電気洗濯機
【課題】
乾燥機能付き電気洗濯機の乾燥工程において、外槽の異常溢水口から湿潤空気が外槽外に漏れ出るのを防止する。
【解決手段】
洗濯兼脱水槽2内で洗濯物を撹拌しながら該洗濯兼脱水槽2内の空気を乾燥空気循環系内に循環させ、この乾燥空気循環系内を構成する水冷除湿風路40における上昇風路40a内を通過するときに該上昇風路40a内に設置した水冷除湿板41および該水冷除湿板41の表面を流れ落ちる冷却水によって冷却除湿する電気洗濯機において、洗濯兼脱水槽2を内包する外槽6に設けた異常溢水口6cに連なる異常溢水排水路70の途中にエアトラップ70aを設けることによって該異常溢水排水路70を通して湿潤空気が漏れ出るのを防止する。
乾燥機能付き電気洗濯機の乾燥工程において、外槽の異常溢水口から湿潤空気が外槽外に漏れ出るのを防止する。
【解決手段】
洗濯兼脱水槽2内で洗濯物を撹拌しながら該洗濯兼脱水槽2内の空気を乾燥空気循環系内に循環させ、この乾燥空気循環系内を構成する水冷除湿風路40における上昇風路40a内を通過するときに該上昇風路40a内に設置した水冷除湿板41および該水冷除湿板41の表面を流れ落ちる冷却水によって冷却除湿する電気洗濯機において、洗濯兼脱水槽2を内包する外槽6に設けた異常溢水口6cに連なる異常溢水排水路70の途中にエアトラップ70aを設けることによって該異常溢水排水路70を通して湿潤空気が漏れ出るのを防止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な撹拌式の電気洗濯機は、外枠と、この外枠内に防振機構を介して吊り下げるように設けた洗濯水を溜める外槽と、この外槽内に回転可能に設けた縦型の洗濯兼脱水槽である内槽と、前記内槽内の底部に位置させて回転可能に設けた回転翼と、前記内槽および/または回転翼を選択的に回転駆動する駆動機構と、仕上げ剤投入機能付の洗剤投入器と、前記外槽または内槽内に洗濯水を給水し、洗剤投入器に洗剤流し込み水を給水する給水機構と、前記外槽内の洗濯水を排水する排水機構と、前記外槽内の洗濯水の水位を検出する洗濯水位検出手段と、前記外槽の底部に溜った洗濯水を内槽の上方から該内槽内に降り掛けるように循環させる洗濯水循環機構と、前記駆動機構と給水機構と排水機構と洗濯水循環機構を制御する制御装置を備える。
【0003】
そして、乾燥機能付きの電気洗濯機(洗濯乾燥機)は、前述したような電気洗濯機に対して、外槽の底部から該外槽内の湿潤した空気を吸い出して冷却除湿し、除湿した後に加熱して洗濯兼脱水槽に吹き込む乾燥空気循環系を付設した構成である。
【0004】
【特許文献1】特開2002−360966号公報 洗濯乾燥機の乾燥制御
【特許文献2】特開2002−360990号公報 洗濯乾燥機の風路構造
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
乾燥機能付きの電気洗濯機は、洗濯物を洗濯・脱水する工程と、脱水した洗濯物を乾燥する工程を単独または組み合わせて実行することができる。
【0006】
乾燥工程は、外槽内で湿潤した乾燥用の空気が該外槽および乾燥空気循環系外に漏れないように行うことが望ましいが、外槽には、排水や溢水系が正常に機能しないときに外槽の上縁から溢水しないように該上縁よりも僅かに低い位置に開口して外槽内から該開口に流れ込んだ水を前記外枠内の下部に放出する異常溢水通路を備えており、この異常溢水通路から漏れ出ている。
【0007】
本発明の目的は、異常溢水通路から乾燥用の湿潤空気が漏れ出るのを防止することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、異常溢水通路から漏れ出た乾燥用の湿潤空気が外蓋に触れて結露することにより該外蓋に設けた透視窓を曇らせて透視機能を失わせるのを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、洗濯物を収容する洗濯槽と、前記洗濯槽を内包する外槽と、前記外槽の上縁から洗濯水が溢水するのを防止するために該上縁よりも僅かに低い位置に開口して外槽内から該開口に流れ込んだ洗濯水を外枠内の下部に放出する異常溢水通路と、前記外槽の洗濯物出し入れ口を開閉する内蓋と、前記洗濯槽を駆動して該洗濯槽内の洗濯物を撹拌する駆動機構と、前記洗濯槽内の空気を循環させる乾燥空気循環系と、前記乾燥空気循環系内に冷却水を供給して循環空気を水冷除湿する給水機構と、前記乾燥空気循環系内で水冷除湿された循環空気を加熱する加熱手段と、前記外槽内を排水する排水機構と、前記駆動機構と給水機構と排水機構と加熱手段を制御する制御装置と、これらを包囲する外枠と、前記外枠に設けた洗濯物出し入れ口を開閉する外蓋とを備えた電気洗濯機において、
前記異常溢水通路は、その途中にエアトラップを備えたことを特徴とする。
【0010】
そして、前記異常溢水通路の先端開口は、水に濡れると溶けて破れる紙蓋によって覆うことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、洗濯物を収容する洗濯槽と、前記洗濯槽を内包する外槽と、前記外槽の上縁から洗濯水が溢水するのを防止するために該上縁よりも僅かに低い位置に開口して外槽内から該開口に流れ込んだ洗濯水を外枠内の下部に放出する異常溢水通路と、前記外槽の洗濯物出し入れ口を開閉する内蓋と、前記洗濯槽を駆動して該洗濯槽内の洗濯物を撹拌する駆動機構と、前記洗濯槽内の空気を循環させる乾燥空気循環系と、前記乾燥空気循環系内に冷却水を供給して循環空気を水冷除湿する給水機構と、前記乾燥空気循環系内で水冷除湿された循環空気を加熱する加熱手段と、前記外槽内を排水する排水機構と、前記駆動機構と給水機構と排水機構と加熱手段を制御する制御装置と、これらを包囲する外枠と、前記外枠に設けた洗濯物出し入れ口を開閉する外蓋とを備えた電気洗濯機において、
前記制御装置は、前記外枠に設けた洗濯物出し入れ口を覆うように閉じた前記外蓋によって覆われるように位置させて前記外枠の上面に設けた表示パネルを備え、
前記外蓋は、前記洗濯物出し入れ口を覆うように閉じた状態で前記表示パネルを覆う部分を前記表示パネルを透視可能な部材で構成し、
前記異常溢水通路は、その途中にエアトラップを備えたことを特徴とする。
【0012】
そして、前記異常溢水通路の先端開口は、水に濡れると溶けて破れる紙蓋によって覆うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の電気洗濯機は、異常溢水通路にエアトラップを設けたことによって異常溢水通路から乾燥用の湿潤空気が漏れ出るのを防止することができ、延いては、漏れ出た乾燥用の湿潤空気が外蓋に触れて結露することにより該外蓋に設けた透視窓を曇らせて透視機能を失わせるのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、洗濯物を収容する洗濯槽と、前記洗濯槽を内包する外槽と、前記外槽の上縁から洗濯水が溢水するのを防止するために該上縁よりも僅かに低い位置に開口して外槽内から該開口に流れ込んだ洗濯水を外枠内の下部に放出する異常溢水通路と、前記外槽の洗濯物出し入れ口を開閉する内蓋と、前記洗濯槽を駆動して該洗濯槽内の洗濯物を撹拌する駆動機構と、前記洗濯槽内の空気を循環させる乾燥空気循環系と、前記乾燥空気循環系内に冷却水を供給して循環空気を水冷除湿する給水機構と、前記乾燥空気循環系内で水冷除湿された循環空気を加熱する加熱手段と、前記外槽内を排水する排水機構と、前記駆動機構と給水機構と排水機構と加熱手段を制御する制御装置と、これらを包囲する外枠と、前記外枠に設けた洗濯物出し入れ口を開閉する外蓋とを備えた電気洗濯機において、
前記制御装置は、前記外枠に設けた洗濯物出し入れ口を覆うように閉じた前記外蓋によって覆われるように位置させて前記外枠の上面に設けた表示パネルを備え、
前記外蓋は、前記洗濯物出し入れ口を覆うように閉じた状態で前記表示パネルを覆う部分を前記表示パネルを透視可能な部材で構成し、
前記異常溢水通路は、その途中にエアトラップを備え、この異常溢水通路の先端開口は、水に濡れると溶けて破れる紙蓋によって覆うように構成する。
【実施例1】
【0015】
この実施例における電気洗濯機は、基本的には、次のようにして洗濯および乾燥を実行する構成である。
【0016】
洗濯水を溜める外槽内に内槽である洗濯兼脱水槽を回転可能に設置し、この洗濯兼脱水槽の底部に位置させて脈動翼盤を回転可能に設置する。この洗濯兼脱水槽と脈動翼盤は、収容した洗濯物または衣類を撹拌する洗濯槽を構成する。
【0017】
前記外槽には、上縁から洗濯水が溢水するのを防止するために該上縁よりも僅かに低い位置に開口して外槽内から該開口に流れ込んだ洗濯水を外枠内の下部に放出する異常溢水通路を設ける。
【0018】
前記脈動翼盤には、回転することによって脈動翼盤上に投入されている洗濯物に上向きの分力を繰り返し作用させるなだらかな傾斜面を提供する複数の隆起部と、前記隆起部の頂上部分を除く領域に分散させて設けた多数の貫通穴を設ける。前記洗濯兼脱水槽と脈動翼盤は、駆動機構によって選択的に回転駆動するように構成する。
【0019】
前記洗濯兼脱水槽内には、前記脈動翼盤と対向する高さに位置させて内周壁面から内側に突出する膨出部の上面によって形成されて該内周壁面に沿って周方向に順次に高くなるように傾斜して伸びる山形の複数の傾斜面と、周方向における前記傾斜面の頂上部分から前記内周壁面の内側に膨出する形態で該内周壁面に沿って縦方向に伸びる突条を設ける。
【0020】
更に、洗剤投入器および該洗剤投入器内の粉末洗剤を外槽の底部に導入する洗剤給水機構と、前記外槽内に洗濯水を給水する給水機構と該外槽内の洗濯水を排水する排水機構と、前記外槽の底部の洗濯水を前記洗濯兼脱水槽の上方から該洗濯兼脱水槽内に降り掛けるように循環させる洗濯水循環機構と、前記外槽内の空気を吸い出して水冷除湿した後に加熱して前記洗濯兼脱水槽内に吹き込むように循環させて洗濯物を乾燥させる空気循環除湿機構と、前記駆動機構と給水機構と排水機構と洗濯水循環機構と空気循環除湿機構を制御する制御装置であるコントローラを設ける。
【0021】
そして、前記コントローラは、次のように洗濯・脱水工程および乾燥工程を実行する制御を行う。
【0022】
洗い工程では、その後の洗い工程において前記脈動翼盤の上面を越えない水位または僅かに越える水位を維持して前記外槽の底部に溜まるように給水して粉末洗剤を溶かすことによって該外槽の底部に高洗剤濃度の洗い水を生成し、この洗い水を洗濯物に降り掛けるように循環させながら脈動翼盤を正逆回転させて洗濯物に上向きの力を繰り返し作用させることによって押し洗いする。ここで、洗濯物の布量が通常の範囲内であるときの洗い水は脈動翼盤の上面を越えない水位とし、洗濯物の布量が通常の範囲を下回るときの洗い水はまたは僅かに越える水位とする。
【0023】
濯ぎ工程では、洗い工程と同様に、脈動翼盤の上面を越えない水位または僅かに越える水位を維持して前記外槽の底部に溜まるように給水した濯ぎ水を洗濯物に降り掛けるように循環させながら脈動翼盤を正逆回転させて洗濯物に上向きの力を繰り返し作用させることによって該洗濯物に含まれる洗い水(洗剤成分)を押し出す濯ぎを行う。
【0024】
乾燥工程では、脈動翼盤を正逆回転させながら前記外槽内の空気を吸い出して水冷除湿した後に加熱して前記洗濯兼脱水槽内に吹き込むように循環させて洗濯物を乾燥させる。
【0025】
図1は、このような洗濯・脱水および乾燥を実行する電気洗濯機を縦断した状態で側面を示す模式図であり、1は、外枠の1部を構成する四角筒状の側枠である。2は、内槽を構成する洗濯兼脱水槽であり、その外周壁に通水および通風のための複数の小さな貫通穴2aを有し、その底壁に通水および通風のための複数の貫通穴2bを有し、その上縁部に流体バランサー3を備え、底部の内側には回転自在に脈動翼盤4を回転可能に設置する。
【0026】
前記脈動翼盤4は、図2〜図5に示すように、その上面に、洗濯兼脱水槽2の底部に位置して回転することによって該洗濯兼脱水槽2内に投入されて脈動翼盤4上に乗っている洗濯物に上向きの分力を繰り返し作用させる押し洗い力を発生するように回転方向になだらかに傾斜した複数の傾斜面を形成する隆起部4aと、多数の水抜き貫通穴4bを備える。隆起部4aは、回転方向に山形に傾斜し、且つ外周部位が順次に高くなるように径方向に傾斜し、更に、外周端面4cは上部を中心側に倒すように傾斜させた傾斜面とする。この実施例における脈動翼盤4は、約520mmの内径寸法の洗濯兼脱水槽2に対して、外径寸法を約470mmの大きさに構成した。このような大きさの脈動翼盤4は、隆起部4aの最高部の高は65〜70mmとすることが望ましく、この隆起部4aを形成する回転方向のなだらかな傾斜面の最大傾斜角度θ1は水平面に対して20〜30度とすることが望ましく、径方向の傾斜角度θ2は、水平面に対して10〜20度とすることが望ましく、前記外周端面4cの傾斜角度θ3は、垂直面に対して7〜15度とすることが望ましい。また、洗濯水を通過させる貫通穴4bは、隆起部4aにおける頂上部分の領域を除く領域に分散させて設ける。
【0027】
脈動翼盤4が回転すると、この脈動翼盤4上の洗濯物は、脈動翼盤4上を滑りながら該脈動翼盤4の回転方向に回転すると共に隆起部4aに押されて上下方向に振動する。この滑りによって洗濯物と脈動翼盤4の間に水膜が形成される。水膜の厚さは、洗濯物から脈動翼盤4に作用する回転負荷トルクに影響し、水膜の薄いほど回転負荷トルクが増加する。水膜の厚さは、貫通穴4bの数が多いほど薄くなる。一方、洗濯物を上方向に押し上げる力は、隆起部4aの頂上部領域で最大となることから、この部分り水膜の厚さの大小が脈動翼盤4に作用する回転負荷トルクに大きく影響する。すなわち、この実施例のように、隆起部4aの頂上部領域に貫通穴4aがない形態では該頂上部領域に厚い水膜が形成されることから、洗濯物から脈動翼盤4に作用する回転負荷トルクが軽減する。また、脈動翼盤4と洗濯物の直接の摺動が起きにくいことから洗濯物の傷みの発生も軽減する。
【0028】
このような形態の脈動翼盤4は、詳しくは後述するが、回転することによって脈動翼盤4上の洗濯物に対して上向きの適度の分力を繰り返し作用させ、また、隆起部4aと洗濯兼脱水槽2の内周面の間およびリフター(後述する)との間に洗濯物が噛み込んで脈動翼盤4が回転不能(ロック)になってしまうのを防止するのに好適である。
【0029】
前記洗濯兼脱水槽2は、その内周壁面の底部に該内周壁面の近くに寄ってきた洗濯物に上向きの力を作用させて該洗濯物の偏りと布絡みを防止するためのリフター5を備える。このリフター5は、図6および図7に詳しく示すように、前記脈動翼盤4と対向する高さに位置して内周壁面から内側に円弧状に突出する膨出部5aの上面によって形成されて該内周壁面に沿って周方向に順次に高くなるように傾斜して伸びる山形の傾斜面5bと、周方向における前記傾斜面5bの頂上部分から前記内周壁面の内側に膨出する形態で該内周壁面に沿って縦方向(上向き)に伸びる突条5cを備える。前記傾斜面5bは、前記脈動翼盤4における隆起部4aを形成する回転方向になだらかな傾斜面の高さおよび傾斜角度と同様な高さおよび傾きとする。また、前記突条5cの膨出高さ(厚み)は、リフター5の膨出部5aと略同一の高さとし、10〜15mmであることが望ましい。この突条5cの膨出高さが過大になると、洗濯工程において脈動翼盤4の回転に伴う洗濯物の周方向の動きを抑制する作用が過大になって洗浄に悪影響を及ぼすようになる。このリフター5は、樹脂成型によって一体的に構成して取り付ける。
【0030】
また、前記脈動翼盤4の隆起部4aの頂上部の外端縁と前記リフター5の傾斜面5bの頂上部分が対向したときの両者の対向縁の間には、約25mm以上の間隙g1を確保することができる構成であることが望ましい。更に、脈動翼盤4の隆起部4aの頂上部の外端縁と洗濯兼脱水槽2の内面の間隙g2は、30mm以上を確保することができるように構成することが望ましい。
【0031】
これらの値は、洗濯物に対する洗濯や乾燥の効率を高めると共に洗濯物の噛み込み(後述する)を防止するのに好適である。すなわち、脈動翼盤4の隆起部4aの頂上部が外側に位置する方が洗濯物の動きを大きくすることができて洗濯や乾燥に有利であるが、脈動翼盤4とリフター5および洗濯兼脱水槽2との隙間が小さくなって洗濯物が噛み込み易くなる。
【0032】
図8は、洗濯兼脱水槽2内における脈動翼盤4とリフター5の対向関係を洗濯兼脱水槽2を透視して示す斜視図である。この実施例では、脈動翼盤4に180度の間隔で2つの隆起部を設け、洗濯兼脱水槽2の外周壁内面にも180度の間隔で2つのリフター5を設置しているが、この図8では、一方のリフターの図示を省略している。
【0033】
このように構成したリフター5は、洗濯工程においては、洗い水または濯ぎ水が降り掛けられて湿潤した洗濯物が脈動翼盤4上に直に乗った状態で該脈動翼盤4と共に回転しながら遠心力によって洗濯兼脱水槽2の内周壁面に押し付けられるように移動すると、リフター5の傾斜面5bによって洗濯物に上向きの力が作用し、更に、突条5cによって回転が抑制されて脈動翼盤4の中心側方向に移動することから、洗濯物が洗濯兼脱水槽2の内周壁面近くに偏った状態となって脈動翼盤4の隆起部4aから該洗濯物に作用する上向きの分力が減少して洗浄効率が低下するような現象が軽減し、また、洗濯物の布絡みも軽減する。更には、脈動翼盤4の隆起部4aの外周端面4cの適度の傾斜角度θ3を設けたこと、前記脈動翼盤4の外周端面4cとリフター5の膨出部5aおよび洗濯兼脱水槽2の内周壁面の間の適度の間隔を確保したこと、また、洗濯物がリフター5の膨出部5aと脈動翼盤4の隆起部4aの外周端面4cの間の隙間に入ろうとすると膨出部5aの傾斜面5bが洗濯物を上向きに押し出すように作用することにより、洗濯物が隙間に噛み込んで脈動翼盤4が回転不能になるようなことや、噛み込みによって洗濯物が損傷するようなことも防止できる。また、リフター5の膨出部5aの内周壁面は円筒状の湾曲面になっており、脈動翼盤4の隆起部4aの外周端面4cとリフター5の膨出部5aの間の隙間が円周方向に一定であることから、この隙間に洗濯物が侵入しても、そのまま隙間を通過し、隙間に噛み込むようなことがない。
【0034】
また、乾燥工程においては、脈動翼盤4とリフター5は、最終脱水によって洗濯兼脱水槽2の内周壁面に偏った洗濯物を解きほぐし、リフター5の傾斜面5bによって洗濯物の上方向の動きを促進すると共に突条5cによって洗濯物の回転方向(円周方向)の動きを抑制して洗濯物の入れ替わりを促進し、循環空気と洗濯物の接触を良くして乾燥効率を高めるように作用する。
【0035】
6は、前記洗濯兼脱水槽2を内包する外槽であり、その底部の外側には鋼板製の取り付けベース7を介して洗濯脱水駆動装置8を取り付ける。この外槽6は、図示説明は省略するが、側枠1の上端部の四隅部に設けた隅板に係止して垂下させた4本の支持棒に緩衝装置を介して該外槽6の四方位を係合させて均等に支持することにより該側枠1の中心部に懸垂する。
【0036】
前記洗濯脱水駆動装置8は、インバータ駆動電動機または可逆回転型のコンデンサ分相単相誘導電動機を使用した洗濯脱水駆動電動機と電磁操作クラッチ機構と遊星歯車減速機構を内蔵し、洗濯脱水駆動電動機と電磁操作クラッチ機構を制御することによって、洗濯兼脱水槽2を静止させるように係止または自由に回転できるように解放した状態で脈動翼盤4を繰り返し正逆回転させる洗濯駆動モードと、洗濯兼脱水槽2と脈動翼盤4を一体的に同一方向に回転させる脱水駆動モードを選択的に実行する駆動機能を有する。
【0037】
外側洗濯物出し入れ口9aを形成した上カバー9は、側枠1の上部開口を覆うように該上部開口端縁に嵌め込んで取り付けねじによって側枠1に固定するように取り付ける。この上カバー9は、必要に応じて、複数の部材を組み合わせて構成する。側枠1と上カバー9は、外枠を構成する。上カバー9に形成した前記外側洗濯物出し入れ口9aは、基部ヒンジ10によって上カバー9に取り付けた外蓋11によって開閉自在に覆う。
【0038】
上カバー9は、図9および図10に示すように、外蓋11が倒れて外側洗濯物出し入れ口9aを閉じた状態となったときに該外蓋11の上面と該外蓋11によって覆われない上カバー9の左右および後側の縁部の上面に段差が発生しないように、外蓋11の前後左右縁が当接する外側洗濯物出し入れ口9aの外周縁を凹ませて段差面9bとして形成し、この段差面9bの前側は、閉じた状態の外蓋11に覆われないように位置させて段差面9bと同幅で該段差面9bから下方に向けて前記側枠1の前面位置まで傾斜させた指示スイッチ実装面9cとして形成し、その内側に位置して閉じた状態の外蓋11の先端部分に覆われる部分を表示パネル実装面9dとして形成する。
【0039】
外蓋11は、前記基部ヒンジ10によって上カバー9に起伏自在に取り付ける後半部11aと該後半部11aの前縁に中間ヒンジ11b(図1参照)によって屈伸可能に結合した前半部11cによって構成し、前半部11cの先端部分で前記表示パネル実装面9dを覆う部分は該表示パネル実装面9dに実装された表示パネル12を透視することができるように透明部材で形成した透視窓11dとする。
【0040】
この外蓋11における前半部11cには、この外蓋11を手動で開閉操作するために指先を挿し入れるように後端部を凹ませて形成した取っ手部11eを設ける。この外蓋11は、取っ手部11eに指先を挿し入れて前半部11cの後端部分を引き上げ/押し下げるように操作して後半部11aを基部ヒンジ10を支点にして起伏させることによって該後半部11aと前半部11cを山折りに起立させて(開)/平坦に平伏させて(閉)とするように開閉操作する。
【0041】
また、上パネル9には、外蓋11の全閉状態を検出する外蓋全閉検出センサ(後述する)を設ける。
【0042】
また、上カバー9における段差面9bの左側の前縁部分には、粉末洗剤を投入する洗剤投入器13を設置し、指示スイッチ実装面9cには、押しボタン式の電源スイッチ14と各種の指示スイッチ15を実装し、表示パネル実装面9dには、表示パネル12を実装する。
【0043】
洗剤投入器13は、洗剤投入空間部と仕上げ剤投入空間部を備え、上カバー9の段差面9bに上向きに開口するように嵌着し、洗濯物出し入れ口9aを閉じるように外蓋11を倒したときに該外蓋11によって開口を閉じることができるように取り付ける。そして、給水電磁弁からの給水によって該給水と共に洗剤投入器13の底に設けた流出口13aから流れ出た粉末洗剤や仕上げ剤を蛇腹管16と洗剤導入管17を介して外槽6内に導入し、また、過剰水位になって溢水口13bから流れ出た溢水を蛇腹管18と溢水管19を介して外槽6内に導入する。洗剤導入管17から流れ出た洗剤や仕上げ剤は、洗剤給水あるいは仕上げ剤給水と共に外槽6の内壁面を伝って、あるいは外槽6と洗濯兼脱水槽2の間の隙間を通って外槽6の底部に導入されるために、洗濯兼脱水槽2内の洗濯物に直に降り掛かることがない。このために、高濃度の洗剤や仕上げ剤が洗濯物に付着して該洗濯物の色むらや色落ちなどを発生させることがない。
【0044】
前記洗濯兼脱水槽2を内包した外槽6の上側開口端には、内側洗濯物出し入れ口21aを備えた外槽上カバー21を取り付けることによって外槽6と洗濯兼脱水槽2の間の間隙を覆う。外槽上カバー21に形成した内側洗濯物出し入れ口21aは、ヒンジ22によって外槽上カバー21に取り付けた内蓋23によって開閉自在に覆うように構成する。
【0045】
外槽上カバー21には、洗濯兼脱水槽2内に向けて開口するように噴気口24を貫通させて取り付け、給水口25を前記ヒンジ22の下側に位置させて内側洗濯物出し入れ口21aの中心部に向けて開口するように設け、洗濯兼脱水槽2と外槽6の間の間隙に向けて開口するように前記洗剤投入管17と溢水管19を貫通させる。
【0046】
内蓋23は、その内側に散水管26を備える。この散水管26は、内蓋23を閉じた状態で、先端の散水口26aを洗濯兼脱水槽2の略中心部の上方に下向きに開口させて洗濯水を洗濯兼脱水槽2内に広く降り掛けるように構成し、基端の受水口26bを前記給水口25に当接して受水するように構成する。
【0047】
また、外槽6は、その下部の側壁に水位検出のためのエアトラップ6aを形成してエアチューブ27を介して水位検出手段である感圧式の水位検出センサ28に接続し、底部には排水兼排気口6bを設け、上縁または内側洗濯物出し入れ口21aから洗濯水が溢水するのを防止するために該上縁よりも僅かに低い位置に開口する異常溢水口6cを設ける。
【0048】
前記排水兼排気口6bは、蛇腹管29と内部配管30を介して排水電磁弁31と電動駆動の洗濯水循環ポンプ32の各入水口に接続する。この排水電磁弁31と洗濯水循環ポンプ32は、側枠1に関連した固定部材に設置し、排水電磁弁31の出水口は、外部排水ホース33に接続し、洗濯水循環ポンプ32の出水口は、内部配管34と蛇腹管35と内部配管36を介して前記給水口25に接続する。前記内部配管36の途中には、糸屑フィルタ37を着脱可能に設置する。
【0049】
ここで、前記排水兼排気口6bと蛇腹管29と内部配管30と洗濯水循環ポンプ32と内部配管34,36と蛇腹管35と給水口25と散水管26は、洗濯水循環機構を構成する。
【0050】
側枠1の後側面の内側には、水冷除湿機構38を設置する。この水冷除湿機構38の基本的な構成は、既に知られているように、外槽6内の湿潤した空気を排水兼排気口6bから吸い出し、水冷除湿した後に加熱することによって相対湿度を低下させて洗濯兼脱水槽2の上方から該洗濯兼脱水槽2内に吹き込むように構成する乾燥空気循環系の一部を構成する。
【0051】
水冷除湿機構38は、蛇腹管39を介して前記排水兼排気口6bに接続された水冷除湿風路40を備え、この水冷除湿風路40内にはその上端部に冷却水流出管41aを備えた水冷除湿板41を設置し、途中に糸屑フィルタ42と電動送風機43を設ける。水冷除湿風路40は、蛇腹管39から上方に向けて伸びるように設けた上昇風路40a内に前記水冷除湿板41を設置する。そして、上昇風路40aの上端部から折り返して下方に向けて伸びる下降風路(図示省略)を設け、この折り返し部に前記糸屑フィルタ42を着脱可能に設置する。下降風路内には該下降風路内を流れる空気の湿度に感応する湿度検出センサ(後述する)を設置する。この下降風路の下端部に前記電動送風機43の吸気口を接続し、この電動送風機43の排気口から上方に向けて伸びる上昇風路(図示省略)を設ける。
【0052】
上昇風路の先は、空気加熱管44と蛇腹管45を介して前記噴気口24に接続し、前記空気加熱管44の途中には循環空気を加熱する電熱ヒータであるPTCヒータ46を内装する。
【0053】
前記外槽6の溢水口6cには、外槽6内から溢水口6cを通して流れ出た洗濯水を外枠内の下部に放出する異常溢水排水路70を接続し、この異常溢水排水路70の途中にはエアトラップ70a設け、下端は蒸発皿71上に対向するように開口させる。異常溢水排水路70の下端の開口は、水に濡れると溶けて破れる紙蓋72によって覆うことによってエアトラップ70aが水が溜まるまでの初期段階における通気を阻止する。
【0054】
上カバー9の後部には、後部収納部9eを形成し、この後部収納部9e内に前記水位検出センサ28を設置し、更に、水道からの受水口47や風呂水(残り湯)吸水ポンプ(図示省略)や前記洗剤投入器13や前記散水口管26や前記水冷除湿機構38における水冷除湿板41の冷却水流出管41aへの給水を制御する電磁弁やポンプなどの給水機構48を内蔵する。給水機構48から散水管26への給水は、内部配管36を介して行うように構成する。
【0055】
この電気洗濯機の制御装置を構成する制御系は、図11に示すように、指示スイッチ15は、各種の洗濯コースや乾燥コースを設定するコース設定スイッチやスタートを指示するスタートスイッチなどのスイッチ群を備え、表示パネル12は、設定された洗濯コースや乾燥コースの表示と各工程(処理)の進行状態や検出した洗剤量を表示する。
【0056】
コントローラ49は、マイクロコンピュータ49aと負荷駆動回路49bと内部電源回路49cと電源自己保持リレー49dを備え、電源スイッチ14が投入されると、内部電源回路49cが機能し、マイクロコンピュータ49aが起動して制御処理プログラムを実行することによって負荷駆動回路49bと電源自己保持リレー49dと表示パネル12を制御するように構成する。このコントローラ49は、上カバー9内に設けた空間または側枠1内に設けた空間に実装する。
【0057】
そして、コントローラ49におけるマイクロコンピュータ49aは、指示スイッチ15と水位検出センサ28と湿度検出センサ50と外蓋全閉検出センサ51に接続してこれらからの信号を入力し、負荷駆動回路49bは、前記洗濯脱水駆動装置8における洗濯脱水駆動電動機8aと電磁操作クラッチ機構8bと、前記排水電磁弁31,洗濯水循環ポンプ32,電動送風機43,PTCヒータ46と、前記給水機構48における洗剤給水電磁弁48aと仕上げ剤給水電磁弁48bと洗濯給水電磁弁48cと風呂水吸水ポンプ48dと冷却給水電磁弁48eを接続してこれらへの給電を制御する。
【0058】
図示説明は省略するが、この実施例における洗濯脱水駆動電動機8aは、インバータ駆動電動機であって、負荷駆動回路49bは、電源電圧を約280Vに昇圧した直流電圧を生成する倍電圧整流機能と、洗濯脱水駆動電動機8aに印加する交流電圧を発生するインバータ機能と、交流電圧波形内をパルス状に細断してパルス幅制御することによって洗濯脱水駆動電動機8aに印加する交流電圧の実効値を制御する実効値制御機能を備える。
【0059】
前記マイクロコンピュータ49aは、電源スイッチ14が押されて電源が投入されると起動し、図12および図13に示すような洗濯および乾燥の基本的な制御処理プログラムを実行するように構成する。
【0060】
この実施例における電気洗濯機では、洗濯工程において外槽6の底部に溜める洗い水および濯ぎ水の水位は、基本的には、脈動翼盤4を正逆回転させながら洗濯水を循環させている洗濯状態において、外槽6の底部に溜っている洗濯水が脈動翼盤4の上面を大幅に越えて該脈動翼盤4上の洗濯物を浮遊させるように浸すような水位まで大幅に上昇するのを避けなければならない。但し、脈動翼盤4上の洗濯物に多量の洗濯水を含ませた後に脈動翼盤4の回転と洗濯水の循環を停止した状態を長時間継続すると、洗濯物に含まれる洗濯水と洗濯水循環系内の洗濯水は、重力で流下して外槽6の底部に溜ることから、このような状態での洗濯水位が脈動翼盤4の上面を越えることは許容される。そこで、この実施例では、洗濯水給水制御のための設定水位として、通常の布量の洗濯物の洗濯では、洗濯兼脱水槽2内の脈動翼盤4の下面の高さより僅かに低い水位h1を設定し、通常の布量を下回る極少布量の洗濯物の洗濯では、前記水位h1よりも僅か(約10cm程度)に高い水位(洗濯兼脱水槽2内の脈動翼盤4の隆起部4cの頂上部の最高部位に略等しい水位)h2を設定した。そして、給水工程においては、所定量の水を給水して洗濯物の量に応じて投入された粉末洗剤を溶かして高洗剤濃度の洗い水を生成する。洗い工程では、洗濯兼脱水槽2を静止させた状態で脈動翼盤4を正逆回転させながら外槽6の底部に溜った高洗剤濃度の洗い水を洗濯物に降り掛けるように循環させることによって、脈動翼盤4上で高洗剤濃度の洗い水を含んだ洗濯物に該脈動翼盤4の隆起部4aの傾斜面から該洗濯物に上向きの分力を繰り返し作用させる押し洗いを行う。濯ぎ工程では、洗い工程と同様な水位の濯ぎ水により、洗濯兼脱水槽2を静止させた状態で脈動翼盤4を正逆回転させながら外槽6の底部に溜った濯ぎ水を洗濯物に降り掛けるように循環させることによって、脈動翼盤4上で洗い水を含んだ洗濯物に該脈動翼盤4の隆起部4aの傾斜面から該洗濯物に上向きの分力を繰り返し作用させて洗い水を押し出す濯ぎを行う。乾燥工程では、遠心脱水された洗濯兼脱水槽2内の洗濯物を脈動翼盤4の正逆回転によって撹拌しながら外槽6内の湿潤した空気を吸い出して水冷除湿した後に加熱して洗濯兼脱水槽2内に吹き込むように循環させる。
【0061】
この実施例の脈動翼盤4は、隆起部4aが回動することによってその表面が上下動して洗濯物を繰り返し押し上げて振動させることにより洗浄力を発生する。具体的には、洗濯物は、脈動翼盤4上を滑りつつ上下方向と円周方向に振動するように動いて洗浄される。
【0062】
洗い工程における洗濯物の動きおよび洗浄作用について、図14および図15の模式図を参照して説明する。図14は、脈動翼盤4を円周方向に展開して該脈動翼盤4上の円周方向の各位置における洗濯物60の上下方向の動きを示すものであり、図15は、脈動翼盤4を上方から見て該脈動翼盤4上の洗濯物60の円周方向の動きを示すものである。各位置における洗濯物60の動きと洗浄力発生の原理は、次の通りである。
(1)隆起部4aの周方向の傾斜面を上る部分(図14における(a)の位置)
隆起部4aの上り勾配によって洗濯物60aを下から繰り返し押し上げることにより、洗濯物60aを繰り返し圧縮して押し洗い作用の洗浄力を発生する。
(2)隆起部4aの頂点を越える部分(図14における(b)の位置)
隆起部4aの上り勾配によって上方に押し上げられる洗濯物60bは、隆起部4aを越えた位置で跳ね上がって該隆起部4aとの間に隙間が発生する。また、このとき、円周方向の速度が増加し、円周方向に隣接する洗濯物間(洗濯物60aと洗濯物60bの間および洗濯物60dと洗濯物60eの間)に隙間が発生する。上方から降り掛けられる高洗剤濃度の洗い水は、これらの隙間に侵入して洗濯物60の内部に効果的に浸透する。そのために、脈動翼盤4の上面を越えない水位を維持した状態であっても洗濯物60の全体に洗い水が行き渡る。
(3)隆起部4aの傾斜面を下る部分から谷部4dまでの部分(図14における(c)の位置)
隆起部4aにおいて跳ね上げられた洗濯物60cは、隆起部4aの下り勾配から谷部4dの位置に落下することによって押し洗いと叩き洗い作用の洗浄力を発生する。このとき、円周方向の速度が遅い隣の洗濯物60dとの衝突も発生し、円周方向前後の洗濯物60同士の間でも押し洗いと叩き洗い作用の洗浄力が発生する。更に、洗濯物60内に滲み込んでいた洗い水が汚れと共に押し出される。
(4)洗濯物60の上下方向の運動の向きが逆の部分(図14における(b)と(c)の間および(c)と(a)の間)
隆起部4aによって跳ね上げられる洗濯物60bと落下する洗濯物60cおよび落下する洗濯物60cと押し上げられる洗濯物60aは、運動方向が逆方向であり、洗濯物を両手で互いに逆方向に運動させて洗う手揉み洗いと同様に運動する揉み洗い作用で洗浄力が発生する。
【0063】
なお、上記(1)〜(4)の洗浄作用を最大限に発揮するためには、前記脈動翼盤4の望ましい寸法においては、脈動翼盤4の回転速度を130〜140rpmとすることが望ましい。回転速度がこれよりも遅い場合には、洗濯物60の動きが小さくなって洗浄作用が低下する。そして、回転速度がこれよりも早い場合には、脈動翼盤4表面の上下動に洗濯物60が追従できずに該洗濯物60の動きが小さくなって洗浄作用が低下する。
【0064】
このように、脈動翼盤4を回転させながら高洗剤濃度の洗い水を循環させて行なう洗浄は、非常に少ない洗い水で、押し洗い、叩き洗い、揉み洗いの三つの作用を同時に複合的に発揮して高い洗浄力が得られる。
【0065】
このような脈動翼盤4による洗濯物60の運動は、濯ぎ工程においても好適である。洗濯物が跳ね上げられて発生した洗濯物間の隙間は濯ぎ水の侵入を容易にして該洗濯物60内に浸透させることから、洗濯物60内に滲み込んでいた洗い水と洗剤成分を同様な作用で押し出して濯ぎ効率を高める。
【0066】
また、乾燥工程においても好適である。洗濯物が跳ね上げられて発生した洗濯物間の隙間は温風が進入することから、洗濯物の外周表面だけでなく該洗濯物の内部にも温風が行き渡って水分蒸発を促進して乾燥効率を高める。更に、布絡みが少ない洗濯物の運動は皺の少ない乾燥を実現する。
【0067】
このような洗濯および乾燥を実現するために前記マイクロコンピュータ49aが実行する制御処理を図12および図13を参照して説明する。
【0068】
ステップS101
電源自己保持リレー49dを閉じて電源を確保すると共に状態確認および初期設定を行う。
【0069】
ステップS102
表示パネル12を点灯表示し、指示スイッチ15からの指示入力に従って洗濯・乾燥コースを設定する。所定時間経過後に洗濯・乾燥する予約コースもこの洗濯・乾燥コース設定において設定する。指示入力がない状態では、標準の洗濯・乾燥コースまたは前回実施の洗濯・乾燥コースを自動的に設定する。
【0070】
ステップS103
指示スイッチ15からの指示入力信号を監視し、その指示入力に応じて処理を分岐する。使用者は、外蓋11と内蓋23を開けて洗濯兼脱水槽2内に洗濯物を投入し、または洗濯物を投入すると共に洗剤投入器13の粉末洗剤投入空間部に粉末洗剤を投入し、仕上げ剤投入空間部に仕上げ剤を投入して内蓋23および外蓋11を閉じ、そして、洗濯物のみを投入したときには投入する洗剤の適量を知るために洗剤量検出を指示する指示スイッチ15を操作する。
【0071】
ステップS104
指示スイッチ15から洗剤量検出を指示する指示入力があると、布量を検出して洗剤量を求め、更に洗濯水量(水位)を設定する処理を実行する。この布量の検出は、洗い水を給水する前の乾布状態において、洗濯兼脱水槽2を静止させた状態で脈動翼盤4を一方向に回転させたときに該脈動翼盤4に作用する回転負荷量に基づいて洗濯物の布量を検出するように洗濯脱水駆動装置8における洗濯脱水駆動電動機8aと電磁操作クラッチ機構8bを制御して行。洗剤量の算出は、検出した布量に基づいて洗剤の適量(洗剤量)を求めることによって行う。好ましい洗剤量は、予め設定した布量と洗剤量の対照テーブルを参照することによって求める。具体的には、布量の検出は、洗濯脱水駆動電動機8aとしてインバータ駆動電動機を使用した構成では洗濯脱水駆動電動機8aを回転させるように所定時間給電したときの到達回転速度を検出することによって行い、洗濯脱水駆動電動機8aとしてコンデンサ分相単相誘導電動機を使用した構成では洗濯脱水駆動電動機8aを飽和回転速度まで上昇させるように給電した状態で断電した後の惰性回転減速特性を検出することによって行う。
【0072】
洗濯水量は、布量が所定の布量の範囲(適量)内のときには脈動翼盤4を越えない水位を維持して外槽6の底部に溜まるように洗濯水量(水位h1)を設定し、所定の布量の範囲を下回る過少のときには脈動翼盤4を僅かに越える水位を維持して外槽6の底部に溜まるように洗濯水量(水位h2)を設定する。
【0073】
また、この検出結果(布量)に基づいて洗濯時間を求めて設定する。
【0074】
布量検出が行われないときには、それぞれ、標準の値を設定する。
【0075】
ステップS105
求めた洗剤量を表示パネル12に表示する。使用者は、表示された量の粉末洗剤を洗剤投入器13の粉末洗剤投入空間部に投入した後に外蓋11を閉じるように操作する。洗剤投入器13に投入された粉末洗剤の一部は、流出口13aから洗剤導入管17を通して外槽6の底部に落下する。
【0076】
ステップS106
指示スイッチ15におけるスタートスイッチからの指示入力を監視して処理を分岐する。
【0077】
ステップS107
指示スイッチ15におけるスタートスイッチからの指示入力があると、水位検出センサ28から出力する水位検出信号を参照して外槽6内の水位を確認して処理を分岐する。外槽6内の水位が設定水位h1,h2から粉末洗剤を流し込むための洗剤給水量による水位上昇分を差し引いた水位を越える水位が検出されていたときには異常水位とし、それ以下の水位が検出されたときには正常水位とする。
【0078】
ステップS108
外槽6内の水位を正常水位まで下げるように排水電磁弁31を開放して外槽6内の水を排水する。
【0079】
ステップS109
外槽6内の水位が設定水位h1,h2から粉末洗剤を流し込むための洗剤給水量による水位上昇分を差し引いた水位以下の水位が検出されると、正常水位として、排水電磁弁31を閉じる。
【0080】
ステップS110
外蓋全閉検出センサ51から出力する蓋検出信号を確認して処理を分岐する。
【0081】
ステップS111
外蓋11が閉じていないときには、外蓋11を閉じるように勧告する警報を行う。
【0082】
ステップS112
外蓋11が閉じているときには、洗剤給水電磁弁48aを開放して洗剤投入器13の粉末洗剤投入空間部に所定量の洗剤給水を実行する。この洗剤給水電磁弁48aの開放は、先ず、他の給水電磁弁(例えば、洗濯給水電磁弁48cや冷却給水電磁弁48e)を開いて洗剤給水電磁弁48aの入り口の水道水圧を低下させた状態で行って洗剤給水管内への洗剤給水の流入速度を抑制することによって、洗剤給水管内の空気が洗剤給水によって粉末洗剤投入空間部内に強い勢い押し出されて粉末洗剤を飛散させるのを防止する。この実施例では、洗剤給水量を洗剤量に関わらずに約10リットルに設定した。この水量は、この後の洗剤溶かし工程において、洗濯兼脱水槽2を回転させることによって該洗濯兼脱水槽2の底(外壁)で外槽6の底部の水と粉末洗剤を撹拌するのに十分な水量から決定したものである。
【0083】
ステップS113
洗濯兼脱水槽2と脈動翼盤4を一体的に一方向に緩速回転(約70rpm)させることによって該洗濯兼脱水槽2で洗剤溶かし水と粉末洗剤を撹拌して高洗剤濃度の洗い水を生成する洗剤溶かしを実行する。このときの洗い水の洗剤濃度は、標準濃度の約7倍である。ここで、標準濃度は、粉末洗剤量20グラム/洗い水量30リットルの割合である。この洗剤溶かし工程では、洗濯物は乾いている状態であることから、洗濯物の偏りによるアンバランスは少なく、洗濯兼脱水槽2は安定して回転する。なお、洗剤溶かしのための洗濯兼脱水槽2の緩速回転は、ステップS112における洗剤給水の途中から始めても良い。洗剤給水の途中から洗濯兼脱水槽2の回転を始めると、洗剤投入から洗剤溶かし撹拌までの時間が短縮され、水に触れると固まって溶けにくくなるような粉末洗剤でも溶け残りを防ぐことができる。
【0084】
ステップS114
予約コースが設定されているかどうかを確認して処理を分岐する。
【0085】
ステップS115
予約コースが設定されているときには、予約時刻(時間経過)まで待機する。この待機中には、所定時間毎に洗濯兼脱水槽2と脈動翼盤4を一体的に一方向に所定時間緩速回転(約70rpm)させることによって該洗濯兼脱水槽2で洗い水を撹拌(洗剤溶かし)を実行して洗剤成分の沈殿固化を防止する。
【0086】
ステップS116
予約コースが設定されていないとき、または予約時刻に達すると、水位検出センサ28から出力する水位検出信号を参照して外槽6内の水位を確認して処理を分岐する。外槽6内の水位が洗濯物の布量に応じて設定された設定水位h1,h2を越えているときには異常水位とし、それ以下であれば正常水位とする。
【0087】
ステップS117
外槽6内の水位が設定水位h1,h2以下となるように排水電磁弁31を開放して外槽6内の水を排水する。
【0088】
ステップS118
外槽6内の水位が設定水位h1,h2以下になったのを検出すると、正常水位として排水電磁弁31を閉じる。
【0089】
ステップS119
洗濯兼脱水槽2と脈動翼盤4を一体的に一方向に緩速回転(35〜40rpm)させながら洗濯給水電磁弁48cを開いて洗い水を洗濯物に降り掛けるように散布して該洗濯物を濡らすプレ給水を行う。このプレ給水量は、ステップS104で洗濯物の布量に応じて設定した水位になるまで行う。すなわち、洗濯物の布量が通常の範囲であるときには低水位h1であり、極少量であるときには高水位h2である。予め設定水位h1,h2になっているときには実質的なプレ給水がなくなる。
【0090】
生成りや淡色の天然素材でできた衣料品の色むらの原因となる粉末合成洗剤に含まれる蛍光増白剤は、染料の一種であり、洗濯物に触れると直ぐに吸着する。このために、高洗剤濃度の洗い水が直接かかる洗濯物の最上位部が最も蛍光増白剤を吸着し易い。従って、乾いた洗濯物に高洗剤濃度の洗い水を降り掛けると、高洗剤濃度洗い水の浸透過程で該高洗剤濃度洗い水が多く流れた部分とそうでない部分で蛍光増白剤の吸着量に差が生じ、色むらが発生する。一方、洗濯物の最上位部からある程度離れると、浸透してくる高洗剤濃度の洗い水に含まれる蛍光増白剤は、殆どなくなっており、蛍光増白剤の影響を受け難くなる。プレ給水を行って洗濯物を濡らしておくと、高洗剤濃度洗い水がより浸透し易くなって洗濯物内に均一に拡散することから、蛍光増白剤が洗濯物内に均一に吸着して色むらの発生を防止することができる。
【0091】
ステップS120
前洗いを実行する。この前洗いは、洗濯兼脱水槽2を静止させた状態で脈動翼盤4を正逆回転させる撹拌を間欠的に行ない、脈動翼盤4の正逆回転中に洗濯水循環ポンプ32を運転することによって外槽6の底部の洗い水を散水口26に送って洗濯物上に降り掛けるように間欠的に循環させ、脈動翼盤4と洗濯水循環ポンプ32の停止期間中に水位検出センサ28の検出信号を参照しながら洗剤給水電磁弁48aおよび洗濯給水電磁弁48cを開いて水位が設定水位h1,h2を越えないように補給水する運転を3回繰り返すことによって洗濯物を洗い水に馴染ませて脈動翼盤4上に分散させるように行なう。
【0092】
この前洗いにおける脈動翼盤4の回転速度は、中速回転(約100rpm)とし、第1回目の正逆回転は、回転時限(正回転時間/停止時間/逆回転時間)を約0.6秒間回転,約0.8秒間停止として約30秒間繰り返し、第2回目の正逆回転は、回転時限(正回転時間/停止時間/逆回転時間)を約0.6秒間回転,約0.8秒間停止として約1分30秒間繰り返し、第3回目の正逆回転は、回転時限(正回転時間/停止時間/逆回転時間)を約2秒間回転,約1秒間停止として約3分間繰り返すように行なう。
【0093】
第1回目の正逆回転時には、洗剤濃度が標準濃度の約7倍の洗い水が洗濯物に降り掛かって該洗濯物内に浸透していく。この高洗剤濃度の洗い水の作用で洗濯物から汚れが浮き上がるために高い洗浄力が得られ。補給水を繰り返すことによって洗濯物に降り掛かる洗い水の洗剤濃度が低下して行き、前洗い終了段階では、標準濃度の2倍程度となる。
【0094】
また、前洗いにおいて、第1回目の正逆回転の時間を最も短く設定しているのは、最初、洗濯物はプレ給水の水を含んでいるだけで乾いた部分も多く、洗い水を循環させて降り掛けると直ぐに洗濯物に吸収されて外槽6内の底部の洗い水が短時間に大幅に減少して該洗い水の循環ができなくなってしまうのを防止するためである。また、正逆回転の回転時限が前洗いの前半で短いのは、降り掛けた洗い水が洗濯物に効率良く浸透させることができるからであり、このようにすることによって、早い時期に洗濯物の全体に洗い水を含ませることができる。そして、洗い水が洗濯物の略全体に行き渡った第3回目の正逆回転は、長い回転時限で長い時間行うことにより、効率良く洗浄力を高めることができる。
【0095】
ステップS121
本洗いを実行する。この本洗いでは、先ず、前述したと同様な方法で布量検出を行なって設定されている洗濯時間を補正して設定する。その後に、洗濯兼脱水槽2を静止させた状態で脈動翼盤4を正逆回転させながら洗濯水循環ポンプ32を運転して外槽6の底部に溜った洗い水を散水管26の散水口26aから洗濯物に降り掛ける洗い水循環を行なう約2分間の押し洗い撹拌と、洗濯水循環ポンプ32の運転を停止して洗い水の循環を止めた状態で脈動翼盤4を正逆回転させる約1分間の布解し撹拌を繰り返し、最後に、洗濯水循環ポンプ32の運転を停止して洗い水の循環を止めた状態で脈動翼盤4を正逆回転させる約1分間の均一化撹拌を実行して本洗い時間を終了させるようにする。この本洗い中における脈動翼盤4の正逆回転の回転速度は、押し洗い撹拌を高速回転(約130rpm)、布解し撹拌を中速回転(約100rpm)とし、正逆回転時限(正回転時間/停止時間/逆回転時間)は、布解し撹拌における回転時限を押し洗い撹拌における回転時限よりも長くし、例えば、押し洗い撹拌における回転時限を約2.5秒、布解し撹拌における回転時限を約3.0秒、何れも停止時限を約1秒とする。
【0096】
ステップS122
シャワー濯ぎを実行する。このシャワー濯ぎでは、先ず、洗い水の排水と洗濯物に含まれる洗い水の遠心脱水を実行する。洗い水の排水は、排水電磁弁31を開放して外槽6内の洗い水を排水兼排気口6bから蛇腹管29,内部配管30,排水電磁弁31を通して外部排水ホース33に流し出すように行う。そして、遠心脱水は、洗濯兼脱水槽2と脈動翼盤4を一体的に一方向に高速回転させるように洗濯脱水駆動装置8を制御することによって行う。この洗い水脱水時の洗濯兼脱水槽2と脈動翼盤4の回転速度は、後述する最終脱水における回転速度(約1000rpm)と同様に設定し、高い脱水率(約60%)を実現するように約2分30秒間脱水運転する。次に、槽回転シャワー濯ぎを実行する。この槽回転シャワー濯ぎは、排水電磁弁31を閉じた状態で、洗濯兼脱水槽2と脈動翼盤4を一体的に一方向に緩速回転(35〜40rpm)させながら洗濯給水電磁弁48cを開放して水道水または風呂水吸水ポンプ48dを運転して風呂の残り湯を散水口26aから脈動翼盤4上の洗濯物に降り掛けるように吐出させることによって行う。このときの濯ぎ水量は、約9リットルとする。また、この槽回転シャワー濯ぎ中には、必要に応じて、洗濯水循環ポンプ32を運転して外槽6の底部に溜った濯ぎ水を散水管26に供給して散水口26aから噴出させて循環させる。
【0097】
ステップS123
第1回目の溜め濯ぎを実行する。この溜め濯ぎでは、先ず、排水電磁弁31を開いて外槽6の底部に溜っている槽回転シャワー濯ぎの濯ぎ水を排水した後に洗濯兼脱水槽2と脈動翼盤4を一体的に一方向に回転させて洗濯物に含まれている濯ぎ水を遠心脱水する。この濯ぎ水脱水時の洗濯兼脱水槽2と脈動翼盤4の回転速度は、後述する最終脱水における回転速度(約1000rpm)と同様に設定し、高い脱水率(約60%)を実現するように約2分30秒間の脱水運転を行なう。
【0098】
その後、排水電磁弁31を閉じて洗濯兼脱水槽2と脈動翼盤4を一体的に一方向に緩速回転(35〜40rpm)させながら洗濯給水電磁弁48cを開放して水道水を散水口26aから脈動翼盤4上の洗濯物に降り掛けるように給水する。このときの濯ぎ水給時間は約30秒間で、約8リットルの給水量である。
【0099】
次に、洗濯兼脱水槽2と脈動翼盤4の回転を停止した状態で外槽6の底部の水位が設定水位h1,h2を越えないように約30秒間の濯ぎ水給水を行なう。このときの給水量は、約8リットルである。
【0100】
次に、本洗いにおける押し洗い撹拌と同様に、洗濯兼脱水槽2を静止させた状態で脈動翼盤4を正逆回転させながら洗濯水循環ポンプ32を運転して外槽6の底部に溜った濯ぎ水を散水口26aから脈動翼盤4上の洗濯物に降り掛けるように循環させる濯ぎ水循環撹拌濯ぎを実行する。この濯ぎ水循環撹拌濯ぎは、約30秒間行なう。
【0101】
次に、脈動翼盤4の回転と洗濯水循環ポンプ32の運転を停止した状態で外槽6の底部に溜る濯ぎ水の水位を検出しながら水位が設定水位h1,h2を越えないように約15秒間の補給水を行なう。この補給水量は、約4リットルである。
【0102】
次に洗濯兼脱水槽2を静止させた状態で脈動翼盤4を正逆回転させながら洗濯水循環ポンプ32を運転して外槽6の底部に溜った濯ぎ水を散水口26aから脈動翼盤4上の洗濯物に降り掛けるように循環させる濯ぎ水循環撹拌濯ぎを実行する。この濯ぎ水循環撹拌濯ぎは、約1分30秒間行なう。
【0103】
その後、電動循環ポンプ32を停止して濯ぎ水の循環を止めた状態で脈動翼盤4の正逆回転を継続する均一化撹拌を行なう。この均一化撹拌は、約1分間行なう。
【0104】
ステップS124
第2回目の溜め濯ぎを実行する。この第2回目の溜め濯ぎは、仕上げ剤給水電磁弁48bを開いて洗剤投入器13における仕上げ剤投入空間部に給水することによって該仕上げ剤投入空間部内の仕上げ剤を外槽6の底部に導入する制御を付加して第1回目の溜め濯ぎと同様に行なう。
【0105】
ここまでの各種の給水において、マイクロコンピュータ49aは、水位検出センサ28から出力する水位検出信号を参照して所定の水位まで給水したときに給水電磁弁を閉じるような制御処理を実行するが、給水電磁弁が開いた給水状態で制御不能に陥ったときには給水を止めることができないために、外槽6内の水位は上昇し続ける。そして、外槽6内の水位が異常溢水口6cまで上昇すると該異常溢水口6cから溢水して異常溢水排水路70を通って紙蓋72を破って蒸発皿71上に流れ出ることによって、外槽6の上縁(内側洗濯物出し入れ口21a)から無秩序に溢れ出るのを防止する。
【0106】
ステップS125
最終脱水処理を実行する。最終脱水は、排水電磁弁31を開放としたままの状態で洗濯兼脱水槽2と脈動翼盤4を一体的にして一方向に約1000rpmの高速回転させるように洗濯脱水駆動装置8を運転して洗濯兼脱水槽2内の洗濯物を遠心脱水するように行う。この最終脱水の運転時間は、所望の脱水率が得られる時間に設定する。
【0107】
ステップS126
乾燥を実行する。この乾燥は、排水電磁弁31を開放したままの状態として、洗濯工程と同様に、洗濯兼脱水槽2を静止させた状態で脈動翼盤4を正逆回転させながら、水冷除湿風路40の途中に設けた電動送風機43を運転することによって外槽6内の空気を排水兼排気口6bから蛇腹管39を通して水冷除湿風路40内に吸い出し、この水冷除湿風路40における上昇風路40a内を通過するときに該上昇風路40a内に設置した水冷除湿板41および該水冷除湿板41の表面を流れ落ちる冷却水に触れさせて冷却除湿した後に糸屑フィルタ42を通して糸屑を捕集し、空気加熱管44の途中に設けたPTCヒータ46によって加熱した後に蛇腹管45を介して噴気口24に送り込んで該噴気口24から洗濯兼脱水槽2内に吹き込むことにより行う。
【0108】
冷却水は、冷却給水電磁弁48eを開放することによって水道水を冷却水流出管41aに供給して水冷除湿板41の表面に流出させて該水冷除湿板41の表面に沿って流下させ、水冷除湿板41を流れ落ちた冷却水は、蛇腹管39,排水兼排気口6b,蛇腹管29,内部配管30,排水電磁弁31を介して外部排水ホース33に流し出して排水する。
【0109】
この乾燥制御は、水冷除湿した後の空気の湿度に感応する湿度検出センサ50から出力する検出信号を監視しながら実行し、所定の湿度まで低下したときに終了する。
【0110】
このような乾燥工程において、洗濯兼脱水槽2から外槽6内に出た湿潤空気は、異常溢水口6cから異常溢水排水路70を通して外槽6外(外枠内)に漏れ出ようとするが、異常溢水排水路70の途中にはエアトラップ70aが設けられているので阻止される。初期段階ではエアトラップ70a内に必要量の水が溜まっていないので、湿潤空気はエアトラップ70aを通過してしまうが、異常溢水排水路70の先端開口を覆っている紙蓋72によって湿潤空気の漏出を阻止する。エアトラップ70a内に溜める水は、乾燥工程を実行することによって異常溢水排水路70内に進入した湿潤空気が冷えて結露することによって生成されるので、格別に給水する必要はなく、乾燥工程実行回数が増えて過剰になった水は先端開口から蒸発皿71に排水されて蒸発する。
【0111】
この電気洗濯機における洗濯水の循環は、洗濯水循環ポンプ32を長時間に亘って連続運転して継続すると、洗濯水に含まれる糸屑が循環水路中に溜って該循環水路の目詰り障害(水路狭窄現象)を発生することから、継続時間が所定時間(例えば1分間)を越えるときには所定時間毎に洗濯水循環ポンプ31の運転を断続(オン・オフ)させたり、循環水路中に流量センサを設けて循環水の流量を監視または水位検出センサ28から出力する水位検出信号を監視して洗濯水循環ポンプ31を運転したときの外槽6の底部の洗濯水位の降下量(流量の減少に伴って降下量も減少する)に基づいて流量を求めることによって該流量が所定値以下に減少したときには洗濯水循環ポンプ31の運転を断続(オン・オフ)するように制御する。洗濯水循環中に洗濯水循環ポンプ31の運転を断続すると、断(オフ)時には循環中の洗濯水が逆流し、続(オン)時には洗濯水が正流(循環)することから、循環水路中を循環する洗濯水は振動するように流れ、従って、循環水路中の一部に溜った糸屑は揺り解されて洗濯水と共に流れ出ることから、目詰り障害の発生を防止することができる。この洗濯水循環ポンプ32の断続運転における周期は、この実施例では、約2秒オン/3秒オフを12回繰り返し、その後は、再び連続運転に戻るように構成した。
【0112】
このように構成した電気洗濯機は、基本的には、洗い工程では、前記脈動翼盤の上面を越えない水位または僅かに越える水位を維持して前記外槽の底部に溜まるように給水して粉末洗剤を溶かすことによって高洗剤濃度の洗い水を生成し、この高洗剤濃度の洗い水を洗濯物に降り掛けるように循環させながら脈動翼盤を正逆回転させて洗濯物に上向きの力を繰り返し作用させて押し洗いし、濯ぎ工程では、洗い工程と同様に、脈動翼盤の上面を越えない水位または僅かに越える水位を維持して前記外槽の底部に溜まるように給水した濯ぎ水を洗濯物に降り掛けるように循環させながら脈動翼盤を正逆回転させて洗濯物に上向きの力を繰り返し作用させて該洗濯物に含まれる洗い水(洗剤成分)を押し出す濯ぎを行い、そして、乾燥工程では、脈動翼盤を正逆回転させて洗濯工程と同様に洗濯物を撹拌しながら前記外槽内の空気を吸い出して水冷除湿した後に加熱して前記洗濯兼脱水槽内に吹き込むように循環させて洗濯物を乾燥させるので、少ない洗濯水で高い洗浄効率を得ることができ、また、効率良く乾燥することができる。
【0113】
そして、乾燥工程では、更に、外槽内の湿潤空気が異常溢水口から漏れて外枠内に出るのを防止することができ、延いては、湿潤空気が外枠内を上昇し、外側洗濯物出し入れ口9aから外蓋11の内側に達し、透視窓11dの内側に触れて結露することによって該透視窓11dを曇らせて表示パネル12の透視障害を招来するのを防止することができる。
【実施例2】
【0114】
本発明における異常溢水排水路からの湿潤空気漏れ防止手段は、洗濯兼脱水槽2の回転軸を傾斜させた電気洗濯機や洗濯兼脱水槽2の回転軸を水平にした横軸型の電気洗濯機(ドラム式洗濯機)においても同様に適用して実施することができる。ドラム式洗濯機においては、洗濯兼脱水槽2と脈動翼盤4の代りに洗濯ドラム(洗濯槽として機能する)を設け、この洗濯ドラムを緩速回転させることによって該洗濯ドラム内に設けたリフタによって洗濯物(衣類)を撹拌させることにより、機能的に脈動翼盤4を実現することになる。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本発明の実施例1の電気洗濯機を縦断した状態で示す側面の模式図である。
【図2】実施例1の電気洗濯機における脈動翼盤の斜視図である。
【図3】実施例1の電気洗濯機における脈動翼盤の平面図である。
【図4】図3に示した脈動翼盤のIV−IV断面図である。
【図5】図3におけるV−V断面図である。
【図6】実施例1の電気洗濯機におけるリフターの斜視図である。
【図7】図6に示したリフターの正面図である。
【図8】実施例1の電気洗濯機における洗濯兼脱水槽内に組み込んだ脈動翼盤とリフターの対向関係を洗濯兼脱水槽を透視して示す斜視図である。
【図9】実施例1の電気洗濯機の上部を外蓋を閉じた状態で示す外観斜視図である。
【図10】図9に示した電気洗濯機の上部を外蓋を開いた状態で示す外観斜視図である。
【図11】図1に示した電気洗濯機の制御系のブロック図である。
【図12】図11に示した制御系のコントローラにおけるマイクロコンピュータが実行する制御処理の一部を示すフローチャートである。
【図13】図11に示した制御系のコントローラにおけるマイクロコンピュータが実行する制御処理の他の一部を示すフローチャートである。
【図14】実施例1における脈動翼盤を円周方向に展開して該脈動翼盤上の円周方向の各位置における洗濯物の上下方向の動きを示す模式図である。
【図15】実施例1における脈動翼盤を上方から見て該脈動翼盤上の洗濯物の円周方向の動きを示す模式図である。
【符号の説明】
【0116】
1…側枠、2…洗濯兼脱水槽、4…脈動翼盤、4a…隆起部、4b…貫通穴、4c…外周端面、5…リフター、5a…膨出部、5b…傾斜面、5c…突条、6…外槽、6c…異常溢水口、8…洗濯脱水駆動装置、8a…洗濯脱水駆動電動機、9…上カバー、9a…外側洗濯物出し入れ口、9e…後部収納部、11…外蓋、12…表示パネル、13…洗剤投入器、28…水位検出センサ、31…排水電磁弁、32…洗濯水循環ポンプ、37…糸屑フィルタ、38…水冷除湿機構、42…糸屑フィルタ、43…電動送風機、46…PTCヒータ、48…給水機構、48a…洗剤給水電磁弁、48b…仕上げ剤給水電磁弁、48c…洗濯給水電磁弁、48e…冷却給水電磁弁、49…コントローラ、49a…マイクロコンピュータ、50…湿度検出センサ、60…洗濯物、70…異常溢水排水路、70a…エアトラップ、71…蒸発皿、72…紙蓋。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な撹拌式の電気洗濯機は、外枠と、この外枠内に防振機構を介して吊り下げるように設けた洗濯水を溜める外槽と、この外槽内に回転可能に設けた縦型の洗濯兼脱水槽である内槽と、前記内槽内の底部に位置させて回転可能に設けた回転翼と、前記内槽および/または回転翼を選択的に回転駆動する駆動機構と、仕上げ剤投入機能付の洗剤投入器と、前記外槽または内槽内に洗濯水を給水し、洗剤投入器に洗剤流し込み水を給水する給水機構と、前記外槽内の洗濯水を排水する排水機構と、前記外槽内の洗濯水の水位を検出する洗濯水位検出手段と、前記外槽の底部に溜った洗濯水を内槽の上方から該内槽内に降り掛けるように循環させる洗濯水循環機構と、前記駆動機構と給水機構と排水機構と洗濯水循環機構を制御する制御装置を備える。
【0003】
そして、乾燥機能付きの電気洗濯機(洗濯乾燥機)は、前述したような電気洗濯機に対して、外槽の底部から該外槽内の湿潤した空気を吸い出して冷却除湿し、除湿した後に加熱して洗濯兼脱水槽に吹き込む乾燥空気循環系を付設した構成である。
【0004】
【特許文献1】特開2002−360966号公報 洗濯乾燥機の乾燥制御
【特許文献2】特開2002−360990号公報 洗濯乾燥機の風路構造
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
乾燥機能付きの電気洗濯機は、洗濯物を洗濯・脱水する工程と、脱水した洗濯物を乾燥する工程を単独または組み合わせて実行することができる。
【0006】
乾燥工程は、外槽内で湿潤した乾燥用の空気が該外槽および乾燥空気循環系外に漏れないように行うことが望ましいが、外槽には、排水や溢水系が正常に機能しないときに外槽の上縁から溢水しないように該上縁よりも僅かに低い位置に開口して外槽内から該開口に流れ込んだ水を前記外枠内の下部に放出する異常溢水通路を備えており、この異常溢水通路から漏れ出ている。
【0007】
本発明の目的は、異常溢水通路から乾燥用の湿潤空気が漏れ出るのを防止することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、異常溢水通路から漏れ出た乾燥用の湿潤空気が外蓋に触れて結露することにより該外蓋に設けた透視窓を曇らせて透視機能を失わせるのを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、洗濯物を収容する洗濯槽と、前記洗濯槽を内包する外槽と、前記外槽の上縁から洗濯水が溢水するのを防止するために該上縁よりも僅かに低い位置に開口して外槽内から該開口に流れ込んだ洗濯水を外枠内の下部に放出する異常溢水通路と、前記外槽の洗濯物出し入れ口を開閉する内蓋と、前記洗濯槽を駆動して該洗濯槽内の洗濯物を撹拌する駆動機構と、前記洗濯槽内の空気を循環させる乾燥空気循環系と、前記乾燥空気循環系内に冷却水を供給して循環空気を水冷除湿する給水機構と、前記乾燥空気循環系内で水冷除湿された循環空気を加熱する加熱手段と、前記外槽内を排水する排水機構と、前記駆動機構と給水機構と排水機構と加熱手段を制御する制御装置と、これらを包囲する外枠と、前記外枠に設けた洗濯物出し入れ口を開閉する外蓋とを備えた電気洗濯機において、
前記異常溢水通路は、その途中にエアトラップを備えたことを特徴とする。
【0010】
そして、前記異常溢水通路の先端開口は、水に濡れると溶けて破れる紙蓋によって覆うことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、洗濯物を収容する洗濯槽と、前記洗濯槽を内包する外槽と、前記外槽の上縁から洗濯水が溢水するのを防止するために該上縁よりも僅かに低い位置に開口して外槽内から該開口に流れ込んだ洗濯水を外枠内の下部に放出する異常溢水通路と、前記外槽の洗濯物出し入れ口を開閉する内蓋と、前記洗濯槽を駆動して該洗濯槽内の洗濯物を撹拌する駆動機構と、前記洗濯槽内の空気を循環させる乾燥空気循環系と、前記乾燥空気循環系内に冷却水を供給して循環空気を水冷除湿する給水機構と、前記乾燥空気循環系内で水冷除湿された循環空気を加熱する加熱手段と、前記外槽内を排水する排水機構と、前記駆動機構と給水機構と排水機構と加熱手段を制御する制御装置と、これらを包囲する外枠と、前記外枠に設けた洗濯物出し入れ口を開閉する外蓋とを備えた電気洗濯機において、
前記制御装置は、前記外枠に設けた洗濯物出し入れ口を覆うように閉じた前記外蓋によって覆われるように位置させて前記外枠の上面に設けた表示パネルを備え、
前記外蓋は、前記洗濯物出し入れ口を覆うように閉じた状態で前記表示パネルを覆う部分を前記表示パネルを透視可能な部材で構成し、
前記異常溢水通路は、その途中にエアトラップを備えたことを特徴とする。
【0012】
そして、前記異常溢水通路の先端開口は、水に濡れると溶けて破れる紙蓋によって覆うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の電気洗濯機は、異常溢水通路にエアトラップを設けたことによって異常溢水通路から乾燥用の湿潤空気が漏れ出るのを防止することができ、延いては、漏れ出た乾燥用の湿潤空気が外蓋に触れて結露することにより該外蓋に設けた透視窓を曇らせて透視機能を失わせるのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、洗濯物を収容する洗濯槽と、前記洗濯槽を内包する外槽と、前記外槽の上縁から洗濯水が溢水するのを防止するために該上縁よりも僅かに低い位置に開口して外槽内から該開口に流れ込んだ洗濯水を外枠内の下部に放出する異常溢水通路と、前記外槽の洗濯物出し入れ口を開閉する内蓋と、前記洗濯槽を駆動して該洗濯槽内の洗濯物を撹拌する駆動機構と、前記洗濯槽内の空気を循環させる乾燥空気循環系と、前記乾燥空気循環系内に冷却水を供給して循環空気を水冷除湿する給水機構と、前記乾燥空気循環系内で水冷除湿された循環空気を加熱する加熱手段と、前記外槽内を排水する排水機構と、前記駆動機構と給水機構と排水機構と加熱手段を制御する制御装置と、これらを包囲する外枠と、前記外枠に設けた洗濯物出し入れ口を開閉する外蓋とを備えた電気洗濯機において、
前記制御装置は、前記外枠に設けた洗濯物出し入れ口を覆うように閉じた前記外蓋によって覆われるように位置させて前記外枠の上面に設けた表示パネルを備え、
前記外蓋は、前記洗濯物出し入れ口を覆うように閉じた状態で前記表示パネルを覆う部分を前記表示パネルを透視可能な部材で構成し、
前記異常溢水通路は、その途中にエアトラップを備え、この異常溢水通路の先端開口は、水に濡れると溶けて破れる紙蓋によって覆うように構成する。
【実施例1】
【0015】
この実施例における電気洗濯機は、基本的には、次のようにして洗濯および乾燥を実行する構成である。
【0016】
洗濯水を溜める外槽内に内槽である洗濯兼脱水槽を回転可能に設置し、この洗濯兼脱水槽の底部に位置させて脈動翼盤を回転可能に設置する。この洗濯兼脱水槽と脈動翼盤は、収容した洗濯物または衣類を撹拌する洗濯槽を構成する。
【0017】
前記外槽には、上縁から洗濯水が溢水するのを防止するために該上縁よりも僅かに低い位置に開口して外槽内から該開口に流れ込んだ洗濯水を外枠内の下部に放出する異常溢水通路を設ける。
【0018】
前記脈動翼盤には、回転することによって脈動翼盤上に投入されている洗濯物に上向きの分力を繰り返し作用させるなだらかな傾斜面を提供する複数の隆起部と、前記隆起部の頂上部分を除く領域に分散させて設けた多数の貫通穴を設ける。前記洗濯兼脱水槽と脈動翼盤は、駆動機構によって選択的に回転駆動するように構成する。
【0019】
前記洗濯兼脱水槽内には、前記脈動翼盤と対向する高さに位置させて内周壁面から内側に突出する膨出部の上面によって形成されて該内周壁面に沿って周方向に順次に高くなるように傾斜して伸びる山形の複数の傾斜面と、周方向における前記傾斜面の頂上部分から前記内周壁面の内側に膨出する形態で該内周壁面に沿って縦方向に伸びる突条を設ける。
【0020】
更に、洗剤投入器および該洗剤投入器内の粉末洗剤を外槽の底部に導入する洗剤給水機構と、前記外槽内に洗濯水を給水する給水機構と該外槽内の洗濯水を排水する排水機構と、前記外槽の底部の洗濯水を前記洗濯兼脱水槽の上方から該洗濯兼脱水槽内に降り掛けるように循環させる洗濯水循環機構と、前記外槽内の空気を吸い出して水冷除湿した後に加熱して前記洗濯兼脱水槽内に吹き込むように循環させて洗濯物を乾燥させる空気循環除湿機構と、前記駆動機構と給水機構と排水機構と洗濯水循環機構と空気循環除湿機構を制御する制御装置であるコントローラを設ける。
【0021】
そして、前記コントローラは、次のように洗濯・脱水工程および乾燥工程を実行する制御を行う。
【0022】
洗い工程では、その後の洗い工程において前記脈動翼盤の上面を越えない水位または僅かに越える水位を維持して前記外槽の底部に溜まるように給水して粉末洗剤を溶かすことによって該外槽の底部に高洗剤濃度の洗い水を生成し、この洗い水を洗濯物に降り掛けるように循環させながら脈動翼盤を正逆回転させて洗濯物に上向きの力を繰り返し作用させることによって押し洗いする。ここで、洗濯物の布量が通常の範囲内であるときの洗い水は脈動翼盤の上面を越えない水位とし、洗濯物の布量が通常の範囲を下回るときの洗い水はまたは僅かに越える水位とする。
【0023】
濯ぎ工程では、洗い工程と同様に、脈動翼盤の上面を越えない水位または僅かに越える水位を維持して前記外槽の底部に溜まるように給水した濯ぎ水を洗濯物に降り掛けるように循環させながら脈動翼盤を正逆回転させて洗濯物に上向きの力を繰り返し作用させることによって該洗濯物に含まれる洗い水(洗剤成分)を押し出す濯ぎを行う。
【0024】
乾燥工程では、脈動翼盤を正逆回転させながら前記外槽内の空気を吸い出して水冷除湿した後に加熱して前記洗濯兼脱水槽内に吹き込むように循環させて洗濯物を乾燥させる。
【0025】
図1は、このような洗濯・脱水および乾燥を実行する電気洗濯機を縦断した状態で側面を示す模式図であり、1は、外枠の1部を構成する四角筒状の側枠である。2は、内槽を構成する洗濯兼脱水槽であり、その外周壁に通水および通風のための複数の小さな貫通穴2aを有し、その底壁に通水および通風のための複数の貫通穴2bを有し、その上縁部に流体バランサー3を備え、底部の内側には回転自在に脈動翼盤4を回転可能に設置する。
【0026】
前記脈動翼盤4は、図2〜図5に示すように、その上面に、洗濯兼脱水槽2の底部に位置して回転することによって該洗濯兼脱水槽2内に投入されて脈動翼盤4上に乗っている洗濯物に上向きの分力を繰り返し作用させる押し洗い力を発生するように回転方向になだらかに傾斜した複数の傾斜面を形成する隆起部4aと、多数の水抜き貫通穴4bを備える。隆起部4aは、回転方向に山形に傾斜し、且つ外周部位が順次に高くなるように径方向に傾斜し、更に、外周端面4cは上部を中心側に倒すように傾斜させた傾斜面とする。この実施例における脈動翼盤4は、約520mmの内径寸法の洗濯兼脱水槽2に対して、外径寸法を約470mmの大きさに構成した。このような大きさの脈動翼盤4は、隆起部4aの最高部の高は65〜70mmとすることが望ましく、この隆起部4aを形成する回転方向のなだらかな傾斜面の最大傾斜角度θ1は水平面に対して20〜30度とすることが望ましく、径方向の傾斜角度θ2は、水平面に対して10〜20度とすることが望ましく、前記外周端面4cの傾斜角度θ3は、垂直面に対して7〜15度とすることが望ましい。また、洗濯水を通過させる貫通穴4bは、隆起部4aにおける頂上部分の領域を除く領域に分散させて設ける。
【0027】
脈動翼盤4が回転すると、この脈動翼盤4上の洗濯物は、脈動翼盤4上を滑りながら該脈動翼盤4の回転方向に回転すると共に隆起部4aに押されて上下方向に振動する。この滑りによって洗濯物と脈動翼盤4の間に水膜が形成される。水膜の厚さは、洗濯物から脈動翼盤4に作用する回転負荷トルクに影響し、水膜の薄いほど回転負荷トルクが増加する。水膜の厚さは、貫通穴4bの数が多いほど薄くなる。一方、洗濯物を上方向に押し上げる力は、隆起部4aの頂上部領域で最大となることから、この部分り水膜の厚さの大小が脈動翼盤4に作用する回転負荷トルクに大きく影響する。すなわち、この実施例のように、隆起部4aの頂上部領域に貫通穴4aがない形態では該頂上部領域に厚い水膜が形成されることから、洗濯物から脈動翼盤4に作用する回転負荷トルクが軽減する。また、脈動翼盤4と洗濯物の直接の摺動が起きにくいことから洗濯物の傷みの発生も軽減する。
【0028】
このような形態の脈動翼盤4は、詳しくは後述するが、回転することによって脈動翼盤4上の洗濯物に対して上向きの適度の分力を繰り返し作用させ、また、隆起部4aと洗濯兼脱水槽2の内周面の間およびリフター(後述する)との間に洗濯物が噛み込んで脈動翼盤4が回転不能(ロック)になってしまうのを防止するのに好適である。
【0029】
前記洗濯兼脱水槽2は、その内周壁面の底部に該内周壁面の近くに寄ってきた洗濯物に上向きの力を作用させて該洗濯物の偏りと布絡みを防止するためのリフター5を備える。このリフター5は、図6および図7に詳しく示すように、前記脈動翼盤4と対向する高さに位置して内周壁面から内側に円弧状に突出する膨出部5aの上面によって形成されて該内周壁面に沿って周方向に順次に高くなるように傾斜して伸びる山形の傾斜面5bと、周方向における前記傾斜面5bの頂上部分から前記内周壁面の内側に膨出する形態で該内周壁面に沿って縦方向(上向き)に伸びる突条5cを備える。前記傾斜面5bは、前記脈動翼盤4における隆起部4aを形成する回転方向になだらかな傾斜面の高さおよび傾斜角度と同様な高さおよび傾きとする。また、前記突条5cの膨出高さ(厚み)は、リフター5の膨出部5aと略同一の高さとし、10〜15mmであることが望ましい。この突条5cの膨出高さが過大になると、洗濯工程において脈動翼盤4の回転に伴う洗濯物の周方向の動きを抑制する作用が過大になって洗浄に悪影響を及ぼすようになる。このリフター5は、樹脂成型によって一体的に構成して取り付ける。
【0030】
また、前記脈動翼盤4の隆起部4aの頂上部の外端縁と前記リフター5の傾斜面5bの頂上部分が対向したときの両者の対向縁の間には、約25mm以上の間隙g1を確保することができる構成であることが望ましい。更に、脈動翼盤4の隆起部4aの頂上部の外端縁と洗濯兼脱水槽2の内面の間隙g2は、30mm以上を確保することができるように構成することが望ましい。
【0031】
これらの値は、洗濯物に対する洗濯や乾燥の効率を高めると共に洗濯物の噛み込み(後述する)を防止するのに好適である。すなわち、脈動翼盤4の隆起部4aの頂上部が外側に位置する方が洗濯物の動きを大きくすることができて洗濯や乾燥に有利であるが、脈動翼盤4とリフター5および洗濯兼脱水槽2との隙間が小さくなって洗濯物が噛み込み易くなる。
【0032】
図8は、洗濯兼脱水槽2内における脈動翼盤4とリフター5の対向関係を洗濯兼脱水槽2を透視して示す斜視図である。この実施例では、脈動翼盤4に180度の間隔で2つの隆起部を設け、洗濯兼脱水槽2の外周壁内面にも180度の間隔で2つのリフター5を設置しているが、この図8では、一方のリフターの図示を省略している。
【0033】
このように構成したリフター5は、洗濯工程においては、洗い水または濯ぎ水が降り掛けられて湿潤した洗濯物が脈動翼盤4上に直に乗った状態で該脈動翼盤4と共に回転しながら遠心力によって洗濯兼脱水槽2の内周壁面に押し付けられるように移動すると、リフター5の傾斜面5bによって洗濯物に上向きの力が作用し、更に、突条5cによって回転が抑制されて脈動翼盤4の中心側方向に移動することから、洗濯物が洗濯兼脱水槽2の内周壁面近くに偏った状態となって脈動翼盤4の隆起部4aから該洗濯物に作用する上向きの分力が減少して洗浄効率が低下するような現象が軽減し、また、洗濯物の布絡みも軽減する。更には、脈動翼盤4の隆起部4aの外周端面4cの適度の傾斜角度θ3を設けたこと、前記脈動翼盤4の外周端面4cとリフター5の膨出部5aおよび洗濯兼脱水槽2の内周壁面の間の適度の間隔を確保したこと、また、洗濯物がリフター5の膨出部5aと脈動翼盤4の隆起部4aの外周端面4cの間の隙間に入ろうとすると膨出部5aの傾斜面5bが洗濯物を上向きに押し出すように作用することにより、洗濯物が隙間に噛み込んで脈動翼盤4が回転不能になるようなことや、噛み込みによって洗濯物が損傷するようなことも防止できる。また、リフター5の膨出部5aの内周壁面は円筒状の湾曲面になっており、脈動翼盤4の隆起部4aの外周端面4cとリフター5の膨出部5aの間の隙間が円周方向に一定であることから、この隙間に洗濯物が侵入しても、そのまま隙間を通過し、隙間に噛み込むようなことがない。
【0034】
また、乾燥工程においては、脈動翼盤4とリフター5は、最終脱水によって洗濯兼脱水槽2の内周壁面に偏った洗濯物を解きほぐし、リフター5の傾斜面5bによって洗濯物の上方向の動きを促進すると共に突条5cによって洗濯物の回転方向(円周方向)の動きを抑制して洗濯物の入れ替わりを促進し、循環空気と洗濯物の接触を良くして乾燥効率を高めるように作用する。
【0035】
6は、前記洗濯兼脱水槽2を内包する外槽であり、その底部の外側には鋼板製の取り付けベース7を介して洗濯脱水駆動装置8を取り付ける。この外槽6は、図示説明は省略するが、側枠1の上端部の四隅部に設けた隅板に係止して垂下させた4本の支持棒に緩衝装置を介して該外槽6の四方位を係合させて均等に支持することにより該側枠1の中心部に懸垂する。
【0036】
前記洗濯脱水駆動装置8は、インバータ駆動電動機または可逆回転型のコンデンサ分相単相誘導電動機を使用した洗濯脱水駆動電動機と電磁操作クラッチ機構と遊星歯車減速機構を内蔵し、洗濯脱水駆動電動機と電磁操作クラッチ機構を制御することによって、洗濯兼脱水槽2を静止させるように係止または自由に回転できるように解放した状態で脈動翼盤4を繰り返し正逆回転させる洗濯駆動モードと、洗濯兼脱水槽2と脈動翼盤4を一体的に同一方向に回転させる脱水駆動モードを選択的に実行する駆動機能を有する。
【0037】
外側洗濯物出し入れ口9aを形成した上カバー9は、側枠1の上部開口を覆うように該上部開口端縁に嵌め込んで取り付けねじによって側枠1に固定するように取り付ける。この上カバー9は、必要に応じて、複数の部材を組み合わせて構成する。側枠1と上カバー9は、外枠を構成する。上カバー9に形成した前記外側洗濯物出し入れ口9aは、基部ヒンジ10によって上カバー9に取り付けた外蓋11によって開閉自在に覆う。
【0038】
上カバー9は、図9および図10に示すように、外蓋11が倒れて外側洗濯物出し入れ口9aを閉じた状態となったときに該外蓋11の上面と該外蓋11によって覆われない上カバー9の左右および後側の縁部の上面に段差が発生しないように、外蓋11の前後左右縁が当接する外側洗濯物出し入れ口9aの外周縁を凹ませて段差面9bとして形成し、この段差面9bの前側は、閉じた状態の外蓋11に覆われないように位置させて段差面9bと同幅で該段差面9bから下方に向けて前記側枠1の前面位置まで傾斜させた指示スイッチ実装面9cとして形成し、その内側に位置して閉じた状態の外蓋11の先端部分に覆われる部分を表示パネル実装面9dとして形成する。
【0039】
外蓋11は、前記基部ヒンジ10によって上カバー9に起伏自在に取り付ける後半部11aと該後半部11aの前縁に中間ヒンジ11b(図1参照)によって屈伸可能に結合した前半部11cによって構成し、前半部11cの先端部分で前記表示パネル実装面9dを覆う部分は該表示パネル実装面9dに実装された表示パネル12を透視することができるように透明部材で形成した透視窓11dとする。
【0040】
この外蓋11における前半部11cには、この外蓋11を手動で開閉操作するために指先を挿し入れるように後端部を凹ませて形成した取っ手部11eを設ける。この外蓋11は、取っ手部11eに指先を挿し入れて前半部11cの後端部分を引き上げ/押し下げるように操作して後半部11aを基部ヒンジ10を支点にして起伏させることによって該後半部11aと前半部11cを山折りに起立させて(開)/平坦に平伏させて(閉)とするように開閉操作する。
【0041】
また、上パネル9には、外蓋11の全閉状態を検出する外蓋全閉検出センサ(後述する)を設ける。
【0042】
また、上カバー9における段差面9bの左側の前縁部分には、粉末洗剤を投入する洗剤投入器13を設置し、指示スイッチ実装面9cには、押しボタン式の電源スイッチ14と各種の指示スイッチ15を実装し、表示パネル実装面9dには、表示パネル12を実装する。
【0043】
洗剤投入器13は、洗剤投入空間部と仕上げ剤投入空間部を備え、上カバー9の段差面9bに上向きに開口するように嵌着し、洗濯物出し入れ口9aを閉じるように外蓋11を倒したときに該外蓋11によって開口を閉じることができるように取り付ける。そして、給水電磁弁からの給水によって該給水と共に洗剤投入器13の底に設けた流出口13aから流れ出た粉末洗剤や仕上げ剤を蛇腹管16と洗剤導入管17を介して外槽6内に導入し、また、過剰水位になって溢水口13bから流れ出た溢水を蛇腹管18と溢水管19を介して外槽6内に導入する。洗剤導入管17から流れ出た洗剤や仕上げ剤は、洗剤給水あるいは仕上げ剤給水と共に外槽6の内壁面を伝って、あるいは外槽6と洗濯兼脱水槽2の間の隙間を通って外槽6の底部に導入されるために、洗濯兼脱水槽2内の洗濯物に直に降り掛かることがない。このために、高濃度の洗剤や仕上げ剤が洗濯物に付着して該洗濯物の色むらや色落ちなどを発生させることがない。
【0044】
前記洗濯兼脱水槽2を内包した外槽6の上側開口端には、内側洗濯物出し入れ口21aを備えた外槽上カバー21を取り付けることによって外槽6と洗濯兼脱水槽2の間の間隙を覆う。外槽上カバー21に形成した内側洗濯物出し入れ口21aは、ヒンジ22によって外槽上カバー21に取り付けた内蓋23によって開閉自在に覆うように構成する。
【0045】
外槽上カバー21には、洗濯兼脱水槽2内に向けて開口するように噴気口24を貫通させて取り付け、給水口25を前記ヒンジ22の下側に位置させて内側洗濯物出し入れ口21aの中心部に向けて開口するように設け、洗濯兼脱水槽2と外槽6の間の間隙に向けて開口するように前記洗剤投入管17と溢水管19を貫通させる。
【0046】
内蓋23は、その内側に散水管26を備える。この散水管26は、内蓋23を閉じた状態で、先端の散水口26aを洗濯兼脱水槽2の略中心部の上方に下向きに開口させて洗濯水を洗濯兼脱水槽2内に広く降り掛けるように構成し、基端の受水口26bを前記給水口25に当接して受水するように構成する。
【0047】
また、外槽6は、その下部の側壁に水位検出のためのエアトラップ6aを形成してエアチューブ27を介して水位検出手段である感圧式の水位検出センサ28に接続し、底部には排水兼排気口6bを設け、上縁または内側洗濯物出し入れ口21aから洗濯水が溢水するのを防止するために該上縁よりも僅かに低い位置に開口する異常溢水口6cを設ける。
【0048】
前記排水兼排気口6bは、蛇腹管29と内部配管30を介して排水電磁弁31と電動駆動の洗濯水循環ポンプ32の各入水口に接続する。この排水電磁弁31と洗濯水循環ポンプ32は、側枠1に関連した固定部材に設置し、排水電磁弁31の出水口は、外部排水ホース33に接続し、洗濯水循環ポンプ32の出水口は、内部配管34と蛇腹管35と内部配管36を介して前記給水口25に接続する。前記内部配管36の途中には、糸屑フィルタ37を着脱可能に設置する。
【0049】
ここで、前記排水兼排気口6bと蛇腹管29と内部配管30と洗濯水循環ポンプ32と内部配管34,36と蛇腹管35と給水口25と散水管26は、洗濯水循環機構を構成する。
【0050】
側枠1の後側面の内側には、水冷除湿機構38を設置する。この水冷除湿機構38の基本的な構成は、既に知られているように、外槽6内の湿潤した空気を排水兼排気口6bから吸い出し、水冷除湿した後に加熱することによって相対湿度を低下させて洗濯兼脱水槽2の上方から該洗濯兼脱水槽2内に吹き込むように構成する乾燥空気循環系の一部を構成する。
【0051】
水冷除湿機構38は、蛇腹管39を介して前記排水兼排気口6bに接続された水冷除湿風路40を備え、この水冷除湿風路40内にはその上端部に冷却水流出管41aを備えた水冷除湿板41を設置し、途中に糸屑フィルタ42と電動送風機43を設ける。水冷除湿風路40は、蛇腹管39から上方に向けて伸びるように設けた上昇風路40a内に前記水冷除湿板41を設置する。そして、上昇風路40aの上端部から折り返して下方に向けて伸びる下降風路(図示省略)を設け、この折り返し部に前記糸屑フィルタ42を着脱可能に設置する。下降風路内には該下降風路内を流れる空気の湿度に感応する湿度検出センサ(後述する)を設置する。この下降風路の下端部に前記電動送風機43の吸気口を接続し、この電動送風機43の排気口から上方に向けて伸びる上昇風路(図示省略)を設ける。
【0052】
上昇風路の先は、空気加熱管44と蛇腹管45を介して前記噴気口24に接続し、前記空気加熱管44の途中には循環空気を加熱する電熱ヒータであるPTCヒータ46を内装する。
【0053】
前記外槽6の溢水口6cには、外槽6内から溢水口6cを通して流れ出た洗濯水を外枠内の下部に放出する異常溢水排水路70を接続し、この異常溢水排水路70の途中にはエアトラップ70a設け、下端は蒸発皿71上に対向するように開口させる。異常溢水排水路70の下端の開口は、水に濡れると溶けて破れる紙蓋72によって覆うことによってエアトラップ70aが水が溜まるまでの初期段階における通気を阻止する。
【0054】
上カバー9の後部には、後部収納部9eを形成し、この後部収納部9e内に前記水位検出センサ28を設置し、更に、水道からの受水口47や風呂水(残り湯)吸水ポンプ(図示省略)や前記洗剤投入器13や前記散水口管26や前記水冷除湿機構38における水冷除湿板41の冷却水流出管41aへの給水を制御する電磁弁やポンプなどの給水機構48を内蔵する。給水機構48から散水管26への給水は、内部配管36を介して行うように構成する。
【0055】
この電気洗濯機の制御装置を構成する制御系は、図11に示すように、指示スイッチ15は、各種の洗濯コースや乾燥コースを設定するコース設定スイッチやスタートを指示するスタートスイッチなどのスイッチ群を備え、表示パネル12は、設定された洗濯コースや乾燥コースの表示と各工程(処理)の進行状態や検出した洗剤量を表示する。
【0056】
コントローラ49は、マイクロコンピュータ49aと負荷駆動回路49bと内部電源回路49cと電源自己保持リレー49dを備え、電源スイッチ14が投入されると、内部電源回路49cが機能し、マイクロコンピュータ49aが起動して制御処理プログラムを実行することによって負荷駆動回路49bと電源自己保持リレー49dと表示パネル12を制御するように構成する。このコントローラ49は、上カバー9内に設けた空間または側枠1内に設けた空間に実装する。
【0057】
そして、コントローラ49におけるマイクロコンピュータ49aは、指示スイッチ15と水位検出センサ28と湿度検出センサ50と外蓋全閉検出センサ51に接続してこれらからの信号を入力し、負荷駆動回路49bは、前記洗濯脱水駆動装置8における洗濯脱水駆動電動機8aと電磁操作クラッチ機構8bと、前記排水電磁弁31,洗濯水循環ポンプ32,電動送風機43,PTCヒータ46と、前記給水機構48における洗剤給水電磁弁48aと仕上げ剤給水電磁弁48bと洗濯給水電磁弁48cと風呂水吸水ポンプ48dと冷却給水電磁弁48eを接続してこれらへの給電を制御する。
【0058】
図示説明は省略するが、この実施例における洗濯脱水駆動電動機8aは、インバータ駆動電動機であって、負荷駆動回路49bは、電源電圧を約280Vに昇圧した直流電圧を生成する倍電圧整流機能と、洗濯脱水駆動電動機8aに印加する交流電圧を発生するインバータ機能と、交流電圧波形内をパルス状に細断してパルス幅制御することによって洗濯脱水駆動電動機8aに印加する交流電圧の実効値を制御する実効値制御機能を備える。
【0059】
前記マイクロコンピュータ49aは、電源スイッチ14が押されて電源が投入されると起動し、図12および図13に示すような洗濯および乾燥の基本的な制御処理プログラムを実行するように構成する。
【0060】
この実施例における電気洗濯機では、洗濯工程において外槽6の底部に溜める洗い水および濯ぎ水の水位は、基本的には、脈動翼盤4を正逆回転させながら洗濯水を循環させている洗濯状態において、外槽6の底部に溜っている洗濯水が脈動翼盤4の上面を大幅に越えて該脈動翼盤4上の洗濯物を浮遊させるように浸すような水位まで大幅に上昇するのを避けなければならない。但し、脈動翼盤4上の洗濯物に多量の洗濯水を含ませた後に脈動翼盤4の回転と洗濯水の循環を停止した状態を長時間継続すると、洗濯物に含まれる洗濯水と洗濯水循環系内の洗濯水は、重力で流下して外槽6の底部に溜ることから、このような状態での洗濯水位が脈動翼盤4の上面を越えることは許容される。そこで、この実施例では、洗濯水給水制御のための設定水位として、通常の布量の洗濯物の洗濯では、洗濯兼脱水槽2内の脈動翼盤4の下面の高さより僅かに低い水位h1を設定し、通常の布量を下回る極少布量の洗濯物の洗濯では、前記水位h1よりも僅か(約10cm程度)に高い水位(洗濯兼脱水槽2内の脈動翼盤4の隆起部4cの頂上部の最高部位に略等しい水位)h2を設定した。そして、給水工程においては、所定量の水を給水して洗濯物の量に応じて投入された粉末洗剤を溶かして高洗剤濃度の洗い水を生成する。洗い工程では、洗濯兼脱水槽2を静止させた状態で脈動翼盤4を正逆回転させながら外槽6の底部に溜った高洗剤濃度の洗い水を洗濯物に降り掛けるように循環させることによって、脈動翼盤4上で高洗剤濃度の洗い水を含んだ洗濯物に該脈動翼盤4の隆起部4aの傾斜面から該洗濯物に上向きの分力を繰り返し作用させる押し洗いを行う。濯ぎ工程では、洗い工程と同様な水位の濯ぎ水により、洗濯兼脱水槽2を静止させた状態で脈動翼盤4を正逆回転させながら外槽6の底部に溜った濯ぎ水を洗濯物に降り掛けるように循環させることによって、脈動翼盤4上で洗い水を含んだ洗濯物に該脈動翼盤4の隆起部4aの傾斜面から該洗濯物に上向きの分力を繰り返し作用させて洗い水を押し出す濯ぎを行う。乾燥工程では、遠心脱水された洗濯兼脱水槽2内の洗濯物を脈動翼盤4の正逆回転によって撹拌しながら外槽6内の湿潤した空気を吸い出して水冷除湿した後に加熱して洗濯兼脱水槽2内に吹き込むように循環させる。
【0061】
この実施例の脈動翼盤4は、隆起部4aが回動することによってその表面が上下動して洗濯物を繰り返し押し上げて振動させることにより洗浄力を発生する。具体的には、洗濯物は、脈動翼盤4上を滑りつつ上下方向と円周方向に振動するように動いて洗浄される。
【0062】
洗い工程における洗濯物の動きおよび洗浄作用について、図14および図15の模式図を参照して説明する。図14は、脈動翼盤4を円周方向に展開して該脈動翼盤4上の円周方向の各位置における洗濯物60の上下方向の動きを示すものであり、図15は、脈動翼盤4を上方から見て該脈動翼盤4上の洗濯物60の円周方向の動きを示すものである。各位置における洗濯物60の動きと洗浄力発生の原理は、次の通りである。
(1)隆起部4aの周方向の傾斜面を上る部分(図14における(a)の位置)
隆起部4aの上り勾配によって洗濯物60aを下から繰り返し押し上げることにより、洗濯物60aを繰り返し圧縮して押し洗い作用の洗浄力を発生する。
(2)隆起部4aの頂点を越える部分(図14における(b)の位置)
隆起部4aの上り勾配によって上方に押し上げられる洗濯物60bは、隆起部4aを越えた位置で跳ね上がって該隆起部4aとの間に隙間が発生する。また、このとき、円周方向の速度が増加し、円周方向に隣接する洗濯物間(洗濯物60aと洗濯物60bの間および洗濯物60dと洗濯物60eの間)に隙間が発生する。上方から降り掛けられる高洗剤濃度の洗い水は、これらの隙間に侵入して洗濯物60の内部に効果的に浸透する。そのために、脈動翼盤4の上面を越えない水位を維持した状態であっても洗濯物60の全体に洗い水が行き渡る。
(3)隆起部4aの傾斜面を下る部分から谷部4dまでの部分(図14における(c)の位置)
隆起部4aにおいて跳ね上げられた洗濯物60cは、隆起部4aの下り勾配から谷部4dの位置に落下することによって押し洗いと叩き洗い作用の洗浄力を発生する。このとき、円周方向の速度が遅い隣の洗濯物60dとの衝突も発生し、円周方向前後の洗濯物60同士の間でも押し洗いと叩き洗い作用の洗浄力が発生する。更に、洗濯物60内に滲み込んでいた洗い水が汚れと共に押し出される。
(4)洗濯物60の上下方向の運動の向きが逆の部分(図14における(b)と(c)の間および(c)と(a)の間)
隆起部4aによって跳ね上げられる洗濯物60bと落下する洗濯物60cおよび落下する洗濯物60cと押し上げられる洗濯物60aは、運動方向が逆方向であり、洗濯物を両手で互いに逆方向に運動させて洗う手揉み洗いと同様に運動する揉み洗い作用で洗浄力が発生する。
【0063】
なお、上記(1)〜(4)の洗浄作用を最大限に発揮するためには、前記脈動翼盤4の望ましい寸法においては、脈動翼盤4の回転速度を130〜140rpmとすることが望ましい。回転速度がこれよりも遅い場合には、洗濯物60の動きが小さくなって洗浄作用が低下する。そして、回転速度がこれよりも早い場合には、脈動翼盤4表面の上下動に洗濯物60が追従できずに該洗濯物60の動きが小さくなって洗浄作用が低下する。
【0064】
このように、脈動翼盤4を回転させながら高洗剤濃度の洗い水を循環させて行なう洗浄は、非常に少ない洗い水で、押し洗い、叩き洗い、揉み洗いの三つの作用を同時に複合的に発揮して高い洗浄力が得られる。
【0065】
このような脈動翼盤4による洗濯物60の運動は、濯ぎ工程においても好適である。洗濯物が跳ね上げられて発生した洗濯物間の隙間は濯ぎ水の侵入を容易にして該洗濯物60内に浸透させることから、洗濯物60内に滲み込んでいた洗い水と洗剤成分を同様な作用で押し出して濯ぎ効率を高める。
【0066】
また、乾燥工程においても好適である。洗濯物が跳ね上げられて発生した洗濯物間の隙間は温風が進入することから、洗濯物の外周表面だけでなく該洗濯物の内部にも温風が行き渡って水分蒸発を促進して乾燥効率を高める。更に、布絡みが少ない洗濯物の運動は皺の少ない乾燥を実現する。
【0067】
このような洗濯および乾燥を実現するために前記マイクロコンピュータ49aが実行する制御処理を図12および図13を参照して説明する。
【0068】
ステップS101
電源自己保持リレー49dを閉じて電源を確保すると共に状態確認および初期設定を行う。
【0069】
ステップS102
表示パネル12を点灯表示し、指示スイッチ15からの指示入力に従って洗濯・乾燥コースを設定する。所定時間経過後に洗濯・乾燥する予約コースもこの洗濯・乾燥コース設定において設定する。指示入力がない状態では、標準の洗濯・乾燥コースまたは前回実施の洗濯・乾燥コースを自動的に設定する。
【0070】
ステップS103
指示スイッチ15からの指示入力信号を監視し、その指示入力に応じて処理を分岐する。使用者は、外蓋11と内蓋23を開けて洗濯兼脱水槽2内に洗濯物を投入し、または洗濯物を投入すると共に洗剤投入器13の粉末洗剤投入空間部に粉末洗剤を投入し、仕上げ剤投入空間部に仕上げ剤を投入して内蓋23および外蓋11を閉じ、そして、洗濯物のみを投入したときには投入する洗剤の適量を知るために洗剤量検出を指示する指示スイッチ15を操作する。
【0071】
ステップS104
指示スイッチ15から洗剤量検出を指示する指示入力があると、布量を検出して洗剤量を求め、更に洗濯水量(水位)を設定する処理を実行する。この布量の検出は、洗い水を給水する前の乾布状態において、洗濯兼脱水槽2を静止させた状態で脈動翼盤4を一方向に回転させたときに該脈動翼盤4に作用する回転負荷量に基づいて洗濯物の布量を検出するように洗濯脱水駆動装置8における洗濯脱水駆動電動機8aと電磁操作クラッチ機構8bを制御して行。洗剤量の算出は、検出した布量に基づいて洗剤の適量(洗剤量)を求めることによって行う。好ましい洗剤量は、予め設定した布量と洗剤量の対照テーブルを参照することによって求める。具体的には、布量の検出は、洗濯脱水駆動電動機8aとしてインバータ駆動電動機を使用した構成では洗濯脱水駆動電動機8aを回転させるように所定時間給電したときの到達回転速度を検出することによって行い、洗濯脱水駆動電動機8aとしてコンデンサ分相単相誘導電動機を使用した構成では洗濯脱水駆動電動機8aを飽和回転速度まで上昇させるように給電した状態で断電した後の惰性回転減速特性を検出することによって行う。
【0072】
洗濯水量は、布量が所定の布量の範囲(適量)内のときには脈動翼盤4を越えない水位を維持して外槽6の底部に溜まるように洗濯水量(水位h1)を設定し、所定の布量の範囲を下回る過少のときには脈動翼盤4を僅かに越える水位を維持して外槽6の底部に溜まるように洗濯水量(水位h2)を設定する。
【0073】
また、この検出結果(布量)に基づいて洗濯時間を求めて設定する。
【0074】
布量検出が行われないときには、それぞれ、標準の値を設定する。
【0075】
ステップS105
求めた洗剤量を表示パネル12に表示する。使用者は、表示された量の粉末洗剤を洗剤投入器13の粉末洗剤投入空間部に投入した後に外蓋11を閉じるように操作する。洗剤投入器13に投入された粉末洗剤の一部は、流出口13aから洗剤導入管17を通して外槽6の底部に落下する。
【0076】
ステップS106
指示スイッチ15におけるスタートスイッチからの指示入力を監視して処理を分岐する。
【0077】
ステップS107
指示スイッチ15におけるスタートスイッチからの指示入力があると、水位検出センサ28から出力する水位検出信号を参照して外槽6内の水位を確認して処理を分岐する。外槽6内の水位が設定水位h1,h2から粉末洗剤を流し込むための洗剤給水量による水位上昇分を差し引いた水位を越える水位が検出されていたときには異常水位とし、それ以下の水位が検出されたときには正常水位とする。
【0078】
ステップS108
外槽6内の水位を正常水位まで下げるように排水電磁弁31を開放して外槽6内の水を排水する。
【0079】
ステップS109
外槽6内の水位が設定水位h1,h2から粉末洗剤を流し込むための洗剤給水量による水位上昇分を差し引いた水位以下の水位が検出されると、正常水位として、排水電磁弁31を閉じる。
【0080】
ステップS110
外蓋全閉検出センサ51から出力する蓋検出信号を確認して処理を分岐する。
【0081】
ステップS111
外蓋11が閉じていないときには、外蓋11を閉じるように勧告する警報を行う。
【0082】
ステップS112
外蓋11が閉じているときには、洗剤給水電磁弁48aを開放して洗剤投入器13の粉末洗剤投入空間部に所定量の洗剤給水を実行する。この洗剤給水電磁弁48aの開放は、先ず、他の給水電磁弁(例えば、洗濯給水電磁弁48cや冷却給水電磁弁48e)を開いて洗剤給水電磁弁48aの入り口の水道水圧を低下させた状態で行って洗剤給水管内への洗剤給水の流入速度を抑制することによって、洗剤給水管内の空気が洗剤給水によって粉末洗剤投入空間部内に強い勢い押し出されて粉末洗剤を飛散させるのを防止する。この実施例では、洗剤給水量を洗剤量に関わらずに約10リットルに設定した。この水量は、この後の洗剤溶かし工程において、洗濯兼脱水槽2を回転させることによって該洗濯兼脱水槽2の底(外壁)で外槽6の底部の水と粉末洗剤を撹拌するのに十分な水量から決定したものである。
【0083】
ステップS113
洗濯兼脱水槽2と脈動翼盤4を一体的に一方向に緩速回転(約70rpm)させることによって該洗濯兼脱水槽2で洗剤溶かし水と粉末洗剤を撹拌して高洗剤濃度の洗い水を生成する洗剤溶かしを実行する。このときの洗い水の洗剤濃度は、標準濃度の約7倍である。ここで、標準濃度は、粉末洗剤量20グラム/洗い水量30リットルの割合である。この洗剤溶かし工程では、洗濯物は乾いている状態であることから、洗濯物の偏りによるアンバランスは少なく、洗濯兼脱水槽2は安定して回転する。なお、洗剤溶かしのための洗濯兼脱水槽2の緩速回転は、ステップS112における洗剤給水の途中から始めても良い。洗剤給水の途中から洗濯兼脱水槽2の回転を始めると、洗剤投入から洗剤溶かし撹拌までの時間が短縮され、水に触れると固まって溶けにくくなるような粉末洗剤でも溶け残りを防ぐことができる。
【0084】
ステップS114
予約コースが設定されているかどうかを確認して処理を分岐する。
【0085】
ステップS115
予約コースが設定されているときには、予約時刻(時間経過)まで待機する。この待機中には、所定時間毎に洗濯兼脱水槽2と脈動翼盤4を一体的に一方向に所定時間緩速回転(約70rpm)させることによって該洗濯兼脱水槽2で洗い水を撹拌(洗剤溶かし)を実行して洗剤成分の沈殿固化を防止する。
【0086】
ステップS116
予約コースが設定されていないとき、または予約時刻に達すると、水位検出センサ28から出力する水位検出信号を参照して外槽6内の水位を確認して処理を分岐する。外槽6内の水位が洗濯物の布量に応じて設定された設定水位h1,h2を越えているときには異常水位とし、それ以下であれば正常水位とする。
【0087】
ステップS117
外槽6内の水位が設定水位h1,h2以下となるように排水電磁弁31を開放して外槽6内の水を排水する。
【0088】
ステップS118
外槽6内の水位が設定水位h1,h2以下になったのを検出すると、正常水位として排水電磁弁31を閉じる。
【0089】
ステップS119
洗濯兼脱水槽2と脈動翼盤4を一体的に一方向に緩速回転(35〜40rpm)させながら洗濯給水電磁弁48cを開いて洗い水を洗濯物に降り掛けるように散布して該洗濯物を濡らすプレ給水を行う。このプレ給水量は、ステップS104で洗濯物の布量に応じて設定した水位になるまで行う。すなわち、洗濯物の布量が通常の範囲であるときには低水位h1であり、極少量であるときには高水位h2である。予め設定水位h1,h2になっているときには実質的なプレ給水がなくなる。
【0090】
生成りや淡色の天然素材でできた衣料品の色むらの原因となる粉末合成洗剤に含まれる蛍光増白剤は、染料の一種であり、洗濯物に触れると直ぐに吸着する。このために、高洗剤濃度の洗い水が直接かかる洗濯物の最上位部が最も蛍光増白剤を吸着し易い。従って、乾いた洗濯物に高洗剤濃度の洗い水を降り掛けると、高洗剤濃度洗い水の浸透過程で該高洗剤濃度洗い水が多く流れた部分とそうでない部分で蛍光増白剤の吸着量に差が生じ、色むらが発生する。一方、洗濯物の最上位部からある程度離れると、浸透してくる高洗剤濃度の洗い水に含まれる蛍光増白剤は、殆どなくなっており、蛍光増白剤の影響を受け難くなる。プレ給水を行って洗濯物を濡らしておくと、高洗剤濃度洗い水がより浸透し易くなって洗濯物内に均一に拡散することから、蛍光増白剤が洗濯物内に均一に吸着して色むらの発生を防止することができる。
【0091】
ステップS120
前洗いを実行する。この前洗いは、洗濯兼脱水槽2を静止させた状態で脈動翼盤4を正逆回転させる撹拌を間欠的に行ない、脈動翼盤4の正逆回転中に洗濯水循環ポンプ32を運転することによって外槽6の底部の洗い水を散水口26に送って洗濯物上に降り掛けるように間欠的に循環させ、脈動翼盤4と洗濯水循環ポンプ32の停止期間中に水位検出センサ28の検出信号を参照しながら洗剤給水電磁弁48aおよび洗濯給水電磁弁48cを開いて水位が設定水位h1,h2を越えないように補給水する運転を3回繰り返すことによって洗濯物を洗い水に馴染ませて脈動翼盤4上に分散させるように行なう。
【0092】
この前洗いにおける脈動翼盤4の回転速度は、中速回転(約100rpm)とし、第1回目の正逆回転は、回転時限(正回転時間/停止時間/逆回転時間)を約0.6秒間回転,約0.8秒間停止として約30秒間繰り返し、第2回目の正逆回転は、回転時限(正回転時間/停止時間/逆回転時間)を約0.6秒間回転,約0.8秒間停止として約1分30秒間繰り返し、第3回目の正逆回転は、回転時限(正回転時間/停止時間/逆回転時間)を約2秒間回転,約1秒間停止として約3分間繰り返すように行なう。
【0093】
第1回目の正逆回転時には、洗剤濃度が標準濃度の約7倍の洗い水が洗濯物に降り掛かって該洗濯物内に浸透していく。この高洗剤濃度の洗い水の作用で洗濯物から汚れが浮き上がるために高い洗浄力が得られ。補給水を繰り返すことによって洗濯物に降り掛かる洗い水の洗剤濃度が低下して行き、前洗い終了段階では、標準濃度の2倍程度となる。
【0094】
また、前洗いにおいて、第1回目の正逆回転の時間を最も短く設定しているのは、最初、洗濯物はプレ給水の水を含んでいるだけで乾いた部分も多く、洗い水を循環させて降り掛けると直ぐに洗濯物に吸収されて外槽6内の底部の洗い水が短時間に大幅に減少して該洗い水の循環ができなくなってしまうのを防止するためである。また、正逆回転の回転時限が前洗いの前半で短いのは、降り掛けた洗い水が洗濯物に効率良く浸透させることができるからであり、このようにすることによって、早い時期に洗濯物の全体に洗い水を含ませることができる。そして、洗い水が洗濯物の略全体に行き渡った第3回目の正逆回転は、長い回転時限で長い時間行うことにより、効率良く洗浄力を高めることができる。
【0095】
ステップS121
本洗いを実行する。この本洗いでは、先ず、前述したと同様な方法で布量検出を行なって設定されている洗濯時間を補正して設定する。その後に、洗濯兼脱水槽2を静止させた状態で脈動翼盤4を正逆回転させながら洗濯水循環ポンプ32を運転して外槽6の底部に溜った洗い水を散水管26の散水口26aから洗濯物に降り掛ける洗い水循環を行なう約2分間の押し洗い撹拌と、洗濯水循環ポンプ32の運転を停止して洗い水の循環を止めた状態で脈動翼盤4を正逆回転させる約1分間の布解し撹拌を繰り返し、最後に、洗濯水循環ポンプ32の運転を停止して洗い水の循環を止めた状態で脈動翼盤4を正逆回転させる約1分間の均一化撹拌を実行して本洗い時間を終了させるようにする。この本洗い中における脈動翼盤4の正逆回転の回転速度は、押し洗い撹拌を高速回転(約130rpm)、布解し撹拌を中速回転(約100rpm)とし、正逆回転時限(正回転時間/停止時間/逆回転時間)は、布解し撹拌における回転時限を押し洗い撹拌における回転時限よりも長くし、例えば、押し洗い撹拌における回転時限を約2.5秒、布解し撹拌における回転時限を約3.0秒、何れも停止時限を約1秒とする。
【0096】
ステップS122
シャワー濯ぎを実行する。このシャワー濯ぎでは、先ず、洗い水の排水と洗濯物に含まれる洗い水の遠心脱水を実行する。洗い水の排水は、排水電磁弁31を開放して外槽6内の洗い水を排水兼排気口6bから蛇腹管29,内部配管30,排水電磁弁31を通して外部排水ホース33に流し出すように行う。そして、遠心脱水は、洗濯兼脱水槽2と脈動翼盤4を一体的に一方向に高速回転させるように洗濯脱水駆動装置8を制御することによって行う。この洗い水脱水時の洗濯兼脱水槽2と脈動翼盤4の回転速度は、後述する最終脱水における回転速度(約1000rpm)と同様に設定し、高い脱水率(約60%)を実現するように約2分30秒間脱水運転する。次に、槽回転シャワー濯ぎを実行する。この槽回転シャワー濯ぎは、排水電磁弁31を閉じた状態で、洗濯兼脱水槽2と脈動翼盤4を一体的に一方向に緩速回転(35〜40rpm)させながら洗濯給水電磁弁48cを開放して水道水または風呂水吸水ポンプ48dを運転して風呂の残り湯を散水口26aから脈動翼盤4上の洗濯物に降り掛けるように吐出させることによって行う。このときの濯ぎ水量は、約9リットルとする。また、この槽回転シャワー濯ぎ中には、必要に応じて、洗濯水循環ポンプ32を運転して外槽6の底部に溜った濯ぎ水を散水管26に供給して散水口26aから噴出させて循環させる。
【0097】
ステップS123
第1回目の溜め濯ぎを実行する。この溜め濯ぎでは、先ず、排水電磁弁31を開いて外槽6の底部に溜っている槽回転シャワー濯ぎの濯ぎ水を排水した後に洗濯兼脱水槽2と脈動翼盤4を一体的に一方向に回転させて洗濯物に含まれている濯ぎ水を遠心脱水する。この濯ぎ水脱水時の洗濯兼脱水槽2と脈動翼盤4の回転速度は、後述する最終脱水における回転速度(約1000rpm)と同様に設定し、高い脱水率(約60%)を実現するように約2分30秒間の脱水運転を行なう。
【0098】
その後、排水電磁弁31を閉じて洗濯兼脱水槽2と脈動翼盤4を一体的に一方向に緩速回転(35〜40rpm)させながら洗濯給水電磁弁48cを開放して水道水を散水口26aから脈動翼盤4上の洗濯物に降り掛けるように給水する。このときの濯ぎ水給時間は約30秒間で、約8リットルの給水量である。
【0099】
次に、洗濯兼脱水槽2と脈動翼盤4の回転を停止した状態で外槽6の底部の水位が設定水位h1,h2を越えないように約30秒間の濯ぎ水給水を行なう。このときの給水量は、約8リットルである。
【0100】
次に、本洗いにおける押し洗い撹拌と同様に、洗濯兼脱水槽2を静止させた状態で脈動翼盤4を正逆回転させながら洗濯水循環ポンプ32を運転して外槽6の底部に溜った濯ぎ水を散水口26aから脈動翼盤4上の洗濯物に降り掛けるように循環させる濯ぎ水循環撹拌濯ぎを実行する。この濯ぎ水循環撹拌濯ぎは、約30秒間行なう。
【0101】
次に、脈動翼盤4の回転と洗濯水循環ポンプ32の運転を停止した状態で外槽6の底部に溜る濯ぎ水の水位を検出しながら水位が設定水位h1,h2を越えないように約15秒間の補給水を行なう。この補給水量は、約4リットルである。
【0102】
次に洗濯兼脱水槽2を静止させた状態で脈動翼盤4を正逆回転させながら洗濯水循環ポンプ32を運転して外槽6の底部に溜った濯ぎ水を散水口26aから脈動翼盤4上の洗濯物に降り掛けるように循環させる濯ぎ水循環撹拌濯ぎを実行する。この濯ぎ水循環撹拌濯ぎは、約1分30秒間行なう。
【0103】
その後、電動循環ポンプ32を停止して濯ぎ水の循環を止めた状態で脈動翼盤4の正逆回転を継続する均一化撹拌を行なう。この均一化撹拌は、約1分間行なう。
【0104】
ステップS124
第2回目の溜め濯ぎを実行する。この第2回目の溜め濯ぎは、仕上げ剤給水電磁弁48bを開いて洗剤投入器13における仕上げ剤投入空間部に給水することによって該仕上げ剤投入空間部内の仕上げ剤を外槽6の底部に導入する制御を付加して第1回目の溜め濯ぎと同様に行なう。
【0105】
ここまでの各種の給水において、マイクロコンピュータ49aは、水位検出センサ28から出力する水位検出信号を参照して所定の水位まで給水したときに給水電磁弁を閉じるような制御処理を実行するが、給水電磁弁が開いた給水状態で制御不能に陥ったときには給水を止めることができないために、外槽6内の水位は上昇し続ける。そして、外槽6内の水位が異常溢水口6cまで上昇すると該異常溢水口6cから溢水して異常溢水排水路70を通って紙蓋72を破って蒸発皿71上に流れ出ることによって、外槽6の上縁(内側洗濯物出し入れ口21a)から無秩序に溢れ出るのを防止する。
【0106】
ステップS125
最終脱水処理を実行する。最終脱水は、排水電磁弁31を開放としたままの状態で洗濯兼脱水槽2と脈動翼盤4を一体的にして一方向に約1000rpmの高速回転させるように洗濯脱水駆動装置8を運転して洗濯兼脱水槽2内の洗濯物を遠心脱水するように行う。この最終脱水の運転時間は、所望の脱水率が得られる時間に設定する。
【0107】
ステップS126
乾燥を実行する。この乾燥は、排水電磁弁31を開放したままの状態として、洗濯工程と同様に、洗濯兼脱水槽2を静止させた状態で脈動翼盤4を正逆回転させながら、水冷除湿風路40の途中に設けた電動送風機43を運転することによって外槽6内の空気を排水兼排気口6bから蛇腹管39を通して水冷除湿風路40内に吸い出し、この水冷除湿風路40における上昇風路40a内を通過するときに該上昇風路40a内に設置した水冷除湿板41および該水冷除湿板41の表面を流れ落ちる冷却水に触れさせて冷却除湿した後に糸屑フィルタ42を通して糸屑を捕集し、空気加熱管44の途中に設けたPTCヒータ46によって加熱した後に蛇腹管45を介して噴気口24に送り込んで該噴気口24から洗濯兼脱水槽2内に吹き込むことにより行う。
【0108】
冷却水は、冷却給水電磁弁48eを開放することによって水道水を冷却水流出管41aに供給して水冷除湿板41の表面に流出させて該水冷除湿板41の表面に沿って流下させ、水冷除湿板41を流れ落ちた冷却水は、蛇腹管39,排水兼排気口6b,蛇腹管29,内部配管30,排水電磁弁31を介して外部排水ホース33に流し出して排水する。
【0109】
この乾燥制御は、水冷除湿した後の空気の湿度に感応する湿度検出センサ50から出力する検出信号を監視しながら実行し、所定の湿度まで低下したときに終了する。
【0110】
このような乾燥工程において、洗濯兼脱水槽2から外槽6内に出た湿潤空気は、異常溢水口6cから異常溢水排水路70を通して外槽6外(外枠内)に漏れ出ようとするが、異常溢水排水路70の途中にはエアトラップ70aが設けられているので阻止される。初期段階ではエアトラップ70a内に必要量の水が溜まっていないので、湿潤空気はエアトラップ70aを通過してしまうが、異常溢水排水路70の先端開口を覆っている紙蓋72によって湿潤空気の漏出を阻止する。エアトラップ70a内に溜める水は、乾燥工程を実行することによって異常溢水排水路70内に進入した湿潤空気が冷えて結露することによって生成されるので、格別に給水する必要はなく、乾燥工程実行回数が増えて過剰になった水は先端開口から蒸発皿71に排水されて蒸発する。
【0111】
この電気洗濯機における洗濯水の循環は、洗濯水循環ポンプ32を長時間に亘って連続運転して継続すると、洗濯水に含まれる糸屑が循環水路中に溜って該循環水路の目詰り障害(水路狭窄現象)を発生することから、継続時間が所定時間(例えば1分間)を越えるときには所定時間毎に洗濯水循環ポンプ31の運転を断続(オン・オフ)させたり、循環水路中に流量センサを設けて循環水の流量を監視または水位検出センサ28から出力する水位検出信号を監視して洗濯水循環ポンプ31を運転したときの外槽6の底部の洗濯水位の降下量(流量の減少に伴って降下量も減少する)に基づいて流量を求めることによって該流量が所定値以下に減少したときには洗濯水循環ポンプ31の運転を断続(オン・オフ)するように制御する。洗濯水循環中に洗濯水循環ポンプ31の運転を断続すると、断(オフ)時には循環中の洗濯水が逆流し、続(オン)時には洗濯水が正流(循環)することから、循環水路中を循環する洗濯水は振動するように流れ、従って、循環水路中の一部に溜った糸屑は揺り解されて洗濯水と共に流れ出ることから、目詰り障害の発生を防止することができる。この洗濯水循環ポンプ32の断続運転における周期は、この実施例では、約2秒オン/3秒オフを12回繰り返し、その後は、再び連続運転に戻るように構成した。
【0112】
このように構成した電気洗濯機は、基本的には、洗い工程では、前記脈動翼盤の上面を越えない水位または僅かに越える水位を維持して前記外槽の底部に溜まるように給水して粉末洗剤を溶かすことによって高洗剤濃度の洗い水を生成し、この高洗剤濃度の洗い水を洗濯物に降り掛けるように循環させながら脈動翼盤を正逆回転させて洗濯物に上向きの力を繰り返し作用させて押し洗いし、濯ぎ工程では、洗い工程と同様に、脈動翼盤の上面を越えない水位または僅かに越える水位を維持して前記外槽の底部に溜まるように給水した濯ぎ水を洗濯物に降り掛けるように循環させながら脈動翼盤を正逆回転させて洗濯物に上向きの力を繰り返し作用させて該洗濯物に含まれる洗い水(洗剤成分)を押し出す濯ぎを行い、そして、乾燥工程では、脈動翼盤を正逆回転させて洗濯工程と同様に洗濯物を撹拌しながら前記外槽内の空気を吸い出して水冷除湿した後に加熱して前記洗濯兼脱水槽内に吹き込むように循環させて洗濯物を乾燥させるので、少ない洗濯水で高い洗浄効率を得ることができ、また、効率良く乾燥することができる。
【0113】
そして、乾燥工程では、更に、外槽内の湿潤空気が異常溢水口から漏れて外枠内に出るのを防止することができ、延いては、湿潤空気が外枠内を上昇し、外側洗濯物出し入れ口9aから外蓋11の内側に達し、透視窓11dの内側に触れて結露することによって該透視窓11dを曇らせて表示パネル12の透視障害を招来するのを防止することができる。
【実施例2】
【0114】
本発明における異常溢水排水路からの湿潤空気漏れ防止手段は、洗濯兼脱水槽2の回転軸を傾斜させた電気洗濯機や洗濯兼脱水槽2の回転軸を水平にした横軸型の電気洗濯機(ドラム式洗濯機)においても同様に適用して実施することができる。ドラム式洗濯機においては、洗濯兼脱水槽2と脈動翼盤4の代りに洗濯ドラム(洗濯槽として機能する)を設け、この洗濯ドラムを緩速回転させることによって該洗濯ドラム内に設けたリフタによって洗濯物(衣類)を撹拌させることにより、機能的に脈動翼盤4を実現することになる。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本発明の実施例1の電気洗濯機を縦断した状態で示す側面の模式図である。
【図2】実施例1の電気洗濯機における脈動翼盤の斜視図である。
【図3】実施例1の電気洗濯機における脈動翼盤の平面図である。
【図4】図3に示した脈動翼盤のIV−IV断面図である。
【図5】図3におけるV−V断面図である。
【図6】実施例1の電気洗濯機におけるリフターの斜視図である。
【図7】図6に示したリフターの正面図である。
【図8】実施例1の電気洗濯機における洗濯兼脱水槽内に組み込んだ脈動翼盤とリフターの対向関係を洗濯兼脱水槽を透視して示す斜視図である。
【図9】実施例1の電気洗濯機の上部を外蓋を閉じた状態で示す外観斜視図である。
【図10】図9に示した電気洗濯機の上部を外蓋を開いた状態で示す外観斜視図である。
【図11】図1に示した電気洗濯機の制御系のブロック図である。
【図12】図11に示した制御系のコントローラにおけるマイクロコンピュータが実行する制御処理の一部を示すフローチャートである。
【図13】図11に示した制御系のコントローラにおけるマイクロコンピュータが実行する制御処理の他の一部を示すフローチャートである。
【図14】実施例1における脈動翼盤を円周方向に展開して該脈動翼盤上の円周方向の各位置における洗濯物の上下方向の動きを示す模式図である。
【図15】実施例1における脈動翼盤を上方から見て該脈動翼盤上の洗濯物の円周方向の動きを示す模式図である。
【符号の説明】
【0116】
1…側枠、2…洗濯兼脱水槽、4…脈動翼盤、4a…隆起部、4b…貫通穴、4c…外周端面、5…リフター、5a…膨出部、5b…傾斜面、5c…突条、6…外槽、6c…異常溢水口、8…洗濯脱水駆動装置、8a…洗濯脱水駆動電動機、9…上カバー、9a…外側洗濯物出し入れ口、9e…後部収納部、11…外蓋、12…表示パネル、13…洗剤投入器、28…水位検出センサ、31…排水電磁弁、32…洗濯水循環ポンプ、37…糸屑フィルタ、38…水冷除湿機構、42…糸屑フィルタ、43…電動送風機、46…PTCヒータ、48…給水機構、48a…洗剤給水電磁弁、48b…仕上げ剤給水電磁弁、48c…洗濯給水電磁弁、48e…冷却給水電磁弁、49…コントローラ、49a…マイクロコンピュータ、50…湿度検出センサ、60…洗濯物、70…異常溢水排水路、70a…エアトラップ、71…蒸発皿、72…紙蓋。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯物を収容する洗濯槽と、前記洗濯槽を内包する外槽と、前記外槽の上縁から洗濯水が溢水するのを防止するために該上縁よりも僅かに低い位置に開口して外槽内から該開口に流れ込んだ洗濯水を外枠内の下部に放出する異常溢水通路と、前記外槽の洗濯物出し入れ口を開閉する内蓋と、前記洗濯槽を駆動して該洗濯槽内の洗濯物を撹拌する駆動機構と、前記洗濯槽内の空気を循環させる乾燥空気循環系と、前記乾燥空気循環系内に冷却水を供給して循環空気を水冷除湿する給水機構と、前記乾燥空気循環系内で水冷除湿された循環空気を加熱する加熱手段と、前記外槽内を排水する排水機構と、前記駆動機構と給水機構と排水機構と加熱手段を制御する制御装置と、これらを包囲する外枠と、前記外枠に設けた洗濯物出し入れ口を開閉する外蓋とを備えた電気洗濯機において、
前記異常溢水通路は、その途中にエアトラップを備えたことを特徴とする電気洗濯機。
【請求項2】
請求項1において、前記異常溢水通路の先端開口は、水に濡れると溶けて破れる紙蓋によって覆うことを特徴とする電気洗濯機。
【請求項3】
洗濯物を収容する洗濯槽と、前記洗濯槽を内包する外槽と、前記外槽の上縁から洗濯水が溢水するのを防止するために該上縁よりも僅かに低い位置に開口して外槽内から該開口に流れ込んだ洗濯水を外枠内の下部に放出する異常溢水通路と、前記外槽の洗濯物出し入れ口を開閉する内蓋と、前記洗濯槽を駆動して該洗濯槽内の洗濯物を撹拌する駆動機構と、前記洗濯槽内の空気を循環させる乾燥空気循環系と、前記乾燥空気循環系内に冷却水を供給して循環空気を水冷除湿する給水機構と、前記乾燥空気循環系内で水冷除湿された循環空気を加熱する加熱手段と、前記外槽内を排水する排水機構と、前記駆動機構と給水機構と排水機構と加熱手段を制御する制御装置と、これらを包囲する外枠と、前記外枠に設けた洗濯物出し入れ口を開閉する外蓋とを備えた電気洗濯機において、
前記制御装置は、前記外枠に設けた洗濯物出し入れ口を覆うように閉じた前記外蓋によって覆われるように位置させて前記外枠の上面に設けた表示パネルを備え、
前記外蓋は、前記洗濯物出し入れ口を覆うように閉じた状態で前記表示パネルを覆う部分を前記表示パネルを透視可能な部材で構成し、
前記異常溢水通路は、その途中にエアトラップを備えたことを特徴とする電気洗濯機。
【請求項4】
請求項3において、前記異常溢水通路の先端開口は、水に濡れると溶けて破れる紙蓋によって覆うことを特徴とする電気洗濯機。
【請求項1】
洗濯物を収容する洗濯槽と、前記洗濯槽を内包する外槽と、前記外槽の上縁から洗濯水が溢水するのを防止するために該上縁よりも僅かに低い位置に開口して外槽内から該開口に流れ込んだ洗濯水を外枠内の下部に放出する異常溢水通路と、前記外槽の洗濯物出し入れ口を開閉する内蓋と、前記洗濯槽を駆動して該洗濯槽内の洗濯物を撹拌する駆動機構と、前記洗濯槽内の空気を循環させる乾燥空気循環系と、前記乾燥空気循環系内に冷却水を供給して循環空気を水冷除湿する給水機構と、前記乾燥空気循環系内で水冷除湿された循環空気を加熱する加熱手段と、前記外槽内を排水する排水機構と、前記駆動機構と給水機構と排水機構と加熱手段を制御する制御装置と、これらを包囲する外枠と、前記外枠に設けた洗濯物出し入れ口を開閉する外蓋とを備えた電気洗濯機において、
前記異常溢水通路は、その途中にエアトラップを備えたことを特徴とする電気洗濯機。
【請求項2】
請求項1において、前記異常溢水通路の先端開口は、水に濡れると溶けて破れる紙蓋によって覆うことを特徴とする電気洗濯機。
【請求項3】
洗濯物を収容する洗濯槽と、前記洗濯槽を内包する外槽と、前記外槽の上縁から洗濯水が溢水するのを防止するために該上縁よりも僅かに低い位置に開口して外槽内から該開口に流れ込んだ洗濯水を外枠内の下部に放出する異常溢水通路と、前記外槽の洗濯物出し入れ口を開閉する内蓋と、前記洗濯槽を駆動して該洗濯槽内の洗濯物を撹拌する駆動機構と、前記洗濯槽内の空気を循環させる乾燥空気循環系と、前記乾燥空気循環系内に冷却水を供給して循環空気を水冷除湿する給水機構と、前記乾燥空気循環系内で水冷除湿された循環空気を加熱する加熱手段と、前記外槽内を排水する排水機構と、前記駆動機構と給水機構と排水機構と加熱手段を制御する制御装置と、これらを包囲する外枠と、前記外枠に設けた洗濯物出し入れ口を開閉する外蓋とを備えた電気洗濯機において、
前記制御装置は、前記外枠に設けた洗濯物出し入れ口を覆うように閉じた前記外蓋によって覆われるように位置させて前記外枠の上面に設けた表示パネルを備え、
前記外蓋は、前記洗濯物出し入れ口を覆うように閉じた状態で前記表示パネルを覆う部分を前記表示パネルを透視可能な部材で構成し、
前記異常溢水通路は、その途中にエアトラップを備えたことを特徴とする電気洗濯機。
【請求項4】
請求項3において、前記異常溢水通路の先端開口は、水に濡れると溶けて破れる紙蓋によって覆うことを特徴とする電気洗濯機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2006−346256(P2006−346256A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−177802(P2005−177802)
【出願日】平成17年6月17日(2005.6.17)
【出願人】(399048917)日立アプライアンス株式会社 (3,043)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月17日(2005.6.17)
【出願人】(399048917)日立アプライアンス株式会社 (3,043)
【Fターム(参考)】
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