説明

電流リード

【課題】 大電流を流すことが可能であるとともに、無通電時または電流の小さな時には、極めて効率良く熱の侵入を防止することができる電流リードを提供する。
【解決手段】 一対の端子3a、3b同士は、低線膨張部材5で接合される。低線膨張部材5は、略円形の端子3a、3bの側面を覆い、両端子間にまたがるよう設けられる。低線膨張部材5の内部には、円柱状の導体7が設けられる。すなわち、導体7の外周には導体7を覆うように低線膨張部材5が設けられる。導体7は、電気抵抗が小さく、かつ線膨張係数が大きな材料であることが望ましく、例えば銅製である。なお、導体7は低線膨張部材5に対して電気抵抗および熱抵抗が極めて小さい。導体7の一方の端部は、端子3bと接触している。導体7の他方の端部は端子3aと隙間11をあけて設けられる。すなわち、導体7は端子3a、3b間に亘って隙間11を介して設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超電導機器に用いられる電流リードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、超電導機器においては、液体窒素などにより冷却された超電導コイルと、室温に置かれた電源とを接続する必要がある。このため、低温領域と室温領域とを電気的に接続する電流リードが用いられる。
【0003】
このような電流リードには、通電時の電気抵抗が小さく、大電流を流すことができることが可能であるとともに、電流が流れていない時、もしくは電流が小さい場合には、低温領域への熱の侵入を防止する必要がある。
【0004】
しかしながら、大きな電流を流すためには、通常、導体の断面積を大きくしたり、導体の長さを短くするなど電気抵抗を小さくする必要があるが、熱の侵入を抑えるためには、逆に導体の断面積を小さくし、導体を長くする必要があり、両者の性能を併せ持つことは困難である。
【0005】
このような、大電流が通電可能で、かつ、熱侵入が少ない電流リードとしては、例えば、スパイラル形状の正の線膨張係数を有する電流リード導体の周囲に、負の線膨張係数を有する材料を配置した電流リードがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−250972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載の電流リードでは、導体の形状をスパイラル形状やミアンダ状にする必要があり、構造が複雑となる。このため、電流リードの加工や導体同士の間隔(スパイラル状のピッチなど)の設定などが困難であるという問題がある。
【0008】
また、例えばスパイラル状の導体は、無通電時には互いに離れることで、導体の経路長さが長くなり、かつ断面積は小さくなるが、熱が導体内を熱伝導により伝わることには変わりなく、例えば電気抵抗の小さな銅を用いたのでは、銅は熱伝導も良いため、熱の侵入をより抑えるためには、非常に細かなスパイラル形状にするなどの必要があり、製造上の問題や精度の問題がある。
【0009】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、大電流を流すことが可能であるとともに、無通電時または電流の小さな時には、極めて効率良く熱の侵入を防止することができる電流リードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するため、第1の発明は、両端に設けられる一対の端子部と、一対の前記端子部間に隙間部を介して設けられる導体と、前記端子部同士を接続し、前記導体よりも線膨張係数の小さい低線膨張部材と、を具備し、前記低線膨張部材は、導電性を有し、前記端子同士を導通することを特徴とする電流リードである。
【0011】
前記導体の電気抵抗および熱抵抗は前記低線膨張部材の電気抵抗および熱抵抗よりも小さいことが望ましい。前記低線膨張部材は、負の線膨張係数を有する部材と、前記部材内に設けられ、前記端子同士と接触可能な導線と、を有してもよく、この場合、前記部材は、負の線膨張係数を有する繊維または負の線膨張係数を有する繊維を含む複合体であってもよい。
【0012】
前記導体と前記低線膨張部材とが接触してもよい。ただし、この場合、導体と低線膨張部材とが互いに拘束されず摺動可能である必要がある。
【0013】
前記導体は柱状の導電部材であり、前記低線膨張部材は、少なくとも前記導体の外周の一部に設けられてもよく、また、前記導体は筒状の導電部材であり、前記低線膨張部材は、少なくとも前記導体の内周の一部に設けられてもよい。
【0014】
前記電流リードの内周および/または外周には断熱構造が設けられることが望ましい。
【0015】
第1の発明によれば、一対の端子部が低線膨張部材により接続されているため、無通電時には、熱が熱伝導率の低い低線膨張部材のみによって伝わる。このため、低温側への熱の侵入を効率良く防止することができる。また、大電流が流されると、発熱により導体が大きく膨張する(伸びる)ことで、隙間がなくなるため、端子同士と導体とが接触し、導体を通じて大電流を流すことができる。
【0016】
特に、導体の熱抵抗および電気抵抗が低線膨張部材よりも小さければ、導体と端子が接触して導体を通じて大電流を流すことが可能であるとともに、無通電時(または低電流時)には、熱は低線膨張部材のみを伝わるため、熱の侵入を効率良く抑えることができる。
【0017】
また、低線膨張部材と導体とが接触していれば、低線膨張部材への通電による発熱を効率良く導体に伝えることができる。このため、導体の熱膨張および低線膨張部材が負の線膨張係数を有していれば低線膨張部材の収縮によって、確実に導体と端子とを接触させることができる。
【0018】
また、電流リードの内外を覆うように断熱構造が設けられれば、低線膨張部材への通電により生じる熱が周囲に逃げず、効率良く導体へ伝えることができ、また、周囲から熱が侵入することを防止することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、大電流を流すことが可能であるとともに、無通電時または電流の小さな時には、極めて効率良く熱の侵入を防止することができる電流リードを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】電流リード1を示す斜視断面図。
【図2】電流リード1を示す図で、(a)は側方断面図、(b)は(a)のA−A線断面図。
【図3】電流リード1に対し、電流が流れる状態を示す図。
【図4】電流リード1の温度と電気抵抗の関係を示す概念図。
【図5】電流リード20を示す斜視断面図。
【図6】電流リード20を示す図で、(a)は側方断面図、(b)は(a)のH−H線断面図。
【図7】電流リード1a、20aを示す側方断面図。
【図8】電流リード1b、20bを示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下図面に基づいて、本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、電流リード1を示す斜視断面図であり、図2(a)は電流リード1の側方断面図、図2(b)は図2(a)のA−A線断面図である。電流リード1は、主に端子3a、3b、低線膨張部材5、導体7等から構成される。
【0022】
端子3a、3bは、それぞれ超電導コイルおよび励磁電源に接続される。すなわち、一方の端子(例えば端子3a)は、室温に設置される電源と接続され、他方の端子(例えば端子3b)は、低温側である超電導コイルと接続される。なお、端子3a、3bはいずれを電源側、超電導コイル側としてもよい。
【0023】
一対の端子3a、3b同士は、低線膨張部材5で接合される。低線膨張部材5は、略円形の端子3a、3bの側面を覆い、両端子間にまたがるよう設けられる。
【0024】
図2(b)に示すように、低線膨張部材5は、低線膨張材料13と低線膨張材料13内設けられる導線15で構成される。低線膨張材料13は、導体7よりも線膨張係数が小さな材料であり、望ましくは負の線膨張係数を有する材料である。負の線膨張係数を有する材料としては、例えば負の線膨張係数を有する繊維などが用いられ、この場合、繊維単体のみでなく、繊維と樹脂等の複合体を用いることができる。このような材料としては、例えば、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾールを結晶紡糸した東洋紡績社製の「ザイロン」(登録商標)や、超高分子量ポリエチレンである東洋紡績社製「ダイニーマ」(登録商標)などを使用することができる。
【0025】
導線15としては、導電性を有すれば良く、例えば銅線が使用できる。なお、導線15は端子3a、3bと導通している。
【0026】
なお、低線膨張部材5としては、この他にも例えばカーボン製などが使用できる。カーボンを使用した場合、導体としてカーボンよりも線膨張係数が大きな金属等を使用すればよく、また、カーボン自体が導電性を有するため、導線を用いる必要がない。この場合には、例えば低線膨張部材5と導体7との間を絶縁しておくことが望ましい。
【0027】
低線膨張部材5の内部には、円柱状の導体7が設けられる。すなわち、導体7の外周には導体7を覆うように低線膨張部材5が設けられる。導体7は、電気抵抗が小さく、かつ線膨張係数が大きな材料であることが望ましく、例えば銅製である。なお、導体7の断面積は導線15の断面積と比較して極めて大きく、このため、低線膨張部材5に対して電気抵抗および熱抵抗が極めて小さい。
【0028】
導体7の一方の端部は、端子3bと接触している。導体7の他方の端部は端子3aと隙間11をあけて設けられる。すなわち、導体7は端子3a、3b間に亘って隙間11を介して設けられる。なお、隙間11は、導体7と低線膨張部材5との線膨張係数の差や、導体7等の長さ、電流リード1に流される電流と当該電流による低線膨張部材5(導線15)の発熱量等により設定される。すなわち、所定量以下の電流では隙間11が維持され、所定量以上の電流が流れた際に、隙間11がなくなるように設定される。通電による隙間11の変化については後述する。
【0029】
導体7は、導体7の外周部が低線膨張部材5と接触するように設けられる。なお、低線膨張部材5内の導線15と導体7とは接触せず、低線膨張部材5と導体7とは絶縁状態であることが望ましい。また、導体7と低線膨張部材5との接触面は接合されておらず、導体7の外周面と低線膨張部材5の内周面とは互いに摺動可能である。
【0030】
低線膨張部材5の外周部には必要に応じて断熱構造としての断熱材9が設けられる。断熱材9は、低線膨張部材5から発生する熱が外部へ逃げることを防止するとともに、外部から低線膨張部材5等へ熱が侵入することを防止する。断熱材9を用いる場合には、絶縁性を有し熱伝導率の低い材質であり、接触する低線膨張部材5等に影響を与えず、各部材の動きを妨げない材質とすれば良い。また、断熱材9に代えて、真空断熱層としてもよく、または全体を真空中に設置することもできる。
【0031】
次に、電流リード1の機能について説明する。図3は電流リード1に電流を流した場合に、流れる電流の経路等を示す図である。まず、図3(a)に示すように、無通電状態の電流リード1に対し端子3aから低電流を流した場合、電流は端子3aから(図中矢印B)低線膨張部材5を通過して(図中矢印C)、端子3b側に流れる(図中矢印D)。
【0032】
低電流であれば、導線15のみによって通電可能であるため、電流リード1はそのままの状態で使用できる。この場合、導体7と端子3aとは隙間11が設けられ、導体7と端子3aとが接触しないため、導体7は電気および熱を端子3a、3b間で伝えることがない。したがって、端子3a、3b間は低線膨張部材5のみによって導通されており、端子間の熱も低線膨張部材5を介して伝わる。低線膨張部材5は、導体7と比較して極めて熱抵抗が大きいため、低温側の超電導コイルへの熱の侵入を抑えることができる。
【0033】
低線膨張部材5内の導線15は線径が小さく、導線15の電気抵抗が大きいため、導線15に大きな電流が流れると、導線15が発熱する。すなわち、低線膨張部材5の温度が上昇する。低線膨張部材5の温度が上昇すると、図3(b)に示すように、負の線膨張係数を有する低線膨張部材5は収縮する(図中矢印E)。
【0034】
一方、低線膨張部材5より発生した熱は、導体7に伝わる。すなわち、導体7の温度が上昇する。導体7の温度が上昇すると、図3(b)に示すように、導体7が膨張する(図中矢印F)。すなわち、導体7は低線膨張部材5に対して膨張する(軸方向へ伸びる)。
【0035】
なお、低線膨張部材5の線膨張係数が正である場合には、低線膨張部材5の温度上昇に伴い、低線膨張部材5も膨張する(例えば導体7の図中矢印Fと同じ)。しかし、少なくとも、低線膨張部材5の線膨張係数が、導体7の線膨張係数よりも小さければ、低線膨張部材5よりも、導体7の方が、相対的に膨張量が大きくなる。したがって、導体7は低線膨張部材5に対して相対的に矢印F方向に膨張する(軸方向へ伸びる)。
【0036】
低線膨張部材5の膨張(負の膨張も含む)に対する導体7の膨張量が、無通電時における隙間11の間隔よりも大きくなると、図3(c)に示すように、隙間11がなくなり、導体7は端子3aと接触する。この状態では、端子3aより流れる電流(図中矢印B)は、電気抵抗のより小さい導体7中を流れ(図中矢印G)、端子3bへ流れる(図中矢印D)。導体7は低線膨張部材5(導線15)に対して電気抵抗が十分に小さいため、大電流を流すことができる。
【0037】
通電がなくなると(または低電流になると)、低線膨張部材5(導線15)の発熱量がなくなり(または小さくなり)、これに伴い、導体7の温度が低下する。したがって、低線膨張部材5に対して導体7は収縮する。導体7の収縮により、導体7と端子3aとの間に隙間11が生じ、導体7を伝わる熱伝導の経路が断たれる。したがって、低温側への熱の侵入が防止できる。
【0038】
図4は、電流リード1の温度と電気抵抗との関係を示す図である。電気抵抗は、所定温度以下で極めて大きく、所定温度を超えると急激に小さくなる。すなわち、電流リード1が常温(通常の使用方法で使用される際の無通電時の電流リード温度)では、極めて大きな電気抵抗を示す。この状態では、導体7と端子3aとの間に隙間11が形成されているため、電流は低線膨張部材5の導線15のみにより流れる(図3(a))。
【0039】
電流リード1(低線膨張部材5および導体7)の温度が上昇し、ある所定温度以上となると、電流リード1の電気抵抗は急激に低下する。この状態では、導体7が低線膨張部材5に対して膨張し、端子3a、3bが導体7によって導通する。したがって、電流は、導体7を流れる(図3(c))。
【0040】
このように、電流リード1に通電し、通電により低線膨張部材5(導線15)が発熱する状態よりも低温側では、電気抵抗は高い状態を維持する。また、電流リード1にわずかに電流を流した場合でも、電気抵抗を高いままである。電流リード1に所定以上の電流を流すことで、低線膨張部材5(導線15)に大きな発熱を生じると、電流リード1の抵抗値は急激に低下し、大電流を流すことができる。
【0041】
以上説明したように、第1の実施形態にかかる電流リード1によれば、無通電時や低電流通電時においては、導体7と端子3aとの間に隙間11が形成されるため、低線膨張部材5のみによって熱が伝わり、低温側への熱の侵入を防止することができる。
【0042】
また、大電流が流された場合には、線径が細く、大きな電気抵抗を有する低線膨張部材5(導線15)が発熱し、これによって導体7が低線膨張部材5に対して膨張するため、導体7と端子3aとが接触して、導体7内を電流が流れる。このため、電流リード1の電気抵抗が小さくなり、大電流を流すことが可能である。
【0043】
また、低線膨張部材5(低線膨張材料13)と導体7とが接触しているため、低線膨張部材5(導線15)の発熱による熱が、効率良く導体7へ伝わり、導体7を確実に膨張させることができる。
【0044】
また、低線膨張部材5の外周に断熱材が設けられるため、低線膨張部材5からの熱が外部に逃げることがなく、また、外部から低線膨張部材5を経由して端子3a等の低温側に熱が侵入することがない。
【0045】
次に、第2の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態において、図1〜図3に示す電流リード1と同一の機能を果たす構成要素には、図1〜図3と同一番号を付し、重複した説明を避ける。
【0046】
図5は、第2の実施の形態にかかる電流リード20を示す斜視断面図であり、図6(a)は電流リード20の側方断面図、図6(b)は図6(a)のH−H線断面図である。電流リード20は、電流リード1に対して、導体7と低線膨張部材5の位置関係が異なる。
【0047】
端子3a、3bの対向面はそれぞれ低線膨張部材5と接合される。図6(b)に示すように、低線膨張部材5内には導線15が設けられ、端子3a、3bが導通する。
【0048】
低線膨張部材5の外周には低線膨張部材5を覆うように、円筒状の導体7が設けられる。すなわち、円筒状の導体7の内周全面を覆うように、低線膨張部材5が設けられ、導体7と低線膨張部材5とは接触する。導体7の一方の端部は端子3bと接触する。導体7の他方の端部は端子3aと接触せず、隙間11が形成される。すなわち、端子3a、3b間に亘って導体7が隙間11を介して設けられる。
【0049】
低線膨張部材5の内面には必要に応じて断熱構造としての断熱材9aが設けられる。断熱材9aは低線膨張部材5より発生した熱が逃げることを防止し、効率良く導体7に熱を伝えるためのものである。なお、断熱材9aに代えて、低線膨張部材5内を断熱構造としての真空構造とすることもできる。また、低線膨張部材5を円柱状とすれば、内部の断熱材9aは不要である。
【0050】
導体7の外周には必要に応じて断熱材9bが設けられる。断熱材9bは、低線膨張部材5より導体7に伝わった熱が外部へ逃げることを防止するとともに、外部から導体7を通じて端子3b等へ熱が侵入することを防止する。なお、断熱材9bに代えて、断熱構造としての真空断熱層としてもよく、または全体を真空中に設置することもできる。
【0051】
第2の実施の形態にかかる電流リード20によれば、電流リード1と同様の効果を得ることができる。また、低線膨張部材5の内面に断熱材9aが設けられるため、低線膨張部材5の熱を効率良く導体7へ伝えることができ、また、導体7の外周に断熱材9bを設けることで、導体7から熱が逃げることや、外部から導体7を介して熱が端子3a等へ侵入することを防止することができる。
【0052】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0053】
たとえば、図7(a)に示す電流リード1aのような態様でも良い。すなわち、電流リード1のように低線膨張部材5と導体7とが接触しておらず、隙間があいていてもよい。この場合でも、低線膨張部材5と導体7とは端子3bを介して熱が伝導し、さらに低線膨張部材5と導体7との隙間が小さければ、低線膨張部材5から導体7へ熱が伝達される。
【0054】
同様に、図7(b)に示す電流リード20aのような態様でも良い。すなわち、電流リード20のように低線膨張部材5と導体7とが接触しておらず、隙間があいていてもよい。この場合でも、低線膨張部材5と導体7とは端子3bを介して熱が伝導し、さらに低線膨張部材5と導体7との隙間が小さければ、低線膨張部材5から導体7へ熱が伝達される。
【0055】
また、図8(a)に示す電流リード1bのような態様でも良い。すなわち、電流リード1のように低線膨張部材5が導体7の周囲全体を覆うように設けられておらず、導体7の外周の一部にのみ設けられてもよい。この場合でも、低線膨張部材5は端子3a、3bと接続され、導体7へ熱を伝えることができればよい。
【0056】
同様に、図8(b)に示す電流リード20bのような態様でも良い。すなわち、電流リード20のように低線膨張部材5が導体7の内周面全体を覆うように設けられておらず、導体7の内周の一部にのみ設けられてもよい。この場合でも、低線膨張部材5は端子3a、3bと接続され、導体7へ熱を伝えることができればよい。
【0057】
また、以上説明した電流リードは全て円断面形状であったが、矩形断面形状など他の断面形状であってもよい。この場合、電流リードの断面形状に応じて、導体7の断面形状や低線膨張部材の配置を変更すれば良い。
【0058】
また、隙間11は必ずしも端子3aと導体7との間に設けられる必要はない。例えば、導体7を2分割し、それぞれの導体7、7の両端を端子3a、3bと接触させ、一対の導体7、7間に隙間11を設けてもよい。すなわち、端子3a、3b間に導体7が隙間を介して配置されていれば、隙間11が導体7、7同士の間に設けられてもよい。さらに、例えば電流リードを横置きした場合などにおいては、導体7と端子3a、3bそれぞれの間に隙間11を複数箇所設けてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1、1a、1b、20、20a、20b………電流リード
3a、3b………端子
5………低線膨張部材
7………導体
9、9a、9b………断熱材
11………隙間
13………低線膨張材料
15………導線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端に設けられる一対の端子部と、
一対の前記端子部間に隙間部を介して設けられる導体と、
前記端子部同士を接続し、前記導体よりも線膨張係数の小さい低線膨張部材と、
を具備し、
前記低線膨張部材は、導電性を有し、前記端子同士を導通することを特徴とする電流リード。
【請求項2】
前記導体の電気抵抗および熱抵抗は前記低線膨張部材の電気抵抗および熱抵抗よりも小さいことを特徴とする請求項1記載の電流リード。
【請求項3】
前記低線膨張部材は、
負の線膨張係数を有する部材と、
前記部材内に設けられ、前記端子同士と接触可能な導線と、
を有することを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の電流リード。
【請求項4】
前記部材は、負の線膨張係数を有する繊維または負の線膨張係数を有する繊維を含む複合体であることを特徴とする請求項3記載の電流リード。
【請求項5】
前記導体と前記低線膨張部材とが接触することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の電流リード。
【請求項6】
前記導体は柱状の導電部材であり、前記低線膨張部材は、少なくとも前記導体の外周の一部に設けられることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の電流リード。
【請求項7】
前記導体は筒状の導電部材であり、前記低線膨張部材は、少なくとも前記導体の内周の一部に設けられることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の電流リード。
【請求項8】
前記電流リードの内周および/または外周には断熱構造が設けられることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の電流リード。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate