説明

電気的なスイッチ装置

【課題】操作安全性および動作確実性を改善することができる電気的なスイッチ装置に関する。
【解決手段】電気的なスイッチ装置(71)が第1の動作状態にあるときには、予め設定された加速度値が前記加速度センサ(5)により測定されたときに、前記電気的なスイッチ装置(71)を第1の動作状態から第2の動作状態に切り替えるために前記スイッチ手段のための制御信号が生成され、当該信号は前記信号路(6,61,62)を介して前記スイッチ手段(7)に出力され、前記スイッチ手段(7)は、前記制御信号に応じて前記電気導体路(3,11,12)をスイッチ制御する。
前記電気的なスイッチ装置(71)が第2の動作状態にあるときには、前記加速度センサ(5)の測定結果と前記予め設定された加速度値とに基づいて、第2の動作状態を維持するか、または、第1の動作状態に戻されるか評価される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的なスイッチ装置と、その電気的なスイッチ装置を備えた電気的な装置と、その電気的な装置をスイッチ制御する方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
電気的な装置のために、自由落下ないしはきわめてクリティカルな(衝突)加速の場合に、起こりうる損害を回避するために動作モードが変更させられるいくつかの保護方法が公知である。それ故にハードディスクの場合、自由落下に対する対応として保護措置(書き込みプロセスの中断、保護されている位置への読み書きヘッドの退避、ハードディスクモータの停止)が講じられると、データの安全性を改善することができるということが公知である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、電気的な装置において操作安全性および動作確実性を改善することができる方法および構成に関する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、電気的なスイッチ装置に関する。この本発明による電気的なスイッチ装置には、加速度センサと、電気的なスイッチ手段と、電気導体路と、この加速度センサおよび電気的なスイッチ手段と接続されている信号路とが設けられている。この場合の加速度センサは、電気的なスイッチ手段を駆動制御することができる信号が予め設定された加速度値において形成されるように構成されている。この場合、電気的なスイッチ手段を用いて電気導体路をスイッチ制御することができる。したがって有利には、電気導体路のための加速度依存型電子スイッチ装置が実現される。
【0005】
電気的なスイッチ装置の有利な実施形態では、電気導体路が電気的なスイッチ手段を用いて遮断されるように構成されている。したがって有利には、電気導体路のための加速度依存型遮断スイッチが実現される。電気的なスイッチ装置の有利な実施形態では、電気導体路が電圧給電路であるように構成されている。有利には、予め設定された加速度値に至ると電圧給電部を開閉することができる。
【0006】
電気的なスイッチ装置の有利な実施形態では、少なくとも加速度センサおよび電気的なスイッチ手段は1つの共通のハウジング内に配置されるように構成されている。電気的なスイッチ装置の殊に有利な実施形態では、少なくとも電気的なスイッチ手段は液密的に周囲から封止されるように構成されている。
【0007】
本発明は、電気的なスイッチ装置を備えた電気的な装置にも関する。この電気的な装置には本発明による電気的なスイッチ装置が設けられており、さらにこの場合の電気的な装置には電気導体路と接続されている電気的な負荷も設けられている。有利には、加速度に依存して異なる動作状態の間でこの電気的な装置をスイッチ制御することができる。
【0008】
本発明は、次のステップを備えた電気的な装置をスイッチ制御する方法にも関する。すなわちこの方法は、(a)第1の動作状態で装置を作動させるステップと、(b)ステップ(a)の間、この装置に作用する加速度を測定するステップと、(c)ステップ(b)において予め設定された加速度値が測定されると直ちに第2の動作状態で作動させるためにこの電気的な装置をスイッチ制御するステップと、(d)ステップ(c)の間、この装置の状況を判定するステップと、(e)状況の判定結果が基準値に相応していれば、ステップ(a)に戻るステップとを含んでいる。
【0009】
本発明による方法の有利な実施形態では、ステップ(e)において状況の判定結果が基準値から逸脱している場合、装置は引き続き第2の動作状態で作動されるように構成されている。本発明による方法の有利な実施形態では、ステップ(d)において装置の状況を判定するために、この装置に作用する加速度が再び測定されるように構成されている。本発明による方法のさらに別の有利な実施形態では、ステップ(d)において装置の状況が入力手段を用いて手動で判定されるように実施されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、加速度感応式センサが電気的な装置内で使用され、通常ではない使用状況を識別、または識別可能とすることができる。これによって保護措置を行うよう指示することができ、これらの保護措置によって、使用者または使用者の直ぐ周辺または装置を、結果として生じる損傷から保護することができる。このような保護措置とは、例えば動作を低下させるモードまたはスタンバイモードへの変更、高電圧領域からの遮断または電圧給電部との電気的な遮断等である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】従来技術による電気的な装置の概略図
【図2】本発明による加速度依存型スイッチ装置を備えた電気的な装置の第1の実施例の概略図
【図3】本発明による加速度依存型スイッチ装置を備えた電気的な装置の第2の実施例の概略図
【図4】本発明による電気的なスイッチ装置の実施例
【図5】本発明による電気的な装置をスイッチ制御する方法の概略図
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1には、従来技術による電気的な装置が概略的に示されている。電気的な負荷4を備えた電気的または電子的な装置1は通常、電圧給電路3またはトランス2を介して直接、中央の電圧給電部(電力供給網)に接続される。落下後の衝突のような典型的ではない使用状況において、装置1内部を流れる電流の導体路を損傷するおそれがあり、壊れ易い回路コンポーネントへの短絡および導電部分への短絡、例えば外部から触れることのできる装置1のハウジング部分への短絡が生じてしまう。それ故に、使用者およびその周辺を危険にさらしてしまう可能性がある。
【0013】
図2には、本発明による加速度依存型スイッチ装置を備えた電気的な装置の第1の実施例が示されている。本発明によれば、直接またはトランス2を介して給電端子の形態の電気導体路3を用いて中央の電圧給電部に接続されている電子的な装置1には、加速度センサ5が組み込まれる。この加速度センサ5は、クリティカルな加速度値が検知されると、信号路6を介しスイッチ手段7を用いて負荷4の電圧給電部を遮断することができる。このスイッチ手段7は遮断回路であり、信号路6に加わる信号に基づいて電気導体路3を遮断する。例えば自由落下の際に、場合によるとケーブルとの接続によって弱められて、クリティカルな加速度値が現れる可能性があり、なぜならば、通常は装置の自由落下に続いて衝突が起こるためである。自由落下の際に、全空間方向で1g(重力加速度)より著しく低い加速度値を検知することができる。ただし、非常時に遮断するための基準として、加速度の突然の変化も用いることができるし、あるいは、動作中に突然生じる高い加速度(例えば1.5gより高い加速度)に対しても用いることができるのである。センサには電池またはバッテリから電流を供給することができるが、負荷4またはほかの装置1のコンポーネント内の既存の適切な電圧給電部も用いることができる。本発明の実施形態では、次の場合にスイッチ(図示せず)を用いてスイッチ手段7における電気的な遮断を再び解除することができる。すなわち、ある出来事の後に電圧給電部が遮断されており、さらに別の使用のために装置を再び起動すべき場合である。装置の外部でもスイッチ手段7を取り付けることができ、例えば中央の電圧給電部との接続部近くの電気導体路3の端部における電源プラグ内に取り付けることもできる。この場合、センサ5は信号路6を介してスイッチ手段7に接続され、この信号路6は電気導体路3のケーブルのところまたはケーブル内部に案内される。
【0014】
図3には、本発明による加速度依存型スイッチ装置を備えた電気的な装置の第2の実施例が示されている。図2による実施例の代案として、スイッチ手段7はこの場合トランス2の前に配置されている。これによって、スイッチ手段7を用いてトランス2の前で電気導体路3を通して電圧給電を遮断することができる。
【0015】
図4には、本発明による電気的なスイッチ装置の実施例が示されている。この図面には、スイッチ装置71が概略的に示されている。この例示の図面では、2つの電気導体路3が中央の電圧給電部からスイッチ手段7へ案内されている。このスイッチ手段7内部には、電圧給電を遮断できる遮断部材131および132が配置されており、これらは例えば電磁継電器またはその他の素子でもよい。これらの遮断部材131および132は、信号路61および62を介した加速度感応式センサ5によって駆動制御される。この図面では、センサ5、信号路61および62並びにスイッチ手段7、すなわちスイッチ装置71の全ての主要な部材が1つの共通の構成ユニット内に配置されている。図2または3による代替的な実施形態では、空間的にもスイッチ手段7から離してセンサ5を配置することができる。センサ5がクリティカルな状況を識別し、信号路6を介して遮断部材131および132に信号を出力すると、これらの遮断部材131および132によって電気導体路3を遮断することができる。
【0016】
本発明の実施形態では、スイッチ手段7は水密に構成されている。この実施形態を用いると、衝突または落下によって例えば液体と接触する前に、例えばヘアドライヤのような電気的な装置を遮断し、ひいては電圧給電部を液体から電気的に分離することができる。これによって、ヘアドライヤが例えば水で満たされた浴槽に落とし込まれる前に、このヘアドライヤを遮断することができ、水中でも安全に遮断されたままとなる。なぜならば、スイッチ手段7が液密に周辺から遮断されているためである。
【0017】
図5には、本発明による電気的な装置をスイッチ制御する方法が概略的に示されている。この方法は、(a)第1の動作状態で装置を作動させるステップと、(b)ステップ(a)の間、この装置に作用する加速度を測定するステップと、(c)ステップ(b)において予め設定された加速度値が測定されると直ちに第2の動作状態で作動させるためにこの電気的な装置をスイッチ制御するステップと、(d)ステップ(c)の間、この装置の状況を判定するステップと、(e)状況の判定結果が基準値に相応していれば、ステップ(a)に戻るステップとを含んでいる。
【0018】
本発明による方法の実施形態では、ステップ(e)において、状況の判定結果が基準値から逸脱している場合、装置は引き続き第2の動作状態で作動されるように構成されている。
【0019】
本発明による方法の実施形態では、ステップ(d)において装置の状況を判定するために、装置に作用する加速度が再び測定されるように構成されている。
【0020】
本発明による方法の代替的な実施形態では、ステップ(d)において装置の状況が入力手段を用いて手動で判定されるように構成されている。この装置の使用者は、全て異常がなければ、例えばスイッチを押してその装置を再び使用することができる。
【符号の説明】
【0021】
1 電気的な装置
2 トランス
3 電気導体路
4 負荷
5 加速度センサ
6 信号路
7 スイッチ手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的なスイッチ装置(71)であって、
加速度センサ(5)と、スイッチ手段(7)と、電気導体路(3,11,12)と、
前記加速度センサ(5)および電気的なスイッチ手段(7)を接続する信号路(6,61,62)とを備え、
前記加速度センサ(5)は、前記電気的なスイッチ装置(71)に作用する加速度を測定し、
前記電気的なスイッチ装置(71)が第1の動作状態にあるときには、予め設定された加速度値が前記加速度センサ(5)により測定されたときに、前記電気的なスイッチ装置(71)を第1の動作状態から第2の動作状態に切り替えるために前記スイッチ手段のための制御信号が生成され、当該信号は前記信号路(6,61,62)を介して前記スイッチ手段(7)に出力され、
前記スイッチ手段(7)は、前記制御信号に応じて前記電気導体路(3,11,12)をスイッチ制御し、
前記電気的なスイッチ装置(71)が第2の動作状態にあるときには、前記加速度センサ(5)の測定結果と基準値とに基づいて、第2の動作状態を維持するか、または、第1の動作状態に戻されるか評価される、
電気的なスイッチ装置。
【請求項2】
前記スイッチ手段(7)は、前記信号に応じて前記電気導体路(3,11,12)を遮断するようにスイッチ制御する請求項1記載の電気的なスイッチ装置(71)。
【請求項3】
前記加速度が前記基準値に相応している場合、前記電気的なスイッチ装置(71)は第2の動作状態から第1の動作状態に戻され、
前記加速度が前記基準値から逸脱している場合、前記電気的なスイッチ装置(71)は引き続き第2の動作状態で作動される、
請求項1または2のいずれか1項記載の電気的なスイッチ装置(71)。
【請求項4】
前記電気的なスイッチ装置(71)の状況を判断するために、当該電気的なスイッチ装置(71)に作用する加速度を再び測定する、請求項1から3のいずれか1項記載の電気的なスイッチ装置(71)。
【請求項5】
前記電気的なスイッチ装置(71)の状況を入力する入力手段をさらに有し、
前記スイッチ手段(7)は、前記電気的なスイッチ装置(71)を第1の動作状態に復帰させるように、当該入力手段からの信号に応じて前記電気導体路(3,11,12)をスイッチ制御する、請求項1から4のいずれか1項記載の電気的なスイッチ装置(71)。
【請求項6】
前記電気導体路(3,11,12)は電圧給電路である、請求項1から5のいずれか1項記載の電気的なスイッチ装置(71)。
【請求項7】
少なくとも前記加速度センサ(5)および電気的なスイッチ手段(7)は、1つの共通のハウジング内に配置されている、請求項1から6のいずれか1項記載の電気的なスイッチ装置(71)。
【請求項8】
少なくとも前記電気的なスイッチ手段(7)は、液密に周囲から封止されている、請求項1から7のいずれか1項記載の電気的なスイッチ装置(71)。
【請求項9】
前記電気的なスイッチ装置(71)には、前記電気導体路(3,11,12)と接続されている電気的な負荷(4)が設けられていることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項記載の電気的なスイッチ装置(71)。
【請求項10】
前記第2の動作状態は、動作を低下させるモード、スタンバイモード、高電圧領域から遮断された状態、または、電圧給電部と電気的に遮断された状態のいずれかである、請求項1から9のいずれか1項記載の電気的なスイッチ装置(71)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−227161(P2012−227161A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−161729(P2012−161729)
【出願日】平成24年7月20日(2012.7.20)
【分割の表示】特願2010−516442(P2010−516442)の分割
【原出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】