説明

電磁気制御式遊動玩具

【課題】台座の上で遊動体が動作する電磁気制御式の遊動玩具において、台座内部に設置する導線コイルの数を1個のみで遊動体を台座上で動作させることが可能な電磁気制御式遊動玩具を提供することを課題とする。
【解決手段】磁力を発生させる導線コイルと前記導線コイルの通電及び電極の切り替え処理を制御する通電制御手段と前記通電制御手段に基づいて導線コイルに電流を流すようにプログラムされたマイクロコンピューターとを備えた台座本体と、台座に乗せる遊動体にはN極を下向きに設置した永久磁石1個及びS極を下向きに設置した永久磁石1個を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁気で遊動体を動作させる遊動玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特開2004−195113号広報「遊動玩具」のように、フィールド板の下側に複数の制御コイルが設けられ、制御装置によって前記複数の制御コイルの通電を制御させることにより、磁石が付設された遊動体を動作させるようにしたことを特徴とする。この遊動玩具によれば、制御装置により複数の導線コイルの通電制御がされ、磁石が付設された遊動体がフィールド板の上で動作を行うものであった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
以上に述べた従来の電磁気制御式の遊動玩具では、遊動体を動作させるために複数の導線コイルを必要とし、また制御装置は導線コイルの数に比例して複雑化するとういう欠点があった。
【0004】
そこで本発明は、上記従来技術の問題点に斯かる実情に鑑みなされたもので、台座の内部に設ける導線コイルの数を1個のみで台座上の遊動体を動作させることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、磁力を発生させる導線コイルと前記導線コイルの通電及び電極の切り替え処理を制御する通電制御手段と前記通電制御手段に基づいて導線コイルに電流を流すようにプログラムされたマイクロコンピューターとを備えた台座本体と、N極を下向きに設置した永久磁石1個及びS極を下向きに設置した永久磁石1個とを備えた遊動体において、導線コイルに反時計回りの電流を流すと導線コイルの中央から上昇方向にN極の磁力線が発生し、また導線コイルの円周部上方にはS極の磁力線が発生する。その際、遊動体に備えられている2個の永久磁石の内N極を下向きに設置した永久磁石は導線コイルのS極の磁力線に引き寄せられ移動し、S極を下向きに設置した永久磁石は導線コイルのN極の磁力練に引き寄せられ移動する。続いて導線コイルに時計回りの電流を流すと導線コイルの極性が瞬時に入れ替わり、遊動体に備えられている2個の永久磁石の内N極を下向きに設置した永久磁石は導線コイルのS極の磁力線に引き寄せられ移動し、S極を下向きに設置した永久磁石は導線コイルのN極の磁力線に引き寄せられ移動する。このように、前記通電制御手段に基づいてマイクロコンピューターが導線コイルに電流を流すことで発生する磁力線の極性の変化に対して遊動体に設置した2個の永久磁石の磁力が作用することで台座本体の上面に置かれた遊動体が動作することを特長とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1において、前記遊動体の底面の重心付近に微小な突起形状を備えており、前記突起形状によって遊動体底面と台座表面との接触面積を減少させることで台座上の遊動体をよりスムーズに動作させると同時に前記突起形状を中心軸とした自転運動を促すことで遊動体が回転運動などを伴う意外性のある動作をすることを特長とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明によれば、磁力を発生させる導線コイルと前記導線コイルの通電及び電極の切り替え処理を制御する通電制御手段と前記通電制御手段に基づいて導線コイルに電流を流すようにプログラムされたマイクロコンピューターとを備えた台座本体と、N極を下向きに設置した永久磁石1個及びS極を下向きに設置した永久磁石1個とを備えた遊動体とによって、複数の導線コイルを用いることなく1個の導線コイルのみで台座上の遊動体を動作させることができる。すなわち、前記通電制御手段に基づいてマイクロコンピューターが導線コイルに電流を流すことで発生する磁力線の極性の変化に対して遊動体に設置した2個の永久磁石の磁力が作用することで台座本体の上面に置かれた遊動体が動作する電磁気制御式遊動玩具を提供することができる。
【0008】
請求項2記載の発明によれば、請求項1に記載された電磁気制御式遊動玩具において前記遊動体の底面の重心付近に微小な突起形状を備えることで、前記遊動体の底面と前記台座表面との接触面積が減少することから遊動体をよりスムーズに動作させると同時に前記突起形状を中心軸とした自転運動が促されることから遊動体に回転運動などを伴う意外性のある動作をさせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
磁力を発生させる導線コイルと前記導線コイルの通電及び電極の切り替え処理を制御する通電制御手段と前記通電制御手段に基づいて導線コイルに電流を流すようにプログラムされたマイクロコンピューターと前記マイクロコンピューターから送信されるサウンド信号を再生するスピーカーと磁気を検知して前記マイクロコンピューターに起動信号を発信する磁気センサーと前記マイクロコンピューターに電源を供給する電池とを備えた台座本体と、N極を下向きに設置した永久磁石1個及びS極を下向きに設置した永久磁石1個とを備えた遊動体と、前記遊動体が前記台座本体の上面中央に置かれると遊動体に設置された永久磁石に前記磁気センサーが反応し起動信号を発信することでマイクロコンピューターが起動する。起動したマイクロコンピューターは前記通電制御手段に基づいて電流を導線コイルに流すことで発生する磁力線の極性の変化に対して遊動体に設置した2個の永久磁石の磁力が作用し台座本体の上面に置かれた遊動体が動作することを特長とした電磁気制御式遊動玩具。
【0010】
また、上述の電磁気制御式遊動玩具の遊動体において、遊動体底面の重心付近に微小な突起形状を備えており、遊動体底面と台座表面との接触面積を減少させることで台座上の遊動体をよりスムーズに動作させると同時に前期突起形状を中心軸とした自転運動を促すことで回転運動などの意外性のある動作を行うことができる電磁気制御式遊動玩具。
【実施例】
【0011】
以下、図を参照して、本発明を適用した実施の形態について説明する。まず、図1を使用し本発明装置の遊動体を構成する部材の説明を行う。
【0012】
本体成型1は、永久磁石2と永久磁石3を取り付けるスペースを備えている。永久磁石2と永久磁石3は、どちらか一方をN極が下向きになるように設置され、もう一方をS極が下向きになるように設置されている。図1は、永久磁石2をN極が下向きになるように設置し、永久磁石3をS極が下向きになるように設置した一例である。本体成型1に設置された永久磁石2と永久磁石3は、本体底部成型4によって密閉される。また本体底部成型4の重心近辺には微小な突起形状5を備えている。
【0013】
次に図2を使用し本発明装置の台座を構成する部材の説明を行う。プリント基盤8には導線コイル9、磁気センサー7、マイクロコンピューター10がボンディングされており、図示しないが該マイクロコンピューター10のスペックに応じた電子部品を備えている。また、プリント基板8の下側には電池11との通電接点を備えている。スピーカー12はリード線で基盤8と接続されている。前記の全ての部材は、台座上部成型6と台座底部成型13の中に収納される。
【0014】
次に図3を使用し遊動体が台座の上で動作する原理の説明を行う。透視図14は本発明装置に用いる主要部品の配置状態を示した透視図である。導線コイル図15は導線コイルに反時計回りの電流を流した時に発生する磁力線の状態を示した図である。導線コイルに反時計回りの電流を流すと導線コイルの中央から上昇方向にN極の磁力線が発生し、導線コイルの円周部上方にはS極の磁力線が発生する。導線コイル図16は導線コイルに反時計回りの電流を流した時に発生する磁力線と2個の永久磁石との磁力関係を示した図である。永久磁石2はN極が下向きに設置されているので導線コイルの円周部上方に発生したS極の磁力線に引き寄せられる。一方、永久磁石3はS極が下向きに設置されているので導線コイルの中央に発生したN極の磁力線に引き寄せられる。導線コイル図17は導線コイルの通電方向を時計回りに切り替えた時に発生する磁力線の状態を示した図である。導線コイルに時計回りの電流を流すと導線コイルの中央から上昇方向にS極の磁力線が発生し、導線コイルの円周部上方にはN極の磁力練が発生する。導線コイル図18は導線コイルに時計回りの電流を流した時に発生する磁力線と2個の永久磁石との磁力関係を示した図である。永久磁石2はN極が下向きに設置されているので導線コイルの中央に発生したS極の磁力線に引き寄せられる。一方、永久磁石3はS極が下向きに設置されているので導線コイルの円周部上方に発生したN極の磁力線に引き寄せられる。このように導線コイルの通電方向を繰り返し切り替えることで、台座上に置かれた遊動体は永久磁石2及び永久磁石3の移動に伴って台座の上を動作する。また、遊動体底面の重心付近に備わっている微小な突起形状によって、台座上の遊動体の移動をスムーズにすると同時に遊動体底部の突起形状を中心軸とした自転運動を促す作用がある。
【0015】
次に図4を使用しプログラムによる処理の説明を行う。
システムの起動処理では、OFF状態のプログラムシステムを起動させてON状態にする処理を行う。台座6の中央に遊動体が置かれると、台座の内部に設置された磁気センサー7が遊動体内部の永久磁石の磁界を検知してマイクロコンユーター10に信号を送りプログラムシステムが起動する。
【0016】
電極切り替えパターン選択処理では、導線コイルの電極切り替えパターンの選択と実行の処理を行う。マイクロコンピューター10の記憶領域には導線コイル9の通電及び電極の切り替え処理を制御する通電制御手段として複数種類の電極切り替えパターンが予め記憶されている。そしてプログラムシステムが起動すると、5秒間隔で複数種類の電極切り替えパターンの内の1種類をランダムに選択し実行する。以下、電極切り替えパターンの具体例を説明する。電極切り替えパターン1は導線コイル9に通電している電極を0.5秒間隔で切り替えると同時にスピーカー12に対して0.1秒間のビープ音信号を1回発信する。その際、台座の上に置かれた遊動体は0.5秒間隔で変化する導線コイルの磁力線に応じた動作を繰り返す。電極切り替えパターン2は導線コイル9に通電している電極を1秒間隔で切り替えると同時にスピーカー12に対して0.1秒間のビープ音信号を1回発信する。その際、台座の上に置かれた遊動体は1秒間隔で変化する導線コイルの磁力線に応じた動作を繰り返す。電極切り替えパターン3は導線コイル9に通電している電極を0.1秒間隔で切り替えると同時にスピーカー12に対して0.05秒間のビープ音信号を1回発信する。その際、台座の上に置かれた遊動体は0.1秒間隔で変化する導線コイルの磁力線に応じた動作を繰り返す。0.1秒間隔の電極切り替えのように極めて短い間隔で電極切り替えを行うことで遊動体の動作に振動効果を加えることができる。電極切り替えパターン4はマイクロコンピューターの記憶領域に予め記憶されているメロディーデータの音信号をスピーカー12に発信すると同時に、前記メロディーデータのリズムに合わせて導線コイル9に通電している電極を切り替える。その際、台座の上に置かれた遊動体はスピーカーから流れるメロディーのリズムに合わせて変化する導線コイルの磁力線に応じた動作を繰り返す。
【0017】
タイマーカウント処理では、ON状態のプログラムシステムをオートパワーオフ機能によってOFF状態にする処理を行う。プログラムシステムが起動した直後からの経過時間を内部タイマーが積算して、内部タイマーの値が60秒に達すると自動的に電源がOFF状態になるようにプログラムされている。
【0018】
以上説明したように構成することにより、遊動体に2個の永久磁石を付設し、一方の永久磁石はN極を下向きに、もう一方の永久磁石はS極を下向きに設置することで1個の導線コイルのみで遊動体を台座の上で動作させることが可能となり、更に遊動体底面の重心付近に微小な突起形状を備えていることから、遊動体の底面と台座表面との接触面積が減少し、これにより遊動体の動作がよりスムーズになると同時に遊動体底部の突起形状を中心軸とした自転運動が促されることから遊動体に回転運動などの意外性のある動作をさせることが可能な電磁気制御式遊動玩具を提供することができる。また、好ましい実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲で種々に改変できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】 本発明の一実施例である遊動体の構成部材を示す図である。
【図2】 本発明の一実施例である台座の構成部材を示す図である。
【図3】 本発明の一実施例である電磁気制御式遊動玩具において、遊動体が台座の上で動作する原理の説明図である。
【図4】 本発明の一実施例であるプログラム処理を示す図である。
【符号の説明】
【0020】
1 本体成型
2 永久磁石(前側)
3 永久磁石(後側)
4 本体底部成型
5 突起形状
6 台座上部成型
7 磁気センサー
8 プリント基板
9 導線コイル
10 マイクロコンピューター
11 電池
12 スピーカー
13 台座底部成型
14 透視図
15 導線コイル図(反時計回りの通電状態に於ける磁力線の説明図)
16 導線コイル図(磁力線と2個の永久磁石との関係図)
17 導線コイル図(時計回りの通電状態に於ける磁力線の説明図)
18 導線コイル図(磁力線と2個の永久磁石との関係図)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁力を発生させる導線コイルと前記導線コイルの通電及び電極の切り替え処理を制御する通電制御手段と前記通電制御手段に基づいて導線コイルに電流を流すようにプログラムされたマイクロコンピューターとを備えた台座本体と、N極を下向きに設置した永久磁石1個及びS極を下向きに設置した永久磁石1個とを備えた遊動体と、前記通電制御手段に基づいてマイクロコンピューターが導線コイルに電流を流すことで発生する磁力線の極性の変化に対して遊動体に設置した2個の永久磁石の磁力が作用することで台座本体の上面に置かれた遊動体が動作することを特長とした電磁気制御式遊動玩具。
【請求項2】
請求項1において、前記遊動体の底面の重心付近に微小な突起形状を備え、遊動体の底面と台座上面との接触面積を減少し遊動体をよりスムーズに動作させると同時に前記突起形状を中心軸とした自転運動を促すことを特長した電磁気制御式遊動玩具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−302171(P2008−302171A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−176713(P2007−176713)
【出願日】平成19年6月8日(2007.6.8)
【出願人】(501341978)ウーブ有限会社 (5)
【Fターム(参考)】