説明

電磁連結装置

【課題】端子部材の圧入による結線構造において、電磁コイルの材料として、端子部材の材料とは異種の金属材料を用いつつ、温度変化に対して、端子部材における導通を安定的に維持できる電磁連結装置を提供する。
【解決手段】電磁コイル5の巻線の端部5a,5bを端子ケースの溝に嵌め込む一方、前記溝に交差する溝に端子部材19a,19bを圧入することで、端子部材19a,19bに保持したリード線18a,18bと巻線の端部5a,5bとを導通させる。アルミニウム線で構成される電磁コイル5の巻線の両端に、エナメル銅線で構成される端子配線51a,51bを接続し、この端子配線51a,51bを巻線の端部5a,5bとして、端子部材19a,19bの黄銅製接続片29a,29bに接続させる。端子配線51a,51bと接続片29a,29bとは、熱膨張率の近い同種の金属材料で構成されるから、温度変化によって導通不良が発生することを抑制でき、また、電磁コイル5の巻線をアルミニウム線とすることで、電磁連結装置を軽量化できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁コイルが内設された環状のヨークと、該ヨークに固定された絶縁性の端子ケースとを含む電磁石を備えた電磁連結装置に関し、詳しくは、電磁コイルと端子部材との結線構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電磁連結装置における結線構造として、例えば、特許文献1に開示されるものがあった。
特許文献1に開示される電磁連結装置は、端子ケース内に導いた電磁コイルの巻線の両端を、端子ケース内に形成した溝内に折り曲げ、前記溝に交差する溝に対してリード線を接続した端子部材を押し込むことで、前記端子部材に形成したスリットに電磁コイルの巻線の両端を嵌め込み、端子部材(リード線)と電磁コイルの巻線の両端とを結線する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3069044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、電磁コイルの巻線としてエナメル銅線を用い、黄銅製の端子部材に接続させる場合、銅と黄銅とは同種の金属であって熱膨張率が近似するため、温度変化が発生しても、端子部材と電磁コイルの巻線との間における導通を維持できる。
しかし、電磁連結装置の軽量化を図るために、電磁コイルの巻線を、例えば銅線からアルミニウム線に変更した場合、端子部材の材料である黄銅よりもアルミニウムの熱膨張率が高いため、温度上昇したときには、アルミニウム巻線が膨張することで端子部材のスリットを拡張し、逆に、温度低下すると、アルミニウム巻線が収縮することで、端子部材のスリットと巻線との間に隙間が生じ、電磁コイルの巻線と端子部材との間での導通が断たれる可能性があった。
【0005】
そこで、本発明は、端子部材の圧入による結線構造において、電磁コイルの材料として、端子部材の材料とは異種の金属材料を用いつつ、温度変化に対して、端子部材における導通を安定的に維持できる電磁連結装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る電磁連結装置は、電磁コイルが内設された環状のヨークと、前記ヨークに固定された絶縁性の端子ケースとからなる電磁石を備えた電磁連結装置であって、
前記端子ケースは、前記端子ケース内部に導いた前記電磁コイルの巻線の両端部それぞれを互い離れる向きに曲げて嵌め込む第1の溝部と、前記第1の溝部に交差する第2の溝部とが形成される一方、
前記第2の溝部に嵌め込まれる一対の端子部材を有し、前記端子部材には前記巻線の端部に導通させるリード線が接続されると共に、前記端子部材は、前記第2の溝部を横断する前記巻線の端部それぞれを嵌め込むスリットが形成された接続片を有し、
前記電磁コイルの巻線を構成する材料と前記接続片を構成する材料とが異種の金属材料であり、前記電磁コイルの巻線の両端部それぞれに、前記接続片を構成する材料と同種の金属材料で構成した端子配線を接続し、前記端子配線を前記第1の溝部に嵌め込み、さらに前記スリットに前記端子配線を嵌め込むようにした。
【0007】
このような構成では、電磁コイルの巻線の両端部それぞれに端子配線を接続し、端子配線を接続片のスリットに嵌め込んで、端子部材に接続したリード線と電磁コイルの巻線とを導通させる。ここで、接続片のスリットに嵌め込まれる端子配線、及び、接続片は、相互に同種の金属材料で構成される一方、電磁コイルの巻線は、端子配線及び接続片を構成する金属材料とは異種の金属材料で構成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る電磁連結装置によれば、端子配線と接続片とは同種の金属材料で構成されるから、相互に熱膨張率が近く、温度変化に対して同様に長さ、体積が変化するから、温度変化に伴ってスリットが拡張されたり、端子配線と接続片との間に隙間が生じたりすることを抑制でき、端子配線(電磁コイルの巻線)と接続片(リード線)との導通を安定的に維持できる。また、電磁コイルの巻線は、接続片及び端子配線を構成する材料とは異種の金属材料で構成できるので、例えば、アルミニウム系材料などの軽量な金属材料を用いることで、電磁連結装置の軽量化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態における電磁連結装置を示す断面図である。
【図2】図1の電磁連結装置の電磁コイルを示す斜視図である。
【図3】図1の電磁連結装置の電磁コイルと電磁コイルを収納するリング体を示した分解斜視図である。
【図4】図1の電磁連結装置の電磁石を示す正面図である。
【図5】図1の電磁連結装置の電磁石におけるコネクタを示す分解斜視図である。
【図6】図5に示したコネクタの組み立て状態を示す斜視図である。
【図7】図5に示したコネクタと蓋とを示す分解斜視図である。
【図8】本発明の実施形態における配線構造を示す概略図である。
【図9】図8の配線構造を適用したコイルボビンを示す図であり、(A)は正面図、(B)は断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、実施形態における電磁連結装置(電磁クラッチ)を示す断面図であり、この電磁連結装置は、自動車用冷房装置を構成する冷媒圧縮機において、動力源から圧縮機の駆動軸への動力の伝達を制御する装置である。
【0011】
この電磁連結装置100は、図示しない圧縮機のハウジングに対して取付板1を介して固定したヨーク3を備えている。
ヨーク3の環状溝3aには、電磁コイル5が内設される。圧縮機ハウジングの円筒部500には、環状溝106aを有するロータ600が、軸受700を介して回転自在にかつ軸方向への移動を規制されて支持され、環状溝106aには、ヨーク3が遊嵌されている。
【0012】
一方、円筒500を貫通する圧縮機の駆動軸800の先端部には、鍔付き円筒状のハブ109をボルト210で固定してある。
ハブの鍔109aに装着した板バネ111には、全体を輪板状に形成されたアーマチュア112が、摩擦面112aをロータ600の摩擦面106bに対向させて装着されている。
プーリ115は、自動車エンジンのクランク軸上に設けられたプーリとベルトを介して連結されており、エンジンの回転によってロータ600と共に回転するように構成されている。
【0013】
コネクタ11は、ヨーク3と共に電磁石170を構成し、電磁コイル5はコネクタ11を介して外部の電気回路に接続されている。コネクタ11から導出される2本のリード線(アルミニウム線)18a,18bの端部には、電磁石170に電源を供給するためのプラグコネクタ41が接続されている。
プラグコネクタ41を介する電磁コイル5への通電のオン/オフが図示しない駆動回路によって制御され、電磁コイル5に通電することで、アーマチュア112がロータ600に磁気吸着され、ロータ600の回転が駆動軸800に伝達するように構成されている。
【0014】
ヨーク3は、図2及び図3に示すように、電磁コイル5と、この電磁コイル5を収容する筒形状のリング体6とを有している。
リング体6は、第1のリング部6aと、この第1のリング部6aと所定間隔をもって外側に同軸に配されている第2のリング部6bと、第1及び第2のリング部6a,6bを一側端で相互に接続している有底部6cとを有している。
【0015】
有底部6c及び取付板1には、電磁コイル5の巻線の両端部5a,5bを直接貫通させて有底部6cの外に導出させる貫通孔7を形成してある。リング体6には、電磁コイル5が嵌め込まれ、その後に樹脂材によってリング体6に電磁コイル5を固定している。
図4に示すように、取付板1に形成された貫通孔7上方には、コネクタ11が、例えば、取付板1の貫通孔7部に形成された爪等により、カシメ固定されている。
【0016】
コネクタ11は、図5に示すように、上面が開口されている絶縁性の端子ケース13と、この端子ケース13の内部に挿入されている巻線の端部5a,5bと、ダイオード15と、2本のリード線18a,18bの一端に接続した2つの導電性(黄銅製)の端子部材19a,19bとを有している。2本のリード線18a,18bの他端には、巻線に電源を供給するためのプラグコネクタ41が接続される。
端子ケース13の底部には、リング体6の中心を含む仮想直線に対して左右対象な位置に一対のケース孔23が形成され、一対のケース孔23には、巻線の両端部5a,5bがそれぞれ挿通される。
【0017】
端子ケース13の内部には、巻線の端部5a,5bそれぞれを嵌め込む溝であって、一対のケース孔23からさらにリング体6の中心を含む仮想直線に対して左右方向にそれぞれ延びる一対の第1の溝部25と、ダイオード15の両側のリード部15a,15bそれぞれ嵌め込む溝であって、第1の溝部25に平行に設けた一対の第3の溝部27とが形成されている。第1の溝部25には、巻線の端部5a,5bのそれぞれが互いに離れる向きに曲げられて嵌め込まれ、第3の溝部27には、ダイオード15の両側のリード部15a,15bが互いに離れる向きで嵌め込まれる。即ち、巻線の端部5a,5bと、ダイオード15のリード部15a,15bは互いに平行になるように、端子ケース13の内部に嵌め込まれる。
【0018】
また、端子ケース11の内部には、第1及び第3の溝部25,27に交差する向きで、かつ、リング体の中心を含む仮想直線を挟んで平行に一対の第2の溝部28が形成されている。第2の溝部28には、互いに平行に嵌め込まれるダイオード15のリード部15a,15b,及び、巻線の端部5a,5bの中間部分が横断することになる。
リード部15a,15b及び巻線の端部5a,5bの中間部分は、図5に示すように、上方から一対の端子部材19a,19bを第2の溝部28に圧入して嵌め込むことによってリード線18a,18bに対して接続される。
【0019】
一対の端子部材19a,19bは、絶縁被覆がなされているリード線18a,18bの被覆部を保持する円筒状の保持部30a,30bと、保持部30a,30bと一体的に形成され、断面がU字状に形成された接続片29a,29bとからなる。
接続片29a,29bは、U字状をなす断面の底部が、リード線18a,18bの延長線上に延びるようにして設けられ、U字状をなす断面において相互に略平行に対向する側壁には、U字状断面の開放側に向けて開放し、U字状をなす断面の底部に向けて延設される一対のスリット19cが、リード線18a,18bの延長方向の前後に形成されている。
【0020】
一対のスリット19cのうち先端側に形成されるスリット19c(第1のスリット)には、第1の溝部25に嵌め込まれた巻線の端部5a,5bが嵌め込まれ、保持部30a,30b側のスリット19c(第2のスリット)には、第3の溝部27に嵌め込まれたダイオード15のリード部15a,15bが嵌め込まれるように、第1の溝部25と第3の溝部27との位置関係に合わせて一対のスリット19cを形成してある。
一対の端子部材19a,19bを第2の溝部28に嵌め込む場合には、接続片29a,29bのU字状をなす断面の開放端が、端子ケース11の底部に向かうようにして圧入することで、端子部材19a,19bの一対のスリット19cには、図6に示すように、リード部15a,15b及び巻線の端部5a,5bの中間部分が圧入されて電気的に接続される。
【0021】
即ち、端子部材19a,19bを第2の溝部28に嵌め込む圧入動作によって、リード線18a,18bに対してダイオード15及び電磁コイル5の巻線を接続でき、結線作業が容易に行える。
図6に示したように、端子部材19a,19bの第2の溝部28への圧入によってリード部15a,15b及び巻線の端部5a,5bの中間部分を相互に接続した後に、これらの接続部分を防水構造とするために、図7に示すように、端子ケース11内を樹脂材40によってボンディング(封止)し、樹脂材40が未硬化の状態で端子ケース11の開口を蓋42によって閉塞する。
【0022】
ここで、図8に示すように、電磁コイル5の巻線はアルミニウム線で構成され、係るアルミニウム巻線の両端に、エナメル銅線(銅線をエナメルで被覆した導線)からなる端子配線51a、51bを接続してあり、この端子配線51a、51bの端部を巻線の端部5a,5bとしてケース孔23から端子ケース11内に導いて第1の溝部25に嵌め込み、端子部材19a,19bを第2の溝部28に嵌め込んだときに、接続片29a,29bのスリット19cに端子配線51a、51bが嵌め込まれるようにしてある。
即ち、電磁コイル5のアルミニウム巻線は、エナメル銅線からなる端子配線51a、51bを介してリード線18a,18bに接続され、端子部材19a,19bにおいては、接続片29a,29bと端子配線51a、51bとが接して導通するようにしてある。
尚、端子配線51a,51bを構成するエナメル銅線のエナメル被覆は、スリット19cに嵌め込まれるときに、スリット19cによって剥がれ、内部の銅線と接続片29a,29bとが接触して導通するようになっている。
【0023】
図9は、図8に示した配線構造を適用したボビン52を示す。
図9に示すボビン52は、筒状部52bと、該筒状部52bの中心軸方向の両端面にそれぞれ連設されたフランジ部52aとからなり、フランジ部52aと筒状部52bとで形成される環状溝52c内に、電磁コイル5のアルミニウム巻線が収容される。
図9において端子配線51aは巻き始め側であり、端子ケース11に一端が保持される端子配線51a(エナメル銅線)の他端を、筒状部52bからフランジ52aの外側に導出し、ここで、アルミニウム線で構成される電磁コイル5の巻線の一端(巻き始め側)にコイル端子53aのカシメによって接続させてある。
【0024】
端子配線51aに接続された電磁コイル5の巻線(アルミニウム線)は、フランジ52aに形成した位置決め部52cによって位置決めされつつ、フランジ52aの外側に沿って図9で時計回りに延設され、その後、フランジ52aに設けた切り欠き52dを介して筒状部52bに戻され、筒状部52bに対して時計回りに巻回される。
また、電磁コイル5の巻線(アルミニウム線)の巻き終わりを、筒状部52bからフランジ52aの外側に導出し、電磁コイル5の巻線(アルミニウム線)の巻き終わり側の端部にコイル端子53bのカシメによって温度ヒューズ55の一端を接続し、更に、温度ヒューズ55の他端にコイル端子53cのカシメによって端子配線51bの一端を接続してある。
【0025】
電磁コイル5の巻線(アルミニウム線)の巻き終わり、温度ヒューズ55及び端子配線51bは、フランジ52aに形成した位置決め部52cによって位置決めされつつ、フランジ52aの外側に沿って図9で時計回りに延設され、端子配線51bの他端を電磁コイル5の外周を介して端子ケース11内に導くようにしてある。
尚、フランジ52aの外面に沿って延設される電磁コイル5の巻線、温度ヒューズ55及び端子配線51a、51bは、コイル端子53a〜53cと共に樹脂によって封止する。係る樹脂による封止によって、電磁コイル5の巻線(アルミニウム線)に水が浸入して錆を発生させることを抑制できる。
【0026】
また、温度ヒューズ55を介在させずに、電磁コイル5の巻線(アルミニウム線)の巻き終わりに端子配線51bの一端を接続し、端子配線51bの他端を端子ケース11内に導くことができる。
上記のように、アルミニウム線からなる電磁コイル5の巻線の両端に、エナメル銅線からなる端子配線51a、51bを接続し、この端子配線51a、51bをケース孔23から端子ケース11内に導いて接続片29a,29bに接続させる。
【0027】
ここで、端子配線51a、51bがエナメル銅線で構成されるのに対し、端子配線51a、51bに接続される接続片29a,29bは、黄銅で形成される。即ち、端子配線51a、51b及び接続片29a,29bは、相互に同種の金属材料(銅系材料)で構成されるのに対し、電磁コイル5の巻線は、端子配線51a、51b及び接続片29a,29bを構成する金属材料とは異種の材料(アルミニウム系材料)で構成される。
電磁コイル5の巻線を構成するアルミニウムは、銅よりも軽量であるから、電磁コイル5(電磁石)引いては電磁連結装置を軽量化できる。
【0028】
但し、アルミニウム線である電磁コイル5の巻線と、黄銅製の接続片29a,29bとを接触させて導通させるようにすると、相互に熱膨張率が異なる異種金属を接触させることになるから、温度変化が生じたときに、スリット19cを拡張させてしまったり、スリット19cとアルミニウム線との間に隙間が生じることで、アルミニウム線(電磁コイル5の巻線)と黄銅製の接続片29a,29b(端子部材19a,19b)との間での導通が断たれる可能性がある。
【0029】
これに対し、本実施形態のように、アルミニウム線である電磁コイル5の巻線の両端に、エナメル銅線である端子配線51a、51bを接続し、この端子配線51a、51bと黄銅製の接続片29a,29bとを接続させるようにすれば、端子配線51a、51bと接続片29a,29bとが同種の金属材料で構成され、相互の熱膨張率が近いことから、温度変化によって、スリット19cを拡張させてしまったり、スリット19cと端子配線51a、51bとの間に隙間が生じたりすることを抑制でき、電磁コイル5の巻線とリード線18a,18bとの導通を安定的に維持できる。
しかも、端子部材19a,19bを第2の溝部28に圧入することで、電磁コイル5の巻線とリード線18a,18bとを導通させることができるので、結線構造が簡易かつ安価で、かつ、結線作業を容易に行える。
【0030】
更に、接続片29a,29bを、展延性に優れた黄銅で構成することで、接続片29a,29bの加工が容易であり、また、接続片29a,29bを構成する黄銅と同種の金属材料であって電気伝導性に優れた銅で端子配線51a、51bを構成することで、接続片29a,29bとの間で優れた導通性を確保できる。
また、電磁コイル5の巻線の一方端部に、温度ヒューズ55を介して端子配線51bを接続すれば、圧縮機の焼き付きに伴うクラッチ摩擦面のすべりによる発熱で温度ヒューズ55が溶断することで、電磁コイル5への通電が遮断され、車両側のベルトの保護が達成できる。
【0031】
以上、好ましい実施形態を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種々の変形態様を採り得ることは自明である。
例えば、電磁連結装置の構造は、図1に示したものに限定されず、電磁石を用いる公知の電磁連結装置に、本発明の結線構造、及び、電磁コイル5の巻線及びその両端の端子配線51a,51bからなる配線構造を適用することが可能である。
【0032】
また、上記実施形態では、電磁コイル5及びリード線18a,18bをアルミニウム製とし、接続片29a,29bを黄銅製とし、端子配線51a、51bを銅製としたが、これらの金属材料の組み合わせに限定されるものではなく、電磁コイル5の材料と接続片29a,29bの材料とが異種の金属材料であり、接続片29a,29bの材料と、端子配線51a、51bの材料とが、熱膨張率が近い同種の金属材料であればよい。例えば、電磁コイル5の巻線を、アルミニウム合金製とすることができ、また、黄銅製の接続片29a,29bに対して、銅合金で形成した端子配線51a,51bを組み合わせることができる。
また、接続片29a,29bは、端子配線51a,51bを構成する金属材料と同種の金属を鍍金したものであってもよい。
更に、端子配線51a,51bを被覆して絶縁させるための材料は、エナメルの他、ポリウレタンやビニールなどあってもよい。
【符号の説明】
【0033】
1…取付板、3…ヨーク、5…電磁コイル(アルミニウム線)、5a,5b…巻線の端部、7…貫通孔、13…端子ケース、15…ダイオード、15a,15b…ダイオードのリード部、18a,18b…リード線、19a,19b…端子部材、19c…スリット、25…第1の溝部、27…第3の溝部、28…第2の溝部、29a,29b…接続片(黄銅製)、51a、51b…端子配線(エナメル銅線)、55…温度ヒューズ、100…電磁連結装置、170…電磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁コイルが内設された環状のヨークと、前記ヨークに固定された絶縁性の端子ケースとからなる電磁石を備えた電磁連結装置であって、
前記端子ケースは、前記端子ケース内部に導いた前記電磁コイルの巻線の両端部それぞれを互い離れる向きに曲げて嵌め込む第1の溝部と、前記第1の溝部に交差する第2の溝部とが形成される一方、
前記第2の溝部に嵌め込まれる一対の端子部材を有し、前記端子部材には前記巻線の端部に導通させるリード線が接続されると共に、前記端子部材は、前記第2の溝部を横断する前記巻線の端部それぞれを嵌め込むスリットが形成された接続片を有し、
前記電磁コイルの巻線を構成する材料と前記接続片を構成する材料とが異種の金属材料であり、前記電磁コイルの巻線の両端部それぞれに、前記接続片を構成する材料と同種の金属材料で構成した端子配線を接続し、前記端子配線を前記第1の溝部に嵌め込み、さらに前記スリットに前記端子配線を嵌め込むことを特徴とする電磁連結装置。
【請求項2】
前記電磁コイルの巻線がアルミニウム系材料で構成され、前記接続片及び端子配線が共に銅系材料で構成されることを特徴とする請求項1記載の電磁連結装置。
【請求項3】
前記接続片が黄銅で構成され、前記端子配線が銅線で構成されることを特徴とする請求項2記載の電磁連結装置。
【請求項4】
前記電磁コイルの巻線の一方端部に、ヒューズを介して前記端子配線を接続することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の電磁連結装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate