説明

電源モジュール接続構造

【課題】多数のキャパシタモジュールを直並列に接続する場合には、多数のバスバーを必要とする。
【解決手段】多数の電源モジュール1を上下方向及び左右方向に複数個並べ、これら電源モジュールを接続用バスバー21で直並列に接続する。接続用バスバーは、上下方向又は左右方向に隣接する電源モジュールのケース3の一側面に跨って配置される略四角形のバスバー本体部2と、バスバー本体部22の一側部に形成されていて隣接する電源モジュールのP電極端子4とN電極端子5を接続する第1の接続部23と、該第1の接続部によりP電極端子とN電極端子を接続された2個の電源モジュールに隣接する2個の電源モジュールのP電極端子4とN電極端子5を接続する第2の接続部24と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気二重層キャパシタ又は電池を収容した複数の電源モジュールを、上下方向及び左右方向に複数個並べ、これら複数の電源モジュールを、モジュール接続用バスバーで直列及び並列に接続する電源モジュール接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
図4に示すように、電源モジュール1として、電気二重層キャパシタ2又は電池を収容した略直方体形状のモジュールケース3の一側面3aにP電極端子4とN電極端子5を各一対ずつ突出させたものが開発されている。
【0003】
そして、図5に示すように、上下に配置されている電源モジュール1を直列接続する場合には、下方に配置されている電源モジュール1の一方のP電極端子4と、上方に配置されている電源モジュール1の一方のN電極端子5を直列接続用バスバー6で直列に接続する。また、図6に示すように、左右に配置されている電源モジュール1を並列接続する場合には、一方の電源モジュール1と他方の電源モジュール1のP電極端子4相互と、N電極端子5相互をそれぞれ並列接続用バスバー7で並列に接続するようになっている。このように、電源モジュール1の1直列接続につき最低でも1個の直列接続用バスバー6を必要とし、1並列接続については、最低でも2個の並列接続用バスバー7を必要とした。
【0004】
このため、接続する電源モジュール1の個数が多くなった場合、例えば、図7に示すように、9個の電源モジュール1を3直列3並列に接続するためには、2個の直列接続用バスバー6と、12個の並列接続用バスバー7を必要とする。なお、8はP電極端子接続用バスバー、9はN電極端子接続用バスバーである。
【0005】
P電極端子接続用バスバー8は、略I字状に形成されていて、上端部がネジ10によって、最上段中央部の電源モジュール1のP電極端子4に接続されている。また、N電極端子接続用バスバー9もP電極端子接続用バスバー8と同様に略I字状に形成されていて、下端部がネジ10によって、最下段中央部の電源モジュール1のN電極端子5に接続されている。P電極端子接続用バスバー8及びN電極端子接続用バスバー9の他端部は部品接続部11になっている。なお、電源モジュール接続構造として、特許文献1,2等が公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−99047号公報
【特許文献1】特開2011−65794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来は、上述したように直列接続用バスバー6と並列接続用バスバー7を別個に形成し、両者を使い分けていたために、次に述べるような問題点があった。
(1)接続する電源モジュール1の個数が多い場合に、多数の接続用バスバーを必要とする。特に、並列接続用バスバー7を多数必要とする。例えば、図7に示したように、9個の電源モジュール1を3直列3並列に接続するためには、2個の直列接続用バスバー6と、12個の並列接続用バスバー7と、1個のP電極端子接続用バスバー8と、1個のN電極端子接続用バスバー9を使用する必要があり、部品点数が多くなるために製造コストが増加する。
(2)P電極端子接続用バスバー8とN電極端子接続用バスバー9を略I字状に形成し、その一端部をネジ10によってP電極端子4又はN電極端子5に接続するとともに、他端の部品接続部11に接続部品を接続する構成になっているために、部品接続部11に重量の重い部品を接続すると、その重みでP電極端子4やN電極端子5が変形し、或いはP電極端子接続用バスバー8やN電極端子接続用バスバー9自体が歪んだり変形してしまう。
【0008】
本発明は、前記従来の問題点を解決することを目的になされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、電気二重層キャパシタ又は電池を収容した略直方体形状のモジュールケースの一側面にP電極端子とN電極端子を各一対ずつ突出させた複数の電源モジュールを、上下方向及び左右方向に複数個並べ、これら複数の電源モジュールを、直列及び並列に接続するモジュール接続用バスバーと、P電極端子に接続するP電極端子接続用バスバーと、前記N電極端子に接続するN電極端子接続用バスバーと、を備えた電源モジュール接続構造において、
前記モジュール接続用バスバーは、上下方向又は左右方向に隣接する電源モジュールの前記一側面に跨って配置される略四角形のバスバー本体部と、該バスバー本体部の一側部に形成されていて隣接する電源モジュールのP電極端子とN電極端子を接続する第1の接続部と、該第1の接続部によりP電極端子とN電極端子を接続された2個の電源モジュールに隣接する2個の電源モジュールのP電極端子とN電極端子を接続する第2の接続部と、を備えていることを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1記載の電源モジュール接続構造において、前記モジュール接続用バスバーは、略四角形の導電板の対向する側辺を折り曲げることにより略コ字状に形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1又は2記載の電源モジュール接続構造において、
前記P電極端子接続用バスバーとN電極端子接続用バスバーは、長さ方向の一端部に部品接続部を設けた第1のアーム部と、該第1のアーム部の他端部に該第1の接続部と略直交する方向に設けられた第2アーム部と、を備え、該第2アーム部は、長さ方向の両端部に電源モジュールのP電極端子相互又はN電極端子相互に接続される第3,第4の接続部を備えていることを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の電源モジュール接続構造において、前記P電極端子接続用バスバーとN電極端子接続用バスバーは、導電板を略T字状に打ち抜いて前記第1のアーム部と第2のアーム部を一体に形成するとともに、前記第3,第4の接続部は、前記第2のアーム部の長さ方向の両端部を略直角に折り曲げることにより形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
(1)請求項1の電源モジュール接続構造は、前記モジュール接続用バスバーのバスバー本体部を、隣接する4個の電源モジュールの前記一側面に跨がるように配置し、該バスバー本体部の一側部に設けた第1の接続部を隣接する電源モジュールのP電極端子とN電極端子に重ね合わせて接続するとともに、バスバー本体部の他側部に設けた第2の接続部を、第1の接続部によりP電極端子とN電極端子を接続された2個の電源モジュールに隣接する2個の電源モジュールのP電極端子とN電極端子に接続することにより、1個のモジュール接続用バスバーで、隣接する4個の電源モジュールを2直列2並列に接続することができる。
(2)請求項2の電源モジュール接続構造は、四角形状の導電板を略コ字状に折り曲げることにより簡単、容易にモジュール接続用バスバーを形成することができる。
(3)請求項3の電源モジュール接続構造は、一端に部品接続部を設けた第1のアーム部の他端と直交する第2のアーム部の両端部に設けた第3,第4の接続部を、それぞれ隣接する電源モジュールのP電極端子又はN電極端子に接続したので、前記第1のアーム部の部品接続部に接続した部品の重量を2個の電極端子に分担させるので電極端子が変形したりするのを防止することができる。
(4)請求項4の電源モジュール接続構造は、導電板を略T字状に打ち抜いてから、第2のアーム部の長さ方向の両端部を略直角に折り曲げることにより簡単、容易にP電極端子接続用バスバーとN電極端子接続用バスバーを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の電源モジュール接続構造を示す説明図。
【図2】Aは接続用バスバーを表面側から見た斜視図、Bは裏面側から見た斜視図。
【図3】AはP又はN電極端子接続用バスバーを表面側から見た斜視図、Bは裏面側から見た斜視図。
【図4】電源モジュールの斜視図。
【図5】2個の電源モジュールを直列接続した状態の斜視図。
【図6】2個の電源モジュールを並列接続した状態の斜視図。
【図7】9個の電源モジュールを3直列3並列に接続した状態の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を示す実施例を図1〜図3を参照して説明する。なお、従来例と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0016】
図1は9個の電源モジュール1を4個のモジュール接続用バスバー21で3直列3並列に接続した状態を示す。モジュール接続用バスバー21は、隣接する4個の電源モジュール1に跨って配置される。
【0017】
図2に示すように、モジュール接続用バスバー21は、略四角形のバスバー本体部22と、バスバー本体部22の一側部を略直角に折り曲げることにより形成された第1の接続部23と、バスバー本体部22の他側部を第1の接続部23と同様に略直角に折り曲げることにより形成された第2の接続部24と、を備えている。
【0018】
第1,第2の接続部23,24は、P電極端子4とN電極端子5に形成したネジ穴12と重なり合うネジ穴25を上下の端部に備えている。
【0019】
図1に示すように、モジュール接続用バスバー21は、第1の接続部23を上下方向に隣接する2個の電源モジュール1,1のP電極端子4とN電極端子5に重ね合わせるとともに、第2の接続部24を前記2個の電源モジュール1,1の右側に隣接する2個の電源モジュール1,1のP電極端子4とN電極端子5に重ね合わせ、第1,第2の接続部23,24のネジ穴25をP電極端子4とN電極端子5のネジ穴12の位置に合わせてネジ26で結合することにより、隣接する4個の電源モジュール1を2直列2並列に接続する。
【0020】
そして、3段3列に並べた9個の電源モジュール1を4個のモジュール接続用バスバー21で3直列3並列に接続している。
【0021】
31はP電極端子接続用バスバー、32はN電極端子接続用バスバーである。図3に示すように、これらはP電極端子接続用バスバー31とN電極端子接続用バスバー32は、長さ方向の一端部に部品接続部33を設けた第1のアーム部34と、該第1のアーム部34の他端部に該第1のアーム部34と略直交する方向に設けられた第2のアーム部35と、を備えている。
【0022】
前記第2のアーム部35は、長さ方向の両端部を略直角に折り曲げることにより形成された第3,第4の接続部36,37を備えている。これら第3,第4の接続部36,37には、ネジ穴38が形成されている。
【0023】
前記P電極端子接続用バスバー31とN電極端子接続用バスバー32は、導電板を略T字状に打ち抜いて、第1のアーム部34と第2のアーム部35とを一体に形成するとともに、第2のアーム部35の長さ方向の両端部を略直角に折り曲げることにより前記第3,第4の接続部36,37が形成されている。
【0024】
図1に示すように、前記P電極端子接続用バスバー31は、第3,第4の接続部36,37を、中央部最上段の電源モジュール1と、左隣に隣接する電源モジュール1のP電極端子4に重ね合わせるとともに、ネジ穴38とP電極端子4のネジ穴12の位置を合わせてネジ39により前記一対のP電極端子4に接続される。また、前記N電極端子接続用バスバー32は、第3,第4の接続部36,37を、中央部最下段の電源モジュール1と左隣に隣接する電源モジュール1のN電極端子5に重ね合わせるとともに、ネジ穴38とN電極端子5のネジ穴12の位置を合わせてネジ39により前記一対のP電極端子5に接続される。
【0025】
P電極端子接続用バスバー31とN電極端子接続用バスバー32の第1のアーム部34は、モジュール接続用バスバー21の本体部22に沿った状態になり、電流の向きが逆となり磁界が打ち消しあって放射ノイズを軽減する。なお、前記P,N電極端子接続用バスバー31,32と前記接続用バスバー21の間の空間絶縁距離を確保できない場合には、P,N電極端子接続用バスバー31,32と接続用バスバー21の沿わせている部分にゴムチューブ等を取り付けることによりバスバー間の絶縁を確保することができる。前記実施例においては、電源モジュールとして電気二重層キャパシタモジュールを示したが、電池モジュールであってもよい。
【符号の説明】
【0026】
1…電源モジュール
2…電気二重層キャパシタ
3…モジュールケース
4…P電極端子
5…N電極端子
6…直列接続用バスバー
7…並列接続用バスバー
8…P電極端子接続用バスバー
9…N電極端子接続用バスバー
10…ネジ
21…モジュール接続用バスバー
22…バスバー本体部
23…第1の接続部
24…第2の接続部
25…ネジ穴
26…ネジ
31…P電極端子接続用バスバー
32…N電極端子接続用バスバー
33…部品接続部
34…第1のアーム部
35…第2のアーム部
36…第3の接続部
37…第4の接続部
38…ネジ穴
39…ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気二重層キャパシタ又は電池を収容した略直方体形状のモジュールケースの一側面にP電極端子とN電極端子を各一対ずつ突出させた複数の電源モジュールを、上下方向及び左右方向に複数個並べ、これら複数の電源モジュールを、直列及び並列に接続するモジュール接続用バスバーと、P電極端子に接続するP電極端子接続用バスバーと、前記N電極端子に接続するN電極端子接続用バスバーと、を備えた電源モジュール接続構造において、
前記モジュール接続用バスバーは、上下方向又は左右方向に隣接する電源モジュールの前記一側面に跨って配置される略四角形のバスバー本体部と、該バスバー本体部の一側部に形成されていて隣接する電源モジュールのP電極端子とN電極端子を接続する第1の接続部と、該第1の接続部によりP電極端子とN電極端子を接続された2個の電源モジュールに隣接する2個の電源モジュールのP電極端子とN電極端子を接続する第2の接続部と、を備えていることを特徴とする電源モジュール接続構造。
【請求項2】
前記モジュール接続用バスバーは、略四角形の導電板の対向する側辺を折り曲げることにより略コ字状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の電源モジュール接続構造。
【請求項3】
前記P電極端子接続用バスバーとN電極端子接続用バスバーは、長さ方向の一端部に部品接続部を設けた第1アーム部と、該第1のアーム部の他端部に該第1のアーム部と略直交する方向に設けられた第2アーム部と、を備え、
前記第2アーム部は、長さ方向の両端部に電源モジュールのP電極端子相互又はN電極端子相互に接続される第3,第4の接続部を備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の電源モジュール接続構造。
【請求項4】
前記P電極端子接続用バスバーとN電極端子接続用バスバーは、導電板を略T字状に打ち抜いて前記第1のアーム部と第2のアーム部を一体に形成し、前記第3,第4の接続部は、前記第2のアーム部の長さ方向の両端部を略直角に折り曲げることにより形成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の電源モジュール接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−5570(P2013−5570A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−133758(P2011−133758)
【出願日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(000006105)株式会社明電舎 (1,739)
【Fターム(参考)】