説明

電磁継電器

【課題】カードの逆挿入を抑制することのできる電磁継電器を得る。
【解決手段】カード6の回動軸部63が嵌合する軸受部21を穴形状にするとともに、回動軸部63の一端部に軸受部21の内径D0よりも径D1が大径の拡径部63cを設けた。こうして、カード6を表裏逆にした状態で回動軸部63を軸受部21に挿入させようとした際に、当該拡径部63cによって回動軸部63の軸受部21への挿入を阻止できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アーマチュアの回動変位をカードを介して接点部に伝達させる電磁継電器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電磁継電器として、ばね付勢されたアーマチュアを電磁石ブロックに回動自在に配置し、当該アーマチュアの回動変位をカードを介して接点部に伝達させるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1では、カードの下端部に設けた回動軸部をベース部に設けた軸受部に横から差し込んで嵌合させることで、カードをアーマチュアと接点部との間に回動自在に取り付けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−320441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、かかる従来の電磁継電器では、カードを表裏逆にした状態でも回動軸部を軸受部に嵌合させることができる構成となっている。そのため、カードを誤って表裏逆に組み付けてしまい、アーマチュアの回動変位を適正に接点部に伝達させることができなくなってしまうおそれがあった。
【0006】
そこで、本発明は、カードの逆挿入を抑制することのできる電磁継電器を得ることを特徴とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にあっては、ベース部に設置される電磁石ブロックと、当該電磁石ブロックの励磁によって復帰自在に回動するアーマチュアと、当該アーマチュアと対峙し、前記ベース部に支持される接点部と、前記アーマチュアと前記接点部との間に配置され前記アーマチュアの回動変位を前記接点部に伝達するカードと、を備える電磁継電器であって、前記カードは、当該カードに設けられた回動軸部を前記ベース部に設けられた軸受部に回動自在に嵌合させることで前記ベース部に回動自在に組み付けられており、前記軸受部は、前記アーマチュアと前記接点部との対峙方向と交叉する方向から前記回動軸部が挿入される穴形状をしており、前記回動軸部の一端部には、前記軸受部の内径よりも大径の拡径部が設けられていることを主な特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、カードの回動軸部が嵌合する軸受部を穴形状にするとともに、回動軸部の一端部に軸受部の内径よりも大径の拡径部を設けている。そのため、カードを表裏逆にした状態で回動軸部を軸受部に挿入させようとしても、拡径部によって回動軸部の軸受部への挿入が阻止される。その結果、カードの逆挿入を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態にかかる電磁継電器を示す斜め上方から見た斜視図である。
【図2】図2は、本発明の第1実施形態にかかる電磁継電器のカード取付部を透視して示す斜め上方から見た斜視図である。
【図3】図3は、本発明の第1実施形態にかかる電磁継電器のカード取付部を断面して示す斜め下方から見た斜視図である。
【図4】図4は、図3中A部の拡大断面図である。
【図5】図5は、本発明の第2実施形態にかかる電磁継電器のカード取付部を断面して示す斜め下方から見た斜視図である。
【図6】図6は、図5中B部の拡大断面図である。
【図7】図7は、本発明の第3実施形態にかかる電磁継電器のカード取付部を透視して示す斜め上方から見た要部拡大斜視図である。
【図8】図8は、本発明の第3実施形態にかかる電磁継電器のカード取付部を断面して示す斜め下方から見た斜視図である。
【図9】図9は、図8中C部の拡大断面図である。
【図10】図10は、本発明の第4実施形態にかかる電磁継電器のカード取付部を断面して示す斜め下方から見た斜視図である。
【図11】図11は、図10中D部の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の複数の実施形態には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、それら同様の構成要素には共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。また、以下では、便宜上、アーマチュアと接点部との対峙方向アーマチュア側を左右方向左側、接点部側を左右方向右側として説明する。また、カードのベース部への挿脱方向離脱側を前後方向前側、挿入方向を前後方向後側として説明する。また、ベース部の電磁石ブロックが設置される側を上下方向上側として説明する。
【0011】
(第1実施形態)
本実施形態にかかる電磁継電器1は、ベース部2の上壁2aの左右方向左側端部に設置された電磁石ブロック3と、当該電磁石ブロック3に回動自在に取り付けられるアーマチュア4と、を備えている。また、ベース部2の上壁2aの左右方向右側端部には、接点部5がアーマチュア4と間隔を設けて対峙するように支持されている。そして、アーマチュア4と接点部5との間には、アーマチュア4の回動変位を接点部5に伝達するカード6が配置されている。
【0012】
電磁石ブロック3は、合成樹脂などの絶縁材料で円筒状に形成したスプールを有しており、このスプールの外周にコイル31が巻回されているとともに、スプールの中心軸に鉄芯32が配置されている。そして、電磁石ブロック3は、スプールの下端面からコイル31のアーマチュア4配置側の側面に沿ってL字状に折曲したヨーク33を備えている。なお、符号31aおよび31bはコイル31の端子である。
【0013】
ヨーク33は、鉄などの軟磁性材料によって形成されている。そして、図2に示すように、スプールの下端から突出する鉄芯32の下端部が、圧入または加締めによってヨーク33の下壁部33aに取り付けられている。この鉄芯32の下端部のヨーク33の下壁部33aへの圧入または加締めによって、ヨーク33と鉄芯32とが一体に結合されている。
【0014】
また、スプールの上端には鍔部34が設けられており、この鍔部34の4隅には上方に立ち上がる規制壁34aがそれぞれ形成されている。そして、前後に位置する規制壁34aの間には、アーマチュア4の上壁部4aが配置されており、アーマチュア4の回動時には、上壁部4aが規制壁34aによってガイドされるようになっている。なお、鍔部34の中央部には開口部が形成されており、この開口部から鉄芯32の上端部が露出している。
【0015】
アーマチュア4は、鉄などの軟磁性材料によって形成されている。このアーマチュア4は、ヨーク33とは上下が逆となるL字状に折曲されており、ヨーク33の側壁部33bの外側に配置されている。すなわち、アーマチュア4は、スプールの上側に配置される上壁部4aと、この上壁部4aに対してほぼ直角に折曲しヨーク33の側壁部33bの外側に沿って垂下する側壁部4bとを備えている。
【0016】
そして、上壁部4aと側壁部4bとの間の折曲部4cが、ヨーク33の側壁部33bの上端に回動自在に係止されている。このとき、アーマチュア4は、図示せぬスプリングによって、側壁部4bがヨーク33の側壁部33bに近接する方向(図1における時計回り方向)に付勢されている。
【0017】
したがって、初期状態(電磁石ブロック3が無励磁の状態)では、上壁部4aは、スプリングの付勢力によって鉄芯32の上壁面から離隔された状態となっている。
【0018】
そして、コイル31に通電して電磁石ブロック3が励磁されると、アーマチュア4の上壁部4aが鉄芯32の上壁部に引き寄せられ、アーマチュア4は折曲部4cを中心に側壁部4bがヨーク33の側壁部33bから離れる方向(図1における反時計回り方向)に回動する。なお、コイル31への通電を遮断すると電磁石ブロック3が消磁するため、アーマチュア4の上壁部4aを引き寄せる吸引力が無くなり、アーマチュア4はスプリングの付勢力によって初期状態に復帰する。
【0019】
このように、アーマチュア4は、電磁石ブロック3の励磁によって復帰自在に回動するように、電磁石ブロック3に取り付けられている。
【0020】
接点部5は、アーマチュア4側に配置される可動接点部51と、可動接点部51に対してアーマチュア4とは反対側(可動接点部51の右側)に、可動接点部51と対向するように配置される固定接点部52と、を備えている。
【0021】
可動接点部51は、導電性材料の板ばねで形成された可動接点板51aと、この可動接点板51aの固定接点部52と対向する側の面に取り付けられる可動接点51bとを備えている。そして、可動接点部51の端子51cがベース部2の下方に突出している。
【0022】
固定接点部52は、導電性を有するとともに可動接点板51aよりも剛性の高い材料で形成された板状の固定接点板52aと、この固定接点板52aの可動接点51bと対向する側の面に取り付けられる固定接点52bとを備えている。そして、固定接点部52の端子52cがベース部2の下方に突出している。なお、初期状態(電磁石ブロック3が無励磁の状態)では、可動接点51bと固定接点52bとの間には所定のギャップが設けられている。
【0023】
そして、電磁石ブロック3の励磁によってアーマチュア4が回動すると、このアーマチュア4の回動変位がカード6を介して可動接点板51aに伝達され、可動接点板51aが固定接点部52方向に撓み変形して可動接点51bと可動接点52bとが接触する。なお、電磁石ブロック3を消磁させると、可動接点板51aはアーマチュア4とともに初期状態に復帰し、可動接点51bと可動接点52bとが離間する。
【0024】
カード6はアーマチュア4と接点部5との間に介在しており、一側部(左側)6aにアーマチュア4の側壁部4bの下部に当接する受圧部61が突設されているとともに、他側部(右側)6bに接点部5の可動接点板52aの上部に当接する押圧部62が突設されている。このカード6の下端部には、図3および図4に示すように、略円柱状の挿入部63fを有する回動軸部63が設けられている。そして、この回動軸部63の挿入部63fをベース部2に形成した軸受穴(軸受部)21に回動自在に嵌合させることで、カード6がベース部2に回動自在に組み付けられている。なお、カード6は、合成樹脂などの絶縁材料によって形成されており、受圧部61、押圧部62および回動軸部63が一体に成形されている。
【0025】
軸受穴(軸受部)21は、アーマチュア4と接点部5との対峙方向(左右方向)と交叉する方向(本実施形態では、前後方向前方)から回動軸部63が挿入される穴形状をしている。具体的には、軸受穴21は、ベース部材2の前後方向(ベース部2の短手方向:幅方向)に、前方から後方に向けて延在するように形成されている。すなわち、軸受穴21は、ベース部2の前側壁2bの前側面2cが開口する開口部21a(図4参照)が形成されるように、ベース部2に形成されている。
【0026】
このように、本実施形態では、カード6のベース部2への挿脱方向は、前後方向(アーマチュア4と接点部5との対峙方向と交叉する方向)となっている。
【0027】
また、ベース部2の上壁2aには、所定幅のスリット状の開口部22が軸受穴21と連通するように形成されており、この開口部22は、ベース部2の前側壁2b側にも開口するように形成されている。このような開口部22をベース部2に形成することで、回動軸部63を軸受穴21に挿入する際に、カード6の下端部をスリット状の開口部22に差し込むことができるようにしている。このとき、スリット状の開口部22幅がカード6の下端部の厚さよりも若干広くなるように開口部22を形成しており、カード6を回動軸部63を中心に左右回動させることができるようになっている。なお、軸受穴21は、開口部21aとは反対側となる奥側(前後方向後側)が閉止されている。
【0028】
ここで、本実施形態では、回動軸部63の挿入側となる先端部63aとは反対側の基端部(一端部)63bに、軸受穴21の内径D0よりも径D1が大径となる鍔状の基端拡径部(拡径部)63cを設けている。なお、基端拡径部63cは、軸方向に厚さtを有しており、裏面63dが回動軸部63の延在方向に対して直角な平坦面となっている。
【0029】
そして、基端拡径部63cは、回動軸部63の挿入部63fを軸受穴21に挿入してカード6を正規の位置に組み付けた際に、図4に示すように、裏面63dがベース部2の側面2bの開口部21a周縁部に当接するようになっている。すなわち、開口部21a周縁部が基端拡径部63cの係止部Sとなっている。なお、本実施形態では、カード6は、回動軸部63の基端拡径部63cがベース部2の前側壁2bから前方に突出した状態で、ベース部2に組み付けられる。
【0030】
カード6のベース部2への組み付けは、以下のようにして行われる。
【0031】
まず、ベース部2に予め電磁石ブロック3と接点部5を組み付ける。次に、ヨーク33の側面部33bの上端に折曲部4cを係止させるようにアーマチュア4を取り付ける。そして、カード6を回動軸部63の先端部63aが後方を向くように配置した状態で、回動軸部63の挿入部63fを前後方向前方から軸受穴21に挿入する。このとき、基端拡径部63cの裏面63dがベース部2の側面2b(係止部S)に当接するまで回動軸部63の挿入部63fを軸受穴21に挿入する。
【0032】
こうして、カード6が、アーマチュア4と接点部5との間に位置するようにベース部2に組み付けられる。
【0033】
かかる構成とすることで、アーマチュア4が回動変位した際には、アーマチュア4の回動変位が受圧部61に入力されてカード6全体が回動軸部63を中心として接点部5側に回動する。そして、カード6が接点部5側に回動することで、可動接点板52aが押圧部62によって押圧されて撓み、この撓みによって可動接点51bと固定接点52bとが接触することとなる。
【0034】
以上説明したように、本実施形態では、軸受穴21をベース部2に形成するとともに、軸受穴21をカード6の回動軸部63を嵌合させる穴形状としている。そして、回動軸部63の基端部(一端部)63bに、軸受穴21の内径D0よりも径D1が大径の基端拡径部(拡径部)63cを設けている。
【0035】
そのため、カード6を表裏逆にした状態で基端部63bから軸受穴21に挿入しようとしても、基端拡径部63cによって回動軸部63の軸受穴21への挿入が邪魔されて回動軸部63の軸受穴21への挿入が阻止される。すなわち、本実施形態にかかるカード6は、回動軸部63の先端部63から軸受穴21に挿入しないと、ベース部2に組み付けられないようになっている。したがって、回動軸部63は必ず正規の状態で挿入しなければならず、カード6の逆組み付けを確実に防止することができる。
【0036】
このように、本実施形態によれば、カード6の逆挿入を抑制することのできる電磁継電器1を得ることができる。
【0037】
(第2実施形態)
本実施形態にかかる電磁継電器1Aは、基本的に上記第1実施形態で示した電磁継電器1と同様の構成をしている。
【0038】
すなわち、本実施形態にかかる電磁継電器1Aも、ベース部2の上壁2aの左右方向左側端部に設置された電磁石ブロック3と、当該電磁石ブロック3に回動自在に取り付けられるアーマチュア4と、を備えている。また、ベース部2の上壁2aの左右方向右側端部には、接点部5がアーマチュア4と間隔を設けて対峙するように支持されている。そして、アーマチュア4と接点部5との間には、アーマチュア4の回動変位を接点部5に伝達するカード6が配置されている。
【0039】
ここで、本実施形態にかかる電磁継電器1Aが上記第1実施形態の電磁継電器1と主に異なる点は、図5および図6に示すように、カード6をベース部2に組み付けた際に、回動軸部63の基端拡径部63cを受容する拡幅凹部21bを軸受穴21に設けた点にある。
【0040】
具体的には、拡幅凹部21bは、図6に示すように、軸受穴21の開口部21a側であってベース部2の前側面2cに開放されるように形成されている。そして、拡幅凹部21bの内径D2は基端拡径部63cの直径D1以上となるように形成されている。また、拡幅凹部21bの深さdは、少なくとも基端拡径部63cの厚さt(図4参照)以上となるように形成されている。
【0041】
さらに、本実施形態では、拡幅凹部21bの底部21cは、軸受穴21の中心軸に対して直角な平坦面に形成されており、底部21cが基端拡径部63cの係止部Sとなっている。
【0042】
以上の本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
【0043】
また、本実施形態によれば、軸受穴21に拡幅凹部21bを設け、この拡幅凹部21bに回動軸部63の基端拡径部63cを受容できるようにしている。そのため、基端拡径部63cがベース部2の前側面2cから突出してしまうのを抑制することができ、電磁継電器1Aの幅方向の小型化を図ることができる。
【0044】
(第3実施形態)
本実施形態にかかる電磁継電器1Bは、基本的に上記第2実施形態で示した電磁継電器1Aと同様の構成をしている。
【0045】
すなわち、本実施形態にかかる電磁継電器1Bも、ベース部2の上壁2aの左右方向左側端部に設置された電磁石ブロック3と、当該電磁石ブロック3に回動自在に取り付けられるアーマチュア4と、を備えている。また、ベース部2の上壁2aの左右方向右側端部には、接点部5がアーマチュア4と間隔を設けて対峙するように支持されている。そして、アーマチュア4と接点部5との間には、アーマチュア4の回動変位を接点部5に伝達するカード6が配置されている。
【0046】
ここで、本実施形態にかかる電磁継電器1Bが上記第2実施形態の電磁継電器1Aと主に異なる点は、図7から図9に示すように、挿入部63fに、軸受部21の内周に回動自在にほぼ密接する先端拡径部(第2の拡径部)63eを設けた点にある。
【0047】
具体的には、図9に示すように、回動軸部63における基端拡径部(拡径部)63cの他端側(前後方向後側)に、軸受部21の内径D0よりも径D3が小径の挿入部63fを設けている。この挿入部63fは、基端拡径部(拡径部)63cに一体に連設されている。
【0048】
そして、挿入部63fの挿入側である先端部(回動軸部63の先端部63a)に、軸受穴21の内周に回動自在にほぼ密接する先端拡径部63eを設けている。なお、先端拡径部63eの直径D4は、軸受穴21の内径D0を越えない範囲でほぼ等しくなるように形成(D4≒D0)されている。
【0049】
回動軸部63をこのような形状とすることで、回動軸部63は基端拡径部63cと先端拡径部63eとで軸受穴21に支持されることになる。このため、基端拡径部63cが嵌合する拡幅凹部21bの内径D2は、基端拡径部63cの直径D1よりも小さくならない範囲でほぼ等しく形成(D2≒D1)しておくことが好ましい。
【0050】
以上の本実施形態によっても、上記第2実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
【0051】
また、本実施形態によれば、挿入部63fの挿入側である先端部(回動軸部63の先端部63a)に、軸受穴21の内周に回動自在にほぼ密接する先端拡径部(第2の拡径部)63eを設けている。そのため、回動軸部63は基端拡径部63cと先端拡径部63eの2箇所で軸受穴21に支持されることなる。その結果、回動軸部63の軸受穴21との接触面積が減少するため、回動軸部63の回転抵抗が小さくなって円滑な回動が可能となり、アーマチュア4の回動変位をスムーズに接点部5に伝達することができる。
【0052】
また、挿入部63fの先端部に先端拡径部(第2の拡径部)63eを設けることで、回動軸部63が軸方向両端で軸受穴21に支持されるようになるため、回動軸部63をより安定して支持することができる。
【0053】
なお、上記第1実施形態にあっても本実施形態にかかる構成を適用することが可能である。
【0054】
(第4実施形態)
本実施形態にかかる電磁継電器1Cは、基本的に上記第3実施形態で示した電磁継電器1Bと同様の構成をしている。
【0055】
すなわち、本実施形態にかかる電磁継電器1Cも、ベース部2の上壁2aの左右方向左側端部に設置された電磁石ブロック3と、当該電磁石ブロック3に回動自在に取り付けられるアーマチュア4と、を備えている。また、ベース部2の上壁2aの左右方向右側端部には、接点部5がアーマチュア4と間隔を設けて対峙するように支持されている。そして、アーマチュア4と接点部5との間には、アーマチュア4の回動変位を接点部5に伝達するカード6が配置されている。
【0056】
ここで、本実施形態にかかる電磁継電器1Cが上記第3実施形態の電磁継電器1Bと主に異なる点は、図10および図11に示すように、軸受部21に、回動軸部63の挿入をガイドするテーパ状のガイド部を設けた点にある。
【0057】
具体的には、軸受穴21の基端拡径部63cを係止する係止部Sにテーパ部(テーパ状のガイド部)21dを設けている。
【0058】
本実施形態では、基端拡径部63cの係止部Sは、拡幅凹部21bの底部21cとなっており、テーパ部21dは、底部21cから軸受穴21の奥側に向かって徐々に縮径する形状をしている。
【0059】
なお、底部21cに形成したテーパ部21dの外側内径D5は、回動軸部63の挿入側の先端部63a(本実施形態では先端拡径部63e)の直径D4よりも大径で、基端拡径部63cの直径D1よりも小径となっている。
【0060】
以上の本実施形態によっても、上記第3実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
【0061】
また、本実施形態によれば、軸受部21に、回動軸部63の挿入をガイドするテーパ状のガイド部を設けている。すなわち、軸受穴21の係止部Sにテーパ部21dを設けている。そのため、回動軸部63を軸受穴21に挿入する際に、回動軸部63の先端部63aを係止部Sに引っ掛けることなくスムーズに挿入することが可能となり、カード6の組み付けを容易に行うことができる。
【0062】
なお、上記第1および第2実施形態にあっても、本実施形態にかかる構成を適用することが可能である。
【0063】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0064】
例えば、カードは上記実施形態で示したものに限られるものではなく、軸受部に挿入される回動軸部を介して回動自在となったカードであればよい。
【0065】
また、電磁石ブロック、接点部およびアーマチュアやベース部、その他細部のスペック(形状、大きさ、レイアウト等)も適宜に変更可能である。
【符号の説明】
【0066】
1、1A、1B、1C 電磁継電器
2 ベース部
21 軸受穴(軸受部)
21b 拡幅凹部
21d テーパ部(テーパ状のガイド部)
3 電磁石ブロック
4 アーマチュア
5 接点部
6 カード
63 回動軸部
63b 基端部(一端部)
63c 基端拡径部(拡径部)
63e 先端拡径部(第2の拡径部)
63f 挿入部
S 係止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部に設置される電磁石ブロックと、当該電磁石ブロックの励磁によって復帰自在に回動するアーマチュアと、当該アーマチュアと対峙し、前記ベース部に支持される接点部と、前記アーマチュアと前記接点部との間に配置され前記アーマチュアの回動変位を前記接点部に伝達するカードと、を備える電磁継電器であって、
前記カードは、当該カードに設けられた回動軸部を前記ベース部に設けられた軸受部に回動自在に嵌合させることで前記ベース部に回動自在に組み付けられており、
前記軸受部は、前記アーマチュアと前記接点部との対峙方向と交叉する方向から前記回動軸部が挿入される穴形状をしており、
前記回動軸部の一端部には、前記軸受部の内径よりも大径の拡径部が設けられていることを特徴とする電磁継電器。
【請求項2】
前記軸受部には、前記拡径部を受容する拡幅凹部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電磁継電器。
【請求項3】
前記回動軸部における前記拡径部の他端側には、前記軸受部の内径よりも小径の挿入部が設けられており、
前記挿入部には、前記軸受部の内周に回動自在にほぼ密接する第2の拡径部が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電磁継電器。
【請求項4】
前記軸受部には、前記回動軸部の挿入をガイドするテーパ状のガイド部が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の電磁継電器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−59510(P2012−59510A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−201072(P2010−201072)
【出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)