説明

電磁場治療装置及び使用方法

ラーモア歳差運動を用いて特異的な動作に有利な磁場状態を生成し、磁場環境の共鳴状態の知見と、特異的に結合する標的の系とを含む方法によって、共鳴が生じる状態を計算するのを可能にし、これによって、これらの共鳴状態のうちの既知のこれらの状態の知見の利点を取るために電磁場環境を構成し、生物学的プロセスを増進又は抑制できる特異的な生体有効性の電磁場を生成するために、電磁場信号が構成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的には、分子、細胞、組織、及び器官のような標的の経路構成で時間変動電磁場(EMF)の振幅及び波形特性を最適化することにより選択される静的(DC)及び時間変動(AC)磁場(MF)を用いて、ヒト、動物及び植物を健康維持的及び予防的に治療するための装置及び方法に関する。本発明による様態は、治療がヒト、動物及び植物の組織の成長及び修復のために提供できるように標的の経路構成でラーモア歳差運動の条件を満たすようにMFを時空間的に構成する。生体有効性(bio−effective)のEMF信号を構成するための方法は、生物学的標的でのEMF効果のLPの条件によって与えられる正確な知見に基づいて提供される。この知見は標的中で特異的な生体応答を生成するのに用いられる。LPの条件に基づくデバイスの構成方法が与えられ、環境EMFを直接用いるデバイスを含み、生体有効性の磁場を構成するLPの必須成分として地球磁場を含む。
【背景技術】
【0002】
重要なクラスの生体有効性のEMFは、明らかにあまりに小さく、有意な誘導電場(IEF)の効果を生じない振幅及び周波数のMFを有する静磁石によるものを含んで存在する。これらのEMFの観察された生体有効性及び治療効果は従って、直接的にMFによるものでなければならない。特異的な組合せのDC及び低周波ACのMFは、特異的な生物学的プロセスを増進又は低減するように構成できることが示唆される。
【0003】
1ガウス(G)ないし4,000Gの範囲にあるDC及びAC磁場は、筋骨格の傷害及び病態由来の痛み及び浮腫の治療のための有意な治療上の利益を有すると報告されてきた。分子レベルでは、1G未満の環境範囲の磁場は、無細胞酵素アッセイ混合物における筋収縮タンパク質のリン酸化を促進した。23Gないし3,500Gの範囲の磁場が、溶液の電気特性ならびにその生理学的効果を変えるのが報告されてきた。細胞レベルでは、300Gの磁場が骨芽細胞様の細胞におけるアルカリホスファターゼ活性を倍増した。4,300Gないし4,800G間の磁場は代謝回転頻度と線維芽細胞の合成とを有意に増加させたが、骨芽細胞に影響を及ぼさなかった。胎生期のヒヨコの神経節からの神経突起伸長は、225G及び900Gの範囲の磁場を用いることによって有意に増加した。2.5Gで曝露されたラットの腱線維芽細胞は、事前に付着した細胞の広範な剥離、ならびに一時的な形態の変化を示した。15G/mmの最小のMF勾配は単離された神経標本において80%の活動電位遮断を起こすのを必要とした。一連の研究は、10Gの磁場がウサギモデルにおいて皮膚の微小循環に有意に影響を与えうることを実証した。それらの研究の1つは、薬理学的に決定された標的の状態に依存する二相反応を示した。
【0004】
静磁石を用いたいくつかの二重盲検臨床試験が行われてきた。300Gないし500Gの磁場を用いた、単一の45分の治療は76%までポリオ後の患者の痛みを低減した。磁石は圧痛点に配置され、痛み部位に直接的には配置されない。変色、浮腫、及び痛みは吸引脂肪除去後7日間で40%ないし70%まで低減された。150Gないし400Gのセラミック磁石のアレイを含むパッドは、手術後すぐに脂肪吸引部位に配置され、14日間その部位に残された。線維筋痛(痛み、睡眠障害等)の測定結果は、4ヶ月間にわたり800Gのセラミック磁石のアレイを含むマットレスパッド上で睡眠した患者において約40%まで低減した。糖尿病性の末梢神経障害を伴う患者の90%が、ランダム化した、足部のプラセボ対照クロスオーバ試験で475Gの交互極式磁気インソールを用いて、痛み、麻痺、及び刺痛の有意な軽減を受けた。非糖尿病対象の30%のみが等価な改善を示した。慢性の腰痛は、6時間/日、1週の間に週につき3回の300Gの磁場の幾何学的な交互極のアレイを用いた腰部位へのパットの適用によって影響を受けなかった。
【0005】
静的MFデバイスの証明された治療効果及び低周波ACデバイスの広範な範囲の生体有効性は、現象を説明するためにいくつかのモデルの開発を得た。カルシウム流出及び結合プロセスに対するDC及びAC磁場効果の初期の知見は多様な観察された効果に対する主要な伝達経路としての、イオン及びリガンド結合の研究を刺激した。振幅ウィンドウと、特異的なDC及びAC磁場の周波数及び振幅特性への依存性との初期の観察が、特定の磁場の組合せに対する共鳴状態を予測するモデルの開発を促した。イオンサイクロトロン共鳴(ICR)モデルは磁場が荷電される古典的なイオン又はリガンドの軌道に直接的に作用することを示す。しかしながら、そのモデルはサイクロトロン運動が粘性媒体で生じえず、観察された磁場強度でのサイクロトロン軌道の直径が生物学的標的自体の大きさ全体よりもより大きくなるという論拠に基づき、物理的に非現実であると言われてきた。
【0006】
AC磁場に対する振幅ウィンドウの報告は、量子機械的な共鳴を予測するイオンパラメトリック共鳴(IPR)モデルの開発を導いた。それらのモデルはAC及び静磁場の組合せに対する共鳴の位置を予測する見込みを持つように見える。しかしながら、これらのモデルの予測的な使用の主要な異論の1つは、数値が球対称のカルシウム(Ca)結合部位のようなファクタに非常に依存して生成されたことである。この対称性による小さな摂動が、非常に大きな理論的予測からの偏差を生成するであろう。このことは実験上及び理論上の共鳴間の明らかな類似点が同時発生しうることを示唆している。観察された共鳴は更に、複雑な異なる標的イオンの組合せに関与し、荷電したリポソーム表面の脂質の関与を示唆してきた。
【0007】
古典的なローレンツ力を含むモデルは、ICR及びIPRモデルに固有の問題を回避している。
【0008】
従って、装置、及び多数の生理学的で生化学的なカスケードの効果的な加速、減速又は抑制が生じるようなラーモア歳差運動メカニズムを用いることによって、DC及びELF磁場効果を制御するステップを具える方法に対するニーズが存在する。
【発明の概要】
【0009】
本発明による装置及び方法は、治療的及び予防的な目的で、ヒト、動物及び植物の分子、細胞、組織及び器官にパルス化した電磁場を送達するステップを具える。特に、本発明によるある様態は、以下に詳細に述べられるようなLPの条件及び共鳴に従うように特異的に構成された任意の組合せのAC及び/又はDC磁場の生成と、標的の特異的な生化学的特性に向けて標的にされるAC及び/又はDC特性を有する任意の信号の生成とを具える。
【0010】
好ましくは、本発明によるある様態は、LPの条件の要求を満たすことによって標的に結合するように設計される、任意の二次的な信号又はパターンによる任意の搬送EMFの変調を具え、限定しないが、特異的な標的の生化学的特性に向けて標的にされる特異的な特性を有する、任意の特異的な波形を生成するのに用いられる特異的な数値パラメータの選択を含む。重畳を通しての変調、振幅及び周波数変調、ならびに既知の特性の信号を形成するために可変又は一定の振幅及び周波数の搬送波形のLPの条件を満たす特徴的な波形を用いた有効な包絡線の生成は、イオン及びリガンド結合のダイナミクス及び共鳴周波数に変えられた波形及びパワースペクトルを含む。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によるある様態は、地球磁場を含む環境磁場が、経験的な証拠及び/又は数学的モデルに基づいて特異的な生体有効性の磁場を構成するために、空間的な地球磁場成分が、選択的に増加し、選択的に減少し、又は完全に相殺されるのを可能にするフィードバックを生成すべく検出される方法を具える。
【0012】
本発明によるある様態は、LPの条件を満たすように生成された特異的な信号を具え、これによって一日につき約1分ないし約数時間の曝露時間に分子、細胞、組織及び器官のような経路構成を標的にするように適用されうる、得られる合成MF信号が構成されるが、しかしながら他の曝露時間が用いられうる。
【0013】
本発明による別の様態は、0.01Gないし5,000Gの振幅を有する任意のDC MFを具備するLPの条件を満たすように変調されるMFを具える。
【0014】
本発明による別の様態は、約0.01Gないし5,000Gの振幅と、約0.01Hzないし36MHzの周波数とを有する任意のAC MFを具備するLPの条件を満たすように変調されるMFを具える。
【0015】
本発明による別の様態は、組織、器官、細胞及び分子の治療のために約0.01Gないし5,000Gの振幅と約0.01Hzないし36MHzの周波数とを有する任意のAC又はDC MFと重畳した、約0.01Gないし5,000Gの振幅を有する任意のDC又はAC MFを具備するLPの条件を満たすように変調されるMFを具える。
【0016】
本発明による別の様態は、組織、器官、細胞及び分子における任意の生化学的プロセスを増進すべく、約0.01Gないし5,000Gの振幅と約0.01Hzないし36MHzの周波数とを有する任意のAC又はDC MFと重畳した、約0.01Gないし5,000Gの振幅を有する任意のDC又はAC MFを具備するLPの条件を満たすように変調されるMFを具える。
【0017】
本発明による別の様態は、組織、器官、細胞及び分子の任意の生化学的プロセスを抑制すべく、約0.01Gないし5,000Gの振幅と約0.01Hzないし36MHzの周波数とを有する任意のAC又はDC MFと重畳した、約0.01Gないし5,000Gの振幅を有する少なくとも1のDC又はAC MFを具備するLPの条件を満たすように変調されるMFを具える。
【0018】
本発明による別の様態は、組織、器官、及び細胞における任意の生化学的プロセスを増進すべく、約0.01Gないし5,000Gの振幅を有する可変波形の信号を産生する両極性パルス列の既知の特性でLPの条件を満たす任意の信号の重畳を具える。
【0019】
本発明による別の様態は、組織、器官、細胞及び組織の治療のために約0.01Gないし5,000Gの振幅を有する可変波形の信号を産生する両極性パルス列の既知の特性でLPの条件を満たす任意の信号の重畳を具える。
【0020】
本発明による別の様態は、誘導結合された信号送信装置を用いてLPの条件を満たすように変調された任意の搬送信号、標的の表面に移植され配置された電極、あるいは、組織、器官、細胞及び分子の治療のために信号を適用するその他の方法の適用を具える。
【0021】
本発明による別の様態は、組織、器官、細胞及び分子の治療のために解剖学的な外被及び支持器に組み込まれうる、少なくとも1のフレキシブルに誘導結合された伝送コイルを具える。
【0022】
本発明による別の様態は、組織、器官、細胞及び分子の治療のために帯具及び包帯剤に組み込まれうる、少なくとも1のフレキシブルに誘導結合された伝送コイルを具える。
【0023】
本発明による別の様態は、外来ベースでのその内部に記載された組織、器官、細胞及び分子の治療を可能にするために日常の衣類及び布製品に組み込まれうる、少なくとも1のフレキシブルに誘導結合された伝送コイルを具える。
【0024】
本発明による別の様態は、ベッド、マットレス、パッド、椅子、ベンチ及びヒト及び動物の解剖学的構成を支持するために設計されたその他の構造物に組み込まれうる、少なくとも1のフレキシブルに誘導結合された伝送コイルを具える。
【0025】
本発明による別の様態は、コイルが大きな領域の組織、器官、細胞及び分子の治療のために適用範囲領域の増加を提供するような、複数のフレキシブルに誘導結合された伝送コイルを用いるステップを具える。
【0026】
本発明による別の様態は、従来の電気医療デバイスよりも低電力レベルで操作する装置を具える。
【0027】
本発明の目的の「環境磁場(Ambient Field)」は、地球磁場と、治療部位に送られうる任意のデバイスによって生成される磁場とを含む。
【0028】
本発明の目的の「生体有効性(bio−effective)」は、組織成長及び修復の増強又は減少に関連する生化学的カスケードの生物学的及び生理学的結果を意味する。
【0029】
本発明の目的の「LP共鳴(LP resonance)」は、共鳴状態を計算するためにLPのダイナミクスを用いる任意の手段を通じての共鳴状態の計算を意味する。
【0030】
上述及び更に別の本発明の態様及び利点は、以降に説明される図面の簡単な説明と本発明の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本発明の特定の様態である方法及び装置が、添付の図面を引用して例示によって記載される。
【0032】
【図1】図1は、シグナル伝達分子内に結合される荷電したイオンの磁場の効果を例示する。
【図2】図2は、結合イオンのラーモア歳差運動を示し、熱雑音及び適用される磁場が存在する。
【図3】図3は、CaCaM結合の生体有効性を示すグラフである。
【図4】図4は、Caならびに、水分子の酸素及び水素のアームの歳差周波数を示す。
【図5】図5は、50μTのAC及びDC磁場の平行重畳のためのラーモア歳差運動周波数を示す。
【図6】図6は、AC磁場の生体有効性に対する反応性を示す。
【図7】図7は、AC/DC平行磁場の組合せに対する結合寿命の反応性を示すグラフである。
【図7A】図7Aは、AC/DC平行磁場の組合せに対する反応性を示すグラフである。
【図8】図8は、AC周波数及び振幅の関数としてのランダムな振動方向からの一般的な反応性の平均偏差のグラフである。
【図9】図9は、平行なAC/DC磁場の組合せに対する共鳴オン及び共鳴オフの振る舞いの比較例を示す。
【図10】図10は、左側に時間とDC/AC振幅の比率との関数としてあるサンプルのz軸での軸の偏角又は歳差運動、右側に垂直磁場配置に対する反応性を示す。
【図11】図11は、結合したAC/DC磁場の組合せに対するLPの条件の一例である。
【図12】図12は、骨細胞におけるカルシウム流束の実験結果のグラフであり、右上にはこの実験に関するLP共鳴部位の地図を示し、下には関連する予測周波数応答を示す。
【図13】図13は、左上1301で、特定の磁場配置に対する共鳴地図がz成分の振動子軌道を示し、左下に示した、抑制及び励起の双方の応答を示す零からのz偏位の移動の平均によって決定される反応性を有するAC/DC平行及び垂直磁場の組合せを条件とする一方、右上は変更された磁場配置用の共鳴地図が、右下のグラフに示されるような反応性の予測可能な変化を生成することを示すことを例示している。
【図14】図14は、歳差運動の振動子のz偏角を介して測定される反応性の極値を示すAC/DC垂直磁場の組合せでのラーモア歳差運動によって予測される左1401の共鳴状態で、LP共鳴状態がDC磁場において振動子のラーモア回転数の半整数倍で生じ、共鳴状態がAC周波数及びAC/DC振幅の比率に依存し、共鳴の場所は環境磁場による寄与に依存することに留意すべきであり、右には、抑制された反応性の部位を示すAC振幅=0.5DC振幅の共鳴の位置が、DC磁場のラーモア回転数の整数倍で生じることを示している。
【図15】図15は直径6インチの単巻コイルによる空間的な磁場成分を示し、これにより、デバイスによる時空間的な磁場成分の正確な知見によって、この磁場が合成された生体有効性の磁場を生成するのに環境磁場と重畳して用いられるのを可能にする。
【図16】図16は、x軸711にプロットされる磁場周波数と、y軸712にプロットされる角変位とを適用した図7及び図7Aに示される方法のように、37μTのDC磁場で74ミリ秒のラーモア時間がかかる、DC=37μT、AC周波数=24HzのAC/DC平行磁場の組合せの予測されるLP共鳴を示す。
【図17】図17は、組み合わせた平行+垂直AC/DC磁場に対し予測されるLPM共鳴を示し、この場合においては、LPMは1994年にFitzsimmonsによって報告された20μTでの平行AC/DC及び15μTの垂直DCに対するCa2+流束データと合致し、LPMは更に低周波数でCa2+流束の抑制を予測し、ICR共鳴の分周波を予測しない。
【図18】図18は、Blackmanにより報告されるような45HzでのAC振幅の変動での366mG(36.6μT)の平行対垂直磁場のAC/DCの組合せに対する、PC−12細胞からの神経突起伸長に対する予測されるLPM共鳴を示し、LPMは正確に平行及び垂直の双方の方向のデータに合致し、高いAC振幅での各方向に対する共鳴動作を予測する。
【図19】図19は本発明のある様態による方法のブロック図である。
【図20】図20は本発明のある様態による装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
LPは磁場が結合イオンの運動に干渉性を誘導する手段である。ラーモアの定理は磁気モーメントに対する磁場の誘導がラーモア回転数:

で回転する基準のフレームに伝達される固有の動きを生じることを述べている。
【0034】
ここで、Γは歳差運動系の磁気回転比である。Γ=q/2mであり、qは電荷であり、mは単一のカルシウムイオンのような標的の質量である。
【0035】
生物学的標的に結合した電荷は一般的には、熱誘導された振動を起こし、系に対し磁気モーメントを生じさせる。このような系はLPを起こすと予期できる。この運動は熱的な力が結合部位から振動子を最終的に放出するまで熱的な力と重畳して持続する。z軸に沿って方向付けられた磁場のため、歳差運動はx−y平面に限定される。干渉性の結合した振動子の歳差運動に加えて、熱雑音自体の運動への寄与が歳差運動を起こすと更に予測される。
【0036】
ラーモア歳差運動は、根底のメカニズムは量子機械的であり、磁気モーメントのスピンアップ及びスピンダウン成分の相対位相の変化に関与するが、古典的モデルで記載できる磁気モーメントでの磁場の効果である。例示的な古典的モデルは、熱雑音の存在下でz軸に沿って方向付けられる磁場を受けるポテンシャル井戸に結合されるイオンに対するローレンツ−ランジュヴァンの式:

を用いる。
【0037】
ここで、rは粒子の位置ベクトルであり、βはサーマルバス中の分子衝突による、単位質量あたりの粘性減衰係数であり、γはイオンの電荷対質量比であり、Bは磁場ベクトルの大きさであり、kはz軸に沿った単位ベクトルであり、ωは振動子の角周波数であり、nは単位質量あたりのランダムな熱雑音的な力である。本明細書で示された位置エネルギ関数は調和振動子のものであるが、歳差運動は線形等方性のポテンシャルの場合に限定されず、任意の中心回復性のポテンシャルで生じることが期待される。
【0038】
閉形態でのローレンツの式の解決は、特異的な場合において、又は数値積分を通して可能である。ローレンツの式への熱の項nの追加は、統計学的な機械的方法を介して評価して、時間の関数としてイオン位置に対する集団平均<r(t)>を生成する解を生成する。集団平均から、物理学的パラメータにおける結合された熱雑音の存続時間の効果、外来性磁場及び変化が評価できる。
【0039】
ローレンツ−ランジュヴァンの式の解は、


である。
【0040】
ここで、


である。
【0041】
イオン軌道は従って、干渉性部分;


と、熱雑音:Ψ(t)による成分、すなわち非同次方程式に対する特殊解とを含む。解の干渉性成分は、物理的に現実的なパラメータの値について、赤外線範囲での減衰振動であることを示し、磁場の軸周りのラーモア回転数での歳差運動を起こす。

【0042】
熱雑音を含む非同次方程式に対する特殊解は、


によって与えられる。
【0043】
熱の項Ψ(t)の増加率は、振動子の振幅の集団平均を介して既に評価され、示された場合に、蓄積項は時間とともに伸び、粘性減衰


により、振動子軌道の減衰を最終的に圧倒する。熱蓄積によって、熱雑音のスペクトル密度


に依存して、結合存続時間後に結合部位から振動するイオンが放出される。更に約1秒の結合存続時間は、振動子周波数


と、
粘性減衰


と、
磁場強度B<<1Tとの物理的な関連値のために生じることが更に示された。
【0044】
Ψ(t)の時間依存性は更に式(6)を


のように拡張して、評価されうる。
【0045】
ここで、


は、時間に対する熱成分の蓄積である。
【0046】
従って、式(7)は振動自体の熱成分が更にラーモア歳差運動を起こすことを示す。
【0047】
歳差運動項の特異的な増加率は、物理的に関連するケース:


を評価することによって見られ、


となる。
【0048】
従って、イオン軌道自体の熱成分は、熱雑音n(τ)によって駆動され、粘性減衰を条件とし、磁場によって規定される軸周りのラーモア回転数での歳差運動を起こす熱振動子を具える。式(10)の被積分関数中の指数関数は、熱雑音が振動子の振幅を増加させるように作用する物理的予測により、式(10)中の−λ1,2の項によって+符号を受け取ることに留意すべきである。
【0049】
Ψ(t)の蓄積は振動子の位置の集団平均を介して直接的な方法で評価できる。熱の項


を評価すると。式(10)の指数関数項を保持するのに便利であり、


となる。
【0050】
粘性及び熱雑音のスペクトル密度σが、


によって関連付けられるという事実を用いて、kがボルツマン定数、Tが絶対温度、及びmが粒子の質量である場合に、α+α=2βの場合、集団平均は


となる。
【0051】
従って、熱の項Ψ(t)は時間とともに振幅を増加させる。熱蓄積に対して寄与する磁場の時間依存性は、


である場合に見えなくなることに留意すべきである。より一般的な場合については前に述べた。図1は、カルモジュリン又はトロポニンCのようなシグナル伝達分子内に結合される、カルシウムのような荷電したイオン102の磁場101の効果の概略を例示する。磁場が干渉性を結合部位内のイオン軌道に誘導することが分かるであろう。
【0052】
イオン軌道の熱成分は、熱雑音n(τ)によって駆動され、粘性減衰を条件とし、磁場によって規定される軸周りのラーモア回転数での歳差運動を起こす調和振動子を具える。図2は、熱雑音ならびに、適用される磁場201、時間202、及び角位置203の存在下での、結合イオンの角位置を示す。この有意な結果は、総てのこのように結合し荷電した振動子に適用され、LPメカニズムが広範で多様な標的の系におけるMFの効果の原因となることを示している。
【0053】
振動子周波数


と、
粘性減衰


と、
磁場強度B<<1テスラとの物理的な関連値のために、結果は数値シミュレーションを介して評価されてきた。蓄積項は時間とともに伸び、粘性減衰


により、振動子軌道の減衰を最終的に圧倒することが示された。従って、熱蓄積によって、熱雑音のスペクトル密度に依存して、結合存続時間後に結合部位から振動するイオンが放出される。
【0054】
熱的な力は一般的に結合部位で利用可能な球状の立体角にわたってに分布されるが、イオン又はリガンドが等方性領域において、ランダム運動を実行していないことを心に留めることは重要である。むしろ、赤外線中において、振動子周波数を伴い、振動子ポテンシャルで強く結合される。従って、その運動は上述のように蓄積項Ψ(t)の検討を通じて、ランダム運動ではなく熱駆動される振動子のものである。結合部位からイオン又はリガンドを簡単に迅速に放出する以外に、熱雑音的な力は運動の歳差成分の振幅に寄与するであろう。このようにして、運動全体


の干渉性及び熱的の双方の部分がLPで起こるであろう。このことの意味は広範であることであり、生物学的な標的の系中の広範で多様な荷電した振動子はLPを起こすのを予測され、適用された磁場に対し同様の応答を呈示する広く多様な標的の系を生じる。
【0055】
ラーモア歳差運動の条件は、本発明の様態によって以下に記載される。
【0056】
生化学的プロセスに影響を及ぼす結合振動子の歳差運動のために、運動が、ある歳差軌道の有意な部分を通して移動できなければならないことは明らかである。従って、生体有効性が生じるようにするためには、標的プロセスの時定数は約1秒のLPでなければならない。弱い磁場は比較的ゆっくりとした生物学的プロセスを標的にすることだけを予測でき、磁場の効果の低限が確立される。例えば、50μTでのCaに対するラーモア回転数は約18.19Hzであり、約55ミリ秒の結合存続時間がある軌道が生じるようにするのに要求される。カルモジュリン(CaM)に結合するCaは、CaM分子のゆっくりとした対の結合部位のために、約1秒の最大存続時間を有し、CaCaMによる検出性について約1ないし3μTの低限を生じる。
【0057】
振動子の歳差運動は、振動子が利用可能な運動範囲を通して移動する干渉性の頻度変調を生じるであろう。この干渉運動が動態に影響を与えることができるメカニズムが、ある標的の系から別のものに確定的に変えるであろうが、基本的なラーモアモデルの特性は広範で多様な系に似ている。振動子が、動態に影響を与える好ましい方向を含む、多様な方向に通過する頻度は、ラーモア回転数での歳差運動によって干渉的に変調される。磁場の不存在下で、熱的な摂動によって支配されるプロセスへの干渉性の誘導は、磁場の部分に実質的なエネルギ的な入力を要求することなく、磁場が系への情報を与えることを可能にする。50μTの磁場でLPを起こすカルシウムイオンの角度モーメントは、おおむねプランク定数となることが示される。
【0058】
ラーモア歳差運動は標的及び磁場の磁気回転比によって決定される頻度で、結合部位内の角度領域を掃引する振動子を生じさせる。例えば、CaCaM結合については、LPは振動子が様々な結合部位部分と接触する頻度の変調を生じる。強い磁場はこの頻度を増加させ、ひいては、振動子が解離を支持する方向に接触する確率又は周波数を増加させる。MF強度の増加は従って、Caの結合存続時間の減少を生じ、無細胞標本で観察される反応率の増加について観察されるような大きな遊離Caの利用可能性を生じる。
【0059】
CaCaMのような系において、生体有効性は磁場強度とともに増加することが予測され、飽和レベルに到達し、系の初期動態と比較して、DC磁場強度の更なる増加が結合時間の小さな変化のみを生じる。零磁界の存続時間と比較される、反応性又は結合存続時間の変化の割合は、


によって与えられる。
【0060】
従って、磁場強度が増加すると飽和が生じ、更に振幅の増加が動態の小さな相対変化を生じさせる。ラーモア回転数は磁場強度の増加とともに線形に増加するため、既知の標的の系(すなわち、特異的な結合存続時間)については、効果が狭い範囲のMFに限定されることに留意することは重要である。図3には、式(16)から得られる磁場強度の増加を伴う、CaCaM結合に対する生体有効性のグラフ表示を示す。例えば、0.1秒の結合時間では、約10μT未満の磁場強度301は無効であると予即されるが磁場強度が数mTに近づいた場合は飽和が生じるであろう。
【0061】
LPは結合し荷電したイオン以外の標的に影響を与えることができる。例えば、水分子は部分的な荷電を保有し、水固有の化学的特性を生じる。得られた強い電気的な極性によって、細胞及び組織中の水分子は、荷電担体及び荷電された膜の周りで観察される内外部のヘルムホルツ層のような、組織化され、極性化された水和層を形成する。これらの結合された水自体は、適用された磁場がLPを介して水和層の熱変動に干渉性を誘導する場合、LPを受けようとする。水和方向の角度の得られた変化は、水和作用の位置エネルギを変え、ひいてはヘルムホルツ面を通過する結合プロセスの結合部位動態の、局所的な比誘電率ε(t)がLPに依存する。
【0062】
水の酸素及び水素アームに対するラーモア回転数は更にCa2+周波数近傍にあるため、ラーモア回転数近傍の生体有効性の観察が更に、水分子自体又は水和イオンの複合物の歳差運動に起因し、そのため、ラーモア回転数の正確な決定がなされる前に、磁気回転比が推定されなければならない。図4は式(1)からのCa及び水分子のアームの歳差周波数401を示す。
【0063】
AC及びAC/DC結合共鳴は本発明の様態によって以下に記載される。
【0064】
本発明は、LPに固有の磁場強度及び周波数を伴う、共鳴のような状態及び特定の変化の利点を受け取るのを助ける。相対的に平行又は垂直な方向のAC及びDC磁場は、生体有効性の強度及び方向の臨床上の決定因子として示されている。LPによる生体有効性は振幅と、周波数と、MFの空間的な総ての時空間成分の方向とに依存する。正確な生物学的標的の反応性は、特異的な用量応答、反応性の最大値及び最小値のような共鳴現象、ならびにLPの特性の利点を取るようにプログラムされた治療様式の利点を取るために、標的の物理化学的な特性及び磁場特性の関数として計算できる。
【0065】
共鳴状態は本発明の様態によって以下に記載される。
【0066】
LPメカニズムは地球磁場を含む広範で多様なAC及びDC MFの組合せのための共鳴動作を与える。これらの共鳴はLPの特異的な特性である、最大値、最小値又は他の生体応答が特異的な時空間のMF状態で予測される状態である。これらの特異化された状態は、適用及び環境MFに対する生体応答を最大化、最小化、促進、抑制又はその他の方法で変調する革新的な手段を開発するのに用いられうる。以下に示された特異的な例は正弦曲線的に変わるAC MFを用いるが、LPの条件はDCと被正弦曲線的に変えられるMF波形との任意の組合せのための特異的な共鳴状態を決定するのに計算されうる。
【0067】
LP共鳴は、共鳴状態を計算するためにLPのダイナミクスを用いる、任意の手段を通じての共鳴状態の計算であると見なされるであろう。例示的な目的のために、共鳴状態を計算するいくつかの方法が以下に例示される。しかしながら、一般的には歳差運動振動子の可能な軌道の複雑性及び生体分子の複雑性のために、共鳴を計算する総ての可能な方法を詳細に扱うことは不可能である。
【0068】
AC磁場の生体有効性は本発明の様態によって以下に記載される。
【0069】
AC磁場がDC磁場に追加される場合、ラーモア歳差運動の時空間対称性の破壊が、変化するAC位相及び振幅を伴う歳差運動方向の周期の逆転と、垂直又は平行方向のDC磁場との相互作用とにより生じる。この対称性の破壊が適用された磁場形状を介して、結合部位内部の振動子方向の変調と、ひいては、好ましい方向との接触の確率とを生じる。例えば、AC位相によって、磁場強度が零近傍となるようにされ、DC磁場と破壊的な干渉を生じさせる場合、振動子は結合部位の特定部分に「滞留(dwell)」し、磁場が有意に生じるまで非常に小さい角距離をカバーさせる。共鳴状態は従って、単一のACの正弦曲線的磁場のみの場合に予測される。
【0070】
例えば、共鳴状態は振動子が好ましい方向で用いられる平均距離の計算を通じて評価することができ、結合存続時間以下又はそれと同等の時間がかかり、


となる。
【0071】
ここでCは定数であり、x(t)、y(t)及びz(t)は空間的な歳差運動振動子の成分であり、Oは空間的な好ましい方向の成分である。明らかに、実際の好ましい方向は特異的な反応性を決定する。しかしながら、上述のように、特定の生体分子環境で与えられた場合、R(t)は特異的な形態を取るであろう。
【0072】
基本的なLPMの特性を例示するために、本明細書で提供される例は、好ましい方向について任意の位置を用いる。R(t)は助変数方程式を介して、得られた磁場に垂直な平面でラーモア角周波数ωで歳差運動する振動子のために計算でき、


となる。
【0073】
ここでBrは、DC磁場の垂直なBper及び平行なBpara成分、ならびに周波数ωacを有するAC磁場成分Bacから得られた磁場である。図6に示されたように、x軸601にプロットされたAC振幅と、y軸602にプロットされたAC周波数と、z軸603にプロットされた反応性を有して、LPの特異的なダイナミクスによって、AC磁場によるラーモア回転数は時間変動性であり、特異的な好ましい方向からの平均距離の複雑な変調を生じる。
【0074】
AC/DC平行磁場の組合せは本発明の様態によって以下に記載される。静的(DC)磁場に対して平行に配置される交代性のMFの場合、単位時間ごとに掃引される角度領域A(t)は、結合時間と共に線形的に増加する。AC/DCの平行な組合せについては、Br=B+Bcos(ωt)であり、一般的には、ω=ΓBrであるラーモア回転数はAC及びDCの双方の振幅の時間変動関数となる。図5は式(1)からのCaについてのラーモア回転数501を示す。図5は50μTのAC及びDC磁場の平行重畳に対するCaのラーモア歳差運動周波数を示す。T/TはDC磁場のラーモア回転数のある期間のユニットにおいて経過する時間502の比率であり、ω/ωはAC周波数対DCラーモア回転数の比率に正規化されるユニットにおけるAC周波数503の比率である。振動子によって反転される全体の角距離は、ラーモア回転数の絶対値の積分で与えられ、


となる。
【0075】
ここで、ωはラーモア回転数であり、


はDC MFベクトルであり、


は周波数ωACを有するAC MFであり、mは結合振動子の質量であり、Cは比例定数である。A(t)は任意のイオン又はリガンド、任意の相対方向を有するAC及びDC MFの任意の組合せについて評価でき、一般的には標的の磁気回転比及びDC/AC MF形状の関数である。
【0076】
期間にわたって振動子によって掃引される全体的な角度領域A(t)は、ラーモア回転数によって決定されて、


となる。
【0077】
従って、反応性は式(19)及び(20)ならびに時間変動性のラーモア回転数の積分の結合関数である。積分の結合は結合存続時間を表すため、共鳴の位置は一般的には標的の系の動態に依存し、ひいては結合する種のラーモア回転数に単独に依存しない。図7はAC=DC=50μTである平行磁場の組合せにおけるCaの動態の角変位全体の依存性を示す。図7の右側のプロット701は、比較的短い結合存続時間、例えばDCラーモア時間の3倍までの系に対し、広範な共鳴ピークが生じ、式(20)を介して予測できる。図7は、左側のプロット702で結合存続時間が1秒又はそれ以上(ラーモア時間の18倍)に近づく場合、動態への角変位全体の依存を示し、これによって共鳴が実質的に見えなくなる。
【0078】
AC及びDC磁場の相対振幅は更に、共鳴状態の高さ及び位置を決定するのに更に重大である。ラーモア回転数は得られたAC+DC振幅に依存するため、AC>DCの場合、振動子は歳差方向の周期的な変化を起こす。結果はAC MFの歳差運動振動子への追加が反応性の方向に到達する時間を促進又は抑制できることを示す。平行AC/DC磁場の組合せについて、結果はIPRの報告された実験検証に著しく似ており、LPを弱いDC及びAC MFの生体有効性用の実行可能な代替的なメカニズムとして示唆する。得られた共鳴状態はKochによって用いられた状態に反映できる。図5はDC=37μT、AC=1.7μTに対する、約18ないし35Hzの範囲にある適用されるAC磁場に対する、又は37μTのDC磁場におけるCaに対する約1.4ないし2.6倍のラーモア回転数に対するLPモデルの予測を示す。これらの計算は、DC磁場におけるCaのラーモア回転数の時間の約4倍の存続時間を有する標的の系に対しなされた。結果は図8の公表されたKochの実験と有利に比較される。
【0079】
更に平行AC及びDC MFの組合せについては、干渉性の振動子の歳差運動に基づいて、複雑な共鳴状態が、特異的なAC振幅及び周波数について予測される。例えば、図8に示したように、振動子位置のランダムな分布からの平均偏差(すなわち、平均振動子位置=π)がAC周波数801及び振幅802と共に変わる。図8の複雑な偏差は式(20)を介して生成され、mean(A(t))−πとなる。図8におけるピークと底の位置は、生体有効性の増加又は減少を生成するのを予測する、特異的なAC/DC磁場の組合せを決定する一手段の例を提供する。
【0080】
図9は、特異的な周波数での図8の切片を示し、共鳴の構成と、わずかな共鳴オフ周波数へのシフトの影響とを詳述する。例えば、図9の左側のプロット901は、第2高調波のラーモア回転数(2×ω)でのAC/DC振幅の関数としての反応性と、ω−0.1ωでのわずかな共鳴オフを示す。ラーモア高調波上に直接、明らかな共鳴がAC=3×DC振幅で生じることに留意すべきである。10%のω(第2高調波では5%のAC)だけのAC周波数の移動は、この共鳴を有効に破壊する。従って、系に対する正確なLPの条件の知見は、共鳴及び臨床上有意な生体有効性を生成する、正確なAC/DCの組合せの生成を可能にする。
【0081】
より複雑な共鳴動作は他のAC周波数で生じ、副高調波周波数のラーモア回転数を含んでいる。例えば、図9の右側のプロット902は、AC周波数=ω/3及びω/3−0.05ωでの共鳴状態を示す。これらの状態については、AC周波数(0.05ω)のわずかなシフトが共鳴ピークの数の増加と、共鳴強度の同時の減少を生じさせる。
【0082】
AC/DC垂直磁場の組合せは本発明の様態によって以下に記載される。
【0083】
DC磁場を有する垂直方向のAC MFの場合については、得られたMFの空間的な方向がすぐに変化し、前の例の円柱対称性を破壊する。円柱形状外側で得られる振動子の偏位は、単位時間につき掃引される角度領域A(t)の変化により、生体有効性の変化を生じさせることは前に示唆した。従って、ラーモア回転数と歳差運動の軸との双方が時間変動性であり、式(17)によって与えられる角度領域の蓄積はz方向の歳差運動の成分によって変調される。形状によると、結果は


となる。
【0084】
ここで、


である。
【0085】
z軸から離れた歳差運動の軸の偏位により、垂直磁場に対するラーモア回転数が、平行なAC/DCの組合せの場合よりもより合併された方法で、時間と共に変化する。生じた合併されたダイナミクスは、反応性の変化が歳差運動軸における時間変動の変化と同時に、双方のAC変調したラーモア回転数によって生じることを意味している。
【0086】
振動子の偏位がその最大値を達成する場合、すなわち、AC周波数がラーモア回転数の整数倍になる場合に、共鳴が生じることは証明されてきた。このことは、AC磁場強度の増加に沿ってスキャンし、DCを一定に保持することによって、垂直磁場配置について共鳴が観察できることを示している。例えば、図10の左側のプロット1001はAC周波数=DC磁場強度のラーモア回転数で示される比率B/Bの関数として式(21)のz軸からの振動子の軸の偏位を示す。一定の振動子偏位の部位の出現が等しくB=2nBで配置されることに留意されたい。A(t)はこれらの状態のための最大値及び最小値を達成し、式(21)でz偏角の時間平均として計算され、図10の左側プロットに示された結合存続時間=7のDC磁場のラーモア時間にわたって取られる。図10の左側プロット1001の地図の形状、及びAC強度の増加を伴う主要でない共鳴の多数の出現は、AC振幅の増加を伴う複雑性の増えた振動子のダイナミクスを反映する。図10の右側のプロット1002は、これらの状態に対する反応性A(t)を示す。抑制及び励起応答の双方が左側のプロット1001に示された極値に応じて生じることに留意されたい。この治療上関連する例が、考慮されたイオン結合プロセスによって管理される系について、
抑制のプロセスが


で取得でき、
励起又は増加のプロセスが、


で取得できるように、磁場が構成できることを示している。
【0087】
AC/DC磁場の任意の組合せは本発明の様態によって以下に記載される。
【0088】
ラーモア歳差運動の条件は更に、分子結合プロセスを与える又は妨害する好ましい方向からの振動子の平均距離に基づいて予測されうる。共鳴状態はACのみ、DCと平行なAC、DCと垂直なAC、及び結合された平行及び垂直磁場について計算できる。例えば、LPの条件は正確な歳差運動振動子の軌道の計算を可能にし、


となる。
【0089】
ここで、x(t)、y(t)及びz(t)は振動子の運動方程式の解を通して見出され、式(2)から3次元の場合に一般化され、


となり、


は、x、y及びzの3の空間方向の単位ベクトルである。
【0090】
図11は、AC磁場周波数1101とAC対DCの磁場強度の比率との関数としての、任意のAC/DC磁場の組合せに対する、式(17)、(18)及び(23)から平均距離を介した、好ましい方向への反応性を示す。特異的な共鳴状態が存在し、励起及び抑制の双方の応答を産生することが分かる。特異的なAC及びDCの平行及び垂直磁場の組合せを選択することによって、特異的な共鳴状態が生物学的標的に適用できる。
【0091】
図12は、骨細胞中のCa流束を測定する実験結果を示す。これらの結果は現在まで十分には説明されておらず、生体有効性のEMF信号の構成に臨床的に関連する。図12の左上1201は、適用されたAC磁場について16Hzの範囲でCa流束の顕著なピークを有する、実験的に観察される共鳴を示す。図12の右上1203は、式(17)、(18)及び(23)を介して計算されるような、この実験と関連するLP共鳴地図の領域を示す。正確な共鳴位置が見られ、詳細な関連する共鳴「地図」の形状に与えられうる。図12の下1202は、関連する周波数応答を提供し、実験の結果を成功裏に予測するAC=20μTの領域を通る切片を示す。従って、特異的な標的の系に対するLPの条件の知見は、関連する生体有効性の波形の予測を可能にする。
【0092】
従って、式(24)に対する解の詳細な知見、ひいてはLP共鳴地図を通して、特異的なMFは治療上関連する励起及び抑制を産生するように構成できる。例えば、図13の左上1301は、零からのz偏位の移動の平均によって決定されるAC/DCの結合された平行/垂直の組合せに対する反応性が、抑制及び励起の双方の応答を示すことを示す。この場合については、AC周波数はDC平行のMFのラーモア回転数の0.5倍に等しい。特異的な応答のパターンは、左下1304のプロットに示したような、磁場配置に対し得られることに留意すべきである。比較において、図13の右上1302はDC平行MFのラーモア回転数の1.0倍にちょうど等しいAC MFの周波数を有することを除いては、同一状態の振動子のz偏位を示す。AC周波数のこの変化は、図13の右下のプロット1303に示されるように、反応性において予測可能な変化を生じさせる。
【0093】
環境磁場と結合して生成されるラーモア歳差運動−生体有効性の磁場は、本発明の様態によって以下に記載される。
【0094】
本発明は、経験的データ又は数学的モデルによって特異的な生体有効性を生成するように設計される磁場配置を生成するために、生物学的標的で磁場環境を正確に制御する方法を具える。
【0095】
本発明は、3軸、2軸、又は平面を含み、磁場を標的に向けて送達する任意の幾何学的配置において、コイル及び/又は永久磁石の配置を含む。総ての時空間の磁場成分が特異的な磁場配置を生物学的標的に送達するために制御される。環境地磁気及び環境磁場は、適用された生体有効性磁場で配置する目的のためにこれらの成分を使用するためにモニタリングされる。
【0096】
一般的に、コイルの系によって生物学的標的に適用される磁場は、1)直接的にコイルに適用される電流による磁場Bdeviceと、2)局所的な地球磁場(約0.5ガウスで、大きさ及び方向が地理的に変わる)のような環境供給源による磁場Bambientと、医療機器、電力線等のような総ての他の供給源との重畳である。全体で得られる磁場は、


となる。
【0097】
従って、磁場全体は有意義な方法で環境磁場と重畳すべく、デバイス磁場を選択することによって、完全に制御されうる。治療的な目的のために、適用された磁場の生物学的標的との相互作用を詳述する数学的又は経験的モデルは、生体有効性で治療的な磁場配置を開発するために用いられうる。環境磁場から標的を遮蔽する以外に、最終的な生体有効性野地界を形成するための本発明のこれらの磁場は、


となり、結果、デバイスによって要求される磁場は、


となる。
【0098】
本発明はこの事実を使用し、従って、特異的に構成された磁場全体の積分成分として環境磁場を利用する。
【0099】
本発明は3軸磁力計プローブを介した環境磁場の時空間成分の正確な測定をする。この測定値は次いで所望の生体有効性の磁場配置と比較されて、式(26)を介してデバイスによって生成すべき磁場を生成する。
【0100】
結合されたAC/DC磁場配置は、永久磁石の追加の有り及び無しの双方での、3軸、2軸、ヘルムホルツ、平面又は任意のコイルとの組合せといったいくつかの異なる方法によって生成してもよい。例えば、既定の磁場は環境磁場を相殺し、後に重畳を通して所望の磁場成分を追加することによって簡単に得ることができ、


となる。
【0101】
このアプローチは一般的に、ヘルムホルツ配置中の3軸又は2軸コイルの使用を要求する。
【0102】
従って、一般的な場合については、生体有効性の磁場配置を決定するために用いられる経験的又は数学的モデルを与えられた場合、以下の方法が用いられうる。
1)好適なコイル及び/又は永久磁石を用いた、所望されない環境磁場の成分の測定及び相殺/変調
2)環境値に依存する生体有効性の磁場成分を計算するための、残りの環境磁場の成分の使用(以下のラーモア歳差運動の実施例参照)
3)生体有効性の磁場成分を生成するための、残りの環境磁場の成分の使用
4)生体有効性の磁場配置を完全にするための、好適なコイルを用いた更なる時空間磁場成分の適用
【0103】
LPMを用いる特異的な実施例は、ある生体有効性の配置が、互いに垂直に向いている定常(DC)及び正弦波交流(AC)磁場の組合せを具えることが予測される。この配置について、生体有効性の極値は図1に示されるように、DC磁場における標的のラーモア回転数、及びその半整数倍で予測される。このような極値は標的のイオン/リガンド結合経路の反応性を増加又は減少させる生物学的意味を有する。図14の左側のプロット1401は、AC周波数とAC対DCの振幅の比率との関数としての歳差運動振動子のz偏角に比例するこれらの共鳴の構成を示す。AC周波数はDC磁場のラーモア回転数の関数であり、周波数及びAC振幅とともに変化する共鳴状態は更に直接的な垂直DC磁場強度の関数であることに留意すべきである。図14の右側のプロット1402はAC振幅=0.5DC振幅での式(21)からのAC周波数の関数としての平均z偏角としての反応性を示す。反応性の抑制の部分がラーモア回転数の整数倍で生じることに留意すべきである。一般的には、数学的及び経験的モデルによって、特異的な生体応答を伴う特異的なプロセスに向けて標的とされる、結合したAC/DC磁場を構成するのを可能にする。
【0104】
本発明によるある様態は、生体有効性の磁場配置を生成するために環境磁場を使用する。このケースについては、単一の平面コイルが用いてもよく、環境磁場成分の測定は式(26)を介して生体有効性の磁場を生成するために用いてもよい。このようなコイルによって送達される磁場の大きさと形状はコイルへの入力電流によって正確に決定され、空間的な測定を通じて較正できるため、単一の平面コイルはヘルムホルツ配置中のコイル以外に用いてもよい。例えば直径6インチのアプリケータコイルは図15に示したように、主にコイルの平面に垂直な方向であるx、y及びz成分を有する得られた磁場を送達する。系の円対称性及びコイルの軸にわたる磁場相殺のために、垂直なX−Y成分はコイルの中央で環境レベルに近い値(約2ミリガウス)を産生する(図15の左側1501及び中央のプロット1502)ことに留意すべきである。図15の右側のプロット1503に示したように、治療部位の中央の支配的な磁場成分はコイルの平面に垂直な2.0ガウスのz成分である。
【0105】
従って、垂直磁場及び単一の円形コイルに対する、このLPMのケースについては、環境磁場の測定は、
1)環境磁場のz成分の相殺、
2)残りの環境磁場のx及びy成分の、
a)適用されたAC磁場の要求された周波数、
b)要求されたAC振幅(図1参照)を計算するための使用、
3)コイルを通じて適用された信号を介した、z方向のAC磁場の適用、
を可能にする。
【0106】
コイルによって生成されなければならない磁場は従って、


となる。
【0107】
ここで、BZambientは環境磁場のz成分であり、BACは所望のAC磁場である。
【0108】
得られた生成された磁場は、z軸に沿って方向付けられたAC成分から成り、x−y平面の環境(DC地磁気)成分と結合され、上述の垂直AC/DC共鳴に対するラーモア歳差運動の条件を満たす。
【0109】
図19によると、図19は本発明の様態による生体有効性の磁場を構成するための方法のフロー図である。ラーモア歳差運動の数学的モデルは生体有効性の磁場配置を決定するために用いられる(ステップ1901)。式17ないし20に記載のような数学的モデルは決定のために用いることができるが、他の数学的モデルを用いてもよい。標的治療部位での環境磁場はホール効果プローブのような検出手段を用いて測定される(ステップ1902)。検出された環境磁場は成分に分解される。それらの成分のいくつかは好適なコイル及び/又は永久磁石を用いることによって生体有効性の磁場に部分的に組み込まれ、式24ないし27に記載のような生体有効性の磁場の任意の成分を相殺及び/又は変調できる。更なる時空間的な磁場成分は好適なコイル及び/又は永久磁石を用いることによって、生体有効性の磁場に重畳される(ステップ1903)。得られた生体有効性の磁場は、ラーモア歳差運動モデルにより要求されたAC/DCの生体有効性の磁場配置を満たす信号を生成することによって、1又は複数のコイル及び/又は永久磁石を通して治療領域に適用されるであろう(ステップ1904)。
【0110】
図20は本発明の様態による生体有効性の磁場を構成するための装置のブロック図を示す。生体有効性の磁場装置は1又はそれ以上のコイルのような生成デバイスを駆動する信号を生成する。生体有効性の磁場装置はオン/オフスイッチのような活性化手段によって活性化されてもよい。生体有効性の磁場装置はAC/DC電源2001を有する。AC/DC電源2001はバッテリのような内部電源、あるいは例えばプラグや電線によって本発明と接続されるAC/DC電流出口のような外部電源であってもよい。AC/DC電源2001は電力をAC発電機2002、マイクロコントローラ2003に、及びDC電力をAC/DCミキサ2004に提供する。マイクロコントローラ2003の好ましい様態は、8ビット4MHzのマイクロコントローラ2003を用いるが、他のビット及びMHzの組合せのマイクロコントローラを用いても良い。マイクロコントローラはAC/DCミキサ2004内へのAC電流を制御する。AC/DCミキサ2004は生体有効性の磁場を生成するのに用いられるAC及びDC電流を結合及び制御する。電圧レベル変換分岐回路2005は、標的治療部位に送達される、送られた磁場を制御する。電圧レベル変換の出力は、電圧レベル変換の出力は出力増幅器2006により増幅されて、少なくとも1のコイル2008へ信号を転送する出力2007として送達される。好ましくは、少なくとも1のコイル2008は地磁気成分を含む環境磁場を測定するプローブ2009を有し、AC/DCミキサ2004に測定値を戻し、これによって生体有効性の磁場の配置を調整及び制御する。生体有効性の磁場配置を生成するために環境磁場を用いる場合、単一の平面コイルが用いてもよく、生体有効性の磁場を生成するために用いられる環境磁場成分の測定は式(26)を介して決定できる。このようなコイルによって送達される磁場の大きさと形状はコイルへの入力電流によって正確に決定され、空間的な測定を通じて較正できるため、ヘルムホルツ配置中の3軸又は2軸コイルと代替的に単一の平面コイルを用いてもよい。例えば直径6インチのアプリケータコイルは図15に示したように、主にコイルの平面に垂直な方向であるx、y及びz成分を有する得られた磁場を送達する。系の円対称性及びコイルの軸にわたる磁場相殺のために、垂直なX−Y成分はコイルの中央で環境レベルに近い値(約2ミリガウス)を産生する(図15の左側1501及び中央のプロット1502)ことに留意すべきである。図15の右側のプロット1503に示したように、治療部位の中央の支配的な磁場成分はコイルの平面に垂直な2.0ガウスのz成分である。
【実施例1】
【0111】
LPは重要な実験結果を説明する。x軸でプロットされた磁場の組合せ1601とy軸でプロットされたカルシウム流出量1602とを有する図16は、高精製の原形質膜小胞におけるCa2pの輸送の極端に低い周波数の磁場の効果を示す。小胞は32 8Cで30分間曝露され、カルシウム流出はトレーサとして放射性の45Caを用いて検討された。27ないし37mTの範囲の静磁場と、7ないし72Hzの周波数及び13ないし114mT(ピーク)の振幅を有する時間変動性の磁場が用いられた。AC及びDC磁場の相対振幅は共鳴状態の高さ及び位置を決定するのに重要である。ラーモア回転数は得られたAC+DC振幅に依存するため、AC>DCで振動子は歳差方向に周期的な変化を起こす。生じた共鳴状態はBperp=0で式17及び18を用いてKochによって用いられた実験条件[Kochら,2003]で評価できる。見られるように、実験データに合致するLPMはIPRのものと本質的に同一であるが、より物理学的に現実的なメカニズムを介している。
【実施例2】
【0112】
x軸1701でプロットされたAC周波数と、y軸1702でプロットされた反応性とを有する図17は、骨細胞におけるCa流束を測定する実験結果の、式17及び18を介したLPの予測を示す。この検討では、正味の45CA流束がヒト骨細胞の低振幅EMFに対する主要な伝達応答の可能な初期マーカとして用いられた。結合したDC磁場及びAC磁場の作用は、イオンサイクロトロン共鳴理論によるカルシウム結合と結合するように初期構成された。この理論は実質的には疑わしいが、実験結果は更に保持され、成功裏にLPによって説明される。実験結果はCa流束の顕著なピークが適用したAC磁場に対し16Hzの範囲にあることを示す。
【0113】
結合された平行及び垂直なAC/DC磁場を有し、15μTの垂直DCと結合した20μTの平行AC/DCに対するこの系でのLP予測は、十分にデータに記載され、ICR共鳴の分周波ではない低周波数でのCa2+流束の抑制を予測する。これらの結果は生体有効性の治療的なEMF信号の配置と臨床上関連する。
【実施例3】
【0114】
x軸1801でプロットされた磁場と、y軸1802の神経突起伸長とを有する図18はAC磁場に対する振幅ウィンドウのLP予測を示す。PC−12細胞中の神経突起伸長に対する平行なac及びdc磁場の影響の最近の試験は、イオンパラメトリック共鳴モデルの予測と良い一致を示した。しかしながら、垂直(160mG)及び平行(366mG)の双方のdc磁場に関与する初期の研究による実験結果は、イオンパラメトリック共鳴モデル予測と一致するようにはならなかった。試験結果は垂直なac及びdc磁場に対する細胞応答が特徴的であり、平行なac及びdc磁場で見られるものと異なることと、垂直磁場に対する応答が強度依存性の非線形方法で支配的であることを示している。
【0115】
図18は、Blackmanによって得られた実験結果と比較した場合の、培養中のPC−12細胞からの神経突起伸長での、DC磁場に垂直又は平行な実質的に異なるACの効果について、AC磁場に対する振幅ウィンドウのLP予測を示す。LP予測は式17及び18を介して生成され、R(t)が366mGのDC磁場のラーモア時間である、75ミリ秒で評価される。実験条件は45HzでのAC振幅の変動を伴う、366mG(36.6μT)の平行対垂直磁場のAC/DCの組合せであった。見られるように、LPは十分に垂直及び平行磁場の双方の形状で得られる結果を記載する。平行対垂直磁場の方向についての反応性の観察された変化は、LPの本来の特徴であり、その他のモデルによって説明されない。
【0116】
装置及び方法は最も実用的でかつ好ましい様態になると現在見なされる点について記載してきたが、本開示は開示された様態に限定される必要がないことは理解すべきである。主張の精神及び範囲内に含まれる様々な変更及び同様の配置がカバーされることが意図され、この範囲は総てのこのような変更及び同様の構成を包含するように広い解釈がなされるべきである。本開示は以下の請求項の任意及び総ての様態を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁場配置のための方法であって、
生体有効性の磁場配置を決定するためにラーモア歳差運動の数学的モデルを用いるステップと、
標的治療部位で環境磁場を測定するステップであって、これによって前記環境磁場の成分が同定されるステップと、
時空間的な磁場成分を前記生体有効性の磁場配置に重畳するステップと、
前記ラーモア歳差運動の数学的モデルを満たす前記生体有効性の磁場配置から、生体有効性の磁場を生成するステップと、
を具えることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記環境磁場が地球磁場を含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、前記生体有効性の磁場配置が、AC/DC平行磁場配置、AC/DC垂直磁場配置、及びAC/DC任意磁場配置のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、前記生体有効性の磁場が約0.01Gないし5,000Gの振幅を有するDC磁場を含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において、前記生体有効性の磁場が約0.01Gないし5,000Gの振幅と、約0.01Hzないし36MHzの周波数とを有するAC磁場を含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、前記生体有効性の磁場が、約0.01Gないし5,000Gの振幅と約0.01Hzないし36MHzの周波数とを有する少なくとも1のAC及びDC磁場と重畳した、約0.01Gないし5,000Gの振幅を有する少なくとも1のDC及びAC磁場を含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法において、前記生体有効性の磁場が、組織、器官、細胞及び分子における生化学的プロセスを増進すべく、約0.01Gないし5,000Gの振幅と約0.01Hzないし36MHzの周波数とを有する少なくとも1のAC及びDC磁場と重畳した、約0.01Gないし5,000Gの振幅を有する少なくとも1のDC及びAC磁場を含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法において、前記生体有効性の磁場が、組織、器官、細胞及び分子の生化学的プロセスを抑制すべく、約0.01Gないし5,000Gの振幅と約0.01Hzないし36MHzの周波数とを有する少なくとも1のAC及びDC磁場と重畳した、約0.01Gないし5,000Gの振幅を有する少なくとも1のDC及びAC磁場を含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法において、前記生体有効性の磁場が、ラーモア歳差運動の条件を満たす信号の重畳を具える生体有効性の磁場を含み、前記信号が両極性パルス列の既知の特性を有し、約0.01Gないし5,000Gの振幅を有する可変波形の信号を産生することを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法において、前記生体有効性の磁場が、ラーモア歳差運動の条件を満たす信号の重畳を具える生体有効性の磁場を含み、前記信号が、組織、器官、細胞及び分子における生化学的プロセスを増進すべく、両極性パルス列の既知の特性を有し、約0.01Gないし5,000Gの振幅を有する可変波形の信号を産生することを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法において、前記生体有効性の磁場が、ラーモア歳差運動の条件を満たす信号の重畳を具備する生体有効性の磁場を含み、前記信号が、組織、器官、細胞及び分子の生化学的プロセスを抑制すべく、両極性パルス列の既知の特性を有し、約0.01Gないし5,000Gの振幅を有する可変波形の信号を産生することを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法において、前記ラーモア歳差運動の条件を満たす生体有効性の磁場が、薬理学的作用剤とともに用いられることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法において、前記ラーモア歳差運動の条件を満たす生体有効性の磁場が、包帯剤及び装具とともに用いられることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法において、前記ラーモア歳差運動の条件を満たす生体有効性の磁場が、加温、冷却又は超音波のような他の治療手順とともに用いられることを特徴とする方法。
【請求項15】
電磁気装置であって、
生体有効性の磁場配置を決定するためにラーモア歳差運動の数学的モデルを用いる磁場配置手段と、
前記電磁気装置に電力を供給するための電源と、
環境磁場の成分を同定するための測定デバイスと、
時空間的な磁場成分を前記生体有効性の磁場配置に重畳するためのミキサと、
前記ラーモア歳差運動の数学的モデルを満たす前記生体有効性の磁場配置から、治療部位に向けて生体有効性の磁場を生成する結合デバイスと、
を具えることを特徴とする電磁気装置。
【請求項16】
請求項12に記載の電磁気装置において、前記治療部位が組織、細胞、器官、及び分子のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする電磁気装置。
【請求項17】
請求項12に記載の電磁気装置において、前記環境磁場が地球磁場を含むことを特徴とする電磁気装置。
【請求項18】
請求項12に記載の電磁気装置において、前記ミキサがAC/DC平行磁場配置、AC/DC垂直磁場配置、及びAC/DC任意磁場配置のうちの少なくとも1つを有する生体有効性の磁場を構成できるミキサを含むことを特徴とする電磁気装置。
【請求項19】
請求項12に記載の電磁気装置において、前記ミキサが、約0.01Gないし5,000Gの振幅を有するDC磁場を具備する生体有効性の磁場を構成できるミキサを含むことを特徴とする電磁気装置。
【請求項20】
請求項12に記載の電磁気装置において、前記ミキサが、約0.01Gないし5,000Gの振幅と約0.01Hzないし36MHzの周波数とを有する少なくとも1のAC及びDC磁場と重畳した、約0.01Gないし5,000Gの振幅を有する少なくとも1のDC及びAC磁場を具備する生体有効性の磁場を構成できるミキサを含むことを特徴とする電磁気装置。
【請求項21】
請求項12に記載の電磁気装置において、前記ミキサが、組織、器官、細胞及び分子における生化学的プロセスを増進すべく、約0.01Gないし5,000Gの振幅と約0.01Hzないし36MHzの周波数とを有する少なくとも1のAC及びDC磁場と重畳した、約0.01Gないし5,000Gの振幅を有する少なくとも1のDC及びAC磁場を具備する生体有効性の磁場を構成できるミキサを含むことを特徴とする電磁気装置。
【請求項22】
請求項12に記載の電磁気装置において、前記ミキサが、組織、器官、細胞及び分子における生化学的プロセスを抑制すべく、約0.01Gないし5,000Gの振幅と約0.01Hzないし36MHzの周波数とを有する少なくとも1のAC及びDC磁場と重畳した、約0.01Gないし5,000Gの振幅を有する少なくとも1のDC及びAC磁場を具備する生体有効性の磁場を構成できるミキサを含むことを特徴とする電磁気装置。
【請求項23】
請求項12に記載の電磁気装置において、前記ミキサが、ラーモア歳差運動の条件を満たす信号の重畳を具える生体有効性の磁場を構成できるミキサを含み、前記信号が両極性パルス列の既知の特性を有し、約0.01Gないし5,000Gの振幅を有する可変波形の信号を産生することを特徴とする電磁気装置。
【請求項24】
請求項12に記載の電磁気装置において、前記ミキサが、ラーモア歳差運動の条件を満たす信号の重畳を具える生体有効性の磁場を構成できるミキサを含み、前記信号が、組織、器官、細胞及び分子における生化学的プロセスを増進すべく、両極性パルス列の既知の特性を有し、約0.01Gないし5,000Gの振幅を有する可変波形の信号を産生することを特徴とする電磁気装置。
【請求項25】
請求項12に記載の電磁気装置において、前記ミキサが、ラーモア歳差運動の条件を満たす信号の重畳を具備する生体有効性の磁場を構成できるミキサを含み、前記信号が、組織、器官、細胞及び分子の生化学的プロセスを抑制すべく、両極性パルス列の既知の特性を有し、約0.01Gないし5,000Gの振幅を有する可変波形の信号を産生することを特徴とする電磁気装置。
【請求項26】
請求項12に記載の電磁気装置において、前記結合デバイスが、生物学的な標的にAC/DC信号を送る少なくとも1の電気コイルを具えることを特徴とする電磁気装置。
【請求項27】
請求項12に記載の電磁気装置において、前記結合デバイスが、2軸及び3軸配置のヘルムホルツコイルのうちの少なくとも1つを具えることを特徴とする電磁気装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図7A】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公表番号】特表2011−501975(P2011−501975A)
【公表日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−503092(P2010−503092)
【出願日】平成20年4月14日(2008.4.14)
【国際出願番号】PCT/US2008/004834
【国際公開番号】WO2008/127724
【国際公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(509283395)アイヴィヴィ テクノロジーズ,インク. (1)
【Fターム(参考)】