説明

電気接続箱

【課題】より少ない樹脂量で強度を確保出来ると共に、放熱性を向上することの出来る絶縁板を備えた、新規な構造の電気接続箱を提供すること。
【解決手段】電気部品との接続端子64への入力荷重を支持する樹脂製の絶縁板18をケース12,14内に収容すると共に、前記絶縁板18に、板厚方向に貫通するハニカム構造部52を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等に搭載される電気接続箱に係り、特に、接続端子に加えられる荷重を支持する絶縁板を備えた電気接続箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車等において、バッテリからの電源を各電装品に効率良く分配するために、ジャンクションボックス等の電気接続箱が用いられている。このような電気接続箱は、例えば特開2009−26464号公報(特許文献1)に記載されているように、プリント基板やバスバーで内部回路が構成されていると共に、それらプリント基板やバスバーに設けられた接続端子がケース外に突出されて、コネクタやヒューズ等の電気部品と接続可能とされている。
【0003】
ところで、接続端子には、電気部品の挿抜に際して押込力や引抜力等の荷重が及ぼされることから、接続端子が変形したり、プリント基板が撓んで半田クラックやプリント配線が損傷するおそれがある。そこで、特許文献1にも記載されているように、従来から、絶縁板でプリント基板やバスバー等を支持することによって、接続端子への入力荷重を支持するようにされている。このような絶縁板は合成樹脂で形成されており、強度を確保するために、補強用のリブが一体形成された構造とされている。
【0004】
ところが、このような構造の絶縁板では、リブを形成するために多くの樹脂材料が必要となる。それ故、製造コストの増加を招くと共に、電気接続箱の重量化を招くという問題があった。また、絶縁板がプリント基板等に全体的に重ね合わされることにより、空気の対流が低下して放熱性を低下してしまうおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−26464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、より少ない樹脂量で強度を確保出来ると共に、放熱性を向上することの出来る絶縁板を備えた、新規な構造の電気接続箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様は、電気部品との接続端子がケース外に突出されていると共に、前記接続端子への入力荷重を支持する樹脂製の絶縁板が前記ケース内に収容されている電気接続箱において、前記絶縁板には、板厚方向に貫通するハニカム構造部が形成されていることを、特徴とする。
【0008】
本発明によれば、絶縁板をハニカム構造部において貫通形状とすることによって、絶縁板を形成する樹脂量を削減することが出来る。そして、樹脂用を削減しつつも、ハニカム構造を採用することによって、強度を確保することが出来る。その結果、製造コストの低減や電気接続箱の軽量化を図ることが出来る。更に、ハニカム構造部において絶縁板が貫通形状とされていることから、電気接続箱内の空気の対流も促進されて、絶縁板が重ね合わされるプリント基板等の熱を効率良く放散させることが出来る。即ち、本発明は、従来のように絶縁板に補強リブを形成したり、補強リブの形状を工夫するのではなく、絶縁板そのものをハニカム構造で形成するという全く新規な発想によって成されたものであって、これにより強度を確保しつつ少ない樹脂量で絶縁板を形成することが可能になると共に、放熱性の向上が可能とされたのである。
【0009】
なお、絶縁板におけるハニカム構造部は、絶縁板の全体に形成されていても良いし、絶縁板に部分的に形成されていても良い。また、接続端子としては、プリント基板に半田付けされるもののみならず、バスバーに設けられるもの等でも良い。従って、絶縁板は、プリント基板を支持するものに限定されず、バスバーを支持するもの等でも良い。更に、絶縁板は、電気部品の接続に際して接続端子に加えられる押込力と、電気部品の抜去に際して接続端子に加えられる引抜力の何れの荷重に対して接続端子を支持するものでも良い。
【0010】
本発明の第二の態様は、前記第一の態様に記載のものにおいて、前記絶縁板には厚肉部と薄肉部が形成されており、前記厚肉部に前記ハニカム構造部が形成されているものである。
【0011】
本態様によれば、絶縁板に板厚寸法の小さな薄肉部を設けたことにより、例えば電気接続箱のケースに形成されるコネクタ装着部等の電気部品装着部を薄肉部の分だけ絶縁板に接近させて形成することが出来る。これにより、電気部品装着部のケース外方への突出量を抑えることが出来て、電気接続箱のコンパクト化を図ることが出来る。そして、板厚寸法の大きな厚肉部はハニカム構造部を形成して貫通形状とすることによって、厚肉部を少ない樹脂量で強度を確保しつつ形成することが出来る。
【0012】
本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に記載のものにおいて、前記接続端子がプリント基板に突設されており、該プリント基板が前記絶縁板に重ね合わされているものである。
【0013】
本態様によれば、絶縁板でプリント基板を支持することによって、プリント基板に設けられた接続端子を支持することが出来る。これにより、プリント基板の変形を抑えて、半田クラックの発生やプリント配線の損傷等のおそれを低減することが出来る。そして、絶縁板がハニカム構造部において貫通形状とされていることから、プリント基板が重ね合わされた場合でも、プリント基板の熱を効率良く放散させることが出来る。
【0014】
本発明の第四の態様は、前記第三の態様に記載のものにおいて、2枚の前記プリント基板が前記絶縁板の両側から重ね合わされており、前記ハニカム構造部がそれら2枚のプリント基板の間に位置されているものである。
【0015】
本態様によれば、2枚のプリント基板を1枚の絶縁板で支持することが出来る。そして、2枚のプリント基板間にハニカム構造部が位置されることにより、それら2枚のプリント基板を優れた強度で支持することが出来る。更に、両プリント基板の間に位置された絶縁板が貫通形状とされていることから、両プリント基板の熱を何れも効率良く放散させることが出来る。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、接続端子への入力荷重を支持する絶縁板に、板厚方向に貫通するハニカム構造部を形成した。これにより、樹脂量を削減しつつ、強度を確保して絶縁板を形成することが出来る。更に、ハニカム構造部において絶縁板を貫通形状としたことから、電気接続箱内の空気の対流を促進して、放熱効果を向上することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態としての電気接続箱の分解斜視図。
【図2】アッパケースの上面図。
【図3】ロアケースの上面図。
【図4】ロアケースの側面図。
【図5】絶縁板の上面図。
【図6】絶縁板の下面図。
【図7】絶縁板の側面図。
【図8】図7とは異なる絶縁板の側面図。
【図9】電気接続箱の断面図であって、図3におけるIX−IX断面に相当する断面図。
【図10】荷重入力時の撓み量の数値解析に用いた、本発明の構造を有する絶縁板と従来構造を有する絶縁板とを示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0019】
先ず、図1に、本発明の一実施形態としての電気接続箱10を示す。電気接続箱10は、アッパケース12とロアケース14の間に、ロアケース14側から順に、第一プリント基板16、絶縁板18、第二プリント基板20、第一バスバー絶縁板22、第一バスバー24、第二バスバー絶縁板26、第二バスバー28が積層されて収容された構造とされている。
【0020】
図2に、アッパケース12を示す。アッパケース12には、電気部品装着部としての従来公知のヒューズ装着部30、リレー装着部32、コネクタ装着部34などが適宜の位置に適当な個数だけ形成されている。特に、本実施形態におけるアッパケース12には、3つのレバーコネクタ装着部36が並列して形成されている。これらレバーコネクタ装着部36は図示しない電気部品としてのレバーコネクタが装着されるものである。レバーコネクタ装着部36は、アッパケース12の幅方向(図2中、左右方向)の略全長に亘る比較的大型の装着部とされており、従来公知のように、内周面に突設されたレバー係合部38に図示しないレバーコネクタのレバーが係合されて、該レバーとレバー係合部38との係合案内作用によってレバーコネクタをレバーコネクタ装着部36内に案内して装着するようになっている。
【0021】
一方、図3および図4に、ロアケース14を示す。なお、図3は、ロアケース14の内面側となる上面である。ロアケース14には、電気部品装着部としての従来公知のコネクタ装着部34が適宜の位置に適当な個数だけ形成されている。また、図4から明らかなように、ロアケース14は部分的に深さ寸法が異ならされており、相対的に深さ寸法が大きくされた略長方形の第一底部40と、第一底部40の2辺の外周部分に沿うL字形状をもって第一底部40よりも深さ寸法が小さくされた第二底部42が形成されている。これにより、第一底部40に形成されたコネクタ装着部34に比して、第二底部42に形成されたコネクタ装着部34のロアケース14の外側(図4中、下方)への突出量が小さくされている。
【0022】
次に、図5〜図8に、絶縁板18を示す。絶縁板18は、非導電性の合成樹脂から形成された一体成形品とされている。絶縁板18は全体として略長方形の板形状とされている。図7および図8から明らかなように、絶縁板18は部分的に厚さ寸法(図8における上下方向寸法)が異ならされており、相対的に厚肉とされた厚肉部46と、厚肉部46よりも厚さ寸法の小さな薄肉部48が形成されている。そして、厚肉部46がロアケース14における第一底部40に対応して第一底部40と略等しい大きさの長方形形状とされている一方、薄肉部48が第二底部42に対応して第二底部42と略等しい大きさで、厚肉部46の2辺の外周部分に沿うL字形状とされている。なお、厚肉部46と薄肉部48は、アッパケース12側(図8中、上方)の端縁部が同一平面上に形成されている一方、ロアケース14側(図8中、下方)に向けて、厚肉部46が薄肉部48よりも突出されている。
【0023】
厚肉部46は板厚方向(図7における左右方向)に貫通するハニカム構造をもって形成されており、正六角形形状をもって厚肉部46を板厚方向に貫通する多数の貫通孔50が整列して形成されている。これにより、本実施形態においては、厚肉部46の略全体にハニカム構造部52が形成されている。一方、薄肉部48は、中実の板形状を有しており、ハニカム形状の補強リブ54が略全体に形成されている。
【0024】
図5に示したように、絶縁板18においてアッパケース12側となる上面56には、複数の上方支持突起57が適宜の位置に突出して形成されている。そして、上方支持突起57の突出先端縁部と、絶縁板18の外周縁部に突出形成された上方周縁リブ58の突出先端縁部が、互いに等しい高さ位置に設定されている。一方、図6に示したように、厚肉部46においてロアケース14側となる下面59の外周部分には複数の下方支持突起60が突出して形成されている。そして、下方支持突起60の突出先端縁部と、厚肉部46の外周縁部に突出形成された下方周縁リブ61の突出先端縁部が、互いに等しい高さ位置に設定されている。また、図6に示したように、絶縁板18には、厚肉部46の対角線上の2隅部において、ネジ孔62,62が形成されている。更に、厚肉部46には、板厚方向(図7における左右方向)に貫通する矩形の部品収容孔63が複数形成されている。
【0025】
また、図1に示したように、第一および第二のプリント基板16,18は何れも従来公知のプリント基板と同様の構造とされている。第一および第二のプリント基板16,18には、それぞれ、音叉形状をもって図示しない電気部品としてのヒューズやリレーなどと接続される接続端子64aや、樹脂製の台座65に組み付けられて図示しない電気部品としてのコネクタなどと接続される接続端子64bが適宜の位置に半田付けされて突設されている。以下、これら接続端子64a,64bを特に区別することなく説明する。また、第一のプリント基板16は、絶縁板18の厚肉部46と略等しい大きさとされている。一方、第二のプリント基板20は、絶縁板18の略全体に亘る大きさとされている。これら第一のプリント基板16と第二のプリント基板20は、複数の基板間端子66の両端部が両プリント基板16,20にそれぞれ半田付けされることによって、複数の基板間端子66で相互に接続されている。
【0026】
そして、図9に示すように、第一のプリント基板16と第二のプリント基板20が絶縁板18を挟んで、第一のプリント基板16が絶縁板18の下面59に重ね合わされると共に、第二のプリント基板20が絶縁板18の上面56に重ね合わされる。なお、第一のプリント基板16は、厚肉部46の下面59に形成された下方支持突起60と下方周縁リブ61で支持されて、厚肉部46の下面59に対して隙間を隔てて重ね合わされている。同様に、第二のプリント基板20は、絶縁板18の上面56に形成された上方支持突起57と上方周縁リブ58で支持されて、絶縁板18の上面56の略全体に対して隙間を隔てて重ね合わされている。なお、第一のプリント基板16において絶縁板18のネジ孔62と重なる位置にはネジ挿通孔67(図1参照)が貫設されており、このネジ挿通孔67を通じて図示しないネジが絶縁板18のネジ孔62に螺着されることによって、第一のプリント基板16が絶縁板18にネジ固定されるようになっている。このようにして、絶縁板18の厚肉部46に形成されたハニカム構造部52が、第一のプリント基板16と第二のプリント基板20の間に位置されている。また、第二のプリント基板20には、絶縁板18と対向する下面にリレー69等の電気部品が装着されており、これら電気部品が絶縁板18の部品収容孔63内に収容されるようになっている。
【0027】
さらに、第二のプリント基板20に第一バスバー絶縁板22、第一バスバー24、第二バスバー絶縁板26、第二バスバー28が順に重ね合わされて、ロアケース14とアッパケース12の間に収容されている。なお、アッパケース12にはロアケース14側に向けて突出する挿通ロッド68が形成されており、該挿通ロッド68が第一および第二バスバー絶縁板22,26、第一および第二プリント基板16、20、絶縁板18のそれぞれに貫設されたロッド挿通孔70a〜70e(図1参照)に挿通されてロアケース14のネジ止め部72に突き当てられると共に、ネジ止め部72にロアケース14の外側から挿通された図示しないネジによってロアケース14にネジ止めされる。これにより、絶縁板18や第一および第二のプリント基板16,20がアッパケース12とロアケース14内で位置決めされる。
【0028】
アッパケース12およびロアケース14への収容状態で、絶縁板18の厚肉部46がロアケース14の第一底部40に重なって位置されると共に、薄肉部48が第二底部42に重なって位置されている。そして、第一のプリント基板16においてロアケース14側に突設された接続端子64が、ロアケース14を貫通してロアケース14のコネクタ装着部34内で、ロアケース14外に突出して配設される。一方、第二のプリント基板20においてアッパケース12側に突設された接続端子64が、アッパケース12を貫通してアッパケース12のヒューズ装着部30、リレー装着部32、コネクタ装着部34やレバーコネクタ装着部36のそれぞれの内部でアッパケース12外に突出して配設される。更に、第二のプリント基板20には、ロアケース14側にも接続端子64が突設されており、ロアケース14側に突設された接続端子64が、絶縁板18の薄肉部48に貫設された端子挿通孔74およびロアケース14を貫通して、ロアケース14の第二底部42に形成されたコネクタ装着部34内でロアケース14外に突出して配設されている。
【0029】
本実施形態に従う構造とされた電気接続箱10によれば、アッパケース12のヒューズ装着部30やリレー装着部32、コネクタ装着部34、レバーコネクタ装着部36に図示しない電気部品としてのヒューズやリレー、コネクタ等が装着される場合には、第二のプリント基板20に突設された接続端子64に押込方向(図9における上方から下方)の荷重が及ぼされる。そして、第二のプリント基板20が絶縁板18で支持されることにより、接続端子64が支持される。同様に、ロアケース14のコネクタ装着部34に図示しないコネクタが装着される場合には、第一のプリント基板16に突設された接続端子64に押込方向(図9における下方から上方)の荷重が及ぼされる。そして、第一のプリント基板16が絶縁板18で支持されることにより、接続端子64が支持される。
【0030】
そして、本実施形態においては、絶縁板18の厚肉部46において、ハニカム構造部52が形成されている。これにより、厚肉部46の強度が確保されており、第一および第二のプリント基板16、20に突設された接続端子64を強固に支持して、プリント基板16,20の変形や、接続端子64の半田付け部におけるクラックの発生を軽減することが出来る。その結果、レバーコネクタ装着部36内に配設された接続端子64のように、大型のレバーコネクタが接続されて大きな荷重が及ぼされる接続端子64でも、少ない樹脂量で支持力を確保することが出来る。更に、ハニカム構造部52において絶縁板18が貫通形状とされていることから、電気接続箱10内の空気の対流が促進されて、プリント基板16,20の熱を効率良く放散することが出来る。これにより、ハニカム構造部52を貫通形状として樹脂量を削減しつつ厚肉部46の強度を確保出来ると共に、放熱性を向上することが出来る。特に本実施形態においては、第一および第二のプリント基板16,20が、下方支持突起60や上方支持突起57等によって絶縁板18の下面59および上面56に対して隙間を隔てて重ね合わされていることにより、より優れた放熱効果を得ることが出来る。また、絶縁板18がハニカム構造部52において貫通形状とされていることから、貫通孔50を通じて第一のプリント基板16や第二のプリント基板20を視認することも可能であり、絶縁板18と第一および第二のプリント基板16,20との位置合わせの作業性の向上も図られる。
【0031】
特に本実施形態においては、第一のプリント基板16と第二のプリント基板20との間に絶縁板18を介在させることによって、両プリント基板16、20の何れの接続端子64も1枚の絶縁板18で支持することが出来る。そして、両プリント基板16,20の間に貫通形状のハニカム構造部52が位置されることから、両プリント基板16,20の熱を効率良く放散させることが出来る。更に、ハニカム構造部52によって、両プリント基板16,20間の絶縁板18の強度と放熱性が高められていることから、絶縁板18の熱変形を抑えることが出来る。その結果、絶縁板18の熱変形に起因する両プリント基板16,20の相対的な位置ずれによって、基板間端子66の半田付け部にクラックが生じるおそれも低減することが出来る。
【0032】
また、絶縁板18には、薄肉部48が形成されている。これにより、第二のプリント基板20からロアケース14側に突出される接続端子64の長さ寸法を大きくすること無しにロアケース14側に突出させることが出来る。それと共に、ロアケース14の第二底部42に形成されて、第二のプリント基板20の接続端子64が配設されるコネクタ装着部34のロアケース14外方への突出量を抑えることが出来て、電気接続箱10のコンパクト化を図ることが出来る。更に、薄肉部48は中実形状とされると共に、ハニカム形状の補強リブ54が形成されていることによって強度が確保されている。また、厚肉部46に部品収容孔63を形成して、第二のプリント基板20に設けられたリレー69等の大型部品を収容することにより、厚肉部46の厚さ寸法を巧く利用してリレー69等の大型の電気部品をスペース効率良く電気接続箱10内に配設することが出来る。
【0033】
なお、図10(a)に、本発明に従う構造とされた絶縁板80が示され、図10(b)に、従来構造に従う比較例としての絶縁板82が示されている。絶縁板80および絶縁板82は、全体形状として前記実施形態における絶縁板18と略同様の形状とされており、絶縁板80は、本発明に従う貫通形状のハニカム構造部を有している一方、従来構造に従う絶縁板82は、ハニカム構造部を有することなく、且つ非貫通形状で、格子形状とその対角線上に延びる形状が組み合わされた補強リブが形成された構造とされている。そして、各絶縁板80,82のそれぞれについて、図中に矢印で示した3箇所にコネクタ装着に伴う荷重が及ぼされた場合の撓み量を数値解析した。その結果、本発明に従う構造とされた絶縁板80の最大撓み量は、従来構造に従う絶縁板82の最大撓み量の35%となった。このことから、本発明によれば、絶縁板を貫通形状として樹脂量の削減と軽量化を実現しつつ、従来構造に比してより高い強度が確保出来ることが明らかとなった。
【0034】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、絶縁板に支持される接続端子としては、プリント基板に設けられた接続端子のみならず、バスバーに設けられた接続端子等でも良い。従って、絶縁板は、プリント基板を支持するものに限定されず、バスバーを支持するもの等でも良い。更に、絶縁板は、接続端子に及ぼされる引抜方向の入力荷重に対して支持するものでも良い。
【0035】
また、前記実施形態における電気接続箱10は、第一プリント基板16と第二のプリント基板20の2枚のプリント基板が収容されていたが、プリント基板を1枚のみ収容するもの、或いは3枚以上収容するものでも良いし、更には絶縁板でバスバーの接続端子を支持する場合には、プリント基板を収容することなく、バスバーのみを収容した電気接続箱等であっても良い。
【符号の説明】
【0036】
10:電気接続箱、12:アッパケース、14:ロアケース、16:第一のプリント基板、18:絶縁板、20:第二のプリント基板、46:厚肉部、48:薄肉部、50:貫通孔、52:ハニカム構造部、54:補強リブ、64:接続端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気部品との接続端子がケース外に突出されていると共に、
前記接続端子への入力荷重を支持する樹脂製の絶縁板が前記ケース内に収容されている電気接続箱において、
前記絶縁板には、板厚方向に貫通するハニカム構造部が形成されている
ことを特徴とする電気接続箱。
【請求項2】
前記絶縁板には厚肉部と薄肉部が形成されており、前記厚肉部に前記ハニカム構造部が形成されている
請求項1に記載の電気接続箱。
【請求項3】
前記接続端子がプリント基板に突設されており、該プリント基板が前記絶縁板に重ね合わされている
請求項1又は2に記載の電気接続箱。
【請求項4】
2枚の前記プリント基板が前記絶縁板の両側から重ね合わされており、前記ハニカム構造部がそれら2枚のプリント基板の間に位置されている
請求項3に記載の電気接続箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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