説明

電池収納部のシール装置及び電池収納部へのパッキンの取り付け方法

【課題】本発明は、電池蓋が取り付けられる電子機器側に柔軟性と弾力性を有するパッキ
ンを取り付ける構成とし、パッキンの取り付け時に、捩れなどによって正規の位置からず
れる状態とならない取り付けが可能な技術を提供する。
【解決手段】電子機器の本体側と電池蓋との間が円形状のパッキンによってシールされる
電池収納部のシール装置において、電池収納部の周縁部には、シール部が配置される円形
状の配置部、及び電池収納部から配置部へ連通するよう取り付け脚部の挿入溝が形成され
、パッキンは柔軟性と弾力性を有し、円形状のシール部とシール部から下方へ延びた複数
の取り付け脚部が形成され、シール部には、複数の取り付け脚部の部分からそれぞれ円形
状のシール部の中心軸線上で結合する切断可能な支持辺と、支持辺の結合部に形成した摘
み部を形成したこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボタン型電池を使用する電子機器における電池収納部のシール装置及び電池
収納部へのパッキンの取り付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器にボタン型電池を使用する際、この電池は、電子機器に形成した電池収納部に
収納された状態で、電子機器に電池蓋が取り付けられるが、この場合、電子機器と電池蓋
との間がシール用パッキンによって水密的に保たれることにより、電池収納部が防水構造
となるものがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−273648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そもそも、このような電子機器と電池蓋との間に用いられるパッキンは、この部分で電
子機器全体の厚さが増すことがないように、パッキンの厚さが制限される。特許文献1の
ものは、電池蓋の裏側周縁に形成した外向きの溝に、パッキンの基部が挿入された状態で
、電池蓋の裏側周縁に亘って取り付けられた状態であるため、パッキンをかなり引っ張り
ながら、電池蓋の外向きの溝にパッキンの基部を挿入した後、電池蓋の裏側周縁に接着す
ることとなろうから、パッキンが十分な伸張性と復元性を有するものでなければならない
。その場合、上記のように、パッキンの厚さが制限されることから、その材質が特定され
ると共に、取り付け作業の面倒さが伴う。
【0005】
このような点に鑑み、本発明は、電池蓋が取り付けられる電子機器側にパッキンを取り
付ける構成とすることにより、特許文献1のような課題を解決する。そして、パッキンを
接着しない取り付けとし、その場合、パッキンを正規の位置へ配置するための作業性の向
上が図れる技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明は、電源として用いられるボタン型電池が収納される電池収納部が電子機器の
本体側に形成され、前記電池収納部に着脱自在に取り付けられる電池蓋を備え、前記電子
機器の本体側と前記電池蓋との間が円形状のパッキンによってシールされる電池収納部の
シール装置において、
前記電池収納部の周縁部には、円形状の配置部、及び前記電池収納部から前記配置部へ
連通するよう挿入溝が形成され、
前記パッキンは、柔軟性と弾力性を有し、前記円形状の配置部に配置される円形状のシ
ール部と、前記シール部から下方へ延び前記挿入溝に嵌め合う関係の複数の取り付け脚部
が間隔を存して形成され、
前記シール部には、前記複数の取り付け脚部の部分からそれぞれ前記円形状のシール部
の中心軸線上で結合する切断可能な支持辺と、前記支持辺の結合部に形成した摘み部を形
成した
ことを特徴とする電池収納部のシール装置である。
ことを特徴とする。
【0007】
第2発明は、電源として用いられるボタン型電池が収納される電池収納部が電子機器の
本体側に形成され、前記電池収納部に着脱自在に取り付けられる電池蓋を備え、前記電子
機器の本体側と前記電池蓋との間が円形状のパッキンによってシールされる電池収納部の
シール装置において、
前記パッキンは、柔軟性と弾力性を有し、円形状のシール部と前記シール部から下方へ
延びた複数の取り付け脚部が間隔を存して形成され、
前記電池蓋と前記電池収納部の周縁部には、前記電池蓋の正方向回動に伴って相互に係
止し逆方向回動に伴って離脱するよう複数の蓋側係止突起と本体側係止突起が間隔を存し
て形成され、
前記電池収納部の周縁部には、前記シール部の下部が収容される円形状溝の配置部、及
び前記本体側係止突起間に前記電池収納部から前記配置部へ連通するよう前記取り付け脚
部の挿入溝が形成され、
前記取り付け脚部は、横断面形状が前記シール部の半径方向に長い長円形状または矩形
状をなし、
前記挿入溝の溝幅が、前記取り付け脚部の前記長円形状の短径または前記矩形状の短辺
と嵌り合う寸法をなし、
前記シール部には、前記複数の取り付け脚部の部分からそれぞれ前記円形状のシール部
の中心軸線上で結合する切断可能な支持辺と、前記支持辺の結合部に形成した摘み部を形
成した
ことを特徴とする電池収納部のシール装置である。
【0008】
第3発明は、電源として用いられるボタン型電池が収納される電池収納部が電子機器の
本体側に形成され、前記電池収納部に着脱自在に取り付けられる電池蓋を備え、前記電子
機器の本体側と前記電池蓋との間が円形状のパッキンによってシールされる電池収納部の
シール装置において、
前記電池収納部の周縁部には、円形状の配置部、及び前記電池収納部から前記配置部へ
連通するよう挿入溝が形成され、
前記パッキンは、柔軟性と弾力性を有し、前記円形状の配置部に配置される円形状のシ
ール部と、前記シール部から下方へ延び前記挿入溝に嵌め合う関係の複数の取り付け脚部
が間隔を存して形成され、
前記シール部は、前記複数の取り付け脚部の部分からそれぞれ前記円形状のシール部の
中心軸線上で結合する切断可能な支持辺と、前記支持辺の結合部に形成した摘み部を形成
し、
前記取り付け脚部が前記挿入溝に挿入され且つ前記シール部が前記円形状の配置部に配
置された状態で、前記支持辺の前記円形状のシール部側の付け根部を切断する
ことを特徴とするパッキンの取り付け方法である。
【発明の効果】
【0009】
パッキンを電池収納部の周縁部に取り付ける場合、摘み部を指で摘んだ状態で、取り付
け脚部が挿入溝に対応する状態に位置決めし、その状態から、電池収納部から取り付け脚
部の一つを挿入溝の一つに挿入し、同様にして、順次他の取り付け脚部を挿入溝に挿入す
る。このため、柔軟性と弾力性を有するパッキンの取り扱いが容易となり、パッキンを電
池収納部の周縁部に取り付ける作業がし易く、且つ、パッキンを捩れのない状態で、配置
部へ配置することができるようになる。
【0010】
そして、全ての取り付け脚部が各挿入溝に挿入された状態で、各支持辺のシール部側の
付け根部分をカッタで切断する。なお、取り付け脚部の一つを挿入溝の一つに挿入する都
度、その取り付け脚部に対応する支持辺のシール部側の付け根部分をカッタで切断し、順
次他の取り付け脚部を挿入溝に挿入するごとに、支持辺のシール部側の付け根部分をカッ
タで切断することでもよい。
【0011】
取り付け脚部の横断面形状が円形の場合は、各取り付け脚部を順々に挿入溝に嵌め込ん
でいく場合に捩れが生じて、取り付け脚部間の円形状のシール部の一部に弛みや引っ張り
が生じ、このシール部の一部が配置部の正規位置に配置されない状態となる虞がある。し
かし、第2発明によって、取り付け脚部を横断面形状がシール部の半径方向に長い長円形
状または矩形状とし、取り付け脚部が挿入される挿入溝の溝幅が、取り付け脚部の短径、
または短辺が嵌り合う寸法であるため、各取り付け脚部は、対応する挿入溝に嵌め込まれ
る方向が定まることとなり、上記のような捩れが生じず、パッキンの取り付け時に、円形
状のシール部が配置部の正規位置からずれる状態とならず、電池蓋と電池収納部との間の
防水効果が良好となる。
【0012】
また、第2発明では、電池収納部の周縁部に、本体側係止突起、及びシール部の下部が
収容される円形状溝の配置部が形成され、更に、本体側係止突起間に電池収納部から配置
部へ連通するよう取り付け脚部の挿入溝が形成されている。これにより、パッキンの取り
付け及び配置が的確となり、電池蓋と電池収納部との間の防水効果が良好となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る電気機器の裏側斜視図である。
【図2】本発明に係る電気機器の電池収納部の断面図である。
【図3】本発明に係る電気機器の電池収納部の表側から見た分解斜視図である。
【図4】本発明に係る電気機器の電池収納部の裏側から見た斜視図である。
【図5】本発明に係るパッキンの切断前の一部を拡大で示す裏側から見た平面図である。
【図6】本発明に係るパッキンの切断前の側面図である。
【図7】本発明に係るパッキンの取り付け脚部が挿入される挿入溝部分の斜視図である。
【図8】本発明に係るパッキンの取り付け脚部の部分を拡大して示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、電源として用いられるボタン型電池が収納される電池収納部が電子機器の本
体側に形成され、前記電池収納部に着脱自在に取り付けられる電池蓋を備え、前記電子機
器の本体側と前記電池蓋との間が円形状のパッキンによってシールされる電池収納部のシ
ール装置において、前記電池収納部の周縁部には、円形状の配置部、及び前記電池収納部
から前記配置部へ連通するよう挿入溝が形成され、前記パッキンは、柔軟性と弾力性を有
し、前記円形状の配置部に配置される円形状のシール部と、前記シール部から下方へ延び
前記挿入溝に嵌め合う関係の複数の取り付け脚部が間隔を存して形成され、前記シール部
には、前記複数の取り付け脚部の部分からそれぞれ前記円形状のシール部の中心軸線上で
結合する切断可能な支持辺と、前記支持辺の結合部に形成した摘み部を形成したものであ
る。
【実施例1】
【0015】
先ず、本発明に係る電子機器1を図に基づき説明する。電子機器1は、非接触ICカー
ド等のようなカード形態であったり、他の機器と無線によって情報交換する携帯端末機器
であったり、種々のタイプがある。カードのような薄い電子機器1において本発明の効果
が十分発揮できることを説明するために、図に示す実施例の電子機器1は、非接触ICカ
ード等のようなカード形態である場合について記載する。
【0016】
電子機器1は、変形し難い矩形状形態をなすように合成樹脂成形された本体側2を構成
する外装ケース2に、電子部品が取り付けられ所定の電気配線が形成されたプリント配線
基板3と、外装ケース2の裏側からプリント配線基板3に向かって電池収納部4が貫通形
成され、この電池収納部4に電子機器1の電源用である円板状のボタン型の電池6等が収
容され、外装ケース2の裏側から電池収納部4に着脱自在に合成樹脂成形された電池蓋5
が取り付けられている。
【0017】
プリント配線基板3は、周縁部が外装ケース2の段差部に接着され、表側が外装ケース
2の段差部に接着されたカバー7によって覆われる。電池6とプリント配線基板3との電
気的接続は、電池6が電池収納部4に収容された状態で、電池6のプラス電極側はプリン
ト配線基板3の取り付けた導電性の板バネ8と接触し、電池6のマイナス電極側は、電池
6とプリント配線基板3との間に介在した導電性の板バネ9と接触することによって達成
される。
【0018】
電子機器1の本体側2である外装ケース2と電池蓋5との間の隙間は、円形状のパッキ
ン10によってシールされ、この部分が防水構造となっている。パッキン10は、柔軟性
と弾性を有するシリコンゴム等の製品であり、円形状のシール部11と、シール部11か
ら下方へ延びた複数の取り付け脚部12が間隔を存して形成されている。
【0019】
電池収納部4の周縁部には全周にわたってフランジ13が形成され、このフランジ13
の上面(外装ケース2の裏側面)が、パッキン10の配置部14をなしており、配置部1
4には、シール部11が配置される。配置部14は、シール部11の下部が収容されるた
めの円形状の溝14Aによって形成されている。
【0020】
パッキン10は、そのシール部11が、電池蓋5との接触面が電池蓋5に向かって尖っ
た円周面11Aを形成すると共に、取り付け脚部12は、シール部11から下方へ延び、
その先端には抜け止め用の鍔部12Aが形成されている。
【0021】
フランジ13には、電池収納部4から配置部14の溝14Aへ連通する方向へ長く、取
り付け脚部12が挿入される長孔形状の挿入溝15が形成されている。各取り付け脚部1
2は、取り付け脚部12の横断面形状が円形の場合と、図7及び図8に示すように、横断
面形状がシール部11の半径方向Yに長い長円形状または矩形状をなす形態がある。取り
付け脚部12の横断面形状が円形の場合は、挿入溝15の溝幅T2が、取り付け脚部12
と嵌り合う寸法をなす。
【0022】
また、取り付け脚部12が、図7及び図8に示すように、横断面形状がシール部11の
半径方向Yに長い長円形状または矩形状をなす場合は、図7に示す挿入溝15の溝幅T2
が、取り付け脚部12の長円形状の短径または矩形状の短辺12Pと嵌り合う寸法をなす
。この場合、取り付け脚部12の長円形状の長径または矩形状の長辺12Qが、挿入溝1
5の溝幅T2よりも十分大きい寸法とすることによって、長径または長辺12Bが挿入溝
15に嵌ることがなく、取り付け脚部12の短径または短辺12Pが正確に挿入溝15に
嵌り合う状態とすることができる。
【0023】
電池蓋5を電池収納部4に着脱自在に取り付ける構成は種々あるが、本発明では、電池
蓋5が電池収納部4にしっかりと固定されるようにするために、電池蓋5と電池収納部4
の周縁部には、電池蓋5の正方向回動に伴って相互に係止し逆方向回動に伴って離脱する
よう、複数の蓋側係止突起16と本体側係止突起17が、それぞれ間隔を存して形成され
ている。電池蓋5が外装ケース2へ安定的に取り付けられるようにするために、図示のも
のは、蓋側係止突起16が、電池蓋5の裏側に直径D1で形成した円周凸部5Pから半径
方向に延出形成され、本体側係止突起17は、外装ケース2の電池収納部4の周縁のフラ
ンジ13に形成され、各蓋側係止突起16と各本体側係止突起17は、それぞれ120度
間隔を存して形成されている。
【0024】
このため、電池蓋5に120度ピッチで形成した蓋側係止突起16を、電池収納部4の
周縁部に120度ピッチに形成した案内切り欠き18に一致させ、その状態から電池蓋5
の表面に形成した弧状溝5Aにコインをあてがって、電池蓋5を正方向へ回動させること
により、蓋側係止突起16が本体側係止突起17に係止して、電池蓋5が外装ケース2に
取り付けられる。また、この状態から、電池蓋5を逆方向へ回動させて、蓋側係止突起1
6が本体側係止突起17から外れた状態で、電池蓋5を外装ケース2から取り外すことが
できる。
【0025】
本発明では、パッキン10を電池収納部4の周縁部に取り付ける作業がし易く、且つ、
取り付け脚部12パッキン10を捩れのない状態で、配置部14へ配置することができる
ようにする技術を提供する。このため、パッキン10は、図5及び図6に示すように、シ
ール部11に、複数の取り付け脚部12の部分から、それぞれ円形状のシール部11の中
心軸線CJ上で結合するように延びた支持辺SHと、支持辺SHの結合部に突出形成した
摘み部TMを一体に形成している。支持辺SHは、シール部11と同一平面上において、
円形状のシール部11の中心で結合するように延びた状態であってもよいが、摘み部TM
を摘まんだ際の安定性と、後述の取り付け時の作業性を考慮すれば、図6に示すように、
シール部11と同一平面上から少しずれた中心軸線CJ上(図6では上方へずれた位置)
で結合する構成が好ましい。
【0026】
このような構成において、外装ケース2にプリント配線基板3が取り付けられた状態で
、パッキン10を配置部14に取り付ける。この取り付けは、パッキン10の摘み部TM
を指で摘んだ状態で、取り付け脚部12が挿入溝15に対応する状態に位置決めし、その
状態から、鍔部12Aをフランジ13の下面に当接させつつ、電池収納部4から取り付け
脚部12の一つを挿入溝15の一つに挿入し、同様にして、順次他の取り付け脚部12を
挿入溝15に挿入する。
【0027】
取り付け脚部12の横断面形状が円形の場合、各取り付け脚部12を順々に挿入溝15
に嵌め込んでいく際に捩れが生じた場合は、取り付け脚部12相互間の円形状のシール部
11の一部に弛みや引っ張りが生じ、このシール部11の一部が配置部14の正規位置に
配置されない状態となる虞がある。これを防止する方策として、取り付け脚部12の横断
面形状がシール部11の半径方向(Y方向)に長い長円形状または矩形状とし、取り付け
脚部12が挿入される挿入溝15の溝幅T2が、取り付け脚部12の短径12Pまたは短
辺12Pが嵌り合う寸法とすることにより、各取り付け脚部12が対応する挿入溝15に
嵌め込まれる方向が定まることとなり、上記のような捩れが生じず、パッキン10の取り
付け時に、円形状のシール部11が配置部14の正規位置からずれる状態とならず、電池
蓋5と電池収納部4との間の防水効果が良好となる。
【0028】
そして、全ての取り付け脚部12が各挿入溝15に挿入され、シール部11全体が円形
状の溝14Aに収納された状態で、パッキン10の取り付けが終了する。この取り付けに
よって、シール部11は、尖った円周面11Aが円形状の溝14Aから露出した状態に、
その下部が円形状の溝14Aに収容された状態となる。そして、鍔部12Aがフランジ1
3の下面に当接して抜け止め状態となり、シール部11を円形状の溝14Aに安定的に保
持した状態となる。
【0029】
そして、全ての取り付け脚部12が各挿入溝15に挿入され、シール部11全体が円形
状の溝14Aに収納された状態で、図5に拡大で示すように、各支持辺SHのシール部1
1側の付け根部分をカッタCTで切断する。なお、取り付け脚部12の一つを挿入溝15
の一つに挿入する都度、その取り付け脚部12に対応する支持辺SHのシール部11側の
付け根部分をカッタCTで切断し、順次他の取り付け脚部12を挿入溝15に挿入するご
とに、支持辺SHのシール部11側の付け根部分をカッタCTで切断することでもよい。
【0030】
このように、本発明では、支持辺SHと摘み部TMを備えるため、パッキン10の横断
面形状が円形の場合でも、柔軟性と弾力性を有するパッキン10の取り扱いが容易となり
、パッキン10を電池収納部4の周縁部に取り付ける際に、取り付け脚部12を各挿入溝
15に対応する状態に位置決めし易くなり、パッキン10を捩れのない状態で、配置部1
4へ配置することができるようになる。また、図5に示すように、取り付け脚部12に対
応する位置で、支持辺SHがシール部11に連結されているため、摘み部TMを指で摘ん
だ状態でのパッキン10の姿勢が安定し、取り付け脚部12を挿入溝15に挿入する際の
位置決めがし易くなる。
【0031】
このようにパッキン10を取り付け、各支持辺SHのシール部11側の付け根部分をカ
ッタCTで切断した状態で、板バネ8と板バネ9に接触する状態に電池6を電池収納部4
に収容する。そして、電池蓋5の蓋側係止突起16を、電池収納部4の案内切り欠き18
に一致させる状態に、電池蓋5を電池収納部4に臨ませる。このとき、電池蓋5の裏側に
形成した円周凸部5Pで囲まれた直径D1の凹部は、電池6の最大直径D2の部分が収容
される状態となる。その状態から電池蓋5の表面に形成した弧状溝5Aにコインをあてが
って、電池蓋5を正方向へ回動させることにより、電池蓋5がシール部11の尖った円周
面11Aに当接しつつ、蓋側係止突起16が本体側係止突起17に係止して、電池蓋5の
裏面にシール部11が全周で密着し、電池蓋5が外装ケース2に保持される。
【0032】
図示のものは、電池6の厚さが略1.6mm、電池蓋5は厚さt2が略0.5mmであ
り、電池蓋5の裏側に形成した直径D1の凹部周囲の円周凸部5Pを含む厚さが略1.8
mmである。また、パッキン10のシール部11の厚さが略1mmであり、溝14Aの深
さが略0.6mmであり、シール部11の尖った円周面11Aを含む略半分の部分が溝1
4Aから露出した状態で、シール部11が溝14Aに収納された状態である。
【0033】
また、電池6の交換などの際は、この状態から、電池蓋5を逆方向へ回動させて、蓋側
係止突起16が本体側係止突起17から外れた状態で、電池蓋5を外装ケース2から取り
外し、電池6を電池収納部4から取り出すことができる。
【0034】
本発明に係る電池収納部のシール装置は、上記のように、パッキンを接着しない取り付
けとすることにより、パッキンの配置部14への接着剤の塗布が不要となり、且つ、組み
立て時に接着剤の乾燥時間を確保するための工程も不要となる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明に係る電池収納部のシール装置は、上記実施例に示した構成に限定されず、種々
の形態のものに適用できるものであり、本発明の技術範囲において種々の形態を包含する
ものである。
【符号の説明】
【0036】
1・・・・・電子機器
2・・・・・本体側である外装ケース
3・・・・・プリント配線基板
4・・・・・電池収納部
5・・・・・電池蓋
6・・・・・電池
7・・・・・カバー
8・・・・・プラス側板バネ
9・・・・・マイナス側板バネ
10・・・・パッキン
11・・・・シール部
11A・・・尖った円周面
12・・・・取り付け脚部
12A・・・鍔部
13・・・・フランジ
14・・・・配置部
14A・・・円形状の溝
15・・・・挿入溝
16・・・・蓋側係止突起
17・・・・本体側係止突起
SH・・・・支持辺
TM・・・・摘み部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源として用いられるボタン型電池が収納される電池収納部が電子機器の本体側に形成
され、前記電池収納部に着脱自在に取り付けられる電池蓋を備え、前記電子機器の本体側
と前記電池蓋との間が円形状のパッキンによってシールされる電池収納部のシール装置に
おいて、
前記電池収納部の周縁部には、円形状の配置部、及び前記電池収納部から前記配置部へ
連通するよう挿入溝が形成され、
前記パッキンは、柔軟性と弾力性を有し、前記円形状の配置部に配置される円形状のシ
ール部と、前記シール部から下方へ延び前記挿入溝に嵌め合う関係の複数の取り付け脚部
が間隔を存して形成され、
前記シール部には、前記複数の取り付け脚部の部分からそれぞれ前記円形状のシール部
の中心軸線上で結合する切断可能な支持辺と、前記支持辺の結合部に形成した摘み部を形
成した
ことを特徴とする電池収納部のシール装置。
【請求項2】
電源として用いられるボタン型電池が収納される電池収納部が電子機器の本体側に形成
され、前記電池収納部に着脱自在に取り付けられる電池蓋を備え、前記電子機器の本体側
と前記電池蓋との間が円形状のパッキンによってシールされる電池収納部のシール装置に
おいて、
前記パッキンは、柔軟性と弾力性を有し、円形状のシール部と前記シール部から下方へ
延びた複数の取り付け脚部が間隔を存して形成され、
前記電池蓋と前記電池収納部の周縁部には、前記電池蓋の正方向回動に伴って相互に係
止し逆方向回動に伴って離脱するよう複数の蓋側係止突起と本体側係止突起が間隔を存し
て形成され、
前記電池収納部の周縁部には、前記シール部の下部が収容される円形状溝の配置部、及
び前記本体側係止突起間に前記電池収納部から前記配置部へ連通するよう前記取り付け脚
部の挿入溝が形成され、
前記取り付け脚部は、横断面形状が前記シール部の半径方向に長い長円形状または矩形
状をなし、
前記挿入溝の溝幅が、前記取り付け脚部の前記長円形状の短径または前記矩形状の短辺
と嵌り合う寸法をなし、
前記シール部には、前記複数の取り付け脚部の部分からそれぞれ前記円形状のシール部
の中心軸線上で結合する切断可能な支持辺と、前記支持辺の結合部に形成した摘み部を形
成した
ことを特徴とする電池収納部のシール装置。
【請求項3】
電源として用いられるボタン型電池が収納される電池収納部が電子機器の本体側に形成
され、前記電池収納部に着脱自在に取り付けられる電池蓋を備え、前記電子機器の本体側
と前記電池蓋との間が円形状のパッキンによってシールされる電池収納部のシール装置に
おいて、
前記電池収納部の周縁部には、円形状の配置部、及び前記電池収納部から前記配置部へ
連通するよう挿入溝が形成され、
前記パッキンは、柔軟性と弾力性を有し、前記円形状の配置部に配置される円形状のシ
ール部と、前記シール部から下方へ延び前記挿入溝に嵌め合う関係の複数の取り付け脚部
が間隔を存して形成され、
前記シール部は、前記複数の取り付け脚部の部分からそれぞれ前記円形状のシール部の
中心軸線上で結合する切断可能な支持辺と、前記支持辺の結合部に形成した摘み部を形成
し、
前記取り付け脚部が前記挿入溝に挿入され且つ前記シール部が前記円形状の配置部に配
置された状態で、前記支持辺の前記円形状のシール部側の付け根部を切断する
ことを特徴とするパッキンの取り付け方法である。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−154878(P2011−154878A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15502(P2010−15502)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(302071092)テガ三洋工業株式会社 (244)
【Fターム(参考)】