説明

電源制御モジュール、電子機器及びリセット制御方法

【課題】電源制御モジュール(電源制御回路)に動作保証範囲内の電圧が供給されている場合には、常に当該電源制御回路のステータスを保持することを可能とする。
【解決手段】主電源50と電源回路32との間に配置されたスイッチ部31のオン/オフを制御することにより、電源回路32経由で負荷に対する主電源50からの電圧の供給/遮断を制御する電源制御部340と、蓄電池33bから供給される電圧により動作する待機状態において、蓄電池33bから供給される供給電圧の値が、予め設定されているリセット閾値(電源制御回路34の動作保証範囲の最低電圧値と同一の値)以下になったか否かを判定する電圧判定部351と、電圧判定部351により供給電圧の値がリセット閾値以下であると判定された場合に、ステータス保持部360が保持しているステータスをクリアするリセット処理を実行するリセット実行部352とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源制御モジュールのリセット制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テレビジョン受信機などの電子機器においては、待機状態に待機電源となる蓄電池から供給される電圧により、リモコン装置からの電源オン/オフの制御信号を待ち受ける動作を行い、電源オンの制御信号を受信した場合に、主電源(家庭のコンセントなどの商用電源)からの電圧を、電源回路を介して電子機器の各負荷に供給するような電源制御を行う電源制御回路(電源制御モジュール)を備えたものが知られている。
【0003】
そして、最近では、上記待機状態において主電源に接続されている電源回路の消費電圧を削減する目的で、主電源と電源回路との間に、復旧スイッチやラッチングリレーなどから構成されるスイッチ手段を設けた電子機器も提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このような電子機器における電源制御回路においては、待機状態にスイッチ手段をオフにして蓄電池から供給される電圧により待機状態の処理動作を行うようになっているとともに、リモコン装置から電源オンの信号を受信した場合や、録画予約時間にタイマーから信号を受信した場合や、蓄電池の電圧が低くなってきた場合などにスイッチ手段をオンにして電源回路経由で主電源からの電圧が電子機器の各負荷(蓄電池、マイコン、映像表示部等)に供給されるようになっている。
【0005】
ところで、この種の電源制御回路において、当該電源制御回路のステータス保持部が保持するステータスをクリアするリセット方法として、一般的なLSIで採用されているパワーオンリセット方法を採用すると、上述のような電源制御回路を実装する電子機器においては、蓄電池が完全放電状態においてスイッチ手段がプラグなどを介して主電源に接続された場合や、リモコン装置から電源オンの信号を受信した場合や、録画予約時間にタイマーから信号を受信した場合、蓄電池の電圧が低くなってきた場合などにおいて電源制御回路がスイッチ手段をオンする度に、電源制御回路のステータス保持部に対してリセット信号が供給されて、それまで保持していたステータスがクリアされてしまう。
【0006】
なお、上記ステータスとは、電源制御回路における状態情報を示すものであり、例えば、どのようなトリガによりラッチングリレーをオンしたのかを示す情報などがある。より具体的には、上記ステータスとしては、リモコン装置からの電源オンの信号を受信したことをトリガにしてラッチングリレーをオンしたことを示すステータスや、録画予約時間にタイマーから信号を受信したことをトリガにしてラッチングリレーをオンしたことを示すステータスや、蓄電池の電圧が低くなってきたことをトリガにしてラッチングリレーをオンしたことを示すステータスなどがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−86568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述の電子機器にあっては、電子機器のマイコン(電源制御回路の上位の制御モジュール)側において、電源制御回路が保持しているステータスに基づいて処理制御を行うことがあるため、上述のようにリレー手段をオンする度に、電源制御回路が保持していたステータスがクリアされてしまうと、マイコン側で次にどのような処理制御を行えばよいのかを認識することができない虞がある。
【0009】
具体的には、例えば、録画予約時間にタイマーから信号を受信したことをトリガにしてラッチングリレーをオンしたことを示すステータスが保持されていれば、マイコン側で次に録画処理を行えばよいことを認識して録画処理を実行できるが、上述のようなステータスがクリアされてしまっていると、マイコン側では次にどのような処理を行えばよいのかを認識できず、次の処理に進むことができなくなる虞がある。
【0010】
即ち、従来の電源制御回路にあっては、一般的なLSIで採用されているパワーオンリセット方法を採用すると、リレー手段をオンする度に、ステータス保持部が保持していたステータスがクリアされてしまっていたため、マイコン(上位の制御モジュール)などにおいて、ステータスに基づいた制御(タイマー録画など)を実行できないケースが発生する虞がある。
【0011】
ここで、本出願人は、蓄電池が完全放電状態においてスイッチ手段がプラグなどを介して主電源に接続された場合や、プラグが抜かれてスイッチ手段と主電源との接続が解除されて蓄電池が完全放電状態になる場合など電源制御回路に供給される電圧が動作保証範囲外の電圧である場合にのみ電源制御回路のリセット処理を行い、他方、電源制御回路(電源制御モジュール)に動作保証範囲内の電圧が供給されている場合には、常に電源制御回路のステータスを保持していた方が得策であることに着眼した。
【0012】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、電源制御モジュール(電源制御回路)に動作保証範囲内の電圧が供給されている場合には、常に当該電源制御回路のステータスを保持することを可能にした電源制御モジュール、電子機器及びリセット制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の電源制御モジュールは、待機状態において主電源と電源回路との間に配置されたスイッチ手段がオフされているときに蓄電手段から供給される電圧により電源オン/オフの信号を待ち受ける動作を行い、前記信号に基づいて前記スイッチ手段のオン/オフを制御することにより、前記電源回路経由での負荷への前記主電源からの電圧の供給/遮断を制御する電源制御手段と、前記スイッチ手段がオンされて前記主電源から供給される電圧が所定範囲外から前記所定範囲内になった場合に、前記記憶手段が保持しているステータスをクリアするリセット処理を実行し、前記待機状態において蓄電手段から供給される電圧が前記所定範囲内の電圧である場合に、前記スイッチ手段がオンされると前記記憶手段が保持しているステータスを保持したままとするリセット制御手段と、を備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、蓄電手段が完全放電状態においてスイッチ手段が主電源に接続された場合や、スイッチ手段と主電源との接続が解除されて蓄電手段が完全放電状態になる場合などの電源制御モジュール(電源制御回路)に供給される電圧が動作保証範囲外の電圧である場合にのみ電源制御回路のリセット処理を行うように構成したため、電源制御モジュールに動作保証範囲内の電圧が供給されている場合には、スイッチ手段がオンされたとしても電源制御モジュールのリセット処理を行わないことから、常にステータスを保持することができる。また、これにより、ステータスがクリアされたことでマイコンなどの上位の制御モジュールがステータスに基づいた処理制御を行うことができない、などの従来の不都合を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本実施形態のテレビジョンシステムの構成、及び、テレビジョン受信機の機能構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、電源制御回路の機能構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、電源制御回路の動作電圧の一仕様例と、各種設定された閾値の一設定例を示す図である。
【図4】図4は、初期状態におけるリセット処理手順を示すフローチャートである。
【図5】図5は、図4のステップS14におけるリセット処理の詳細な処理手順を示すフローチャートである。
【図6】図6は、待機状態におけるリセット処理手順を示すフローチャートである。
【図7】図7は、電源制御部におけるラッチングリレーのオン/オフ処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0017】
なお、本発明は、主電源と電源回路との間に配置されたスイッチ手段のオン/オフを制御することにより、電源回路経由で負荷に対する主電源からの電圧の供給/遮断を制御する電源制御モジュール、その電源制御モジュールを備えた電子機器、及び、その電源制御モジュールにおけるリセット制御方法に適用されるものであるが、以下の実施形態では、テレビジョンシステムに本発明を適用した場合について説明する。
【0018】
まず、本発明を適用したテレビジョンシステムの各種構成について説明する。
【0019】
図1は、本実施形態のテレビジョンシステムの構成、及び、テレビジョン受信機の機能構成を示すブロック図である。
【0020】
図1に示すように、このテレビジョンシステム1は、電波、ケーブル等を介して受信した信号に基づいて画像を再生する機能を有するテレビジョン受信機(電子機器)10と、そのテレビジョン受信機10の動作を離れたところから操作するためのリモコン装置20とを主体に構成される。
【0021】
本実施形態のテレビジョン受信機10では、大きく分けて、電源制御システム30と、内部負荷部40とを主体に構成される。
【0022】
この電源制御システム30は、後述の映像表示部42の液晶パネルで画像再生が行われておらず、リモコン装置20からの電源オン/オフの制御信号を待ち受けたり、タイマー36からの信号を待ち受ける待機状態において、後述の待機電源の蓄電池33bから供給される電圧により待機状態の処理動作を行うものである。
【0023】
なお、本実施形態の電源制御システム30では、スイッチ部31、電源回路32、待機電源33、電源制御回路(電源制御モジュール)34、制御信号受信部35、タイマー36等を備えている。
【0024】
ここで、スイッチ部31は、主電源(家庭用のコンセントなどの商用電源)50と電源回路32との間に並列に接続された復旧スイッチ31aと、ラッチングリレー31bとから構成されている。
【0025】
なお、上記スイッチ部31には、プラグなどの差込み器具のコードが接続されており、そのプラグが家庭用のコンセント(主電源50)などに差し込まれることにより、主電源50からの電圧がスイッチ部31を介して電源回路32、即ち、テレビジョン受信機10の各負荷に供給されるようになっている。
【0026】
復旧スイッチ31aは、蓄電池33bが完全放電状態で、且つ、ラッチングリレー31bがオフである状態(例えば、テレビジョン受信機10が購入者宅に配送される際に、振動などでラッチングリレー31bがオフにされてしまったような状態)時に、スイッチ部31を主電源50に接続した場合、主電源50からの電圧が電源回路32、即ち、各負荷に供給されるようにするためのものである。
【0027】
ラッチングリレー31bは、電源制御回路34のオン/オフの制御によりスイッチがオン/オフされるリレー手段である。
【0028】
電源回路32は、主電源50からの電圧を昇降圧し、整流、平滑等をしてテレビジョン受信機10の内部回路に供給する直流電圧を出力するものである。
【0029】
待機電源33は、電源制御システム30の待機状態の電圧を供給するためのものであり、例えば、充電器33a、蓄電池33b等から構成されている。
【0030】
充電器33aは、蓄電池33bを充電するための充電手段であり、蓄電池33bは、電荷を蓄える二次電池などの蓄電手段である。
【0031】
電源制御回路34は、主電源50と電源回路32との間に配置されたラッチングリレー31bのオン/オフを制御することにより、電源回路32経由で負荷(待機電源33、内部負荷部40等)に対する主電源50からの電圧の供給/遮断を制御するとともに、本実施形態では、後述のリセット制御処理を実行するものでもある。
【0032】
図2は、電源制御回路34の機能構成を示すブロック図である。
【0033】
図2に示すように、この電源制御回路34は、電源制御部340と、リセット制御部350と、ステータス保持部(記憶手段)360とを主体に構成される。
【0034】
電源制御部340は、操作信号入力部341、タイマー信号入力部342、充電池電圧監視部343、リレーオン/オフ部344等を備えている。
【0035】
ここで、操作信号入力部341は、リモコン装置20からの電源オン信号を入力した場合に、リレーオン/オフ部344に対してリレーオンを指示するオン信号を出力するとともに、リモコン装置20からの電源オフ信号を入力した場合、テレビマイコン41に電源オフ信号をスルーするものである。
【0036】
タイマー信号入力部342は、タイマー36からの電源オン信号を入力した場合に、リレーオン/オフ部344に対してリレーオンを指示するオン信号を出力するとともに、タイマー36からの電源オフ信号を入力した場合、テレビマイコン41に電源オフ信号をスルーするものである。
【0037】
なお、テレビマイコン41は、上記電源オフ信号を入力した場合、現在の状態を判定し、該判定の結果に基づいて、リレーオン/オフ部344に対してリレーオンを指示するための電源オフコマンドを電源制御回路34に出力する。例えば、電源オフ信号を入力した場合に、録画予約がされていれば、テレビマイコン41は、テレビマイコン41が起動する起動時間を電源制御回路34に設定するとともに、電源オフコマンドを電源制御回路34に出力する。これにより、電源制御回路34は、リレーオン/オフ部344がラッチングリレー31bのスイッチをオフするとともに、タイマー36に起動時間の計時動作を行わせるようにしても良い。
【0038】
充電池電圧監視部343は、電源制御システム30の待機状態に、蓄電池33bから供給される電圧の値を監視して、蓄電池33bの電圧が所定の充電閾値以下(又は未満)になった場合に、蓄電池33bの充電を行うべく、リレーオン/オフ部344にリレーオンを指示するとともに、蓄電池33bの電圧が所定の充電解除閾値以上(又は超え)になった場合に、蓄電池33bの充電を終了すべく、リレーオン/オフ部344にリレーオフを指示するものであり、本実施形態では、閾値記憶部343a、比較判定部343b等を備えている。
【0039】
より具体的には、この充電池電圧監視部343は、電源制御システム30の待機状態に、比較判定部343bが、電源制御回路34に供給される電圧の値が、閾値記憶部343aに記憶される充電閾値(図3(c)の例では、2.8V)以下(又は未満)になったか否かを判定し、その判定の結果、充電閾値以下(又は未満)であると判定された場合に、リレーオン/オフ部344に対してリレーオンを指示するオン信号を出力する。
【0040】
また、充電池電圧監視部343は、電源制御システム30の待機状態に、リレーオン/オフ部344がラッチングリレー31bのスイッチをオンしている状態で、比較判定部343bが、電源制御回路34に供給される電圧の値が、閾値記憶部343aに記憶される充電解除閾値(不図示)以上(又は超え)になったか否かを判定し、その判定の結果、充電解除閾値以上(又は超え)であると判定された場合に、リレーオン/オフ部344に対してリレーオフを指示するオフ信号を出力する。
【0041】
リレーオン/オフ部344は、操作信号入力部341、タイマー信号入力部342、充電池電圧監視部343からオン信号を入力した場合に、ラッチングリレー31bのスイッチをオンするとともに、テレビマイコン41からの電源オフコマンドを入力した場合や、充電池電圧監視部343からオフ信号を入力した場合に、ラッチングリレー31bのスイッチをオフするものである。
【0042】
リセット制御部350は、後述の図5に示すような初期状態におけるリセット処理を実行するとともに、後述の図6に示すような待機状態におけるリセット処理を実行するものであり、本実施形態では、電圧判定部351、リセット実行部352等を備えている。
【0043】
ここで、電圧判定部351は、蓄電池33bが完全放電状態で、スイッチ部31が主電源50に接続され、復旧スイッチ31aが押下されて、電源回路32を介して各負荷(待機電源33、内部負荷部40等)に電圧が供給された場合(初期状態)に、電源制御回路34に供給される電圧の値(供給電圧値)を監視するとともに、電源制御システム30の待機状態に、蓄電池33bから供給される電圧の値(供給電圧値)を監視するものであり、リセット閾値記憶部351a、比較判定部351b等を備えている。
【0044】
より具体的には、この電圧判定部351は、上述の初期状態において、比較判定部351bが、供給電圧値が、リセット閾値記憶部351aに記憶されるリセット閾値(図3(b)の例では、2.7V)以上(又は超え)になったか否かを判定し、その判定の結果、リセット閾値以上(又は超え)であると判定された場合に、リセット実行部352にリセット実行を指示する実行信号を出力する。
【0045】
また、この電圧判定部351は、上述の待機状態において、比較判定部351bが、供給電圧値が、リセット閾値記憶部351aに記憶されるリセット閾値(図3(b)の例では、2.7V)以下(又は未満)になったか否かを判定し、その判定の結果、リセット閾値以下(又は未満)であると判定された場合に、リセット実行部352にリセットを指示する信号を出力する。
【0046】
リセット実行部352は、上述の初期状態及び待機状態において、電圧判定部351から実行信号を入力した場合、電源制御回路34のステータス保持部360が保持するステータスをクリアする処理を実行する。
【0047】
なお、本実施形態の電源制御回路34は、IC(Integrated Circuit)やLSI(Large Scale Integrated Circuit)などの電子回路を集積した集積回路で実現される。
【0048】
図3は、電源制御回路34の動作電圧の一仕様例と、各種設定された閾値の一設定例を示す図であり、図3(a)が、電源制御回路の動作電圧の一仕様例を示し、図3(b)が、リセット閾値の一設定例を示す図であり、図3(c)が、充電閾値の一設定例を示す図である。
【0049】
図3(a)に示すように、本実施形態の電源制御回路34は、正常な処理動作を行うのに最も適した理想的な電圧値が「3.0V」であり、正常な処理動作が保証される動作保証電圧値の範囲が「2.7V〜3.3V」であり、電源制御回路34の内部回路の動作電圧値が「1.5V」であることを示している。
【0050】
また、図3(b)に示すように、上記リセット閾値記憶部351aに記憶されているリセット閾値が「2.7V」、即ち、上述の動作保証電圧値の最低電圧値「2.7V」と同一の値となっている。これにより、初期状態のリセット処理においては、電源制御回路34が動作可能な状態になった場合にリセット処理を実行することができ、また、待機状態のリセット処理においては、電源制御回路34に動作保証範囲外の電圧が供給されそうになった場合にリセット処理を実行することができる。
【0051】
更に、図3(c)に示すように、上記閾値記憶部343aに記憶されている充電閾値が「2.8V」、即ち、上述の最低電圧値「2.7V」を少し上回る電圧値となっている。これにより、蓄電池33bが電源制御回路34に対して動作保証範囲外の電圧が供給されそうになった場合に蓄電池33bの充電を行うことができる。
【0052】
図1に戻って、制御信号受信部35は、リモコン装置20から電源オンや、チャンネル、音量等を指示する各種制御信号を受信するものである。
【0053】
タイマー36は、録画予約、自動電源オン、自動電源オフ等の時間が経過した場合に信号を出力する計時手段である。
【0054】
また、内部負荷部40は、上記電源制御システム30以外における負荷部を示しており、例えば、テレビジョン受信機10のテレビマイコン41、映像表示部42等の一般的なテレビジョン受信機の負荷部と同等のものを備えている。
【0055】
次に、上記説明したテレビジョンシステム1における各種処理動作について説明する。
【0056】
図4は、上述の初期状態におけるリセット処理手順を示すフローチャートである。
【0057】
図4に示すように、このテレビジョンシステム1では、例えば、このテレビジョンシステム1が購入者宅に納入されて蓄電池33bが完全放電状態の場合や、既に納入済みであるがテレビジョン受信機10のプラグが長い間主電源50から抜かれていて蓄電池33bが完全放電状態になっていた場合などにおいて(ステップS10)、購入者などの操作者がプラグを主電源50に接続し(ステップS11)、続いて、復旧スイッチ31aを押下すると(ステップS12)、テレビジョン受信機10の各負荷(待機電源33、内部負荷部40等)に電源回路32経由で主電源50からの電圧が供給される(ステップS13)。
【0058】
続いて、ステップS14において、リセット制御部350が、初期状態における電源制御回路34のリセット処理を実行する。
【0059】
図5は、上記ステップS14のリセット処理の詳細な処理手順を示すフローチャートである。
【0060】
図5に示すように、初期状態における電圧監視状態においては、ステップS21及びステップS22において、電圧判定部351の比較判定部351bが、電圧判定処理を行う。
【0061】
具体的には、上記ステップS21の処理では、比較判定部351bが、電源制御回路34に供給される電圧の値(供給電圧値)が、リセット閾値(2.7V)以上(又は超え)であるか否かを判定する。
【0062】
そして、その比較判定の結果、供給電圧値が、リセット閾値以上(又は超え)であると判定されると(ステップS22:YES)、比較判定部351bが、リセット実行部352に対してリセットを指示する実行信号を出力する。
【0063】
続いて、ステップS23において、リセット実行部352が、上記実行信号を入力すると、リセット処理を実行する。即ち、電源制御回路34の内部回路に対してリセット信号を供給する。これにより、内部回路が保持するステータスがクリアされる。
【0064】
その後、図4に戻って、ステップS15において、電源制御回路34では、電源制御システム30における待機状態の処理が行われる。
【0065】
図6は、上述の待機状態におけるリセット処理手順を示すフローチャートである。
【0066】
図6に示すように、待機状態における電圧監視状態においては、ステップS31及びステップS32において、電圧判定部351の比較判定部351bが、電圧判定処理を行う。
【0067】
具体的には、上記ステップS31では、比較判定部351bが、電源制御回路34に供給される電圧の値(供給電圧値)が、リセット閾値(2.7V)以下(又は未満)であるか否かを判定する。
【0068】
そして、その比較判定の結果、供給電圧が、リセット閾値以下(又は未満)であると判定されると(ステップS32:YES)、比較判定部351bが、リセット実行部352に対してリセットを指示する実行信号を出力する。
【0069】
続いて、ステップS33において、リセット実行部352が、上記実行信号を入力すると、リセット処理を実行する。即ち、ステータス保持部360に対してリセット信号を供給する。これにより、ステータス保持部360が保持するステータスがクリアされる。
【0070】
図7は、電源制御部340におけるラッチングリレーのオン/オフ処理の手順を示すフローチャートである。
【0071】
図7に示すように、ラッチングリレーがオフの待機状態においては、ステップS41において、リレーオン/オフ部344が、操作信号入力部341、タイマー信号入力部342、充電池電圧監視部343等からラッチングリレーのリレーオンを指示するオン信号の入力の待ち受け処理を行う。そして、この待ち受け処理において、オン信号を入力すると(ステップS41:YES)、続くステップS42において、ラッチングリレー31bのスイッチをオンする処理を実行する。
【0072】
その後、ステップS43及びステップS44において、電源制御回路34では、内部回路が保持しているステータスをクリアするリセット処理を実行することなく、リレーオン/オフ部344によるラッチングリレーのオフ条件の成立、即ち、テレビマイコン41や充電池電圧監視部343からラッチングリレーのリレーオフを指示する電源オフコマンドやオフ信号の入力待ち処理を行う。
【0073】
そして、上記待ち受け処理において、ラッチングリレーのオフ条件が成立した場合、即ち、操作信号入力部341、タイマー信号入力部342、充電池電圧監視部343等からオフ信号を入力した場合(ステップS44:YES)、続くステップS45において、リレーオン/オフ部344が、ラッチングリレー31bのスイッチをオフする処理を実行する。
【0074】
即ち、上記説明してきた実施形態によれば、蓄電池33bが完全放電状態においてスイッチ部31が主電源50に接続された場合や、スイッチ部31と主電源50との接続が解除されて蓄電池33bが完全放電状態になる場合などの電源制御回路34に供給される電圧が動作保証範囲外の電圧である場合にのみ電源制御回路34のリセット処理を行うように構成したため、電源制御回路34に動作保証範囲内の電圧が供給されている場合には、スイッチ部31のラッチングリレー31bがオンされたとしても電源制御回路34のリセット処理を行わないことから、常に電源制御回路34のステータス保持部360がステータスを保持することができる。
【0075】
また、それにより、ステータスがクリアされたことでテレビマイコン41などの上位の制御回路(制御モジュール)がステータスに基づいた処理制御を行うことができない、などの従来の不都合を解消することができる。
【0076】
以上、例示的な実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上記した実施形態により限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載により表される技術的思想の範囲内において種々の変更、改変を行うことが可能である。
【0077】
例えば、上記した実施形態では、リセット閾値として、電源制御回路34の動作保証電圧の最低電圧値(例:2.7V)と同一の値(例:2.7V)を設定した場合について説明したが、これ以外にも、リセット閾値として、最低電圧値(例:2.7V)より若干上の値(例:2.8V)又は若干下の値(例:2.6V)などの、最低電圧値からプラスマイナス数百mVの範囲内の任意の電圧値を設定するようにしても良い。
【0078】
また、上述した以外にも、初期状態に使用するリセット閾値としては、待機状態に使用するリセット閾値とは異なる値を別に設定するようにしても良い。例えば、待機状態に使用するリセット閾値に電源制御回路34の動作保証電圧の最低電圧値と同一の「2.7V」が設定されている場合に、初期状態に使用するリセット閾値として上記「2.7V」より下の値を設定するようにしても良い。例えば、初期状態に使用するリセット閾値として、図3(a)に示すような電源制御回路34の内部回路の動作電圧値「1.5V」を設定するようにしても良い。
【0079】
また、上記した実施形態では、充電閾値として、電源制御回路34の動作保証電圧の最低電圧値(例:2.7V)より若干上の値(例:2.8V)を設定した場合について説明したが、これ以外にも、充電閾値として、最低電圧値(例:2.7V)以下の値を設定するようにしても良い。
【0080】
また、上記した実施形態では、電源制御回路34と、制御信号受信部35と、タイマー36とをそれぞれ個別に設けるような形態について説明したが、これ以外にも、例えば、それら電源制御回路34、制御信号受信部35、タイマー36等を一つのLSIで実現することも可能である。
【0081】
また、上記した実施形態では、電源制御回路が実装される電子機器として、テレビジョン受信機を例にした場合について説明したが、これ以外にも、例えば、録画装置やDVDプレーヤ等の他の電子機器に適用することも可能である。
【0082】
その他、上記した実施形態におけるテレビジョン受信機などの電子機器及び電源制御回路の構成及び機能構成などは単なる例として記載したものであり、本発明はこれらにより限定されない。
【符号の説明】
【0083】
1 テレビジョンシステム
10 テレビジョン受信機(電子機器)
30 電源制御システム
31 スイッチ部(スイッチ手段)
31a 復旧スイッチ
31b ラッチングリレー
32 電源回路
33 待機電源
33a 充電器
33b 蓄電池(蓄電手段)
40 内部負荷部
41 テレビマイコン
42 映像表示部
34 電源制御回路(電源制御モジュール)
340 電源制御部
341 操作信号入力部
342 タイマー信号入力部
343 充電池電圧監視部
343a 閾値記憶部
343b 比較判定部
344 リレーオン/オフ部
350 リセット制御部
360 ステータス保持部(記憶手段)
351 電圧判定部
351a リセット閾値記憶部
351b 比較判定部
352 リセット実行部
35 制御信号受信部
36 タイマー
20 リモコン装置
50 主電源(家庭用のコンセントなどの商用電源)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源制御モジュールであって、
前記電源制御モジュールの状態情報を示すステータスを保持する記憶手段と、
待機状態において主電源と電源回路との間に配置されたスイッチ手段がオフされているときに蓄電手段から供給される電圧により電源オン/オフの信号を待ち受ける動作を行い、前記信号に基づいて前記スイッチ手段のオン/オフを制御することにより、前記電源回路経由での負荷への前記主電源からの電圧の供給/遮断を制御する電源制御手段と、
前記スイッチ手段がオンされて前記主電源から供給される電圧が所定範囲外から前記所定範囲内になった場合に、前記記憶手段が保持しているステータスをクリアするリセット処理を実行し、前記待機状態において蓄電手段から供給される電圧が前記所定範囲内の電圧である場合に、前記スイッチ手段がオンされると前記記憶手段が保持しているステータスを保持したままとするリセット制御手段と、
を備える電源制御モジュール。
【請求項2】
前記リセット制御手段は、前記待機状態において蓄電手段から供給される電圧が前記所定範囲外の電圧になる場合に前記記憶手段が保持しているステータスをクリアするリセット処理を実行する、請求項1に記載の電源制御モジュール。
【請求項3】
前記所定範囲が電源制御モジュールの動作保障範囲である、請求項1又は2に記載の電源制御モジュール。
【請求項4】
前記電源オン/オフの信号は、外部のリモコン装置からの制御信号である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電源制御モジュール。
【請求項5】
前記電源制御手段は、前記待機状態において蓄電手段から供給される電圧が充電閾値以下になった場合に、前記スイッチ手段をオンにする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電源制御モジュール。
【請求項6】
電源制御モジュールを備えた電子機器であって、
前記電源制御モジュールは、
前記電源制御モジュールの状態情報を示すステータスを保持する記憶手段と、
待機状態において主電源と電源回路との間に配置されたスイッチ手段がオフされているときに蓄電手段から供給される電圧により電源オン/オフの信号を待ち受ける動作を行い、前記信号に基づいて前記スイッチ手段のオン/オフを制御することにより、前記電源回路経由での負荷への前記主電源からの電圧の供給/遮断を制御する電源制御手段と、
前記スイッチ手段がオンされて前記主電源から供給される電圧が所定範囲外から前記所定範囲内になった場合に、前記記憶手段が保持しているステータスをクリアするリセット処理を実行し、前記待機状態において蓄電手段から供給される電圧が前記所定範囲内の電圧である場合に、前記スイッチ手段がオンされると前記記憶手段が保持しているステータスを保持したままとするリセット制御手段と、
を備える電子機器。
【請求項7】
前記リセット制御手段は、前記待機状態において蓄電手段から供給される電圧が前記所定範囲外の電圧になる場合に前記記憶手段が保持しているステータスをクリアするリセット処理を実行する、請求項6に記載の電子機器。
【請求項8】
前記所定範囲が電源制御モジュールの動作保障範囲である、請求項6又は7に記載の電子機器。
【請求項9】
前記電源オン/オフの信号は、外部のリモコン装置からの制御信号である、請求項6〜8のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項10】
前記電源制御手段は、前記待機状態において蓄電手段から供給される電圧が充電閾値以下になった場合に、前記スイッチ手段をオンにする、請求項6〜9のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項11】
電源制御モジュールで実行されるリセット制御方法であって、
前記電源制御モジュールは、当該電源制御モジュールの状態情報を示すステータスを保持する記憶手段を有し、
電源制御手段が、待機状態において主電源と電源回路との間に配置されたスイッチ手段がオフされているときに蓄電手段から供給される電圧により電源オン/オフの信号を待ち受ける動作を行い、前記信号に基づいて前記スイッチ手段のオン/オフを制御することにより、前記電源回路経由での負荷への前記主電源からの電圧の供給/遮断を制御する電源制御工程と、
リセット制御手段が、前記スイッチ手段がオンされて前記主電源から供給される電圧が所定範囲外から前記所定範囲内になった場合に、前記記憶手段が保持しているステータスをクリアするリセット処理を実行し、前記待機状態において蓄電手段から供給される電圧が前記所定範囲内の電圧である場合に、前記スイッチ手段がオンされると前記記憶手段が保持しているステータスを保持したままとするリセット制御工程と、
を含むリセット制御方法。
【請求項12】
前記リセット制御工程は、前記待機状態において蓄電手段から供給される電圧が前記所定範囲外の電圧になる場合に前記記憶手段が保持しているステータスをクリアするリセット処理を実行する、請求項11に記載のリセット制御方法。
【請求項13】
前記所定範囲が電源制御モジュールの動作保障範囲である、請求項11又は12に記載のリセット制御方法。
【請求項14】
前記電源オン/オフの信号は、外部のリモコン装置からの制御信号である、請求項11〜13のいずれか一項に記載のリセット制御方法。
【請求項15】
前記電源制御工程は、前記待機状態において蓄電手段から供給される電圧が充電閾値以下になった場合に、前記スイッチ手段をオンにする、請求項11〜14のいずれか一項に記載のリセット制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−250465(P2011−250465A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−162592(P2011−162592)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【分割の表示】特願2009−293303(P2009−293303)の分割
【原出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】