説明

電流消費低減のための光記録機器

【課題】ディスク高速回転時ディスク付近の流体の流れによりディスク表面に流体抵抗が発生し騒音、振動を起こし消費電力も増加する。
【解決手段】ディスク10が収容される空間の下部面であるベース40、ベース40上に設けられ駆動軸を中心にディスク10を回転させる駆動部、ディスク10が収容される空間の側面であるシュラウド30、及びディスク10が収容される空間の上部面であるカバー20を含み、カバー20は、ディスク10の回転中心におけるディスク面からカバー20までの高さ(h1')がシュラウド30におけるディスク面からカバー20までの高さ(h1)より低く、ディスク面と垂直な断面状においてカバー20の中心部からシュラウド30方向にディスク面に対して上向き傾斜を有する傾斜線を有し、ディスク10の高速回転時流体抵抗を減少させ電流消費を低減させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電流消費低減のための光記録機器に関するものであって、より詳しくはディスク高速回転時ディスク付近の流体の流れによりディスク表面及びハウジングに発生する表面摩擦、流体抵抗及びトルクを減少させるためにディスクを収容する空間の形状を変化させることにより、光記録機器またはハードディスクドライブの電流消費、騒音及び振動を減少させる装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光記録機器(OMS、optical media storage)は光レーザー技術を利用して音声、映像及びデータ情報などを貯蔵(記録)したり再生(探索)する装置であって、CD-ROM、CD-R、CD-RW、DVD-ROM、DVD-RAM、DVD+RW、DVD-RW、MMVF、HD DVDなどがあり、直径が2.5インチ、3.5インチ、4.72インチ、5.25インチ、12インチなどのディスクを使用する。
【0003】
こうした光記録機器は大きく大容量化と記録/再生速度の高倍速、安定した高速探索などのためにディスクを高速回転させるようになる。
【0004】
このようにディスクを高速回転させる場合にはディスク周辺空間の流体の流動によって強い乱流の発生、流体抵抗、摩擦、フラッタリング(fluttering)などにより振動と騒音が発生するばかりでなく、駆動電流の消耗が増大してしまう問題がある。
【0005】
とりわけ、ノートブックコンピュータの場合には駆動電流の消耗が増加するとバッテリーの消耗量が増加しノートブックコンピュータの使用可能時間が減ることになる。
【0006】
図1は従来の光記録機器のディスクとハウジングの構造を示す概略図で、図2は図1に示すような形状の光記録機器におけるディスク中心からの距離による表面摩擦係数の変化を示すグラフである。
【0007】
図1に示すように、従来のハウジング構造はディスクの上面と下面との間に一定の距離を設けるだけでディスク回転時流体の流動を改善するための別途の構造物や形状は無い。
【0008】
光記録機器のハウジングは一般に図1に示すようにディスク(10)上面からハウジング(1)上面までの高さ(H1)とディスク(10)の底面からハウジング(1)の底面までの高さ(H2)とが異なるので、上記ディスク(10)の高速回転時ディスクの上面と下面との圧力差が発生し、ディスクの回転中フラッター(flutter)が発生する原因となる。
【0009】
また、ディスクの高速回転時ディスク中心からディスク縁端までの圧力はディスクの縁端方向に移りながら円周速度(circumferential velocity)の自乗に比例して小さくなるので、ディスク中心は高い圧力を、ディスク縁端は低い圧力を有することになりディスクの振動と騒音を発生させるばかりでなく流体抵抗の増加により電流消費も増加し、こうしたディスク上面と下面からハウジングまでの高さの差が大きくなる程より著しくなる。
【0010】
一方、光記録機器内のディスクが高速で回転する場合、強い乱流の流動が発生するばかりでなく、乱流の流動が内部構造物、とりわけハウジング(1)の側面と衝突しながら振動と騒音を起こし、ディスク付近の流体の流れによりディスク縁端の表面摩擦及びトルクが急激に増加して電流消費が増大する。
【0011】
即ち、後述するように消費電流は表面摩擦係数の積分値に比例するので、図2のようにディスク縁端付近における表面摩擦係数が急増して表面摩擦係数の積分値が増加し、結局消費電流も増加するようになる。
【0012】
このようなフラッター(flutter)現象と乱流の流動発生、ディスク縁端の表面摩擦及びトルクの増大により光記録機器の電流消費が増大する問題がある。
【0013】
こうした問題を解決するために大韓民国特許出願第1998-13873号「光ディスクドライバーの騒音低減装置」においてはトレー上面にグルーブなどを形成することにより、ディスク回転時円周方向に流動する流体を垂直方向またはディスクの回転中心方向に転換させようとするものである。
【0014】
このようにトレーの形状を変更させることによりディスク表面に発生する境界層内部の速度勾配を除去しディスク先端に発生する高速気流の衝突を防止して騒音低減及び振動低減を図っている。
【0015】
図3aは夫々上面にグルーブを螺旋形に設けた従来のトレーの平面図で、図3bは図3aのトレーにディスクが装着された場合のトレーの中央断面図である。
【0016】
図3に示したようにディスクの下面、即ちトレー(2)の上面にグルーブ(3)を形成することによりディスク(10)の下面において円周方向の流体の流動による速度勾配を除去するなどは可能であるが、ディスクの半径方向へ流動する流体により発生する表面摩擦及びトルクの減少には限界があり、それにより電流消費もあまり減少されなくなる。
【0017】
即ち、図2の従来の場合のグラフ同様、ディスク縁端付近における表面摩擦係数が急激に増加し表面摩擦係数の積分値が増加するので、後述する消費電流と表面摩擦係数との関係から結局消費電流も増加することになるのである。
【0018】
しかも、ディスク(10)の下面に位置したトレー(2)の形状だけ変更させることからディスク上面または側面における流体の流動による流体抵抗が発生し、これによる表面摩擦、騒音または振動を低減する効果は得られない問題がある。
【0019】
また、先述したようにディスクの高速回転時ディスクの上面と下面との圧力差によるフラッター(flutter)現象及びこれによる流体抵抗と表面摩擦上昇を根本的に解決できない問題がある。
【0020】
こうした問題点は光記録機器ばかりでなく、ディスクが高速で回転するハードディスクドライブ(HDD)においてもやはり挙げられ、本願の明細書及び特許請求の範囲に記載された内容は一般の光記録機器はいうまでもなく高速回転するディスクから情報を読み取ったりディスクに情報を貯蔵する装置(HDD含む)に適用することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明は上記のような問題を解決するためのものとして、ディスクを収容する空間の形状を変更させることによりディスクの高速回転のため発生する乱流の流動による流体抵抗を減らし、こうした流体抵抗減少の結果としてディスク表面における表面摩擦係数の積分値を減らし、結果的に電流消費を減少させることを目的とする。
【0022】
また、本発明はディスク表面及びハウジングにおける流体抵抗を減らし、 ディスクの上面と下面、ディスクの中心部と外郭部との圧力差を減らすことによりディスクの騒音、振動及びフラッター(flutter)の発生による流体抵抗及び電流消費を減らすことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記目的を成し遂げるための構成の一視点から本発明は、ディスクが収容される空間の下部面であるベース(base);上記ベース上に設けられ駆動軸を中心に上記ディスクを回転させる駆動部;上記ディスクが収容される空間の側面であるシュラウド(shroud);及び、上記ディスクが収容される空間の上部面であるカバー(cover);を含み、上記カバーは、上記ディスクの回転中心におけるディスク面からカバーまでの高さ(h1')がシュラウドにおけるディスク面からカバーまでの高さ(h1)より低く、上記ディスク面と垂直な断面上において上記カバーの中心部からシュラウド方向にディスク面に対して上向きの傾斜を有する傾斜線を有し、上記ディスクの高速回転時流体抵抗を減少させ電流消費を低減させる、電流消費低減のための光記録機器を提供する。
【0024】
好ましくは、上記傾斜線は直線または曲線であり、上記ディスク面と上記傾斜線の両端を繋いだ線分が成す角度(α)は0.9度ないし1.5度の範囲内にある。
【0025】
また、他視点から本発明は、ディスクが収容される空間の下部面であるベース(base);上記ベース上に設けられ駆動軸を中心に上記ディスクを回転させる駆動部;上記ディスクが収容される空間の側面であるシュラウド(shroud);及び、上記ディスクが収容される空間の上部面であるカバー(cover);を含み、上記シュラウドは、上記ディスク縁端と上記シュラウドとの間で流動方向が変化する流体抵抗を減らすためにディスク外側に窪んだ曲面部を有する、電流消費低減のための光記録機器を提供する。
【0026】
好ましくは、上記曲面部は、上記ディスク上下面の端部における上記シュラウド側への流体流動を夫々上記ディスク面の上下側に分離するために、上記ディスクの上下面を基準に夫々ディスク上面と下面に流動を誘導する二つのの曲面から成ることができる。
【0027】
さらに他の視点から本発明は、ディスクが収容される空間の下部面であるベース(base);上記ベース上に設けられ駆動軸を中心に上記ディスクを回転させる駆動部;上記ディスクが収容される空間の側面であるシュラウド(shroud);上記ディスクが収容される空間の上部面であるカバー(cover);及び、上記ディスクの回転によりディスク縁端に大きく発生するせん断応力を減らすために、上記ディスクの回転中心に対して上記ベース上面に同心円上で突設されるバンプ(bump);を含む電流消費低減のための光記録機器を提供する。
【0028】
好ましくは、上記バンプのディスク中心側面は上記ディスク半径(R)の0.7ないし0.9倍の地点において上記ベースと出会い、その地点からディスク外郭方向へ30度ないし90度の傾斜を有することができる。
【0029】
一般にディスクを回転させるために必要な駆動電流(I)は次のような式で表すことができる。
【数1】

ここで、KTはトルク定数で、Tはディスクの回転によりディスク表面に生じるトルクとして、
【数2】

である。ここで、τωはせん断応力で、Rはディスク半径である。
【0030】
一方、ディスクが回転する場合ディスク表面の表面摩擦係数CFは次のとおりである。
【数3】

【0031】
したがって、せん断応力τωとトルクT、表面摩擦係数CFの関係式から、ディスクを回転させるために必要な駆動電流(I)は表面摩擦係数CFをディスク半径が0からRになるまで積分した値(以下、「表面摩擦係数の積分値」という)に比例することになる。
【0032】
結局、ディスクの回転に必要な電流の消費を減らすためには表面摩擦係数の積分値を減らさなければならない。
【0033】
本発明においてはディスクの高速回転時ディスク付近の流体の流れによりディスク表面に発生する流体抵抗による表面摩擦及びトルクを減少させ、ディスク端部から離脱された流動がハウジング側面と衝突し発生する流体抵抗を減らし、結果的にディスクの駆動に必要な電流消費を減少させるために、ハウジングの上部面であるカバー(cover)、側面のシュラウド(shroud)及び下部面であるベース(base)の形状を変更させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0034】
以上のように本発明によると、ディスクを収容する空間の形状を変更させることにより、ディスクの高速回転のため発生する乱流の流動による流体抵抗を減らし、こうした流体抵抗減少の結果としてディスク表面における表面摩擦係数の積分値を減らし、結果的に電流消費を減少させる効果を奏する。
【0035】
また、本発明はディスク表面及びハウジングにおける流体抵抗を減らし、ディスクの上面と下面、ディスクの中心部と外郭部の圧力差を減らすことによりディスクの騒音、振動及びフラッター(flutter)の発生による流体抵抗及び電流消費を減少させる効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明の実施例について添付の図に基づき詳しく説明する。
図4a及び図4bは夫々本発明によるハウジングの上部面であるカバー形状の一実施例を示した断面図で、図5a及び図5bは夫々本発明によるハウジングの側面であるシュラウド(shroud)形状の一実施例を示した断面図で、図6は本発明によるハウジングの下部面であるベース(base)に設けられるバンプ(bump)の形状を示した断面図である。
【0037】
先ず、図4に基づき上記ハウジングの上部面であるカバー(20)の形状について説明する。
【0038】
図4aに示すように、ディスク(10)は上部面であるカバー(cover)(20)、側面であるシュラウド(shroud)(30)及び下部面であるベース(base)(40)から成るハウジングの内部に収容され、駆動部(15)は上記ベース(40)上に設けられ、駆動軸(11)を中心に上記ディスク(10)を回転させる。
【0039】
図4aのように、上記ディスクの回転中心(11)におけるディスク(10)面からカバーまでの高さ(h1')はシュラウドにおけるディスク面からカバーまでの高さ(h1)より低く、上記ディスク面と垂直な断面上において上記カバーの中心部(21)からシュラウド方向へディスク面に対して上向きの傾斜を有する傾斜線(23)を有する。
【0040】
こうした形状を有するカバー(20)はディスクの上面からカバー中心部(21)までの高さ(h1')が図1または図2に示した従来の形状に比して低いので、ディスクを高速回転する場合ディスク上面と下面との圧力差が小さくなる。
【0041】
さらに、先述したようにディスクの高速回転時ディスク中心においては高い圧力が、ディスク縁端(12)においては低い圧力が形成されるが、ディスク上面からカバー中心部(21)までの高さを低くすることによりディスク中心と縁端との圧力差を減らせるのでフラッター現象及び消費電流を低減できる効果がある。
【0042】
こうした消費電流の低減は上記のようにカバーの形状を変更させることにより流体抵抗が減少して発生するのである。
【0043】
好ましくは、図4bに示すように、上記カバー中心部(21)またはシュラウドと連結される上記カバー外郭部(22)は一定の高さの面を有し、上記カバーは上記ディスク面と垂直な断面上において上記カバー中心部(21)からシュラウド方向へディスク面に対して上向きの傾斜線(23)を有し、こうした形状による場合にも上記と同一な効果を得ることができる。
【0044】
また、上記傾斜線(23)は直線や曲線から成っても、カバー中心部(21)よりカバー外郭部(22)の高さが低ければ、従来に比してディスク中心部と縁端における圧力の不均衡を解消することができる。
【0045】
一方、上記ディスク面と上記傾斜線の両端を繋いだ線分が形成する角度(α)が大きくなるほどディスクの中心部と縁端との圧力差が小さくなり消電流が低くなる筈であるが、ディスクの収容空間の大きさ及びディスク面からカバー外郭部(22)までの高さ(h1)が限定されているので、好ましくは上記ディスク面と上記傾斜線の両端を繋いだ線分が形成する角度(α)は3°より小さい。
【0046】
より好ましくは、直径4.72インチ(12cm)のディスクを使用しディスク面からカバーまでの高さ(h1)が2mm内外である場合には、上記ディスク 面と上記傾斜線の両端を繋ぐ線分が形成する角度(α)は0.9°ないし1.5°の範囲内にある。
【0047】
図2に示した従来のハウジング形状に対する表面摩擦係数のグラフにおいて表面摩擦係数の積分値(ΣCF)は22.14であるが、図1に示した従来のハウジング形状に本発明による傾斜線角度(α)1.3°のカバー形状を導入した場合、表面摩擦係数の積分値(ΣCF)は8.679として従来の40%水準に急減するので、電流消費も減少する。
【0048】
したがって、本発明によるカバーの形状を有する場合従来よりフラッター(flutter)減少を減らすことができ、これによる流体抵抗を減らし、結果として消費電流を節減できるようになる。
【0049】
次に、図5に基づき上記ハウジングの側面であるシュラウド(30)の形状について説明する。
【0050】
図1のように従来シュラウドは如何なる形状も有さず単に角張った形態で提供され、こうした形状においてはディスクの高速回転時ディスク終端から離脱される流体の流動がシュラウド部分及び角張った部分と衝突して乱流が発生し流体抵抗として作用するようになる。
【0051】
本発明のシュラウド(30)は、図5aのように上記ディスクの縁端(12)と上記シュラウドとの間において流動方向が変化する流体抵抗を減らすために、ディスク外側方向へ凹んだ曲面部(31)を有する。
【0052】
より好ましくは、上記曲面部は、上記ディスク上下面の端部(12)における上記シュラウド側への流体流動を夫々上記ディスク面の上下側に分離するために、図5bのように上記ディスクの上下面を基準に夫々ディスク上面と下面に流動を誘導する二つの曲面(32、33)から成る。
【0053】
図2に示した従来のハウジング形状に対する表面摩擦係数のグラフにおいて表面摩擦係数の積分値(ΣCF)は先述したように22.14であるが、図1に示した従来のハウジング形状に本発明による二つの曲面に分かれるシュラウド形状を導入した場合、表面摩擦係数の積分値(ΣCF)は11.132として従来より約1/2に急減するので電流消費も減少するようになる。
【0054】
したがって、このようなシュラウド形状を適用しディスク終端に発生する渦流の強さを和らげることで、流体抵抗を減少させ消費電流を節約できるばかりでなく騒音を低減する効果を奏し、しかも騒音と振動の低下効果も得られる。
【0055】
最後に、図6に基づき上記ハウジングの下部面であるベース(40)の形状について説明する。
【0056】
一般に、ディスクが高速で回転する場合には半径方向の速度は回転速度に比例して増加しながら臨界点を超えると一定の速度を維持し、ディスク端部に至ると層流から乱流に変化する。ここで生成された乱流は強いエネルギーを有する流動の変動(fluctuation)でディスクの振動とフラッタリング(fluttering)を引き起こしディスク端部にかかるせん断応力を増大させる。
【0057】
先述したようにせん断応力が増大するとトルクが大きくなり、結果としてディスクの回転に必要な駆動電流の消費を増加させることになる。
【0058】
本発明においては半径方向に形成される半径方向の力を減らすためにベース面に突出したバンプ(bump)を導入する。
【0059】
即ち、上記ベース(40)は上記ディスクの回転によりディスク縁端に大きく発生するせん断応力を減らすために、図6におけるようにディスクの回転中心に対して同心円上に突設されるバンプ(bump)(41)を有する。
【0060】
このように同心円上に突出したバンプはベース(40)面に完全な円形状となることが好ましいが、光記録機器の再生/記録用装置などの駆動のために、同心円の一部が切り取られた円弧で形成されることもできる。
【0061】
また、上記バンプ(41)はディスク下面からベースまでの高さ差が異なるのでバンプ自体の高さは異なることができるが、ディスク縁端においてせん断応力が急増するので、これを防ぐためにせん断応力が急増するディスク縁端に対応する部分にバンプ(41)を設けることが好ましい。
【0062】
即ち、図6のように上記バンプ(41)のディスク中心側面は上記ディスク(10)の半径(R)の0.7ないし0.9倍となる地点(半径がrの地点)において上記ベース(40)と出会い、その地点(半径がrの地点)からディスク 外郭方向へ30度ないし90度の傾斜角(β)を有する。
【0063】
こうしたバンプ(41)はディスク下面に発生する半径方向の流体の流動を制限してディスク縁端におけるせん断応力及び流体抵抗を減少させるのである。
【0064】
図2に示した図1の従来のハウジング形状に対する表面摩擦係数のグラフにおいて、表面摩擦係数の積分値(ΣCF)は先述したように22.14であるが、図1に示した従来のハウジング形状に本発明によるバンプを有するベース形状を導入した場合、表面摩擦係数の積分値(ΣCF)は9.662と従来の44%水準に急減し、電流消費も減少するようになる。
【0065】
この際、上記バンプ(41)のディスク中心側面は上記ディスク(10)の半径(R)の0.75倍となる地点(r=0.75Rの地点)において上記ベース(40)と出会い、その地点からディスク外郭方向へ45度の傾斜を有する場合について、表面摩擦係数の積分値(ΣCF)を計算した。
【0066】
また、図3a及び図3bに示した従来のハウジングの形状を有する場合の表面摩擦係数の積分値(ΣCF)は12.980である。したがって、本発明によるバンプを有するベース形状を導入する場合の表面摩擦係数の積分値(ΣCF)は、図3aの形状より25%ほど減少し、これによる電流消費の減少を得られるようになる。
【0067】
したがって、このようなベース形状を適用することによりディスク縁端部分に発生する渦流の強さを減らして流体抵抗を減少させ消費電流を節減することができる。
【0068】
図7は夫々本発明の一視点によるカバー(20)、シュラウド(30)、ベース(40)に設けられたバンプ(41)の形状を全て適用したハウジングの中央部断面図で、図7に示した本発明の一実施例はディスク面からカバー中心部までの高さ(h1')がカバー外郭部までの高さ(h1)より低いカバー(20)、凹んだ曲面部を有するシュラウド(30)、ベース(40)に設けられたバンプ(41)を全て含む。さらに、図2のグラフにおいて本発明の一実施例の表面摩擦係数は図7の形状に対するものである。
【0069】
先述したように、本発明はディスクを収容するハウジングのカバー(20)、シュラウド(30)、ベース(40)の形状を変更することにより、高速で回転するディスク表面に発生する流体の抵抗を減らし表面摩擦及び駆動電流の消費を減少させる効果を奏する。
【0070】
こうした効果は図1または図3に示した従来のハウジング形状に本発明のカバー(20)、シュラウド(30)、ベース(40)の形状を夫々適用して得ることができるが、夫々の形状を組み合わせても従来より優れた電流節減効果が得られる。
【0071】
とりわけ、図7のように本発明のカバー(20)、シュラウド(30)、ベース(40)の形状を全て適用する場合には、図2の表面摩擦係数の積分値(ΣCF)が7.89となり従来の22.14に比して1/3に減少され、電流消費量が相当下がる優れた効果を奏する。
【0072】
本発明は特定の実施例に係わり図示、説明したが、当業界において通常の知識を有する者であれば、本願の特許請求範囲に記載された本発明の思想及び領域を外れない範囲内において本発明を多様に修正及び変化させられることを明かしておく。
【0073】
とりわけ、本明細書及び特許請求範囲に記載された内容は一般の光記録機器はいうまでもなく高速で回転するディスクから情報を読み出したりディスクに情報を貯蔵する装置(HDD含む)にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】従来の光記録機器のディスクとハウジング構造を示す断面図である。
【図2】従来及び本発明による光記録機器においてディスク中心からの距離による表面摩擦係数を比較したグラフである。
【図3a】aは従来の光記録機器におけるトレーの平面図である。
【図3b】bはaのトレーにディスクが装着される際トレーの中央断面図である。
【図4a】aは本発明によるハウジングの上部面であるカバー形状の一実施例を示す断面図である。
【図4b】bは本発明によるハウジングの上部面であるカバー形状の一実施例を示す断面図である。
【図5a】aは本発明によるハウジングの側面であるシュラウド(shroud)形状の一実施例を示す断面図である。
【図5b】bは本発明によるハウジングの側面であるシュラウド(shroud)形状の一実施例を示す断面図である。
【図6】本発明によるハウジングの下部面であるベース(base)に設けたバンプ(bump)の形状を示す断面図である。
【図7】本発明によるハウジングのカバー、シュラウド、ベースの形状を統合した実施例の断面図である。
【符号の説明】
【0075】
10 ディスク
20 カバー
30 シュラウド
40 ベース
41 バンプ(bump)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクが収容される空間の下部面であるベース(base);
上記ベース上に設けられ、駆動軸を中心に上記ディスクを回転させる駆動部;
上記ディスクが収容される空間の側面であるシュラウド(shroud);及び
上記ディスクが収容される空間の上部面であるカバー(cover);を含み、
上記カバーは、上記ディスクの回転中心におけるディスク面からカバーまでの高さ(h1')がシュラウドにおけるディスク面からカバーまでの高さ(h1)より低く、
上記ディスク面と垂直な断面上において上記カバーの中心部からシュラウド方向へディスク面に対して上向きの傾斜を有する傾斜線を有し、
上記ディスクの高速回転時流体抵抗を減少させ電流消費を低減させる、電流消費低減のための光記録機器。
【請求項2】
上記カバーは、
上記カバーの中心部またはシュラウドと連結される上記カバーの外郭部は一定の高さの面を有し、
上記ディスク面と垂直な断面上において上記カバーの中心部からシュラウド方向へディスク面に対して上向きの傾斜線を有することを特徴とする請求項1に記載の電流消費低減のための光記録機器。
【請求項3】
上記傾斜線は直線または曲線で、
上記傾斜線の両端を繋いだ線分と上記ディスク面とが形成する角度(α)は3度より小さいことを特徴とする請求項1または2に記載の電流消費低減のための光記録機器。
【請求項4】
上記傾斜線の両端を繋いだ線分と上記ディスク面とが成す角度(α)は、好ましくは0.9度ないし1.5度の範囲内にあることを特徴とする請求項3に記載の電流消費低減のための光記録機器。
【請求項5】
上記シュラウドは、上記ディスクの縁端と上記シュラウドとの間において流動方向が変化する流体抵抗を減らすために、ディスク外側方向へ凹んだ曲面部を有することを特徴とする請求項1に記載の電流消費低減のための光記録機器。
【請求項6】
上記曲面部は、
上記ディスク上下面の端部における上記シュラウド軸への流体流動を夫々上記ディスク面の上下側に分離するために、上記ディスクの上下面を基準に夫々ディスク上面と下面に流動を誘導する二つの曲面から成ることを特徴とする請求項5に記載の電流消費低減のための光記録機器。
【請求項7】
上記光記録機器は、上記ディスクの回転によりディスク縁端に大きく発生するせん断応力を減らすために、上記ディスクの回転中心に対して上記ベース上面に同心円上に突設されるバンプ(bump)をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の電流消費低減のための光記録機器。
【請求項8】
上記バンプのディスク中心側面は上記ディスクの半径(R)の0.7ないし0.9倍の地点において上記ベースと出会い、その地点からディスク外郭方向へ30度ないし90度の傾斜を有することを特徴とする請求項7に記載の電流消費低減のための光記録機器。
【請求項9】
上記光記録機器は上記ディスクの回転によりディスク縁端に大きく発生するせん断応力を減らすために、上記ディスクの回転中心に対して上記ベース上面に同心円上に突設されるバンプ(bump)をさらに含み、
上記シュラウドは上記ディスク縁端と上記シュラウドとの間において流動方向が変化する流体抵抗を減らすために、ディスク外側方向に凹んだ曲面部を有することを特徴とする請求項1に記載の電流消費低減のための光記録機器。
【請求項10】
上記曲面部は、
上記ディスク上下面の端部における上記シュラウド側への流体流動を夫々上記ディスク面の上下側に分離するために、上記ディスクの上下面を基準に夫々ディスク上面と下面に流動を誘導する二つの曲面から成ることを特徴とする請求項9に記載の電流消費低減のための光記録機器。
【請求項11】
上記バンプのディスク中心側面は上記ディスクの半径(R)の0.7ないし0.9倍となる地点において上記ベースと出会い、その地点からディスク外郭方向へ30度ないし90度の傾斜を有することを特徴とする請求項9に記載の電流消費低減のための光記録機器。
【請求項12】
ディスクが収容される空間の下部面であるベース(base);
上記ベース上に設けられ、駆動軸を中心に上記ディスクを回転させる駆動部;
上記ディスクが収容される空間の側面であるシュラウド(shroud);及び
上記ディスクが収容される空間の上部面であるカバー(cover);を含み、
上記シュラウドはディスク縁端と上記シュラウドとの間において流動方向が変化する流体抵抗を減らすために、ディスク外側方向へ凹んだ曲面部を有する電流消費低減のための光記録機器。
【請求項13】
上記曲面部は、
上記ディスク上下面の端部における上記シュラウド側への流体流動を夫々上記ディスク面の上下側に分離するために、上記ディスクの上下面を基準に夫々ディスク上面と下面に流動を誘導する二つの曲面から成ることを特徴とする請求項12に記載の電流消費低減のための光記録機器。
【請求項14】
上記光記録機器は、上記ディスクの回転によりディスクの縁端に大きく発生するせん断応力を減らすために、上記ディスクの回転中心に対して上記ベース上面に同心円上に突設されるバンプ(bump)をさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の電流消費低減のための光記録機器。
【請求項15】
上記バンプのディスク中心側面は上記ディスク半径(R)の0.7ないし0.9倍となる地点において上記ベースと出会い、その地点からディスク外郭方向へ30度ないし90度の傾斜を有することを特徴とする請求項14に記載の電流消費低減のための光記録機器。
【請求項16】
ディスクが収容される空間の下部面であるベース(base);
上記ベース上に設けられ、駆動軸を中心に上記ディスクを回転させる駆動部;
上記ディスクが収容される空間の側面であるシュラウド(shroud);
上記ディスクが収容される空間の上部面であるカバー(cover);及び
上記ディスクの回転によりディスクの縁端に大きく発生するせん断応力を減らすために、上記ディスクの回転中心に対して上記ベース上面に同心円上に突設されるバンプ(bump);
を含む電流消費低減のための光記録機器。
【請求項17】
上記バンプのディスク中心側面は上記ディスク半径(R)の0.7ないし0.9倍となる地点において上記ベースと出会い、その地点からディスク外郭方向へ30度ないし90度の傾斜を有することを特徴とする請求項16に記載の電流消費低減のための光記録機器。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−18983(P2006−18983A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−317075(P2004−317075)
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)