電流分配装置およびその電圧変動抑制方法
【課題】電流分配装置に接続されるどの装置で短絡が発生した場合でも、他の健全な装置における電圧変動を抑制すること。
【解決手段】本発明の電流分配装置10においては、ポストパネル11内のヒューズ13の前段に配置された分岐点から、ポストパネル11内のヒューズ13の数に相当する配線が分岐され、各配線がポストパネル11内の各ヒューズ13へ個別に接続されている。
【解決手段】本発明の電流分配装置10においては、ポストパネル11内のヒューズ13の前段に配置された分岐点から、ポストパネル11内のヒューズ13の数に相当する配線が分岐され、各配線がポストパネル11内の各ヒューズ13へ個別に接続されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置から出力された電流を複数の装置に分配する電流分配装置およびその電圧変動抑制方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図8に示すように、直流給電システムにおいては、電流分配装置10が、直流電源装置20から出力された直流電流を複数の装置30に分配する。なお、装置30は、直流給電系に接続される一般的な装置であり、一例として、交換機やルータ等の通信装置が挙げられる。なお、図8においては、電路は片極のみ図示している(以下の図面において同じ)。
【0003】
図8に示す電流分配装置10は、複数の装置30毎に対応して複数のヒューズ13を設け、複数のヒューズ13がそれぞれ対応する装置30と直流電源装置20に接続されている。また、複数のヒューズ13は、所定数個(2以上の整数。図8では3個)のヒューズ13からなるヒューズ群毎に分離され、各ヒューズ群はポストパネル(電流分配装置パネル)11に搭載されている。
【0004】
また、電流分配装置10は、所定数個(1以上の整数。図8では3個)のコンデンサ14を設け、これらのコンデンサ14が直流電源装置20に接続されている。また、これらのコンデンサ14は、コンデンサボックス12に搭載されている。
【0005】
図8に示した直流給電システムにおいては、ヒューズ13と装置30との間や、装置30の内部で短絡が発生すると、コンデンサ14から、短絡が発生した装置30に向けて、瞬間的に短絡電流が流れる。この短絡電流により、その装置30に接続されたヒューズ13が溶断し、電流分配装置10に接続される他の健全な装置30が保護される。
【0006】
しかしながら、図8に示した直流給電システムには、実際には、図9に示すように、電流分配装置10と装置30との間や電流分配装置10と直流電源装置20との間、さらには電流分配装置10内のポストパネル11とコンデンサボックス12との間などの配線に、抵抗成分とインダクタンス成分が存在する。
【0007】
図8および図9に示した直流給電システムにおいては、コンデンサボックス12は、ポストパネル11から離れた位置にあるため、ポストパネル11とコンデンサボックス12との間の配線における抵抗成分とインダクタンス成分は大きい。
【0008】
そのため、装置30での短絡発生時に、ヒューズ13の溶断に必要な短絡電流がコンデンサ14から供給されにくくなるため、他の健全な装置30からも短絡電流が吸い出され、その結果、他の健全な装置30において電圧変動が発生してしまう。
【0009】
そこで、特許文献1においては、上述のような電圧変動を抑制するために、図10に示すように、ポストパネル11毎に対応して、その直近にコンデンサ14を配置した構成の電流分配装置10が提案されている。詳細には、コンデンサ14は、対応するポストパネル11と直流電源装置20との間の配線に接続されている。
【0010】
特許文献1に記載の電流分配装置10によれば、ポストパネル11の直近にコンデンサ14を配置することで、コンデンサ14とヒューズ13との間の配線における抵抗成分とインダクタンス成分を小さくでき、それにより、他の健全な装置30における電圧変動を抑制することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2008−99522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、図10に示した直流給電システムには、実際には、図11に示すように、コンデンサ14とポストパネル11との間と同様に、ポストパネル11内のヒューズ13間の配線にも抵抗成分とインダクタンス成分が存在する。
【0013】
このとき、ヒューズ13とコンデンサ14との間の配線における抵抗成分とインダクタンス成分は、コンデンサ14から離れた位置にあるヒューズ13ほど大きくなる。
【0014】
そのため、図10および図11に示した直流給電システムでも、例えば、ポストパネル11内の右端のヒューズ13に接続された装置30で短絡が発生した場合、コンデンサ14から右端のヒューズ13に短絡電流が供給されにくいため、ポストパネル11内の左端と中央のヒューズ13に接続された他の健全な装置30からも短絡電流が吸い出され、他の健全な装置30における電圧変動を抑制できないことがある。
【0015】
そこで、本発明の目的は、どの装置で短絡が発生した場合も、他の健全な装置における電圧変動を抑制することができる電流分配装置およびその電圧変動抑制方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の電流分配装置は、
電源装置から出力された電流を複数の装置に分配する電流分配装置であって、
前記複数の装置毎に対応して設けられ、対応する装置に接続される複数の遮断器と、
前記複数の遮断器と前記電源装置との間の配線に接続されるコンデンサと、を有し、
前記複数の遮断器は、所定数(2以上の整数)個の遮断器から構成される遮断器群毎に分離され、
前記遮断器群の前段に配置された分岐点から、前記所定数個分の配線が分岐され、分岐された各配線が当該遮断器群を構成する前記所定数個の遮断器へ個別に接続されていることを特徴とする。
【0017】
また、前記コンデンサと前記分岐点との間の配線におけるインダクタンス成分は、前記遮断器群を構成する遮断器の各々と前記分岐点との間の配線におけるインダクタンス成分よりも小さいことを特徴とする。
【0018】
また、前記遮断器群毎に対応して設けられ、対応する遮断器群を構成する遮断器が搭載される電流分配装置パネルをさらに有し、
前記分岐点は、前記電流分配装置パネルの内部に設けられていることを特徴とする。
【0019】
本発明の電流分配装置の電圧変動抑制方法は、
電源装置から出力された電流を複数の装置に分配する電流分配装置であって、前記複数の装置毎に対応して設けられ、対応する装置に接続される複数の遮断器と、前記複数の遮断器と前記電源装置との間の配線に接続されるコンデンサと、を有し、前記複数の遮断器が、所定数(2以上の整数)個の遮断器から構成される遮断器群毎に分離されている電流分配装置の電圧変動抑制方法であって、
前記遮断器群の前段に配置された分岐点から、前記所定数個分の配線を分岐し、分岐された各配線を当該遮断器群を構成する前記所定数個の遮断器へ個別に接続することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明の電流分配装置は、所定数個の遮断器からなる遮断器群の前段に配置された分岐点から、所定数個分の配線が分岐され、分岐された各配線が遮断器群を構成する所定数個の遮断器へ個別に接続されている。
【0021】
したがって、遮断器群を構成する各遮断器間の配線における抵抗成分とインダクタンス成分が存在しなくなるため、どの遮断器もコンデンサとの間の配線における抵抗成分とインダクタンス成分が一様に小さくなる。
【0022】
よって、電流分配装置に接続されたどの装置に短絡が発生した場合でも、他の健全な装置における電圧変動を抑制するこができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施形態の電流分配装置を含む直流給電システムの構成の一例を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の電流分配装置の効果を説明する図である。
【図3】本発明の第2の実施形態の電流分配装置を含む直流給電システムの構成の一例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の電流分配装置におけるコンデンサの接続構成の一例を示す概略図である。
【図5】本発明の第1の実施形態の電流分配装置におけるコンデンサの接続構成の他の例を示す概略図である。
【図6】本発明の第1の実施形態の電流分配装置におけるコンデンサの接続構成の別の例を示す概略図である。
【図7】本発明の第1の実施形態の電流分配装置におけるコンデンサの接続構成のさらに別の例を示す概略図である。
【図8】従来の直流給電システムの構成の一例を示す図である。
【図9】図8に示した直流給電システムの等価回路図である。
【図10】従来の直流給電システムの構成の他の例を示す図である。
【図11】図10に示した直流給電システムの等価回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1に、本実施形態の電流分配装置10を含む直流給電システムの構成の一例を示す。
【0025】
図10および図11に示した従来の電流分配装置10においては、ポストパネル11の内部において、各ヒューズ13に対してカスケードに電流を分岐していた。
【0026】
そのため、ポストパネル11内のヒューズ13間の配線にも抵抗成分とインダクタンス成分が存在することとなり、その結果、特に、コンデンサ14から離れた位置にあるヒューズ13に接続された装置30に短絡が発生した場合、他の健全な装置30において短絡電流が吸い出されて電圧変動を抑制できないことがあった。
【0027】
これに対して、本実施形態の電流分配装置10においては、図1に示すように、ポストパネル11内の各ヒューズ13の前段に配置された分岐点から、ポストパネル11内のヒューズ13の数に相当する配線が分岐され、分岐された各配線がポストパネル11内の各ヒューズ13へ個別に接続されている。即ち、ポストパネル11内の各ヒューズ13は、上記の分岐点に対してスター接続されている。
【0028】
これにより、ポストパネル11内のヒューズ13間の配線における抵抗成分とインダクタンス成分が存在しなくなるため、コンデンサ14から離れた位置にあるヒューズ13に接続された装置30に短絡が発生しても、他の健全な装置30における電圧変動を抑制するこができるという効果が得られる。
【0029】
ここで、本実施形態の効果について、図2を参照してより具体的に説明する。なお、図2において、(a)は、図10および図11に示した従来の電流分配装置10における短絡発生時の状態を示し、(b)は、図1に示した本実施形態の電流分配装置10における短絡発生時の状態を示している。
【0030】
図2(a)に示すように、図10および図11に示した従来の電流分配装置10においては、各ヒューズ13−1〜13−3とコンデンサ14との間には、ポストパネル11内のヒューズ13−1〜13−3間の配線における抵抗成分とインダクタンス成分が存在する。
【0031】
そのため、コンデンサ14から最も離れた位置にあるヒューズ13−1とコンデンサ14との間の配線における抵抗成分とインダクタンス成分が最も大きくなる。
【0032】
したがって、ヒューズ13−1に接続された装置30−1で短絡が発生した場合、コンデンサ14からヒューズ13−1に短絡電流が供給されにくくなるため、他の健全な装置30−2,30−3から吸い出される短絡電流の割合が増え、装置30−2,30−3における電圧変動が大きくなってしまう。
【0033】
これに対して、図2(b)に示すように、図1に示した本実施形態の電流分配装置10においては、各ヒューズ13−1〜13−3とコンデンサ14との間には、ポストパネル11内のヒューズ13−1〜13−3間の配線における抵抗成分とインダクタンス成分は存在しない。
【0034】
そのため、各ヒューズ13−1〜13−3とコンデンサ14との間の配線における抵抗成分とインダクタンス成分は、図10および図11に示した従来の電流分配装置10と比べて、一様に小さくなる。
【0035】
したがって、どの装置30−1〜30−3で短絡が発生したとしても、コンデンサ14から、短絡が発生した装置30に接続されたヒューズ13に大きな短絡電流が供給されることになる。
【0036】
よって、例えば、図2(b)に示すように、装置30−3で短絡が発生した場合、コンデンサ14からヒューズ13−3に大きな短絡電流が供給されるため、他の健全な装置30−1,30−2から吸い出される短絡電流の割合が減り、装置30−1,30−2における電圧変動を抑制することができる。
【0037】
なお、コンデンサ14からヒューズ13に大きな短絡電流を供給し、他の健全な装置30から吸い出される短絡電流の割合を減らすためには、コンデンサ14と上記分岐点との間の配線における抵抗成分とインダクタンス成分のうち、特に、インダクタンス成分を、各ヒューズ13と上記分岐点との間の配線におけるインダクタンス成分よりも小さくすることがより好ましい。
【0038】
そのための手段としては、例えば、コンデンサ14と上記分岐点との間の配線長を、各ヒューズ13と上記分岐点との間の配線長よりも短くすることが考えられるが、特に限定はない。
(第2の実施形態)
上述したように、図1に示した第1の実施形態の電流分配装置10においては、どの装置30で短絡が発生したとしても、他の健全な装置30における電圧変動を抑制することが可能となる。
【0039】
ただし、第1の実施形態の電流分配装置10においては、図10および図11に示した従来の電流分配装置10と比較して、電流分配装置10の本体部分とポストパネル11との間の接続点数が多くなり、そのことに起因して別の問題が生じる。
【0040】
即ち、電流分配装置10の本体部分とポストパネル11との接続部には、コネクタなどが使用されるが、ポストパネル11に搭載されるヒューズ13の数が多くなると、これに伴ってコネクタのピン数とコネクタに配線するケーブルの本数が増えるため、コストの上昇や電流分配装置10のサイズが大きくなるという別の問題が生じる。
【0041】
そこで、本実施形態の電流分配装置10においては、図3に示すように、ポストパネル11内の各ヒューズ13へ配線を分岐させる分岐点をポストパネル11の内部に設けることで、電流分配装置10の本体部分とポストパネル11の入力部分との接続点数を少なくするよう構成している。
【0042】
このような構成により、電流分配装置10の本体部分とポストパネル11の入力部分との接続部に使用するコネクタのピン数とコネクタに配線するケーブルの本数を減らすことができ、コストの上昇や電流分配装置10のサイズの増大を抑制することができるという効果が得られる。
【0043】
また、本実施形態の電流分配装置10でも、ポストパネル11内のヒューズ13間の配線における抵抗成分とインダクタンス成分は存在しないため、第1の実施形態と同様に、装置30における電圧変動を抑制するという効果が得られる。
【0044】
なお、上述した第1および第2の実施形態においては、ポストパネル11毎に対応して、コンデンサ14を1つ設けた構成であった。図4に、第1の実施形態のコンデンサ接続の概略図を示す。ただし、コンデンサ14の数および接続構成はこれに限定されない。
【0045】
例えば、図5および図6に示すように、ポストパネル11毎に対応して、コンデンサ14を複数(図5および図6では2個)設けた構成でも良い。
【0046】
または、図7に示すように、コンデンサ14を、ポストパネル11毎に対応して設ける他に、ポストパネル11と直流電源装置20との間の配線上の任意の位置に追加で設けても良い。
【0047】
また、上述した第1および第2の実施形態においては、装置30を保護するための遮断器としてヒューズ13を設けた構成であったが、遮断器はヒューズに限定されず、半導体遮断器等の他の遮断器でも良い。
【符号の説明】
【0048】
10 電流分配装置
11 ポストパネル
13 ヒューズ
14 コンデンサ
20 直流電源装置
30 装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置から出力された電流を複数の装置に分配する電流分配装置およびその電圧変動抑制方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図8に示すように、直流給電システムにおいては、電流分配装置10が、直流電源装置20から出力された直流電流を複数の装置30に分配する。なお、装置30は、直流給電系に接続される一般的な装置であり、一例として、交換機やルータ等の通信装置が挙げられる。なお、図8においては、電路は片極のみ図示している(以下の図面において同じ)。
【0003】
図8に示す電流分配装置10は、複数の装置30毎に対応して複数のヒューズ13を設け、複数のヒューズ13がそれぞれ対応する装置30と直流電源装置20に接続されている。また、複数のヒューズ13は、所定数個(2以上の整数。図8では3個)のヒューズ13からなるヒューズ群毎に分離され、各ヒューズ群はポストパネル(電流分配装置パネル)11に搭載されている。
【0004】
また、電流分配装置10は、所定数個(1以上の整数。図8では3個)のコンデンサ14を設け、これらのコンデンサ14が直流電源装置20に接続されている。また、これらのコンデンサ14は、コンデンサボックス12に搭載されている。
【0005】
図8に示した直流給電システムにおいては、ヒューズ13と装置30との間や、装置30の内部で短絡が発生すると、コンデンサ14から、短絡が発生した装置30に向けて、瞬間的に短絡電流が流れる。この短絡電流により、その装置30に接続されたヒューズ13が溶断し、電流分配装置10に接続される他の健全な装置30が保護される。
【0006】
しかしながら、図8に示した直流給電システムには、実際には、図9に示すように、電流分配装置10と装置30との間や電流分配装置10と直流電源装置20との間、さらには電流分配装置10内のポストパネル11とコンデンサボックス12との間などの配線に、抵抗成分とインダクタンス成分が存在する。
【0007】
図8および図9に示した直流給電システムにおいては、コンデンサボックス12は、ポストパネル11から離れた位置にあるため、ポストパネル11とコンデンサボックス12との間の配線における抵抗成分とインダクタンス成分は大きい。
【0008】
そのため、装置30での短絡発生時に、ヒューズ13の溶断に必要な短絡電流がコンデンサ14から供給されにくくなるため、他の健全な装置30からも短絡電流が吸い出され、その結果、他の健全な装置30において電圧変動が発生してしまう。
【0009】
そこで、特許文献1においては、上述のような電圧変動を抑制するために、図10に示すように、ポストパネル11毎に対応して、その直近にコンデンサ14を配置した構成の電流分配装置10が提案されている。詳細には、コンデンサ14は、対応するポストパネル11と直流電源装置20との間の配線に接続されている。
【0010】
特許文献1に記載の電流分配装置10によれば、ポストパネル11の直近にコンデンサ14を配置することで、コンデンサ14とヒューズ13との間の配線における抵抗成分とインダクタンス成分を小さくでき、それにより、他の健全な装置30における電圧変動を抑制することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2008−99522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、図10に示した直流給電システムには、実際には、図11に示すように、コンデンサ14とポストパネル11との間と同様に、ポストパネル11内のヒューズ13間の配線にも抵抗成分とインダクタンス成分が存在する。
【0013】
このとき、ヒューズ13とコンデンサ14との間の配線における抵抗成分とインダクタンス成分は、コンデンサ14から離れた位置にあるヒューズ13ほど大きくなる。
【0014】
そのため、図10および図11に示した直流給電システムでも、例えば、ポストパネル11内の右端のヒューズ13に接続された装置30で短絡が発生した場合、コンデンサ14から右端のヒューズ13に短絡電流が供給されにくいため、ポストパネル11内の左端と中央のヒューズ13に接続された他の健全な装置30からも短絡電流が吸い出され、他の健全な装置30における電圧変動を抑制できないことがある。
【0015】
そこで、本発明の目的は、どの装置で短絡が発生した場合も、他の健全な装置における電圧変動を抑制することができる電流分配装置およびその電圧変動抑制方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の電流分配装置は、
電源装置から出力された電流を複数の装置に分配する電流分配装置であって、
前記複数の装置毎に対応して設けられ、対応する装置に接続される複数の遮断器と、
前記複数の遮断器と前記電源装置との間の配線に接続されるコンデンサと、を有し、
前記複数の遮断器は、所定数(2以上の整数)個の遮断器から構成される遮断器群毎に分離され、
前記遮断器群の前段に配置された分岐点から、前記所定数個分の配線が分岐され、分岐された各配線が当該遮断器群を構成する前記所定数個の遮断器へ個別に接続されていることを特徴とする。
【0017】
また、前記コンデンサと前記分岐点との間の配線におけるインダクタンス成分は、前記遮断器群を構成する遮断器の各々と前記分岐点との間の配線におけるインダクタンス成分よりも小さいことを特徴とする。
【0018】
また、前記遮断器群毎に対応して設けられ、対応する遮断器群を構成する遮断器が搭載される電流分配装置パネルをさらに有し、
前記分岐点は、前記電流分配装置パネルの内部に設けられていることを特徴とする。
【0019】
本発明の電流分配装置の電圧変動抑制方法は、
電源装置から出力された電流を複数の装置に分配する電流分配装置であって、前記複数の装置毎に対応して設けられ、対応する装置に接続される複数の遮断器と、前記複数の遮断器と前記電源装置との間の配線に接続されるコンデンサと、を有し、前記複数の遮断器が、所定数(2以上の整数)個の遮断器から構成される遮断器群毎に分離されている電流分配装置の電圧変動抑制方法であって、
前記遮断器群の前段に配置された分岐点から、前記所定数個分の配線を分岐し、分岐された各配線を当該遮断器群を構成する前記所定数個の遮断器へ個別に接続することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明の電流分配装置は、所定数個の遮断器からなる遮断器群の前段に配置された分岐点から、所定数個分の配線が分岐され、分岐された各配線が遮断器群を構成する所定数個の遮断器へ個別に接続されている。
【0021】
したがって、遮断器群を構成する各遮断器間の配線における抵抗成分とインダクタンス成分が存在しなくなるため、どの遮断器もコンデンサとの間の配線における抵抗成分とインダクタンス成分が一様に小さくなる。
【0022】
よって、電流分配装置に接続されたどの装置に短絡が発生した場合でも、他の健全な装置における電圧変動を抑制するこができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施形態の電流分配装置を含む直流給電システムの構成の一例を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の電流分配装置の効果を説明する図である。
【図3】本発明の第2の実施形態の電流分配装置を含む直流給電システムの構成の一例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の電流分配装置におけるコンデンサの接続構成の一例を示す概略図である。
【図5】本発明の第1の実施形態の電流分配装置におけるコンデンサの接続構成の他の例を示す概略図である。
【図6】本発明の第1の実施形態の電流分配装置におけるコンデンサの接続構成の別の例を示す概略図である。
【図7】本発明の第1の実施形態の電流分配装置におけるコンデンサの接続構成のさらに別の例を示す概略図である。
【図8】従来の直流給電システムの構成の一例を示す図である。
【図9】図8に示した直流給電システムの等価回路図である。
【図10】従来の直流給電システムの構成の他の例を示す図である。
【図11】図10に示した直流給電システムの等価回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1に、本実施形態の電流分配装置10を含む直流給電システムの構成の一例を示す。
【0025】
図10および図11に示した従来の電流分配装置10においては、ポストパネル11の内部において、各ヒューズ13に対してカスケードに電流を分岐していた。
【0026】
そのため、ポストパネル11内のヒューズ13間の配線にも抵抗成分とインダクタンス成分が存在することとなり、その結果、特に、コンデンサ14から離れた位置にあるヒューズ13に接続された装置30に短絡が発生した場合、他の健全な装置30において短絡電流が吸い出されて電圧変動を抑制できないことがあった。
【0027】
これに対して、本実施形態の電流分配装置10においては、図1に示すように、ポストパネル11内の各ヒューズ13の前段に配置された分岐点から、ポストパネル11内のヒューズ13の数に相当する配線が分岐され、分岐された各配線がポストパネル11内の各ヒューズ13へ個別に接続されている。即ち、ポストパネル11内の各ヒューズ13は、上記の分岐点に対してスター接続されている。
【0028】
これにより、ポストパネル11内のヒューズ13間の配線における抵抗成分とインダクタンス成分が存在しなくなるため、コンデンサ14から離れた位置にあるヒューズ13に接続された装置30に短絡が発生しても、他の健全な装置30における電圧変動を抑制するこができるという効果が得られる。
【0029】
ここで、本実施形態の効果について、図2を参照してより具体的に説明する。なお、図2において、(a)は、図10および図11に示した従来の電流分配装置10における短絡発生時の状態を示し、(b)は、図1に示した本実施形態の電流分配装置10における短絡発生時の状態を示している。
【0030】
図2(a)に示すように、図10および図11に示した従来の電流分配装置10においては、各ヒューズ13−1〜13−3とコンデンサ14との間には、ポストパネル11内のヒューズ13−1〜13−3間の配線における抵抗成分とインダクタンス成分が存在する。
【0031】
そのため、コンデンサ14から最も離れた位置にあるヒューズ13−1とコンデンサ14との間の配線における抵抗成分とインダクタンス成分が最も大きくなる。
【0032】
したがって、ヒューズ13−1に接続された装置30−1で短絡が発生した場合、コンデンサ14からヒューズ13−1に短絡電流が供給されにくくなるため、他の健全な装置30−2,30−3から吸い出される短絡電流の割合が増え、装置30−2,30−3における電圧変動が大きくなってしまう。
【0033】
これに対して、図2(b)に示すように、図1に示した本実施形態の電流分配装置10においては、各ヒューズ13−1〜13−3とコンデンサ14との間には、ポストパネル11内のヒューズ13−1〜13−3間の配線における抵抗成分とインダクタンス成分は存在しない。
【0034】
そのため、各ヒューズ13−1〜13−3とコンデンサ14との間の配線における抵抗成分とインダクタンス成分は、図10および図11に示した従来の電流分配装置10と比べて、一様に小さくなる。
【0035】
したがって、どの装置30−1〜30−3で短絡が発生したとしても、コンデンサ14から、短絡が発生した装置30に接続されたヒューズ13に大きな短絡電流が供給されることになる。
【0036】
よって、例えば、図2(b)に示すように、装置30−3で短絡が発生した場合、コンデンサ14からヒューズ13−3に大きな短絡電流が供給されるため、他の健全な装置30−1,30−2から吸い出される短絡電流の割合が減り、装置30−1,30−2における電圧変動を抑制することができる。
【0037】
なお、コンデンサ14からヒューズ13に大きな短絡電流を供給し、他の健全な装置30から吸い出される短絡電流の割合を減らすためには、コンデンサ14と上記分岐点との間の配線における抵抗成分とインダクタンス成分のうち、特に、インダクタンス成分を、各ヒューズ13と上記分岐点との間の配線におけるインダクタンス成分よりも小さくすることがより好ましい。
【0038】
そのための手段としては、例えば、コンデンサ14と上記分岐点との間の配線長を、各ヒューズ13と上記分岐点との間の配線長よりも短くすることが考えられるが、特に限定はない。
(第2の実施形態)
上述したように、図1に示した第1の実施形態の電流分配装置10においては、どの装置30で短絡が発生したとしても、他の健全な装置30における電圧変動を抑制することが可能となる。
【0039】
ただし、第1の実施形態の電流分配装置10においては、図10および図11に示した従来の電流分配装置10と比較して、電流分配装置10の本体部分とポストパネル11との間の接続点数が多くなり、そのことに起因して別の問題が生じる。
【0040】
即ち、電流分配装置10の本体部分とポストパネル11との接続部には、コネクタなどが使用されるが、ポストパネル11に搭載されるヒューズ13の数が多くなると、これに伴ってコネクタのピン数とコネクタに配線するケーブルの本数が増えるため、コストの上昇や電流分配装置10のサイズが大きくなるという別の問題が生じる。
【0041】
そこで、本実施形態の電流分配装置10においては、図3に示すように、ポストパネル11内の各ヒューズ13へ配線を分岐させる分岐点をポストパネル11の内部に設けることで、電流分配装置10の本体部分とポストパネル11の入力部分との接続点数を少なくするよう構成している。
【0042】
このような構成により、電流分配装置10の本体部分とポストパネル11の入力部分との接続部に使用するコネクタのピン数とコネクタに配線するケーブルの本数を減らすことができ、コストの上昇や電流分配装置10のサイズの増大を抑制することができるという効果が得られる。
【0043】
また、本実施形態の電流分配装置10でも、ポストパネル11内のヒューズ13間の配線における抵抗成分とインダクタンス成分は存在しないため、第1の実施形態と同様に、装置30における電圧変動を抑制するという効果が得られる。
【0044】
なお、上述した第1および第2の実施形態においては、ポストパネル11毎に対応して、コンデンサ14を1つ設けた構成であった。図4に、第1の実施形態のコンデンサ接続の概略図を示す。ただし、コンデンサ14の数および接続構成はこれに限定されない。
【0045】
例えば、図5および図6に示すように、ポストパネル11毎に対応して、コンデンサ14を複数(図5および図6では2個)設けた構成でも良い。
【0046】
または、図7に示すように、コンデンサ14を、ポストパネル11毎に対応して設ける他に、ポストパネル11と直流電源装置20との間の配線上の任意の位置に追加で設けても良い。
【0047】
また、上述した第1および第2の実施形態においては、装置30を保護するための遮断器としてヒューズ13を設けた構成であったが、遮断器はヒューズに限定されず、半導体遮断器等の他の遮断器でも良い。
【符号の説明】
【0048】
10 電流分配装置
11 ポストパネル
13 ヒューズ
14 コンデンサ
20 直流電源装置
30 装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源装置から出力された電流を複数の装置に分配する電流分配装置であって、
前記複数の装置毎に対応して設けられ、対応する装置に接続される複数の遮断器と、
前記複数の遮断器と前記電源装置との間の配線に接続されるコンデンサと、を有し、
前記複数の遮断器は、所定数(2以上の整数)個の遮断器から構成される遮断器群毎に分離され、
前記遮断器群の前段に配置された分岐点から、前記所定数個分の配線が分岐され、分岐された各配線が当該遮断器群を構成する前記所定数個の遮断器へ個別に接続されている、電流分配装置。
【請求項2】
前記コンデンサと前記分岐点との間の配線におけるインダクタンス成分は、前記遮断器群を構成する遮断器の各々と前記分岐点との間の配線におけるインダクタンス成分よりも小さい、請求項1に記載の電流分配装置。
【請求項3】
前記遮断器群毎に対応して設けられ、対応する遮断器群を構成する遮断器が搭載される電流分配装置パネルをさらに有し、
前記分岐点は、前記電流分配装置パネルの内部に設けられている、請求項1または2に記載の電流分配装置。
【請求項4】
電源装置から出力された電流を複数の装置に分配する電流分配装置であって、前記複数の装置毎に対応して設けられ、対応する装置に接続される複数の遮断器と、前記複数の遮断器と前記電源装置との間の配線に接続されるコンデンサと、を有し、前記複数の遮断器が、所定数(2以上の整数)個の遮断器から構成される遮断器群毎に分離されている電流分配装置の電圧変動抑制方法であって、
前記遮断器群の前段に配置された分岐点から、前記所定数個分の配線を分岐し、分岐された各配線を当該遮断器群を構成する前記所定数個の遮断器へ個別に接続する、電圧変動抑制方法。
【請求項1】
電源装置から出力された電流を複数の装置に分配する電流分配装置であって、
前記複数の装置毎に対応して設けられ、対応する装置に接続される複数の遮断器と、
前記複数の遮断器と前記電源装置との間の配線に接続されるコンデンサと、を有し、
前記複数の遮断器は、所定数(2以上の整数)個の遮断器から構成される遮断器群毎に分離され、
前記遮断器群の前段に配置された分岐点から、前記所定数個分の配線が分岐され、分岐された各配線が当該遮断器群を構成する前記所定数個の遮断器へ個別に接続されている、電流分配装置。
【請求項2】
前記コンデンサと前記分岐点との間の配線におけるインダクタンス成分は、前記遮断器群を構成する遮断器の各々と前記分岐点との間の配線におけるインダクタンス成分よりも小さい、請求項1に記載の電流分配装置。
【請求項3】
前記遮断器群毎に対応して設けられ、対応する遮断器群を構成する遮断器が搭載される電流分配装置パネルをさらに有し、
前記分岐点は、前記電流分配装置パネルの内部に設けられている、請求項1または2に記載の電流分配装置。
【請求項4】
電源装置から出力された電流を複数の装置に分配する電流分配装置であって、前記複数の装置毎に対応して設けられ、対応する装置に接続される複数の遮断器と、前記複数の遮断器と前記電源装置との間の配線に接続されるコンデンサと、を有し、前記複数の遮断器が、所定数(2以上の整数)個の遮断器から構成される遮断器群毎に分離されている電流分配装置の電圧変動抑制方法であって、
前記遮断器群の前段に配置された分岐点から、前記所定数個分の配線を分岐し、分岐された各配線を当該遮断器群を構成する前記所定数個の遮断器へ個別に接続する、電圧変動抑制方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−223720(P2011−223720A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−89486(P2010−89486)
【出願日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
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