説明

電気掃除機

【課題】
使用者が持ち運びやすく、コンパクトなハンドルを有する電気掃除機を提供すること。
【解決手段】
上記の課題を解決する為には、電気掃除機において、吸引力を生じさせる電動送風機を内部に有する本体と、この本体に着脱可能なサイクロン式集塵部を有し、サイクロン集塵部は、空気と塵埃を分離する複数の遠心分離部と、この遠心分離部で分離した塵埃をためる集塵室を有し、隣り合う遠心分離部の間に、ハンドルを設けることにより、上記の課題を解決することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部で旋回流を発生させて、空気と塵埃を分離して塵埃のみを内部に溜めるサイクロン式集塵部を有する電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、内部で旋回流を発生させて、空気と塵埃を分離し、塵埃のみを内部に溜めるサイクロン式集塵部(以下、集塵部)を、吸引力を生じさせる電動送風機を内部に有する本体に、着脱可能に設けた電気掃除機がある。
このような電気掃除機は、ある程度集塵部の塵埃を溜める集塵室の内部に塵埃が溜まると、本体より集塵室を取り外し、集塵室の内部に溜まっている塵埃を廃棄する。
そして、この様な集塵部において、集塵部の後端部に、本体から集塵部を取外す際や、本体に集塵部を取付けた状態で電気掃除機全体を持ち運びするためのハンドルを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−112811号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の構成は、集塵部の端部にハンドルを設け、これを電気掃除機の移動用のハンドルとして利用した場合、このハンドルを持って電気掃除機を持上げたときに、電気掃除機本体が大きく前方傾き、取り回しが非常に不安定となる課題がある。
また、電気掃除機は、集塵室に加え、電動送風機やコードリール等ある程度重量がある部品を本体内部に備えているので、使用者がハンドルを確実に握ることができるように、ハンドルの下部には十分な手かけスペースとなる開口を確保する必要がある。
【0005】
しかし、引用文献1に記載の集塵部は、空気と塵埃を高速で旋回させて分離するサイクロン構造を確保するため、集塵部の内部形状を一定の大きさに保つ必要があり、所定の領域に手かけスペースとする凹部を集塵部に形成することが難しい。
これにより、確実に握ることができるハンドルを構成する為に、ハンドルを集塵部より大きく突出して設ける必要があるため、結果として電気掃除機本体のサイズも大きくなってしまうという課題がある。
また、ハンドルだけ大きく集塵部から突出するために、電気掃除機が転倒した際や、落下したときに、ハンドルを破損する恐れがあるという課題がある。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、使用者が持ち運びしやすく、コンパクトなハンドルを有する電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決する為には、電気掃除機において、吸引力を生じさせる電動送風機を内部に有する本体と、この本体に着脱可能なサイクロン式集塵部を有し、サイクロン集塵部は、空気と塵埃を分離する複数の遠心分離部と、この遠心分離部で分離した塵埃をためる集塵室を有し、隣り合う遠心分離部の間に、ハンドルを設けることにより、上記の課題を解決することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、集塵部からのハンドルの突出量を最小限に抑えると共に、使用者がハンドルを確実に握ることができるハンドルの下部の手かけスペースを十分に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】電気掃除機Cを示す全体図
【図2】集塵部20を示す(a)正面図、(b)側面図、(c)X−X断面図
【図3】本体10に集塵部20が固定された状態を示す本体10及び集塵部20の左右方向の中心を切断した中央断面図
【図4】本体10の斜視図。
【図5】図3に示す集塵部20の嵌合凹部29と本体10の嵌合凸部13aの拡大図
【図6】図5に示す嵌合凹部30と嵌合凸部13aの嵌合が離れた状態を示す図
【図7】図3に示すロック部31近傍を示す断面図。
【図8】図7に示すロック部31を解除した状態の断面図
【図9】集塵部20を各部に分解した状態を示す平面図
【図10】集塵部20の(a)Y−Y断面図、(b)側面図、(c)(d)一部拡大図
【図11】集塵部20の縦断面図
【図12】集塵室と遠心分離部との関係を示す分解図。
【図13】遠心分離部21,22と連通部23との関係を示す分解図。
【図14】第1の遠心分離部21と排気筒との関係を示す分解図。
【図15】第1の遠心分離部21に排気筒をセットした状態を上方から見た(a)平面図と(b)断面図と(c)一部拡大図
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態1)
以下、図面を参照して実施の形態1について説明する。
図1は、電気掃除機Cを示す全体図である。
図2は、集塵部20を示す(a)正面図、(b)側面図、(c)断面図である。
尚、図2(b)側面図は、後述する第1の遠心分離部21側から見た図である。また、図2(c)断面図は、後述する左右に並ぶ第1の遠心分離部21と第2の遠心分離部22を左右方向に切断した断面図である。
【0011】
図1を参照すると、電気掃除機Cは、内部に各種機能部品が収納された本体10と、この本体10の上部に着脱自在に取付けられるサイクロン式集塵部20(以下、集塵部20)と、清掃面から塵埃を吸込み本体へと流すための吸込経路を形成する塵埃吸込手段50から構成されている。
【0012】
本体10の内部には、電気掃除機Cの各部の制御を行う制御部や、被清掃部位より塵埃を吸引する為の力である吸引力を発生させる電動送風機や、外部の電源より電力を得る為の電源コードとこの電源コードを巻き取るコードリール等が収納されている。
また、本体10の前部には、後述するホースユニット51が連通して接続する接続開口11が開口している。更に、本体10の上面側部には、接続開口11と連通し、後述する第1の遠心分離部21に形成された塵埃取込開口21cに連通して接続する連通通路12が設けられている。
【0013】
次に、塵埃吸込手段50は、ホースユニット51と延長パイプ52と床面吸込具53から構成されている。
ホースユニット51は、ホース51aの一端に本体10の接続開口11に対して着脱自在に接続する第1の接続部51bが形成され、他端に延長パイプ52等と接続される第2の接続部51cが形成されており、第2の接続部51cと一体に電気掃除機Cの操作を行う操作部51dが設けられた手元ハンドル51fが設けられている。
【0014】
延長パイプ52は、外形の大きさが異なる2本のパイプを組み合わせることで、全長が伸縮自在に構成されており、一端にホースユニット51と接続する第1の接続部52aが形成され、他端に床面吸込具53と接続する第2の接続部52bが形成されている。
床面吸込具53は、床面側に塵埃を吸込む吸込み開口53aが形成されている基体53bと、この基体53bに対して連通して回動自在に設けられ一端に延長パイプ52と接続する接続部53cにより構成され、使用時に清掃面である床面に沿って走行可能となっている。
【0015】
以上の本体10と集塵部20と塵埃吸込手段50は、塵埃吸込手段50から本体10に至るまで連通して接続されている。
つまり、被清掃部位から吸上げられた塵埃は、空気と共に塵埃吸込手段50を経て本体10へと流れ込み、その後、集塵部20の内部へと流入する。そして、集塵部20の内部で、空気から塵埃が分離され、塵埃は集塵部20の内部に溜められ、空気は再び本体10内部へと流入し電動送風機を経て排気口より本体外部へと排出される。
尚、床面吸込具53は、被清掃部位に応じて様々な種類のものが用いられ、上記の形態に限るものではない。
【0016】
次に、図2を参照して集塵部20について説明する。
集塵部20は、遠心分離部21,22と連通部23と集塵室24,25から構成されている。
まず、遠心分離部21、22は、内部に流入した空気に対して、旋回流を生じさせることにより、内部に流入した空気と塵埃を遠心力で分離する部位であり、第1の遠心分離部21と第2の遠心分離部22から構成されている。
尚、この第1の遠心分離部21と第2の遠心分離部22は、第1の遠心分離部21から第2の遠心分離部22へと空気が流下できるように、連通部23によって連通して接続している。
【0017】
次に、第1の遠心分離部21の外形状は、円筒部21aと、下方向に向かって窄み先端が開口する円錐部21bが、上下に連結した筒形状を成している。つまり、第1の遠心分離部21は、断面形状が円形状となっている。
尚、円筒部21aと円錐部21bは、円筒部21aの断面中心と円錐部21bの断面中心が、集塵部20の長手方向(後述する中心軸M1の軸方向)から見ると、重なるように配置されている。また、円錐部21bの先端は、開口している。
【0018】
次に、第1の遠心分離部21の側面には、本体10に設けられた連通風路12から、塵埃を含んだ空気を内部に流入させるための塵埃取込開口21cが開口しており、上面には連通部23と接続する連通開口21dが開口している。
連通開口21dは、第1の遠心分離部21内で塵埃が除去された空気を第1の遠心分離部21から排気する為の開口であり、後述するメッシュ状のフィルター27が設けられている。
塵埃取込開口21cは、円筒部21aの断面形状である円の接線方向に向いて開口している。これにより、第1の遠心分離部21の内部に流入する空気は、円筒部21aの内壁に沿って流れるので、効率よく旋回流が生じやすい構造となっている。
【0019】
以上のように構成された第1の遠心分離部21は、本体10を流下した塵埃が混ざった空気を塵埃取込開口21cから内部に取り込み、空気の旋回流を生じさせることで、取り込んだ空気から1次的に比較的大きい塵埃(例えば、砂粒や毛髪や綿埃など)を分離する部位となっている。
そして、1次的に塵埃が取り除かれた空気は、連通開口21dからフィルター27を通り、後述する連通部23を経て、第2の遠心分離部22へと流下し、第1の遠心分離部21で空気から分離された塵埃は、後述する第1の集塵室24へと送られて溜められる。
【0020】
次に、第2の遠心分離部22の外形状は、下方向に向かって窄む円錐部22aと、円筒部22bが上下に一体的に連結した筒形状を成している。
つまり、第2の遠心分離部22の外形は、断面形状が円形状となっている。尚、円錐部22aは、円筒部22bの内部にいたって円錐形状を成しており、先端の開口からさらに円筒部22dが接続されている(図10参照)。
尚、円錐部22aと円筒部22bは、円錐部22aの断面中心と円錐部22bの断面中心が、集塵部20の長手方向(後述する中心軸M2の軸方向)から見ると、重なるように配置されている。
【0021】
更に、第2の遠心分離部22の上面には、連通部23と接続する連通開口22cが開口している。
この連通開口22cは、第1の遠心分離部21で1次的に塵埃を分離した空気を第2の遠心分離部22内部に取り込むと共に、第2の遠心分離部22内部で2次的に塵埃を分離した空気を本体10に向けて排気する為の開口である。
【0022】
この第2の遠心分離部22は、第1の遠心分離部21において1次的に塵埃を除去した空気を取り込み、内部で空気の旋回流を生じさせることで、取り込んだ空気から2次的に比較的小さな塵埃(例えば、細かい砂粒や細かい埃など)を分離する部位となっている。
そして、塵埃が取り除かれた空気は、後述する連通部23に形成された排気路23bを経て本体10へと排出され、塵埃は後述する第2の集塵室25へと送られて溜められる。
【0023】
以上のように構成された第1の遠心分離部21と第2の遠心分離部22は、次のように配置されて一体に遠心分離部21,22を構成する。
まず、第1の遠心分離部21と第2の遠心分離部22は、左右に並んで配置される。この状態において、第1の遠心分離部21を構成する円筒部21aと円錐部21bの断面中心を通る中心軸M1と、第2の遠心分離部22を構成する円錐部22aと円筒部22bの断面中心を通る中心軸M2は、平行となるように第1の遠心分離部21と第2の遠心分離部22が配置されている。
【0024】
また、遠心分離部の軸M1,M2に垂直な断面X−Xを見ると、軸M1と軸M2は、同じ高さの位置となっている。つまり、軸M1と軸M2は、左右にそろった位置関係となっている。
そして、集塵部20を本体10に装着した際に、集塵部20の本体10側の反対となる位置であって、第1の遠心分離部21と第2の遠心分離部22に挟まれた部位には、集塵部20のみ、又は、本体10に集塵部20を取付けた状態で、使用者がこれらを持ち運びする為のハンドル26が設けられている。
【0025】
ハンドル26は、中心軸M1及び中心軸M2の間に、各中心軸に沿う方向に長く延びて配置されている。つまり、中心軸M1と中心軸M2とハンドル26は、互いに平行に並んで配置されている。
また、ハンドル26は、集塵部20と連通部23が接続した状態において、連通部23と重なるように、集塵部20から突出して延びている。これにより連通部23は、外部からの衝突による衝撃から、ハンドル26により保護されている。
【0026】
更に、ハンドル26と各遠心分離部21,22の間には、中心軸M1及び中心軸M2の軸方向に対して、直角の向き(側方)に開口する開口部26aが形成されている。
この開口部26aは、使用者がハンドル26を握る際に、手を挿入して手かけ位置として用いるものであり、第1の遠心分離部21と第2の遠心分離部22に挟まれた空間、つまり、第1の遠心分離部21の外面と第2の遠心分離部22の外面に囲まれた窪んだ位置である窪み部20aに、集塵部20を側方から見て一部が重なるように開口している。
【0027】
次に、連通部23は、第1の遠心分離部21と第2の遠心分離部22を連通して接続する部位であり、内部に連通路23aと、この連通路23aとは独立した排気路23bが形成されている。
この様に構成された連通部23は、連通開口21dと連通開口22cが連通路23aで連通されると共に、連通開口22cの中心に排気路23bの開口が位置するように、遠心分離部21,22の上部に設けられる(図10参照)。
【0028】
次に、集塵室24,25は、第1の集塵室24と第2の集塵室25から構成される。
各集塵室24,25はそれぞれカップ形状に形成されており、左右に並んで一体にとなって集塵室24,25を成している。そして、それぞれの開口部24a,25aを上方に向けて、遠心分離部21,22の下部に配置される。
【0029】
これらの第1の集塵室24は、第1の遠心分離部21で空気と分離された塵埃を溜める部位であり、第2の集塵室25は、第2の遠心分離部22で空気と分離された塵埃を溜める部位となっている。
この状態において、第1の集塵室24の内部には、円錐部21bが入り込み、第2の集塵室25の内部には、円筒部22dが入り込んでいる。
【0030】
尚、第1の集塵室24と第2の集塵室25の間には、突出部28が各集塵室と一体的に形成されている。この突出部28の外面は、ハンドル26の外面と連続的に繋がる曲面に構成されている。このように曲面に構成することで、意匠性を高めると共に、障害物に対して引っかかりにくい構造と成っている。
また、第1の集塵室24と第2の集塵室25の間であって、突出部28が位置する側の反対側には、集塵室24,25を取外した際に使用者が握る第2のハンドル29が突出して設けられている。
【0031】
以上のように各部が構成された集塵部20は、図3〜図8に示すように、内部に蓄積した塵埃を廃棄し、再び本体10に取り付け可能に、本体10に着脱可能に取付けられる。
図3は、本体10に集塵部20が固定された状態を示す本体10及び集塵部20の左右方向の中心を切断した中央断面図。
図4は、本体10の斜視図。
図5は、図3に示す集塵部20の嵌合凹部34と本体10の嵌合凸部13aの拡大図。
図6は、図5に示す嵌合凹部30と嵌合凸部13aの嵌合が離れた状態を示す図。
図7は、図3に示すロック部31近傍を示す断面図。
図8は、図7に示すロック部31を解除した状態の断面図。
【0032】
図3〜図8を参照すると、本体10の上面13は前方へ向けて傾斜しており、上面の下端には嵌合凸部13aが形成され、傾斜面には凹部13bが形成され、上面の上端には係合受部13cが設けられている。
次に、集塵部20の集塵室24,25を構成する部位の下端(図中、左斜め下端)部分には、下方に向いて開口する嵌合凹部34が形成されている。そして、集塵部20の連通部23の上部には、ロック部31が動作自在に設けられている。
このロック部31は、使用者が動作させる為のレバー31aと、このレバー31aの動きに連動して動く係合部31bと、レバー31aの誤動作を防止する為の誤動作防止カバー31cにより構成されている。
【0033】
以上のように各部が構成された集塵部20は、嵌合凹部34と嵌合凸部13aが嵌合すると共に、第2のハンドル29が凹部13bに入り込んだ状態で、本体10の上面13に設けられる。
そして、ロック部31の係合部31bが係合受部13cに係合することにより、本体10から集塵部20が脱落しないように保持される。
【0034】
尚、係合部31bと係合受部13cの係合状態は、レバー31aを動作させることにより解除することが可能であり、これにより、本体10から集塵部20を外すことが可能となる。
また、ロック部31は、常に閉方向に付勢されている誤動作防止カバー31cで覆われており(図7の状態)、誤動作防止カバー31cを開方向に動作(図8の状態)させない限り、レバー31aを使用者が動作させることができない構造となっている。
【0035】
以上のように各部を構成することにより、次のような効果を得る。
まず、隣り合う第1の遠心分離部21と第2の遠心分離部22の間に、集塵部20、又は、本体10に取付けられた状態の集塵部20を持ち運びする為のハンドル26を設けることにより、ハンドル26が集塵部20から突出する量を最低限に抑えることができ、集塵部を小型することができる。
【0036】
つまり、各遠心分離部21,22は、断面形状が円形状であるため、隣り合って配置されることにより、隣り合う遠心分離部21,22の間に窪み部20aが形成される。この窪み部20aをハンドル26の配置位置にすることにより、集塵部20からの突出量を抑えたハンドル26を形成することができる。
【0037】
特に、この窪み部20aにハンドル26の開口26aを位置させることにより、ハンドル26を大きく形成することなく、ハンドル26を使用者が握る為の手かけ部を十分に確保することができる。
このように、集塵部20からのハンドル26の突出量が小さいので、掃除機全体を小型化できると共に、使用中に掃除機が転倒したり、掃除機を落下させたり、掃除機が障害物に接触しても、ハンドル26の破損を防止することができる。
【0038】
更に、遠心分離部は筒形状を成しており、隣り合う遠心分離部は、それぞれの筒の中心軸M1,M2が略平行となるように配置され、ハンドル26の長手方向は、中心軸M1,M2の軸方向となるようにハンドル26を形成したので、ハンドル26の位置が集塵部20の中心となり、使用者が、バランスよくハンドル26を握ることができる。
【0039】
更に、ハンドル26は、集塵部20の本体10に取付け側の反対側の位置に設けることにより、集塵部20を本体10に取付けた状態で、集塵部20と本体10を持ち運びすることができる。
これにより、集塵部20のハンドルと本体10のハンドルを共通化することができ、掃除機Cの部品点数の低減、軽量化、小型化を行うことができる。
更に、隣り合う遠心分離部21,22の間にハンドル26を位置しているので、複数の遠心分離部を一体に形成して、1つのユニットとした場合、ハンドル26が各遠心分離部を繋ぐ補強部材の役割をはたすことができる。
【0040】
(実施の形態2)
次に、図9〜図15を参照して、本発明の実施の形態2について説明する。尚、実施の形態1と同じ構成については同一の符号を付し、説明を省略する。
図9は、集塵部20を各部に分解した状態を示す平面図。
図10は、集塵部20の断面図と一部拡大図。
図11は、集塵部20の縦断面図。
図12は、集塵室と遠心分離部との関係を示す分解図。
図13は、遠心分離部21,22と連通部23との関係を示す分解図。
図14は、第1の遠心分離部21と排気筒との関係を示す分解図。
図15は、第1の遠心分離部21に排気筒をセットした状態の断面図と一部拡大図。
【0041】
図9〜図10を参照すると、集塵部20は、遠心分離部21,22と連通部23と集塵室24,25の3つの部品に分割可能に構成されている。
第1の遠心分離部21と第2の遠心分離部22を有する遠心分離部21,22の連通部23と合わさる側のそれぞれの開口縁には、第1の溝部32が形成されている。この第1の溝部32には、連通部23と遠心分離部21,22が合わさるときに、両部材の間の気密性を保つ為の第1のシール部材32aが圧入により取り付けられている。
【0042】
また、遠心分離部21,22の集塵室24,25と合わさる側の開口縁には、第2の溝部33が形成されている。この第2の溝部33には、集塵室24,25と遠心分離部21,22が合わさるときに、両部材の間の気密性を保つ為の第2のシール部材33aが圧入により取り付けられる。
これらのシール部材32a,33aは、各溝部32,33から着脱自在に構成されており、水洗いや部品交換などのメンテナンスを行うことができる。
【0043】
次に、図11と図12を参照すると、集塵室24,25の本体10と着脱する面と反対側の部位には、遠心分離部21,22方向に開口する爪受け部35が形成されている。
また、集塵室24,25の本体10と着脱する側の部位には、集塵室ロック部37が設けられている。この集塵室ロック部37は、遠心分離部21,22方向に突出する係合部37aとこの係合爪部37aを動作させる係合解除ボタン37bから構成されている。
尚、集塵室ロック部37は、集塵室24,25を持ち運ぶ為の第2のハンドル29に設けられている。
【0044】
そして、遠心分離部21,22には、集塵室24,25方向に突出する爪部36と、集塵部24,25方向に開口する爪受け部39が形成されている。
つまり、集塵室ロック部37は、集塵室24,25を持ち運ぶ為の第2のハンドル39の遠心分離部21,22と接合する側に設けられ、回動する係合爪部37aが、爪受け部39との係合方向に付勢されており、爪受け部39と係合する構造である。
【0045】
この様に構成され遠心分離部21,22と集塵室24,25は、次の様に合わさり固定される。まず、爪受け部35の内部に爪部36が挿入されて係合される。そして、爪受け部39の内部に係合爪部37aが挿入されて係合される。
尚、この状態において、第2のシール部材33aに集塵室24,25の開口縁24b,25bが密着する。これにより、遠心分離部21,22と集塵部24,25は、両部材の間で気密性を保った状態で結合して保持される。
【0046】
また、使用者が第2のハンドル29を持った状態で、係合解除ボタン37bを操作することにより、爪受け部39と係合爪部37aの係合を解除することができるので、容易に第2のハンドル29を持つ手を軸に、遠心分離部21,22と集塵室24,25を分離することが可能である。
また、係合解除ボタン37bは、集塵室24,24に設けられた第2のハンドル側に位置しているので、集塵部20が本体10の取り付けられている状態では、集塵部20と本体10に挟まれた部位に位置し、使用者が操作をすることができない。
これにより、電気掃除機Cを用いて掃除している際に、誤って係合解除ボタン37bを操作することが無く、集塵室24,25内部に溜めてある塵埃を開放してしまうことが無い。
【0047】
次に、図11と図13を参照すると、連通部23には、第1の爪受け部40と第2の爪受け部41が設けられている。また、遠心分離部21,22には、連通部ロック部42が設けられている。この連通部ロック部42は、第1の爪43、第2の爪44、連動棒45から構成されている。
そして、第1の爪受け部40に第1の爪43が係合し、第2の爪受け部42に第2の爪44が係合しすることにより、連通部23と遠心分離部21,22が連結した状態で保持される。
【0048】
尚、この状態において、第1のシール部材32aに連通部23の開口縁23dが密着する。これにより、遠心分離部21,22と連通部23は、両部材の間で気密性を保った状態で結合される。
ここで、第1の爪43の動きに第2の爪44が連動するように連動棒45は設けられている。これにより、第1の爪受け部40と第1の爪43が係合状態と、第2の爪受け部42と第2の爪44の係合状態を解除する場合、使用者は、第1の爪43を動かして係合状態を解除するだけで、第2の爪44の係合状態を解除することができる。
【0049】
以上のように構成された集塵部20は、内部に取り込んだ空気と塵埃を次のように分離する。
太線Rで空気の流れを示した図10を参照すると、まず、塵埃取込開口21cから第1の遠心分離部21に流入した塵埃を含んだ空気は、円筒形状であるの第1の遠心分離部21の内壁に沿って、旋回流となって下方向に流れる。
【0050】
そして旋回流は、下方向に流れるにつれて第1の遠心分離部21の円錐形状である部分に差し掛かる。これにより、塵埃を含んだ空気の旋回流の旋回半径が小さくなるので、旋回スピードが増大し、旋回力の増大により遠心力が強まり、空気内部から塵埃が分離される。
空気から分離された塵埃は、下方向に押され第1の集塵室24に溜め込まれる。空気と分離しきれなかった微細な塵埃は、旋回流の中心を上方に流れ、開口21dに設けられたフィルター27を経て、第1の遠心分離部21から排出され、連通部23を通り、第2の遠心分離部22へと流下する。
【0051】
第2の遠心分離部22へと流下した微細な塵埃を含んだ空気は、第1の遠心分離部21の内部と同様に、旋回流により生じる遠心力により塵埃を空気から分離する。
空気から分離された塵埃は、第2の集塵室25へと溜め込まれる。塵埃が除去された空気は、旋回流の中心を上方に流れ、連通部23に形成された排気路23bを通り、本体10に開口する排気取入口15から本体10内部へと流下する。
【0052】
本体10の内部に流れた空気は、電動送風機を経て本体10に開口する排気口より、本体10の外部に排気される。
尚、第2の遠心分離部22は、第1の遠心分離部21の内径より小さく構成されているので、第1の遠心分離部21における旋回流より、高速で旋回流が流れる。これにより、第1の遠心分離部21で分離しきれない微細な塵埃を除去可能に構成されている。
【0053】
ここで、図14〜図15を参照すると、フィルター27は、円筒部27aと円筒部27aと一体に繋がった円錐部27bにより構成された筒形状をなしたメッシュ状の開口が形成されたフィルター部と、円筒部27aの開口端から広がるフランジ状のベース部27cから構成されている。
このように、フィルター27の形状を円筒形状に構成することで、第1の遠心分離室21の内部で、旋回流が生じやすることができる。また、フィルター27を筒形状とすることで、メッシュ状の開口が形成される面積を広く確保することができ、フィルター27を流れる空気の流れを多くすることができる。
また、ベース部27cの周縁には、外方に向かって開口する溝部27dが形成されている。そして、この溝部27dには、シール部材52が設けられている。
次に、シール部材52は、フィルター27を第1の遠心分離部21の連通開口21dに取付けた際に、第1の遠心分離部21の内壁面21hに接合して、フィルター27と第1の遠心分離部21の間に介在する隙間を埋めて、両部間の気密性を確保する為の部材である。
【0054】
このシール部材52は、パッキン部52aを有し、パッキン部52aは第1の遠心分離部21と当接して上述の気密性を確保する。このパッキン部52aの端部は、溝部27d内に収納され、シール面となるパッキン52aの部位は、溝部27dから外方へ突出している。この突出した部位が、第1の遠心分離部21の内壁面21hを接する。
【0055】
尚、フィルター27が連通開口21dに取付けられた際に、シール部材52は、溝部27dと第1の遠心分離部21の内壁面21hに囲まれた空間から突出する(はみ出す)ことなく、溝部27dの内部に取り付けられる。
つまり、溝部27dと第1の遠心分離部21の壁面に囲まれ、第1の遠心分離部21の内部に露出していない状態となっている。
【0056】
このように構成されたフィルター27は、第1の遠心分離部21の中心軸M1と円筒部27a及び円錐部27bの軸中心が一致するように連通開口21dに設けられる。
ここで、図13を参照すると、第1の遠心分離部21の連通開口21dの近傍には、第1の遠心分離部21の中心軸M1に対して、常に傾斜する方向に付勢されている回動邪魔板54が設けられている。
【0057】
この回転邪魔板54が傾斜した状態であるとき、遠心分離部21,22に連通部23を取り付けようとすると、邪魔板端部55が連通部23に形成されているリブ56と干渉して、遠心分離部21,22に対して、連通部23が取り付けられない構造となっている。
つまり、回転邪魔板54は、フィルター27が遠心分離部21,22に取り付けられていない状態では、遠心分離部21,22に対して連通部23の取り付けを阻害する取り付け規制手段となっている。
【0058】
このような状態において、第1の遠心分離部21にフィルター27を取り付けると、フィルター27に設けられた干渉板57が、回動邪魔板54に当接して回動させる。
これにより、回動邪魔板54が中心軸M1とほぼ平行となるように回動されて、遠心分離部21,22に連通部23を取り付ける際に、邪魔板端部55とリブ56が干渉しない位置関係となり、遠心分離部21,22に連通部23を取り付けることが可能となる。
尚、干渉板57はフィルター27を取り外すときの持ち手として利用することが可能である。
【0059】
以上のように各部を構成することにより、次のような作用・効果を得る。
集塵室24,25に塵埃が溜まった場合、まず使用者は、集塵部20を本体10より取り外す。その後、ハンドル26を持ち集塵部20を、塵埃を廃棄する場所まで移動する。移動後にハンドル26を片手でもち、もう片方の手で集塵室24,25に設けられた第2のハンドル29を持ちながら、集塵室ロック部37の係合解除ボタン37bを押すことにより、係合爪部37aと爪受け部39の係合が外れ、集塵室24,25と遠心分離部21,22の連結が解除され、集塵室24,25と遠心分離部21,22を分離して、集塵室内部の塵埃を捨てる。
【0060】
このように、集塵室24,25から塵埃を廃棄する際に、集塵室24,25と遠心分離部21,22の両方にそれぞれハンドルがあるため、各種解除ボタンの操作性が良い。
特に、集塵室のハンドル29に、集塵室24,25と遠心分離部21,22の係合状態を解除する集塵室ロック部37が配置されているので、集塵室24,25のハンドル29を握った状態で、遠心分離部21,22から集塵部24,25を分離できる。
これにより、集塵室24,25内部から塵埃をこぼし難く、塵埃の排出作業を、手を汚さず行うことができる。
【0061】
更に、集塵部全体を水洗い等のメンテナンスを実施する場合は、上記のように集塵室24,25と遠心分離部21,22を分離することに加え、遠心分離部21,22の第1の爪43を解除方向に動作することにより、第1の爪43と第1の爪受け部40、第2の爪44と第2の爪受け部41の連結をそれぞれ解除して、連通部23を遠心分離部24,25から、容易に分離することが可能である。
【0062】
これにより、連通部23と遠心分離部21,22と集塵室24,25とに、それぞれ機能別に集塵部20を分解することができるので、各部の特徴に応じたメンテナンスを行うことができる。
また、集塵部20は、空気と塵埃を分離する遠心分離室21,22、各遠心分離室を連通する風路となる連通部23、分離した塵埃を溜める集塵室24,25などのように、機能ごとに纏まって分解できるので、分解や組み立て等の作業性がよく、各機能部に適したメンテナンスを行いやすい。
また、遠心分離部21,22から第1のシール部材32aと第2のシール部材33aを取外すことができるので、細部までメンテナンスを行うことも可能である。
【0063】
更に、第1の遠心分離室21が、髪の毛などの遠心力を受けにくく比較的に大きい塵埃を大量に吸引した場合、第1の遠心分離室21から第1の集塵室24へ遠心力で運べず、またフィルター27のメッシュ状開口も通過できないため、塵埃がそのまま第1の遠心分離室21の内部に残ってしまう場合がある。
しかし本実施の形態の構成であれば、フィルター27を取り外すことができるので、第1の遠心分離室21の内部のメンテナンスを行う容易に行うことができる。
【0064】
更に、フィルター27を第1の遠心分離室21の開口21d取付ける際に、フィルター27に設けられるシール部材52のパッキン部53の端部が、溝部より突出しない、つまり、パッキン部53が溝部の内部に納まり、溝部からはみ出さないように構成されているので、フィルター27を着脱する際に捲れることがない。
また、シール部材52が第1の遠心分離室21の内部の塵埃の旋回空間に曝されないので、シール部材の劣化を防止することができる。
【0065】
更に、集塵部20は、フィルター27を第1の遠心分離部21に取り付けないと、遠心分離部21,22に連通部23が取り付けられない構造になっているので、フィルター27を取り付けない誤った状態で使用されることが無い。
【符号の説明】
【0066】
C 電気掃除機、10 本体、20 集塵部、21 第1の遠心分離部、
22 第2の遠心分離部、23 連通部、24 第1の集塵室、25 第2の集塵室、
26 ハンドル、27 フィルター、29 第2のハンドル、31 ロック部
37 集塵室ロック部、50塵埃吸込手段、51 ホースユニット、52 延長パイプ、
53 床面吸込具、54 回動邪魔板、56 リブ、57 干渉板、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引力を生じさせる電動送風機を内部に有する本体と、該本体に着脱可能なサイクロン式集塵部を有し、
前記サイクロン集塵部は、空気と塵埃を分離する複数の遠心分離部と、該遠心分離部で分離した塵埃をためる集塵室を有し、隣り合う前記遠心分離部の間に、ハンドルが設けられたことを特徴とする電気掃除機。
【請求項2】
前記遠心分離部は、断面形状が円形状を成す形状であり、隣り合う該遠心分離部は、それぞれの断面の中心により構成される軸が略平行となるように配置され、
前記ハンドルの長手方向は、前記中心軸の軸方向となることを特徴とする請求項1に記載の電気掃除機。
【請求項3】
前記ハンドルは、前記サイクロン集塵部の前記本体に取付け側の反対側の位置に設けられたことを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の電気掃除機。
【請求項4】
前記サイクロン集塵部は、前記集塵室と、前記遠心分離部と、隣り合う該遠心分離部を連通する連通部を構成する部位からなることを特徴とする請求項1乃至3に記載の電気掃除機。
【請求項5】
前記サイクロン集塵部は、前記集塵室と前記遠心分離部と前記連通部のそれぞれの部位に、分解可能であることを特徴とする請求項4に記載の電気掃除機。
【請求項6】
前記遠心分離部には、前記集塵室と前記連通部とそれぞれ接合する接合部が形成され、該接合部にはシール部材が設けられることを特徴とする請求項5に記載の電気掃除機。
【請求項7】
前記集塵室には、該集塵室を持ち運びする為のハンドルが設けられたことを特徴とする請求項4乃至6に記載の電気掃除機。
【請求項8】
前記複数の遠心分離部のうちの少なくとも1つには、メッシュ状の開口が形成されたフィルターを有し、該フィルターは前記遠心分離部から着脱可能であることを特徴とする請求項1乃至7に記載の電気掃除機。
【請求項9】
前記フィルターには溝部が形成され、
該溝部には、前記フィルターが前記遠心分離部に取り付けられた状態において、前記遠心分離部と接合するシール部材が設けられ、
該シール部材は、前記フィルターが前記遠心分離部に取り付けられた状態において、前記フィルターと前記遠心分離部に囲まれていることを特徴とする請求項8に記載の電気掃除機。
【請求項10】
前記遠心分離部には、前記フィルターが前記遠心分離部に取り付けられていない状態では、前記遠心分離部に対して前記連通部の取り付けを阻害する取り付け規制手段が設けられたことを特徴とする請求項8又は請求項9のいずれかに記載の電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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