って、外筒6内に流入し、凹み部8にぶつかって半径方向に向きを変え、さらに、凹み部8の内筒7の外周端部でやや円周方向に向きを変え、さらに案内管38で円周方向に向きを変える。この結果、空気は、外筒6の軸心を中心として外筒6を旋回する。つまり、旋回流となる。空気の旋回に伴う遠心分離作用によって、空気に含まれる重い塵埃は旋回流の外側に集まる。空気に含まれる軽い塵埃は旋回流の外側だけでなく、内側にも残る。ただし、一般家庭での掃除においては、塵埃の大部分は、旋回流の外側に集まり、旋回流の内側にはあまり塵埃が残らない。内筒7外の空気は重い塵埃と共に、外側流路35を通って、集塵かご12へ流入する。塵埃は集塵かご12によって捕集され、堆積し、さらに吸引力によって圧縮される。塵埃は吸引力によって自動的に圧縮されるため、使用者の手を煩わすことなく、多くの塵埃を保持できる。空気は集塵かご12の底面および上下左右面を通過して、フィルタ15に到達する。一方、旋回流の内側空気は、内筒7の貫通孔33から内筒7内に流入する。貫通孔33よりも大きな塵埃は、貫通孔33を通過することができず、内筒7外に残る。内筒7内の空気は軽い塵埃および小さい塵埃と共に、内側流路36を通って、ケース10内で集塵かご12の外部下側へ流入し、フィルタ15に到達する。集塵かご12内を通過した空気と集塵かご12内を通過しなかった空気は、フィルタ15の手前で合流して、フィルタ15を通過する。フィルタ15では、軽い塵埃および小さい塵埃その他空気に含まれる塵埃が捕集される。フィルタ15を通過して塵埃をほとんど含まない空気は、補助フィルタを通過して吸気ダクト27に流入し、吸気ダクト27の下部の開口を通り電動送風機28の上部の吸込口28aから吸い込まれる。このとき吸気ダクト27の電動送風機の吸込口28aと対向する面を二重の壁面で構成し、二重の壁面の間に吸音フィルタ61を設けることによって上流側に向かって発生する騒音を低減している。
【0038】
電動送風機28の側部の排出口27bから排出された空気は、フィルタ29に向かって幅が広がっていく排気ダクト40を通って、フィルタ29に到達し、フィルタ29によってフィルタ15で集塵しきれなかった塵埃が捕集される。このとき排気ダクト40とフィルタ29によって下流側へ発生する騒音を低減している。フィルタ29を通過した空気は、電動送風機28の周りやコードリール室42,掃除機本体1の下部のすき間などを通って、本体排気口30から掃除機本体1外部へ排出される。特に、フィルタ29は、空気清浄機に搭載されるフィルタと同程度またはそれ以上の集塵効率を有するため、掃除機本体1から外部へ排出される空気は、空気清浄機と同程度またはそれ以上に清浄化されている。
【0039】
排気ダクト40の下部には基板49が設けられている。基板49は電動送風機28の動作など、電気掃除機の電気的な操作をする上で重要な精密部品であるため、その基板49に塵埃が付着すると不具合を起こす恐れがある。基本的に不具合などが生じないようにカバー等されているが、本実施例ではフィルタ29を通過した後の清浄化された空気が基板49を通過するため、不具合を起こす恐れが更に少ないものとなっている。
【0040】
図2(A)に、本発明の実施例の集塵装置の斜視図を示し、図2(B)に、本発明の実施例の集塵装置の横断面図を示す。使用者は、把手16を握って集塵装置2を上方へ持ち上げることによって、掃除機本体1から集塵装置2を取り外すことができる。ただし、塵埃分離部4を掃除機本体1に残して、塵埃収容部5のみを掃除機本体1から取り外すようにしてもよい。図2(A)に示すように、軸方向から見た塵埃分離部4の断面の外形状は、略円形状である。塵埃収容部5の断面の外形状は、前蓋11の部分では略円形状であるが、前蓋11の部分以降では略四角形状であり、フィルタ15の部分でも略四角形状である。図2(B)に示すように、ケース10の軸方向一端の開口方向とケース10の軸方向他端の開口方向とは一直線上になく、45°〜50°程度異なる。つまり、塵埃収容部5の軸方向は、中間よりも少し前側で、曲がっている。上述したが、集塵装置2の軸方向一端面(入口管3の部分)は、わずかに下方向(重力作用方向)を向き、集塵装置2の軸方向他端面(フィルタ15の部分)も、わずかに下方向(重力作用方向)を向いており、集塵装置2の軸方向一端面と軸方向他端面とは、垂直面(重力作用方向)を基準として、逆ハの字形状となるため、集塵装置2を上方へ持ち上げる際に引っかかりが少なくなり、使用者は、集塵装置2を掃除機本体1から容易に取り外すことができる。
【0041】
図3(A)に、本発明の実施例の内筒および外筒の斜視図を示し、図3(B)に、本発明の実施例の内筒の裏側の斜視図を示す。外筒6の一端面は、入口管3の形成部分を除き、閉塞し、外筒6の他端面は、開口する。内筒7は、円筒部分の一端に、円環状の外延部34を有する。図3(A)に示すように、外筒6内に軸方向に内筒7の円筒部分から挿入されることによって、外筒6の他端面の外周端が外延部34の外周端に当接して、外筒6内に内筒7が形成される。図3(A)に示すように、入口管3の開口方向と凹み部8の開口とは対向している。凹み部8の内筒7の外周端部への開口方向は略下向きであり、案内管38の円周方向の開口方向は、反時計周りである。尚、案内管38の円周方向の開口方向は、時計周りであってもよい。そして、外延部34の上部に、軸方向に貫通する孔を備え、つまり外延部34の上部が開口している。開口の左壁面は、右壁面に比較して高くなっている。つまり、案内管38の円周方向の開口方向に対向する外延部34の上部の開口の壁面(左壁面)が他の壁面(右壁面)より高くなっている。そして、外延部34の表面はらせん状になっており、空気を外延部34の上部の開口に滑らかに導く流路の機能を有する。図3(B)に示すように、内筒7内の上側略半円部分に、内筒7の内側へ向かって凹み閉塞した凹み部39を備え、下側略半円部分は、内筒7内に開口している。集塵かご12に塵埃が堆積していない状態において内筒7内の空気の流量より内筒7外の空気の流量を多くする場合は、内筒7内の開口面積よりも外延部34上部の開口面積を大きくしてもよい。内筒7内への開口に比較して凹み部39の領域を多くしてもよいし、凹み部39に比較して内筒7内への開口の領域を多くしてもよい。そして、使用者は凹み部39に指を入れて、容易に塵埃分離部4あるいは内筒7を持つことができる。
【0042】
内筒7の円筒部を抗菌効果のある金属材料で形成する場合は、先ず、金属の薄板に、直径0.1mm〜0.4mm程度の複数の貫通孔33をエッチング加工し、その後、両端を接合して円筒形状にする。貫通孔33はパンチング加工でもよい。抗菌効果のある金属材料として、例えば、ステンレス,銀,銅などがある。ステンレス,銀,銅に限らず、銀や銅を含むまたは銀や銅が表面析出した合金であればよい。金属の薄板の厚さは1mm以下であり、加工性を向上するには0.1mm〜0.5mm程度が好ましい。金属薄板の厚さが薄い場合には、強度を向上したり、真円度を向上するために、円筒状の金属薄板の軸方向の両端を、成形性のよい樹脂で固定するのが好ましい。具体的には、凹み部8や案内管38を有する内筒7の略円形状の一端部の型および円環状の外延部34を有する内筒7の他端部の型が成型された型に、円筒状の金属薄板をセットし、その後、型に樹脂を流し込むことによって、インサート成型する。インサート成型による場合、金属薄板は両端を接合して円筒形状にしなくてもよい。こうして、凹み部8や案内管38を有する内筒7の略円形状の一端部および円環状の外延部34を有する内筒7の他端部を樹脂で構成した、内筒7の円筒部分のみを金属材料で構成することができる。インサート成型によって、製造過程を簡素化できる。
【0043】
図4(A)に、本発明の実施例の塵埃収容部の前蓋を開いた状態の斜視図を示し、図4(B)に、本発明の実施例の塵埃収容部の後部フィルタを開いた状態の斜視図を示す。図4(A)に示すように、軸31を支点として前蓋11が下方向へ回動して開くと、軸14を支点として集塵かご12も下方向へ回動して飛び出す。この際に、集塵かご12は、軸13を支点として上下に2分割される。塵埃収容部5から飛び出した際の集塵かご12の開口は、塵埃収容部5内に収納されていた際の集塵かご12の開口に比較して拡がる。これによって、集塵かご12の内面にへばりついた塵埃を容易にはがし落とすことができる。尚、使用者が、集塵かご12の内面に沿ってティッシュペーパを装着した際には、ティッシュペーパの端を集塵かご12の開口部の枠体と前蓋11の外周端とで挟みこめば、ティッシュペーパがずれたり外れたりするのを抑制できる。図4(B)に示すように、軸32を支点としてフィルタ15も下方向へ回動して開く。これによって、使用者は、ケース10内で集塵かご12外部に堆積した塵埃を容易に排出することができ、さらに、フィルタ15のケース10側面に付着した塵埃も容易に除去することができる。
【0044】
図5(A)は、本発明の実施例の塵埃収容部の前蓋の塵埃収容部外側から見た正面図であり、図5(B)は、本発明の実施例の塵埃収容部の前蓋の塵埃収容部内側から見た正面図である。尚、図中の斜線部分は、断面ではなく、最も手前の表面を示している。前蓋11の下端に、ケース10に回動自在に支持される軸31を備える。前蓋は、略円形状をしている。図5(A)に示す斜線部分の外側の略円部分は、塵埃分離部4の軸方向他端面の外周端に当接可能である。図5(A)に示す斜線部分の内側の略円部分は、塵埃分離部4の内筒7の軸方向他端面の外周端に当接可能である。前蓋11の上側つまり軸31と反対側で、斜線部分の外側の略円部分と内側の略円部分との間に、外側流路35の開口が形成される。外側流路35の表側(塵埃収容部5外側)の開口位置は、前蓋11の左右側や下側でもよいが、外側流路35の裏側(塵埃収容部5内側)の開口位置を前蓋11の上側とする場合は、外側流路35の長さを短くして空気の圧力損失を低減するために、外側流路35の表側の開口位置も、前蓋11の上側であるのが好ましい。一方、内筒7の内側に内側流路36の開口が形成される。図5(A)の正面図では、外側流路35の開口面積よりも内側流路36の開口面積のほうが大きいが、内筒7内の上側略半円部分は、凹み部39が形成されているので、内筒7内の空気の流量より内筒7外の空気の流量を多くする場合は、実質的な流路面積としては、外側流路35の開口面積よりも内側流路36の開口面積のほうが小さい。尚、斜線部分の外側の略円部分と内側の略円部分との間の外側流路35の開口が形成されていない部分は、閉塞されている。図5(B)に示す斜線部分の外側の略円部分は、ケース10の軸方向一端面の外周端および集塵かご12の開口の外周端の一部に当接する。図5(B)に示すように、前蓋11の上下方向中心線よりも上側に、外側流路35の開口が形成される。これによって、電気掃除機の停止時に、集塵かご12に堆積した塵埃が外側流路35および塵埃分離部4に逆流するのを防止することができる。ただし、前蓋11の上下方向中心線を含む中央部に、外側流路35の開口が形成されてもよい。さらに、外側流路35を覆う逆止弁(図示せず)を形成するのが好ましい。これによって、さらに、電気掃除機の停止時に、集塵かご12に堆積した塵埃が外側流路35および塵埃分離部4に逆流するのを防止することができる。一方、前蓋11の下端近傍に、内側流路36の開口が形成される。ただし、内側流路36の開口位置は、外側流路35の開口位置に対して、下側でもよいし、左右側または上側でもよい。尚、内側流路36の開口の上側の斜線部分は、集塵かご12の開口の外周端の下端に当接する。そして、図5(B)に示すように、前蓋11の裏側(塵埃収容部5の内側)では、内側流路36の開口面積よりも外側流路35の開口面積のほうが大きい。さらに、図5(A)と図5(B)に示すように、外側流路35の他端(裏側)の開口面積(図5(B))は、外側流路35の一端(表側)の開口面積(図5(A))よりも大きい。つまり、外側流路35は、一端から他端へ向かって拡がっている。一方、図5(A)と図5(B)に示すように、内側流路36の他端(裏側)の開口面積(図5(B))は、内側流路36の一端(表側)の開口面積(図5(A))よりも小さい。つまり、内側流路36は、一端から他端へ向かって狭まっている。
【0045】
図6に、本発明の実施例の塵埃収容部の前蓋を除いたときの塵埃分離部側から見た正面図を示す。尚、図5と同様に、図中の斜線部分は、断面ではなく、最も手前の表面を示している。略円形状の斜線部分は、前蓋11の外周端に当接する。図6に示すように、ケース10の軸方向一端面の開口の外周端は、集塵かご12の開口の外周端の一部に当接する。また、図6に示すように、ケース10の軸方向一端面の開口の80%以上は、集塵かご12の開口が占めている。そして、ケース10の開口の集塵かご12の開口以外の領域(残り20%程度以下)は、内側流路36の開口に対向し、内側流路36に連通する。
【0046】
図7は、本発明の実施例の電気掃除機の概観図である。電気掃除機は、掃除機本体1以外に、吸口を有する吸込具50と、一端が吸込具50に連通し伸縮自在な継手管(延長管)51と、一端が継手管51の他端に連通し使用者が握る把手53や操作ボタン/スイッチを有する操作管52と、一端が操作管52の他端に連通し他端にホース継手管20が形成されるホース54とを備える。掃除機本体1の本体吸気口21にホース継手管20が挿入され、保持可能である。また、掃除機本体1の両側面に車輪55を備える。
【0047】
そして、使用者から操作ボタン/スイッチへの操作によって電気掃除機の電源がONされると、電動送風機28が作動して吸引力を発生する。吸込具50の吸口から吸い込まれた空気は、継手管51,操作管52,ホース54,ホース継手管20の順に通過して、掃除機本体1に流入する。
【0048】
本実地例1は、電動送風機28が縦置きの例を示したが、吸気ダクト27が屈曲した形状であれば、電動送風機28が横置きにも適用できる。
【0049】
本実施例1によれば、塵埃収容部5が掃除機本体1の外郭に露出した電気掃除機の場合、電動送風機28からの騒音が塵埃収容部5を通過して掃除機本体1外側へ出やすいが、吸気ダクト27の電動送風機28の吸込口28aと対向する面(上面)を二重の壁面で構成し、二重の壁面の間に吸音フィルタ71を備えているので騒音を低減できる。また、吸気ダクト27を略L字に構成するとともに、電動送風機28の吸込口28aを有する面以外の面を、吸音フィルタ27を間に挟んだ二重壁とすることで更に騒音を低減できる。また、壁面を二重にしているだけなので一重の壁面に比べても吸引力の低下が少ない。
【実施例2】
【0050】
図17〜図22は本発明の他の実施例を表す。吸気ダクト27の内部には、塵埃収容部5と対向する面に壁面73を備えた消音筒70を設けている。消音筒70は流路の外壁に無数の開孔部72を有し、開孔部72の外周を吸音フィルタ71で塞いでいる。消音筒70は、略四角形状の前壁部の上部に、断面が小判形状である筒形状の開孔部72が連結されている。消音筒70の略四角形状の前壁部の下部が、壁面73を形成する。開孔部72の延設方向の長さは、吸気ダクト27の開口27aから排出口27bまでの長さよりも短い。開孔部72の外側形状は、実施例1のインナーダクト60の外側形状よりも小さい。よって、吸気ダクト27と開孔部72との間の空間は、吸気ダクト27とインナーダクト60との間の空間よりも広い。
【0051】
図19に吸気ダクトユニットの正面図を示し、図20に図19のC−C部分の断面を示す。図20は吸気ダクトユニットのC−C断面図であるが、塵埃収容部5のフィルタ15から排出された空気は前面ユニット62の格子状部63を通過して吸気ダクト27内部へ流入する。このとき空気の流れは全て消音筒70の内部を流れ開孔部72と外周に設けた吸音フィルタ71で騒音を低減している。
【0052】
図21に図20のD−D部分の断面を示す。図21に示すように消音筒70の全周に吸音フィルタ71を設けることによって更に騒音を低減できる。本実施例では、電動送風機28の回転数が約34000回転/分となっており、掃除機特有な高周波の音は回転する羽根車が原因である。羽根車の羽枚数は8枚であることから約4.5kHz付近に耳障りな高周波の音が発生している(ブレードノイズ)。更にブレードノイズの整数倍した周波数でも同様に騒音が発生している。
【0053】
図22は吸気ダクト部27による騒音低減効果を示す周波数特性グラフであり、改善前は消音筒70と吸音フィルタ71が無い状態での測定結果、改善後は消音筒70と吸音フィルタ71を取り付けた状態での測定結果を表し、比較するとブレードノイズが低減されていることがわかる。まず、4.5kHz付近のブレードノイズ1次音を低減しており、9kHz付近のブレードノイズ2次音も低減していることがわかる。開孔部72の大きさはφ2〜3とし、流路に面した部分の開孔率は50%以上とすることが好ましく吸音フィルタ71の素材は高周波音の減衰効果の高い材料を用いると高周波音の低減に有効である。
【0054】
また、消音筒70の内径断面積74を小さくすると騒音低減に有効であるが同時に掃除機の基本性能である圧力損失も大きくなってしまう。掃除機全体の圧力損失は、掃除機本体1に接続したホース54および継手管51の太さによっても左右する。とくに継手管51の太さ(最小内径)によって圧力損失が発生して吸引力を低下させている。そこで継手管51の最小内径断面積(図示せず)よりも消音筒70の内径断面積74を大きくすることによって、消音筒70での圧力損失を小さくすることができ吸引力低下を防止することができる。
【0055】
本実施例2は、塵埃収容部5が斜めに配置されたものだけでなく、塵埃収容部5が縦(塵埃収容部5のサイクロン軸が上下方向)に配置されたものにも適用できる。
【0056】
本実施例2によれば、吸気ダクト27の内部に塵埃収容部5と対向する面に壁面を備えた消音筒70を設け、消音筒70は流路の外壁に無数の開孔部72を有し、開孔部72の外周を吸音フィルタ71で塞ぐとともに消音筒70の内径断面積を継手管51の最小内径断面積よりも大きくしたことで、吸引力を低下させることなく、特に高周波音(約4kHz〜10kHz)低減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、電気掃除機に適用可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 掃除機本体
2 集塵装置
3 入口管
4 塵埃分離部
5 塵埃収容部
6 外筒
7 内筒
8,39 凹み部
9,19,22,25 パッキング
10 ケース
11 前蓋
12 集塵かご
13,14,31,32 軸
15,29 フィルタ
16,53 把手
17 ボタン
18 伝達棒
20 ホース継手管
21 本体吸気口
23 キャスタ支持部
24 除塵装置
26 補助フィルタ
27 吸気ダクト
27a,66 開口
27b 排出口
28 電動送風機
28a 吸込口
28b 排気口
30 本体排気口
33 貫通孔
34 外延部
35 外側流路
36 内側流路
38 案内管
40 排気ダクト
41 コードリール
42 コードリール室
43 プラグ
44 外周部分
44a 外周部分上面開口部
44b 外周部分側面開口部
45 通路部分A
45a 入口A
45b 出口A
46 通路部分B
46a 入口B
46b 出口B
47 コード
48 通路部分
49 基板
50 吸込具
51 継手管
52 操作管
54 ホース
55 車輪
60 インナーダクト
61,71 吸音フィルタ
62 前面ユニット
63 格子状部
64 ダクト内部の流れ
65 側壁
67 開口縁
70 消音筒
72 開孔部
73 壁面
74 内径断面積

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集塵装置と吸引力を発生する電動送風機と前記集塵装置と前記電動送風機とを連通する吸気ダクトとを備えた電気掃除機において、
前記吸気ダクトは、前記集塵装置に連通する集塵装置側開口と、前記電動送風機に連通する電動送風機側開口とを備え、前記電動送風機側開口に対向する面が前記吸気ダクトの内壁面で構成され、
前記電動送風機側開口に対向する前記吸気ダクトの内壁面が、多重の壁面で構成されたことを特徴とする電気掃除機。
【請求項2】
請求項1に記載の電気掃除機において、
前記吸気ダクトの内壁面のうち前記電動送風機側開口が形成された面とは異なる面も、多重の壁面で構成されたことを特徴とする電気掃除機。
【請求項3】
請求項2に記載の電気掃除機において、
前記電動送風機側開口が形成された前記吸気ダクトの内壁面のうち前記電動送風機側開口の周囲を除いた場所も、多重の壁面で構成されたことを特徴とする電気掃除機。
【請求項4】
請求項1から3の何れかに記載の電気掃除機において、
前記多重の壁面間に、吸音材とスポンジと発泡ウレタンフォームとグラスウールの少なくとも1つを配置したことを特徴とする電気掃除機。
【請求項5】
斜め方向または縦方向に配置された集塵装置と吸引力を発生する電動送風機と前記集塵装置と前記電動送風機とを連通する吸気ダクトとを備えた掃除機本体を備えた電気掃除機において、
前記集塵装置は、前記掃除機本体の外郭を形成するように露出し、
前記吸気ダクト内部に、円周面に複数の孔を有する筒形状の開孔部を有する消音筒を備え、
前記消音筒の前面に形成された壁面は、前記集塵装置に対向していることを特徴とする電気掃除機。
【請求項6】
請求項5に記載の電気掃除機において、
前記掃除機本体に連結されるホースと、前記ホースに連結される継手管と、前記継手管に連結される吸込具とを備え、
前記開孔部の外周に、吸音フィルターを備え、
筒形状の前記開孔部の内径断面積を前記継手管の最小内径断面積よりも大きくしたことを特徴とする電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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