説明

電源装置

【課題】任意の商用交流電源電圧を制御部に入力しても、一定の1次側定格電流で商用交流変換電源トランス以降を保護する。
【課題を解決するための手段】AC100VまたはAC117VまたはAC230Vを入力する制御部と概制御部から2次側交流電圧の供給を受ける撮像部とを備える撮像装置において、商用交流変換電源トランスと概商用交流変換電源トランスの1次側商用交流入力電圧切替部と概商用交流変換電源トランスの1次側商用交流入力のAC0Vに直列接続した複数のサーキットブレーカとを有し、入力した商用交流電源電圧の種類に適した切替に前記商用交流変換電源トランスの1次側商用交流入力電圧切替部の切替を設定し、前記商用交流変換電源トランスの1次側に入力した前記商用交流電源電圧を印加し、前記商用交流変換電源トランスの2次側に、AC230Vを出力し、前記撮像部に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に用いる制御部における電源に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、テレビジョンカメラシステムでは撮像部(カメラヘッド)と接続された制御部(Camera-Control-Unit:CCU)との間で本線映像信号,送り返し映像信号,音声信号,コントロール用シリアルデータ信号,及び電源の送受信の時分割双方向伝送を3重同軸(トライアックス)ケーブル1本の伝送路で行う方法をデジタルトライアックスシステムと称する(特許文献1)。
【0003】
有効走査線720本と有効走査線1080本のハイビジョンでは、本線映像信号,送り返し映像信号,音声信号,コントロール用シリアルデータ信号の送受信伝送と電源供給送を光ケーブルで用いる方が一般であるが、トライアックスケーブルを施設に敷設してある場合は、デジタルトライアックスシステムを用いる。
【0004】
制御部に入力する商用交流入力電源電圧は一般にAC100VとAC117VとAC230Vであり、撮像部給送する電源電圧は一般にAC230Vである。
【0005】
図3は従来技術の制御部の電源の供給を示すブロック図である。従来は、制御部5の電源トランスの1次側にタップを設け、入力する商用交流入力電源電圧により、タップの切換を行っていた。
図4は従来技術での各商用交流入力電源電圧時のタップ設定の模式図である。例えば、入力する商用交流入力電源電圧がAC117Vの場合には、図4(a)に示すようにタップの設定を行い、AC100Vでは図4(b)、AC230Vでは図4(c)にタップの設定を行っていた。
【0006】
従来は、AC入力電源の保護回路として、ヒューズを使用していた。
例えば、AC入力電源電圧がAC100V/AC117Vの時には、定格電流が多いヒューズを使用し、AC230Vの時には、定格電流が少ないヒューズを使用していた。この場合、電源電圧をAC100V/AC117V⇔AC230Vの変更が生じた際には、ヒューズの交換が必要となる。また、誤ってヒューズを未交換で電源電圧を変更してしまうと、ヒューズを切断しまう事になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−203399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
任意の商用交流電源電圧を制御部に入力しても、一定の1次側定格電流で商用交流変換電源トランス以降を保護することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するため、複数種類の商用交流電源電圧を入力する制御部と概制御部から2次側交流電圧の供給を受ける撮像部とを備える撮像装置において、商用交流変換電源トランスと概商用交流変換電源トランスの1次側商用交流入力電圧切替部と概商用交流変換電源トランスの1次側商用交流入力の共通巻線(AC0V)に直列接続した複数のサーキットブレーカとを有し、入力した商用交流電源電圧の種類に適した切替に前記商用交流変換電源トランスの1次側商用交流入力電圧切替部の切替を設定し、前記商用交流変換電源トランスの1次側に入力した前記商用交流電源電圧を印加し、前記商用交流変換電源トランスの2次側に、一定の2次側交流電圧(AC230V)を出力し、前記撮像部に供給することを特徴とする撮像装置の制御部である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、任意の商用交流電源電圧を制御部に入力しても、複数のサーキットブレーカで、商用交流変換電源トランス以降を保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施例の制御部と撮像部とを含む撮像装置の電源の供給を示すブロック図
【図2】本発明の一実施例の電源トランス一次側の配線図
【図3】従来技術の制御部の電源の供給を示すブロック図
【図4】従来技術での各商用交流入力電源電圧時のタップ設定の模式図((a)AC117V、(b)AC100V、(c)AC230V)
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0012】
本発明による撮像装置の一実施例の動作の概要を本発明の一実施例の制御部と撮像部とを含む撮像装置の電源の供給を示すブロック図の図1と本発明の一実施例の電源トランス一次側の配線図の図2とを用いて説明する。
【0013】
本発明の一実施例の制御部と撮像部とを含む撮像装置の電源を示すブロック図の図1において、1は制御部、2と3は光ケーブルコネクタまたはトライアックスコネクタ、4は光ケーブルまたはトライアックスケーブル、5は撮像部である。1次側商用交流入力電圧切替部の例としては商用交流入力電圧切替スイッチ(以下SW)の107と108と、STBY/MAIN切換部の112である。
商用交流入力電源電圧は一般にAC100VとAC117VとAC230Vであり、本実施例では、2と3は光ケーブルコネクタで4は光ケーブルで商用交流入力電源電圧がAC117Vの時について説明する。
【0014】
撮像装置の例としての放送用テレビジョンカメラ装置では、準備(STBY)動作と通常運用(MAIN)動作があり、STBY動作ではテレビジョンカメラと制御部間の伝送のチェックを行い、伝送距離を設定する。
その後、MAIN状態に切換を行い、通常運用を開始する。
【0015】
図1において、STBY動作時に商用交流入力電源電圧AC117Vは、ACインデッド101から制御部1内に入力され、電源スイッチ102を通り(スイッチはON状態)、AC/DCコンバータ109に入力される。AC/DCコンバータ109ではAC117VからDC+12Vへ変換を行う。DC/DCコンバータ111では、DC+12VからDC+36Vへ変換を行う。CPU113からの制御により、STBY/MAIN切換部112はSTBY側に設定されており、光ケーブル4を通して、撮像部5へDC36Vが伝送される。
前記DC+36Vが制御部からテレビジョンカメラに伝送され、機器間の伝送確認が完了すると、CPU113の制御でSTBY/MAIN切換部112はMAIN側に切換り、テレビジョンカメラと制御部及伝送はMAIN動作になる。
【0016】
MAIN動作では、AC117VはAC117Vに設定されたスイッチ設定部107と108とを通り、商用交流変換電源トランス106の1次側商用交流入力の共通巻線の配線(AC0V)に挿入されたサーキットブレーカ104及び105とを通り、電源トランス106の1次側に入力される。電源トランス106で、交流変換を行い、AC230Vが2次側より出力される。STBY/MAIN切換部112を通り、AC230Vがテレビジョンカメラに伝送される。
【0017】
図2は、本発明の一実施例の電源トランス一次側の配線図である。つまり、各電源電圧において、AC−SW基板のSW設定を行った際の電源トランス一次側の配線図である。
本実施例では、比較のため、AC入力電源電圧がAC117VとAC230Vの場合について説明を行う。
【0018】
初めに電源電圧がAC117Vに時について説明を行う。
図1において、AC入力電源電圧:AC117Vは、ACインデッド101から制御装置内に入力され、電源スイッチ102を通り(スイッチはON状態)、AC/DCコンバータ107に入力される。AC/DCコンバータ109ではAC117VからDC+12Vへ変換を行う。
このDC+12Vは電源基板110に入力され、電源基板ではこの制御装置内で必要とする各DC電源が生成させる。同時にAC117Vは、AC−SW基板103に入力される。この時、AC電源電圧の入力から電源トランス106の一次側までの配線は、AC−SW基板内のSWの105と106の設定を含め、図2の(b)に示す通りである。
AC入力電源電圧がAC117Vの場合、商用交流変換電源トランス106の1次側商用交流入力の共通巻線の配線(AC0V)に挿入されたサーキットブレーカ104及び105は、図2の(b)の通り、並列接続であり、サーキットブレーカ104及び105の定格電流を足した値がAC入力側での保護電流値となる。例えば、サーキットブレーカ104及び105の定格電流が1.6Aとすると、AC入力側での保護電流値は3.2Aとなる。
【0019】
次に一次側入力電圧がAC230Vの時について説明を行う。
AC230VがAC−SW基板103に入力される時のAC電源電圧の入力から電源トランスの一次側までの配線は、図2の(c)に示す通りである。
AC入力電源電圧がAC230Vの場合、商用交流変換電源トランス106の1次側商用交流入力の共通巻線の配線(AC0V)に挿入されたサーキットブレーカ104及び105は、図2の(c)に示す通り、直列接続であり、サーキットブレーカ104及び105の定格電流はAC117Vの時と同じく1.6Aのため、AC入力側での保護電流値は1.6Aとなる。
尚、AC100Vの保護電流値は、図2の(a)に示す通り、3.2Aとなる。
【0020】
このように、AC−SW基板内のSWの設定を各AC電源電圧により変更する事で、商用交流変換電源トランス106の1次側商用交流入力の共通巻線の配線(AC0V)に挿入された二個のサーキットブレーカは、並列接続及び直列接続になり、AC入力側の保護電流は各AC電源電圧に適した値となる。
そのため、AC電源電圧の変更毎にサーキットブレーカの交換を行う必要は無く、AC−SW基板のSW設定を変更するだけで良い。また、AC入力電源電圧に対し、SW設定を間違った場合でも、サーキットブレーカが遮断するだけで、サーキットブレーカの破損や制御装置の故障は無い。
【0021】
上説明したような本発明によれば、制御装置内のAC−SW基板内のSW設定を各電源電圧により変更する事で、商用交流変換電源トランス106の1次側商用交流入力の共通巻線の配線(AC0V)に挿入された二個のサーキットブレーカは、AC100V/AC117V入力の場合には並列設続のため、AC入力側では二個分のサーキットブレーカの保護電流値となり、AC230V入力の場合には直列接続のため、AC入力側では一個分のサーキットブレーカの保護電流値となり、AC入力電源の変更毎にサーキットブレーカの交換を行う必要は無く、AC入力電源の保護電流は各電源電圧に適した値となる。
AC入力電源の保護は電源電圧の変更毎にサーキットブレーカの交換を行う必要は無く、AC−SW基板のSW設定を変更するだけで良い。また、AC入力電源に対し、SW設定を間違って場合でも、サーキットブレーカが遮断するだけで、サーキットブレーカの破損や制御装置の故障は無く、安全且つ故障の無い電源装置として運用する事ができる。
【符号の説明】
【0022】
1,5:制御部、2,3:光ケーブルコネクタまたはトライアックスコネクタ、4:光ケーブルまたはトライアックスケーブル、
101,201:ACインレッド、102,203:電源スイッチ、
103:入力電源圧基板、104,105:サーキットブレーカ、
112:STBY/MAIN切換部、
107,108:スイッチ設定部、
108,207:AC/DCコンバータ、106,205:電源トランス、
110,206:電源基板、111:DC/DCコンバータ、113:CPU、
202:ヒューズ、204:電源トランス用タップ、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の商用交流電源電圧を入力する制御部と概制御部から2次側交流電圧の供給を受ける撮像部とを備える撮像装置において、商用交流変換電源トランスと概商用交流変換電源トランスの1次側商用交流入力電圧切替部と概商用交流変換電源トランスの1次側商用交流入力の共通巻線(AC0V)に直列接続した複数のサーキットブレーカとを有し、入力した商用交流電源電圧の種類に適した切替に前記商用交流変換電源トランスの1次側商用交流入力電圧切替部の切替を設定し、前記商用交流変換電源トランスの1次側に入力した前記商用交流電源電圧を印加し、前記商用交流変換電源トランスの2次側に、一定の2次側交流電圧(AC230V)を出力し、前記撮像部に供給することを特徴とする撮像装置の制御部。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−182489(P2011−182489A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−41577(P2010−41577)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】