説明

電源分岐装置

【課題】ケース内に導入される電源ケーブルの効果的な配線処理が可能な電源分岐装置を提供する。
【解決手段】本発明は、細長のケース1と、このケース1内にケース1の長手方向に沿って配設されたブレーカ2及びこのブレーカ2を介して給電される複数のコンセント3と、前記ケース1の前記ブレーカ2の入力端子部22に対向する一側面に、前記ブレーカ2の外殻と前記ケース1の内壁との間に配線スペースSを形成するように前記ブレーカ2の入力端子部22と位置をずらせて形成された電源ケーブル導入口13と、この電源ケーブル導入口13からケース1内に導入され、前記ブレーカ2の入力端子部22に電気的に接続される電源ケーブル4とを備える電源分岐装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ブレーカ及び複数のコンセントを備えた電源分岐装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、舞台やテレビスタジオ等においては、演出空間を効果的に照明するため、様々な照明機器が演出空間の各所に配置される。このため、これら各所に配置された照明機器に電源を供給するのに、いわゆるプラグインボックス(電源分岐装置)が用いられている。このプラグインボックスは、可搬型であり電源ケーブルが接続された複数のコンセントを備えていて、この複数のコンセントから電源が分岐されて各照明機器に電源を供給できるようになっている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】東芝ライテック/アートライティング/製品カタログ/配線器具/プラグインボックス[平成22年9月15日検索](http://www.tlt.co.jp/tlt/art/catalogue/connectors/h.htm)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のようなプラグインボックスでは、ボックス内に導入される電源ケーブルの効果的な配線処理についての考慮が十分になされているとはいえない。
本発明は、上記課題に鑑みなされたもので、ケース内に導入される電源ケーブルの効果的な配線処理が可能な電源分岐装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態による電源分岐装置は、細長のケースと、このケース内にケースの長手方向に沿って配設されたブレーカ及びこのブレーカを介して給電される複数のコンセントとを備えている。前記ケースの前記ブレーカの入力端子部に対向する一側面に、前記ブレーカの外殻と前記ケースの内壁との間に配線スペースを形成するように前記ブレーカの入力端子部と位置をずらせて電源ケーブル導入口が形成されている。電源ケーブルは、 電源ケーブル導入口からケース内に導入され、前記ブレーカの入力端子部に電気的に接続されている。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一実施形態によれば、ケース内に導入される電源ケーブルの効果的な配線処理が可能な電源分岐装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施形態に係る電源分岐装置を示す斜視図である。
【図2】同電源分岐装置を示す上面図である。
【図3】同電源分岐装置を示す右側面図である。
【図4】同電源分岐装置示す断面図である。
【図5】同電源分岐装置において、ケースの蓋体部を取外し、内部構造を示す斜視図である。
【図6】同電源分岐装置の組立工程において、ブレーカの取付状態を示す斜視図である。
【図7】同電源分岐装置の結線状態を示す配線図である。
【図8】同電源分岐装置を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態に係る電源分岐装置ついて図1乃至図8を参照して説明する。なお、各図において同一部分には同一符号を付し、重複した説明は省略する。また、図2及び図4においては、配線接続関係の図示を省略している。
図1乃至図4に示すように、電源分岐装置は、ケース1と、このケース1内に配設されたブレーカ2及びコンセント3と、電源ケーブル4とを備えている。
【0009】
ケース1は、第1の部材としての本体部11と第2の部材としての蓋体部12とから構成されており、薄鋼鈑によって略直方体形状に細長に形成されている。本体部11は、上面11aと、この上面11aの両端から垂下するように折曲して形成された左右側面11b、11cとからなっている(図5を併せて参照)。本体部11の上面11aには、後述するブレーカ2の操作部21及びコンセント3のプラグ差込口31を露出させる開口部11a1が形成されている。また、上面11aの内側には、一対のブレーカ取付用のスタッド11d及び複数のコンセント取付用のスタッド11eが立設されている。さらに、一対のブレーカ取付用のスタッド11d間には、取付板11fがねじ止めされて設けられ、右側面11cの端部には、取付片11gが設けられている。
【0010】
本体部11の右側面11cには、電源ケーブル導入口13が形成されていて、この導入口13には、電源ケーブル4が導入されるようになっている。さらに、電源ケーブル導入口13の上方には、略コ字状に形成された把手14が幅方向に亘って設けられている。
【0011】
蓋体部12は、本体部11の開放部分を覆うように樋状に形成されており、底面12a、前面12b及び背面12c有して本体部11にねじ止めされて取付けられている。また、底面12aには、4つの脚12dが設けられている。
【0012】
このように本体部11と蓋体部12とが組合わされて直方体形状の細長のケース1が構成されており、このケース1の長手方向に沿ってブレーカ2及び複数のコンセント3が配設されている。
【0013】
ブレーカ2は、図5及び図6の参照を加えて説明するように、定格電流30Aのものが2個用いられており、過電流が流れたときに回路を遮断する機能を有している。ブレーカ2は、略箱状の外殻をなしていて、操作部21と入力端子部22とを備えている。これら2個のブレーカ2は、平行に組み合わされて、ブレーカ取付板23によって一体化されている。また、2個のブレーカ2の入力端子部22は、導電バー24によって接続されており、この導電バー24の一端部には、電源ケーブル4が接続されるようになっている(主として図2及び図6参照)。
【0014】
このように構成されたブレーカ2は、ケース1の本体部11の内側、すなわち、裏側から本体部11の右側面11c近傍に取付けられるようになっている。具体的には、ブレーカ取付板23一端側が取付片11gにねじ止めされ、他端側がブレーカ取付用のスタッド11d間の取付板11fにねじ止めされて取付けられるようになっている。
【0015】
このブレーカ2の取付状態においては、その操作部21、すなわち、操作ハンドルは本体部11の上面11aにおける開口部11a1から操作可能なように露出しているが、上面11aからは突出しないように配置されている(図1及び図4参照)。これによって、操作ハンドルの不用意な誤操作を防止することができる。
【0016】
コンセント3は、C型コンセントが複数個、具体的には、4個用いられており、プラグ差込口31が本体部11の上面11aの開口部11a1から露出するように並べられて配置されている。このコンセント3は、ケース1の上面11aにおける内側に立設されたコンセント取付用のスタッド11eにボルト締めして取付けられている。さらに、これら複数個のコンセント3のニュートラル端子(N)には、各ニュートラル端子(N)を接続する導電バー32が取付けられている(図4及び図5参照)。
【0017】
電源ケーブル4は、3本の導線41を有する3芯のキャブタイヤケーブルであり、約5mの長さを有していて、一端側がケース1の電源ケーブル導入口13に導入され、他端側にはC型プラグ42が接続されている。このC型プラグ42は、商用交流電源に接続されるようになっている。3本の導線41は、ライブライン(L)、ニュートラルライン(N)及びアースライン(E)として用いられる。
【0018】
以上のような構成において、ブレーカ2、コンセント3及び電源ケーブル4の各部品は、全て第1の部材としての本体部11に取付けられるようになっている。また、図5及び図6に代表して示すように、各部品は、一方向、つまり、本体部11の裏側から取付けることができるようになっている。したがって、組立作業の効率化が可能となる。
【0019】
さらに、ケース1の本体部11における上面11a上には、ブレーカ2やコンセント3を取付けるための例えば、ねじ等の固定手段が現れることがないのでデザイン性の向上を図ることができる。
【0020】
次に、図5乃至図8を参照して電源ケーブル4の配線接続関係について説明する。まず、図8の回路図に示すように、電源側のライブライン(L)は、2個のブレーカ2の入力側端子に接続されている。そして、各ブレーカ2の出力側の端子は、2個のコンセント3の入力側端子に接続されている。したがって、1個のブレーカ2の出力側の端子から2つに分岐されて2個のコンセント3の入力側端子に接続されている。
【0021】
ニュートラルライン(N)は、各コンセント3の出力側の端子に接続されている。また、アースライン(E)は、各コンセント3に接続されて接地されるようになっている。
このような電源分岐装置は、定格電流30Aのブレーカ2が2個並列に接続されており、最大入力電流が60Aの仕様となっている。
【0022】
さらに、実態的には、図5及び図7に示すように、電源ケーブル4の3本の導線41のうち、電源ケーブル導入口13からケース1内に導入されたライブライン(L)は、ブレーカ2の入力端子部22、具体的には、各ブレーカ2の共通の端子である導電バー24に接続され、その各ブレーカ2の出力端子がそれぞれ2個のコンセント3の入力側端子に接続されている。
【0023】
一方、ニュートラルライン(N)は、電源ケーブル導入口13から導入され、各コンセント3のニュートラル端子(N)に接続された導電バー32に接続されている。さらに、アースライン(E)は、ケース1内に設けられたターミナルTを介して、各コンセント3のアース端子に接続されている。
【0024】
以上のような配線接続関係において、例えば、ブレーカ2のケース1への取付工程では、図6に示すように、まず、電源ケーブル導入口13から導入された電源ケーブル4におけるライブライン(L)の導線41をブレーカ2の導電バー24に接続する。その後、ブレーカ2を所定の位置に取付ける。
【0025】
この場合、図2に代表して示すように、電源ケーブル導入口13とブレーカ2の外殻、つまり、入力端子部22とは、所定の寸法d、ずれて位置するようになっているので、ブレーカ2の外殻とケース1の内壁との間に導線41の余剰長さ分(たるみ分)を配線する配線スペースSが確保でき、この配線スペースSに導線41の余剰長さ分を折曲して配線することができる。しかも、この場合、前記ずれて位置するようになっていることにより、導線41の主として電源ケーブル導入口13近傍の屈曲度が軽減され、導線41に無理な応力が作用するのを抑制できる。
【0026】
したがって、狭隘なケース1内の空間において効果的な配線処理が可能となる。なお、このような効果的な配線処理は、ニュートラルライン(N)及びアースライン(E)の導線41についても同様に期待できる。つまり、ニュートラルライン(N)及びアースライン(E)の導線41の場合も配線接続にあたっては、配線代(余剰長さ)が必要であり、これを配線スペースSに配線することが可能となる。
【0027】
以上のように本実施形態の電源分岐装置によれば、電源ケーブル4のC型プラグ42を商用交流電源に接続し、コンセント3のプラグ差込口31に例えば、照明機器のプラグを接続することにより、電源が分岐されてコンセント3に接続された各照明機器に電源が供給されるようになる。
【0028】
さらに、把手14を把持して所望の場所に持ち運びが可能である。この場合、把手14は、電源ケーブル4の上方に設けられているので、把持に際し、電源ケーブル4が邪魔になることを回避できる。一方、電源ケーブル4は、下方に位置しているので、垂れ下りを少なくして、使用中、電源ケーブル4を安定して配置することが可能となる。
【0029】
また、電源ケーブル導入口13とブレーカ2の入力端子部22とは、ずれて位置するようになっているので装置の小型化が実現できるとともに効果的な配線処理が可能となる。
【0030】
さらにまた、ブレーカ2、コンセント3及び電源ケーブル4の各部品は、全て第1の部材としての本体部11に集結して取付けられるようになっており、加えて、各部品は、一方向から取付けることができるようになっていて、その配線接続も一方向から行えるので組立作業の効率化が可能となる。
【0031】
また、ケース1の本体部11における上面11a上には、ブレーカ2やコンセント3を取付けるための例えば、ねじ等の固定手段が現れることがないのでデザイン性の向上を図ることができる。
【0032】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限定されることなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、ブレーカ、コンセントや電源ケーブルは、特定の形式のものに限定されるものではない。また、ブレーカ及びコンセントの配設個数は、格別限定されるものではない。
【符号の説明】
【0033】
1・・・ケース、2・・・ブレーカ、3・・・コンセント、4・・・電源ケーブル、
11・・・第1の部材(本体部)、11a1・・・開口部、
12・・・第2の部材(蓋体部)、13・・・電源ケーブル導入口、14・・・把手、
21・・・操作部、22・・・入力端子部、31・・・プラグ差込口、
41・・・導線、S・・・配線スペース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長のケースと;
このケース内にケースの長手方向に沿って配設されたブレーカ及びこのブレーカを介して給電される複数のコンセントと;
前記ケースの前記ブレーカの入力端子部に対向する一側面に、前記ブレーカの外殻と前記ケースの内壁との間に配線スペースを形成するように前記ブレーカの入力端子部と位置をずらせて形成された電源ケーブル導入口と;
この電源ケーブル導入口からケース内に導入され、前記ブレーカの入力端子部に電気的に接続される電源ケーブルと;
を具備することを特徴とする電源分岐装置。
【請求項2】
前記ケースは、前記ブレーカの操作部及び前記コンセントのプラグ差込口を露出させる開口部を一面側に有する第1の部材と、第1の部材と組合わされる第2の部材とを備えていて、前記ブレーカ、複数のコンセント及び電源ケーブルは、第1の部材に取付けられていることを特徴とする請求項1に記載の電源分岐装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−69443(P2012−69443A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−214552(P2010−214552)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)