説明

電線用コネクタ

【課題】高圧線に対する引下線の分岐接続作業の安全性を確保する。
【解決手段】互いに対向する内面が近接離間するように連結される一対の絶縁挟持体1a,1bと、前記内面が近接した状態で、被覆が剥離された高圧線K2および引下線K1の露出導体C2,C1を平行支持できるように、各内面に形成される一対の第1および第2凹溝15a,12aと、各絶縁挟持体1a,1bに内設され、第1および第2凹溝15a,12aの内壁に沿うように配置される第1および第2接触部3a,3bと、第1および第2接触部3a,3bを電気的に接続する接続部3cとを有する一対の接続導体3と、高圧線K2および引下線K1の露出導体C2,C1と、接続導体3の第1および第2接触部3a,3bとが電気的に接続されるように、各絶縁挟持体1a,1bの近接状態を保持する接続保持手段30とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、電柱間に架設される高圧線と、該高圧線に対して分岐接続される引下線とを電気的に接続した状態で支持する電線用コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の電線用コネクタは、例えば、図7(a),(b)に示すように、互いに対向する内面が近接離間するように連結される一対のアルミニウム製の挟持体100a,100bと、各挟持体100a,100bの対向する内面が近接した状態で、被覆が剥離された高圧線および引下線の各露出導体を平行支持できるように、各内面の先端部および基端部にそれぞれ形成される一対の第1凹溝101a,101bおよび第2凹溝102a,102bと、高圧線および引下線の各露出導体と、各挟持体100a,100bの第1凹溝101a,101bおよび第2凹溝102a,102bとが電気的に接続されるように、各挟持体100a,100bの近接状態を保持するための接続保持手段110とを備えている。
【0003】
この電線用コネクタを使用する場合、予め各挟持体100a,100bの第2凹溝102a,102bに、被覆が剥離された引下線の露出導体を挿通して、該露出導体の先端部を折り曲げて、各挟持体100a,100bの第2凹溝102a,102bから抜けないようにしておく。この状態で、間接活線工事用把持具で、一方(固定側)の挟持体100aの把持部103を把持し、各挟持体100a,100bの先端部に、被覆が剥離された高圧線の露出導体の外周面を当接させる。そして、該高圧線の露出導体を、各挟持体100a,100bの第1凹溝101a,101bの空間に向かって移動させると、他方(可動側)の挟持体100bが一方の挟持体100aから少し傾いて離間し、各挟持体100a,100bの第1凹溝101a,101bに、高圧線の露出導体が嵌入される。
【0004】
その後、接続保持手段110としてのボルトBを緊締して、各挟持体100a,100bを締結して、高圧線および引下線を確実に挟持する。
【0005】
また、他の従来の電線用コネクタとして、上述した図7(a),(b)に示す電線用コネクタと同様に、互いに対向する内面が近接離間するように連結されるとともに、各内面が近接した状態で、被覆が剥離された高圧線および引下線の各露出導体を平行支持する一対の挟持体と、高圧線および引下線と、各挟持体とが電気的に接続されるように、各挟持体の近接状態を保持するための接続保持手段とを備えたものが知られている(例えば特許文献1)。
【0006】
そして、特許文献1の電線用コネクタと、図7(a),(b)に示す電線用コネクタとの異なる点としては、固定側挟持体に弾性部材を内挿した点と、ナットを固定側挟持体の外面に当接させて、固定側挟持体の外面から突出したボルトのねじ部の先端側にナットを螺合するようにした点と、固定側挟持体に形成した把持部を、可動側挟持体に形成した点とである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−56942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来のいずれの前記電線用コネクタの場合も、金属製の部材、すなわち固定側挟持体、可動側挟持体、ボルト、ナット、弾性部材で構成されているため、作業の安全性を確保するのが難しいという問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、前記問題を鑑み、高圧線に対する引下線の接続作業の安全性を確保できるようにした電線用コネクタを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る電線用コネクタは、互いに対向する内面が近接離間するように連結される一対の絶縁挟持体1a,1bと、各絶縁挟持体1a,1bの対向する内面が近接した状態で、被覆が剥離された第1および第2の電線K1,K2の各露出導体C1,C2を平行支持できるように、各内面に形成される一対の第1凹溝15a,15bおよび第2凹溝12a,12bと、各絶縁挟持体1a,1bにそれぞれ内設され、第1凹溝15a,15bの内壁に沿うように配置される第1接触部3a,3aと、第2凹溝12a,12bの内壁に沿うように配置される第2接触部3b,3bと、第1接触部3a,3aおよび第2接触部3b,3bを電気的に接続する接続部3cとを有する一対の接続導体3と、第1および第2の電線K1,K2の各露出導体C1,C2と、接続導体3の第1接触部3a,3aおよび第2接触部3b,3bとが電気的に接続されるように、各絶縁挟持体1a,1bの近接状態を保持するための接続保持手段30とを備えたことを特徴とする。
【0011】
この場合、各絶縁挟持体1a,1bの対向する内面において、第1および第2の電線K1,K2の各露出導体C1,C2と、接続導体3の第1接触部3a,3aおよび第2接触部3b,3bとが電気的に接続されるので、各絶縁挟持体1a,1bの外部に充電部が露出することがなく、安全に作業を行うことができる。
【0012】
また、本発明によれば、前記接続保持手段30は、各絶縁挟持体1a,1bが近接離間する方向に対して直交するように、かつ、接続導体3を各絶縁挟持体1a,1bの外面側から覆うように、各絶縁挟持体1a,1bにそれぞれ配置される一対の補強座板34を有するような構成を採用することもできる。
【0013】
この場合、接続保持手段30の補強座板34が、各絶縁挟持体1a,1bの近接離間する方向に対して直交するように内設されているので、第1および第2の電線K1,K2の各露出導体C1,C2と、接続導体3の第1接触部3aおよび第2接触部3bとが電気的に接続できるように、各絶縁挟持体1a,1bが近接状態に保持された際、各絶縁挟持体1a,1bにかかる近接方向の力を補強座板34によって受けるようになり、各絶縁挟持体1a,1bの強度を確保できるようになる。また、補強座板34は、各接続導体3を各絶縁挟持体1a,1bの外面側から覆っているので、接続導体3に対してかかる力も受けるようになり、接続導体3も保護することができる。したがって、接続導体3と、第1および第2の電線K1,K2との良好な電気的接続状態を維持できるようになる。
【0014】
また、本発明によれば、前記各絶縁挟持体1a,1bを透明に形成するとともに、前記接続導体3の第1接触部3a,3aおよび第2接触部3b,3bの端部を、該端部に位置する補強座板34の部位よりもやや突出するように構成するようにしてもよい。
【0015】
この場合、各絶縁挟持体1a,1bを透明にするとともに、接続導体3の第1接触部3a,3aおよび第2接触部3b,3bの端部を、第1接触部3a,3aおよび第2接触部3b、3bを覆う補強座板34の部位よりもやや突出するように構成するようにしたので、接続導体3の第1接触部3a,3aおよび第2接触部3b,3bと、第1および第2の電線K1,K2の各露出導体C1,C2との接続状態を外部から視認することができる。
【0016】
また、本発明の電線用コネクタは、互いに対向する内面が近接離間するように連結される一対の第1絶縁挟持体5a,5bと、各第1絶縁挟持体5a,5bの対向する内面が近接した状態で、被覆が剥離された第1の電線K1の露出導体C1を支持できるように、前記各内面に形成される一対の第1凹溝50a,50bと、被覆が剥離された第2の電線K2の露出導体C2を嵌入できるように、少なくともいずれか一方の第1絶縁挟持体5aの外面に、第1凹溝50aに対し平行して形成される第2凹溝51aと、該第2凹溝51aに嵌入された第2の電線K2の露出導体C2を、少なくともいずれか一方の第1絶縁挟持体5a,5bとで挟持できるように、第1絶縁挟持体5a,5bの外面に対して内面が近接離間するように配置される第2絶縁挟持体6、6a,6bと、各第1絶縁挟持体5a,5bにそれぞれ内設され、各第1凹溝50a,50bの内壁に沿うように配置される一対の第1接触部70a,70bと、少なくともいずれか一方の第2凹溝51a,51bの内壁に沿うように配置される第2接触部71aと、第1接触部70a,70bおよび第2接触部71aを電気的に接続する接続部72a,73a,73bとを有する一対の接続導体7a,7bと、第1および第2の電線K1,K2の各露出導体C1,C2と、接続導体7a,7bの第1接触部70a,70bおよび第2接触部71aとが電気的に接続されるように、各第1絶縁挟持体5a,5bの近接状態、および、第1絶縁挟持体5a,5bと第2絶縁挟持体6、6a,6bの近接状態を保持するための接続保持手段8、80a,80bとを備えたことを特徴とする。
【0017】
この場合、各第1絶縁挟持体5a,5bの内面によって、第1の電線K1の露出導体C1を挟持できるようになるとともに、各第1絶縁挟持体5a,5bの外面と各第2絶縁挟持体6、6a,6bの内面とで、第2の電線K2の露出導体C2を挟持できるようになる。すなわち、各第1絶縁挟持体5a,5bと第2絶縁挟持体6、6a,6bとによって、第1および第2の電線K1,K2を平行支持できるとともに、電気的に接続できるようになる。
【0018】
また、本発明によれば、前記接続保持手段8は、少なくともいずれか一方の第2凹溝51a,51bを通って各第1絶縁挟持体5a,5bを貫通する両端部が、第2絶縁挟持体6に連結される連結軸81と、第2凹溝51aに連通するように、連結軸81の端部側に軸線に沿って形成され、かつ、内壁に沿って絶縁部材82aが配置される長孔82と、該長孔82に遊挿される第2の電線K2の露出導体C2に当接するように、第2絶縁挟持体6の内面と第1絶縁挟持体5aの外面との間に介挿される絶縁座板83とを有するような構成を採用することもできる。
【0019】
この場合、連結軸81の端部側に形成される長孔82に、第2の電線K2の露出導体C2が遊挿されることで、第2の電線K2の露出導体C2は、連結軸81の軸部を貫通するようにして第2凹溝51a,51bに嵌入される。この際、長孔82の内壁に沿って絶縁部材82aが配置されるとともに、第2挟持体6の内面と第1絶縁挟持体5aの外面との間に絶縁座板83が介挿されるので、第2の電線K2の露出導体C2に対して第2挟持体6が絶縁された状態で圧接することになる。すなわち、充電部が外部に露出することがない。
【0020】
また、本発明によれば、前記第2の電線K2の露出導体C2に当接する前記絶縁座板83の当接面83aを凹凸形状に形成するような構成を採用することもできる。
【0021】
この場合、絶縁座板83の凹凸形状の当接面83aと、第2の電線K2の露出導体C2の外周面とが確実に接触するようになり、第2の電線K2の露出導体C2と接続導体7aの第2接触部71aとが電気的に確実に接続されるようになる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、一対の絶縁挟持体の近接する内面において、被覆が剥離された第1および第2の電線の各露出導体を電気的に接続した状態で平行支持するようにしたので、各絶縁挟持体の外部に充電部が露出することがなく、安全に作業を行うことができる。
【0023】
また、本発明によれば、互いの内面が近接離間するように連結される一対の第1絶縁挟持体と、少なくともいずれか一方の第1絶縁挟持体の外面に対して、内面が近接離間するように配置される第2絶縁挟持体とを備え、各第1絶縁挟持体の内面によって、第1の電線の露出導体を挟持することができるとともに、各第1絶縁挟持体の外面と各第2絶縁挟持体の内面とで、第2の電線の露出導体を挟持することができる。したがって、第1および第2の電線の接続作業において、安全性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】(a)は、本発明の第1実施形態に係る電線用コネクタを示す断面図、(b)は、図1(a)の右側面図。
【図2】図1の電線用コネクタの使用態様の説明図であり、(a)は、各絶縁挟持体において、接続導体の第2接触部に引下線が挿入された状態で、第1接触部に高圧線が嵌入されようとする状態を示す断面図、(b)は、高圧線および引下線が各絶縁挟持体によって平行支持された状態を示す断面図。
【図3】第1および第2接触部の端部が、該端部に位置する補強座板の部位よりも突出した接続導体の要部を示す側面図。
【図4】(a)は、本発明の第2実施形態に係る電線用コネクタを示す断面図、(b)は、図1(a)の右側面図。
【図5】図4の電線用コネクタの使用態様の説明図であり、(a)は、引下線が挿入されるボルトのねじ部の長孔、および、絶縁座板の当接面の説明図、(b)は、接続導体の第2接触部に引下線が挿入された状態で、第1接触部に高圧線が嵌入されようとする状態を示す断面図。
【図6】電線用コネクタの変形例を示す図。
【図7】(a)は、従来の電線用コネクタを示す正面図、(b)は、図7(a)の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に係る電線用コネクタの実施形態について図1(a),(b)〜図5を参照しながら説明する。なお、図1(a)、図4(a)を正面図とし、図1(b)、図4(b)を右側面図とする。
【0026】
(第1実施形態)
第1実施形態に係る電線用コネクタA1は、図7(a),(b)に示す電線用コネクタと略同様に構成されており、異なる点は、図1(a),(b)に示すように、一対の挟持体1a,1bが、例えば、ガラス繊維強化プラスチック(FRP)やポリカーボネート、または同等で堅固な絶縁部材で作製されて絶縁挟持体となっている点と、各絶縁挟持体1a,1bの第1凹溝15a,15bの内壁に沿うように配置される第1接触部3a,3aと、第2凹溝12a,12bの内壁に沿うように配置される第2接触部3b,3bと、第1接触部3a,3aおよび第2接触部3b,3bを電気的に接続する接続部3cとを有する一対の接続導体3が、各絶縁挟持体1a,1bにそれぞれ内設されている点と、各絶縁挟持体1a,1bが近接離間する方向に対して直交するように、かつ、接続導体3を各絶縁挟持体1a,1bの外面側から覆うように、各絶縁挟持体1a,1bにそれぞれ配置される一対の補強座板34,34を有する点とである。
【0027】
そして、各絶縁挟持体1a,1bは、上述した絶縁物で形成されるとともに、接続導体3の第1接触部3aおよび第2接触部3bが、補強座板34によって各絶縁挟持体1a,1bの外面側から覆われている。したがって、各絶縁挟持体1a、1bが、後述する接続保持手段30によって接続保持された状態では、各絶縁挟持体1a,1bおよび接続導体3に対する力が補強座板34によって阻止されるので、これら各部材1a,1b、3の強度を確保できる。
【0028】
一方の絶縁挟持体(以下、固定側絶縁挟持体という)1aは、横寸法が、他方の絶縁挟持体(以下、可動側絶縁挟持体という)1bの横寸法と同じで、縦寸法が、可動側絶縁挟持体1bの縦寸法よりも大きくなっている。すなわち、固定側絶縁挟持体1aは、可動側絶縁挟持体1bよりも細長い側面視矩形状を呈している。
【0029】
そして、固定側絶縁挟持体1aは、可動側絶縁挟持体1bの基端部よりも下側に位置する基端部に、間接活線工事用把持具(例えばヤットコなど)によって把持される把持部10aが形成されている。また、略中央部に、軸線に対して直交方向に形成された、後述する連結軸としてのボルト32の挿通孔11aが形成されている。また、固定側絶縁挟持体1aは、内面の下部(後述する可動側絶縁挟持体1bの第2凹溝12bに応じた位置)に、引下線の露出導体を挟持する第2凹溝12aが形成されている。この第2凹溝12aの一側(下側)の壁面が、可動側絶縁挟持体1bの第2凹溝12bよりも外方に延出されるように、かつ、可動側絶縁挟持体1bの下側端面よりも下方に位置するように、所定の角度で下降傾斜している。
【0030】
また、固定側絶縁挟持体1aは、第2凹溝12aの他側(上側)の壁面が、可動側絶縁挟持体1bの嵌入凹部13bに嵌入される突条支持部13aの一側面を構成しており、可動側絶縁挟持体1bの第2凹溝12bの上側に位置するように、かつ、可動側絶縁挟持体1bの嵌入凹部13bに位置するように高さ設定されている。また、突条支持部13aは、上述したように、その一側面が、第2凹溝12aの他側の壁面により構成され、他側面が可動側絶縁挟持体1bの内面に対して直交方向に形成され、先端部端面が可動側絶縁挟持体1bの嵌入凹部13bの内側に位置するとともに、該嵌入凹部13bの底面に対峙している。
【0031】
また、固定側絶縁挟持体1aは、ボルト32の挿通孔11aの外側に、ナット33が内挿される環状の内挿凹部14aが形成されている。また、固定側絶縁挟持体1aの内面の先端部に、高圧線の露出導体を挟持する第1凹溝15aが形成されるとともに、高圧線の露出導体を第1凹溝15aに嵌入しやすくするための傾斜面16aが第1凹溝15aの真上に連続して形成されている。
【0032】
また、固定側絶縁挟持体1aは、内面の略中央部(後述する可動側絶縁挟持体1bの当接部に対応する位置)に、平坦面からなる当接部17aが形成されている。
【0033】
可動側絶縁挟持体1bは、側面視矩形状を呈し、その略中央部に、上述したボルト32の挿通孔11bが形成されている。そして、該挿通孔11bにボルト32が挿通されて、ボルト32のねじ部32bの基端部が挿通孔11bの外面側の開口周縁部に位置している。また、可動側絶縁挟持体1bの基端部の内面に、引下線の露出導体を挟持する第2凹溝12bが形成され、その真上に、上述した固定側絶縁挟持体1aの突条支持部13aが嵌入される嵌入凹部13bが形成されている。また、可動側絶縁挟持体1bの内面の先端部に、高圧線の露出導体を挟持する第1凹溝15bが形成されている。そして、第1凹溝15bに比して嵌入凹部13bは深くなっている。また、高圧線の露出導体を第1凹溝15bに嵌入しやすくするための傾斜面16bが、第1凹溝15bの真上に連続して形成されている。また、嵌入凹部13bと第1凹溝15bとの間に、上述した固定側絶縁挟持体1aの当接部17aと当接する平坦面からなる当接部17bが形成されている。そして、固定側絶縁挟持体1aおよび可動側絶縁挟持体1bの各当接部17a,17bが当接することで、ボルト32の締めすぎによる、高圧線および引下線の各露出導体の損傷を防止している。すなわち、高圧線および引下線の露出導体と各絶縁挟持体1a,1bとが電気的に接続されるに適した状態で近接するように構成されている。また、互いの当接部17a,17が近接した状態においては、略直方体形状を呈するよう見える。
【0034】
そして、固定側絶縁挟持体1aおよび可動側絶縁挟持体1bの各第1凹溝15a,150bの円弧面によって、高圧線の露出導体が挟持されるとともに、各第2凹溝12a,12bの円弧面によって、引下線の露出導体が挟持される。さらに、固定側絶縁挟持体1aおよび可動側絶縁挟持体1bの各傾斜面16a,16bによって、外部に向かうにしたがって大きく開口するテーパが形成されている。
【0035】
接続保持手段30は、各絶縁挟持体1a,1bを近接する方向に常時付勢する一対のステンレス製の弾性部材31,31と、固定側絶縁挟持体1aの内挿凹部14aに内挿されたステンレス製のナット33に螺合して、各絶縁挟持体1a,1bを近接離間させるステンレス製のボルト(連結軸)32とを有している。
【0036】
弾性部材31,31は、半円形状に曲げ加工されるとともに、両端部が互いに内側に向かって水平方向に折り曲げられた一対の線材からなる。そして、弾性部材31,31は、固定側絶縁挟持体1aおよび可動側絶縁挟持体1bを跨ぐように配置されている。具体的に説明すると、固定側絶縁挟持体1aの把持部10aの基端部の両側に挿通されて、弾性部材31,31の両端部が、弾性に抗してやや押し広げられた状態で、弾性部材31,31の一端部(折り曲げ端部)を、各絶縁挟持体1a,1bの略中央部の両側端部に係止している。すなわち、やや押し広げられた状態の弾性部材31,31が、各絶縁挟持体1a,1bの両側端部に係止することで、各絶縁挟持体1a,1bの略全体に弾性部材31,31の付勢力がかかるようになり、各絶縁挟持体1a,1bが常時近接するように弾性付勢されている。
【0037】
ボルト32は、可動側絶縁挟持体1bの略中央部に、該中央部の外面に当接した平座金Wに、バネ座金SWを介して挿通され、固定側絶縁挟持体1aの内挿凹部14aに内挿されたナット33に螺合している。そして、ボルト32を緩めると、固定側絶縁挟持体1aおよび可動側絶縁挟持体1bが離間し、ボルト32を締め付けると、固定側絶縁挟持体1aおよび可動側絶縁挟持体1bが近接するようになっている。
【0038】
ナット33は、接続導体3および補強座板34のボルト32の挿通孔によって構成される内挿凹部14aに内挿されており、該内挿凹部14aの壁面にナット33の側面が囲繞され、内挿凹部14aの開口部からナット33の端面が外部に露出している。
【0039】
接続導体3は、各絶縁挟持体1a,1bの第1凹溝15a,15bの内壁に沿うように配置される樋状の第1接触部3a,3aと、第2凹溝12a,12bの内壁に沿うように配置される樋状の第2接触部3b,3bと、第1接触部3a,3aおよび第2接触部3b,3bを電気的に接続する断面コ字形状の接続部3cとを有している。第1接触部3a,3aは、高圧線の露出導体の外周面に当接する一対の円弧面を有しており、各円弧面によって大径の接触部が形成される。第2接触部3b,3bは、引下線の露出導体の外周面に当接する一対の円弧面を有しており、各円弧面によって小径の接触部が形成される。接続部3cの略中央部に、ボルト32のねじ部32bとの絶縁距離を十分に確保できる大きさの挿通孔3dが形成されている。
【0040】
補強座板34は、ステンレス鋼線材で作製され、基端部、中央部、先端部にかけて略全体的に亘って配置され、固定側挟持体1aおよび可動側挟持体1bにインサート成形されている。そして、ボルト32・ナット33の締結に対して、固定側挟持体1aおよび可動側挟持体1bに補強座板34が一体成形されることによって、固定側挟持体1aおよび可動側挟持体1bが補強されている。また、補強座板34の両端部が内側に折り曲げられて、高圧線および引下線の各露出導体に対する固定側挟持体1aおよび可動側挟持体1bによる挟持力が向上されている。
【0041】
ところで、第1の電線としての高圧線の導体がアルミ製で、第2の電線としての引下線の導体が銅製の場合、酸化しやすい銅製の引下線を下側に配置して、高圧線を上側に配置し、高圧線および引下線に接触する異なる素材で作製された接続導体3の端部を圧着して接続する。また、高圧線および引下線の導体の素材が同じであれば、各電線の位置関係は考慮する必要はない。
【0042】
つぎに、第1実施形態に係る電線用コネクタA1の使用態様について図2(a),(b)を参照しつつ説明する。まず、予め各絶縁挟持体1a,1bの第2凹溝12a,12bに、被覆が剥離された引下線K2の露出導体C2を挿通して、該露出導体C2の先端部を折り曲げて、各絶縁挟持体1a,1bの第2凹溝12a,12bから抜けないようにしておく。この状態で、間接活線工事用把持具で、固定側挟持体1aの把持部10aを把持し、図2(a)に示すように、固定側挟持体1aおよび可動側挟持体1bの各傾斜面16a,16bにより形成されるテーパに、被覆が剥離された高圧線K1の露出導体C1の外周面を当接させる。そして、該高圧線K1の露出導体C1を、固定側挟持体1aおよび可動側挟持体1bの第1凹溝15a,15bの空間に向かって移動させる。
【0043】
この際、高圧線K1の露出導体C1が、各絶縁挟持体1a,1bの第1凹溝15a,15bの空間に嵌入されるにしたがって、各絶縁挟持体1a,1bの第1凹溝15a,15bの内面が、高圧線K1の露出導体C1の外周面に沿うように摺動することで、固定側挟持体1aから可動側挟持体1bが少し傾いて離間するようになり、各絶縁挟持体1a,1bの第1凹溝15a,15bの内壁間に、高圧線K1の露出導体C1が嵌入される。
【0044】
そして、図2(b)に示すように、高圧線K1の露出導体C1が嵌入されると、ボルト32を締め付けて、各第1凹溝15a,15bの内面を高圧線K1の露出導体C1に圧接させて、高圧線K1の露出導体C1を挟持する一方、各第2凹溝12a,12bの内面を引下線K2の露出導体C2に圧接させて、引下線K2の露出導体C2を挟持する。
【0045】
以上説明したように、本実施形態に係る電線用コネクタによれば、一対の絶縁挟持体1a,1bの近接する内面において、被覆が剥離された高圧線K1および引下線K2の各露出導体C1,C2を電気的に接続した状態で平行支持するようにしたので、各絶縁挟持体1a,1bの外部に充電部が露出することがなく、安全に作業を行うことができる。
【0046】
なお、前記第1実施形態の場合、接続導体3を補強座板34によって覆われるようにしたが、図3に示すように、各絶縁挟持体1a,1bを透明に形成するとともに、接続導体3の第1接触部3aおよび第2接触部3bの両側端部を、該両側端部に位置する補強座板34の部位よりもやや外方に突出するようにしてもよい。すなわち、接続導体3の第1接触部3aおよび第2接触部3bの両側端部が、補強座板34よりもやや外方に突出することで、接続導体3の第1接触部3a,3aおよび第2接触部3b,3bと、高圧線K1の露出導体C1および引出線K2の露出導体C2との接続状態を外部から視認することができる。
【0047】
(第2実施形態)
つぎに第2実施形態に係る電線用コネクタについて、図4(a),(b)および図5(a),(b)を参照しつつ説明する。本実施形態に係る電線用コネクタA2は、間接活線工事用把持具を使用せずに、絶縁用のゴム手袋を装着して取り扱われる。該電線用コネクタA2は、図4(a),(b)に示すように、互いに対向する内面が近接離間するように連結される一対の第1絶縁挟持体5a,5bと、一方の第1絶縁挟持体5aの外面に対して内面が近接離間するように配置される第2絶縁挟持体6と、各第1絶縁挟持体5a,5bにそれぞれ内設される一対の接続導体7と、高圧線および引下線の各露出導体と接続導体7とが電気的に接続されるように、各第1絶縁挟持体5a,5bおよび第2絶縁挟持体6の近接状態を保持するための接続保持手段8とを備えている。
【0048】
各第1絶縁挟持体5a,5bは、対向する内面が近接した状態で、被覆が剥離された第1の電線としての高圧線の露出導体を支持できるように、前記各内面の先端部側に形成される一対の第1凹溝50a,50bと、被覆が剥離された第2の電線としての引出線の露出導体を挿入できるように、一方の第1絶縁挟持体5aの外面に、第1凹溝50aに対し平行して形成される第2凹溝51aとを有している。
【0049】
一方の第1絶縁挟持体5aは、本体の幅(横)寸法が高さ(縦)寸法よりもやや大きい矩形状を呈している。そして、一方の第1絶縁挟持体5aの先端部は、第1凹溝50aに沿うように内側に向かって湾曲している。基端部は、幅大の本体に対して幅小になり、下方に向かうにしたがって薄肉になっている。中途部は、ボルトBのねじ部81が挿通される挿通孔52aが形成され、外面に、上述した第2凹溝51aが幅方向に沿って形成されるとともに、内面に、他方の第1絶縁挟持体5bの凸状の当接部53bと当接する凹状の当接部53aが形成されている。
【0050】
他方の第1絶縁挟持体5bは、一方の第1絶縁挟持体5aと略同様の構成であり、本体の幅(横)寸法が高さ(縦)寸法よりもやや大きく、先端部は、第1凹溝50bに沿うように内側に向かって湾曲し、基端部は、幅大の本体に対して幅小になり、下方に向かうにしたがって薄肉で、中途部は、ボルトBのねじ部81が挿通される挿通孔52bが形成され、内面に、一方の第1絶縁挟持体5aの凹状の当接部53aと当接する凸状の当接部53bが形成されるとともに、外面に、ボルトBのねじ部81に螺合するナット9、バネ座金SW、平座金Wを受ける平坦な受け部54が形成されている。
【0051】
そして、各第1絶縁挟持体5a,5bの当接部53a,53bが当接した状態においては、各第1絶縁挟持体5a,5bの先端部は、高圧線の露出導体を嵌入できる程度に離間しており、高圧線の露出導体に沿うように横長の先端開口部55が形成されている。この先端開口部55によって、高圧線の露出導体が嵌入しやすくなっている。
【0052】
第2絶縁挟持体6は、一方の第1絶縁挟持体5aの中途部から他方の第1絶縁挟持体5bの中途部に向かって貫通するステンレス製のボルトBの頭部で構成され、該ボルトBの頭部6の内面と、一方の第1絶縁挟持体5aの外面との間に介挿される側面視矩形状の絶縁座板83によって、充電部と絶縁されるようになっている。すなわち、第2絶縁挟持体6は、そのもの自体が絶縁物ではなく、絶縁物(絶縁座板83)によって絶縁される絶縁体となっている。そして、第2絶縁挟持体6は、一方の第1絶縁挟持体5aの第2凹溝51aに嵌入された引下線の露出導体を、一方の第1絶縁挟持体5aとで挟持するようになっている。
【0053】
接続導体7は、一方の第1絶縁挟持体5aにおいて、一方の第1絶縁挟持体5aの第1凹溝50aの内壁に沿うように配置される第1接触部70aと、一方の第1絶縁挟持体5aの第2凹溝51aの内壁に沿うように配置される第2接触部71aと、各接触部70a,71aを電気的に接続する第1接続部72aと、一端部が第1接続部72aに接続されるとともに、他端部が一方の第1絶縁挟持体5aの内面に導出された第2接続部73aとを有している。また、他方の絶縁挟持体5bにおいて、他方の第1絶縁挟持体5bの第1凹溝50bの内壁に沿うように配置される第1接触部70bと、一端部が第1接触部50bに接続されるとともに、他端部が他方の第1絶縁挟持体5bの内面に導出された第2接続部73bとを有している。
【0054】
前記接続保持手段8は、各第1絶縁挟持体5a,5bを近接する方向に常時付勢する一対のステンレス製の弾性部材80と、一方の第1絶縁挟持体5aの第2凹溝51aを通って、他方の第1絶縁挟持体5bを貫通する一端部が、第2絶縁挟持体6に連結される連結軸としてのボルトBのねじ部81と、図5(a)に示すように、該連結軸81の一端部側に軸線に沿って形成され、かつ、内壁に沿って絶縁部材が配置される長孔82と、該長孔82の内壁に沿って配置された絶縁部材82aと、長孔82に遊挿される引下線の露出導体に当接する上述した絶縁座板83とを有している。
【0055】
弾性部材80は、半円形状に曲げ加工されるとともに、両端部が互いに内側に向かって折り曲げられた線材を有している。そして、該線材は、各第1絶縁挟持体5a,5bの基端部を跨ぐように配置されている。具体的に説明すると、各第1絶縁挟持体5a,5bの基端部に、弾性に抗してやや押し広げられた状態で、線材の一端部(折り曲げ端部)が、一方の第1絶縁挟持体5aの基端部に係止し、他端部が、他方の第1絶縁挟持体5bの基端部に係止している。すなわち、やや押し広げられた状態の線材の両端部が各第1絶縁挟持体5a,5bの基端部に係止することで、各第1絶縁挟持体5a,5bが常時近接するように弾性付勢されている。
【0056】
連結軸81は、上述したように、第2絶縁挟持体としてのボルトBの頭部6に固着されるボルトBのねじ部81である。そして、連結軸81の他端部は、他方の第1絶縁挟持体5bを貫通して、他方の第1絶縁挟持体5bの外面から突出している。
【0057】
絶縁座板83は、図4(b)に示すように、側面視矩形状を呈しており、一方の第1絶縁挟持体5aの幅方向に沿うように配置されている。そして、引出線の露出導体は、ボルトBのねじ部81を貫通するようにして、一方の第1絶縁挟持体5aの第2凹溝51aに嵌入される。この際、長孔82の内壁に沿って絶縁部材82aが配置されるとともに、ボルトBの頭部6の内面と一方の第1絶縁挟持体5aの外面との間に絶縁座板83が介挿されているので、引出線の露出導体に対してボルトBの頭部(第2挟持体)6が絶縁された状態で圧接することになる。すなわち、充電部が外部に露出することがない。また、絶縁座板83には、補強用の平板状の芯材84が内挿される一方、ナット9側の平座金Wも補強座板となっている。これらの座板83,Wによって、ボルトBの締結時の力が各第1絶縁挟持体5a,5bのボルトBの貫通部位に集中してかからないようになっている。すなわち、各第1絶縁挟持体5a,5bに対して補強が確保されている。さらに、絶縁座板83は、図5(a)に示すように、引出線の露出導体に当接する当接面83aが凹凸形状に形成されている。すなわち、絶縁座板83の凹凸形状の当接面83aと、引出線の露出導体の外周面とが確実に接触するようになり、引出線の露出導体と接続導体7の第2接触部71aとが電気的に確実に接続されるようになる。
【0058】
つぎに第2実施形態に係る電線用コネクタの使用態様について、図5(a),(b)を参照しつつ説明する。まず、作業者は、絶縁用のゴム手袋を装着して、図5(a)に示すように、ボルトBを少し緩めて、第2絶縁挟持体としてのボルトBの頭部6を、一方の第1絶縁挟持体5aの第2凹溝51aから少し離間させ、被覆が剥離された引下線K2の露出導体C2を挿通して、該露出導体C2の先端部を折り曲げて、ボルトBを少し締め付けて、絶縁座板83と一方の第1絶縁挟持体5aの外面とで圧接し、引下線K2の露出導体C2が一方の第1絶縁挟持体5aの第2凹溝51aから抜けないようにしておく。
【0059】
この状態で、各第1絶縁挟持体5a,5bを把持し、図5(b)に示すように、各第1絶縁挟持体5a,5bの先端開口部に、被覆が剥離された高圧線K1の露出導体C1の外周面を当接させる。そして、各第1絶縁挟持体5a,5bの先端開口部55を高圧線K1の露出導体C1に押圧して、各第1絶縁挟持体5a,5bの第1凹溝50a,50bに高圧線K1の露出導体C1を嵌入させる。具体的に説明すると、高圧線K1の露出導体C1が各第1絶縁挟持体5a,5bの第1凹溝50a,50bの空間に嵌入されるにしたがって、各第1絶縁挟持体5a,5bの第1凹溝50a,50bの内面が、高圧線K1の露出導体C1の外周面に沿うように摺動することで、各第1絶縁挟持体5a,5bが互いに反対方向、すなわち離間する方向に動くようになり、各第1絶縁挟持体5a,5bの第1凹溝50a,50bの内壁間に、高圧線K1の露出導体C1が嵌入される。その後、ボルトBを緊締することで、各第1絶縁挟持体5a,5bが締結されるとともに、各第1絶縁挟持体5a,5bと第2絶縁挟持体(ボルトBの頭部)6とが締結される。
【0060】
以上説明したように、本実施形態に係る電線用コネクタによれば、互いの内面が近接離間するように連結される一対の第1絶縁挟持体5a,5bと、一方の第1絶縁挟持体5aの外面に対して、内面が近接離間するように配置される第2絶縁挟持体6とを備え、各第1絶縁挟持体5a,5bの内面によって、高圧線K1の露出導体C1を挟持することができるとともに、一方の第1絶縁挟持体5aの外面と第2絶縁挟持体6の内面とで、引下線K2の露出導体C2を挟持することができる。したがって、各電線K1,K2の接続作業において、安全性を確保することができる。
【0061】
なお、前記第2実施形態の場合、一対の第1絶縁挟持体5a,5bの外面に近接離間するように一つの第2絶縁挟持体6を配置するようにしたが、図6に示すように、一対の第1絶縁挟持体5a,5bの外面のそれぞれに近接離間する一対の第2絶縁挟持体6a,6bを配置するようにしてもよい。
【0062】
また、本発明に係る電線用コネクタは、前記第1および第2実施形態に限定することなく種々変更することができる。
【0063】
例えば、強度を十分に確保できる硬質の絶縁物で絶縁挟持体を作製した場合は、補強座板34、83は不要になる。
【符号の説明】
【0064】
1a,1b、5a,5b…絶縁挟持体、6、6a,6b…第2挟持体、15a,15b、50a,50b…第1凹溝、12a,12b、51a…第2凹溝、3…接続導体、3a、70a,70b…第1接触部、3b、71a…第2接触部、3c、72a,73a,73b…接続部、8,30…接続保持手段、34…補強座板、81…連結軸、82a…絶縁部材、83…絶縁座板、83a…当接面、A1,A2…電線用コネクタ、C1…高圧線の露出導体、C2…引出線の露出導体、K1…電線(高圧線)、K2…電線(引出線)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する内面が近接離間するように連結される一対の絶縁挟持体(1a,1b)と、
各絶縁挟持体(1a,1b)の対向する内面が近接した状態で、被覆が剥離された第1および第2の電線(K1,K2)の各露出導体(C1,C2)を平行支持できるように、各内面に形成される一対の第1凹溝(15a,15b)および第2凹溝(12a,12b)と、
各絶縁挟持体(1a,1b)にそれぞれ内設され、第1凹溝(15a,15b)の内壁に沿うように配置される第1接触部(3a,3a)と、第2凹溝(12a,12b)の内壁に沿うように配置される第2接触部(3b,3b)と、第1接触部(3a,3a)および第2接触部(3b,3b)を電気的に接続する接続部(3c)とを有する一対の接続導体(3)と、
第1および第2の電線(K1,K2)の各露出導体(C1,C2)と、接続導体(3)の第1接触部(3a,3a)および第2接触部(3b,3b)とが電気的に接続されるように、各絶縁挟持体(1a,1b)の近接状態を保持するための接続保持手段(30)とを備えたことを特徴とする電線用コネクタ。
【請求項2】
前記接続保持手段(30)は、各絶縁挟持体(1a,1b)が近接離間する方向に対して直交するように、かつ、接続導体(3)を各絶縁挟持体(1a,1b)の外面側から覆うように、各絶縁挟持体(1a,1b)にそれぞれ配置される一対の補強座板(34)を有することを特徴とする請求項1に記載の電線用コネクタ。
【請求項3】
前記各絶縁挟持体(1a,1b)が透明に形成されるとともに、前記接続導体(3)の第1接触部(3a,3a)および第2接触部(3b,3b)の端部が、該端部に位置する前記補強座板(34)の部位よりもやや突出するように構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の電線用コネクタ。
【請求項4】
互いに対向する内面が近接離間するように連結される一対の第1絶縁挟持体(5a,5b)と、
各第1絶縁挟持体(5a,5b)の対向する内面が近接した状態で、被覆が剥離された第1の電線(K1)の露出導体(C1)を支持できるように、前記各内面に形成される一対の第1凹溝(50a,50b)と、
被覆が剥離された第2の電線(K2)の露出導体(C2)を嵌入できるように、少なくともいずれか一方の第1絶縁挟持体(5a)の外面に、第1凹溝(50a)に対し平行して形成される第2凹溝(51a)と、
該第2凹溝(51a)に嵌入された第2の電線(K2)の露出導体(C2)を、少なくともいずれか一方の第1絶縁挟持体(5a,5b)とで挟持できるように、第1絶縁挟持体(5a,5b)の外面に対して内面が近接離間するように配置される第2絶縁挟持体(6、6a,6b)と、
各第1絶縁挟持体(5a,5b)にそれぞれ内設され、各第1凹溝(50a,50b)の内壁に沿うように配置される一対の第1接触部(70a,70b)と、少なくともいずれか一方の第2凹溝(51a,51b)の内壁に沿うように配置される第2接触部(71a)と、第1接触部(70a,70b)および第2接触部(71a)を電気的に接続する接続部(72a,73a,73b)とを有する一対の接続導体(7a,,7b)と、
第1および第2の電線(K1,K2)の各露出導体(C1,C2)と、接続導体(7a,7b)の第1接触部(70a,70b)および第2接触部(71a)とが電気的に接続されるように、各第1絶縁挟持体(5a,5b)の近接状態、および、第1絶縁挟持体(5a,5b)と第2絶縁挟持体(6、6a,6b)の近接状態を保持するための接続保持手段(8、80a,80b)とを備えたことを特徴とする電線用コネクタ。
【請求項5】
前記接続保持手段(8)は、少なくともいずれか一方の第2凹溝(51a,51b)を通って各第1絶縁挟持体(5a,5b)を貫通する両端部が、第2絶縁挟持体(6)に連結される連結軸(81)と、第2凹溝(51a)に連通するように、連結軸(81)の端部側に軸線に沿って形成され、かつ、内壁に沿って絶縁部材(82a)が配置される長孔(82)と、該長孔(82)に遊挿される第2の電線(K2)の露出導体(C2)に当接するように、第2絶縁挟持体(6)の内面と第1絶縁挟持体(5a)の外面との間に介挿される絶縁座板(83)とを有することを特徴とする請求項4に記載の電線用コネクタ。
【請求項6】
前記絶縁座板(83)は、前記第2の電線(K2)の露出導体(C2)に当接する当接面(83a)が凹凸形状に形成されることを特徴とする請求項5に記載の電線用コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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