説明

電池蓋ロック構造

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電池蓋のロック構造に関し、特に、携帯型電子機器の電源スイッチに連動する電池蓋のロック構造に関する。
【0002】
【従来の技術】図9は従来の電池蓋のロック構造を示す電子機器、例えば電子手帳の背面図である。
【0003】図9において、電子手帳100はつまみ101を有する筐体ケース102および断面矢じり型の突起103を有する電池蓋104からなる。電池105は筐体ケース102の電池収納部に収納され、電池蓋104が矢印A方向にスライドされ突起103が筐体ケース102と嵌合することにより、電池蓋104は電池収納部を覆って筐体ケース102に固定される。
【0004】図10は図9に示したつまみ101周辺の要部拡大図である。
【0005】図10において、つまみ101のつまみノブ106は筐体ケース102に設けられた開口部110内に位置している。また、つまみ101の側面には2つの突起109が形成されている。
【0006】電源スイッチ107のスイッチノブ108はつまみ101の2つの突起109間に配置され、つまみノブ106がONの位置にあるとき、電源がONとなり、ロック解除の位置にあるとき、電源がOFFとなる。図8では電源ONの状態を示している。
【0007】また、つまみ101の端部はON状態において電池蓋104に形成されたL字突起111に係合して電池蓋104が外れないように、電池蓋104をロックしている。
【0008】一方、ロック解除状態ではつまみ101の端部が電池蓋104から外れるので、電池蓋104のスライド摺動が可能になる。
【0009】このように、従来の電池蓋のロック構造では、電源ONの状態で電池105が不測に抜かれたりしないように、電源用のつまみにより電池蓋のロックを行っている。
【0010】この種の電池蓋のロック構造は、例えば特開平7−7278号公報に記載されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年、益々の軽薄短小化が進むこの種の携帯型電子機器においては当然、筐体の肉厚も薄型化の一途をたどっている。特に動作用電池蓋は概長方形の薄板形をしており、特に電池蓋短辺の平行方向にスライド摺動して動作用電池蓋の着脱を行う機構の場合、ロック箇所が1箇所ではロック力が不十分であり、仮にロック状態(電源ON状態)であったとしても、装置を不測に落としてしまう等して装置に落下衝撃がかかると、動作用電池蓋及び動作用電池が脱落して装置の誤動作が生じる。
【0012】また、電源スイッチ操作用の操作つまみの作動力が基本的に電源スイッチのノブの作動力だけにより、操作つまみのポジショニングがロック状態からロック解除状態にする時とロック解除状態からロック状態にする場合の操作つまみ作動力に大きな差異が無い。
【0013】したがって、操作つまみに掛かる外的な弱い力により操作つまみが摺動してしまい不測にロック解除状態になってしまったり、使用者が安易につまみを操作して意図せずロック解除状態になってしまいそのことに使用者が気づかずにいて何らかの外力により動作用電池蓋及び動作用電池が脱落し装置の誤動作が生じてしまう。
【0014】本発明の目的は、上述した課題を解決して、信頼性の向上した電池蓋のロック構造を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の電池蓋ロック構造は、電池を収容した筺体ケースの前記電池の収容部分を覆う薄板状の電池蓋に隣接して配置され、電源スイッチに連動するつまみと、前記つまみの前記電池蓋の一辺に対向する部分に所定の間隔で設けた少なくとも2箇所の突起と、前記電池蓋の前記一辺に形成され、前記つまみを前記一辺に沿って移動することによって前記少なくとも2箇所の突起と同時に係合して前記電池蓋をロックする係合部と、前記つまみの前記ロック時と反対方向への移動によって前記少なくとも2箇所の突起と前記係合部との係合を解除してロックを解除することを特徴とする。
【0016】また、つまみ先端に突起を有する薄板状弾性片を設け動作用電池蓋のロック解除の前後でのみ筐体カバーに設けた凸部に突起が乗り越える事による抵抗を持たせることを特徴とする。
【0017】さらに電池蓋につまみの突起と嵌合する溝を有する薄板状突起2ケと断面矢じり形のフック2ケが筐体カバーに嵌合することを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】次に本発明について図面を参照して詳細に説明する。
【0019】図1は本発明の一実施例の一部透視した上面図である。図2は、図1に示したつまみ1の動作を示す図で、(a)は電源OFF状態を示し、(b)は電池蓋のロック解除状態を示している。図3は図2に示したつまみ1の弾性片アーム22と筐体カバー3の突起の位置関係を示す断面図、図4は図2に示したつまみ1の電源スイッチノブ19の挟持状態を示す断面図、図5は図2R>2に示した電池蓋フック23と筐体カバー3との嵌合状態を示す断面図である。図6は、図2に示したつまみ1と電池蓋2とのロック状態を示す断面図である。
【0020】携帯用電子機器は、電池蓋2、筐体カバー3、および筐体ケース4で構成される。
【0021】筐体カバー3と筐体ケース4とはねじ6にて固定されていて、電池蓋2はスライドして筐体カバー3と筐体ケース4とに係合する。
【0022】筐体カバー3の電池蓋2付近には開口部33が設けられ、この開口部33からはつまみ1のつまみノブ28が突出している。つまみ1は電源スイッチ8による電源のON/OFFと電池蓋2のロックおよびロック解除とを行なう機能を有している。
【0023】電源スイッチ8は3ポジションのスライドスイッチであり、それぞれのポジションに電源ON/OFF/電池蓋ロック解除の機能を持たせている。
【0024】つまみ1は2箇所の突起21が電源スイッチ8のスイッチノブ19を挟持し、つまみノブ28が筐体カバー3の開口部33から突出することによりつまみノブ28とスイッチノブ19が連動して機構的に操作可能となる。
【0025】略長方形薄板状電池蓋2から突出した突起25および29は筐体カバー3に設けられた穴39を介して筐体カバー3に挿入され、突起25および29にそれぞれ設けられた溝26及び30には、つまみノブ28のポジションON及びOFFの場合につまみ1に一定の間隔を持って配置した突起24および27が合致係合する。これにより電池蓋2のスライド摺動をロック可能とする。
【0026】また、つまみ本体部1から延長された弾性を有するアーム22の先端に設けた突起31は筐体カバー3に設けた突起32につまみノブ28のポジションがOFFからロック解除に移行する場合とロック解除からOFFに移行する時には通常の電源スイッチ8自体の持つスイッチノブ19の作動力以上の負荷を持たせるように構成されている。
【0027】電池蓋2にはその端面両端付近から突出する断面矢じり形の2つのフック23が筐体カバー3のそれぞれ合致する位置に設けた2箇所の穴38を介してそれぞれ挿入され、同じく合致する位置にそれぞれ設けられた2箇所の凹部35とそれぞれ嵌合し電池蓋2のスライド摺動を係止している。フック23または突起25及び29の反対側の端面には突起41と凹部40が設けられ、筐体ケース4には突起41と凹部40のそれぞれに係合する凹部44と突起43を必要に応じ各々複数箇所設け、電池蓋2を筐体カバー3に装着した時の嵌合力を更に強力なものとする。
【0028】つまみ1はネジ穴46とリブ47を有する略方形薄板状のプレート5によりネジ穴46を介してネジ6により筐体カバー3に設けたネジボス37に締結され、またネジ締結が実装上困難な箇所はリブ47をプリント板34に突き当て更に筐体カバー3に設けた断面L字形箇所39と筐体ケース4から延長されたリブ42によりプレート5及びプリント板34は実装位置上に安定的に挟持固定される。
【0029】また、動作用電池7の収容部は筐体ケース4のリブ42と筐体カバー3の断面L字形箇所39や筐体ケース外壁45等により略箱形に構成されている。
【0030】図7は本発明の他の実施例を示す分解斜視図であり、つまみ部付近が記載されている。
【0031】図7において、図2〜5に示した第一の実施例との相異は、電池蓋50に設けられた突起51には穴52が設けられ、つまみ53にはこの穴52に挿入される突起54が形成されている点にある。
【0032】このように構成しても第一の実施例と同様の効果が得られる。
【0033】図8は、本発明のさらに他の実施例を示す断面図である。
【0034】図2〜5においては、つまみノブと電源スイッチノブとは電池の長手方向に可動するが、図8では電池の長手方向と垂直方向につまみノブと電源スイッチノブとが可動して、しかも電池蓋2のフック23付近につまみ60を配置している。
【0035】すなわち、電源スイッチ8のスイッチノブ19の作動方向が電池蓋2のスライド摺動方向と平行の場合、保持具63とともにネジ6締結され、つまみ60のポジションがON及びOFF状態の時、リブ62により電池蓋2のフックの弾性変形を完全に規制する事により電池蓋2のスライド摺動をロックするものである。
【0036】
【発明の効果】第1の効果は、上述したように、本願発明では、電池蓋が略長方形をしていることもあり電池蓋から突出し筐体カバーに挿入嵌合される2箇所の突起とロック部材でもあるつまみとのロック箇所が電池蓋長辺の2箇所でロック嵌合している事と、電池蓋の長辺両端付近に設けた2箇所の突起が筐体カバーに挿入係止している事と、電池蓋の計4箇所独立した突起と反対側の長辺の複数箇所の突起及び凹部がそれぞれ筐体ケースの凹部と突起に嵌合している事が相乗的に電池蓋装着時の耐脱落強度を向上させているので、電池蓋の装着された状態において装置の落下された場合の耐脱落強度及び使用者が携帯、携行時に電池蓋にかかる外的負荷に対するロック力が従来の電池蓋ロック構造と比較し格段に向上した事により、電源ONまたはOFF状態において不測に動作用電池が抜かれる事による装置の誤動作を効果的に防止し装置の信頼性が向上する。
【0037】第2の効果は、また、つまみ本体部から延長された弾性を有するアームの先端に設けた突起が筐体カバーに設けた突起につまみノブのポジションがOFFからロック解除に移行する場合とロック解除からOFFに移行する時には通常の電源スイッチ自体の持つスイッチノブの作動力以上の負荷を持たせることにより、操作つまみに掛かる外的な弱い力により操作つまみが摺動してしまい不測にロック解除状態になってしまったり、使用者が安易につまみを操作して意図せずロック解除状態になってしまいそのことに使用者が気づかずにいて何らかの外力により動作用電池蓋及び動作用電池が脱落し装置の誤動作が生じる事を防止し装置の信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す一部透視した上面図。
【図2】本発明つまみの動作を示す要部拡大上面図。
【図3】図2のつまみ弾性片と筐体カバーの突起の位置関係を示す断面図。
【図4】図2のつまみの電源スイッチノブの挟持状態を示す断面図。
【図5】図2の電池蓋フックと筐体カバーとの嵌合状態を示す断面図。
【図6】図2のつまみと電池蓋とのロック状態を示す断面図。
【図7】本発明の第二の実施例を示す分解斜視図。
【図8】本発明の第三の実施例のロック箇所を示す断面図。
【図9】従来技術のロック構造を示す背面図。
【図10】図9の電池蓋ロック部の要部拡大図。
【符号の説明】
1 つまみ
2 電池蓋
3 筐体カバー
4 筐体ケース
5 プレート
6 ねじ
7 電池
8 電源スイッチ
19 スイッチノブ
21,24,25,27,29,31,32,41,43 突起
22 アーム
23 フック
26,30 溝
28 つまみノブ
33 開口部
34 プリント板
35,40,44 凹部
36,38 穴
37 ネジボス
39,42,47 リブ
45 外壁
46 ネジ穴
50 電池蓋
51,54 突起
52 穴
53,60 つまみ
55,61 つまみノブ
56 電源スイッチ
57 電源スイッチノブ
62 リブ
63 保持具

【特許請求の範囲】
【請求項1】 電池を収容した筺体ケースの前記電池の収容部分を覆う薄板状の電池蓋に隣接して配置され、電源スイッチに連動するつまみと、前記つまみの前記電池蓋の一辺に対向する部分に所定の間隔で設けた少なくとも2箇所の突起と、前記電池蓋の前記一辺に形成され、前記つまみを前記一辺に沿って移動することによって前記少なくとも2箇所の突起と同時に係合して前記電池蓋をロックする係合部と、前記つまみの前記ロック時と反対方向への移動によって前記少なくとも2箇所の突起と前記係合部との係合を解除してロックを解除することを特徴とする電池蓋ロック構造。
【請求項2】 前記つまみ先端に突起を有する薄板状弾性片を設け前記電池の電池蓋のロック解除の前後でのみ筐体カバーに設けた凸部に前記突起が乗り越える事による抵抗を持たせた請求項1記載の電池蓋ロック構造。
【請求項3】 前記電池の電池蓋につまみの突起と嵌合する溝を有する薄板状突起と断面矢じり形のフックが筐体カバーに嵌合する請求項1記載の電池蓋ロック構造。
【請求項4】 前記つまみは、プリント板の表面の上にプレートを介して配置されたことを特徴とする請求項1に記載の電池蓋ロック構造。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図1】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【特許番号】第2793560号
【登録日】平成10年(1998)6月19日
【発行日】平成10年(1998)9月3日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−142452
【出願日】平成8年(1996)6月5日
【公開番号】特開平9−326570
【公開日】平成9年(1997)12月16日
【審査請求日】平成8年(1996)6月5日
【出願人】(000197366)静岡日本電気株式会社 (1,236)
【参考文献】
【文献】特開 平2−102597(JP,A)
【文献】特開 平4−196393(JP,A)