説明

電気的フィルターを清浄する方法及び電気的フィルター

本発明は、電気的フィルターを清浄する方法及び電気的フィルターに関する。本方法において、粒子を含有するガスは、電気的フィルターのチャンバー(2)内へ送り込まれる。ガスは、さらに、チャンバー(2)内に設けられている排出システム(3)のガス流路(5)内へ送り込まれる。実行されることは、ガス中に存在する粒子を帯電させて、分離電極(1)に付着させることである。粒子を除去されたガスは、ガス流路(5)から取り出される。分離電極(1)に付着した粒子をその分離電極(1)から除去するために、分離電極(1)は振動手段(8)によって振動させられる。本方法において、振動手段(8)によって振動させられる分離電極(1)が振動させられるときに、ガス流れは、振動手段(8)によって振動させられる分離電極(1)に隣接するガス流路(5)内において、制限される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に記載されている電気的フィルターを濾過中に清浄する方法及び請求項4の前文に記載されている電気的フィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
電気的フィルターの排出システムは、負に帯電した排出電極及びゼロ電位にある分離電極又は接地板(分離システム、正に帯電したプールの役割をなす)から構成される。粒子を除去しようとするガスは、電気的フィルターの排出システム内へ送り込まれ、そして、このガスは、排出システムにおいて、正に帯電した電極と負に帯電した電極との間を流れる。典型的には、約100KVの電圧が、正に帯電した電極と負に帯電した電極との間に存在するので、このような電圧は、電極間にコロナ放電を発生せしめる。コロナ放電は、粒子がコロナ放電中を流れるときに、これらの粒子の大部分を負に帯電させ、正に帯電したプレートに付着させるが、正の粒子は排出電極に付着する。
【0003】
電気的フィルターの様々な応用形態が、例えば、発電所、パルプ工場、及び様々な冶金処理において使用されており、これらにおいて、電気的フィルターは、その中へ送り込まれる高温ガスから粒子を分離するのに貢献している。
【0004】
電気的フィルターの分野においては、分離電極に付着した粒子をその分離電極から濾過中に除去するために、電気的フィルターが使用されているときに、すなわち、濾過中に、分離電極を一定間隔で振動させることが、以前から知られている。その概念は、振動させることによって除去された粒子が、必ずしもそうとは限らないが、好ましくは、下部ホッパーを備えている電気的フィルターの下方部分内へ落下することである。
【0005】
問題となるのは、濾過中に分離電極を振動させるとき、振動させることによって分離電極から除去された粒子の一部が、ガス流れが電気的フィルターを流れるために、電気的フィルターから運び出されることである。このために、“払い落とし損失(rapping loss)”として知られているものが、発生する。
【0006】
この問題の解決方法は、電気的フィルターの分離電極を振動させるときに、電気的フィルターを流れるガス流れを完全に閉鎖することであるが、これは、濾過を中断させる。この問題のもう1つの知られている解決方法は、2つの電気的フィルターが並列に使用され、かつ振動中に振動している電気的フィルターを流れるガス流れが閉鎖されるような種類のものである。
【0007】
米国特許第3,988,130号明細書は、振動手段によって振動させられる分離電極が振動するときに、振動手段によって振動させられる分離電極に隣接するガス流路内のガス流れを減少させ、これと同時に、ガスを電気的フィルターの別のガス流路を介して流れさせる電気的フィルターを開示している。したがって、電気的フィルターを停止させなくても、電気的フィルターを使用しながら分離電極を振動させることができる。この解決方法においては、別のガス流れが、ガス流路内を流れるガス流れに導かれ、これによって、ガス流れは、実質的に、関係するガス流路内において停止する。ガス流路に隣接する分離電極が振動するときに、分離電極から除去された粒子は、例えば電気的フィルターの下部に設けられている下部ホッパー内へ自由に落下することができる。この従来技術による解決方法に関連する問題は、第2のガス流れを、ガス流路を流れるガス流れに導くために、きわめて複雑で場所を取る解決手段が必要とされることである。
【0008】
特開平08−187450号公報は、振動手段によって振動させられる分離電極が振動するときに、振動手段によって振動させられる分離電極に隣接するガス流路内のガス流れを減少させ、これと同時に、ガスを電気的フィルターの別のガス流路を介して流れさせる別の電気的フィルターを開示している。この従来技術による解決方法は、ガス区間の上流端の前において動かすことのできる移動式カーテンを備え、これによって、ガスがガス流路から流れ出るのを防止するものである。ガス流路に隣接する分離電極が振動するときに、分離電極から除去された粒子は、例えば、電気的フィルターの下部に設けられている下部ホッパー内へ自由に落下することができる。この解決方法の問題は、電気的フィルター内の汚れた条件下において確実に移動式カーテンを移動させることである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、電気的フィルターを濾過中に清浄する新しい方法及び電気的フィルターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、独立請求項に記載されていることを特徴とする方法及び電気的フィルターによって達成される。
【0011】
本発明の好ましい実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0012】
本発明において、電気的フィルターを流れるガス流れは、振動させられる分離電極が配置されている電気的フィルターの部分が振動しているときに制限され、これによって、電気的フィルターの前記部分を流れるガス流れの速度は減少し、又は、より好ましくはできる限りゼロに近いものであり、最も好ましくはゼロである。具体的には、ガス流れは分離電極が振動させられるときに、振動させられる分離電極に隣接するガス流路内において、少なくとも部分的に制限され、又は、実質的に完全に閉鎖される。本発明による解決方法において、これは、電気的フィルターの別の部分でガスを電気的フィルターに流れさせるのと同時に実行される。換言すれば、ガスは別のガス流路を自由に流れることができる。本発明による解決方法は、電気的フィルターを停止させることなく、分離電極から振動によって除去された粒子層ができる限り自由に電気的フィルターの下方部分内へ落下するのを可能にする。
【0013】
本発明において、ガス流れは、ガス流路内に配置されている第1の多孔板を、この第1の多孔板と同じガス流路内に配置されている第2の多孔板に対して動かすことによって、振動させられる分離電極に隣接するガス流路内において制限される。第1の多孔板は第1の複数の開口を備え、第2の多孔板は第2の複数の開口を備えている。第1の多孔板は、第2の多孔板に対して閉鎖位置へ動かされることによって、第2の多孔板が、第1の多孔板に設けられている第1の開口の少なくともひとつを少なくとも部分的に覆って、第1の開口を流れるガス流を制限し、また、第1の多孔板が、第2の多孔板に設けられている第2の開口の少なくともひとつを少なくとも部分的に覆って、第2の開口を流れるガス流を制限する。
【0014】
選択的に、第1の多孔板及び第2の多孔板は、第1の多孔板を第2の多孔板に対して閉鎖位置へ動かしたときに、第2の多孔板が第1の多孔板に設けられている第1の開口のすべてを覆って、ガス流れが第1の開口を流れるのを防止し、これに対応して、第1の多孔板が第2の多孔板に設けられている第2の開口のすべてを覆って、ガス流れが第2の開口を流れるのを防止するようなものであってもよい。この実施形態において、第1の多孔板及び第2の多孔板は、好ましくは、閉鎖されてガス流れを防止するプレート壁を形成する。
【0015】
第1の多孔板及び第2の多孔板は、開放位置において、すなわち、ガスが第1の多孔板に設けられている第1の開口及び第2の多孔板に設けられている第2の開口を流れうる状態において、必ずしもそうとは限らないが、好ましくは、ガス流れを均等にする圧力損失を提供するガス分配カーテンを形成する。ガス分配カーテンを形成する第1の多孔板及び第2の多孔板は、必ずしもそうとは限らないが、好ましくは、ガスがガス流路を流れているときにガス流路からガスが取り出されるガス流路の端部に配置される。
【0016】
本発明による方法及び電気的フィルターは、小さな又は取るに足らない払い落とし損失が達成されるという利点を提供する。換言すれば、振動させることによって分離電極から分離されたほんのわずかな量の粒子しかガス流れによって電気的フィルターの外へ運搬されず、又は、まったく運搬されない。
【0017】
本発明による閉鎖手段による解決方法は、電気的フィルターにおいてきわめて小さな空間しか占めないという利点を提供する。これは使用中の電気的フィルターがこのような閉鎖手段による解決方法を備える場合、とりわけ有益なことである。第1の多孔板と同様に第2の多孔板も、きわめて薄く製造されてもよい。第1の多孔板及び第2の多孔板は、必ずしもそうとは限らないが、好ましくは、ガス流路内に連続的に配置され、かつガスが流れる方向においてお互いに留められ、したがってお互いに対して移動するときに、きわめて小さな空間しか必要としない。さらに、第2の多孔板に対して第1の多孔板を動かすための手段は、きわめて簡潔に製造することができる。
【0018】
本発明による解決方法において、ガス流れは、必ずしもそうとは限らないが、好ましくは、振動させられる分離電極の両側のガス流路内において、少なくとも部分的に制限され、又は、ガス流れは、実質的に完全に閉鎖される。
【0019】
本発明によれば、第1の多孔板が第2の多孔板に設けられている第2の開口の少なくともひとつを少なくとも部分的に覆って、第2の開口を流れるガス流れを少なくとも部分的に妨げるように、又は、第2の多孔板が第1の多孔板に設けられている第1の開口の少なくともひとつを覆って、第1の開口を流れるガス流を少なくとも部分的に妨げるように、ガス流路内に配置されている第1の多孔板を、同じガス流路内に配置されている第2の多孔板に対して動かすことによって、ガス流れは、振動させられる分離電極に隣接するガス流路内において少なくとも部分的に制限される。
【0020】
振動手段によって振動させられる分離電極に隣接するそれぞれのガス流路は、必ずしもそうとは限らないが、好ましくは、閉鎖手段を備え、これによって、ガス流路内において、ガス流れの速度は、このガス流路に隣接する分離電極が振動させられるときに、減少させられ、又は、より好ましくは、できる限りゼロに近いものであり、あるいは、最も好ましくは、ゼロであってもよい。少なくともひとつの組の閉鎖手段、必ずしもそうとは限らないが、より好ましくは、すべての閉鎖手段は、第1の多孔板及び第2の多孔板を備える。
【0021】
好ましい実施形態は、予め定められた所定の順序で閉鎖手段を閉鎖するように構成されている順序付け手段を備える。
【0022】
好ましい実施形態は、振動手段の動作を協調させるように構成されている同期手段を備え、これによって、必ずしもそうとは限らないが、好ましくは、閉鎖手段はまずガス流路内においてガス流れを少なくとも部分的に制限し、あるいはガス流れを実質的に完全に閉鎖し、その後にガス流路に隣接する分離電極を振動手段によって振動させる。
【0023】
好ましい実施形態は、ガス流れが予め定められた所定の順序でガス流路内において少なくとも部分的に制限され、又は、完全に妨げられるように、閉鎖手段に作用するように構成されている順序付け手段と、順序付け手段と振動手段又は閉鎖手段と振動手段を機能的に組み合わせる同期手段との両方を備え、これによって、振動手段は、特定の分離電極に隣接するガス流路内のガス流れが少なくとも部分的に制限され又は実質的に完全に妨げられるときに、この特定の分離電極を振動させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して、好ましい実施形態によって本発明をより詳細に説明する。
【0025】
本発明は、主として、電気的フィルターを濾過中に清浄する方法に関する。換言すれば、本発明は、主として、電気的フィルターの複数の分離電極1からそれらに付着した粒子(図示しない)を濾過中に除去する方法に関する。清浄は、粒子を除去しようとするガス(図示しない)が電気的フィルターのチャンバー2内へ流れ込んだときに、分離電極1を振動させることによって実行され、粒子は、電気的フィルターのチャンバー2内に設けられている排出システム3によって除去され、粒子を除去されたガス(図示しない)は、電気的フィルターのチャンバー2から取り出される。
【0026】
本発明による方法において、粒子を含有するガスは、供給手段4によって電気的フィルターのチャンバー2内へ送り込まれる。粒子を含有するガスは、さらに、チャンバー2内に設けられている排出システム3のガス流路5内へ送り込まれる。ガス流路5は、チャンバー2内に設けられていると共に少なくともひとつの帯電した排出電極6を包含する排出システム3の2つの分離電極1間に形成される。達成されることは、ガス流路5内の粒子を帯電させて分離電極1に付着させることであり、そして、粒子を少なくとも部分的に除去されたガスは、排出システム3のガス流路5から取り出される。粒子を少なくとも部分的に除去されたガスは、電気的フィルターのチャンバー2から排気手段7を介して取り出される。
【0027】
排出電極6は、例えば、2つの分離電極1間に存在するただ1つのガス流路5を2つのガス流路5に分割するプレート状の排出電極6であってもよい。
【0028】
本発明による方法において、分離電極1は、分離電極1に付着した粒子を分離電極1から除去するために、振動手段8によって振動させられる。振動手段8は、必ずしもそうとは限らないが、好ましくは、欧州特許第0 833 693号明細書に記載される構造を備えてもよい。
【0029】
本発明による方法において、ガス流れは閉鎖手段9によって少なくとも部分的にガス流路5内において制限され、ガス流路5は、ガス流路5に隣接する分離電極1が振動手段8によって振動させられるときに、振動手段8によって振動させられる分離電極1に隣接する。本発明による方法において、これは、粒子を除去しようとするガスが少なくともひとつの別のガス流路5に送り込まれるのと同時に実行され、ガス中に存在する粒子の帯電は、前記少なくともひとつの別のガス流路5に隣接する分離電極1に粒子を付着させることに加えて、前記少なくともひとつの別のガス流路5内において達成され、そして、粒子を少なくとも部分的に除去されたガスは、前記少なくともひとつの別のガス流路5から取り出される。
【0030】
より正確には、本発明による方法において、ガス流れは第1の多孔板10及び第2の多孔板12を包含する閉鎖手段9により制限される。すなわち、ガス流路(5)内に配置されていると共に第1の複数の開口(11)を備えている第1の多孔板(10)を、この第1の多孔板(10)と同じガス流路(5)内に配置されていると共に第2の複数の開口(13)を備えている第2の多孔板(12)に対して動かすことによって、ガス流れが制限され、これにより、第2の多孔板(12)が第1の多孔板(10)に設けられている第1の開口(11)の少なくともひとつを少なくとも部分的に覆って、第1の開口(11)を流れるガス流れを制限するようにし、又は、第1の多孔板(10)が第2の多孔板(12)に設けられている第2の開口(13)の少なくともひとつを少なくとも部分的に覆って、第2の開口(13)を流れるガス流れを制限するようにする。
【0031】
必ずしもそうとは限らないが、好ましくは、ガス流れは、振動手段8によって振動させられる分離電極1が振動手段8によって振動させられるときに、振動手段8によって少なくとも部分的に振動させられる分離電極1の両側のガス流路5内に存在する閉鎖手段9によって制限される。
【0032】
必ずしもそうとは限らないが、好ましくは、ガス流れは、ガス流路5内へ流れ込むガス流れを制限することによって、ガス流路5内において制限される。
【0033】
必ずしもそうとは限らないが、好ましくは、ガス流れは、ガス流路5から流れ出るガス流れを制限することによって、ガス流路5内において制限される。図面は、この実施形態に使用できる構成を示す。
【0034】
必ずしもそうとは限らないが、好ましくは、ガス流れは、ガス流路5内へ流れ込むガス流れ及びガス流路5から流れ出るガス流れを制限することによって、ガス流路5内において制限される。
【0035】
必ずしもそうとは限らないが、好ましくは、ガス流れは、分離電極1が振動させられる前に、ガス流路5内において制限される。
【0036】
必ずしもそうとは限らないが、好ましくは、ガス流れは、分離電極1が振動させられた後にある程度の時間が経過してから、ガス流路5内において開放される。
【0037】
必ずしもそうとは限らないが、好ましくは、ガス流れは、ガス流路5に隣接しかつ振動手段8によって振動させられる分離電極1が振動させられるときに、振動手段8によって振動させられる分離電極1に隣接するガス流路5内において、閉鎖手段9によって実質的に完全に閉鎖される。本発明による方法において、これは、粒子を除去しようとするガスが少なくともひとつの別のガス流路5内に送り込まれるのと同時に実行され、ガス中に存在する粒子の帯電は、少なくともひとつの別のガス流路5内において達成され、同様に、少なくともひとつの別のガス流路5に隣接する分離電極1に粒子を付着させる。そして、粒子を少なくとも部分的に除去されたガスは、前記少なくともひとつの別のガス流路5から取り出される。
【0038】
必ずしもそうとは限らないが、好ましくは、ガス流れは、第1の多孔板10及び第2の多孔板12を包含する閉鎖手段9によって次のように制限される。すなわち、ガス流路5内に配置されていると共に第1の複数の開口11を備えている第1の多孔板10を、第1の多孔板10と同じガス流路5内に配置されていると共に第2の複数の開口13を備えている第2の多孔板12に対して動かすことによって、ガス流れが制限され、これにより、第2の多孔板12が第1の多孔板10に設けられている第1の開口11のすべてを覆って、ガス流れが第1の開口11を流れるのを防止するように、又は、第1の多孔板10が第2の多孔板12に設けられている第2の開口13のすべてを覆って、ガス流れが第2の開口13を流れるのを防止するように、ガス流れは制限される。
【0039】
必ずしもそうとは限らないが、好ましくは、ガス流れは、振動手段8によって振動させられる分離電極1が振動させられるときに、振動手段8によって振動させられる分離電極1の両側のガス流路5内において実質的に完全に閉鎖される。
【0040】
必ずしもそうとは限らないが、好ましくは、ガス流れは、ガスがガス流路5内へ流れ込むのを防止することによって、ガス流路5内において実質的に完全に閉鎖される。
【0041】
必ずしもそうとは限らないが、好ましくは、ガス流れは、ガスがガス流路5から流れ出るのを防止することによって、ガス流路5内において実質的に完全に閉鎖される。
【0042】
必ずしもそうとは限らないが、好ましくは、ガス流れは、ガスがガス流路5内へ流れ込むのを防止し、かつ、ガスがガス流路5から流れ出るのを防止することによって、ガス流路5内において実質的に完全に閉鎖される。
【0043】
必ずしもそうとは限らないが、好ましくは、ガス流れは、分離電極1が振動させられる前に、ガス流路5内において実質的に完全に閉鎖される。
【0044】
必ずしもそうとは限らないが、好ましくは、ガス流れは、分離電極1が振動させられた後にある程度の時間が経過してから、ガス流路5内において開放される。
【0045】
当業者にはよく知られているように、必要であれば排出電極6が振動させられてもよいこと、また、これに対応する方法によって、ガス流れは振動させられる排出電極6に隣接するガス流路5内において制限され、又は実質的に完全に閉鎖されてもよい。
【0046】
さらに、本発明は、粒子を除去しようとするガスをチャンバー2内へ送り込むための供給手段4を包含するチャンバー2を備えている電気的フィルターに関し、チャンバー2は幾つかの分離電極1を備えている排出システム3を包含し、これらの分離電極1はそれらの間にガス流路5を形成する。ガス流路5は帯電することのできる排出電極6を備え、またチャンバー2は粒子を除去されたガスをチャンバー2から送り出すための排気手段7を包含する。
【0047】
図面において、分離電極1は実質的に矩形の金属板である。
【0048】
少なくともひとつのガス流路5内における少なくともひとつの排出電極6は、分離電極1間のガス流路5を2つのガス流路5に分割するような構造を備えてもよい。例えば、この構造は実質的に矩形の金属板である排出電極6を包含してもよい。
【0049】
さらに、電気的フィルターは、少なくともひとつの分離電極1から粒子を振り払うための振動手段8を包含する。振動手段8は、必ずしもそうとは限らないが、好ましくは、欧州特許第0 833 693号明細書に示されている構造を備えてもよい。
【0050】
ガス流れは、粒子を除去しようとするガスが少なくともひとつの別のガス流路5内へ送り込まれるのと同時に、また、粒子を少なくとも部分的に除去されるべきガスが少なくともひとつのガス流路5から取り出されるのと同時に、振動手段8によって振動させられる分離電極1に隣接するガス流路5内に存在する閉鎖手段9によって、少なくとも部分的に制限されてもよい。
【0051】
必ずしもそうとは限らないが、好ましくは、ガス流れは、振動手段8によって振動させられる分離電極1の両側のガス流路5内に存在する閉鎖手段9によって、少なくとも部分的に制限されてもよい。
【0052】
必ずしもそうとは限らないが、好ましくは、ガス流れは、閉鎖手段9によって、ガス流路5内へ流れ込むのを制限されてもよい。
【0053】
必ずしもそうとは限らないが、好ましくは、ガス流れは、閉鎖手段9によって、ガス流路5から流れ出るのを制限されてもよい。
【0054】
必ずしもそうとは限らないが、好ましくは、ガス流れは、閉鎖手段9によって、ガス流路5内へ流れ込むのを制限されてもよく、かつガス流路5から流れ出るのを制限されてもよい。
【0055】
必ずしもそうとは限らないが、好ましくは、ガス流れは、粒子を除去しようとするガスが少なくともひとつの別のガス流路5へ送り込まれるのと同時に、また、粒子を少なくとも部分的に除去されたガスが別のガス流路5から取り出されるのと同時に、振動手段8によって振動させられる分離電極1に隣接するガス流路5内に存在する閉鎖手段9によって、実質的に完全に閉鎖されてもよい。
【0056】
必ずしもそうとは限らないが、好ましくは、ガス流れは、振動手段8によって振動させられる分離電極1の両側のガス流路5内に存在する閉鎖手段9によって、実質的に完全に閉鎖されてもよい。
【0057】
必ずしもそうとは限らないが、好ましくは、ガス流路5内へ流れ込むガス流れは、閉鎖手段9によって、実質的に完全に閉鎖されてもよい。
【0058】
必ずしもそうとは限らないが、好ましくは、ガス流路5から流れ出るガス流れは、閉鎖手段9によって、実質的に完全に閉鎖されてもよい。
【0059】
必ずしもそうとは限らないが、好ましくは、ガス流路5内へ流れ込むガス流れ及びガス流路5から流れ出るガス流れは、閉鎖手段9によって、実質的に完全に閉鎖されてもよい。
【0060】
図面において、閉鎖手段9は、ガス流路5内に配置されていると共に第1の複数の開口11を備えている第1の多孔板10を包含する。また、図面において、閉鎖手段9は、第1の多孔板10と同じガス流路5内に配置されていると共に第2の複数の開口13を備えている第2の多孔板12を包含する。
【0061】
第1の多孔板10は第2の多孔板12に対して開放位置へ動かされてもよく、この開放位置において、ガスは第1の多孔板10に設けられている第1の開口11及び第2の多孔板12に設けられている第2の開口13を介して流れることができる。図2において、第1の多孔板10及び第2の多孔板12を包含する右側の閉鎖手段9は、開放位置にある。
【0062】
また、第1の多孔板10は第2の多孔板12に対して閉鎖位置へ動かされてもよく、この閉鎖位置において、第2の多孔板12は第1の多孔板10に設けられている第1の開口11の少なくともひとつを少なくとも部分的に覆って、第1の開口11を流れるガス流れを少なくとも部分的に制限し、また、この閉鎖位置において、第1の多孔板10は第2の多孔板12に設けられている第2の開口13の少なくともひとつを少なくとも部分的に覆って、第2の開口13を流れるガス流を少なくとも部分的に制限する。
【0063】
必ずしもそうとは限らないが、より好ましくは、第1の多孔板10は、第2の多孔板12に対して、第2の多孔板12が第1の多孔板10に設けられているすべての第1の開口11を覆って、ガスが第1の開口11を流れるのを防止し、かつ、これに対応して、第1の多孔板10が第2の多孔板12に設けられているすべての第2の開口13を覆って、ガスが第2の開口13を流れるのを防止するような閉鎖位置へ動かされてもよい。図2において、第1の多孔板10及び第2の多孔板12を包含する左側の閉鎖手段9は、このような閉鎖位置にある。
【0064】
図面に示されている電気的フィルターの分離システムは幾つかのガス流路5を包含し、それぞれのガス流路は第1の多孔板10及び第2の多孔板12を包含する閉鎖手段9を備えている。
【0065】
選択的に、閉鎖手段9は、ガス流路5内において、ガス流れを少なくとも部分的に制限するために、又は、ガス流れを実質的に完全に閉鎖するために、別の種類の構成を備えてもよい。このような構成の例は、回転可能なドア、バタフライ弁、又はこれらに類似するものを包含する。
【0066】
電気的フィルターは、好ましくは、予め定められた所定の順序でガス流路5内の閉鎖手段9を駆動するように構成されている順序付け手段14を包含し、これによって、ガス流れは、ガス流路5内において、予め定められた所定の順序で少なくとも部分的に制限され、又は実質的に完全に閉鎖される。
【0067】
図面に示されている順序付け手段14は、カムシャフト15を包含する。カムシャフト15は、第1の多孔板10が第2の多孔板12に対して開放位置と閉鎖位置との間を予め定められた所定の順序で移動するようにして、第1の多孔板10に作用するように構成されているカム16を備えている。
【0068】
カムシャフト15は、第1の多孔板10及び第2の多孔板12を包含する閉鎖手段9の上方に延び、かつカム16を包含する。このカム16はカムシャフト15によってカムシャフトの長手方向軸線(参照符号によっては示されていない)を中心にして回転し、カムシャフト15はその長手方向軸線を中心にして回転する。
【0069】
カムシャフト15のカム16は、予め定められた所定の順序で、ひとつ又は2つの第1の多孔板10を次の(i)又は(ii)のように持ち上げるように構成される。
(i)ひとつのガス流路5内に配置されているひとつの第1の多孔板10を持ち上げて動かし、これにより、第1の多孔板10に設けられている第1の開口11及び第2の多孔板12に設けられている第2の開口13を流れるガス流れが、分離電極1の一方の側で移動するガス流路5内において、少なくとも部分的に制限されるように、又は実質的に完全に妨げられるようにする。又は、
(ii)同じ分離電極1に隣接する2つの隣接するガス流路5内に配置されている2つの第1の多孔板10を持ち上げて動かし、これにより、第1の多孔板10に設けられている第1の開口11及び第2の多孔板12に設けられている第2の開口13を流れるガス流れが、分離電極1の両側のガス流路5内において、少なくとも部分的に制限されるように、又は、実質的に完全に妨げられるようにする。
【0070】
選択的に、前記(i)は、例えば、排出システムの境界で使用されることに当てはまり、この場合、ガス流路5は、典型的には分離電極1の一方の側においてだけ移動する。例えば、図2に示されている最も外側のガス流路を参照されたい。
【0071】
図面において、第1の多孔板10は、第1の多孔板10に留められているアーム装置17によって、カムに接続される。
【0072】
図面に示されている構成において、第1の多孔板10は、重力によって、開放位置へ戻るように構成されている。降下するときに、第1の多孔板10は、必ずしもそうとは限らないが、好ましくは、振動させられ、これによって、粒子を除去されるように構成される。
【0073】
選択的に、カムシャフト15は、別の構成と置き換えられてもよく、この別の構成は、予め定められた所定の順序で、ひとつの第1の多孔板10を持ち上げるように構成され、これによって、第1の多孔板10に設けられている第1の開口11及び第2の多孔板12に設けられている第2の開口13を流れるガス流れは、振動手段によって振動させられる分離電極に隣接するガス流路内において、少なくとも部分的に制限され、又は実質的に完全に妨げられる。
【0074】
電気的フィルターは、好ましくは、閉鎖手段9及び振動手段8の動作を協調させるように構成された同期手段(図示せず)を包含する。
【0075】
この同期手段は、閉鎖手段9を振動手段8に接続する機械的な装置であってもよい。選択的に、同期手段は、例えば、閉鎖手段9が少なくとも部分的に又は完全にガス流路5を閉鎖したこと、及び、振動手段8がガス流路5に隣接する分離電極1を振動させることができることに関する信号を閉鎖手段9から振動手段8へ送信する装置であってもよい。
【0076】
同期手段は、必ずしもそうとは限らないが、好ましくは、閉鎖手段9がガス流路5内のガス流れを少なくとも部分的に制限し又は実質的に完全に閉鎖するまでは、振動手段8を駆動しないように構成される。
【0077】
同期手段は、必ずしもそうとは限らないが、好ましくは、分離電極1が振動させられた後にある程度の時間が経過してから、閉鎖手段9を開放するように構成される。
【0078】
当業者にはよく知られているように、電気的フィルターは、少なくともひとつの排出電極6を振動させるための装置及びこれに対応して排出電極6に隣接するガス流路5内のガス流れを制限又は閉鎖するための装置を備えてもよい。
【0079】
当業者にはよく知られているように、技術が進歩するにつれて、本発明の基本的な考え方は、様々な形で実施されてもよい。したがって、本発明及びそれの好ましい実施形態は、上述した例に限定されることはなく、特許請求の範囲に記載されている範囲内において様々に変形することができる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】電気的フィルターを示す概略側断面図である。
【図2】閉鎖手段の上部を示す概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的フィルターを濾過中に清浄する方法であって、
粒子を含有するガスを供給手段(4)によって電気的フィルターのチャンバー(2)内へ送り込む段階と、
粒子を含有するガスを、前記チャンバー(2)内に設けられていると共に複数の排出電極(6)を包含する排出システム(3)の複数の分離電極(1)間に形成されているガス流路(5)内へさらに送り込む段階と、
ガス中の粒子を帯電させて、前記分離電極(1)に付着させる段階と、
粒子を少なくとも部分的に除去されたガスを前記排出システム(3)のガス流路(5)から取り出す段階と、
粒子を少なくとも部分的に除去されたガスを排出手段(7)を介して前記チャンバー(2)から取り出す段階と、
前記分離電極(1)に付着した粒子をその分離電極(1)から除去するために、前記分離電極(1)を振動手段(8)によって振動させる段階と、
前記振動手段(8)によって振動させられる分離電極(1)が振動させられるときに、前記振動手段(8)によって振動させられる分離電極(1)に隣接するガス流路(5)内のガス流れを少なくとも部分的に制限する段階と、
を包含する方法において、
前記ガス流路(5)内に配置されていると共に第1の複数の開口(11)を備えている第1の多孔板(10)を、この第1の多孔板(10)と同じガス流路(5)内に配置されていると共に第2の複数の開口(13)を備えている第2の多孔板(12)に対して動かすことによって、ガス流れが制限され、これにより、前記第2の多孔板(12)が前記第1の多孔板(10)に設けられている第1の開口(11)の少なくともひとつを少なくとも部分的に覆って、前記第1の開口(11)を流れるガス流れを制限するようにし、又は、前記第1の多孔板(10)が前記第2の多孔板(12)に設けられている第2の開口(13)の少なくともひとつを少なくとも部分的に覆って、前記第2の開口(13)を流れるガス流れを制限するようにしたことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、前記振動手段(8)によって振動させられる分離電極(1)が振動させられるときに、前記振動手段(8)によって振動させられる分離電極(1)の両側のガス流路(5)内で、ガス流れを少なくとも部分的に制限するようにしたことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の方法において、前記分離電極(1)が振動させられる前に、前記ガス流路(5)内におけるガス流れを制限するようにしたことを特徴とする方法。
【請求項4】
電気的フィルターであって、
チャンバー(2)と、振動手段(8)と、閉鎖手段(9)とを包含し、
前記チャンバー(2)が、
粒子を除去しようとするガスを前記チャンバー(2)内へ送り込むための供給手段(4)と、
複数の分離電極(1)であって、それらの間に、帯電させることのできる複数の排出電極(6)を備えているガス流路(5)を形成する分離電極(1)と、
粒子を除去されたガスを前記チャンバー(2)から排出するための排出手段(7)と、
を包含し、前記振動手段(8)が少なくともひとつの前記分離電極(1)から粒子を振り払うと共に、前記閉鎖手段(9)が前記振動手段(8)によって振動させられる分離電極(1)に隣接するガス流路(5)内のガス流れを少なくとも部分的に制限するようにした電気的フィルターにおいて、
前記閉鎖手段(9)が、前記ガス流路(5)内に配置されていると共に第1の複数の開口(11)を備えている第1の多孔板(10)と、前記ガス流路(5)内に配置されていると共に第2の複数の開口(13)を備えている第2の多孔板(12)とを包含し、
前記第1の多孔板(10)が前記第2の多孔板(12)に対して動くことができ、これにより、ガスが前記第1の多孔板(10)に設けられている第1の開口(11)及び第2の多孔板(12)に設けられている第2の開口(13)を流れることができ、また、
前記第1の多孔板(10)が前記第2の多孔板(12)に対して動くことができ、これにより、前記第2の多孔板(12)が前記第1の多孔板(10)に設けられている第1の開口(11)の少なくともひとつを少なくとも部分的に覆って、前記第1の開口(11)を流れるガス流れを制限するように、又は、前記第1の多孔板(10)が前記第2の多孔板(12)に設けられている第2の開口(13)の少なくともひとつを少なくとも部分的に覆って、前記第2の開口(13)を流れるガス流れを制限するようにしたことを特徴とする電気的フィルター。
【請求項5】
請求項4記載の電気的フィルターにおいて、ガス流れが、前記振動手段(8)によって振動させられる分離電極(1)の両側のガス流路(5)内で、前記閉鎖手段(9)によって少なくとも部分的に制限されることができることを特徴とする電気的フィルター。
【請求項6】
請求項4又は5記載の電気的フィルターにおいて、それぞれの中に閉鎖手段(9)が配置されている、幾つかのガス流路(5)と、それぞれのガス流路(5)内の閉鎖手段(9)を予め定められた所定の順序で駆動するための順序付け手段(14)とを包含し、前記順序付け手段(14)によって、ガス流れが前記ガス流路(5)内で予め定められた所定の順序で少なくとも部分的に制限されることを特徴とする電気的フィルター。
【請求項7】
請求項4又は5記載の電気的フィルターにおいて、それぞれの中に前記第1の多孔板(10)及び第2の多孔板(12)が配置されている、幾つかのガス流路(5)と、カムシャフト(15)を備えている順序付け手段(14)とを包含し、前記カムシャフト(15)が予め定められた順序でそれぞれのガス流路(5)内に配置されている前記第1の多孔板(10)に作用して、前記第1の多孔板(10)を前記第2の多孔板(12)に対して動かすように構成されていることを特徴とする電気的フィルター。
【請求項8】
請求項4〜7のいずれか一項に記載の電気的フィルターにおいて、前記閉鎖手段(9)及び前記振動手段(8)の動作を協調させるように構成されている同期手段(18)を包含することを特徴とする電気的フィルター。
【請求項9】
請求項8記載の電気的フィルターにおいて、前記閉鎖手段(9)が前記ガス流路(5)内のガス流れを少なくとも部分的に制限した後に、前記同期手段が前記振動手段(8)を駆動するように構成されていることを特徴とする電気的フィルター。
【請求項10】
請求項4〜9のいずれか一項に記載の電気的フィルターにおいて、前記第1の多孔板(10)が第2の多孔板(12)に対して閉鎖位置にまで動くことができ、これにより、前記第2の多孔板(12)が前記第1の多孔板(10)に設けられている第1の開口(11)のすべてを覆って、ガス流れが前記第1の開口(11)を流れるのを防止し、かつ、これに対応して、前記第1の多孔板(10)が第2の多孔板(12)に設けられている第2の開口(13)のすべてを覆って、ガス流れが前記第2の開口(13)を流れるのを防止することを特徴とする電気的フィルター。


【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−514516(P2007−514516A)
【公表日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516227(P2006−516227)
【出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【国際出願番号】PCT/FI2004/000370
【国際公開番号】WO2004/112967
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(503416353)アルストム テクノロジー リミテッド (394)
【氏名又は名称原語表記】ALSTOM Technology Ltd
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 7, CH−5401 Baden, Switzerland
【Fターム(参考)】