電源装置
【課題】 万が一電源ケーブルが切断されても感電などの二次災害を引き起こさない安全性に優れた電源装置を提供する。
【解決手段】 所定の電圧を持つ交流電源を供給する、複数の電源供給端子(8a、8b)を持つ電源ソケット(8)を備えた電源装置(5)は、前記複数の電源供給端子(8a、8b)の電位がそれぞれ第1の所定電位(DC100V)と前記第1の所定電位より低い第2の所定電位(Vref)とに周期的に変化するか否かに基づき前記電源ソケット(8)までの電源供給経路(6)の断線の有無を判定する判定手段(15)と、前記判定手段で前記電源供給経路の断線が判定されたときに前記電源ソケットへの電源供給を遮断する遮断手段(15)とを備える。
【解決手段】 所定の電圧を持つ交流電源を供給する、複数の電源供給端子(8a、8b)を持つ電源ソケット(8)を備えた電源装置(5)は、前記複数の電源供給端子(8a、8b)の電位がそれぞれ第1の所定電位(DC100V)と前記第1の所定電位より低い第2の所定電位(Vref)とに周期的に変化するか否かに基づき前記電源ソケット(8)までの電源供給経路(6)の断線の有無を判定する判定手段(15)と、前記判定手段で前記電源供給経路の断線が判定されたときに前記電源ソケットへの電源供給を遮断する遮断手段(15)とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置に関し、詳しくは、自動車などで使用される、所定の電圧を持つ交流電源を供給するための電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車等車両(以下「車両」という。)は、より一層の使い勝手や利便性の向上が図られており、たとえば、車内で家電製品を使用できるようにするために、交流電圧用の電源ソケットを備えた車両も一般化してきているが、家電製品の中には車載電装品に比べて遙かに多くの電力を消費するものが存在することから、オーバロード(過電流)対策は不可欠である。
【0003】
かかる対策としては、たとえば、下記の特許文献1に記載された技術(以下、従来技術という。)が知られている。この従来技術では、交流電圧系に流れる電流を検出し、この検出電流が設定値を越えたときに、交流電圧系にオーバロードが発生したと判断して、電源ソケットへの交流電圧供給を遮断するようにしている。
【0004】
【特許文献1】特聞平9−74666号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術にあっては、交流電圧系のオーバロード対策の点で有益であるものの、以下の点で不十分であり、未だ改善すべき余地がある。
【0006】
稀に起こる事例として、交通事故によって車体が大きく損壊し、電源ソケットにつながる電源ケーブルが切断される場合を想定する。一般的に、この種の電源ケーブルは、二本の被膜導線を絶縁外皮で覆った構造を有しており、強い力で切断されたときには、その切断部分で二本の導線が剥き出しになる(導体が露出する)ことがある。さて、この二本の導線間の電位は、電源装置で作られた交流電圧であり、国・地域によって電圧値が規定されている。その規定値は、例えば日本では100V、米国およびカナダでは115V、欧州の多くの国では230V、などである。このように、100Vかそれを上回る電位差があるときに、剥き出し状態である二本の導線に、車両の乗員や救助者等が誤って触れてしまったときには、感電などの二次災害を引き起こすという安全上の問題点がある。
【0007】
そこで本発明の目的は、万が一電源ケーブルが切断されても感電などの二次災害を引き起こさない安全性に優れた電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、所定の電圧を持つ交流電源を供給する、複数の電源供給端子を持つ電源ソケットを備えた電源装置において、前記複数の電源供給端子の電位がそれぞれ第1の所定電位と前記第1の所定電位より低い第2の所定電位とに周期的に変化するか否かに基づき前記電源ソケットまでの電源供給経路の断線の有無を判定する判定手段と、前記判定手段で前記電源供給経路の断線が判定されたときに前記電源ソケットへの電源供給を遮断する遮断手段とを備えたことを特徴とする電源装置である。
請求項2記載の発明は、所定の電圧を持つ交流電源を供給する、複数の電源供給端子を持つ電源ソケットを備えた電源装置において、前記複数の電源供給端子のいずれか一つの電位が第1の所定電位と前記第1の所定電位より低い第2の所定電位とに周期的に変化するか否かに基づき前記電源ソケットまでの電源供給経路の断線の有無を判定する判定手段と、前記判定手段で前記電源供給経路の断線が判定されたときに前記電源ソケットへの電源供給を遮断する遮断手段とを備えたことを特徴とする電源装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、電源ソケットまでの電源供給経路(電源ケーブル)に断線が発生すると、電源ソケットへの電源供給が遮断される。このため、断線によって露出した電源ケーブルの導体部分に人が触れたとしても、感電などの二次災害を引き起こすことはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明における様々な細部の特定ないし実例および数値や文字列その他の記号の例示は、本発明の思想を明瞭にするための、あくまでも参考であって、それらのすべてまたは一部によって本発明の思想が限定されないことは明らかである。また、周知の手法、周知の手順、周知のアーキテクチャおよび周知の回路構成等(以下「周知事項」)についてはその細部にわたる説明を避けるが、これも説明を簡潔にするためであって、これら周知事項のすべてまたは一部を意図的に排除するものではない。かかる周知事項は本発明の出願時点で当業者の知り得るところであるので、以下の説明に当然含まれている。
【0011】
図1は、全体的なシステム構成図である。この図において、車両1のエンジンルーム2に設置されたバッテリ3の負極端子3aは車両1のボディ1aに接続されており、バッテリ3の正極端子3bは配線4を介して、ダッシュボード内などに配置されたDC/ACインバータ5に接続されている。なお、配線4の途中にヒューズなどの過電流対処手段が含まれていてもよい。
【0012】
DC/ACインバータ5は、バッテリ3から供給された直流電圧(DC12Vとする。)を、商用電源電圧に相当する交流電圧(単層のAC100Vとする。)に変換し、そのAC100Vをハーネス6を介して、たとえば、荷室7の壁面等に設けられた電源ソケット8に出力する。
【0013】
図2は、DC/ACインバータ5を含む系統図である。この図において、DC/ACインバータ5は、直流電圧昇圧用のDC/DC変換器9、直交変換用のDC/AC変換器10、高調波等の不要信号を除去するための二つのフィルタ(以下、第1のフィルタ11、第2のフィルタ12)、電源ソケット8の各端子電圧(一方端子8aの電圧と他方端子8bの電圧)を検出するための二つの電圧検出器(以下、第1の電圧検出器13、第2の電圧検出器14)、DC/AC変換器10の直交変換処理やハーネス6の切断時対策処理(交流電圧出力停止処理)などを実行する制御部15、及び、交流電圧出力停止時に警告を発する警告灯16を含んで構成されている。
【0014】
また、ハーネス6は、第1のフィルタ11と電源ソケット8の一方端子8aとを接続する第1のライン6aと、第2のフィルタ12と電源ソケット8の他方端子8bとを接続する第2のライン6bと、電源ソケット8の一方端子8aと第1の電圧検出器13とを接続する第3のライン6cと、電源ソケット8の他方端子8bと第2の電圧検出器14とを接続する第4のライン6dとを共通の外皮(図3の外皮24参照)で覆って構成されている。
【0015】
図3は、電源ソケット8とハーネス6の外観図である。この図において、電源ソケット8は、開閉可能な蓋17を有する本体18に形成された二つの平行穴19の内部に一方電極8aと他方電極8bとを埋設して構成されている。
【0016】
一方、ハーネス6は、四本のライン(第1〜第4のライン6a〜6d)の各々を絶縁被膜20〜23で覆うと共に、それらを共通の外皮24でまとめた構造となっており、さらに、第1のライン6aと第3のライン6cの各端部が電源ソケット8の一方端子8aに接続され、第2のライン6bと第4のライン6dの各端部が電源ソケット8の他方端子8bに接続されている。なお、この図では、第1〜第4のライン6a〜6dと電源ソケット8の一方端子8a及び他方端子8bとの接続部分が剥き出し状態で描かれているが、これは図示の都合である。安全のための何らかの手段、たとえば、保護カバーや樹脂封止などを用いて外部と電気的に絶縁されていることは当然である。
【0017】
再び図2に戻って説明を続けると、DC/DC変換器9は、バッテリ3から供給されたDC12Vを所定の直流高電圧(以下、DC100Vとする。)に昇圧してDC/AC変換器10に出力する。DC/AC変換器10は、制御部15からの制御を受けながら、DC100Vを商用電源電圧相当の交流電圧(以下、AC100Vとする。)に変換し、そのAC100Vを二つのフィルタ11、12とハーネス6を介して電源ソケット8の一方端子8aと他方端子8bに出力する。
【0018】
ここで、本実施形態のDC/ACインバータ5は、商用電源電圧の波形(正弦波)に近い方形波状の疑似正弦波を出力する簡易型インバータである。このような簡易型インバータは、安価で小さいというメリットから、今日、車載用をはじめとした様々な用途で用いられている。したがって、本実施形態においても、かかる簡易型インバータをDC/ACインバータ5として使用することにするが、これは、コストメリットを勘案した上でのものであり、発明の思想上は、商用電源電圧の波形相当の綺麗な正弦波交流を出力する高性能なインバータの使用を排除しない。
【0019】
ここで、本実施形態のDC/ACインバータ5における交流電圧の出力動作について説明する。
図4は、DC/ACインバータ5に含まれるDC/AC変換器10の出力回路25の構成図である。この図において、出力回路25は、四つのスイッチ素子(以下、第1〜第4のスイッチ素子26〜29)と、二つの論理反転素子(以下、第1の論理反転素子30、第2の論理反転素子31)とを備えており、DC/DC変換器9の出力(DC100V)とDC/ACインバータ5の二次側グランド5a(この二次側グランド5aと車両1のボディ1aとは電気的に絶縁されている。)との間に、第1及び第2のスイッチ素子26、27と、第3及び第4のスイッチ素子28、29とを並列に接続すると共に、制御部15の第1の制御信号(C1)出力と第2のスイッチ素子27のゲートとの間に第1の論理反転素子30を入れ、且つ、制御部15の第2の制御信号(C2)出力と第4のスイッチ素子29のゲートとの間に第2の論理反転素子31を入れて構成し、さらに、第1のスイッチ素子26と第2のスイッチ素子27の間のノードN1を第1のフィルタ11に接続し、第3のスイッチ素子28と第4のスイッチ素子29の間のノードN2を第2のフィルタ12に接続して構成されている。
【0020】
このような構成によれば、制御部15からの第1の制御信号(C1)と第2の制御信号(C2)の論理の組み合わせに応じて四つのスイッチ素子(第1〜第4のスイッチ素子26〜29)のオンオフを個別に制御することができる。
【0021】
そして、それらの組み合わせごとに、電源ソケット8の一方端子8aと他方端子8bの各々の電位を、DC/ACインバータ5の二次側グランド5aの電位に相当する基準電位(以下、Vrefという。)からDC100V相当の電位へと所定周期(商用電源周波数の周期;たとえば、毎秒60Hzの周期)で方形波状に変化させて、DC100Vの略2倍相当のピークtoピーク電圧を持つ擬似正弦波状の交流電圧波形を出力することができる。DC100Vは発明の要旨に記載の「第1の所定電位」に相当し、Vrefは第1の所定電位より低い「第2の所定電位」に相当する。
【0022】
ここで、電源ソケット8の一方端子8aと他方端子8bの双方の電位を基準電位Vrefにするためには、出力回路25の第2のスイッチ素子27と第4のスイッチ素子29だけをオンにすればよく、それには、制御部15からの第1の制御信号(C1)と第2の制御信号(C2)とを共にロー論理(L)にすればよい。このようにすると、第1のスイッチ素子26と第3のスイッチ素子28がオフとなり、第2のスイッチ素子27と第4のスイッチ素子29がオンになるから、各ノードN1、N2がオン状態の第2のスイッチ素子27と第4のスイッチ素子29を介してDC/ACインバータ5の二次側グランド5aにつながり、その結果、電源ソケット8の一方端子8aと他方端子8bの双方の電位が基準電位Vrefになる。
【0023】
また、電源ソケット8の一方端子8aの電位をDC100V相当の電位にすると共に、電源ソケット8の他方端子8bの電位を基準電位Vrefにするためには、出力回路25の第1のスイッチ素子26と第4のスイッチ素子29だけをオンにすればよく、それには、制御部15からの第1の制御信号(C1)をハイ論理(H)にすると共に、制御部15からの第2の制御信号(C2)をロー論理(L)にすればよい。このようにすると、第1のスイッチ素子26と第4のスイッチ素子29がオンとなり、第2のスイッチ素子27と第3のスイッチ素子28がオフになるから、一方のノードN1がオン状態の第1のスイッチ素子26を介してDC/DC変換器9の出力(DC100V)につながり、且つ、他方のノードN2がオン状態の第4のスイッチ素子29を介してDC/ACインバータ5の二次側グランド5aにつながり、その結果、電源ソケット8の一方端子8aの電位がDC100V相当の電位になると共に、他方端子8bの電位が基準電位Vrefになる。
【0024】
また、電源ソケット8の他方端子8bの電位をDC100V相当の電位にすると共に、電源ソケット8の一方端子8aの電位を基準電位Vrefにするためには、出力回路25の第2のスイッチ素子27と第3のスイッチ素子28だけをオンにすればよく、それには、制御部15からの第1の制御信号(C1)をロー論理(L)にすると共に、制御部15からの第2の制御信号(C2)をハイ論理(H)にすればよい。このようにすると、第1のスイッチ素子26と第4のスイッチ素子29がオフとなり、第2のスイッチ素子27と第3のスイッチ素子28がオンになるから、他方のノードN2がオン状態の第3のスイッチ素子28を介してDC/DC変換器9の出力(DC100V)につながり、且つ、一方のノードN1がオン状態の第2のスイッチ素子27を介してDC/ACインバータ5の二次側グランド5aにつながり、その結果、電源ソケット8の他方端子8bの電位がDC100V相当の電位になると共に、一方端子8aの電位が基準電位Vrefになる。
【0025】
図5は、以上の説明をまとめたDC/ACインバータ5の動作マトリクス図である。この図に示すように、第1の制御信号(C1)と第2の制御信号(C2)の論理の組み合わせに応じて四つのスイッチ素子(第1〜第4のスイッチ素子26〜29)のオンオフを個別に制御することにより、電源ソケット8の一方端子8aと他方端子8bの各々の電位を、DC/ACインバータ5の二次側グランド5aの電位に相当する基準電位(以下、Vrefという。)からDC100V相当の電位へと変化させることができる。
【0026】
ここで、第1の制御信号(C1)と第2の制御信号(C2)の組み合わせを図中の三つのモード(M1〜M3)で示すことにする。すなわち、C1=C2=Lの組み合わせをモードM1といい、C1=H、C2=Lの組み合わせをモードM2といい、且つ、C1=L、C2=Hの組み合わせをモードM3ということにする。
【0027】
図6は、三つのモード(M1〜M3)における出力回路25の動作概念図である。ただし、電源ソケット8の一方端子8aと他方端子8bに任意の負荷32が接続されているものとする。この図において、モードM1のときには、SW1(第1のスイッチ要素26)とS3(第3のスイッチ要素28)がオフ、SW2(第2のスイッチ要素27)とSW4(第4のスイッチ要素29)がオンになるため、電源ソケット8の一方端子8aと他方端子8bの電位が共に基準電位Vrefとなって負荷32には電流が流れないが、モードM2又はモードM3のときには、図中矢印で示す二つの経路33、34のいずれかを通って負荷32に電流が流れる。
【0028】
すなわち、モードM2のときには、SW1とS4がオン、SW2とSW3がオフになるため、電源ソケット8の一方端子8aの電位がDC100V、他方端子8bの電位が基準電位Vrefとなり、その結果、経路33に沿って、DC100V→一方端子8a→負荷32→他方端子8b→Vrefの向きの電流が流れる。また、モードM3のときには、SW1とS4がオフ、SW2とSW3がオンになるため、電源ソケット8の他方端子8bの電位がDC100V、一方端子8aの電位が基準電位Vrefとなり、その結果、逆の経路34に沿って、DC100V→他方端子8b→負荷32→一方端子8a→Vrefの向きの電流が流れる。
【0029】
このように、モードM2のときに負荷32に流れる電流(電源電流)の経路33と、モードM3のときに負荷32に流れる電流(電源電流)の経路34は、逆向きである。したがって、たとえば、電源ソケット8の一方端子8aを正極とすれば、経路33に沿って負荷32に流れる電源電流は、交流電圧の正極側半サイクルの電流となり、同様に、経路34に沿って負荷32に流れる電源電流は、交流電圧の負極側半サイクルの電流となる。
【0030】
したがって、本実施形態のDC/ACインバータ5の出力電圧波形は、次のように書き表すことができる。
【0031】
図7は、DC/ACインバータ5の出力電圧波形を示す図である。この図において、(a)は電源ソケット8の一方端子8aと他方端子8bに現れる電圧波形を示している。ここでは、(a)の上段の波形35を一方端子8aの波形とし、下段の波形36を他方端子8bの波形としている。
【0032】
これらの二つの波形35、36は共にVref(第2の所定電位)を基準にしてDC100V(第1の所定電位)のピークを持つ矩形状をなしており、いずれもDC100V期間の長さが同一の長さAになっている。また、これら二つの波形35、36は位相差B(時間軸上のズレ)を有しており、この位相差Bは商用電源周波数の1/2周期長に相当する。
【0033】
これら二つの波形35、36が共にVrefにある期間は前記のモードM1に対応する。また、一方の波形35だけがDC100Vになっている期間は前記のモードM2に対応し、他方の波形36だけがDC100Vになっている期間は前記のモードM3に対応する。
【0034】
一方の波形35だけがDC100Vになっている期間(モードM2)では、前記の経路33に沿って電源ソケット8の一方端子8a→負荷32→他方端子8bの向きで電源電流が流れ、また、他方の波形36だけがDC100Vになっている期間(モードM3)では、前記の経路34に沿って電源ソケット8の他方端子8b→負荷32→一方端子8aの向きで電源電流が流れる。
【0035】
したがって、負荷32から見た場合のDC/ACインバータ5の出力電圧は、図7(b)に示すような交流電圧波形37として描くことができる。
【0036】
この交流電圧波形37は、商用電源周波数の周期と同一の周期Cでサイクリックに繰り返される波形であって、Vrefを基準にしてプラス側のピーク(+P)とマイナス側のピーク(−P)を持つ階段状の疑似正弦波である。+Pと−PはほぼDC100V相当の電位であり、図示の交流電圧波形37のピークtoピークは、比較のために示す商用電源電圧波形38のピークtoピークとほぼ一致している。また、図示の交流電圧波形37の立ち上がり及び立ち下がりも商用電源電圧波形38の立ち上がり及び立ち下がりとほぼ一致し、しかも、図示の交流電圧波形37の1周期長Cと商用電源電圧波形38の1周期長も一致しているから、図示の交流電圧波形37は、商用電源電圧波形38に近い形の擬似正弦波である。
【0037】
以上の構成を有するDC/ACインバータ5によれば、バッテリ3からのDC12VをDC100Vに昇圧し、そのDC100Vを用いて商用電源電圧相当の交流電圧(AC100V)を発生することができ、このAC100Vをハーネス6を通して電源ソケット8に出力して、任意の家電製品を動作させることができる。
【0038】
さて、DC/ACインバータ5の設置位置がダッシュボード内であり、且つ、電源ソケット8の設置位置が車体後部の荷室壁面であるとした場合、DC/ACインバータ5と電源ソケット8の間のハーネス6は、車体の前方から後方までの長い距離を引き回されることになるが、このハーネス6は、バッテリ電圧(DC12V)よりも相当高圧の交流電圧(AC100V)を伝送するものであるから、感電事故等に対する充分な安全策を講じなければならない。
【0039】
この観点において、ハーネス6の外皮24に、強くて頑丈な素材を用いることは好ましいが、コストや取り回し容易性の点で限界があり、ハーネス6に強い力が加えられた場合の切断の可能性を否定できない。たとえば、交通事故によって車体が大きく損壊する場合が稀に起こる。このような場合、その損壊がハーネス6にも及んでしまったときにはハーネス6の切断が避けられず、その切断部分でハーネス6の心線が露出し、最悪の場合、人体に対する感電事故を招く心配がある。
【0040】
本実施形態のポイントは、万が一ハーネス6が切断された場合には、速やかに交流電圧の供給を停止し、もって、感電事故などの二次的災害の発生を未然に防止することにある。
【0041】
以下、このポイントについて詳しく説明する。
まず、本実施形態のハーネス6は、交流電圧供給用の一対のケーブル(第1及び第2のケーブル6a、6b)だけでなく、電源ソケット8の一方端子8aと他方端子8bの各電位をモニタするための一対のケーブル(第3及び第4のケーブル6c、6d)をも有している点に構造上の特徴がある。
【0042】
また、本実施形態のDC/ACインバータ5は、上記二つのモニタ電位、すなわち、第3のケーブル6cを介してモニタされた電源ソケット8の一方端子8aの電位と、第4のケーブル6dを介してモニタされた電源ソケット8の他方端子8bの電位とをそれぞれ検出するための二つの電圧検出器(第1の電圧検出器13、第2の電圧検出器14)を備える点、及び、制御部15において、これら二つのモニタ電位に基づいて、ハーネス6の切断の有無を判断し、もし、ハーネス6が切断されたと判断されたときには、速やかに交流電圧の供給を停止すると共に、警告灯16を点灯させて乗員に対して警告を発するという処理を実行する点にも構成上の特徴がある。
【0043】
図8は、二つのモニタ電位の組み合わせのパターンを、図7(a)に準じた形で示す図である。この図において、(a)は第3のケーブル6cを介してモニタされた電源ソケット8の一方端子8aの電位(波形35)が略ゼロ電圧で推移すると共に、第4のケーブル6dを介してモニタされた電源ソケット8の他方端子8bの電位(波形36)が周期的に高電位(DC100V相当)になるときのパターン(以下、パターン1)を示している。このパターン1では、電源ソケット8の一方端子8aの電位(波形35)が略ゼロであるから、この一方端子8aにつながるハーネス6の第1のケーブル6aの切断(又は、モニタ用の第3のケーブル6cの切断)を判断できる。
【0044】
また、(b)は第3のケーブル6cを介してモニタされた電源ソケット8の一方端子8aの電位(波形35)が周期的に高電位(DC100V相当)になる共に、第4のケーブル6dを介してモニタされた電源ソケット8の他方端子8bの電位(波形36)が略ゼロ電圧で推移するときのパターン(以下、パターン2)を示している。このパターン2では、電源ソケット8の他方端子8bの電位(波形35)が略ゼロであるから、この他方端子8bにつながるハーネス6の第2のケーブル6bの切断(又は、モニタ用の第4のケーブル6dの切断)を判断できる。
【0045】
また、(c)は第3のケーブル6cを介してモニタされた電源ソケット8の一方端子8aの電位(波形35)と、第4のケーブル6dを介してモニタされた電源ソケット8の他方端子8bの電位(波形36)とが共に略ゼロ電圧で推移するときのパターン(以下、パターン3)を示している。このパターン3では、電源ソケット8の一方端子8aと他方端子8bの電位(波形35、36)が共に略ゼロであるから、これらの一方端子8aと他方端子8bにつながるハーネス6の第1及び第2のケーブル6a、bの切断(又は、モニタ用の第3及び第4のケーブル6c、6dの切断)を判断できる。
【0046】
このように、電源ソケット8の一方端子8aと他方端子8bの電位をモニタし、そのモニタ電位が周期的に高電位(DC100V相当の第1の所定電位)とならない場合に、電源ソケット8までの電源供給経路(ハーネス6)に断線が発生したと判定することができる。
【0047】
図9は、制御部15における動作フローの概略図である。この図において、制御部15では、まず、前述(図5)のモードを判定する(ステップS1)。すなわち、SW1(第1のスイッチ素子26)とSW3(第3のスイッチ素子28)のいずれかがオンとなるモード(M2、M3)であるか、又は、それ以外のモード(M1)であるかを判定してモードM1であれば処理を終了し、モードM2又はモードM3であればそれぞれのモードに分岐する。
【0048】
<M2の場合>
第1の電圧検出器13で検出された電位(第3のケーブル6cを介してモニタされた電源ソケット8の一方端子8aの電位)がDC100V相当であるか否かを判定する(ステップS2)。そして、その判定結果が“YES”であれば処理を終了し、“NO”であれば、ハーネス6が切断されたと判断して、交流電圧の出力を停止(ステップS4)すると共に、その旨を乗員等に告知すべく警告灯16を点灯(ステップS5)した後、処理を終了する。
【0049】
<M3の場合>
第2の電圧検出器14で検出された電位(第4のケーブル6dを介してモニタされた電源ソケット8の他方端子8bの電位)がDC100V相当であるか否かを判定する(ステップS3)。そして、その判定結果が“YES”であれば処理を終了し、“NO”であれば、ハーネス6が切断されたと判断して、交流電圧の出力を停止(ステップS4)すると共に、その旨を乗員等に告知すべく警告灯16を点灯(ステップS5)した後、処理を終了する。
【0050】
以上のとおり、本実施形態によれば、電源ソケット8の一方端子8aと他方端子8bの各電位を、第3及び第4のケーブル6c、6dを介してDC/ACインバータ5の第1及び第2の電圧検出器13、14で検出し、それらの検出電位に基づいて、制御部15によりハーネス6の断線を判断すると共に、ハーネス6の断線を判断した場合には、DC/ACインバータ5からハーネス6を介して電源ソケット8に供給する交流電圧を直ちに停止するようにしたので、たとえば、交通事故やその他の要因によって不本意にもハーネス6が断線したときの二次災害(感電等)を未然に回避することができるという特有の効果を得ることができる。
【0051】
なお、本発明は、以上の実施形態に限定されることなく、その発明の技術思想の範囲内において、様々な発展例や変形例を含むことはもちろんである。たとえば、交流電源を供給するための端子が3つ以上ある場合でも、それらの端子すべての電圧をモニタすることで、前記の実施形態と同様に、断線検知および電源の遮断を実行できる。また、それらの端子のうちの1つについて、電圧をモニタする方法もある。
【0052】
図10は、他の実施形態を示す構成図である。先の実施形態の構成(図2)との相違は、電源ソケット8のいずれか片側の端子(この図では他方端子8b)の電位のみを、一本のモニタケーブル(この図では第3のケーブル6c)を介してDC/ACインバータ5の第1の電圧検出器13に導くようにしたことにある。
【0053】
したがって、この実施形態では、ハーネス6は第1〜第3のケーブル6a〜6cの三本のケーブルを含み、且つ、DC/ACインバータ5は1個の電圧検出器(第1の電圧検出器13)を含むから、ハーネス6のケーブル数と電圧検出器の数を削減でき、コストメリットを得ることができる。
【0054】
ただし、この実施形態においては、電源ソケット8の片側の端子(他方端子8b)の電位しかモニタしていないため、非モニタ側のケーブル(第1のケーブル6a)の断線を検出できないが、特段の支障はない。交通事故等に起因するハーネス6の切断の際には、モニタ側の第2のケーブル6bのみならず、高い蓋然性で非モニタ側の第1のケーブル6aも一緒に切断されると考えられるからである。
【0055】
また、そのような考え方に従えば、モニタ用のケーブル(第3のケーブル6c)も一緒に切断されることになるが、仮にモニタ用のケーブルが切断されたとしても、前記(図9)の動作フローにおけるステップS2やステップS3の判定結果が“NO”になって、少なくとも“ハーネス6”それ自体の切断が判断されることに変わりがないので、安全上の不都合はない。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】全体的なシステム構成図である。
【図2】DC/ACインバータ5を含む系統図である。
【図3】電源ソケット8とハーネス6の外観図である。
【図4】DC/ACインバータ5に含まれるDC/AC変換器10の出力回路25の構成図である。
【図5】DC/ACインバータ5の動作マトリクス図である。
【図6】三つのモード(M1〜M3)における出力回路25の動作概念図である。
【図7】DC/ACインバータ5の出力電圧波形を示す図である。
【図8】二つのモニタ電位の組み合わせのパターンを示す図である。
【図9】制御部15における動作フローの概略図である。
【図10】他の実施形態を示す構成図である。
【符号の説明】
【0057】
5 DC/ACインバータ5(電源装置)
6 ハーネス(電源供給経路)
6c 第3のケーブル(モニタ手段)
6d 第4のケーブル(モニタ手段)
8 電源ソケット
8a 一方端子(電源供給端子)
8b 他方端子(電源供給端子)
13 第1の電圧検出器(モニタ手段)
14 第2の電圧検出器(モニタ手段)
15 制御部(判定手段、遮断手段)
32 負荷(電気器具)
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置に関し、詳しくは、自動車などで使用される、所定の電圧を持つ交流電源を供給するための電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車等車両(以下「車両」という。)は、より一層の使い勝手や利便性の向上が図られており、たとえば、車内で家電製品を使用できるようにするために、交流電圧用の電源ソケットを備えた車両も一般化してきているが、家電製品の中には車載電装品に比べて遙かに多くの電力を消費するものが存在することから、オーバロード(過電流)対策は不可欠である。
【0003】
かかる対策としては、たとえば、下記の特許文献1に記載された技術(以下、従来技術という。)が知られている。この従来技術では、交流電圧系に流れる電流を検出し、この検出電流が設定値を越えたときに、交流電圧系にオーバロードが発生したと判断して、電源ソケットへの交流電圧供給を遮断するようにしている。
【0004】
【特許文献1】特聞平9−74666号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術にあっては、交流電圧系のオーバロード対策の点で有益であるものの、以下の点で不十分であり、未だ改善すべき余地がある。
【0006】
稀に起こる事例として、交通事故によって車体が大きく損壊し、電源ソケットにつながる電源ケーブルが切断される場合を想定する。一般的に、この種の電源ケーブルは、二本の被膜導線を絶縁外皮で覆った構造を有しており、強い力で切断されたときには、その切断部分で二本の導線が剥き出しになる(導体が露出する)ことがある。さて、この二本の導線間の電位は、電源装置で作られた交流電圧であり、国・地域によって電圧値が規定されている。その規定値は、例えば日本では100V、米国およびカナダでは115V、欧州の多くの国では230V、などである。このように、100Vかそれを上回る電位差があるときに、剥き出し状態である二本の導線に、車両の乗員や救助者等が誤って触れてしまったときには、感電などの二次災害を引き起こすという安全上の問題点がある。
【0007】
そこで本発明の目的は、万が一電源ケーブルが切断されても感電などの二次災害を引き起こさない安全性に優れた電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、所定の電圧を持つ交流電源を供給する、複数の電源供給端子を持つ電源ソケットを備えた電源装置において、前記複数の電源供給端子の電位がそれぞれ第1の所定電位と前記第1の所定電位より低い第2の所定電位とに周期的に変化するか否かに基づき前記電源ソケットまでの電源供給経路の断線の有無を判定する判定手段と、前記判定手段で前記電源供給経路の断線が判定されたときに前記電源ソケットへの電源供給を遮断する遮断手段とを備えたことを特徴とする電源装置である。
請求項2記載の発明は、所定の電圧を持つ交流電源を供給する、複数の電源供給端子を持つ電源ソケットを備えた電源装置において、前記複数の電源供給端子のいずれか一つの電位が第1の所定電位と前記第1の所定電位より低い第2の所定電位とに周期的に変化するか否かに基づき前記電源ソケットまでの電源供給経路の断線の有無を判定する判定手段と、前記判定手段で前記電源供給経路の断線が判定されたときに前記電源ソケットへの電源供給を遮断する遮断手段とを備えたことを特徴とする電源装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、電源ソケットまでの電源供給経路(電源ケーブル)に断線が発生すると、電源ソケットへの電源供給が遮断される。このため、断線によって露出した電源ケーブルの導体部分に人が触れたとしても、感電などの二次災害を引き起こすことはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明における様々な細部の特定ないし実例および数値や文字列その他の記号の例示は、本発明の思想を明瞭にするための、あくまでも参考であって、それらのすべてまたは一部によって本発明の思想が限定されないことは明らかである。また、周知の手法、周知の手順、周知のアーキテクチャおよび周知の回路構成等(以下「周知事項」)についてはその細部にわたる説明を避けるが、これも説明を簡潔にするためであって、これら周知事項のすべてまたは一部を意図的に排除するものではない。かかる周知事項は本発明の出願時点で当業者の知り得るところであるので、以下の説明に当然含まれている。
【0011】
図1は、全体的なシステム構成図である。この図において、車両1のエンジンルーム2に設置されたバッテリ3の負極端子3aは車両1のボディ1aに接続されており、バッテリ3の正極端子3bは配線4を介して、ダッシュボード内などに配置されたDC/ACインバータ5に接続されている。なお、配線4の途中にヒューズなどの過電流対処手段が含まれていてもよい。
【0012】
DC/ACインバータ5は、バッテリ3から供給された直流電圧(DC12Vとする。)を、商用電源電圧に相当する交流電圧(単層のAC100Vとする。)に変換し、そのAC100Vをハーネス6を介して、たとえば、荷室7の壁面等に設けられた電源ソケット8に出力する。
【0013】
図2は、DC/ACインバータ5を含む系統図である。この図において、DC/ACインバータ5は、直流電圧昇圧用のDC/DC変換器9、直交変換用のDC/AC変換器10、高調波等の不要信号を除去するための二つのフィルタ(以下、第1のフィルタ11、第2のフィルタ12)、電源ソケット8の各端子電圧(一方端子8aの電圧と他方端子8bの電圧)を検出するための二つの電圧検出器(以下、第1の電圧検出器13、第2の電圧検出器14)、DC/AC変換器10の直交変換処理やハーネス6の切断時対策処理(交流電圧出力停止処理)などを実行する制御部15、及び、交流電圧出力停止時に警告を発する警告灯16を含んで構成されている。
【0014】
また、ハーネス6は、第1のフィルタ11と電源ソケット8の一方端子8aとを接続する第1のライン6aと、第2のフィルタ12と電源ソケット8の他方端子8bとを接続する第2のライン6bと、電源ソケット8の一方端子8aと第1の電圧検出器13とを接続する第3のライン6cと、電源ソケット8の他方端子8bと第2の電圧検出器14とを接続する第4のライン6dとを共通の外皮(図3の外皮24参照)で覆って構成されている。
【0015】
図3は、電源ソケット8とハーネス6の外観図である。この図において、電源ソケット8は、開閉可能な蓋17を有する本体18に形成された二つの平行穴19の内部に一方電極8aと他方電極8bとを埋設して構成されている。
【0016】
一方、ハーネス6は、四本のライン(第1〜第4のライン6a〜6d)の各々を絶縁被膜20〜23で覆うと共に、それらを共通の外皮24でまとめた構造となっており、さらに、第1のライン6aと第3のライン6cの各端部が電源ソケット8の一方端子8aに接続され、第2のライン6bと第4のライン6dの各端部が電源ソケット8の他方端子8bに接続されている。なお、この図では、第1〜第4のライン6a〜6dと電源ソケット8の一方端子8a及び他方端子8bとの接続部分が剥き出し状態で描かれているが、これは図示の都合である。安全のための何らかの手段、たとえば、保護カバーや樹脂封止などを用いて外部と電気的に絶縁されていることは当然である。
【0017】
再び図2に戻って説明を続けると、DC/DC変換器9は、バッテリ3から供給されたDC12Vを所定の直流高電圧(以下、DC100Vとする。)に昇圧してDC/AC変換器10に出力する。DC/AC変換器10は、制御部15からの制御を受けながら、DC100Vを商用電源電圧相当の交流電圧(以下、AC100Vとする。)に変換し、そのAC100Vを二つのフィルタ11、12とハーネス6を介して電源ソケット8の一方端子8aと他方端子8bに出力する。
【0018】
ここで、本実施形態のDC/ACインバータ5は、商用電源電圧の波形(正弦波)に近い方形波状の疑似正弦波を出力する簡易型インバータである。このような簡易型インバータは、安価で小さいというメリットから、今日、車載用をはじめとした様々な用途で用いられている。したがって、本実施形態においても、かかる簡易型インバータをDC/ACインバータ5として使用することにするが、これは、コストメリットを勘案した上でのものであり、発明の思想上は、商用電源電圧の波形相当の綺麗な正弦波交流を出力する高性能なインバータの使用を排除しない。
【0019】
ここで、本実施形態のDC/ACインバータ5における交流電圧の出力動作について説明する。
図4は、DC/ACインバータ5に含まれるDC/AC変換器10の出力回路25の構成図である。この図において、出力回路25は、四つのスイッチ素子(以下、第1〜第4のスイッチ素子26〜29)と、二つの論理反転素子(以下、第1の論理反転素子30、第2の論理反転素子31)とを備えており、DC/DC変換器9の出力(DC100V)とDC/ACインバータ5の二次側グランド5a(この二次側グランド5aと車両1のボディ1aとは電気的に絶縁されている。)との間に、第1及び第2のスイッチ素子26、27と、第3及び第4のスイッチ素子28、29とを並列に接続すると共に、制御部15の第1の制御信号(C1)出力と第2のスイッチ素子27のゲートとの間に第1の論理反転素子30を入れ、且つ、制御部15の第2の制御信号(C2)出力と第4のスイッチ素子29のゲートとの間に第2の論理反転素子31を入れて構成し、さらに、第1のスイッチ素子26と第2のスイッチ素子27の間のノードN1を第1のフィルタ11に接続し、第3のスイッチ素子28と第4のスイッチ素子29の間のノードN2を第2のフィルタ12に接続して構成されている。
【0020】
このような構成によれば、制御部15からの第1の制御信号(C1)と第2の制御信号(C2)の論理の組み合わせに応じて四つのスイッチ素子(第1〜第4のスイッチ素子26〜29)のオンオフを個別に制御することができる。
【0021】
そして、それらの組み合わせごとに、電源ソケット8の一方端子8aと他方端子8bの各々の電位を、DC/ACインバータ5の二次側グランド5aの電位に相当する基準電位(以下、Vrefという。)からDC100V相当の電位へと所定周期(商用電源周波数の周期;たとえば、毎秒60Hzの周期)で方形波状に変化させて、DC100Vの略2倍相当のピークtoピーク電圧を持つ擬似正弦波状の交流電圧波形を出力することができる。DC100Vは発明の要旨に記載の「第1の所定電位」に相当し、Vrefは第1の所定電位より低い「第2の所定電位」に相当する。
【0022】
ここで、電源ソケット8の一方端子8aと他方端子8bの双方の電位を基準電位Vrefにするためには、出力回路25の第2のスイッチ素子27と第4のスイッチ素子29だけをオンにすればよく、それには、制御部15からの第1の制御信号(C1)と第2の制御信号(C2)とを共にロー論理(L)にすればよい。このようにすると、第1のスイッチ素子26と第3のスイッチ素子28がオフとなり、第2のスイッチ素子27と第4のスイッチ素子29がオンになるから、各ノードN1、N2がオン状態の第2のスイッチ素子27と第4のスイッチ素子29を介してDC/ACインバータ5の二次側グランド5aにつながり、その結果、電源ソケット8の一方端子8aと他方端子8bの双方の電位が基準電位Vrefになる。
【0023】
また、電源ソケット8の一方端子8aの電位をDC100V相当の電位にすると共に、電源ソケット8の他方端子8bの電位を基準電位Vrefにするためには、出力回路25の第1のスイッチ素子26と第4のスイッチ素子29だけをオンにすればよく、それには、制御部15からの第1の制御信号(C1)をハイ論理(H)にすると共に、制御部15からの第2の制御信号(C2)をロー論理(L)にすればよい。このようにすると、第1のスイッチ素子26と第4のスイッチ素子29がオンとなり、第2のスイッチ素子27と第3のスイッチ素子28がオフになるから、一方のノードN1がオン状態の第1のスイッチ素子26を介してDC/DC変換器9の出力(DC100V)につながり、且つ、他方のノードN2がオン状態の第4のスイッチ素子29を介してDC/ACインバータ5の二次側グランド5aにつながり、その結果、電源ソケット8の一方端子8aの電位がDC100V相当の電位になると共に、他方端子8bの電位が基準電位Vrefになる。
【0024】
また、電源ソケット8の他方端子8bの電位をDC100V相当の電位にすると共に、電源ソケット8の一方端子8aの電位を基準電位Vrefにするためには、出力回路25の第2のスイッチ素子27と第3のスイッチ素子28だけをオンにすればよく、それには、制御部15からの第1の制御信号(C1)をロー論理(L)にすると共に、制御部15からの第2の制御信号(C2)をハイ論理(H)にすればよい。このようにすると、第1のスイッチ素子26と第4のスイッチ素子29がオフとなり、第2のスイッチ素子27と第3のスイッチ素子28がオンになるから、他方のノードN2がオン状態の第3のスイッチ素子28を介してDC/DC変換器9の出力(DC100V)につながり、且つ、一方のノードN1がオン状態の第2のスイッチ素子27を介してDC/ACインバータ5の二次側グランド5aにつながり、その結果、電源ソケット8の他方端子8bの電位がDC100V相当の電位になると共に、一方端子8aの電位が基準電位Vrefになる。
【0025】
図5は、以上の説明をまとめたDC/ACインバータ5の動作マトリクス図である。この図に示すように、第1の制御信号(C1)と第2の制御信号(C2)の論理の組み合わせに応じて四つのスイッチ素子(第1〜第4のスイッチ素子26〜29)のオンオフを個別に制御することにより、電源ソケット8の一方端子8aと他方端子8bの各々の電位を、DC/ACインバータ5の二次側グランド5aの電位に相当する基準電位(以下、Vrefという。)からDC100V相当の電位へと変化させることができる。
【0026】
ここで、第1の制御信号(C1)と第2の制御信号(C2)の組み合わせを図中の三つのモード(M1〜M3)で示すことにする。すなわち、C1=C2=Lの組み合わせをモードM1といい、C1=H、C2=Lの組み合わせをモードM2といい、且つ、C1=L、C2=Hの組み合わせをモードM3ということにする。
【0027】
図6は、三つのモード(M1〜M3)における出力回路25の動作概念図である。ただし、電源ソケット8の一方端子8aと他方端子8bに任意の負荷32が接続されているものとする。この図において、モードM1のときには、SW1(第1のスイッチ要素26)とS3(第3のスイッチ要素28)がオフ、SW2(第2のスイッチ要素27)とSW4(第4のスイッチ要素29)がオンになるため、電源ソケット8の一方端子8aと他方端子8bの電位が共に基準電位Vrefとなって負荷32には電流が流れないが、モードM2又はモードM3のときには、図中矢印で示す二つの経路33、34のいずれかを通って負荷32に電流が流れる。
【0028】
すなわち、モードM2のときには、SW1とS4がオン、SW2とSW3がオフになるため、電源ソケット8の一方端子8aの電位がDC100V、他方端子8bの電位が基準電位Vrefとなり、その結果、経路33に沿って、DC100V→一方端子8a→負荷32→他方端子8b→Vrefの向きの電流が流れる。また、モードM3のときには、SW1とS4がオフ、SW2とSW3がオンになるため、電源ソケット8の他方端子8bの電位がDC100V、一方端子8aの電位が基準電位Vrefとなり、その結果、逆の経路34に沿って、DC100V→他方端子8b→負荷32→一方端子8a→Vrefの向きの電流が流れる。
【0029】
このように、モードM2のときに負荷32に流れる電流(電源電流)の経路33と、モードM3のときに負荷32に流れる電流(電源電流)の経路34は、逆向きである。したがって、たとえば、電源ソケット8の一方端子8aを正極とすれば、経路33に沿って負荷32に流れる電源電流は、交流電圧の正極側半サイクルの電流となり、同様に、経路34に沿って負荷32に流れる電源電流は、交流電圧の負極側半サイクルの電流となる。
【0030】
したがって、本実施形態のDC/ACインバータ5の出力電圧波形は、次のように書き表すことができる。
【0031】
図7は、DC/ACインバータ5の出力電圧波形を示す図である。この図において、(a)は電源ソケット8の一方端子8aと他方端子8bに現れる電圧波形を示している。ここでは、(a)の上段の波形35を一方端子8aの波形とし、下段の波形36を他方端子8bの波形としている。
【0032】
これらの二つの波形35、36は共にVref(第2の所定電位)を基準にしてDC100V(第1の所定電位)のピークを持つ矩形状をなしており、いずれもDC100V期間の長さが同一の長さAになっている。また、これら二つの波形35、36は位相差B(時間軸上のズレ)を有しており、この位相差Bは商用電源周波数の1/2周期長に相当する。
【0033】
これら二つの波形35、36が共にVrefにある期間は前記のモードM1に対応する。また、一方の波形35だけがDC100Vになっている期間は前記のモードM2に対応し、他方の波形36だけがDC100Vになっている期間は前記のモードM3に対応する。
【0034】
一方の波形35だけがDC100Vになっている期間(モードM2)では、前記の経路33に沿って電源ソケット8の一方端子8a→負荷32→他方端子8bの向きで電源電流が流れ、また、他方の波形36だけがDC100Vになっている期間(モードM3)では、前記の経路34に沿って電源ソケット8の他方端子8b→負荷32→一方端子8aの向きで電源電流が流れる。
【0035】
したがって、負荷32から見た場合のDC/ACインバータ5の出力電圧は、図7(b)に示すような交流電圧波形37として描くことができる。
【0036】
この交流電圧波形37は、商用電源周波数の周期と同一の周期Cでサイクリックに繰り返される波形であって、Vrefを基準にしてプラス側のピーク(+P)とマイナス側のピーク(−P)を持つ階段状の疑似正弦波である。+Pと−PはほぼDC100V相当の電位であり、図示の交流電圧波形37のピークtoピークは、比較のために示す商用電源電圧波形38のピークtoピークとほぼ一致している。また、図示の交流電圧波形37の立ち上がり及び立ち下がりも商用電源電圧波形38の立ち上がり及び立ち下がりとほぼ一致し、しかも、図示の交流電圧波形37の1周期長Cと商用電源電圧波形38の1周期長も一致しているから、図示の交流電圧波形37は、商用電源電圧波形38に近い形の擬似正弦波である。
【0037】
以上の構成を有するDC/ACインバータ5によれば、バッテリ3からのDC12VをDC100Vに昇圧し、そのDC100Vを用いて商用電源電圧相当の交流電圧(AC100V)を発生することができ、このAC100Vをハーネス6を通して電源ソケット8に出力して、任意の家電製品を動作させることができる。
【0038】
さて、DC/ACインバータ5の設置位置がダッシュボード内であり、且つ、電源ソケット8の設置位置が車体後部の荷室壁面であるとした場合、DC/ACインバータ5と電源ソケット8の間のハーネス6は、車体の前方から後方までの長い距離を引き回されることになるが、このハーネス6は、バッテリ電圧(DC12V)よりも相当高圧の交流電圧(AC100V)を伝送するものであるから、感電事故等に対する充分な安全策を講じなければならない。
【0039】
この観点において、ハーネス6の外皮24に、強くて頑丈な素材を用いることは好ましいが、コストや取り回し容易性の点で限界があり、ハーネス6に強い力が加えられた場合の切断の可能性を否定できない。たとえば、交通事故によって車体が大きく損壊する場合が稀に起こる。このような場合、その損壊がハーネス6にも及んでしまったときにはハーネス6の切断が避けられず、その切断部分でハーネス6の心線が露出し、最悪の場合、人体に対する感電事故を招く心配がある。
【0040】
本実施形態のポイントは、万が一ハーネス6が切断された場合には、速やかに交流電圧の供給を停止し、もって、感電事故などの二次的災害の発生を未然に防止することにある。
【0041】
以下、このポイントについて詳しく説明する。
まず、本実施形態のハーネス6は、交流電圧供給用の一対のケーブル(第1及び第2のケーブル6a、6b)だけでなく、電源ソケット8の一方端子8aと他方端子8bの各電位をモニタするための一対のケーブル(第3及び第4のケーブル6c、6d)をも有している点に構造上の特徴がある。
【0042】
また、本実施形態のDC/ACインバータ5は、上記二つのモニタ電位、すなわち、第3のケーブル6cを介してモニタされた電源ソケット8の一方端子8aの電位と、第4のケーブル6dを介してモニタされた電源ソケット8の他方端子8bの電位とをそれぞれ検出するための二つの電圧検出器(第1の電圧検出器13、第2の電圧検出器14)を備える点、及び、制御部15において、これら二つのモニタ電位に基づいて、ハーネス6の切断の有無を判断し、もし、ハーネス6が切断されたと判断されたときには、速やかに交流電圧の供給を停止すると共に、警告灯16を点灯させて乗員に対して警告を発するという処理を実行する点にも構成上の特徴がある。
【0043】
図8は、二つのモニタ電位の組み合わせのパターンを、図7(a)に準じた形で示す図である。この図において、(a)は第3のケーブル6cを介してモニタされた電源ソケット8の一方端子8aの電位(波形35)が略ゼロ電圧で推移すると共に、第4のケーブル6dを介してモニタされた電源ソケット8の他方端子8bの電位(波形36)が周期的に高電位(DC100V相当)になるときのパターン(以下、パターン1)を示している。このパターン1では、電源ソケット8の一方端子8aの電位(波形35)が略ゼロであるから、この一方端子8aにつながるハーネス6の第1のケーブル6aの切断(又は、モニタ用の第3のケーブル6cの切断)を判断できる。
【0044】
また、(b)は第3のケーブル6cを介してモニタされた電源ソケット8の一方端子8aの電位(波形35)が周期的に高電位(DC100V相当)になる共に、第4のケーブル6dを介してモニタされた電源ソケット8の他方端子8bの電位(波形36)が略ゼロ電圧で推移するときのパターン(以下、パターン2)を示している。このパターン2では、電源ソケット8の他方端子8bの電位(波形35)が略ゼロであるから、この他方端子8bにつながるハーネス6の第2のケーブル6bの切断(又は、モニタ用の第4のケーブル6dの切断)を判断できる。
【0045】
また、(c)は第3のケーブル6cを介してモニタされた電源ソケット8の一方端子8aの電位(波形35)と、第4のケーブル6dを介してモニタされた電源ソケット8の他方端子8bの電位(波形36)とが共に略ゼロ電圧で推移するときのパターン(以下、パターン3)を示している。このパターン3では、電源ソケット8の一方端子8aと他方端子8bの電位(波形35、36)が共に略ゼロであるから、これらの一方端子8aと他方端子8bにつながるハーネス6の第1及び第2のケーブル6a、bの切断(又は、モニタ用の第3及び第4のケーブル6c、6dの切断)を判断できる。
【0046】
このように、電源ソケット8の一方端子8aと他方端子8bの電位をモニタし、そのモニタ電位が周期的に高電位(DC100V相当の第1の所定電位)とならない場合に、電源ソケット8までの電源供給経路(ハーネス6)に断線が発生したと判定することができる。
【0047】
図9は、制御部15における動作フローの概略図である。この図において、制御部15では、まず、前述(図5)のモードを判定する(ステップS1)。すなわち、SW1(第1のスイッチ素子26)とSW3(第3のスイッチ素子28)のいずれかがオンとなるモード(M2、M3)であるか、又は、それ以外のモード(M1)であるかを判定してモードM1であれば処理を終了し、モードM2又はモードM3であればそれぞれのモードに分岐する。
【0048】
<M2の場合>
第1の電圧検出器13で検出された電位(第3のケーブル6cを介してモニタされた電源ソケット8の一方端子8aの電位)がDC100V相当であるか否かを判定する(ステップS2)。そして、その判定結果が“YES”であれば処理を終了し、“NO”であれば、ハーネス6が切断されたと判断して、交流電圧の出力を停止(ステップS4)すると共に、その旨を乗員等に告知すべく警告灯16を点灯(ステップS5)した後、処理を終了する。
【0049】
<M3の場合>
第2の電圧検出器14で検出された電位(第4のケーブル6dを介してモニタされた電源ソケット8の他方端子8bの電位)がDC100V相当であるか否かを判定する(ステップS3)。そして、その判定結果が“YES”であれば処理を終了し、“NO”であれば、ハーネス6が切断されたと判断して、交流電圧の出力を停止(ステップS4)すると共に、その旨を乗員等に告知すべく警告灯16を点灯(ステップS5)した後、処理を終了する。
【0050】
以上のとおり、本実施形態によれば、電源ソケット8の一方端子8aと他方端子8bの各電位を、第3及び第4のケーブル6c、6dを介してDC/ACインバータ5の第1及び第2の電圧検出器13、14で検出し、それらの検出電位に基づいて、制御部15によりハーネス6の断線を判断すると共に、ハーネス6の断線を判断した場合には、DC/ACインバータ5からハーネス6を介して電源ソケット8に供給する交流電圧を直ちに停止するようにしたので、たとえば、交通事故やその他の要因によって不本意にもハーネス6が断線したときの二次災害(感電等)を未然に回避することができるという特有の効果を得ることができる。
【0051】
なお、本発明は、以上の実施形態に限定されることなく、その発明の技術思想の範囲内において、様々な発展例や変形例を含むことはもちろんである。たとえば、交流電源を供給するための端子が3つ以上ある場合でも、それらの端子すべての電圧をモニタすることで、前記の実施形態と同様に、断線検知および電源の遮断を実行できる。また、それらの端子のうちの1つについて、電圧をモニタする方法もある。
【0052】
図10は、他の実施形態を示す構成図である。先の実施形態の構成(図2)との相違は、電源ソケット8のいずれか片側の端子(この図では他方端子8b)の電位のみを、一本のモニタケーブル(この図では第3のケーブル6c)を介してDC/ACインバータ5の第1の電圧検出器13に導くようにしたことにある。
【0053】
したがって、この実施形態では、ハーネス6は第1〜第3のケーブル6a〜6cの三本のケーブルを含み、且つ、DC/ACインバータ5は1個の電圧検出器(第1の電圧検出器13)を含むから、ハーネス6のケーブル数と電圧検出器の数を削減でき、コストメリットを得ることができる。
【0054】
ただし、この実施形態においては、電源ソケット8の片側の端子(他方端子8b)の電位しかモニタしていないため、非モニタ側のケーブル(第1のケーブル6a)の断線を検出できないが、特段の支障はない。交通事故等に起因するハーネス6の切断の際には、モニタ側の第2のケーブル6bのみならず、高い蓋然性で非モニタ側の第1のケーブル6aも一緒に切断されると考えられるからである。
【0055】
また、そのような考え方に従えば、モニタ用のケーブル(第3のケーブル6c)も一緒に切断されることになるが、仮にモニタ用のケーブルが切断されたとしても、前記(図9)の動作フローにおけるステップS2やステップS3の判定結果が“NO”になって、少なくとも“ハーネス6”それ自体の切断が判断されることに変わりがないので、安全上の不都合はない。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】全体的なシステム構成図である。
【図2】DC/ACインバータ5を含む系統図である。
【図3】電源ソケット8とハーネス6の外観図である。
【図4】DC/ACインバータ5に含まれるDC/AC変換器10の出力回路25の構成図である。
【図5】DC/ACインバータ5の動作マトリクス図である。
【図6】三つのモード(M1〜M3)における出力回路25の動作概念図である。
【図7】DC/ACインバータ5の出力電圧波形を示す図である。
【図8】二つのモニタ電位の組み合わせのパターンを示す図である。
【図9】制御部15における動作フローの概略図である。
【図10】他の実施形態を示す構成図である。
【符号の説明】
【0057】
5 DC/ACインバータ5(電源装置)
6 ハーネス(電源供給経路)
6c 第3のケーブル(モニタ手段)
6d 第4のケーブル(モニタ手段)
8 電源ソケット
8a 一方端子(電源供給端子)
8b 他方端子(電源供給端子)
13 第1の電圧検出器(モニタ手段)
14 第2の電圧検出器(モニタ手段)
15 制御部(判定手段、遮断手段)
32 負荷(電気器具)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の電圧を持つ交流電源を供給する、複数の電源供給端子を持つ電源ソケットを備えた電源装置において、
前記複数の電源供給端子の電位がそれぞれ第1の所定電位と前記第1の所定電位より低い第2の所定電位とに周期的に変化するか否かに基づき前記電源ソケットまでの電源供給経路の断線の有無を判定する判定手段と、
前記判定手段で前記電源供給経路の断線が判定されたときに前記電源ソケットへの電源供給を遮断する遮断手段と
を備えたことを特徴とする電源装置。
【請求項2】
所定の電圧を持つ交流電源を供給する、複数の電源供給端子を持つ電源ソケットを備えた電源装置において、
前記複数の電源供給端子のいずれか一つの電位が第1の所定電位と前記第1の所定電位より低い第2の所定電位とに周期的に変化するか否かに基づき前記電源ソケットまでの電源供給経路の断線の有無を判定する判定手段と、
前記判定手段で前記電源供給経路の断線が判定されたときに前記電源ソケットへの電源供給を遮断する遮断手段と
を備えたことを特徴とする電源装置。
【請求項1】
所定の電圧を持つ交流電源を供給する、複数の電源供給端子を持つ電源ソケットを備えた電源装置において、
前記複数の電源供給端子の電位がそれぞれ第1の所定電位と前記第1の所定電位より低い第2の所定電位とに周期的に変化するか否かに基づき前記電源ソケットまでの電源供給経路の断線の有無を判定する判定手段と、
前記判定手段で前記電源供給経路の断線が判定されたときに前記電源ソケットへの電源供給を遮断する遮断手段と
を備えたことを特徴とする電源装置。
【請求項2】
所定の電圧を持つ交流電源を供給する、複数の電源供給端子を持つ電源ソケットを備えた電源装置において、
前記複数の電源供給端子のいずれか一つの電位が第1の所定電位と前記第1の所定電位より低い第2の所定電位とに周期的に変化するか否かに基づき前記電源ソケットまでの電源供給経路の断線の有無を判定する判定手段と、
前記判定手段で前記電源供給経路の断線が判定されたときに前記電源ソケットへの電源供給を遮断する遮断手段と
を備えたことを特徴とする電源装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2008−182805(P2008−182805A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−13555(P2007−13555)
【出願日】平成19年1月24日(2007.1.24)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月24日(2007.1.24)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
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