説明

電磁波測定装置

【課題】この発明は、内面に電磁波吸収体を備えた電磁波測定箱内部に、電磁波を送信する送信体及び送信された電磁波を受信する受信体を所定間隔を隔てて、一方に対して他方を所定の位置に再現性よく設置することのできる電磁波測定装置を提供することを目的とする。
【解決手段】内面に電磁波吸収体13を備えた電磁波測定箱10内部に、所定間隔を隔てて、電磁波を送信する送信アンテナ32及び送信された電磁波を受信する受信アンテナ31を設置し、前記受信アンテナ31で受信した電磁波を測定する電磁波測定装置1であって、上記受信アンテナ31を上記電磁波測定箱10内の受信アンテナ設置位置15まで挿入許容する円形開口15a及び円形板部15bを備え、該円形板部15bを、送信アンテナ32と受信アンテナ31を結ぶ直線に直交する方向へ上記受信アンテナ31を挿入許容する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、内面に電磁波吸収体を備えた電磁波測定箱内部に、所定間隔を隔てて、電磁波を送信する送信体及び送信された電磁波を受信する受信体を設置し、前記受信体で受信した電磁波を測定する電磁波測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電波吸収体を内面に備えた内部中空の直方体形状で形成された電磁波測定箱内に、電波を送信する送信アンテナと送信された電波を受信する受信アンテナとをセットし、受信された電波を測定することで受信アンテナを試験する電磁波測定箱が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
上記電磁波測定箱は、長手方向の片側面に備えた開閉可能な扉部分をあけて、内部の底面に受信アンテナを設置する構成である。
この場合、小さな電磁波測定箱内部を覗き込むようにして、受信アンテナを設置する必要があり、送信アンテナに対して所定の位置に受信アンテナを設置することは困難であった。
【0004】
したがって、送信アンテナとの相対位置によって受信された電磁波の測定結果が大きく影響を受ける電磁波測定試験において、再現性の高い測定結果を得ることは困難であった。
【0005】
【特許文献1】特開平10−93286号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、内面に電磁波吸収体を備えた電磁波測定箱内部に、電磁波を送信する送信体及び送信された電磁波を受信する受信体を所定間隔を隔てて、一方に対して他方を所定の位置に再現性よく設置することのできる電磁波測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、内面に電磁波吸収体を備えた電磁波測定箱内部に、所定間隔を隔てて、電磁波を送信する送信体及び送信された電磁波を受信する受信体を設置し、前記受信体で受信した電磁波を測定する電磁波測定装置であって、上記送信体と上記受信体の少なくとも一方を被試験体とし、上記被試験体を上記電磁波測定箱内の設置位置まで挿入許容する挿入手段を備え、該挿入手段を、上記送信体と上記受信体を結ぶ直線に直交する方向へ上記被試験体を挿入許容する構成にしたことを特徴とする。
上記送信体と上記受信体を結ぶ直線に直交する方向とは、例えば電磁波測定箱内部が直方体形状あり、前記送信体及び前記受信体の所定間隔方向、すなわち送信体と上記受信体を結ぶ直線の方向が幅方向である場合、上記直方体の両側面に対して平行な面上の方向であることを含む。
【0008】
これにより、この挿入手段を挿入することで、送信体又は受信体に対して被試験体を電磁波測定箱内の所定の距離及び方向である所定の位置に容易に設置することができる。したがって、測定結果のばらつきを小さくすることができ、すなわち再現性の高い測定結果を得ることができる。
また、例えば、被試験体を電磁波測定箱の外部で挿入手段に装着する場合、被試験体をさらに容易に設置することができる。したがって、被試験体の交換に要する時間を短縮することができ、多数の被試験体を試験する場合であっても、試験時間全体を短縮することができる。
【0009】
この発明の態様として、前記挿入手段によって挿入許容する位置を前記電磁波測定箱の底面に構成し、前記挿入方向を、鉛直上方向とすることができる。
これにより、例えば、被試験体が受信した電磁波を測定装置に伝達するケーブルが被試験体の外部側の端部に接続されている場合、被試験体の設置方向がケーブルの重量によって傾く等の変化することを防止できる。したがって、送信体又は受信体に対して、さらに容易に、被試験体を所定の位置に設置することができる。
【0010】
また、この発明の態様として、前記挿入手段を、前記底面に形成した挿通孔と、該挿通孔を通過して前記被試験体を前記設置位置まで移動させる移動体とで構成し、該移動体に、前記底面に嵌合する嵌合部材を備えることができる。
これにより、被試験体を設置位置に挿入するだけで、電磁波測定箱を略密閉状態にすることができる。したがって、送信アンテナから送信された電磁波が電磁波測定箱の挿通孔から漏出することを防止でき、測定結果のばらつきをより小さくすることができる。
【0011】
また、この発明の態様として、前記移動体に、前記被試験体を回動自在にする回動許容部を備えることができる。
これにより、例えば、被試験体が指向性アンテナである場合、所望の方向へ容易に回動させることができ、この方向での電磁波測定結果を得ることができる。
【0012】
また、この発明の態様として、前記回動許容部の回動軸方向を、前記挿入方向と同方向にしたことを特徴とすることができる。
これにより、例えば、指向性アンテナを被試験体として試験する場合、被試験体を回動軸を中心として回動させても、他方のアンテナとの相対距離及び方向を維持することができる。したがって、被試験体が指向性アンテナであり、回動させた場合であっても、測定結果のばらつきをさらに小さくすることができる。
【0013】
また、この発明の態様として、前記受信体を、前記被試験体とするとともに、該受信体を、受信する電磁波の周波数が異なる受信部を複数備えた複合受信体で構成し、前記移動体に、試験対象となる前記受信部を切替える受信部切替手段を備えることができる。
【0014】
上記受信する電磁波の周波数が異なる受信部を複数備えた複合受信体は、例えば、GPS用の1.5GHz、VICS用の2.5GHz、ETC用の5.8GHz、及び携帯電話用の800MHz等の複数種類の周波数を受信するアンテナを一体的に備えた複合化アンテナであることを含む。
試験対象となる前記受信部を切替える受信部切替手段は、試験対象である受信部と、受信した電磁波を測定する測定器とを接続する接続回路を切替える、例えば単極双投接点(SPDT)等の切替スイッチであることを含む。
【0015】
これにより、利用者は切替スイッチを切替えるだけで試験対象である受信部を切替えできるために、試験対象となる受信部を接続切替する手間がなくなり、効率よく複合受信体の試験することができる。
【0016】
また、例えば、切替スイッチの切替えを制御する制御装置を備えた場合、利用者は物理的に受信部、受信体及び切替スイッチに接触することなく測定対象である受信部を切替できるため、被試験体である受信部及び受信体の測定位置を変化させることなく、さらに再現性の高い測定結果を得ることができる。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、内面に電磁波吸収体を備えた電磁波測定箱内部に、電磁波を送信する送信体及び送信された電磁波を受信する受信体を、所定の距離及び方向に容易に設置することができ、再現性の高い電磁波測定結果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
電磁波測定装置1の斜視図を示す図1と、電磁波測定箱10の平面断面図を示す図2、測定状態の電磁波測定装置1の中央付近の縦断面図を示す図3と、受信アンテナ31の取付け状態の電磁波測定装置1の中央付近の縦断面図を示す図4とともに、電磁波測定装置1について説明する。
【0019】
電磁波測定装置1は、略直方体形状に形成された電磁波測定箱10と、側面と上面中央に開放部を備えた略直方体の台座部20とを積重ねた態様で形成されている。
該台座部20は、該電磁波測定箱10よりひと回り大きく適宜の高さの略直方体形状で形成されている。
【0020】
図2に示すように、電磁波測定箱10は、鉄板11で構成された筐体の内側に四角錘型の電磁波吸収体13を立位状態で複数整列配置させた2層構造で構成している。なお、電磁波測定箱10の直方体のサイズは、測定対象とする電磁波の周波数に応じて、最適なサイズであればよいが、1.4GHz〜1.6GHzの周波数帯の測定を対象とする本実施例においては、奥行き70cm程度、高さ70cm程度、及び幅140cm程度に形成している。
また、鉄板11の外面には適宜の塗装による防錆処理がなされている。なお、本実施例において、函体を鉄板11で構成しているが、鉄板に限定されず金属であればよい。
【0021】
電磁波吸収体13は、試験対象となる電磁波の周波数に応じた適宜の寸法の四角錘形状の磁性体粉末が配合されたポリウレタンフォームを格子状に配置して構成している。これによって、後述する送信アンテナ32から送信された電磁波が、電磁波測定箱10内部で乱反射することを防止でき、受信アンテナ31は送信アンテナ32から送信される直接波を受信することができる。
【0022】
なお、本実施例において、電磁波吸収体13は四角錘形状体を用いているが、これに限定されず、試験対象となる電磁波等に応じて、例えば、千鳥配置された角部が面取りされた略四角錘形状体や、円錐形状体や、或いは連続して一列に平行に配置した楔形状体(三角柱を寝かせたような形状)や、シート状体で形成された電磁波吸収体を用いてもよい。
【0023】
また、本実施例において、電磁波吸収体13は磁性体粉末が配合されたポリウレタンフォーム製のものを用いているが、これに限定されず、試験対象となる電磁波等に応じて、磁性体粉末が配合されたエポキシ樹脂系材料や磁性体粉末が配合されたシリコーン樹脂系材料で形成した電磁波吸収体を用いてもよい。
【0024】
また、電磁波測定箱10の底面10aには、奥行き方向(図2の上下方向)の中央付近で、幅方向(図2の左右方向)の左端から略1/4の点に送信アンテナ32を装着する送信アンテナ装着部と、幅方向の右端から略1/4の点に受信アンテナ31を装着する受信アンテナ装着部とを備えている。
【0025】
上記送信アンテナ装着部は、上記底面10aに設けた円形開口14aに嵌合する円形板部14bと、該円形板部14b上面に備えた電磁波吸収体13と、底面側に備えた接続コネクタ14cとで構成されている。なお、円形開口14aは底面側部分を径外方向にひと回り大きく形成している。これにより、送信アンテナ32の位置を精度よく取付けることができる。
【0026】
円形板部14bは、径外方向に突出するフランジを底面側に備えた円筒形状の鉄板11で形成し、平面視中心には、送信アンテナ32の支柱32aが通過し、上記接続コネクタ14cへの接続を許容する接続孔を設けている。
【0027】
接続コネクタ14cは、上端付近が円形板部14bの底面側に固定され、下端側に他端が送信制御部に接続された同軸ケーブル41の一端が接続されている。したがって、接続コネクタ14cの上端側に送信アンテナ32の支柱32aを物理的に接続することで、同軸ケーブル41と送信アンテナ32とを電気的に接続することができる。
【0028】
上記構成により、送信アンテナ32を接続コネクタ14cに接続した円形板部14bを円形開口14aに合わせて固定することで、所望の位置である送信アンテナ設置位置14に送信制御部と電気的に接続された送信アンテナ32を設置することができる。
【0029】
上記受信アンテナ装着部は、嵌合部材であり、上記底面10aに設けた円形開口15aに嵌合する円形板部15bと、該円形板部15b上面に備えた電磁波吸収体13と、底面側に備えた接続コネクタ15cとで構成されている。
円形板部15bは、底面10aより厚い板厚の円筒形状の鉄板11で形成し、平面視中心には、受信アンテナ31の支柱31aの下端に備えた接続コネクタ31bが接続される接続コネクタ15cの貫通を許容する接続貫通孔を設けている。また、図4bに示すように、円形板部15bの側面には、円形開口15aの内側面に備えたねじ溝(図示省略)に螺合するねじ山15eを備えている。
【0030】
接続コネクタ15cは、上端付近が円形板部15bの上面と略同一の高さとなり、ボールベアリング15dによって、回動自在となるように円形板部15bに支持されている。また、接続コネクタ15cの下端には、他端が測定装置に接続された同軸ケーブル42の一端が接続されている。
したがって、接続コネクタ15cと接続コネクタ31bとを図示省略するねじ山及びねじ溝によって螺合して接続することで、同軸ケーブル41と受信アンテナ31とを回動自在且つ電気的に接続することができる。
【0031】
上記構成により、支柱31aの下端部を接続コネクタ15cに接続した円形板部15bを、円形開口15aに螺入することで、所望の位置である受信アンテナ設置位置15に、測定装置と電気的に接続された受信アンテナ31を設置することができる。
【0032】
したがって、利用者は、電磁波測定箱10内部に送信アンテナ31に対して所定の距離及び方向である受信アンテナ設置位置15に受信アンテナ31を設置することができる。さらに、利用者は、同軸ケーブル41を介した上記送信制御部によって送信アンテナ32に電磁波を送信させ、送信された電磁波を受信した受信アンテナ31からの受信電磁波の信号を同軸ケーブル42を介して測定装置で受信して受信アンテナ31の受信電磁波を測定することで受信アンテナ31の試験を実行することができる。
【0033】
詳述すると、受信アンテナ31を、円形板部15bによって底面10aに対して直角方向である鉛直方向に螺入して、受信アンテナ31と送信アンテナ32とを同一の面上である底面10aに設置することができるため、送信アンテナ32に対して所定の距離及び方向である受信アンテナ設置位置15に受信アンテナ31を容易に設置することができる。
【0034】
換言すると、送信アンテナ設置位置14及び受信アンテナ設置位置15を結ぶ方向は、電磁波測定箱10の幅方向と同方向であるため、電磁波測定箱10の正面及び背面に平行且つ受信アンテナ設置位置15を通過する鉛直面の面内方向に、円形板部15bを螺入することができる。したがって、送信アンテナ32に対して所定の距離及び方向で受信アンテナ31を設置することができる。また、受信アンテナ31を円形板部15bの中心に装着しているため、送信アンテナ32との相対距離を変化させることなく、受信アンテナ31を受信アンテナ設置位置15に設置することができる。
【0035】
なお、円形板部15bを底面10aの板厚より厚く形成しているため、利用者は、底面10aから下側に突出する部分を握持して、円形板部15bを円形開口15aに容易に螺入することができる。受信アンテナ31の取付け、及び取外しの頻度が多い本実施例の電磁波測定箱10において、この構成によって螺入容易となり好ましい。なお、受信アンテナ31の取り付け、取り外しが容易であれば上記形態以外の形態であってもよい。
【0036】
また、複数の受信アンテナ31を連続して試験する場合であっても、円形板部15bを円形開口15aから裸出することで電磁波測定箱10から受信アンテナ31とともに取外し、電磁波測定箱10から取外した円形板部15bの受信アンテナ31を交換し、再度受信アンテナ設置位置15にセットすることができる。
【0037】
したがって、利用者は、上述したような容易な動作によって、送信アンテナ32に対して所定の距離及び方向である受信アンテナ設置位置15に受信アンテナ31を設置できる交換作業を行うことができる。よって、容易な取替え動作によって、多数の受信アンテナ31を試験する場合、取替えに要する時間を短縮できる。
【0038】
さらに、円形板部15b及び円形板部14bのそれぞれを、円形開口15a及び円形開口14aに装着することで、電磁波測定箱10を略密閉状態とすることができる。したがって、別部材で円形開口14aや円形開口15aを塞ぐ場合と比較して、受信アンテナ31及び送信アンテナ32を設置するという動作のみで電磁波測定箱10を略密閉できるため、作業効率が向上し、利用者の利便性が向上する。
【0039】
また、円形板部15b、及び円形板部14bの上面に電磁波吸収体13を備えたことによって、送信アンテナ32から送信された電磁波の乱反射を防止でき、送信アンテナ32が送信した直接波のみを受信アンテナ31が受信することができる。したがって、測定結果のばらつきをより小さくすることができ、すなわち再現性のより高い測定結果を得ることができる。
【0040】
また、図3及び図4に示すように、受信アンテナ31の支柱31a、及び送信アンテナ32の支柱32aは中空の円筒形状のパイプで形成され、内部に受信アンテナ31及び送信アンテナ32のアンテナ用ケーブル(図示省略)が挿通されているため、送信アンテナ32から送信された電磁波の乱反射を防止でき、送信アンテナ32が送信した直接波のみを受信アンテナ31が受信することができる。したがって、測定結果のばらつきをより小さくすることができ、すなわち再現性のより高い測定結果を得ることができる。
【0041】
さらに、支柱31a及び支柱32aは、誘電率が空気の誘電率に近いポリアセタール樹脂で形成されている。これにより、支柱31a及び支柱32aによる電磁波の受信への影響を低減でき、よりばらつきの小さな測定結果を得ることができる。なお、支柱31a及び支柱32aは、上記ポリアセタール樹脂に限定されず、例えばフッ素樹脂等の誘電率が空気の誘電率に近い材質で形成されていればよい。
【0042】
なお、受信アンテナ31の支柱31a、及び送信アンテナ32の支柱32aの外周に電磁波吸収体13を取り付けてもよい。これにより、送信アンテナ32から送信された電磁波の乱反射をさらに防止でき、送信アンテナ32が送信した直接波のみを受信アンテナ31が受信することができる。したがって、さらに、ばらつきの小さな測定結果を得ることができる。
【0043】
また、受信アンテナ31は、円形板部15bに対して回動可能に固定された接続コネクタ15cに接続されているため、指向性を有する受信アンテナ31の試験を行うこともできる。この場合、円形板部15b部分の拡大底面図である図5に示すように、接続コネクタ15cの底面10aから下側に突出した部分の外側面に方向矢印16を備えるとともに、円形板部15bの底面に回動方向目盛17を備えるとよい。
【0044】
利用者は、接続コネクタ15cに支柱31aを接続する際に、方向矢印16の方向と、受信アンテナ31の方向とを同方向にして接続することで、受信アンテナ設置位置15に設置された受信アンテナ31の設置方向を電磁波測定箱10外部から確認することができる。
【0045】
これにより、利用者は、電磁波測定箱10内部の受信アンテナ設置位置15に設置された受信アンテナ31の設置方向を、方向矢印16が指す回動方向目盛17の目盛によって、電磁波測定箱10外部から確認できるため、容易に指向性を有する受信アンテナ31の試験を行うことができる。
【0046】
なお、方向矢印16や回動方向目盛17を設けずとも、円形板部15bにモーター等の回動駆動装置とロータリーエンコーダを設けて、機械的に受信アンテナ31の設置方向を読み取る構成であってもよい。
【0047】
また、送信アンテナ32を設置する円形開口14a及び円形板部14bを、円形開口15aおよび円形板部15bと同様の構成としてもよい。これにより、本実施例での受信アンテナ31と同様に、受信アンテナ31に対して所定の距離及び方向である設置位置に送信アンテナ32を容易に設置することができる。
なお、上記試験では、受信アンテナ31を被試験体として試験を行ったが、送信アンテナ32を被試験体とすることもできる。
【0048】
また、本実施例では、円形板部15bを円形開口15aに螺入することで被試験体である受信アンテナ31を受信アンテナ設置位置15に設置したが、円形開口15aに対して上下方向に可動する駆動装置によって円形板部15bを円形開口15aに嵌合させる構成であってもよい。
【0049】
また、支柱31aの上端と、受信アンテナ31の下端のそれぞれに接続コネクタを備え、該接続コネクタによって支柱31aに対して受信アンテナ31を取外し可能に構成してもよい。この構成により、受信アンテナ31のみを交換することで、複数の受信アンテナ31を容易に交換して試験を実行することができる。
【0050】
また、円形開口15a及び円形板部15bのそれぞれを上方が小径な円錐台形状で構成し、それぞれにねじ山又はねじ溝を構成しても良い。この構成により、円形板部15bを円形開口15aに螺入することで、円錐台形状の円形開口15aに対して円形板部15bは楔状に螺合するため、電磁波測定箱10の底面10aに対する螺合完了後の円形板部15bの高さを一定にすることができる。したがって、さらに容易に、受信アンテナ31を所定の高さに設置することができる。
【0051】
また、図6に示すように、電磁波測定装置1で、上記実施例の受信アンテナ31の代わりに、複合化アンテナ50を試験する構成であってもよい。この場合、複合化アンテナ50と接続コネクタ15cとの間に切替SW60を備えている。
【0052】
なお、複合化アンテナ50は、GPSに用いられる1.5GHz用のアンテナ体51aと、ETCに用いられる5.8GHz用のアンテナ体51bと、VICSに用いられる2.5GHz用のアンテナ体51cと、携帯電話に用いられる800MHz用のアンテナ体51dの4つのアンテナ体を備えており、それぞれのアンテナ体51(51a,51b,51c,51d)には接続配線52(52a,52b,52c,52d)の一端が接続されている。
【0053】
また、切替SW60は、単極双投接点である高周波SPDT61(61a,61b,61c)を3個組み合わせて構成している。各高周波SPDT61は入力側に2つの入力接点62a,62b、出力側に1つの出力接点62cを備えており、図示省略する制御装置を接続して、接続62a−62cと、接続62b−62cとを切替える構成である。
【0054】
そして、高周波SPDT61aの入力接点62aにはアンテナ体51dと接続された接続配線52dの他端が接続され、高周波SPDT61aの入力接点62bにはアンテナ体51cと接続された接続配線52cの他端が接続され、高周波SPDT61bの入力接点62aにはアンテナ体51bと接続された接続配線52bの他端が接続され、高周波SPDT61bの入力接点62bにはアンテナ体51aと接続された接続配線52aの他端が接続されている。
【0055】
また、高周波SPDT61aの出力接点62cは高周波SPDT61cの入力接点62aに接続され、高周波SPDT61bの出力接点62cは高周波SPDT61cの入力接点62bに接続され、高周波SPDT61cの出力接点62cは、ボールベアリング15dによって、回動自在となるように円形板部15bに支持されるとともに、他端が同軸ケーブル42に接続された接続コネクタ15cに接続されている。
【0056】
その他の電磁波測定装置1の構成において、複合化アンテナ50に向かって電磁波を送信する送信アンテナ32が、アンテナ体51が受信する複数種の周波数の電磁波を送信できる送信アンテナであること、そして、電磁波測定箱10がされらの周波数の電磁波に適した大きさ及び電磁波吸収体13で構成していること以外は、上記受信アンテナ31を試験する上記実施例の電磁波測定装置1と同じである。
【0057】
上記構成により、異なる周波数を受信するアンテナ体51を4つ備えた複合化アンテナ50を試験する際において、試験対象であるアンテナ体51に接続された接続配線52の接続コネクタ15cへの配線接続を着脱切替することなく、図示省略する制御装置を操作して切替SW60を切替えることによって、アンテナ体51を測定可能にすることができる。したがって、複数のアンテナ体51を有する複合化アンテナ50を試験する際の配線接続手間を削減でき、複合化アンテナ50を効率よく短時間で試験できる。
【0058】
また、接続配線52の接続コネクタ15cへの一般的な配線の接続切替は、一旦、円形板部15bを取出して接続切替する必要があるが、切替SW60で切替えできるため、効率よく短時間で試験できるとともに、複合化アンテナ50の受信アンテナ設置位置を変えることなく試験でき、再現性のさらに向上した試験を実現することができる。
【0059】
さらに、切替SW60を複合化アンテナ50と接続コネクタ15cとの間に配置したことにより、接続コネクタ15cを介して複合化アンテナ50と同軸ケーブル42とを回動可能に接続でき、アンテナ体51に接続された複数の配線が回動部分を跨ぐ場合と比較して、配線の捩れによる配線自体の導電性等の特性変化に起因する再現性が低下した試験となることを防止している。すなわち、切替SW60を介して複数ある接続配線52が回動部分を跨ぐことなく、同軸ケーブル42に接続できることによって、再現性の高い、安定した試験を実現することができる。
【0060】
なお、上記アンテナ体51が受信する周波数や複合化アンテナ50に備えるアンテナ体51の本数は、上記周波数や本数に限定されるものではなく、例えば、携帯電話用に1.5GHz、1.7GHz又は2.0GHzを受信するアンテナ体51を備えてもよく、また複合化アンテナ50に4本以上あるいは以下のアンテナ体51で構成してもよい。
【0061】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の送信体は、送信アンテナ32に対応し、
以下同様に、
受信体は、受信アンテナ31に対応し、
設置位置は、受信アンテナ設置位置15に対応し、
挿入手段は、円形開口15a及び円形板部15bに対応し、
取付位置は、差込穴15fに対応し、
挿通孔は、円形開口15aに対応し、
嵌合部材は、円形板部15bに対応し、
回動許容部は、接続コネクタ15c及びボールベアリング15dに対応し、
受信部は、アンテナ体51に対応し、
複合受信体は、複合化アンテナ50に対応し、
受信部切替手段は、切替SW60及び高周波SPDT61に対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】電磁波測定装置の斜視図。
【図2】電磁波測定箱の平面断面図。
【図3】測定状態の電磁波測定装置の中央付近の縦断面図。
【図4】受信アンテナの取付状態の電磁波測定装置の中央付近の縦断面図。
【図5】受信アンテナ装着部部分の拡大底面図。
【図6】複合化アンテナ及び切替SWについて概容を説明する説明図。
【符号の説明】
【0063】
1…電磁波測定装置
10…電磁波測定箱
10a…底面
13…電磁波吸収体
15…受信アンテナ設置位置
15a…円形開口
15b…円形板部
15c…接続コネクタ
15d…ボールベアリング
15f…差込穴
31…受信アンテナ
32…送信アンテナ
50…複合化アンテナ
51…アンテナ体
60…切替SW
61…高周波SPDT

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面に電磁波吸収体を備えた電磁波測定箱内部に、所定間隔を隔てて、電磁波を送信する送信体及び送信された電磁波を受信する受信体を設置し、前記受信体で受信した電磁波を測定する電磁波測定装置であって、
上記送信体と上記受信体の少なくとも一方を被試験体とし、
上記被試験体を上記電磁波測定箱内の設置位置まで挿入許容する挿入手段を備え、
該挿入手段を、上記送信体と上記受信体を結ぶ直線に直交する方向へ上記被試験体を挿入許容する構成にした
電磁波測定装置。
【請求項2】
前記挿入手段によって挿入許容する位置を前記電磁波測定箱の底面に構成し、
前記挿入方向を、鉛直上方向とした
請求項1に記載の電磁波測定装置。
【請求項3】
前記挿入手段を、
前記底面に形成した挿通孔と、該挿通孔を通過して前記被試験体を前記設置位置まで移動させる移動体とで構成し、
該移動体に、前記底面に嵌合する嵌合部材を備えた
請求項2に記載の電磁波測定装置。
【請求項4】
前記移動体に、前記被試験体を回動自在にする回動許容部を備えた
請求項3に記載の電磁波測定装置。
【請求項5】
前記回動許容部の回動軸方向を、
前記挿入方向と同方向にしたことを特徴とする
請求項4に記載の電磁波測定装置。
【請求項6】
前記受信体を、前記被試験体とするとともに、
該受信体を、受信する電磁波の周波数が異なる受信部を複数備えた複合受信体で構成し、
前記移動体に、
試験対象となる前記受信部を切替える受信部切替手段を備えた
請求項3、4又は5に記載の電磁波測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−32692(P2008−32692A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−159877(P2007−159877)
【出願日】平成19年6月18日(2007.6.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】