説明

電気掃除機

【課題】光センサを増設することなく光センサの死角を減らして塵埃量をより精度よく検出できる電気掃除機を提供する。
【解決手段】電気掃除機は、電動送風機の吸込側に連通する風路Wを有する。電気掃除機は、発光する発光素子35、および、風路Wを介して発光素子35からの発光を受光する受光素子36を備え、発光素子35からの発光の受光素子36での受光量に基づき風路Wを通過する塵埃量を検出する光センサを有する。電気掃除機は、発光素子35からの発光の断面積を発光素子35および受光素子36の投影面積S1,S2より大きくする発光側反射体39を有する。電気掃除機は、発光側反射体39を介して発光素子35から発光した光の断面積S3を狭くして受光素子36に受光させる受光側反射体42を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、発光素子から発光された光の受光素子での受光量に基づき風路を通過する塵埃量を検出する光センサを備えた電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気掃除機は、電動送風機を収容した掃除機本体を備えており、電動送風機の吸込側には、塵埃を吸い込むための風路が連通して形成されている。この風路内には、塵埃を捕集するための集塵部が配置されている。そして、この風路において、集塵部の上流側には、風路を通過する塵埃量を検出する塵埃量検出手段である光センサが配置されている。この光センサは、互いに対向する発光部と受光部とを有しており、発光部からの発光の受光部での受光量に対応して風路を通過する塵埃量を検出するように構成されている。すなわち、発光部からの発光は、風路を通過する塵埃量が多くなるほど妨げられやすく、受光部に到達しにくくなるため、この光センサは、受光部での受光量の大小に対応して、風路を通過する塵埃量が多いか少ないかを検出できるようになっている。そして、このように検出した塵埃量が相対的に多い場合には、電動送風機の入力を相対的に増加させて効率よく塵埃を吸い込んで掃除するとともに、検出した塵埃量が相対的に少ない場合には、電動送風機の入力を相対的に低下させて省電力化を図っている。
【0003】
しかしながら、発光部と受光部とは互いに略一直線上に対向して位置しており、発光部からの発光は、受光部に直線的に向かう成分のみが受光部で受光される。そのため、発光部からの光のその他の成分は、塵埃と交差しても受光部で検出されず、光センサによって塵埃量を検出できない多くの死角が存在することになる。この点、1つの受光部に対して複数の発光部を配置したり、複数の発光部およびこれら発光部と対をなす複数の受光部などを風路に放射状に配置したりして死角を低減する構成もあるものの、比較的高価な光センサの数を増加させることは、コストの面から実用性に乏しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2−152424号公報
【特許文献2】特開平1−151428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、光センサを増設することなく光センサの検出の死角を低減して塵埃量をより精度よく検出できる電気掃除機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の電気掃除機は、電動送風機を収容した掃除機本体を有する。また、この電気掃除機は、電動送風機の吸込側に連通する風路を有する。さらに、この電気掃除機は、発光する発光素子、および、風路を介してこの発光素子からの発光を受光する受光素子を備え、発光素子から発光された光の受光素子での受光量に基づき風路を通過する塵埃量を検出する光センサを有する。また、この電気掃除機は、発光素子からの発光の断面積を発光素子および受光素子の投影面積より大きくする発光側光軸調整手段を有する。そして、この電気掃除機は、発光側光軸調整手段を介して発光素子から発光された光の断面積を狭くして受光素子に受光させる受光側光軸調整手段を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の実施形態の電気掃除機の縦断正面図である。
【図2】同上電気掃除機の一部を示す縦断側面図である。
【図3】同上電気掃除機の内部構造を示すブロック図である。
【図4】同上電気掃除機を示す斜視図である。
【図5】第2の実施形態の電気掃除機の一部を示す縦断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、第1の実施形態の構成を図1ないし図4を参照して説明する。
【0009】
図4において、11はいわゆるキャニスタ型の電気掃除機を示し、この電気掃除機11は、掃除機本体12と、この掃除機本体12に着脱可能に接続される管部である風路形成体13とを有している。
【0010】
掃除機本体12は、被掃除面上を旋回および走行可能な中空状の本体ケース15を備えており、この本体ケース15の内部に電動送風機室が区画されている。この電動送風機室には、電動送風機18が収容されている。また、掃除機本体12には、この電動送風機18の吸込側に連通して、集塵部が形成されている。そして、掃除機本体12には、集塵部に連通する前部に、風路形成体13の基端側が接続される本体吸込口19が開口形成されている。
【0011】
また、風路形成体13は、長尺状のホース体21と、このホース体21に着脱可能に接続される延長管22と、この延長管22に着脱可能に接続される吸込口体としての床ブラシ23とを備えており、電動送風機18の吸込側に連通する風路Wを内部に形成している。なお、この風路形成体13は、例えば床ブラシ23を取り外して使用することもできるし、床ブラシ23および延長管22を取り外して使用することもできる。
【0012】
ホース体21は、長尺筒状のホース本体25と、このホース本体25の一端側である基端側(下流端側)に連通して形成された接続管部26と、ホース本体25の他端側である先端側(上流端側)に連通して形成され例えば風路形成体13の把持操作用の手元操作部27とを一体的に有している。
【0013】
ホース本体25は、可撓性を有する合成樹脂などにより円筒蛇腹状に形成されており、手元操作部27側と掃除機本体12側とを電気的に接続する図示しない配線が内部でかつ風路Wの外部に螺旋状に取り付けられている。
【0014】
接続管部26は、本体吸込口19に挿入接続される部分であり、ホース本体25よりも硬質の合成樹脂などにより円筒状に形成されている。また、この接続管部26には、ホース本体25内に配置された配線と電気的に接続された図示しない端子が配置されており、これら端子が、接続管部26を本体吸込口19に挿入接続することで掃除機本体12側と電気的に接続される。そして、接続管部26が接続される本体吸込口19の内部には、図2に示すように、風路Wを通過する塵埃量を検出するための塵埃量検出手段としての光センサ33が配置されている。
【0015】
ここで、光センサ33は、図1ないし図3に示すように、例えば赤外光を発光する発光素子35と、この発光素子35により発光された赤外光を受光する受光素子36とを互いに対向する位置に備えており、発光素子35からの赤外光の受光素子36での受光量によって、風路W中を通過する塵埃量に対応する信号を制御手段37に出力可能となっている。
【0016】
発光素子35は、例えば赤外光などの光を出力するLEDなどであり、例えば掃除機本体12の本体吸込口19の上部に、下方に向けて配置されており、この下方へと赤外光を出力するように構成されている。また、この発光素子35は、アノード側が可変抵抗器などの抵抗器R1を介して電源部38に電気的に接続され、カソード側が接地されている。さらに、この発光素子35の下方、すなわち受光素子36側には、発光側光軸調整手段としての反射体である発光側反射体39が取り付けられている。
【0017】
また、受光素子36は、発光素子35から出力された赤外光を検出するフォトトランジスタなどであり、例えば掃除機本体12の本体吸込口19の下部に、上方すなわち発光素子35側に向けて配置されており、この発光素子35から出力された赤外光を受光するように構成されている。また、この受光素子36は、電源部38に対して抵抗器R1と並列に接続された抵抗器R2とコレクタ側が電気的に接続され、エミッタ側が接地された、いわゆるエミッタ接地回路を構成しており、その出力部である抵抗器R2とコレクタ側との接続点が、例えばOPアンプなどにより構成された増幅部41、および、制御手段37にそれぞれ電気的に接続されている。さらに、この受光素子36の上方、すなわち発光素子35側には、受光側光軸調整手段としての反射体である受光側反射体42が取り付けられている。
【0018】
そして、発光素子35および受光素子36は、先端側が球面状に湾曲した細長い円柱状に形成されており、それぞれの投影面積S1,S2は、発光素子35および受光素子36の外径寸法を直径とする円の面積と略等しくなっている。すなわち、本実施形態において、発光素子35の投影面積S1とは、発光素子35から発光側反射体39へと出射する赤外光の断面積をいい、受光素子36の投影面積S2とは、受光素子36が受光可能な赤外光の断面積をいうものとする。換言すれば、これら投影面積S1,S2とは、発光素子35および受光素子36を、発光素子35からの発光の光軸方向(上下方向)に投影した面積をいうものとする。
【0019】
また、発光側反射体39は、発光素子35からの発光を拡散することにより、その断面積を発光素子35および受光素子36の投影面積S1,S2より大きくするもので、一端側である上端側に、発光素子35が挿入される発光素子挿入開口39aが形成され、他端側である下端側に、光が出射する出射開口39bが形成された、略円筒状であり、発光素子35側である一端側、すなわち上端側から、受光素子36側である他端側、すなわち下端側へと、徐々に拡径するように形成されている。したがって、発光素子挿入開口39aよりも出射開口39bが大きく形成されている。なお、この発光側反射体39は、例えば全体が赤外光を反射する素材により形成されていてもよいし、内周面側のみが赤外光を反射する素材により形成されていてもよい。すなわち、この発光側反射体39は、少なくとも内周面が赤外光を反射する構造となっていれば、任意の材質により構成できる。さらに、この発光側反射体39の内部には、截頭円錐形状の発光側レンズ39cが嵌合して取り付けられている。そして、この発光側反射体39の下端である出射開口39bは、風路形成体13の接続管部26の上部に配置された対向発光側レンズ44と対向して配置されている。
【0020】
出射開口39bは、発光素子35の投影面積S1よりも大きい開口面積を有しており、受光素子36側へと照射される発光の断面積S3を設定している。すなわち、出射開口39bの開口面積が、受光素子36側へと照射される発光の断面積S3と略等しくなっている。
【0021】
また、発光側レンズ39cは、透光性を有する部材により形成されており、本体吸込口19の内面に配置されている。さらに、この発光側レンズ39cの上部、すなわち発光素子35側には、発光素子挿入開口39aに挿入された発光素子35の下端側が嵌合している。
【0022】
また、対向発光側レンズ44は、風路形成体13の接続管部26を本体吸込口19に接続した状態で発光素子35(発光側レンズ39c)の下方に対向する位置に配置されている。この対向発光側レンズ44は、接続管部26に径方向に沿って穿設された発光側孔部45内に、この発光側孔部45を気密に閉塞するように嵌合しており、一端側が発光素子35側(発光側レンズ39c側)に臨み、他端側が風路Wの内部に臨んでいる。すなわち、発光側孔部45から風路W内の空気が風路Wの外部へと流出することはない。
【0023】
また、受光側反射体42は、発光側反射体39を介して発光素子35から発光された光の断面積S3を狭くして(集約して)受光素子36に受光させるもので、発光側反射体39と上下対称で、同様(類似)、あるいは同一の構成を有している。すなわち、この受光側反射体42は、一端側である上端側に、光が入射する入射開口42aが形成され、他端側である下端側に、受光素子36が挿入される受光素子挿入開口42bが形成された、略円筒状であり、発光素子35側である一端側、すなわち上端側から、受光素子36側である他端側、すなわち下端側へと、徐々に縮径するように形成されている。したがって、受光素子挿入開口42bよりも入射開口42aが大きく形成されている。なお、この受光側反射体42は、例えば全体が赤外光を反射する素材により形成されていてもよいし、内周面側のみが赤外光を反射する素材により形成されていてもよい。すなわち、この受光側反射体42は、少なくとも内周面が赤外光を反射する構造となっていれば、任意の材質により構成できる。さらに、この受光側反射体42の内部には、截頭円錐形状の受光側レンズ42cが嵌合して取り付けられている。そして、この受光側反射体42の上端である入射開口42aは、風路形成体13の接続管部26の下部に配置された対向受光側レンズ47と対向して配置されている。
【0024】
入射開口42aは、発光素子35の投影面積S1よりも大きく、発光側反射体39の出射開口39bと略等しい開口面積を有している。すなわち、入射開口42aの開口面積は、発光素子35側から照射された光の断面積S3と略等しくなっている。
【0025】
また、受光側レンズ42cは、透光性を有する部材により形成されており、本体吸込口19の内面に配置されている。さらに、この受光側レンズ42cの下部、すなわち受光素子36側には、受光素子挿入開口42bに挿入された受光素子36の下端側が嵌合している。
【0026】
また、対向受光側レンズ47は、風路形成体13の接続管部26を本体吸込口19に接続した状態で受光素子36(受光側レンズ42c)の上方に対向する位置に配置されている。この対向受光側レンズ47は、接続管部26に径方向に沿って穿設された受光側孔部48内に、この受光側孔部48を気密に閉塞するように嵌合しており、一端側が受光素子36側(受光側レンズ42c側)に臨み、他端側が風路Wの内部に臨んでいる。すなわち、受光側孔部48から風路W内の空気が風路Wの外部へと流出することはない。
【0027】
また、制御手段37は、電動送風機18の動作を例えば電動送風機制御素子としてのトライアックTrを介して位相制御するもので、例えば電動送風機18の排気風路内などに配置されている。また、この制御手段37は、例えば図示しない電源コードを介して商用交流電源eから電源が供給される。
【0028】
また、電源部38は、商用交流電源eに電源コードが電気的に接続されたとき、すなわち電源(電圧)が印加(投入)されたとき、換言すればプラグインされたときに、商用交流電源eからの給電により所定の定電圧、例えば5Vの電圧を生成する定電圧源である。
【0029】
増幅部41は、パルス整形器50を介して制御手段37に電気的に接続されている。
【0030】
また、手元操作部27は、図4に示すように、ホース本体25よりも硬質の合成樹脂などにより略円筒状に形成されており、上流端側から下流端側へと、使用者に把持される把持部51が突出して形成されている。この把持部51には、電動送風機18などの動作を制御手段37(図3)に設定するための設定手段としての複数の設定ボタン52が配置されている。これら設定ボタン52は、ホース本体25内の配線を介して掃除機本体12内の制御手段37(図3)などと電気的に接続されている。
【0031】
また、図4に示す床ブラシ23は、風路Wの一部(上流端)を構成可能なものであり、延長管22の先端側(上流端側)に一端側が連通接続される接続管55と、この接続管55の他端側に、上下方向あるいは周方向などに回動可能に接続された横長のケース体56とを備えており、被掃除面上を走行可能となっている。さらに、ケース体56の床面に対向する下部には、接続管55の他端側と連通する図示しない吸込口が形成されている。
【0032】
次に、上記第1の実施形態の動作を説明する。
【0033】
使用者が、集塵部を掃除機本体12内に取り付けた状態で、電源コードを壁面のコンセントなどに接続(プラグイン)すると、制御手段37および電源部38などに対して、商用交流電源eから電源(電圧)が供給(印加)される。
【0034】
制御手段37は、設定ボタン52の操作入力待ちとなり、使用者が設定ボタン52の操作により設定した動作モードで電動送風機18を駆動、または、駆動している電動送風機18を停止する。以下、電動送風機18を自動モード、すなわち制御手段37により入力を自動制御するモードで駆動させた場合の各部の動作を説明する。
【0035】
使用者は、電動送風機18が駆動した後、把持部51を介して床ブラシ23を被掃除面上で前後に走行させて、被掃除面の塵埃を、駆動した電動送風機18の負圧により風路Wを介して空気とともに吸い込んで集塵部に捕集する。
【0036】
なお、この掃除状態において、制御手段37は、例えば光センサ33から出力される出力信号を増幅部41により増幅しパルス整形器50によりパルス整形して入力される入力信号によって、風路W内を通過する塵埃量を監視している。換言すれば、電気掃除機11は、光センサ33により塵埃量を検出している。
【0037】
すなわち、風路W内を塵埃が通過すると、発光素子35側からの発光を塵埃が遮るため、受光素子36での受光量が減少することで、風路W内を塵埃が通過していることを光センサ33により検出できる。したがって、風路W内を通過する塵埃量が多いほど、受光素子36での受光量が減少する。
【0038】
具体的に、光センサ33では、発光素子35からの発光が、発光側反射体39の内周面で乱反射されることにより、この発光側反射体39に嵌合する発光側レンズ39cを介して出射開口39bから、発光素子35の投影面積S1よりも大きく広げられた断面積S3で出射する。すなわち、発光側反射体39は、図1および図2に示すように、発光素子35からの発光を風路Wの軸方向(空気および塵埃の通過方向)およびこの軸方向と交差(直交)する方向に拡大する。換言すれば、発光側反射体39は、発光素子35からの発光の光軸径を太くして指向性を広げる。そして、この出射した光は、対向発光側レンズ44を介して風路W内へと照射され、風路W内を通過する塵埃量に応じて減衰されて対向受光側レンズ47に入射した後、入射開口42aを介して受光側反射体42の受光側レンズ42cに入射し、受光側反射体42の内周面で反射されて集光され、受光素子36に入射する。
【0039】
そして、光センサ33(の受光素子36)からの出力信号が増幅部41により増幅されパルス整形器50によりパルス整形されて制御手段37に入力される入力信号が相対的に小さくなることで、制御手段37が、風路W内を通過する(掃除している被掃除面の位置での)塵埃量の寡多を、上記入力信号の大小によって判断する。
【0040】
すなわち、制御手段37は、例えば上記入力信号と予め設定された閾値とを比較することなどにより、光センサ33により検出した塵埃量が予め設定された所定量以上であるかどうかを判断し、所定量以上でない(所定量未満である)と判断したときには、制御手段37は、トライアックTrにより設定する電動送風機18の入力の位相角を相対的に小さくして、電動送風機18の入力を相対的に低下させる。
【0041】
一方、光センサ33により検出した塵埃量が所定量以上であると判断したときには、制御手段37は、トライアックTrにより設定する電動送風機18の入力の位相角を相対的に大きくして、電動送風機18の入力を相対的に増加させる。
【0042】
このように、上記第1の実施形態によれば、発光素子35からの発光の断面積を発光素子35および受光素子36の投影面積S1,S2より大きくする発光側光軸調整手段として発光側反射体39を用いるとともに、発光側反射体39を介して発光素子35から発光された光の断面積S3を狭くして受光素子36に受光させる受光側光軸調整手段として受光側反射体42を用いることにより、各光軸調整手段を簡単に構成できる。
【0043】
なお、上記第1の実施形態において、図5に示す第2の実施形態のように、次に、第2の実施形態を図5を参照して説明する。なお、上記第1の実施形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0044】
この第2の実施形態は、上記第1の実施形態の発光側反射体39、受光側反射体42、対向発光側レンズ44および対向受光側レンズ47に代えて、発光側光軸調整手段としてのレンズである凹レンズ61と、受光側光軸調整手段としてのレンズである凸レンズ62とを備えるものである。
【0045】
凹レンズ61は、例えば発光素子35側である上側が球面状に窪んだ片凹レンズなどの、負のパワーを有するレンズであり、発光側孔部45を気密に閉塞して配置され、受光素子36側である下側が風路Wの内部に臨んでいる。
【0046】
凸レンズ62は、例えば発光素子35側である上側および受光素子36側である下側のそれぞれが球面状に突出した両凸レンズなどの、正のパワーを有するレンズであり、受光側孔部48を気密に閉塞して配置され、上側が凹レンズ61に対向して風路Wの内部に臨んでいる。
【0047】
そして、自動モードの掃除状態において、光センサ33では、発光素子35からの発光が、凹レンズ61により拡散され、発光素子35の投影面積S1よりも大きく広げられた断面積S3で出射する。すなわち、凹レンズ61は、発光素子35からの発光を風路Wの軸方向(空気および塵埃の通過方向)およびこの軸方向と交差(直交)する方向に拡大する。換言すれば、凹レンズ61は、発光素子35からの発光の光軸径を(受光素子36側へと徐々に)太くして指向性を広げる。そして、この出射した光は風路W内へと照射され、風路W内を通過する塵埃量に応じて減衰されて凸レンズ62に入射し、この凸レンズ62によって受光素子36の投影面積S2相当に集光され、受光素子36に入射する。
【0048】
そして、光センサ33(の受光素子36)からの出力信号が増幅部41により増幅されパルス整形器50によりパルス整形されて制御手段37に入力される入力信号が相対的に小さくなることで、制御手段37が、風路W内を通過する(掃除している被掃除面の位置での)塵埃量の寡多を、上記入力信号の大小によって判断し、その判断した塵埃量に対応して電動送風機18の入力を上記第1の実施形態と同様に変化させる。
【0049】
このように、上記第2の実施形態によれば、発光素子35からの発光の断面積S3を発光素子35および受光素子36の投影面積S1,S2より大きくする発光側光軸調整手段として凹レンズ61を用いるとともに、凹レンズ61を介して発光素子35から発光された光の断面積を狭くして受光素子36に受光させる受光側光軸調整手段として凸レンズ62を用いることにより、各光軸調整手段を安価でかつ簡単に構成できる。
【0050】
そして、以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、発光素子35からの発光の断面積S3を、発光側反射体39あるいは凹レンズ61によって発光素子35および受光素子36の投影面積S1,S2よりも大きくするとともに、この発光側反射体39あるいは凹レンズ61を介して発光素子35から発光された光の断面積を、受光側反射体42あるいは凸レンズ62によって狭くして受光素子36に受光させることにより、光センサ33(発光素子35および受光素子36)を増設することなく光センサ33の検出の死角を低減して、風路W内の広い範囲で塵埃を検出できるので、塵埃の種類、塵埃の風路W内の通過位置などによらず塵埃を高確率で検出でき、塵埃量をより精度よく検出できる。
【0051】
また、発光側反射体39あるいは凹レンズ61は、発光素子35からの発光を風路Wの軸方向に対して交差(直交)する方向、特に幅方向(風路Wの軸方向と直交する断面に沿う方向)に大きくすることにより、光センサ33による検出の死角をより確実に低減できる。
【0052】
さらに、発光側反射体39あるいは凹レンズ61は、発光素子35からの発光を風路Wの軸方向に沿って大きくすることにより、風路W内を通過してゆく塵埃に対する光センサ33の検出時間を長くすることができるので、高速で風路Wを通過する塵埃あるいは大きさが小さい塵埃などでも、より確実に検出でき、塵埃量をより精度よく検出できる。
【0053】
なお、上記第2の実施形態において、発光側光軸調整手段および受光側光軸調整手段として用いるレンズは、球面レンズに限らず、上記第2の実施形態の凹レンズ61および凸レンズ62と同様の機能を有する任意形状のレンズとすることができ、また、複数枚のレンズで構成してもよい。
【0054】
また、上記各実施形態において、発光側光軸調整手段は、少なくとも風路Wの軸方向と交差(直交)する方向、すなわち風路Wの軸方向に直交する断面方向に沿って発光素子35からの光の断面積を広げることができる構成であれば、上記の各実施形態の構成に限定されるものではない。
【0055】
さらに、電気掃除機11としては、キャニスタ型に限らず、上下方向に長手状の掃除機本体12の下部に床ブラシ23が接続されたアップライト型、あるいはハンディ型などでも対応して用いることができる。
【0056】
そして、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0057】
11 電気掃除機
12 掃除機本体
18 電動送風機
33 光センサ
35 発光素子
36 受光素子
39 発光側光軸調整手段としての反射体である発光側反射体
42 受光側光軸調整手段としての反射体である受光側反射体
61 発光側光軸調整手段としてのレンズである凹レンズ
62 受光側光軸調整手段としてのレンズである凸レンズ
W 風路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動送風機を収容した掃除機本体と、
前記電動送風機の吸込側に連通する風路と、
発光する発光素子、および、風路を介してこの発光素子からの発光を受光する受光素子を備え、前記発光素子から発光された光の前記受光素子での受光量に基づき前記風路を通過する塵埃量を検出する光センサと、
前記発光素子からの発光の断面積を前記発光素子および前記受光素子の投影面積より大きくする発光側光軸調整手段と、
この発光側光軸調整手段を介して前記発光素子から発光された光の断面積を狭くして前記受光素子に受光させる受光側光軸調整手段と
を具備したことを特徴とした電気掃除機。
【請求項2】
発光側光軸調整手段は、発光素子からの発光の断面積を風路の軸方向と交差する方向に大きくする
ことを特徴とした請求項1記載の電気掃除機。
【請求項3】
発光側光軸調整手段と受光側光軸調整手段との少なくともいずれかは、反射体である
ことを特徴とした請求項1または2記載の電気掃除機。
【請求項4】
発光側光軸調整手段と受光側光軸調整手段との少なくともいずれかは、レンズである
ことを特徴とした請求項1ないし3いずれか一記載の電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−200461(P2012−200461A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68952(P2011−68952)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】