説明

電気機器を動作させるための方法および電気機器制御パネル装置

【課題】制御パネルが見た目にも好ましい印象を与えることができるようにし、適当に現れたり、消えたりすることができ、偶発的な作動を低減することができる装置および方法が必要とされている。
【解決手段】電気機器制御パネルは、電気機器の表面内にある1組の電極のほぼ近くにおける使用者によるオンのしぐさを検出し、電極は、使用者との容量結合を検知する。電気機器は、使用者によるオンのしぐさを検出することに応答して、オンに切り替えられる。1組の電極のうちの特定の1つの電極の概ね近くにおける使用者による容量結合が検出されて、制御動作が実行される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的には制御パネルに関し、より詳細には、民生の電気機器のためのタッチセンス式制御パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
民生の電気機器は、多くの場合に、数多くの制御機構を含む。たとえば、ストーブは、典型的には、発熱体毎に少なくとも1つの制御機構を有する。従来技術では、比較的大きな機械式の文字盤および大きな押しボタンが最も一般的な制御機構である。これらの制御機構は、多くの使用者にとって、掃除するのが難しく、美しさという点で魅力に欠ける。マイクロプロセッサ制御式の電気機器が現れると、電気機械式の制御機構の代わりに、電子操作式の制御機構が用いられるようになった。薄膜スイッチおよび容量性タッチスイッチによって、製造業者は、掃除するのが簡単で、さらに魅力的なデザインを有するフラット制御パネルを製造できるようになる。
【0003】
残念なことに、電気機器が精巧になってきたことにより、制御機構の数が増えてきた。多くの電気機器は、数多くの制御機構を有する。多くの使用者は、これらの密集した制御パネルを魅力がないものと感じる。これが、制御パネルを「隠して」、電気機器が平坦な外観を有することができるようにしたいという要望に繋がっている。たとえば、食器洗浄機の中には、制御機構をドアの上側に有するものもある。
【0004】
米国特許第5,239,152号は、容量性タッチセンス式制御パネルを記述しており、そのパネルは、バックライトが起動しているときにのみ現れる。そのバックライトは、導電性センサパッドによって個別に、かつ選択的に作動させることができる光源を含む。特定の光源が作動しないとき、上を覆う図形が隠される。光源が作動するとき、上を覆う図形を見ることができる。したがって、「スリープ」モードでは、全てのバックライト光源が作動せず、「使用」モードでは、バックライト光源のうちの1つまたは複数が作動する。そのパネルが抱える問題は、制御機構のうちのいずれかを起動できるようにするために、電気機器が「動作」していなければならないことである。また、パッドのうちの1つに偶然に触ることによっても、起動してしまうことがある。
【0005】
電気機器において用いられる容量性タッチ制御機構は、一般的には、プラスチック、ガラスまたはセラミックのパネルの背後に配置される。典型的には、スイッチが作動したことを指示するために、可聴音が返される。タッチに成功したことを触感によって返さないので、この可聴音による合図は、非常に重要である。多くの電気機器では、制御パネルを掃除しているときに、または制御パネルにもたれかかるだけでも、容量性タッチスイッチが思いがけなくたやすく作動してしまう。タッチセンサへの容量結合は、指のサイズ、およびセンサへの距離の両方の結果である。手袋をはめた小さな指が制御機構を作動させるが、実際には触っていない、直ぐ近くにある大きな親指が作動させないようにしきい値を設定することは難しい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
制御パネルが見た目にも好ましい印象を与えることができるようにし、適当に現れたり、消えたりすることができ、偶発的な作動を低減することができる装置および方法が必要とされていることは明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施の形態は、プログラムに基づく対話または使用者との対話を介して、必要に応じて現れたり、消えたりすることができる制御パネルを提供する。そのパネルは、容量検知を用いることによって、タッチの面積を求めるとともに、使用者による制御のしぐさを探る。好ましい実施の形態では、制御パネルへの物理的な圧力の変化によってタッチ事象が判定され、容量結合情報を用いて、この事象が関連付けられる制御機構が(もし存在するのならば)判定される。そのシステムは、作動事象を可聴音および触覚の両方で知らせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
制御パネル
図1Aおよび図1Bは、本発明の1つの実施の形態による、電気機器10のための制御パネル100を示す。本明細書において用いられるときに、電気機器10としては、ストーブ、電子レンジ、食器洗浄機、洗濯機、ドライヤ、空調装置、炊飯器、コーヒーメーカ、娯楽装置、セキュリティシステム、環境制御装置、または使用者と対話形式で動作する必要がある任意の他の類似のタイプのデバイスを用いることができる。
【0009】
その制御パネルは、ベゼル101および光源103を備える。光導波路102が、ベゼルと光源103との間に配置される。光源は、個別に制御可能な光学素子を含むことができる。また、パネルは、LEDディスプレイのような、表示素子104も備える。
【0010】
ベゼル101は、触覚応答ユニット200と接触している。また、ベゼルは、圧縮可能な分離体106によっても支持される。
【0011】
プリント回路基板107が、1組の電極108を備える。それらの電極は、たとえば、使用者を介して、グランドとの容量結合を検知することができる。1組の電極は、表示素子と位置合わせされる。1つの電極の近くにおいてタッチ事象が生じるときに、電極108のサブセットを特定の制御動作に関連付けることができる。たとえば、1つの制御動作として、発熱体の温度を調節することができる。別の制御動作として、タイマを設定することができる。多数の電極が特定の順序で容量結合することを利用して、電気機器をオンおよびオフに切り替えることができる。電気機器がオフであるとき、いずれの制御動作も実行することはできない。電気機器がオンであるときにだけ、制御動作を実行することができる。
【0012】
電気機器がオフであるとき、電極の静電容量が相対的に小さく変化するのを利用して、タッチ事象よりも著しく離れた場所において、使用者との対話を検出することができる。したがって、電気機器がオフであるとき、ベゼルの近くで手を振るようなしぐさを用いて、電気機器をオンに切り替えることができる。その手は、電極に極めて近接している必要はなく、または実際に電極に触れる必要はない。たとえば、そのしぐさは、ベゼルの2〜3センチメートル上方で行うことができる。さらに、その手は、素手である必要はなく、手袋またはオーブン用の手袋に入れることもできる。電気機器がオンであるときに、電極の静電容量が相対的に大きく変化することによって、タッチ事象中に特定の電極に極めて近接していることを指示することができる。
【0013】
制御パネルの電子部品は、マイクロコントローラ110に接続される。マイクロコントローラは、制御パネルを動作させるための方法の過程400を実行する。
【0014】
ベゼルは、概ね平坦である。ベゼル101は、ある程度の光が通過できるようにするプラスチック、ガラスまたはセラミックのような材料から形成することができ、電極108とともに誘電体としての役割を果たすこともできる。バックライトを用いることなく視認されるとき、制御パネルは、見ることができないので、整然とした表面の印象を与える。
【0015】
ベゼルは、いくつかの目的を果たす。手を振るようなしぐさを用いて所定の態様でベゼルに触れるとき、選択された電子部品が起動される。たとえば、光源103、表示素子104および触覚応答ユニット200がオンに切り替えられる。容量検知電極108は、常時オンにしておくことができる。
【0016】
光導波路102は、電極108による容量検知を可能にするように構成される。光導波路のための条件を満たす材料の例としては、プラスチック光導波路および光ファイバ繊維がある。
【0017】
光源103が起動されるときに、ベゼルの背面、またはベゼル上に画像として投影される光導波路の表面のいずれかに種々の図を張り付けることができる。それらの画像は、使用者が電気機器を操作するのを誘導するために用いられる。
【0018】
触覚応答ユニット200は、圧力を検知し、触覚による応答を返す。圧縮可能な分離体106は、ベゼルが限られた距離だけ動く(111)ことができるようにする。電極108のサイズおよび位置によっては、さらに別の電極を追加して、使用者の特定のしぐさを認識することができる。プリント回路基板107は、マイクロコントローラ110を含む、支援回路の一部または全てを含むことができる。
【0019】
触覚応答ユニット
図2は、触覚応答ユニット200の構成要素をさらに詳細に示したものである。ベゼル101は、力センサ201上に配置される。適切な力センサは、弾性力センサを含み、そのセンサは、加えられる力に応じて抵抗を変更する。アクチュエータ202が、ベゼルに衝撃力を加えるための機構を提供する。適切なアクチュエータは、ソレノイドおよび圧電変換器を含む。
【0020】
図3は、触覚応答ユニット200の代替の1つの実施の形態を示す。この実施の形態では、ベゼル101は、起動用の機械式スイッチ301の上に配置される。個々の制御機構の起動は、スイッチ301を起動するだけの十分な力を与えながら、電極108への近接性を組み合わせることによって決定される。
【0021】
制御機構を起動しないときには、ボタンのクリック感を防ぐことが望ましい。これは、アクチュエータの機械式ロック機構203で果たすことができる。
【0022】
アクチュエータソレノイド202は、静電容量を測定することによって、指が特定の制御機構の近くにあることが指示されるときにのみ、電圧を供給される。これは、別個のボタンがあるという錯覚を与える。
【0023】
方法の動作
図4は、過程400の動作を示す。最初に、電気機器は、オフである。本明細書では、その電気機器がオフであるときには、使用者がその電気機器を概ね操作することができないことを示すために、用語「オフ」が用いられる。許される唯一の操作は、その電気機器をオンに切り替えることである。ほとんどの最新の電子制御式電気機器では、オンコマンドを検出できるようにするために、電子回路がスタンバイ状態にあることは理解されたい。たとえば、テレビおよびラジオは、オフの間にリモートコントローラからのオンコマンドだけに応答する。
【0024】
オフの間に、その電気機器は、電極108の利得を相対的に高くして、オンのしぐさを検出するのを待つ(410)。1つの考えられるオンのしぐさは、電極108の近くで、たとえば、左から右に、そして再び左に手を振ることである。しぐさを用いることによって、たとえば、ベゼルに手を載せることによって偶発的に制御機構を起動してしまうのを避けることができる。電極108のうちのいくつかまたは全てが起動される順序およびタイミングを検知することによって、オンのしぐさを検出することができる。
【0025】
オンのしぐさに応答して、光源103および表示素子104を起動して(420)、使用者から見えるようにすることができる。この時点で、その電気機器は、オンになり、電極の利得を相対的に低い値に設定することができる。ここで、その過程は、制御動作440を検出し、実行するのを待つ。
【0026】
所定の時間内に制御動作が検出されない場合には、その過程は、タイムアウトする(435)ことができ、状態410において、その電気機器をオフに切り替えることができる。また、特定の動作が完了したとき、たとえば、洗濯機が全てのサイクルを完了したときにも、その電気機器をオフに切り替えることができる。別法では、オフのしぐさ、たとえば、オンのしぐさとは反対の方向に手を振るようなしぐさによって、その電気機器をオフに切り替えることができる。
【0027】
制御動作が、2つの事象を要求することもある。ベゼル101を押すことによって、容量結合を検知するとともに、触覚応答ユニット200に力が加えられる。その圧力に応答して、触覚応答ユニットは、触覚への刺激を生成して、ベゼルによる「クリック」感を生成し、この事象をコントローラ110に渡す。図3に示される代替の実施の形態の場合、事象の順序が変更される。1つの電極だけに十分な容量結合があるときだけ、ロック203が解除され(430)、使用者がボタンを押そうとしていることが指示される。その後、ベゼルを押すことによって、スイッチ301を起動し、対応する制御動作440を実行することができる。使用者が、制御機構として意図されていないベゼル上の場所を押す場合には、対応する電極が存在しないので、ロックは解除されない。したがって、クリックが感じられず、動作は行われない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1A】本発明の1つの実施の形態の電気機器制御パネルの側面図である。
【図1B】図1Aの電気機器制御パネルおよびコントローラの平面図である。
【図2】図1Aの制御パネルの触覚応答ユニットの側面図である。
【図3】図2の触覚応答ユニットの代替の一実施形態の側面図である。
【図4】図1Aの電気機器制御パネルを動作させるための方法の流れ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器を動作させるための方法であって、
前記電気機器の表面内にあり、使用者との容量結合を検知する1組の電極のほぼ近くにおける、前記使用者によるオンのしぐさを検出するステップと、
前記使用者による前記オンのしぐさを検出することに応答して、前記電気機器をオンに切り替えるステップと、
制御動作を実行するために、前記1組の電極のうちの特定の1つの電極の概ね近くにおける、前記使用者による前記容量結合を検出するステップと
を含む電気機器を動作させるための方法。
【請求項2】
前記1組の電極の近くにおける前記使用者によるオフのしぐさを検出するステップと、
前記使用者による前記オフのしぐさを検出することに応答して、前記電気機器をオフに切り替えるステップと
をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記電気機器をオンに切り替えるときに、該電気機器のベゼルの背後にある光源を起動するステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記1組の電極の利得は、前記電気機器がオフであるときに相対的に高く、該電気機器がオンであるときに相対的に低い請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記光源は、個別に制御可能な光学素子を含み、前記光学素子のそれぞれは、前記1組の電極のうちの特定の1つの電極によって制御可能である請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記電気機器がオンである間に、該電気機器の前記表面内にあるベゼルへの圧力を検知するステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記圧力を検知することに応答して、触覚への刺激を与えるステップをさらに含む請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記電気機器がオフである間に、ベゼルを所定の位置に固定することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記1組の電極のうちの前記特定の1つの電極の概ね近くにおける前記容量結合を検出することに応答して、触覚への刺激を与えることをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項10】
所定の時間内に前記制御動作が検出されていない場合には、前記電気機器をオフに切り替えるステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項11】
電気機器制御パネル装置であって、
電気機器の表面内にあり、使用者との容量結合を検出する1組の電極と、
前記1組の電極のほぼ近くにおける、前記使用者によるオンのしぐさを検出する手段と、
前記使用者による前記オンのしぐさを検出することに応答して、前記電気機器をオンに切り替える手段と、
制御動作を実行するために、前記1組の電極のうちの特定の1つの電極の概ね近くにおける、前記使用者による前記容量結合を検出する手段と
を備える電気機器制御パネル装置。
【請求項12】
前記1組の電極の近くにおける前記使用者によるオフのしぐさを検出する手段と、
前記使用者による前記オフのしぐさを検出することに応答して、前記電気機器をオフに切り替える手段と
をさらに備える請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記電気機器のベゼルの背後にある光源と、
前記電気機器をオンに切り替えるときに、前記光源を起動する手段と
をさらに備える請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記1組の電極の利得は、前記電気機器がオフであるときに相対的に高く、該電気機器がオンであるときに相対的に低い請求項11に記載の装置。
【請求項15】
前記光源は、個別に制御可能な光学素子を含み、前記光学素子のそれぞれは、前記1組の電極のうちの特定の1つの電極によって制御可能である請求項13に記載の装置。
【請求項16】
前記電気機器がオンである間に、該電気機器の前記表面内にあるベゼルへの圧力を検知する手段をさらに備える請求項11に記載の装置。
【請求項17】
前記圧力を検知することに応答して、触覚への刺激を与える手段をさらに備える請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記電気機器がオフである間に、ベゼルを所定の位置に固定する手段をさらに備える請求項11に記載の装置。
【請求項19】
前記1組の電極のうちの前記特定の1つの電極の概ね近くにおける前記容量結合を検出することに応答して、触覚への刺激を与える手段をさらに備える請求項11に記載の装置。
【請求項20】
所定の時間内に前記制御動作が検出されていない場合には、前記電気機器をオフに切り替える手段をさらに備える請求項11に記載の装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−243796(P2008−243796A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−324968(P2007−324968)
【出願日】平成19年12月17日(2007.12.17)
【出願人】(597067574)ミツビシ・エレクトリック・リサーチ・ラボラトリーズ・インコーポレイテッド (484)
【住所又は居所原語表記】201 BROADWAY, CAMBRIDGE, MASSACHUSETTS 02139, U.S.A.
【Fターム(参考)】