電磁継電器
【課題】 高温加熱後も安定した機密性を確保し、水やコーティング剤、さらには、汚染ガスの電磁継電器内部への侵入を防ぐことが可能な動作障害、接点障害のない電磁継電器を提供すること。
【解決手段】 電気接点部を保持した電磁駆動部と成型樹脂ベースとを備える本体部と、その本体部を覆う成型樹脂カバー21とで構成され、成型樹脂カバー21に内圧調整機構部2を有し、内圧調整機構部2は空気抜き用の貫通穴4と、貫通穴4を覆うばね状に加工されたバイメタルの板からなる蓋部3を備え、貫通穴4は成型樹脂カバー21に形成された成型樹脂カバー21の外側に向かう突出部分に設けられた穴であり、貫通穴4の周辺部に蓋部3の一端を圧入する圧入孔5を有している。蓋部3は貫通穴4を塞ぐ部分に貫通孔4側に突出したエンボス加工部6を有し、蓋部3が貫通穴4の上方から圧入孔5に圧入固着されることで貫通穴4がエンボス加工部6に圧接される。
【解決手段】 電気接点部を保持した電磁駆動部と成型樹脂ベースとを備える本体部と、その本体部を覆う成型樹脂カバー21とで構成され、成型樹脂カバー21に内圧調整機構部2を有し、内圧調整機構部2は空気抜き用の貫通穴4と、貫通穴4を覆うばね状に加工されたバイメタルの板からなる蓋部3を備え、貫通穴4は成型樹脂カバー21に形成された成型樹脂カバー21の外側に向かう突出部分に設けられた穴であり、貫通穴4の周辺部に蓋部3の一端を圧入する圧入孔5を有している。蓋部3は貫通穴4を塞ぐ部分に貫通孔4側に突出したエンボス加工部6を有し、蓋部3が貫通穴4の上方から圧入孔5に圧入固着されることで貫通穴4がエンボス加工部6に圧接される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁継電器に関し、特に基板実装時の加熱処理工程による障害を防ぐことができる車載用途の電装部品として好適な電磁継電器に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁駆動による電気接点の開閉機能を有し、車載用に多用されている電磁継電器は、電気接点、電磁駆動部及びそれらを搭載する成型樹脂ベースからなる本体部が成型樹脂カバーで覆われ、その信頼性を確保するため一般的に熱硬化性の封止用樹脂などで気密封止されている。このように電磁継電器が外部から完全密封されている場合、電磁継電器内部の気体の逃げ道を閉ざしている状態にあり、電磁継電器の端子を回路基板に半田付けする場合などのリフロー加熱工程では熱ストレスによって、特に熱膨張係数の異なる金属と樹脂との界面、あるいは、成型樹脂と封止用樹脂との接着部において、気密破壊が起こり易い。気密破壊を起こした電磁継電器は、外部から水、溶剤等の侵入を許し、動作障害、接点接触障害を引き起こす原因となっていた。
【0003】
図10は、従来の一般的な電磁継電器の分解斜視図、図11は図10に示した電磁継電器の成型樹脂カバーの貫通穴の構造を説明する縦断面図であり、図11(a)はアンシール(非封止)タイプの貫通穴構造、図11(b)はシール(封止)タイプの貫通穴構造を示す。図10において、電気接点部と電磁駆動部13が成型樹脂ベース12に搭載されて本体部を構成し、その本体部全体が成型された成型樹脂カバー1で覆われている。また、成型樹脂ベース12と挿入された端子などとの隙間および本体部と成型樹脂カバー1との間隙は封止用樹脂14で封止されている。
【0004】
図10および図11に示すように、従来の電磁継電器は成型によって成型樹脂カバー1の天面の外側に向かう突出部分に貫通穴4を設けている。従来は貫通状態のままの貫通穴4aを有するアンシールタイプの電磁継電器と、この貫通穴4の部分を熱かしめにて溶融し塞いだ貫通穴4bを有し内部を密封したシールタイプの電磁継電器の2種類の形態の電磁継電器を提供していた。
【0005】
従来、リフロー加熱工程での熱ストレスを想定した場合は、主に前者のアンシールタイプの電磁継電器を用いていた。一般的に成型樹脂カバー1はシールタイプの電磁継電器にも共通して使用されるため、その天面の貫通穴4は、成型性及び熱かしめの作業性を考慮して要求される形状および穴径の条件を満たさなければならず、このため一定の大きさの開口部が必要となる。そこで電磁継電器外部からこの開口部を通してあらゆる汚染成分が侵入し易い状態にある。特に車載用途としては、リフロー加熱工程によって電磁継電器がプリント基板に搭載された後、そのプリント基板全面にコーティング剤を塗布する場合がある。このとき、望ましくは貫通穴4への塗布を避ける必要があるが、仮に貫通穴4にコーティング剤が塗布された場合、コーティング剤が電磁継電器内部へ侵入する可能性があり、動作障害、接点接触障害の直接原因となる。さらには、半田接続の際のフラックスの残渣を除去するため、搭載された電磁継電器はプリント基板と共に浸漬して丸洗いされる場合があり、このような工程はアンシールタイプの電磁継電器には適用できない。このように電磁継電器が封止されていないアンシールタイプの電磁継電器は、著しく高いリスクを持ち、その使用方法において大きな制限を受けることとなる。
【0006】
一方、従来の封止タイプの電磁継電器では、リフロー加熱工程での熱ストレスによっても気密破壊が生じないように封止構造を強固にすることが行なわれている。例えば図10において、封止用樹脂14をより耐熱性が高く、かつ成型樹脂カバー1や成型樹脂ベース12とより強固な接着特性を持つ封止用樹脂に変更し、気密性を上げる方法がある。
【0007】
また、特許文献1には、成型樹脂カバー内壁に補強リブを設け、かつ、その補強リブの嵌合部を封止用樹脂が流入し易い構造とすることで接合強度を上昇せしめ、高温時の膨張破壊に対する限界点を引き上げる技術が示されており、特許文献2では微小な多孔質の空気孔部を有するフィルターを成型樹脂ベースなどの一部に設置することで、高温時の膨張破壊を防止する技術が示されている。
【0008】
【特許文献1】特開2002−367498号公報
【特許文献2】特開平5−242784号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
実際に行なわれているリフロー加熱工程の条件は多岐にわたるので、前述のような封止用樹脂の耐熱性や接着強度を強くする技術だけでは、それら全てに対し、その気密特性を保持することはできない。高温によって電磁継電器内部が高圧となり、過度の熱膨張により気密破壊を起こす限界点が存在するからである。多岐にわたるリフロー加熱条件では、その気密破壊を起こす限界点を超えている場合が想定しうる。さらには、封止用樹脂は塗布条件や熱硬化条件、あるいは、周囲温度、湿度等の外部条件によって変化を受けやすいため、その接着特性は変化しやすく、製造工程ではその接着強度を完全に一定に保つ制御は困難である。また、気密破壊の限界はその接着封止部分の一番弱い部分で決定される。このような様々な要因によって結果的に気密破壊を起こす限界点が製品によって変動することになる。
【0010】
例えば、特許文献1のように成型樹脂カバー内壁に補強リブを設け、かつ、封止用樹脂の流入を促進させる技術は、成型樹脂カバー自体は、より剛直な構造によって膨張破壊に対する限界点は上昇するが、その他の接合部、例えば、封止用樹脂と金属端子界面等へストレスが集中することとなる。
【0011】
一方、特許文献2に示される多孔質のフィルターを適用する技術では、一般的にフィルター自体の耐熱限界が成型樹脂ベースより低い場合が想定され、例えば、鉛レス半田条件等のより厳しいリフロー加熱条件では、安定した多孔質状態を維持することができない場合がある。また、成型樹脂ベースへのフィルターの固定構造や固定工法など技術的な課題も多く、現状ではその適用は容易ではなく、生産性においても問題がある。
【0012】
従って、本発明の課題は、前記の問題点に鑑みて、高温加熱工程後も安定した気密性を確保し、水やコーティング剤、さらには、汚染ガスの電磁継電器内部への侵入を防ぐことが可能な、動作障害、接点障害のない電磁継電器を提供することにある。
【0013】
上記課題の解決により、リフロー加熱工程による基板搭載後の洗浄やコーティング剤塗布を可能とし、さらには、リフロー加熱工程後でも一般的に接点に影響を及ぼし接点障害を招く可能性があるガス雰囲気中においても安定に動作可能な電磁継電器が得られる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明による電磁継電器は、電気接点部と電磁駆動部と成型樹脂ベースとを備える本体部と、該本体部を覆う成型樹脂カバーとで構成され、成型樹脂カバーと前記成型樹脂ベースとの間隙および前記成型樹脂ベースと前記電気接点部または前記電磁駆動部の一部を構成する端子との間の間隙が封止用樹脂により封止されてなる電磁継電器において、前記成型樹脂カバーに内圧調整機構部を設け、該内圧調整機構部は空気抜き用の貫通穴と、該貫通穴を覆うばね状に加工されたバイメタルの板からなる蓋部を備え、前記貫通穴は前記蓋部に圧接され塞がれる。
【0015】
また、前記貫通穴は前記成型樹脂カバーに形成された前記成型樹脂カバーの外側に向かう突出部分に設けられた穴であり、該貫通穴の周辺部に前記蓋部の一端を圧入する圧入孔を有し、前記蓋部は前記貫通穴を塞ぐ部分に該貫通穴側に突出したエンボス加工部を有し、前記蓋部が前記貫通穴上方から前記圧入孔に圧入固着されることで前記貫通穴が前記エンボス加工部に圧接されてもよい。
【0016】
また、前記貫通穴は前記成型樹脂カバーに形成された前記成型樹脂カバーの外側に向かう突出部分に設けられた穴であり、前記貫通穴の周辺部に前記蓋部の一端をレーザー溶接するための金属板が前記成型樹脂カバーに一体として成型されて埋め込まれ、前記蓋部は前記貫通穴を塞ぐ部分に該貫通穴側に突出したエンボス加工部を有し、前記蓋部を前記貫通穴上方から挿入し前記金属板へレーザー溶接することで、前記貫通穴が前記エンボス加工部に圧接されてもよい。さらに、前記蓋部は中央部をくり抜いたバイメタルの板をU字状に折り曲げて形成されていてもよい。
【0017】
上述のように本発明の電磁継電器は内圧を調整する機構を有する。すなわち、高温加熱時は、内圧の上昇を防ぐように通気を確保し、接着界面や成型樹脂の膨張破壊を防ぐ。常温へ戻った時は、再び、気密を保つことで、耐水性を維持し、コーティング剤の侵入や、さらに電磁継電器外部からのガスの侵入を防ぐこともでき、動作障害や接点障害を避けられる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によれば、高温加熱工程後も安定した気密を確保し、水やコーティング剤、さらには、汚染ガスの電磁継電器内部への侵入を防ぐことが可能な、動作障害のない電磁継電器が得られる。
【0019】
さらに具体的には、リフロー加熱工程による基板搭載後の洗浄やコーティング剤塗布を可能とし、さらには、リフロー加熱工程後でも一般的に接点に影響を及ぼし接点障害を招く可能性があるガス雰囲気中においても安定に動作可能な電磁継電器が得られる。
【0020】
なお、貫通穴を塞ぐ蓋部の材料として一般的な金属板のばねを用いた場合は、高温加熱時は電磁継電器の内圧上昇により該金属板が押し上げられ、当該温度に相当する自由膨張分の空気が電磁継電器外部へ流出することで、外気圧と等しくなり、その後、前記金属板のばねの弾性力により、再び貫通穴が圧接されることで気密を保持する機構となる。この場合、高温状態でも膨張空気を放出後すぐに密封されるので、温度が降下する際は、気密を保ったままの電磁継電器は、内圧と外圧の差が加熱時とちょうど逆のストレスを受けることとなり、この時も気密破壊を引き起こす原因となる。貫通穴を塞ぐ部分に本発明のようにバイメタルの板を用いると、電磁継電器内部の気密を温度で制御する機構となり、前述の温度降下時のストレスを回避することができる。
【0021】
また、本発明は、バイメタルの板による蓋部と従来の貫通穴に類似した貫通穴を有する成型樹脂カバーとの組合せにより形成される内圧調整機構を利用するものであり、本発明に使用する成型樹脂カバーは、アンシールタイプの電磁継電器にも共通して使用でき、本発明を用いずに熱かしめにて貫通穴を溶融することで従来のシールタイプの電磁継電器も得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明による電磁継電器の実施例を説明する。
【実施例1】
【0023】
図1は本発明による電磁継電器の第1の実施例を説明するための図であり、図1(a)は本実施例に使用する成型樹脂カバー21の全体の分解斜視図、図1(b)はその成型樹脂カバー21に形成された内圧調整機構部2の分解斜視図、図1(c)は内圧調整機構部2の断面図を示す。
【0024】
本実施例の電磁継電器は、成型樹脂カバー21に設けた内圧調整機構部2以外の基本的な構造は図10に示した従来の電磁継電器と同じであり、電気接点部を保持した電磁駆動部13と成型樹脂ベース12とを備える本体部と、その本体部を覆う成型樹脂カバー21とで構成され、成型樹脂ベース12と前記電気接点部または電磁駆動部13の一部を構成する端子との間の間隙および本体部と成型樹脂カバー21との間隙が封止用樹脂14により封止されている。
【0025】
本実施例においては、図1に示すように、成型樹脂カバー21に内圧調整機構部2を有し、内圧調整機構部2は空気抜き用の貫通穴4と、貫通穴4を覆うばね状に加工されたバイメタルの板からなる蓋部3を備え、貫通穴4は蓋部3が圧接され塞がれる。また、貫通穴4は成型樹脂カバー21に形成された成型樹脂カバー21の外側に向かう突出部分に設けられた穴であり、貫通穴4の周辺部に蓋部3の一端を圧入する圧入孔5を有している。蓋部3は貫通穴4を塞ぐ部分に貫通穴4側に突出したエンボス加工部6を有し、蓋部3が貫通穴4の上方から圧入孔5に圧入固着されることで貫通穴4がエンボス加工部6に圧接される。
【0026】
図2は本実施例に使用する蓋部3の構成の一例を示す図であり、図2(a)は、本実施例に使用する曲げ加工前の蓋部3の平面図、図2(b)は曲げ加工後の蓋部3の斜視図、図2(c)は図2(b)のA−A断面図を示す。図2(a)に示すように、蓋部3は略長方形のバイメタルの板の中央部をくり抜いて開口部8を形成し、それを図2(b)に示すようにU字状に上に折り曲げて形成されている。開口部8の内側に貫通穴4が挿入され、上に折り曲げられた部分に形成されたエンボス加工部6の下面凸部で塞がれる。
【0027】
図2(a)、図2(b)に示されるように、蓋部3の一端には圧入孔5に挿入される圧入部7を有し、圧入部7は、圧入孔5(図1)に圧入するために直角に下に曲げ加工され、圧入部7の先端には、圧入孔5との圧入強度を保つために返し部71を備えている。圧入孔5への圧入時は、開口部8と圧入部7の間の部分を上方から押さえ込み挿入する組付け方法を取ることで押込み時に均一な加圧を実現でき、さらにこの部分は、圧入時の蓋部3のねじれ、破損を防止する役目を果たす。
【0028】
図1(c)は、蓋部3が貫通穴4を閉塞している状態を示している。蓋部3を成型樹脂カバー21へ圧入固着することで貫通穴4を覆い、かつ貫通穴4がエンボス加工部6に圧接されて気密を保つ。
【0029】
本実施例において、貫通穴4を塞ぐ蓋部3は、図2(c)に示すようにU字型の内側に高膨張側金属9、外側に低膨張側金属10となるように配したバイメタルの板を用いる。蓋部3は温度が上昇すると熱膨張率の差により全体が一様な曲率で湾曲し、その結果としてU字型の先が開くように動作する。リフロー加熱工程時に加わる最高温度が250〜300℃であるため、バイメタルに用いる材質はこの温度に耐えうる材質を用いる。例えば、低膨張側金属にFe−Ni、高膨張側金属には、Ni、Fe−Ni−Mn、Fe−Ni−Crといった金属の組合せがある。ここで、蓋部3が所定の温度で貫通穴4との圧接を開放し、気密を開放させるべく、そのときの温度でU字型の先が開くように変位する変位量をDFとすると、蓋部3は、上に折り曲げられた部分が下の部分と平行になる位置よりさらに内側にその変位量DFと等しい撓み量DP分をフォロー分として曲げておく。
【0030】
図3は、内圧調整機構の動作原理を示す断面図であり、図3(a)は貫通穴4の閉塞時、図3(b)は開放時を示す。常温時においては、図3(a)に示すようにエンボス加工部6は貫通穴4を塞ぐ形で圧接しており、撓み量DP分に相当する弾性荷重がフォロー分として貫通穴4にかかるように蓋部3のU字に曲げられた上の部分が下の部分と平行になるように圧着されており、その荷重F1(N)は撓み量DPとバイメタルの材質のヤング率によって決定される。電磁継電器がリフロー工程などで加熱された場合、蓋部3はU字の先端が開くように変位する。この変位量DFが撓み量DPと等しくなる温度をT1(℃)とすると、温度T1(℃)のとき上記荷重F1(N)は0となり、エンボス加工部6は圧接していた貫通穴4から離れはじめ、さらに温度T1(℃)を上回れば図3(b)に示すように貫通穴4が完全に開放されることとなる。再び温度が下がると、エンボス加工部6は貫通穴4を覆う方向に変位し、前述の温度T1(℃)を下回った瞬間に貫通穴4に圧接され、当初の気密を保つ。
【0031】
図4に、一端を固定したU字型の蓋部3の基本構造を示す。加熱した場合、高膨張側金属を内側としたU字型のバイメタルは温度の上昇に比例して湾曲し、U字型の先が開くように変位する。バイメタルの板の厚さh(mm)、幅b(mm)、U字の下側の部分、上側の部分の長さをそれぞれl1、l2、U字の曲げ半径をrとすると、作動長LはL=l1+l2+πr(mm)となり、湾曲係数をK(/℃)、弾性係数をE(N/mm2)とし、常温を23(℃)とした時、このU字型のバイメタルの温度T(℃)での変位量DF(mm)は、式(1)となる。
【0032】
DF=K(T−23)(l22−l12+4r2+2l1l2+2πrl2)/h・・・・(1)
【0033】
本実施例の蓋部3は、変位量DF(mm)を式(1)から求めることができる。温度T1(℃)以上で蓋部3が貫通穴4を開放するためには、温度T1の変位量DF(mm)と、常温時の撓み量DP(mm)が等しくなるように、蓋部3の曲げ加工を調整すればよい。
【0034】
図5は、貫通穴4がエンボス加工部6によって圧接されている時の力の関係を示す断面図である。貫通穴4の閉塞時には、温度の上昇に応じて電磁継電器に密封された空気の膨張による内圧により貫通穴4から蓋部3を押し上げる方向のF2(N)の力がかかる。貫通穴4にかかるバイメタルの押付け力F(N)は、撓み量DP(mm)によって発生する弾性荷重F1(N)と、上記のF1とは逆方向の内圧上昇による力F2(N)に分離でき、F=F1−F2の関係となる。
【0035】
荷重F1(N)は、電磁継電器の温度T(℃)が上昇にするに従って減少していく。このとき、温度T≦T1(℃)の時には、荷重F1(N)は式(2)となる。
【0036】
F1=(DP−DF)Ebh3/2{(l1−l2)3+2l23+3rl2(4r+πl2)+(2πr3/3)}
={K(T1−T)(l22−l12+4r2+2l1l2+2πrl2)/h}Ebh3/2{(l1−l2)3+2l23+3rl2(4r+πl2)+(2πr3/3)}
=KEbh2(T1−T)(l22−l12+4r2+2l1l2+2πrl2)
/2{(l1−l2)3+2l23+3rl2(4r+πl2)+(2πr3/3)}・・・(2)
【0037】
一方、温度T>T1(℃)になると変移量DF>撓み量DPとなるため、F1は貫通穴4を塞ぐ方向と逆方向の力になる。
【0038】
貫通穴4が閉塞時の温度T(℃)での単位面積あたりの電磁継電器の内圧P(N/m2)は、常温を23(℃)とすると式(3)となる。
【0039】
P=101325・(273+T)/(273+23)・・・(3)
【0040】
この時、貫通穴4の断面積をS(m2)とすると、F2(N)は、式(4)となる。
【0041】
F2=101325・S{(273+T)/(273+23)−1}・・・(4)
【0042】
F2(N)は、電磁継電器の温度T(℃)が上昇にするに従って増加していき、温度T≦T1(℃)の範囲では、貫通穴4にかかる蓋部3の押付け力Fに影響する。さらに温度が上昇し、温度T>T1(℃)では、F1<0(N)、また電磁継電器の気密が失われるためF2=0(N)となり、全体の力Fが貫通穴4を塞ぐ方向に力を与えなくなることで、エンボス加工部6による密封状態は消失する。
【0043】
図6に、式(2)および式(4)から求めた、温度T(℃)と貫通穴4に加わる撓みによる荷重F1および内圧上昇による力F2、およびエンボス加工部6の押し付け力Fの関係を示す。この時、バイメタルの寸法は、図4において、h=0.1(mm)、b=0.3×2(mm)、l1=1.1(mm)、l2=0.65(mm)、r=0.1(mm)、湾曲係数K=11.8(×10-6/℃)、弾性係数E=166.7(×103N/mm2)、貫通穴4の開放温度T1=150℃、および貫通穴4はφ0.4(mm)とする。貫通穴4にかかるエンボス加工部6の押付け力Fは、図6に示したような関係を有しており、設定した開放温度で電磁継電器の通気を確保すべく制御するパラメーターは撓み量DPである。
【0044】
一方、エンボス加工部6に力F(N)が加わっている場合、蓋部3には内部応力σ(N/mm2)が発生する。蓋部3に再現性を持たせるためには、蓋部3に発生する内部応力を、常に使用しているバイメタルの材質の内部応力の許容値以下にする必要がある。図4のU字型構造の蓋部3の内部応力σは、式(5)となる。
σ=F{l2/r+6(r+l2)/h}/bh・・・(5)
【0045】
図7に、式(5)から求められた温度T(℃)と応力σ(N/mm2)の関係を示す。この時のバイメタルの寸法などは、図6と場合と同一条件とし、材質は、Fe−Ni−MnとFe−Niの接合材を例とした。この場合、内部応力σは、図中の温度範囲内では、常に許容応力内であるため、蓋部3は安定した再現性を示す。
【実施例2】
【0046】
図8は、本発明による電磁継電器の第2の実施例を説明するための図であり、図8(a)は本実施例を構成する成型樹脂カバー31に形成された内圧調整機構部42の分解斜視図、図8(b)は内圧調整機構部42の断面図を示す。
【0047】
本実施例の電磁継電器は、成型樹脂カバー31に設けた内圧調整機構部42以外の構成は実施例1と同じであり、さらに内圧調整機構部42の基本的な動作原理も実施例1と同じである。但し、本実施例においては、貫通穴4の周辺部に蓋部53の一端をレーザー溶接するための金属板11が成型樹脂カバー31に一体として成型されて埋め込まれ、蓋部53は貫通穴4を塞ぐ部分に貫通穴4側に突出したエンボス加工部6を有し、蓋部53を貫通穴4の上方から挿入しその一端を金属板11へレーザー溶接することで、貫通穴4がエンボス加工部6に圧接される。
【0048】
図9は、本実施例に使用する蓋部53の構成の一例を示す図であり、図9(a)は、本実施例に使用する曲げ加工前の蓋部53の平面図、図9(b)は曲げ加工後の蓋部53の斜視図、図9(c)は図9(b)のA−A断面図を示す。図9(a)に示すように、蓋部53は実施例1の蓋部3と同様に略長方形のバイメタルの板の中央部をくり抜いて開口部8を形成し、それを図9(b)に示すようにU字状に上に折り曲げて形成されている。開口部8の内側に貫通穴4が挿入され、上に折り曲げられた部分に形成されたエンボス加工部6で塞がれる。
【0049】
本実施例において、蓋部53は、図9に示すように図2のバイメタルの曲げ加工された圧入部7を省いた形状であり、蓋部3と同様に、あらかじめ撓み量DP分だけ内側に曲げ加工された形状とし、材質やその動作特性は、蓋部3と同じである。
【0050】
本実施例では、実施例1と同じ機能、同じ動作原理を有する内圧調整機構部42が得られ、組付け時は、レーザー溶接を用いることで、さらに蓋部53の位置決め精度が高くなる。
【0051】
以上のように、本発明により、高温加熱工程後も安定した気密性を確保し、水やコーティング材、さらには、汚染ガスの電磁継電器内部への侵入を防ぐことが可能な、動作障害、接点障害のない電磁継電器が得られる。
【0052】
本発明に用いる内圧調整機構部の構造および設置位置は上述の実施例に限定されるものではないことはいうまでもない。貫通穴、蓋部、圧入孔、金属板などの形状、材質は本発明の動作原理を達成できるものであればよく、様々な変更が可能である。たとえば蓋部の形状は室温時に貫通穴にばねによる弾性力が加わる構造であればよく、U字型形状以外にもL字型、V字型、S字型なども可能である。
【0053】
本発明の電磁継電器を用いることにより、主に自動車部品や電装部品の信頼性を高めることが可能となる。さらに、その他産業分野では、計測器用途の電磁継電器に用いることで、接点接触信頼性を高めることも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明による電磁継電器の第1の実施例を説明するための図、図1(a)は成型樹脂カバーの全体の分解斜視図、図1(b)は成型樹脂カバーに形成された内圧調整機構部の分解斜視図、図1(c)は内圧調整機構部の断面図。
【図2】第1の実施例における蓋部の構造を説明するための図、図2(a)は、曲げ加工前の蓋部の平面図、図2(b)は曲げ加工後の蓋部の斜視図、図2(c)は図2(b)のA−A断面図。
【図3】第1の実施例の内圧調整機構部の動作原理を示す断面図。図3(a)は貫通穴の閉塞時、図3(b)は開放時を示す図。
【図4】一端を固定したU字型の蓋部の基本構造を示す図。
【図5】貫通穴がエンボス加工部によって圧接されている時の力の関係を示す断面図。
【図6】温度Tと貫通穴に加わる撓みによる荷重F1および内圧上昇による力F2、およびエンボス加工部の押し付け力Fの関係を示す図。
【図7】温度Tとバイメタルに加わる応力σの関係を示す図。
【図8】本発明による電磁継電器の第2の実施例を説明するための図、図8(a)は成型樹脂カバーに形成された内圧調整機構部の分解斜視図、図8(b)は内圧調整機構部の断面図。
【図9】第2の実施例に使用する蓋部の構成の一例を示す図、図9(a)は曲げ加工前の蓋部の平面図、図9(b)は曲げ加工後の蓋部の斜視図、図9(c)は図9(b)のA−A断面図。
【図10】従来の一般的な電磁継電器の分解斜視図。
【図11】従来の成型樹脂カバーの貫通穴部の構造を示す縦断面図、図11(a)はアンシール(非封止)タイプの貫通穴構造、図11(b)はシール(封止)タイプの貫通穴構造を示す図。
【符号の説明】
【0055】
1,21,31 成型樹脂カバー
2,42 内圧調整機構部
3,53 蓋部
4 貫通穴
5 圧入孔
6 エンボス加工部
7 圧入部
71 返し部
8 開口部
9 高膨張側金属
10 低膨張側金属
11 金属板
12 成型樹脂ベース
13 電磁駆動部
14 封止用樹脂
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁継電器に関し、特に基板実装時の加熱処理工程による障害を防ぐことができる車載用途の電装部品として好適な電磁継電器に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁駆動による電気接点の開閉機能を有し、車載用に多用されている電磁継電器は、電気接点、電磁駆動部及びそれらを搭載する成型樹脂ベースからなる本体部が成型樹脂カバーで覆われ、その信頼性を確保するため一般的に熱硬化性の封止用樹脂などで気密封止されている。このように電磁継電器が外部から完全密封されている場合、電磁継電器内部の気体の逃げ道を閉ざしている状態にあり、電磁継電器の端子を回路基板に半田付けする場合などのリフロー加熱工程では熱ストレスによって、特に熱膨張係数の異なる金属と樹脂との界面、あるいは、成型樹脂と封止用樹脂との接着部において、気密破壊が起こり易い。気密破壊を起こした電磁継電器は、外部から水、溶剤等の侵入を許し、動作障害、接点接触障害を引き起こす原因となっていた。
【0003】
図10は、従来の一般的な電磁継電器の分解斜視図、図11は図10に示した電磁継電器の成型樹脂カバーの貫通穴の構造を説明する縦断面図であり、図11(a)はアンシール(非封止)タイプの貫通穴構造、図11(b)はシール(封止)タイプの貫通穴構造を示す。図10において、電気接点部と電磁駆動部13が成型樹脂ベース12に搭載されて本体部を構成し、その本体部全体が成型された成型樹脂カバー1で覆われている。また、成型樹脂ベース12と挿入された端子などとの隙間および本体部と成型樹脂カバー1との間隙は封止用樹脂14で封止されている。
【0004】
図10および図11に示すように、従来の電磁継電器は成型によって成型樹脂カバー1の天面の外側に向かう突出部分に貫通穴4を設けている。従来は貫通状態のままの貫通穴4aを有するアンシールタイプの電磁継電器と、この貫通穴4の部分を熱かしめにて溶融し塞いだ貫通穴4bを有し内部を密封したシールタイプの電磁継電器の2種類の形態の電磁継電器を提供していた。
【0005】
従来、リフロー加熱工程での熱ストレスを想定した場合は、主に前者のアンシールタイプの電磁継電器を用いていた。一般的に成型樹脂カバー1はシールタイプの電磁継電器にも共通して使用されるため、その天面の貫通穴4は、成型性及び熱かしめの作業性を考慮して要求される形状および穴径の条件を満たさなければならず、このため一定の大きさの開口部が必要となる。そこで電磁継電器外部からこの開口部を通してあらゆる汚染成分が侵入し易い状態にある。特に車載用途としては、リフロー加熱工程によって電磁継電器がプリント基板に搭載された後、そのプリント基板全面にコーティング剤を塗布する場合がある。このとき、望ましくは貫通穴4への塗布を避ける必要があるが、仮に貫通穴4にコーティング剤が塗布された場合、コーティング剤が電磁継電器内部へ侵入する可能性があり、動作障害、接点接触障害の直接原因となる。さらには、半田接続の際のフラックスの残渣を除去するため、搭載された電磁継電器はプリント基板と共に浸漬して丸洗いされる場合があり、このような工程はアンシールタイプの電磁継電器には適用できない。このように電磁継電器が封止されていないアンシールタイプの電磁継電器は、著しく高いリスクを持ち、その使用方法において大きな制限を受けることとなる。
【0006】
一方、従来の封止タイプの電磁継電器では、リフロー加熱工程での熱ストレスによっても気密破壊が生じないように封止構造を強固にすることが行なわれている。例えば図10において、封止用樹脂14をより耐熱性が高く、かつ成型樹脂カバー1や成型樹脂ベース12とより強固な接着特性を持つ封止用樹脂に変更し、気密性を上げる方法がある。
【0007】
また、特許文献1には、成型樹脂カバー内壁に補強リブを設け、かつ、その補強リブの嵌合部を封止用樹脂が流入し易い構造とすることで接合強度を上昇せしめ、高温時の膨張破壊に対する限界点を引き上げる技術が示されており、特許文献2では微小な多孔質の空気孔部を有するフィルターを成型樹脂ベースなどの一部に設置することで、高温時の膨張破壊を防止する技術が示されている。
【0008】
【特許文献1】特開2002−367498号公報
【特許文献2】特開平5−242784号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
実際に行なわれているリフロー加熱工程の条件は多岐にわたるので、前述のような封止用樹脂の耐熱性や接着強度を強くする技術だけでは、それら全てに対し、その気密特性を保持することはできない。高温によって電磁継電器内部が高圧となり、過度の熱膨張により気密破壊を起こす限界点が存在するからである。多岐にわたるリフロー加熱条件では、その気密破壊を起こす限界点を超えている場合が想定しうる。さらには、封止用樹脂は塗布条件や熱硬化条件、あるいは、周囲温度、湿度等の外部条件によって変化を受けやすいため、その接着特性は変化しやすく、製造工程ではその接着強度を完全に一定に保つ制御は困難である。また、気密破壊の限界はその接着封止部分の一番弱い部分で決定される。このような様々な要因によって結果的に気密破壊を起こす限界点が製品によって変動することになる。
【0010】
例えば、特許文献1のように成型樹脂カバー内壁に補強リブを設け、かつ、封止用樹脂の流入を促進させる技術は、成型樹脂カバー自体は、より剛直な構造によって膨張破壊に対する限界点は上昇するが、その他の接合部、例えば、封止用樹脂と金属端子界面等へストレスが集中することとなる。
【0011】
一方、特許文献2に示される多孔質のフィルターを適用する技術では、一般的にフィルター自体の耐熱限界が成型樹脂ベースより低い場合が想定され、例えば、鉛レス半田条件等のより厳しいリフロー加熱条件では、安定した多孔質状態を維持することができない場合がある。また、成型樹脂ベースへのフィルターの固定構造や固定工法など技術的な課題も多く、現状ではその適用は容易ではなく、生産性においても問題がある。
【0012】
従って、本発明の課題は、前記の問題点に鑑みて、高温加熱工程後も安定した気密性を確保し、水やコーティング剤、さらには、汚染ガスの電磁継電器内部への侵入を防ぐことが可能な、動作障害、接点障害のない電磁継電器を提供することにある。
【0013】
上記課題の解決により、リフロー加熱工程による基板搭載後の洗浄やコーティング剤塗布を可能とし、さらには、リフロー加熱工程後でも一般的に接点に影響を及ぼし接点障害を招く可能性があるガス雰囲気中においても安定に動作可能な電磁継電器が得られる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明による電磁継電器は、電気接点部と電磁駆動部と成型樹脂ベースとを備える本体部と、該本体部を覆う成型樹脂カバーとで構成され、成型樹脂カバーと前記成型樹脂ベースとの間隙および前記成型樹脂ベースと前記電気接点部または前記電磁駆動部の一部を構成する端子との間の間隙が封止用樹脂により封止されてなる電磁継電器において、前記成型樹脂カバーに内圧調整機構部を設け、該内圧調整機構部は空気抜き用の貫通穴と、該貫通穴を覆うばね状に加工されたバイメタルの板からなる蓋部を備え、前記貫通穴は前記蓋部に圧接され塞がれる。
【0015】
また、前記貫通穴は前記成型樹脂カバーに形成された前記成型樹脂カバーの外側に向かう突出部分に設けられた穴であり、該貫通穴の周辺部に前記蓋部の一端を圧入する圧入孔を有し、前記蓋部は前記貫通穴を塞ぐ部分に該貫通穴側に突出したエンボス加工部を有し、前記蓋部が前記貫通穴上方から前記圧入孔に圧入固着されることで前記貫通穴が前記エンボス加工部に圧接されてもよい。
【0016】
また、前記貫通穴は前記成型樹脂カバーに形成された前記成型樹脂カバーの外側に向かう突出部分に設けられた穴であり、前記貫通穴の周辺部に前記蓋部の一端をレーザー溶接するための金属板が前記成型樹脂カバーに一体として成型されて埋め込まれ、前記蓋部は前記貫通穴を塞ぐ部分に該貫通穴側に突出したエンボス加工部を有し、前記蓋部を前記貫通穴上方から挿入し前記金属板へレーザー溶接することで、前記貫通穴が前記エンボス加工部に圧接されてもよい。さらに、前記蓋部は中央部をくり抜いたバイメタルの板をU字状に折り曲げて形成されていてもよい。
【0017】
上述のように本発明の電磁継電器は内圧を調整する機構を有する。すなわち、高温加熱時は、内圧の上昇を防ぐように通気を確保し、接着界面や成型樹脂の膨張破壊を防ぐ。常温へ戻った時は、再び、気密を保つことで、耐水性を維持し、コーティング剤の侵入や、さらに電磁継電器外部からのガスの侵入を防ぐこともでき、動作障害や接点障害を避けられる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によれば、高温加熱工程後も安定した気密を確保し、水やコーティング剤、さらには、汚染ガスの電磁継電器内部への侵入を防ぐことが可能な、動作障害のない電磁継電器が得られる。
【0019】
さらに具体的には、リフロー加熱工程による基板搭載後の洗浄やコーティング剤塗布を可能とし、さらには、リフロー加熱工程後でも一般的に接点に影響を及ぼし接点障害を招く可能性があるガス雰囲気中においても安定に動作可能な電磁継電器が得られる。
【0020】
なお、貫通穴を塞ぐ蓋部の材料として一般的な金属板のばねを用いた場合は、高温加熱時は電磁継電器の内圧上昇により該金属板が押し上げられ、当該温度に相当する自由膨張分の空気が電磁継電器外部へ流出することで、外気圧と等しくなり、その後、前記金属板のばねの弾性力により、再び貫通穴が圧接されることで気密を保持する機構となる。この場合、高温状態でも膨張空気を放出後すぐに密封されるので、温度が降下する際は、気密を保ったままの電磁継電器は、内圧と外圧の差が加熱時とちょうど逆のストレスを受けることとなり、この時も気密破壊を引き起こす原因となる。貫通穴を塞ぐ部分に本発明のようにバイメタルの板を用いると、電磁継電器内部の気密を温度で制御する機構となり、前述の温度降下時のストレスを回避することができる。
【0021】
また、本発明は、バイメタルの板による蓋部と従来の貫通穴に類似した貫通穴を有する成型樹脂カバーとの組合せにより形成される内圧調整機構を利用するものであり、本発明に使用する成型樹脂カバーは、アンシールタイプの電磁継電器にも共通して使用でき、本発明を用いずに熱かしめにて貫通穴を溶融することで従来のシールタイプの電磁継電器も得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明による電磁継電器の実施例を説明する。
【実施例1】
【0023】
図1は本発明による電磁継電器の第1の実施例を説明するための図であり、図1(a)は本実施例に使用する成型樹脂カバー21の全体の分解斜視図、図1(b)はその成型樹脂カバー21に形成された内圧調整機構部2の分解斜視図、図1(c)は内圧調整機構部2の断面図を示す。
【0024】
本実施例の電磁継電器は、成型樹脂カバー21に設けた内圧調整機構部2以外の基本的な構造は図10に示した従来の電磁継電器と同じであり、電気接点部を保持した電磁駆動部13と成型樹脂ベース12とを備える本体部と、その本体部を覆う成型樹脂カバー21とで構成され、成型樹脂ベース12と前記電気接点部または電磁駆動部13の一部を構成する端子との間の間隙および本体部と成型樹脂カバー21との間隙が封止用樹脂14により封止されている。
【0025】
本実施例においては、図1に示すように、成型樹脂カバー21に内圧調整機構部2を有し、内圧調整機構部2は空気抜き用の貫通穴4と、貫通穴4を覆うばね状に加工されたバイメタルの板からなる蓋部3を備え、貫通穴4は蓋部3が圧接され塞がれる。また、貫通穴4は成型樹脂カバー21に形成された成型樹脂カバー21の外側に向かう突出部分に設けられた穴であり、貫通穴4の周辺部に蓋部3の一端を圧入する圧入孔5を有している。蓋部3は貫通穴4を塞ぐ部分に貫通穴4側に突出したエンボス加工部6を有し、蓋部3が貫通穴4の上方から圧入孔5に圧入固着されることで貫通穴4がエンボス加工部6に圧接される。
【0026】
図2は本実施例に使用する蓋部3の構成の一例を示す図であり、図2(a)は、本実施例に使用する曲げ加工前の蓋部3の平面図、図2(b)は曲げ加工後の蓋部3の斜視図、図2(c)は図2(b)のA−A断面図を示す。図2(a)に示すように、蓋部3は略長方形のバイメタルの板の中央部をくり抜いて開口部8を形成し、それを図2(b)に示すようにU字状に上に折り曲げて形成されている。開口部8の内側に貫通穴4が挿入され、上に折り曲げられた部分に形成されたエンボス加工部6の下面凸部で塞がれる。
【0027】
図2(a)、図2(b)に示されるように、蓋部3の一端には圧入孔5に挿入される圧入部7を有し、圧入部7は、圧入孔5(図1)に圧入するために直角に下に曲げ加工され、圧入部7の先端には、圧入孔5との圧入強度を保つために返し部71を備えている。圧入孔5への圧入時は、開口部8と圧入部7の間の部分を上方から押さえ込み挿入する組付け方法を取ることで押込み時に均一な加圧を実現でき、さらにこの部分は、圧入時の蓋部3のねじれ、破損を防止する役目を果たす。
【0028】
図1(c)は、蓋部3が貫通穴4を閉塞している状態を示している。蓋部3を成型樹脂カバー21へ圧入固着することで貫通穴4を覆い、かつ貫通穴4がエンボス加工部6に圧接されて気密を保つ。
【0029】
本実施例において、貫通穴4を塞ぐ蓋部3は、図2(c)に示すようにU字型の内側に高膨張側金属9、外側に低膨張側金属10となるように配したバイメタルの板を用いる。蓋部3は温度が上昇すると熱膨張率の差により全体が一様な曲率で湾曲し、その結果としてU字型の先が開くように動作する。リフロー加熱工程時に加わる最高温度が250〜300℃であるため、バイメタルに用いる材質はこの温度に耐えうる材質を用いる。例えば、低膨張側金属にFe−Ni、高膨張側金属には、Ni、Fe−Ni−Mn、Fe−Ni−Crといった金属の組合せがある。ここで、蓋部3が所定の温度で貫通穴4との圧接を開放し、気密を開放させるべく、そのときの温度でU字型の先が開くように変位する変位量をDFとすると、蓋部3は、上に折り曲げられた部分が下の部分と平行になる位置よりさらに内側にその変位量DFと等しい撓み量DP分をフォロー分として曲げておく。
【0030】
図3は、内圧調整機構の動作原理を示す断面図であり、図3(a)は貫通穴4の閉塞時、図3(b)は開放時を示す。常温時においては、図3(a)に示すようにエンボス加工部6は貫通穴4を塞ぐ形で圧接しており、撓み量DP分に相当する弾性荷重がフォロー分として貫通穴4にかかるように蓋部3のU字に曲げられた上の部分が下の部分と平行になるように圧着されており、その荷重F1(N)は撓み量DPとバイメタルの材質のヤング率によって決定される。電磁継電器がリフロー工程などで加熱された場合、蓋部3はU字の先端が開くように変位する。この変位量DFが撓み量DPと等しくなる温度をT1(℃)とすると、温度T1(℃)のとき上記荷重F1(N)は0となり、エンボス加工部6は圧接していた貫通穴4から離れはじめ、さらに温度T1(℃)を上回れば図3(b)に示すように貫通穴4が完全に開放されることとなる。再び温度が下がると、エンボス加工部6は貫通穴4を覆う方向に変位し、前述の温度T1(℃)を下回った瞬間に貫通穴4に圧接され、当初の気密を保つ。
【0031】
図4に、一端を固定したU字型の蓋部3の基本構造を示す。加熱した場合、高膨張側金属を内側としたU字型のバイメタルは温度の上昇に比例して湾曲し、U字型の先が開くように変位する。バイメタルの板の厚さh(mm)、幅b(mm)、U字の下側の部分、上側の部分の長さをそれぞれl1、l2、U字の曲げ半径をrとすると、作動長LはL=l1+l2+πr(mm)となり、湾曲係数をK(/℃)、弾性係数をE(N/mm2)とし、常温を23(℃)とした時、このU字型のバイメタルの温度T(℃)での変位量DF(mm)は、式(1)となる。
【0032】
DF=K(T−23)(l22−l12+4r2+2l1l2+2πrl2)/h・・・・(1)
【0033】
本実施例の蓋部3は、変位量DF(mm)を式(1)から求めることができる。温度T1(℃)以上で蓋部3が貫通穴4を開放するためには、温度T1の変位量DF(mm)と、常温時の撓み量DP(mm)が等しくなるように、蓋部3の曲げ加工を調整すればよい。
【0034】
図5は、貫通穴4がエンボス加工部6によって圧接されている時の力の関係を示す断面図である。貫通穴4の閉塞時には、温度の上昇に応じて電磁継電器に密封された空気の膨張による内圧により貫通穴4から蓋部3を押し上げる方向のF2(N)の力がかかる。貫通穴4にかかるバイメタルの押付け力F(N)は、撓み量DP(mm)によって発生する弾性荷重F1(N)と、上記のF1とは逆方向の内圧上昇による力F2(N)に分離でき、F=F1−F2の関係となる。
【0035】
荷重F1(N)は、電磁継電器の温度T(℃)が上昇にするに従って減少していく。このとき、温度T≦T1(℃)の時には、荷重F1(N)は式(2)となる。
【0036】
F1=(DP−DF)Ebh3/2{(l1−l2)3+2l23+3rl2(4r+πl2)+(2πr3/3)}
={K(T1−T)(l22−l12+4r2+2l1l2+2πrl2)/h}Ebh3/2{(l1−l2)3+2l23+3rl2(4r+πl2)+(2πr3/3)}
=KEbh2(T1−T)(l22−l12+4r2+2l1l2+2πrl2)
/2{(l1−l2)3+2l23+3rl2(4r+πl2)+(2πr3/3)}・・・(2)
【0037】
一方、温度T>T1(℃)になると変移量DF>撓み量DPとなるため、F1は貫通穴4を塞ぐ方向と逆方向の力になる。
【0038】
貫通穴4が閉塞時の温度T(℃)での単位面積あたりの電磁継電器の内圧P(N/m2)は、常温を23(℃)とすると式(3)となる。
【0039】
P=101325・(273+T)/(273+23)・・・(3)
【0040】
この時、貫通穴4の断面積をS(m2)とすると、F2(N)は、式(4)となる。
【0041】
F2=101325・S{(273+T)/(273+23)−1}・・・(4)
【0042】
F2(N)は、電磁継電器の温度T(℃)が上昇にするに従って増加していき、温度T≦T1(℃)の範囲では、貫通穴4にかかる蓋部3の押付け力Fに影響する。さらに温度が上昇し、温度T>T1(℃)では、F1<0(N)、また電磁継電器の気密が失われるためF2=0(N)となり、全体の力Fが貫通穴4を塞ぐ方向に力を与えなくなることで、エンボス加工部6による密封状態は消失する。
【0043】
図6に、式(2)および式(4)から求めた、温度T(℃)と貫通穴4に加わる撓みによる荷重F1および内圧上昇による力F2、およびエンボス加工部6の押し付け力Fの関係を示す。この時、バイメタルの寸法は、図4において、h=0.1(mm)、b=0.3×2(mm)、l1=1.1(mm)、l2=0.65(mm)、r=0.1(mm)、湾曲係数K=11.8(×10-6/℃)、弾性係数E=166.7(×103N/mm2)、貫通穴4の開放温度T1=150℃、および貫通穴4はφ0.4(mm)とする。貫通穴4にかかるエンボス加工部6の押付け力Fは、図6に示したような関係を有しており、設定した開放温度で電磁継電器の通気を確保すべく制御するパラメーターは撓み量DPである。
【0044】
一方、エンボス加工部6に力F(N)が加わっている場合、蓋部3には内部応力σ(N/mm2)が発生する。蓋部3に再現性を持たせるためには、蓋部3に発生する内部応力を、常に使用しているバイメタルの材質の内部応力の許容値以下にする必要がある。図4のU字型構造の蓋部3の内部応力σは、式(5)となる。
σ=F{l2/r+6(r+l2)/h}/bh・・・(5)
【0045】
図7に、式(5)から求められた温度T(℃)と応力σ(N/mm2)の関係を示す。この時のバイメタルの寸法などは、図6と場合と同一条件とし、材質は、Fe−Ni−MnとFe−Niの接合材を例とした。この場合、内部応力σは、図中の温度範囲内では、常に許容応力内であるため、蓋部3は安定した再現性を示す。
【実施例2】
【0046】
図8は、本発明による電磁継電器の第2の実施例を説明するための図であり、図8(a)は本実施例を構成する成型樹脂カバー31に形成された内圧調整機構部42の分解斜視図、図8(b)は内圧調整機構部42の断面図を示す。
【0047】
本実施例の電磁継電器は、成型樹脂カバー31に設けた内圧調整機構部42以外の構成は実施例1と同じであり、さらに内圧調整機構部42の基本的な動作原理も実施例1と同じである。但し、本実施例においては、貫通穴4の周辺部に蓋部53の一端をレーザー溶接するための金属板11が成型樹脂カバー31に一体として成型されて埋め込まれ、蓋部53は貫通穴4を塞ぐ部分に貫通穴4側に突出したエンボス加工部6を有し、蓋部53を貫通穴4の上方から挿入しその一端を金属板11へレーザー溶接することで、貫通穴4がエンボス加工部6に圧接される。
【0048】
図9は、本実施例に使用する蓋部53の構成の一例を示す図であり、図9(a)は、本実施例に使用する曲げ加工前の蓋部53の平面図、図9(b)は曲げ加工後の蓋部53の斜視図、図9(c)は図9(b)のA−A断面図を示す。図9(a)に示すように、蓋部53は実施例1の蓋部3と同様に略長方形のバイメタルの板の中央部をくり抜いて開口部8を形成し、それを図9(b)に示すようにU字状に上に折り曲げて形成されている。開口部8の内側に貫通穴4が挿入され、上に折り曲げられた部分に形成されたエンボス加工部6で塞がれる。
【0049】
本実施例において、蓋部53は、図9に示すように図2のバイメタルの曲げ加工された圧入部7を省いた形状であり、蓋部3と同様に、あらかじめ撓み量DP分だけ内側に曲げ加工された形状とし、材質やその動作特性は、蓋部3と同じである。
【0050】
本実施例では、実施例1と同じ機能、同じ動作原理を有する内圧調整機構部42が得られ、組付け時は、レーザー溶接を用いることで、さらに蓋部53の位置決め精度が高くなる。
【0051】
以上のように、本発明により、高温加熱工程後も安定した気密性を確保し、水やコーティング材、さらには、汚染ガスの電磁継電器内部への侵入を防ぐことが可能な、動作障害、接点障害のない電磁継電器が得られる。
【0052】
本発明に用いる内圧調整機構部の構造および設置位置は上述の実施例に限定されるものではないことはいうまでもない。貫通穴、蓋部、圧入孔、金属板などの形状、材質は本発明の動作原理を達成できるものであればよく、様々な変更が可能である。たとえば蓋部の形状は室温時に貫通穴にばねによる弾性力が加わる構造であればよく、U字型形状以外にもL字型、V字型、S字型なども可能である。
【0053】
本発明の電磁継電器を用いることにより、主に自動車部品や電装部品の信頼性を高めることが可能となる。さらに、その他産業分野では、計測器用途の電磁継電器に用いることで、接点接触信頼性を高めることも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明による電磁継電器の第1の実施例を説明するための図、図1(a)は成型樹脂カバーの全体の分解斜視図、図1(b)は成型樹脂カバーに形成された内圧調整機構部の分解斜視図、図1(c)は内圧調整機構部の断面図。
【図2】第1の実施例における蓋部の構造を説明するための図、図2(a)は、曲げ加工前の蓋部の平面図、図2(b)は曲げ加工後の蓋部の斜視図、図2(c)は図2(b)のA−A断面図。
【図3】第1の実施例の内圧調整機構部の動作原理を示す断面図。図3(a)は貫通穴の閉塞時、図3(b)は開放時を示す図。
【図4】一端を固定したU字型の蓋部の基本構造を示す図。
【図5】貫通穴がエンボス加工部によって圧接されている時の力の関係を示す断面図。
【図6】温度Tと貫通穴に加わる撓みによる荷重F1および内圧上昇による力F2、およびエンボス加工部の押し付け力Fの関係を示す図。
【図7】温度Tとバイメタルに加わる応力σの関係を示す図。
【図8】本発明による電磁継電器の第2の実施例を説明するための図、図8(a)は成型樹脂カバーに形成された内圧調整機構部の分解斜視図、図8(b)は内圧調整機構部の断面図。
【図9】第2の実施例に使用する蓋部の構成の一例を示す図、図9(a)は曲げ加工前の蓋部の平面図、図9(b)は曲げ加工後の蓋部の斜視図、図9(c)は図9(b)のA−A断面図。
【図10】従来の一般的な電磁継電器の分解斜視図。
【図11】従来の成型樹脂カバーの貫通穴部の構造を示す縦断面図、図11(a)はアンシール(非封止)タイプの貫通穴構造、図11(b)はシール(封止)タイプの貫通穴構造を示す図。
【符号の説明】
【0055】
1,21,31 成型樹脂カバー
2,42 内圧調整機構部
3,53 蓋部
4 貫通穴
5 圧入孔
6 エンボス加工部
7 圧入部
71 返し部
8 開口部
9 高膨張側金属
10 低膨張側金属
11 金属板
12 成型樹脂ベース
13 電磁駆動部
14 封止用樹脂
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気接点部と電磁駆動部と成型樹脂ベースとを備える本体部と、該本体部を覆う成型樹脂カバーとで構成され、前記成型樹脂カバーと前記成型樹脂ベースとの間隙および前記成型樹脂ベースと前記電気接点部または前記電磁駆動部の一部を構成する端子との間の間隙が封止用樹脂により封止されてなる電磁継電器において、前記成型樹脂カバーに内圧調整機構部を設け、該内圧調整機構部は空気抜き用の貫通穴と、該貫通穴を覆うばね状に加工されたバイメタルの板からなる蓋部を備え、前記貫通穴は前記蓋部に圧接され塞がれることを特徴とする電磁継電器。
【請求項2】
前記貫通穴は前記成型樹脂カバーに形成された前記成型樹脂カバーの外側に向かう突出部分に設けられた穴であり、該貫通穴の周辺部に前記蓋部の一端を圧入する圧入孔を有し、前記蓋部は前記貫通穴を塞ぐ部分に該貫通孔側に突出したエンボス加工部を有し、前記蓋部が前記貫通穴上方から前記圧入孔に圧入固着されることで前記貫通穴が前記エンボス加工部に圧接されることを特徴とする請求項1記載の電磁継電器。
【請求項3】
前記貫通穴は前記成型樹脂カバーに形成された前記成型樹脂カバーの外側に向かう突出部分に設けられた穴であり、前記貫通穴の周辺部に前記蓋部の一端をレーザー溶接するための金属板が前記成型樹脂カバーに一体として成型されて埋め込まれ、前記蓋部は前記貫通穴を塞ぐ部分に該貫通孔側に突出したエンボス加工部を有し、前記蓋部を前記貫通穴上方から挿入し前記金属板へレーザー溶接することで、前記貫通穴が前記エンボス加工部に圧接されることを特徴とする請求項1記載の電磁継電器。
【請求項4】
前記蓋部は中央部をくり抜いたバイメタルの板をU字状に折り曲げて形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電磁継電器。
【請求項1】
電気接点部と電磁駆動部と成型樹脂ベースとを備える本体部と、該本体部を覆う成型樹脂カバーとで構成され、前記成型樹脂カバーと前記成型樹脂ベースとの間隙および前記成型樹脂ベースと前記電気接点部または前記電磁駆動部の一部を構成する端子との間の間隙が封止用樹脂により封止されてなる電磁継電器において、前記成型樹脂カバーに内圧調整機構部を設け、該内圧調整機構部は空気抜き用の貫通穴と、該貫通穴を覆うばね状に加工されたバイメタルの板からなる蓋部を備え、前記貫通穴は前記蓋部に圧接され塞がれることを特徴とする電磁継電器。
【請求項2】
前記貫通穴は前記成型樹脂カバーに形成された前記成型樹脂カバーの外側に向かう突出部分に設けられた穴であり、該貫通穴の周辺部に前記蓋部の一端を圧入する圧入孔を有し、前記蓋部は前記貫通穴を塞ぐ部分に該貫通孔側に突出したエンボス加工部を有し、前記蓋部が前記貫通穴上方から前記圧入孔に圧入固着されることで前記貫通穴が前記エンボス加工部に圧接されることを特徴とする請求項1記載の電磁継電器。
【請求項3】
前記貫通穴は前記成型樹脂カバーに形成された前記成型樹脂カバーの外側に向かう突出部分に設けられた穴であり、前記貫通穴の周辺部に前記蓋部の一端をレーザー溶接するための金属板が前記成型樹脂カバーに一体として成型されて埋め込まれ、前記蓋部は前記貫通穴を塞ぐ部分に該貫通孔側に突出したエンボス加工部を有し、前記蓋部を前記貫通穴上方から挿入し前記金属板へレーザー溶接することで、前記貫通穴が前記エンボス加工部に圧接されることを特徴とする請求項1記載の電磁継電器。
【請求項4】
前記蓋部は中央部をくり抜いたバイメタルの板をU字状に折り曲げて形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電磁継電器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−123781(P2008−123781A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−305065(P2006−305065)
【出願日】平成18年11月10日(2006.11.10)
【出願人】(000134257)NECトーキン株式会社 (1,832)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月10日(2006.11.10)
【出願人】(000134257)NECトーキン株式会社 (1,832)
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