説明

電気接続箱

【課題】半導体リレーとその制御部とを合理的に配置して、コンパクト化や好適な耐久性の維持を図る。
【解決手段】電気接続箱1において、基板を、基板コネクタ7,7が平行な一対の端縁に沿って対向状に配置され、半導体リレー3が基板コネクタ7,7の間に配置される配線基板2と、上面に制御部5が配置され、下面に、配線基板2と電気的接続される端子部12が平行な一対の端縁に沿って設けられたECU基板4とで形成し、ECU基板4を、基板コネクタ7,7の間で、端子部12,12が基板コネクタ7,7と直交する向きで配線基板2上に組み付けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に搭載される電気接続箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車用の電気接続箱は、車載バッテリの電源と、電気負荷となるエンジン用電子制御ユニットやヘッドライト等の補器等との間を導通/遮断して、各電子制御ユニット(以下「ECU」と略称する。)への電力供給を制御する周知の装置である。例えば特許文献1には、カバー内に、電線が配索された布線プレートとバスバーが配設される配線板とによって所望の回路が形成される回路部と、この回路部に接続され、半導体リレーモジュールやその半導体リレーモジュールを制御する制御部を搭載した制御基板とからなる電気接続箱が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−18725号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この電気接続箱においては、同じ基板上に半導体リレーとその制御部とが配置されるため、制御基板の平面形状が大きくなり、全体のコンパクト化を阻害する。また、半導体リレーの発熱によって制御部を構成するマイコン等の電子部品が影響を受けやすく、耐久性の低下にも繋がる。
【0005】
そこで、本発明は、半導体リレーとその制御部とを合理的に配置して、コンパクト化や好適な耐久性の維持が達成可能な電気接続箱を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、半導体リレーと、その半導体リレーを制御する制御部と、ワイヤハーネスと接続される基板コネクタとを基板に搭載した電気接続箱であって、基板を、複数の基板コネクタが平行な一対の端縁に沿って対向状に配置され、半導体リレーが基板コネクタの間に配置される第1の基板と、上面又は下面に制御部が配置され、下面に、第1の基板と電気的接続される端子部が平行な一対の端縁に沿って設けられて、第1の基板よりも小さい第2の基板とで形成し、第2の基板を、対向する基板コネクタの間で、端子部が基板コネクタと直交する向きで第1の基板上に組み付けたことを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1の目的に加えて、製造工程の合理化を達成するために、第1の基板上の半導体リレー及び基板コネクタと、第2の基板の端子部とが夫々第1の基板上に表面実装される構成としたものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、半導体リレーとその制御部とを上下2つの基板に分けて合理的に配置でき、全体のコンパクト化が可能となる。特に、第2の基板の向きの設定により、第1の基板上に実装部品があってもリフローの際に熱風がムラなく行き渡るため、基板を重ねても組み付けの信頼性は確保できる。
また、第2の基板の制御部が半導体リレーの発熱による影響を受けないので、熱的負荷が小さくなって耐久性の維持が期待できる上、発熱量が大きい第1の基板をメタルコア基板として均熱化を図る一方、第2の基板を安価なガラエポ基板で形成して低コスト化を図るといった合理的な選択も可能となる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、リフローによって第1の基板上の各実装部品が一度に電気的接続可能となり、製造工程の合理化が図られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の電気接続箱の一例を示す六面図、図2は斜視図、図3は基板の分解斜視図である。電気接続箱1は、車載バッテリの電源と、電気負荷となる各ECUや補器との間を導通/遮断して、各ECUや補器への電力供給を制御する周知の装置であるが、ここでは、半導体リレー3,3・・が搭載されて所定の回路が形成される第1の基板としての平面矩形状の配線基板2上に、制御マイコン等の電子部品によって制御部5が構成される第2の基板としてのECU基板4が組み付けられる形態となっている。配線基板2の下面には、外部から電源が供給されるバスバー6が組み付けられ、上下両面には、外部のECUを繋ぐワイヤハーネスのコネクタが接続される基板コネクタ7,7・・が組み付けられている。これらの構成部は、ワイヤハーネスやヒューズの接続部等を除いて全体が図示しない上下カバーによって覆われる。
【0009】
基板コネクタ7は、ワイヤハーネスのコネクタが差し込み接続される差込孔を配線基板2の端縁側に開口させた合成樹脂製で横長箱状のコネクタハウジング8と、そのコネクタハウジング8の閉塞側に設けられて配線基板2の回路に電気的接続される複数の端子9,9・・とからなり、ここでは、配線基板2の上下両面において、配線基板2の互いに平行な一対の端縁に沿って夫々対向状に組み付けられている。一方、バスバー6は、長手方向の端縁に複数のヒューズ端子10,10・・を一体形成して、これと対になるヒューズ端子11と共に、配線基板2の下面側で、基板コネクタ7と直交する一方の端縁に沿って組み付けられている。
【0010】
そして、ECU基板4は、配線基板2よりも一回り小さい矩形状を呈し、下面には、互いに平行な一対の端縁に沿って端子部12,12が設けられて、各端子部12内で下向きに突設された複数のL型端子13,13・・が、配線基板2上の回路に夫々電気的接続されている。ここで、ECU基板4は、基板コネクタ7,7の間で、端子部12が基板コネクタ7と直交する向きに配置されている。
なお、ここでは配線基板2がメタルコア基板、ECU基板4がガラエポ基板となっている。また、配線基板2上の半導体リレー3及び基板コネクタ7、ECU基板4の端子部12は、夫々リフローによって配線基板2に半田付けされる表面実装となっている。よって、基板コネクタ7のコネクタハウジング8とECU基板4の端子部12との間には、リフローの際に熱風が通過できるように所定の隙間が確保されている。
【0011】
以上の如く構成された電気接続箱1は、バスバー6に供給された電気は、配線基板2上の回路を介してECU基板4に流れる。ECU基板4は、各半導体リレー3の電流値を制御して各半導体リレー3をスイッチング動作させて、バスバー6に組み付けられたヒューズを介して外部の各ECUへの電力供給を制御するものとなる。このとき、ECU基板4は、半導体リレー3が搭載される配線基板2と別体となっているため、半導体リレー3が動作時に発熱してもECU基板4上の制御部5が影響を受けることがない。
【0012】
このように、上記形態の電気接続箱1によれば、基板を、基板コネクタ7,7が平行な一対の端縁に沿って対向状に配置され、半導体リレー3が基板コネクタ7,7の間に配置される配線基板2と、上面に制御部5が配置され、下面に、配線基板2と電気的接続される端子部12,12が平行な一対の端縁に沿って設けられて、配線基板2よりも小さいECU基板4とで形成し、ECU基板4を、対向する基板コネクタ7,7の間で、端子部12,12が基板コネクタ7,7と直交する向きで配線基板2上に組み付けたことで、半導体リレー3とその制御部5とを上下2つの基板に分けて合理的に配置でき、全体のコンパクト化が可能となる。特に、ECU基板4の向きにより、リフローの際に各実装部品へ熱風がムラなく行き渡るため、基板を重ねても組み付けの信頼性は確保できる。
また、ECU基板4の制御部5が半導体リレー3の発熱による影響を受けないので、熱的負荷が小さくなって耐久性の維持が期待できる上、発熱量が大きい配線基板2をメタルコア基板として均熱化を図る一方、ECU基板4を安価なガラエポ基板で形成して低コスト化を図るといった合理的な選択も可能となる。
【0013】
特にここでは、配線基板2上の半導体リレー3及び基板コネクタ7と、ECU基板4の端子部12とが夫々配線基板2上に表面実装されることで、リフローによって配線基板2上の各実装部品が一度に電気的接続可能となり、製造工程の合理化が図られる。
【0014】
なお、配線基板の端縁に配置される基板コネクタは、上記形態のように一つずつ配置するものに限らず、端縁に複数並設されるものであっても差し支えない。
また、第1の基板上の部品は必ずしも全て実装部品とする必要はなく、一部をスルーホール接続等の他の接続形態で組み付けるようにしても良い。
さらに、第1及び第2の基板は、上記形態のような平面矩形状に限らず、基板コネクタや端子部が対向状に組み付けられる一対の平行な端縁を有するものであれば、平面L字状等の他の平面形状を採用することは可能である。また、制御部は第2の基板の下面に設けることもできる。
その他、基板コネクタの端子形状や第2の基板の端子部の端子形状等も、適宜設計変更して差し支えない。
また、本実施形態で表面実装(リフロー)した各箇所、例えば端子部12等においては、L型端子13に代えてプレスフィット端子を用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】電気接続箱の一例を示す六面図である。
【図2】電気接続箱の斜視図である。
【図3】電気接続箱の分解斜視図である。
【符号の説明】
【0016】
1・・電気接続箱、2・・配線基板、3・・半導体リレー、4・・ECU基板、5・・制御部、7・・基板コネクタ、12・・端子部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体リレーと、その半導体リレーを制御する制御部と、ワイヤハーネスと接続される基板コネクタとを基板に搭載した電気接続箱であって、
前記基板を、複数の前記基板コネクタが平行な一対の端縁に沿って対向状に配置され、前記半導体リレーが前記基板コネクタの間に配置される第1の基板と、
上面又は下面に前記制御部が配置され、下面に、前記第1の基板と電気的接続される端子部が平行な一対の端縁に沿って設けられて、前記第1の基板よりも小さい第2の基板とで形成し、
前記第2の基板を、対向する前記基板コネクタの間で、前記端子部が前記基板コネクタと直交する向きで前記第1の基板上に組み付けたことを特徴とする電気接続箱。
【請求項2】
第1の基板上の半導体リレー及び基板コネクタと、第2の基板の端子部とが夫々前記第1の基板上に表面実装される請求項1に記載の電気接続箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−228757(P2007−228757A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−49118(P2006−49118)
【出願日】平成18年2月24日(2006.2.24)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】