説明

電気音響変換器

【課題】本発明では、簡易な構造としつつ、強度を高めることができ、また、電気エネルギーから音響エネルギーへ効率良く変換を行うことができるアクチュエータ、電気音響変換器、及び電気音響変換器を備えた電子機器を提供することを目的とする。
【解決手段】上記目的を達成するために、本発明のアクチュエータは、加熱することで記憶している形状に戻る形状記憶合金からなる形状記憶板と、前記形状記憶板の両面を狭持し、前記両面間で電流を通電して加熱することによって前記形状記憶板を記憶している形状に戻し、前記両面間で電流の通電を停止することによって弾力で前記形状記憶板を変形させる2層の加熱用電極層とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータ、電気音響変換機器、及び電気音響変換機器を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機等の電子機器に搭載する電気音響変換器は、例えば、永久磁石及びボイスコイルからなる動電型電気音響変換器、又は圧電セラミックを使用した圧電型電気音響変換器などがある。しかし、いずれの電気音響変換器も小型化は困難である。そのため、小型化を目指して形状記憶合金を利用した電気音響変換器が、特許文献1又は特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭60−153099号公報
【特許文献2】特開2007−150523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1に示した発明においては、振動膜を振動させるために、逆の温度特性を持つ2個1組の形状記憶合金を備える必要があり、電気音響変換器の構造及び制御が複雑になるという問題点があった。
【0005】
上述した特許文献2に示した発明においては、形状記憶合金として双方向性形状記憶合金を使用しており、精密な温度管理が必要となるため、電気音響変換器の動作の確実性及び制御が複雑になるという問題点があった。
【0006】
そこで、本発明では、簡易な構造としつつ、強度を高めることができ、また、電気エネルギーから音響エネルギーへ効率良く変換を行うことができるアクチュエータ、電気音響変換器、及び電気音響変換器を備えた電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のアクチュエータは、加熱することで記憶している形状に戻る形状記憶合金からなる形状記憶板と、前記形状記憶板の両面を狭持し、前記両面間で電流を通電して加熱することによって前記形状記憶板を記憶している形状に戻し、前記両面間で電流の通電を停止することによって弾力で前記形状記憶板を変形させる2層の加熱用電極層とを備える。
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の電気音響変換器は、加熱することで記憶している形状に戻る形状記憶合金からなる形状記憶板、及び前記形状記憶板の両面を狭持し、前記両面間で電流を通電して加熱することによって前記形状記憶板を記憶している形状に戻し、前記両面間で電流の通電を停止することによって弾力で前記形状記憶板を変形させる2層の加熱用電極層を有するアクチュエータと、前記2層の加熱用電極層のうち一方の加熱用電極層の外側に密着し、高分子材料からなる振動膜とを備える。
【0009】
また、上記目的を達成するために、本発明の電気音響変換器は、加熱することで記憶している形状に戻る形状記憶合金からなる形状記憶板、及び前記形状記憶板の両面を狭持し、前記両面間で電流を通電して加熱することによって前記形状記憶板を記憶している形状に戻し、前記両面間で電流の通電を停止することによって弾力で前記形状記憶板を変形させる2層の加熱用電極層を有する2個のアクチュエータと、前記2個のアクチュエータの間で、前記2層の加熱用電極層のうち一方の加熱用電極層に密着し、高分子材料からなる振動膜とを備える。
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の電気音響変換器を備えた電子機器は、加熱することで記憶している形状に戻る形状記憶合金からなる形状記憶板、及び前記形状記憶板の両面を狭持し、前記両面間で電流を通電して加熱することによって前記形状記憶板を記憶している形状に戻し、前記両面間で電流の通電を停止することによって弾力で前記形状記憶板を変形させる2層の加熱用電極層を有するアクチュエータと、前記2層の加熱用電極層のうち一方の加熱用電極層の外側に密着し、高分子材料からなる振動膜と、を有する電気音響変換器を備える。
【0011】
また、上記目的を達成するために、本発明の電気音響変換器を備えた電子機器は、加熱することで記憶している形状に戻る形状記憶合金からなる形状記憶板、及び前記形状記憶板の両面を狭持し、前記両面間で電流を通電して加熱することによって前記形状記憶板を記憶している形状に戻し、前記両面間で電流の通電を停止することによって弾力で前記形状記憶板を変形させる2層の加熱用電極層を有する2個のアクチュエータと、前記2個のアクチュエータの間で、前記2層の加熱用電極層のうち一方の加熱用電極層に密着し、高分子材料からなる振動膜とを有する電気音響変換器を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、簡易な構造としつつ、強度を高めることができ、また、電気エネルギーから音響エネルギーへ効率良く変換を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のアクチュエータの実施形態の概略図である。
【図2】本発明のアクチュエータの実施形態の概略図である。
【図3】本発明のアクチュエータの実施形態の概略図である。
【図4】本発明のアクチュエータの実施形態の概略図である。
【図5】本発明の電気音響変換器の実施形態の概略図である。
【図6】本発明の電気音響変換器の実施形態の概略図である。
【図7】本発明の電気音響変換器の実施形態の概略図である。
【図8】本発明の電気音響変換器の実施形態の概略図である。
【図9】本発明の電気音響変換器の実施形態の概略図である。
【図10】本発明の電気音響変換器の実施形態の概略図である。
【図11】本発明の電気音響変換器の実施形態の概略図である。
【図12】本発明の電気音響変換器の実施形態の概略図である。
【図13】本発明の電気音響変換器の実施形態の概略図である。
【図14】本発明の電子機器の実施形態の概略図である。
【図15】本発明の電子機器の実施形態の概略図である。
【図16】本発明の電子機器の実施形態の概略図である。
【図17】本発明の電子機器の実施形態の概略図である。
【図18】本発明の電子機器の実施形態の概略図である。
【図19】本発明の電子機器の実施形態の概略図である。
【図20】本発明の電子機器の実施形態の概略図である。
【図21】本発明の電子機器の実施形態の概略図である。
【図22】本発明の実施例について音圧レベルの特性比較を行った図である。
【図23】本発明の実施例に係る携帯電話機を示す図である。
【図24】本発明の実施例に係るラップトップ型コンピュータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施の例であり、本発明は、以下の実施の例に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0015】
(アクチュエータの実施形態)
まず、図1を参照して、本発明のアクチュエータの実施形態を説明する。図1は、本発明のアクチュエータの構成の概略図である。図1に示すように、形状記憶板10−1は、加熱することで記憶している形状に戻る形状記憶合金からなる。形状記憶板10−1の材質は、例えば、チタン及びニッケルの合金、又はチタン及びニッケルの合金に銅、コバルト、若しくはラジウムを配合したものである。形状記憶板の厚みは、10μm以上2mm以下であることが好ましい。2層の加熱用電極層11−1は、形状記憶板10−1の両面を狭持し、両面間で電流を通電して加熱することによって形状記憶板10−1を記憶している形状に戻し、両面間で電流の通電を停止することによって弾力で形状記憶板10−1を変形させる。なお、形状記憶板10−1が、加熱用電極層11−1の通電時に、記憶している形状に戻る力は、加熱用電極層11−1の弾力より大きく、形状記憶板10−1が、加熱用電極層11−1の停止時に、記憶している形状に戻る力は、加熱用電極層11−1の弾力より小さい。なお、加熱用電極層の1層の厚みは、5μm以上100μm以下であることが好ましい。
【0016】
説明したように、加熱用電極層11−1に通電された電気エネルギーから、形状記憶板10−1が変形することで発生する音響エネルギーへ効率良くエネルギー変換を行うことができる。さらに、形状記憶板10−1及び加熱用電極層11−1のみの簡易な構造としつつ、形状記憶板10−1及び加熱用電極層11−1による積層構造とすることによって、アクチュエータの強度を高めることができる。
【0017】
次に、図2を参照して、本発明のアクチュエータの実施形態を説明する。図2は、本発明のアクチュエータの構成の概略図である。図2に示すように、加熱用電極層11−2の少なくとも一方の加熱用電極層11−2と密着し、弾力で形状記憶板10−2を変形させる弾性部材12−1を有してもよい。なお、弾性部材12−1の材質は、例えば、金属や樹脂金属複合材料などである。
【0018】
説明したように、図1の構成に加え、さらに、弾性部材12−1が形状記憶板10−2を変形させる補助を行うため、アクチュエータの強度を高めることができる。
【0019】
次に、図3を参照して、本発明のアクチュエータの実施形態を説明する。図3は、本発明のアクチュエータの構成の概略図である。図3に示すように、形状記憶板10−3と2層の加熱用電極層11−3のうち少なくとも一方の加熱用電極層11−3との間に熱伝導材13−1を有してもよい。熱伝導材13−1の材質は、例えば、銅、銀、又はカーボンファイバーである。なお、熱伝導材の熱伝導率は100W/mk以上であることが好ましい。
【0020】
説明したように、図1の構成に加え、さらに、熱伝導材13−1が加熱用電極層11−3からの発熱を効率的に形状記憶板10−3へと伝えるため、アクチュエータの強度を高めることができる。
【0021】
次に、図4を参照して、本発明のアクチュエータの実施形態を説明する。図4は、本発明のアクチュエータの構成の概略図である。図4に示すように、加熱用電極層11−4の少なくとも一方の加熱用電極層11−4と密着し、圧電セラミック14−1及び圧電セラミック14−1に電圧を印加する駆動用電極層15−1を備えてもよい。なお、圧電セラミックの材質は、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)である。
【0022】
説明したように、図1の構成に加え、さらに、圧電セラミック14−1及び駆動用電極層15−1が形状記憶板10−4を変形させる補助を行うため、アクチュエータの強度を高めることができる。
【0023】
(電気音響変換器1の実施形態)
まず、図5を参照して、本発明の電気音響変換器の実施形態を説明する。図5は、本発明の電気音響変換器の構成の概略図である。なお、図1から図4で説明した要素については説明を省略する。図5に示すように、アクチュエータは、形状記憶板10−5、及び2層の加熱用電極層11−5を有する。また、振動膜16−1は、2層の加熱用電極層11−5のうち一方の加熱用電極層11−5の外側に密着し、有機高分子材料からなる。有機高分子材料は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリウレタンである。なお、振動膜16−1の厚みは、5μm以上1000μm以下であることが好ましい。ここで、振動膜の基本共振周波数fは、振動膜の質量をm、長さをL、コンプライアンスをCとすると、以下の数式で求められる。

よって、振動膜16−1の材質、又は厚みを変更することで、振動膜16−1の基本共振周波数を変更することができる。
【0024】
説明したように、加熱用電極層11−5に通電された電気エネルギーから、形状記憶板10−5が変形することで発生する音響エネルギーへ効率良くエネルギー変換を行うことができる。さらに、材質、構造を変更可能な振動膜16−1を使用することで、基本共振周波数を変更できるため、形状記憶板10−5及び加熱用電極層11−5に振動膜16−1を加えた簡易な構造としつつ、電気音響変換器が発生する音圧レベルを調整することができる。そして、振動膜16−1は有機高分子材料を使用することで、衝撃から電気音響変換器を保護できるため、使用環境への耐性も高めることができる。
【0025】
次に、図6を参照して、本発明の電気音響変換器の実施形態を説明する。図6は、本発明の電気音響変換器の構成の概略図である。図6に示すように、アクチュエータは、加熱用電極層11−6と振動膜16−2との間又は加熱用電極層11−6の振動膜16−2と反対側に、弾力で形状記憶板10−6を変形させる弾性部材12−2を有してもよい。弾性部材12−2の材質は、例えば、金属や樹脂金属複合材料などである。
【0026】
説明したように、図5の構成に加え、さらに、弾性部材12−2が形状記憶板10−6を変形させる補助を行うため、簡易な構造としつつ、電気音響変換器の音圧レベルを調整できる。また、振動膜16−2に有機高分子材料を使用することで、衝撃から電気音響変換器を保護できるため、使用環境への耐性も高めることができる。
【0027】
次に、図7を参照して、本発明の電気音響変換器の実施形態を説明する。図7は、本発明の電気音響変換器の構成の概略図である。図7に示すように、アクチュエータは、形状記憶板10−7と2層の加熱用電極層11−7のうち少なくとも一方の加熱用電極層11−7との間に熱伝導材13−2を有してもよい。熱伝導材13−2の材質は、例えば、銅、銀、又はカーボンファイバーである。なお、熱伝導材の熱伝導率は100W/mk以上であることが好ましい。また、図8に示すように、アクチュエータを包むように熱伝導材13−3を配置してもよい。
【0028】
説明したように、図5の構成に加え、さらに、図7において、熱伝導材13−2が加熱用電極層11−7からの発熱を効率的に形状記憶板10−7へと伝えるため、簡易な構造としつつ、電気音響変換器の音圧レベルを調整できる。
【0029】
次に、図9を参照して、本発明の電気音響変換器の実施形態を説明する。図9は、本発明の電気音響変換器の構成の概略図である。図9に示すように、アクチュエータは、加熱用電極層11−9と振動膜16−5との間に、圧電セラミック14−2及び圧電セラミック14−2に電圧を印加する駆動用電極層15−2を備えてもよい。なお、圧電セラミックの材質は、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)である。
【0030】
説明したように、図5の構成に加え、さらに、圧電セラミック14−2及び駆動用電極層15−2が形状記憶板10−9を変形させる補助を行うため、簡易な構造としつつ、電気音響変換器の音圧レベルを調整できる。
【0031】
(電気音響変換器2の実施形態)
まず、図10を参照して、本発明の電気音響変換器の実施形態を説明する。図10は、本発明の電気音響変換器の構成の概略図である。なお、図1から図9で説明した要素については説明を省略する。図10に示すように、2個のアクチュエータはそれぞれ、形状記憶板10−10、及び2層の加熱用電極層11−10を有する。振動膜16−6は、2層の加熱用電極層11−10のうち一方の加熱用電極層11−10に密着し、有機高分子材料からなる。有機高分子材料は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリウレタンである。なお、振動膜16−6の厚みは、5μm以上1000μm以下であることが好ましい。
【0032】
説明したように、加熱用電極層11−10に通電された電気エネルギーから、形状記憶板10−10が変形することで発生する音響エネルギーへ効率良くエネルギー変換を行うことができる。また、振動膜16−6の両面にアクチュエータを配置したため、より大容量のエネルギーの変換を実現できる。そして、材質、構造を変更可能な振動膜16−6を使用することで、基本共振周波数を変更できるため、形状記憶板10−10及び加熱用電極層11−10に振動膜16−6を加えた簡易な構造としつつ、電気音響変換器が発生する音圧レベルを調整することができる。さらに、振動膜16−6は有機高分子材料を使用することで、衝撃から電気音響変換器を保護できるため、使用環境への耐性も高めることができる。
【0033】
次に、図11を参照して、本発明の電気音響変換器の実施形態を説明する。図11は、本発明の電気音響変換器の構成の概略図である。図11に示すように、2個のアクチュエータのうち、少なくとも一方は、加熱用電極層11−11と、振動膜16−7との間又は加熱用電極層11−11の振動膜16−7と反対側に、弾力で形状記憶板10−11を変形させる弾性部材12−3を有してもよい。なお、弾性部材の材質は、例えば、金属や樹脂金属複合材料などである。
【0034】
説明したように、図10の構成に加えて、さらに、弾性部材12−3が形状記憶板10−11を変形させる補助を行うため、簡易な構造としつつ、電気音響変換器の音圧レベルを調整できる。
【0035】
次に、図12を参照して、本発明の電気音響変換器の実施形態を説明する。図12は、本発明の電気音響変換器の構成の概略図である。図12に示すように、2個のアクチュエータのうち、少なくとも一方は、形状記憶板10−12と2層の加熱用電極層11−12のうち少なくとも一方の加熱用電極層11−12との間に熱伝導材13−4を有してもよい。熱伝導材の材質は、例えば、銅、銀、又はカーボンファイバーである。なお、熱伝導材の熱伝導率は100W/mk以上であることが好ましい。
【0036】
説明したように、図10の構成に加えて、さらに、熱伝導材13−4が加熱用電極層11−12からの発熱を効率的に形状記憶板10−12へと伝えるため、簡易な構造としつつ、電気音響変換器の音圧レベルを調整できる。
【0037】
次に、図13を参照して、本発明の電気音響変換器の実施形態を説明する。図13は、本発明の電気音響変換器の構成の概略図である。図13に示すように、2個のアクチュエータのうち、少なくとも一方は、加熱用電極層11−13と振動膜16−9との間に、圧電セラミック14−3及び圧電セラミック14−3に電圧を印加する駆動用電極層15−3を備えてもよい。圧電セラミックの材質は、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)である。
【0038】
以上説明したように、図10に示した構成に加えて、さらに、圧電セラミック14−3及び駆動用電極層15−3が形状記憶板10−13を変形させる補助を行うため、簡易な構造としつつ、電気音響変換器の音圧レベルを調整できる。
【0039】
(電子機器1の実施形態)
まず、図14を参照して、本発明の電子機器の実施形態を説明する。図14は、本発明の電子機器の構成の概略図である。なお、図1から図13で説明した要素については説明を省略する。図14に示すように、アクチュエータは、形状記憶板10−14、及び2層の加熱用電極層11−14を有する。振動膜16−10は、2層の加熱用電極層11−14のうち一方の加熱用電極層11−14の外側に密着し、有機高分子材料からなる。有機高分子材料は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリウレタンである。なお、振動膜16−10の厚みは、5μm以上1000μm以下であることが好ましい。支持体17−1は、電子機器に備えられ、電気音響変換器の振動膜16−10の両端を固定する。振動膜16−10から振動エネルギーを効率良く伝播させるためには、伝達振動量に対してある程度の剛性を持つ材料であることが好ましい。
【0040】
説明したように、加熱用電極層11−14に通電された電気エネルギーから、形状記憶板10−14が変形することで発生する音響エネルギーへ効率良くエネルギー変換を行うことができる。また、材質、構造を変更可能な振動膜16−10を使用することで、基本共振周波数を変更できるため、形状記憶板10−14及び加熱用電極層11−14に振動膜16−10を加えた簡易な構造としつつ、電気音響変換器が発生する音圧レベルを調整することができる。また、振動膜16−10は有機高分子材料を使用することで、衝撃から電気音響変換器を保護できるため、使用環境への耐性も高めることができる。
【0041】
次に、図15を参照して、本発明の電子機器の実施形態を説明する。図15は、本発明の電子機器の構成の概略図である。図15に示すように、アクチュエータは、加熱用電極層11−15と振動膜16−11との間又は加熱用電極層11−15の振動膜16−11と反対側に、弾力で形状記憶板10−15を変形させる弾性部材12−4を有してもよい。弾性部材の材質は、例えば、金属や樹脂金属複合材料などである。
【0042】
説明したように、図14の構成に加えて、さらに、弾性部材12−4が形状記憶板10−15を変形させる補助を行うため、簡易な構造としつつ、電気音響変換器の音圧レベルを調整できる。
【0043】
次に、図16を参照して、本発明の電子機器の実施形態を説明する。図16は、本発明の電子機器の構成の概略図である。図16に示すように、アクチュエータは、形状記憶板10−16と2層の加熱用電極層11−16のうち少なくとも一方の加熱用電極層11−16との間に熱伝導材13−5を有してもよい。なお、熱伝導材13−5の材質は、例えば、銅、銀、又はカーボンファイバーである。なお、熱伝導材の熱伝導率は100W/mk以上であることが好ましい。
【0044】
説明したように、図14の構成に加えて、さらに、熱伝導材13−5が加熱用電極層11−16からの発熱を効率的に形状記憶板10−16へと伝えるため、簡易な構造としつつ、電気音響変換器の音圧レベルを調整できる。
【0045】
次に、図17を参照して、本発明の電子機器の実施形態を説明する。図17は、本発明の電子機器の構成の概略図である。図17に示すように、アクチュエータは、さらに、加熱用電極層11−17と振動膜16−13との間に、圧電セラミック14−4及び圧電セラミック14−4に電圧を印加する駆動用電極層15−4を備えてもよい。なお、圧電セラミック14−4の材質は、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)である。
【0046】
説明したように、図14の構成に加えて、さらに、圧電セラミック14−4及び駆動用電極層15−4が形状記憶板10−17を変形させる補助を行うため、簡易な構造としつつ、電気音響変換器の音圧レベルを調整できる。
【0047】
(電子機器2の実施形態)
まず、図18を参照して、本発明の電子機器の実施形態を説明する。図18は、本発明の電子機器の構成の概略図である。なお、図1から図17で説明した要素については説明を省略する。図18に示すように、2個のアクチュエータはそれぞれ、形状記憶板10−18、及び2層の加熱用電極層11−18を有する。振動膜16−14は、2層の加熱用電極層11−18のうち一方の加熱用電極層11−18に密着し、有機高分子材料からなる。有機高分子材料は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリウレタンである。なお、振動膜16−14の厚みは、5μm以上1000μm以下であることが好ましい。
【0048】
説明したように、加熱用電極層11−18に通電された電気エネルギーから、形状記憶板10−18が変形することで発生する音響エネルギーへ効率良くエネルギー変換を行うことができる。また、振動膜16−14の両面にアクチュエータを配置したため、より大容量のエネルギーの変換を実現できる。そして、材質、構造を変更可能な振動膜16−14を使用することで、基本共振周波数を変更できるため、形状記憶板10−18及び加熱用電極層11−18に振動膜16−14を加えた簡易な構造としつつ、電気音響変換器が発生する音圧レベルを調整することができる。さらに、振動膜16−14は有機高分子材料を使用することで、衝撃から電気音響変換器を保護できるため、使用環境への耐性も高めることができる。
【0049】
次に、図19を参照して、本発明の電子機器の実施形態を説明する。図19は、本発明の電子機器の構成の概略図である。図19に示すように、2個のアクチュエータのうち、少なくとも一方は、加熱用電極層11−19と、振動膜16−15との間又は加熱用電極層11−19の振動膜16−15と反対側に、弾力で形状記憶板10−19を変形させる弾性部材12−5を有してもよい。なお、弾性部材の材質は、例えば、金属や樹脂金属複合材料などである。
【0050】
説明したように、図18の構成に加え、さらに、弾性部材12−5が形状記憶板10−19を変形させる補助を行うため、簡易な構造としつつ、電気音響変換器の音圧レベルを調整できる。
【0051】
次に、図20を参照して、本発明の電子機器の実施形態を説明する。図20は、本発明の電子機器の構成の概略図である。図20に示すように、2個のアクチュエータのうち、少なくとも一方は、形状記憶板10−20と2層の加熱用電極層11−20のうち少なくとも一方の加熱用電極層11−20との間に熱伝導材13−6を有してもよい。なお、熱伝導材の材質は、例えば、銅、銀、又はカーボンファイバーである。なお、熱伝導材の熱伝導率は100W/mk以上であることが好ましい。
【0052】
説明したように、図18の構成に加え、さらに、熱伝導材13−6が加熱用電極層11−20からの発熱を効率的に形状記憶板10−20へと伝えるため、簡易な構造としつつ、電気音響変換器の音圧レベルを調整できる。
【0053】
次に、図21を参照して、本発明の電子機器の実施形態を説明する。図21は、本発明の電子機器の構成の概略図である。図21に示すように、2個のアクチュエータのうち、少なくとも一方は、加熱用電極層11−21と振動膜16−17との間に、圧電セラミック14−5及び圧電セラミック14−5に電圧を印加する駆動用電極層15−5を備えてもよい。なお、圧電セラミックの材質は、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)である。
【0054】
説明したように、図18の構成に加え、さらに、圧電セラミック14−5及び駆動用電極層15−5が形状記憶板10−21を変形させる補助を行うため、簡易な構造としつつ、電気音響変換器の音圧レベルを調整できる。
【実施例】
【0055】
本発明の電気音響変換器の特性評価を、評価1から評価3の3つの評価項目で行った。
(評価1)音圧レベル周波数特性の測定
交流電圧1V入力時の音圧レベルを、電気音響変換器から所定距離だけ離れた位置に設置したマイクロホンによって測定した。なお、この所定距離は、特に明記しない限り10cmであり、周波数の測定範囲は10Hzから10kHzとした。
(評価2)音圧レベル周波数特性の平坦性測定
交流電圧1V入力時の音圧レベルを、電気音響変換器から所定距離だけ離れた位置に配置したマイクロホンによって測定した。周波数の測定範囲は10Hzから10kHzとし、2kHzから10kHzの測定範囲において、最大音圧レベルPmaxと最小音圧レベルPminとの音圧レベル差により、音圧レベル周波数特性の平坦性を測定した。その結果、最大音圧レベルPmaxと最小音圧レベルPminとの差である音圧レベル差が、20dB以内を○とし、20dB以上を×とした。この所定距離は、特に明記しない限り10cmである。
(評価3)落下衝撃試験
電気音響変換器を搭載した携帯電話を50cm直上から、5回自然落下させた。落下衝撃試験後の割れ等の破壊を目視で確認し、さらに、試験後の音圧レベル特性を測定した。その結果、試験前の音圧レベルと試験後の音圧レベルとの差である音圧レベル差が3dB以内を○とし、3dBを×とした。
【0056】
以下に、実施例と比較例の評価結果を記載する。なお、評価1の音圧レベル周波数特性を実施例と比較例で比較した結果を図22にまとめて記載する。
【0057】
(実施例1)
本発明の図5に示した電気音響変換器の特性評価を実施した。評価結果は以下の通りである。
音圧レベル(1kHz) :84dB
音圧レベル(3kHz) :82dB
音圧レベル(5kHz) :81dB
音圧レベル(10kHz) :85dB
音圧レベル周波数特性の平坦性 :○
落下衝撃安定性 :○
上記の結果より明らかのように、本実施例の電気音響変換器によれば、音圧レベル周波数特性は平坦であり、大音量の再生が可能であり、高い信頼性を有することが実証された。
【0058】
(比較例1)
従来の動電型電気音響変換器について、同様の試験を行った。
音圧レベル(1kHz) :77dB
音圧レベル(3kHz) :75dB
音圧レベル(5kHz) :76dB
音圧レベル(10kHz) :97dB
音圧レベル周波数特性の平坦性 :×
落下衝撃安定性 :×
【0059】
(実施例2)
本発明の図8に示した電気音響変換器の特性評価を実施した。評価結果は以下の通りである。
音圧レベル(1kHz) :83dB
音圧レベル(3kHz) :85dB
音圧レベル(5kHz) :83dB
音圧レベル(10kHz) :87dB
音圧レベル周波数特性の平坦性 :○
落下衝撃安定性 :○
上記の結果より明らかのように、本実施例の電気音響変換器によれば、実施例1と同等の特性を有しており、音圧レベル周波数特性は平坦であり、大音量の再生が可能であり、高い信頼性を有することが実証された。
【0060】
(実施例3)
本発明の図7に示した電気音響変換器の特性評価を実施した。評価結果は以下の通りである。
音圧レベル(1kHz) :86dB
音圧レベル(3kHz) :85dB
音圧レベル(5kHz) :83dB
音圧レベル(10kHz) :81dB
音圧レベル周波数特性の平坦性 :○
落下衝撃安定性 :○
上記の結果より明らかのように、本実施例の電気音響変換器によれば、実施例1と同等の特性を有しており、音圧レベル周波数特性は平坦であり、大音量の再生が可能であり、高い信頼性を有することが実証された。
【0061】
(実施例4)
本発明の図9に示した電気音響変換器の特性評価を実施した。評価結果は以下の通りである。
音圧レベル(1kHz) :81dB
音圧レベル(3kHz) :82dB
音圧レベル(5kHz) :80dB
音圧レベル(10kHz) :80dB
音圧レベル周波数特性の平坦性 :○
落下衝撃安定性 :○
上記の結果より明らかのように、本実施例の電気音響変換器によれば、実施例1と同等の特性を有しており、音圧レベル周波数特性は平坦であり、大音量の再生が可能であり、高い信頼性を有することが実証された。
【0062】
(実施例5)
本発明の図6に示した電気音響変換器の特性評価を実施した。評価結果は以下の通りである。
音圧レベル(1kHz) :79dB
音圧レベル(3kHz) :80dB
音圧レベル(5kHz) :83dB
音圧レベル(10kHz) :81dB
音圧レベル周波数特性の平坦性 :○
落下衝撃安定性 :○
上記の結果より明らかのように、本実施例の電気音響変換器によれば、実施例1と同等の特性を有しており、音圧レベル周波数特性は平坦であり、大音量の再生が可能であり、高い信頼性を有することが実証された。
【0063】
(実施例6)
図23に示すような携帯電話機の電気音響変換機の設置場所100−1に、実施例1で試験を行った電気音響変換器を搭載し、電気音響変換器から10cm離れた位置に配置したマイクロホンにより、音圧レベルと周波数特性とを測定した。また、落下衝撃試験も行った。評価結果は以下の通りである。
音圧レベル(1kHz) :79dB
音圧レベル(3kHz) :80dB
音圧レベル(5kHz) :82dB
音圧レベル(10kHz) :81dB
音圧レベル周波数特性の平坦性 :○
落下衝撃安定性 :○
落下衝撃試験は、5回落下後において測定され、電気音響変換器の割れは見られず、音圧レベル(1kHz)を測定したところ77dBであった。
【0064】
(実施例7)
図23に示すような携帯電話機の電気音響変換機の設置場所100−1に、実施例2で試験を行った電気音響変換器を搭載し、電気音響変換器から10cm離れた位置に配置したマイクロホンにより、音圧レベルと周波数特性とを測定した。また、落下衝撃試験も行った。評価結果は以下の通りである。
音圧レベル(1kHz) :81dB
音圧レベル(3kHz) :78dB
音圧レベル(5kHz) :81dB
音圧レベル(10kHz) :83dB
音圧レベル周波数特性の平坦性 :○
落下衝撃安定性 :○
落下衝撃試験は、5回落下後において測定され、電気音響変換器の割れは見られず、音圧レベル(1kHz)を測定したところ78dBであった。
【0065】
(実施例8)
図23に示すような携帯電話機の電気音響変換機の設置場所100−1に、実施例3で試験を行った電気音響変換器を搭載し、電気音響変換器から10cm離れた位置に配置したマイクロホンにより、音圧レベルと周波数特性とを測定した。また、落下衝撃試験も行った。評価結果は以下の通りである。
音圧レベル(1kHz) :83dB
音圧レベル(3kHz) :81dB
音圧レベル(5kHz) :84dB
音圧レベル(10kHz) :85dB
音圧レベル周波数特性の平坦性 :○
落下衝撃安定性 :○
落下衝撃試験は、5回落下後において測定され、電気音響変換器の割れは見られず、音圧レベル(1kHz)を測定したところ81dBであった。
【0066】
(実施例9)
図23に示すような携帯電話機の電気音響変換機の設置場所100−1に、実施例4で試験を行った電気音響変換器を搭載し、電気音響変換器から10cm離れた位置に配置したマイクロホンにより、音圧レベルと周波数特性とを測定した。また、落下衝撃試験も行った。評価結果は以下の通りである。
音圧レベル(1kHz) :81dB
音圧レベル(3kHz) :80dB
音圧レベル(5kHz) :82dB
音圧レベル(10kHz) :82dB
音圧レベル周波数特性の平坦性 :○
落下衝撃安定性 :○
落下衝撃試験は、5回落下後において測定され、電気音響変換器の割れは見られず、音圧レベル(1kHz)を測定したところ79dBであった。
【0067】
(実施例10)
図23に示すような携帯電話機の電気音響変換機の設置場所100−1に、実施例5で試験を行った電気音響変換器を搭載し、電気音響変換器から10cm離れた位置に配置したマイクロホンにより、音圧レベルと周波数特性とを測定した。また、落下衝撃試験も行った。評価結果は以下の通りである。
音圧レベル(1kHz) :77dB
音圧レベル(3kHz) :81dB
音圧レベル(5kHz) :79dB
音圧レベル(10kHz) :86dB
音圧レベル周波数特性の平坦性 :○
落下衝撃安定性 :○
落下衝撃試験は、5回落下後において測定され、電気音響変換器の割れは見られず、音圧レベル(1kHz)を測定したところ75dBであった。
【0068】
(実施例11)
図24に示すようなラップトップ型コンピュータの電気音響変換機の設置場所100−2に、実施例1で試験を行った電気音響変換器を搭載し、電気音響変換器から10cm離れた位置に配置したマイクロホンにより、音圧レベルと周波数特性とを測定した。また、落下衝撃試験も行った。評価結果は以下の通りである。
音圧レベル(1kHz) :77dB
音圧レベル(3kHz) :80dB
音圧レベル(5kHz) :82dB
音圧レベル(10kHz) :79dB
音圧レベル周波数特性の平坦性 :○
落下衝撃安定性 :○
落下衝撃試験は、5回落下後において測定され、電気音響変換器の割れは見られず、音圧レベル(1kHz)を測定したところ75dBであった。
【0069】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
加熱することで記憶している形状に戻る形状記憶合金からなる形状記憶板と、
前記形状記憶板の両面を狭持し、前記両面間で電流を通電して加熱することによって前記形状記憶板を記憶している形状に戻し、前記両面間で電流の通電を停止することによって弾力で前記形状記憶板を変形させる2層の加熱用電極層と、を備えるアクチュエータ。
(付記2)
前記加熱用電極層の少なくとも一方の加熱用電極層と密着し、弾力で前記形状記憶板を変形させる弾性部材を有することを特徴とする付記1に記載のアクチュエータ。
(付記3)
前記形状記憶板と前記2層の加熱用電極層のうち少なくとも一方の加熱用電極層との間に熱伝導材を有することを特徴とする付記1又は2に記載のアクチュエータ。
(付記4)
前記加熱用電極層の少なくとも一方の加熱用電極層と密着し、圧電セラミック及び前記圧電セラミックに電圧を印加する駆動用電極層を備えることを特徴とする付記1から3のいずれかに記載のアクチュエータ。
(付記5)
加熱することで記憶している形状に戻る形状記憶合金からなる形状記憶板、及び前記形状記憶板の両面を狭持し、前記両面間で電流を通電して加熱することによって前記形状記憶板を記憶している形状に戻し、前記両面間で電流の通電を停止することによって弾力で前記形状記憶板を変形させる2層の加熱用電極層を有するアクチュエータと、
前記2層の加熱用電極層のうち一方の加熱用電極層の外側に密着し、高分子材料からなる振動膜と、を備える電気音響変換器。
(付記6)
前記アクチュエータは、前記加熱用電極層と前記振動膜との間又は前記加熱用電極層の前記振動膜と反対側に、弾力で前記形状記憶板を変形させる弾性部材を有することを特徴とする付記5に記載の電気音響変換器。
(付記7)
前記アクチュエータは、前記形状記憶板と前記2層の加熱用電極層のうち少なくとも一方の加熱用電極層との間に熱伝導材を有することを特徴とする付記5又は6に記載の電気音響変換器。
(付記8)
前記アクチュエータは、前記加熱用電極層と前記振動膜との間に、圧電セラミック及び前記圧電セラミックに電圧を印加する駆動用電極層を備えることを特徴とする付記5から7のいずれかに記載の電気音響変換器。
(付記9)
加熱することで記憶している形状に戻る形状記憶合金からなる形状記憶板、及び前記形状記憶板の両面を狭持し、前記両面間で電流を通電して加熱することによって前記形状記憶板を記憶している形状に戻し、前記両面間で電流の通電を停止することによって弾力で前記形状記憶板を変形させる2層の加熱用電極層を有する2個のアクチュエータと、
前記2個のアクチュエータの間で、前記2層の加熱用電極層のうち一方の加熱用電極層に密着し、高分子材料からなる振動膜と、を備える電気音響変換器。
(付記10)
前記2個のアクチュエータのうち、少なくとも一方は、前記加熱用電極層と、前記振動膜との間又は前記加熱用電極層の前記振動膜と反対側に、弾力で前記形状記憶板を変形させる弾性部材を有することを特徴とする付記9に記載の電気音響変換器。
(付記11)
前記2個のアクチュエータのうち、少なくとも一方は、前記形状記憶板と前記2層の加熱用電極層のうち少なくとも一方の加熱用電極層との間に熱伝導材を有することを特徴とする付記9又は10に記載の電気音響変換器。
(付記12)
前記2個のアクチュエータのうち、少なくとも一方は、前記加熱用電極層と前記振動膜との間に、圧電セラミック及び前記圧電セラミックに電圧を印加する駆動用電極層を備えることを特徴とする付記9から11のいずれかに記載の電気音響変換器。
(付記13)
加熱することで記憶している形状に戻る形状記憶合金からなる形状記憶板、及び前記形状記憶板の両面を狭持し、前記両面間で電流を通電して加熱することによって前記形状記憶板を記憶している形状に戻し、前記両面間で電流の通電を停止することによって弾力で前記形状記憶板を変形させる2層の加熱用電極層を有するアクチュエータと、
前記2層の加熱用電極層のうち一方の加熱用電極層の外側に密着し、高分子材料からなる振動膜と、を有する電気音響変換器を備えた電子機器。
(付記14)
前記アクチュエータは、前記加熱用電極層と前記振動膜との間又は前記加熱用電極層の前記振動膜と反対側に、弾力で前記形状記憶板を変形させる弾性部材を有することを特徴とする付記13に記載の電子機器。
(付記15)
前記アクチュエータは、前記形状記憶板と前記2層の加熱用電極層のうち少なくとも一方の加熱用電極層との間に熱伝導材を有することを特徴とする付記13又は14に記載の電子機器。
(付記16)
前記アクチュエータは、さらに、前記加熱用電極層と前記振動膜との間に、圧電セラミック及び前記圧電セラミックに電圧を印加する駆動用電極層を備えることを特徴とする付記13から15のいずれかに記載の電子機器。
(付記17)
加熱することで記憶している形状に戻る形状記憶合金からなる形状記憶板、及び前記形状記憶板の両面を狭持し、前記両面間で電流を通電して加熱することによって前記形状記憶板を記憶している形状に戻し、前記両面間で電流の通電を停止することによって弾力で前記形状記憶板を変形させる2層の加熱用電極層を有する2個のアクチュエータと、
前記2個のアクチュエータの間で、前記2層の加熱用電極層のうち一方の加熱用電極層に密着し、高分子材料からなる振動膜とを有する電気音響変換器を備える電子機器。
(付記18)
前記2個のアクチュエータのうち、少なくとも一方は、前記加熱用電極層と、前記振動膜との間又は前記加熱用電極層の前記振動膜と反対側に、弾力で前記形状記憶板を変形させる弾性部材を有することを特徴とする付記17に記載の電子機器。
(付記19)
前記2個のアクチュエータのうち、少なくとも一方は、前記形状記憶板と前記2層の加熱用電極層のうち少なくとも一方の加熱用電極層との間に熱伝導材を有することを特徴とする付記17又は18に記載の電子機器。
(付記20)
前記2個のアクチュエータのうち、少なくとも一方は、前記加熱用電極層と前記振動膜との間に、圧電セラミック及び前記圧電セラミックに電圧を印加する駆動用電極層を備えることを特徴とする付記17から19のいずれかに記載の電子機器。
【符号の説明】
【0070】
10−1,10−2,10−3,10−4,10−5,10−6,10−7,10−8,10−9,10−10,10−11,10−12,10−13,10−14,10−15,10−16,10−17,10−18,10−19,10−20,10−21:形状記憶板
11−1,11−2,11−3,11−4,11−5,11−6,11−7,11−8,11−9,11−10,11−11,11−12,11−13,11−14,11−15,11−16,11−17,11−18,11−19,11−20,11−21:加熱用電極層
12−1,12−2,12−3,12−4,12−5:弾性部材
13−1,13−2,13−3,13−4,13−5,13−6:熱伝導材
14−1,14−2,14−3,14−4,14−5:圧電セラミック
15−1,15−2,15−3,15−4,15−5:駆動用電極層
16−1,16−2,16−3,16−4,16−5,16−6,16−7,16−8,16−9,16−10,16−11,16−12,16−13,16−14,16−15,16−16,16−17:振動膜
17−1,17−2,17−3,17−4,17−5,17−6,17−7,17−8:支持体
100−1,100−2:電気音響変換機の設置場所

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱することで記憶している形状に戻る形状記憶合金からなる形状記憶板と、
前記形状記憶板の両面を狭持し、前記両面間で電流を通電して加熱することによって前記形状記憶板を記憶している形状に戻し、前記両面間で電流の通電を停止することによって弾力で前記形状記憶板を変形させる2層の加熱用電極層と、を備えるアクチュエータ。
【請求項2】
前記加熱用電極層の少なくとも一方の加熱用電極層と密着し、弾力で前記形状記憶板を変形させる弾性部材を有することを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記形状記憶板と前記2層の加熱用電極層のうち少なくとも一方の加熱用電極層との間に熱伝導材を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記加熱用電極層の少なくとも一方の加熱用電極層と密着し、圧電セラミック及び前記圧電セラミックに電圧を印加する駆動用電極層を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のアクチュエータ。
【請求項5】
加熱することで記憶している形状に戻る形状記憶合金からなる形状記憶板、及び前記形状記憶板の両面を狭持し、前記両面間で電流を通電して加熱することによって前記形状記憶板を記憶している形状に戻し、前記両面間で電流の通電を停止することによって弾力で前記形状記憶板を変形させる2層の加熱用電極層を有するアクチュエータと、
前記2層の加熱用電極層のうち一方の加熱用電極層の外側に密着し、高分子材料からなる振動膜と、を備える電気音響変換器。
【請求項6】
前記アクチュエータは、前記加熱用電極層と前記振動膜との間又は前記加熱用電極層の前記振動膜と反対側に、弾力で前記形状記憶板を変形させる弾性部材を有することを特徴とする請求項5に記載の電気音響変換器。
【請求項7】
前記アクチュエータは、前記形状記憶板と前記2層の加熱用電極層のうち少なくとも一方の加熱用電極層との間に熱伝導材を有することを特徴とする請求項5又は6に記載の電気音響変換器。
【請求項8】
加熱することで記憶している形状に戻る形状記憶合金からなる形状記憶板、及び前記形状記憶板の両面を狭持し、前記両面間で電流を通電して加熱することによって前記形状記憶板を記憶している形状に戻し、前記両面間で電流の通電を停止することによって弾力で前記形状記憶板を変形させる2層の加熱用電極層を有する2個のアクチュエータと、
前記2個のアクチュエータの間で、前記2層の加熱用電極層のうち一方の加熱用電極層に密着し、高分子材料からなる振動膜と、を備える電気音響変換器。
【請求項9】
加熱することで記憶している形状に戻る形状記憶合金からなる形状記憶板、及び前記形状記憶板の両面を狭持し、前記両面間で電流を通電して加熱することによって前記形状記憶板を記憶している形状に戻し、前記両面間で電流の通電を停止することによって弾力で前記形状記憶板を変形させる2層の加熱用電極層を有するアクチュエータと、
前記2層の加熱用電極層のうち一方の加熱用電極層の外側に密着し、高分子材料からなる振動膜と、を有する電気音響変換器を備える電子機器。
【請求項10】
加熱することで記憶している形状に戻る形状記憶合金からなる形状記憶板、及び前記形状記憶板の両面を狭持し、前記両面間で電流を通電して加熱することによって前記形状記憶板を記憶している形状に戻し、前記両面間で電流の通電を停止することによって弾力で前記形状記憶板を変形させる2層の加熱用電極層を有する2個のアクチュエータと、
前記2個のアクチュエータの間で、前記2層の加熱用電極層のうち一方の加熱用電極層に密着し、高分子材料からなる振動膜とを有する電気音響変換器を備える電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2011−239159(P2011−239159A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−108693(P2010−108693)
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】