説明

電源装置及び照明装置

【課題】交流電圧から直流電圧に切り替えられた場合でも安定に動作する電源装置及び照明装置を提供する。
【解決手段】電流生成回路30は、電源が投入された場合、降圧コンバータ回路20への入力電圧の印加時に、フォトダイオード34、フォトトランジスタ37のコレクタ・エミッタ間に流れる電流を過渡電流Iとして生成する。比較回路43は、フォトトランジスタ37のコレクタに流れ出る過渡電流I(過渡電圧V)と基準電流Ith(基準電圧Vth)とを比較し、比較結果を電流制限回路45へ出力する。電流制限回路45は、各周期のクロック信号の立ち上がり時点で、比較回路43から出力される比較信号を取得し、比較結果に応じてFET21のゲートGへ駆動信号を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDに電流を供給する電源装置及び該電源装置を備える照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源として用いられてきた蛍光灯やその他の放電灯に比べて、省電力又は長寿命であるという理由で、LEDが光源として注目を浴びており、数十mAから数百mA程度の比較的大きな電流を流すことができるLEDが、住宅用照明機器のみならず、工場や事業所用の照明機器、道路用照明機器、産業用照明機器などに使用されるようになった。
【0003】
このようなLEDを照明機器用の光源として用いる場合、LED点灯装置は、交流入力電源を整流する整流回路で交流電圧を直流電圧に変換し、変換後の直流電圧をLEDに供給する構成をなしている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図6は従来のLED用の電源装置の構成を示すブロック図である。図6に示すように、このような電源装置は、商用電源(例えば、AC100V〜240V)から流入するノイズを除去するフィルタ回路10、入力された交流電圧を全波整流する整流回路11、整流回路11で全波整流された電圧波形を平滑し、ほぼ一定な直流電圧にする平滑用コンデンサ12、所定の定電圧又は定電流を出力する降圧コンバータ回路13などを備え、複数のLED1、…に所要の直流電流を供給する。
【0005】
降圧コンバータ回路13には、入力電圧をスイッチングするためのFETを備え、FETに過電流(例えば、定格電流以上の異常電流)が流れた場合に、FETのスイッチング動作を停止させるための過電流保護回路が備えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−40584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
工場や事業所、公共の場所などに設置される照明装置は、通常は商用電源を用いて点灯する。一方で、停電などで商用電源が供給されない事態に対処するため、二次電池(例えば、DC100V)を商用電源で充電しておき、停電時には商用電源から二次電池へ切り替えて電力の供給を停止することなく維持する電源設備が設置されている。そして、商用電源が停電した場合には、二次電池により照明装置も点灯させたいという要望があった。
【0008】
しかし、図6に示すような従来の電源装置にあっては、商用電源(例えば、AC100V)から二次電池(例えば、DC100V)に切り替えた場合、降圧コンバータ回路13の入力側の電圧(平滑用コンデンサ12の電圧)は、AC100Vの場合の約DC140VからDC100Vになる。このDC100Vは、商用電源の場合には、AC70V程度に相当する。すなわち、商用電源から二次電池に切り替わった場合には、商用電源の交流電圧がAC100VからAC70V程度に低下したことを意味する。このため、降圧コンバータ回路13は負荷であるLED1に所要の電力を供給すべく動作するため、降圧コンバータ回路13の入力電圧が低い分だけ入力電流が増加し、過電流となってFETの動作が停止し、電源装置の動作が不安定になるという問題があった。
【0009】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、交流電圧から直流電圧に切り替えられた場合でも安定に動作する電源装置及び該電源装置を備える照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1発明に係る電源装置は、入力電圧をFETでスイッチングして出力電圧を生成する降圧コンバータを備え、前記FETに過電流が流れたときに該FETのスイッチング動作を停止する電源装置において、入力電圧の印加時に過渡電流を前記降圧コンバータの出力側で生成する電流生成部と、該電流生成部で生成した過渡電流に基づいて前記FETに流れる電流を制限する電流制限部とを備えることを特徴とする。
【0011】
第2発明に係る電源装置は、第1発明において、所定の周期のクロック信号を生成するクロック信号生成部と、前記クロック信号の各周期で前記過渡電流と基準電流とを比較する比較部とを備え、前記電流制限部は、前記比較部による各周期での比較結果に基づいて当該周期で前記FETに流れる電流を制限するように構成してあることを特徴とする。
【0012】
第3発明に係る電源装置は、第1発明又は第2発明において、前記電流生成部は、前記降圧コンバータの出力側に接続された抵抗及びフォトダイオードを含む直列回路と、前記抵抗に並列に接続されたコンデンサと、前記フォトダイオードとカップリングするフォトトランジスタとを備え、該フォトトランジスタに流れる電流を過渡電流として生成するように構成してあることを特徴とする。
【0013】
第4発明に係る電源装置は、第3発明において、前記フォトダイオードに並列に接続されたダイオードを備えることを特徴とする。
【0014】
第5発明に係る照明装置は、前述の発明のいずれか1つに係る電源装置と、該電源装置により電流が供給されるLEDとを備えることを特徴とする。
【0015】
第1発明にあっては、電流生成部は、降圧コンバータに入力電圧が印加された場合、その入力電圧の印加時に過渡電流を降圧コンバータの出力側で生成する。例えば、降圧コンバータに入力電圧が印加されて、負荷(例えば、LED)に流れる電流が定常状態に安定するまでの間において変化する過渡電流を生成することができる。電流制限部は、電流生成部で生成した過渡電流に基づいてFETに流れる電流を制限する。例えば、生成された過渡電流が存在する間は、FETに流れる電流が過電流とならないように制限する。これにより、電源が印加されて入力電圧が降圧コンバータに印加された場合、FETに流れる電流を所要の時間の間制限することができ、交流電圧から直流電圧に切り替えられた場合でも過電流により動作が不安定になることを防止することができる。
【0016】
第2発明にあっては、所定の周期のクロック信号を生成するクロック信号生成部と、クロック信号の各周期で生成した過渡電流と基準電流とを比較する比較部とを備える。なお、比較部は、生成した過渡電流に相当する過渡電圧と基準電流に相当する基準電圧を比較する構成も含む。電流制限部は、比較部による各周期での比較結果に基づいて当該周期でFETに流れる電流を制限する。例えば、所定の周期で生成されるクロック信号に同期して、過渡電流と基準電流とを比較し、過渡電流が基準電流より大きい場合(あるいは、過渡電圧が基準電圧より小さい場合)、当該周期で(すなわち、当該周期の間)FETに流れる電流を制限する。なお、電流を制限するのは、電流値を少なくする場合、電流を流さない場合も含む。このような比較をクロック信号に同期して毎サイクル行う。これにより、入力電圧が降圧コンバータに印加された場合、FETに流れる電流を所要の時間の間制限することができ、過電流により動作が不安定になることを防止することができる。
【0017】
第3発明にあっては、電流生成部は、降圧コンバータの出力側に接続された抵抗及びフォトダイオードを含む直列回路と、抵抗に並列に接続されたコンデンサと、フォトダイオードとカップリングするフォトトランジスタとを備える。電流生成部は、フォトトランジスタに流れる電流を過渡電流として生成する。降圧コンバータに入力電圧が印加された場合、降圧コンバータが作動して出力側に出力電圧が生成される。生成された出力電圧により、コンデンサを介してフォトダイオードに充電電流が流れる。コンデンサが充電されて両端電圧が降圧コンバータの出力電圧にほぼ等しくなった場合(フォトダイオードの順方向電圧の差だけ異なる)、充電電流がゼロになる。フォトダイオードに流れる充電電流に対応してフォトトランジスタに過渡電流を流すことができる。これにより、所要の時間の間だけ過渡電流を生成することができ、FETのスイッチング動作が停止して電源装置の動作が不安定になることを防止することができる。
【0018】
第4発明にあっては、フォトダイオードに並列に接続されたダイオードを備える。コンデンサに充電された電圧は、商用電源や二次電池の電源がオフされた場合、ダイオードを介してLEDなどの負荷へ印加されて放電されるので、再度電源が投入(オン)された場合でも、再び充電電流が流れ、所要の時間の間だけ過渡電流を生成することができ、FETのスイッチング動作が停止して電源装置の動作が不安定になることを防止することができる。
【0019】
第5発明にあっては、電源装置と、電源装置により電流が供給されるLEDとを備える。これにより、交流電圧から直流電圧に切り替えられた場合でも安定に動作する照明装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、電源が印加されて入力電圧が降圧コンバータに印加された場合、FETに流れる電流を所要の時間の間制限することができ、交流電圧から直流電圧に切り替えられた場合でも過電流により動作が不安定になることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施の形態に係る照明装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】電流生成回路で生成する過渡電流の一例を示すタイムチャートである。
【図3】過渡電流に対応する過渡電圧の一例を示すタイムチャートである。
【図4】本実施の形態の電源装置の電流制限の一例を示すタイムチャートである。
【図5】本実施の形態の電源装置の電流制限の他の例を示すタイムチャートである。
【図6】従来のLED用の電源装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて説明する。図1は本実施の形態に係る照明装置の構成の一例を示すブロック図である。本実施の形態の照明装置は、電源装置100及び光源としての複数のLED(発光ダイオード)1を備えている。電源装置100の入力側には商用電源などの交流電圧(例えば、AC100〜AC240V)、あるいは二次電池などの直流電圧(例えば、DC100V)が印加される。
【0023】
電源装置100は、フィルタ回路10、整流回路11、平滑用コンデンサ12、降圧コンバータ回路20、電流生成部としての電流生成回路30、制御回路40などを備えている。
【0024】
フィルタ回路10は、コンデンサ、コイル、バリスタなどを備え、商用電源から流入するノイズを遮断又は低減する。整流回路11は、ダイオードブリッジで構成される全波整流回路であり、入力された交流電圧を全波整流し、全波整流した直流電圧を平滑用コンデンサ12へ出力する。平滑用コンデンサ12は、整流回路11から入力された直流電圧を平滑し、ほぼ一定の直流電圧を降圧コンバータ回路20へ出力する。
【0025】
なお、整流回路11は、直流の電源電圧が印加された場合には、入力された直流電圧をそのまま出力する。すなわち、例えば、AC100Vの電源電圧が印加された場合には、平滑用コンデンサ12の電圧(降圧コンバータ回路20の入力電圧)は約140Vとなり、DC100Vの電源電圧が印加された場合には、平滑用コンデンサ12の電圧(降圧コンバータ回路20の入力電圧)は約100Vとなる。降圧コンバータ回路20の入力電圧が約100Vというのは、約AC70Vの電源電圧が印加された場合に相当する。
【0026】
降圧コンバータ回路20は、入力電圧をスイッチングするFET21、コイル(インダクタンス)22、ダイオード23、抵抗24、コンデンサ25などを備えている。FET21が制御回路40からの駆動信号によってオン/オフのスイッチング動作を行なうことにより、入力電圧を15V〜60V程度の出力電圧に降圧し、負荷であるLED1、…に例えば、300mA程度の電流を供給することができる。なお、LED1に流れる負荷電流は、LED1の特性や個数に応じて適宜設定することができる。
【0027】
なお、降圧コンバータ回路20は、FET21に異常な過電流が流れた場合、FET21のスイッチング動作を停止させる過電流保護回路(不図示)を備えている。なお、過電流保護回路は、FET21に流れる電流を検出する回路(不図示)と制御回路40を用いて構成することもできる。
【0028】
電流生成回路30は、抵抗31、ツェナーダイオード32、33、フォトダイオード34及びフォトトランジスタ37で構成されるフォトカップラ、コンデンサ35、ダイオード36などを備える。降圧コンバータ回路20の出力側の正電圧側には抵抗31の一端を接続し、抵抗31の他端には、ツェナーダイオード32のカソードを接続し、ツェナーダイオード32のアノードにはツェナーダイオード33のカソードを接続し、ツェナーダイオード33のアノードにはフォトダイオード34のアノードを接続し、フォトダイオード34のカソードは、降圧コンバータ回路20の出力側の負電圧側(接地側)に接続してある。ツェナーダイオード32、33は、LED1が取り外された場合などの無負荷時に生じる過電圧を抑制するものである。なお、ツェナーダイオード32、33は1つのツェナーダイオードに置き換えてもよく、ツェナーダイオード32、33を省略することもできる。
【0029】
抵抗31には並列にコンデンサ35を接続してある。図1の例では、降圧コンバータ回路20の出力側の正電圧側とツェナーダイオード33のアノードとの間にコンデンサ35を接続してある。また、フォトダイオード34には並列にダイオード36を接続してある。図1の例では、フォトダイオード34のアノードにダイオード36のカソードを接続し、フォトダイオード34のカソードにダイオード36のアノードを接続してある。なお、ダイオード36は必須ではなく省略することもできる。
【0030】
制御回路40は、抵抗41、基準電流回路42、比較部としての比較回路43、クロック信号生成部としてのクロック信号生成回路44、電流制限部としての電流制限回路45などを備えている。
【0031】
FET21のドレインDとソースSとの間には、抵抗41と抵抗41の一端にコレクタを接続したフォトトランジスタ37との直列回路を接続してある。フォトトランジスタ37のコレクタは、比較回路43に接続されている。これにより、フォトダイオード34に流れる電流(過渡電流I)に応じた電流(過渡電流I)がフォトトランジスタ37のコレクタ・エミッタ間を流れ、当該電流に応じた電流を比較回路43から流出させる。
【0032】
基準電流回路42は、所定の基準電流Ithを生成し、生成した基準電流Ithを比較回路43から流出させる。なお、基準電流回路42は、基準電流Ithに相当する基準電圧Vthを比較回路43へ出力するものと見ることもできる。
【0033】
クロック信号生成回路44は、所定の周期(例えば、周波数相当で132kHz程度)でクロック信号(パルス信号など)を生成し、生成したクロック信号を比較回路43、電流制限回路45へ出力する。これにより、比較回路43、電流制限回路45は、クロック信号に同期して所定の動作を行なうことができる。
【0034】
比較回路43は、フォトトランジスタ37のコレクタに流出する過渡電流Iと基準電流回路42へ流出する基準電流Ithとを比較し、比較結果を電流制限回路45へ出力する。なお、比較回路43は、フォトトランジスタ37のコレクタでの過渡電圧Vと基準電圧Vthとを比較するものと見ることもできる。この場合、フォトトランジスタ37のコレクタに流出する過渡電流Iは、フォトトランジスタ37のコレクタでの過渡電圧Vに相当する。以下、過渡電圧Vと基準電圧Vthとを比較することとして説明するが、過渡電流Iと基準電流Ithとを比較する場合も同様である。
【0035】
比較回路43は、例えば、各周期のクロック信号の立ち上がり時点で、過渡電圧Vと基準電圧Vthとを比較する。そして、例えば、過渡電圧Vが基準電圧Vthより小さい場合には、FET21に流れる電流を制限すべく比較信号を電流制限回路45へ出力する。また、過渡電圧Vが基準電圧Vthより大きい場合には、FET21に流れる電流を制限せずに通常の電流を流すべく比較信号を電流制限回路45へ出力する。
【0036】
電流制限回路45は、例えば、各周期のクロック信号の立ち上がり時点で、比較回路43から出力される比較信号を取得し、比較結果に応じてFET21のゲートGへ駆動信号を出力する。電流制限回路45は、例えば、比較回路43からFET21に流れる電流を制限すべく比較信号を取得した場合には、当該周期においてFET21に流れる電流が少なくなるようにFET21を制御する。この場合、当該周期の間、FET21をオフ状態にすることもできる。
【0037】
次に、本実施の形態の電源装置100の動作について説明する。図2は電流生成回路30で生成する過渡電流の一例を示すタイムチャートである。電流生成回路30は、電源が投入された場合、降圧コンバータ回路20への入力電圧の印加時に、フォトダイオード34、フォトトランジスタ37のコレクタ・エミッタ間に流れる過渡電流Iを生成する。
【0038】
すなわち、降圧コンバータ回路20に入力電圧が印加された場合、降圧コンバータ回路20が作動して出力側に出力電圧が生成される。生成された出力電圧により、コンデンサ35を介してフォトダイオード34に充電電流が流れる。コンデンサ35が充電されて両端電圧が降圧コンバータの出力電圧にほぼ等しくなった場合(フォトダイオード34の順方向電圧の差だけ異なる)、充電電流がゼロになる。フォトダイオード34に流れる充電電流に対応してフォトトランジスタ37のコレクタ・エミッタ間に過渡電流Iを流すことができる。これにより、所要の時間の間だけ過渡電流Iを生成することができる。
【0039】
図3は過渡電流に対応する過渡電圧の一例を示すタイムチャートである。図3に示す過渡電圧Vは、フォトトランジスタ37のコレクタ・エミッタ間を流れる過渡電流Iに対応してフォトトランジスタ37のコレクタでの過渡電圧Vの変化の様子を示す。図3に示すように、過渡電流Iに対応させて所要の時間の間だけ過渡電圧Vを生成することができる。
【0040】
図4は本実施の形態の電源装置100の電流制限の一例を示すタイムチャートである。図4において、上段はクロック信号の波形の一例を示し、中段は過渡電圧Vの変化の様子を示し、下段はFET21に流れる電流(ドレイン電流)の波形の一例を示す。なお、図3の時間軸と図4の時間軸は異なるため、図4における過渡電圧Vの波形は図3の例とは異なって見えるが同じものである。図4に示すように、クロック信号は、所定の周期(例えば、周波数相当で132kHzなど)で繰り返し生成されるパルス信号である。なお、所定の周期は、上述の例に限定されるものではなく、他の値の周期でもよい。
【0041】
比較回路43は、各クロック信号の立ち上がり時点で過渡電圧Vと基準電圧Vthとを比較する。図4の例では、過渡電圧Vは時間とともに増加するものの、時刻t1までは過渡電圧Vが基準電圧Vthより小さい。このため、電流制限回路45は、時刻t1までの間はFET21に流れるドレイン電流を制限する。図4の例では、電流制限回路45は、FET21がオン状態になる周期を間引きしている。なお、オフ状態になる周期の間隔は、図4の例では2周期であるが、これに限定されるものではない。
【0042】
過渡電圧Vが増加し、時刻t2以降では過渡電圧Vが基準電圧Vthより大きくなる。このため、電流制限回路45は、時刻t2以降、各周期でFET21に所定(通常)のドレイン電流を流すことにより、電源装置100は定常動作になる。なお、図4の例では、電源装置100が時刻t2以降、定常動作になった場合、各周期においてドレイン電流が流れない休止期間が設けられているが、休止期間を設けなくてもよい。
【0043】
上述したように、電流生成回路30は、降圧コンバータ回路20に入力電圧が印加された場合、その入力電圧の印加時に過渡電流Iを降圧コンバータ回路20の出力側で生成する。そして、電流制限回路45は、電流生成回路30で生成した過渡電流I(過渡電圧V)に基づいてFET21に流れる電流を制限する。これにより、電源が印加されて入力電圧が降圧コンバータ回路20に印加された場合、FET21に流れる電流を所要の時間の間制限することができ、交流電圧から直流電圧に切り替えられた場合でも過電流により動作が不安定になることを防止することができる。
【0044】
また、所定の周期のクロック信号を生成するクロック信号生成回路44と、クロック信号の各周期で生成した過渡電流I(過渡電圧V)と基準電流Ith(基準電圧Vth)とを比較する比較回路43とを備える。なお、比較回路43は、生成した過渡電流Iに相当する過渡電圧Vと基準電流Ithに相当する基準電圧Vthを比較する構成も含む。電流制限回路45は、比較回路43による各周期での比較結果に基づいて当該周期でFET21に流れる電流を制限する。例えば、所定の周期で生成されるクロック信号に同期して、過渡電圧Vと基準電圧Vthとを比較し、過渡電圧Vが基準電圧Vthより小さい場合、当該周期で(すなわち、当該周期の間)FET21に流れる電流を制限する。このような比較をクロック信号に同期して毎サイクル行う。これにより、入力電圧が降圧コンバータ回路20に印加された場合、FET21に流れる電流を所要の時間の間制限することができ、過電流により動作が不安定になることを防止することができる。
【0045】
また、電流生成回路30は、降圧コンバータ回路20の出力側に接続された抵抗31及びフォトダイオード34を含む直列回路と、抵抗31に並列に接続されたコンデンサ35と、フォトダイオード34とカップリングするフォトトランジスタ37とを備える。電流生成回路30は、フォトトランジスタ37に流れる電流を過渡電流Iとして生成する。降圧コンバータ回路20に入力電圧が印加された場合、降圧コンバータ回路20が作動して出力側に出力電圧が生成される。生成された出力電圧により、コンデンサ35を介してフォトダイオード34に充電電流が流れる。コンデンサ35が充電されて両端電圧が降圧コンバータ回路20の出力電圧にほぼ等しくなった場合(フォトダイオード34の順方向電圧の差だけ異なる)、充電電流がゼロになる。フォトダイオード34に流れる充電電流に対応してフォトトランジスタ37に過渡電流Iを流すことができる。これにより、所要の時間の間だけ過渡電流Iを生成することができ、FET21のスイッチング動作が停止して電源装置100の動作が不安定になることを防止することができる。
【0046】
また、電流生成回路30において、フォトダイオード34に並列に接続されたダイオード36を備える。コンデンサ35に充電された電圧は、商用電源や二次電池の電源がオフされた場合、ダイオード36を介してLED1などの負荷へ印加されて放電されるので、再度電源が投入(オン)された場合でも、再び充電電流が流れ、所要の時間の間だけ過渡電流Iを生成することができ、FET21のスイッチング動作が停止して電源装置100の動作が不安定になることを防止することができる。
【0047】
図5は本実施の形態の電源装置100の電流制限の他の例を示すタイムチャートである。図4と同様に、上段はクロック信号の波形の一例を示し、中段は過渡電圧Vの変化の様子を示し、下段はFET21に流れる電流(ドレイン電流)の波形の一例を示す。図5の例では、図4の例と同様に、電流制限回路45は、時刻t1までの間はFET21に流れるドレイン電流を制限するが、電流の制限方法が図4の例とは異なる。すなわち、電流制限回路45は、各周期でFET21がオン状態になる時間を短くすることにより、FET21に流れるドレイン電流のピーク値を小さくしている。電流制限回路45は、時刻t2以降、各周期でFET21に所定(通常)のドレイン電流を流すことにより、電源装置100は定常動作になる。
【0048】
なお、図5の例では、時刻t1までの間、ドレイン電流のピーク値は一定であるが、過渡電圧Vの増加に応じて、ドレイン電流が増加するようにすることもできる。また、時刻t1までの間、図4の例と図5の例とを組み合わせて、ドレイン電流のピーク値の制限する方法と、FET21がオン状態になる周期を間引きする方法との両方を採用することもできる。
【0049】
上述の実施の形態において、FET21及び制御回路40は、ICモジュールとして1個の素子にまとめることもできる。
【0050】
上述の実施の形態では、LED1を複数個直列に接続する構成であったが、これに限定されるものではなく、複数個直列に接続したLED系統を複数個並列に接続する構成でもよい。
【0051】
上述の実施の形態では、回路方式が1次側と2次側とが直結された非絶縁型であるが、これに限定されるものではなく、1次側と2次側とが絶縁された絶縁型の回路方式であってもよい。
【0052】
上述の実施の形態では、フォトトランジスタ37のコレクタを比較回路43に接続する構成であったが、これに限定されるものではなく、フォトトランジスタ37と比較回路43との間にもう1段トランジスタを設けて電圧を反転させる構成でもよい。この場合は、過渡電圧Vが基準電圧Vthより大きい場合、当該周期で(すなわち、当該周期の間)FET21に流れる電流を制限する構成にできる。
【符号の説明】
【0053】
1 LED
20 降圧コンバータ回路
21 FET
30 電流生成回路(電流生成部)
31 抵抗
32、33 ツェナーダイオード
34 フォトダイオード
35 コンデンサ
36 ダイオード
37 フォトトランジスタ
40 制御回路
41 抵抗
42 基準電流回路
43 比較回路(比較部)
44 クロック信号生成回路(クロック信号生成部)
45 電流制限回路(電流制限部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧をFETでスイッチングして出力電圧を生成する降圧コンバータを備え、前記FETに過電流が流れたときに該FETのスイッチング動作を停止する電源装置において、
入力電圧の印加時に過渡電流を前記降圧コンバータの出力側で生成する電流生成部と、
該電流生成部で生成した過渡電流に基づいて前記FETに流れる電流を制限する電流制限部と
を備えることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
所定の周期のクロック信号を生成するクロック信号生成部と、
前記クロック信号の各周期で前記過渡電流と基準電流とを比較する比較部と
を備え、
前記電流制限部は、
前記比較部による各周期での比較結果に基づいて当該周期で前記FETに流れる電流を制限するように構成してあることを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記電流生成部は、
前記降圧コンバータの出力側に接続された抵抗及びフォトダイオードを含む直列回路と、
前記抵抗に並列に接続されたコンデンサと、
前記フォトダイオードとカップリングするフォトトランジスタと
を備え、
該フォトトランジスタに流れる電流を過渡電流として生成するように構成してあることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記フォトダイオードに並列に接続されたダイオードを備えることを特徴とする請求項3に記載の電源装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の電源装置と、該電源装置により電流が供給されるLEDとを備えることを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−134877(P2011−134877A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−292718(P2009−292718)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(000195029)星和電機株式会社 (143)
【出願人】(590004648)株式会社共進電機製作所 (7)
【Fターム(参考)】