説明

電線着色装置

【課題】簡単な装置構成で電線の視認性及び意匠性を向上させる。
【解決手段】液状の着色材を電線3の外表面3aに付着させて、該外表面3aに帯状の意匠パターン6を形成する電線着色装置1であって、電線3の外表面3aに向かって着色材を噴出する着色手段13と、意匠パターン6に対応した外表面3aの複数の着色領域3bの各々の全周に亘って着色材が付着され且つ電線3の長手方向Aと交差するように、着色手段13の着色材を噴出する先端部分を往復可能かつ円弧状に移動させる往復移動手段18と、着色手段13及び往復運動手段18又は電線3の何れかを電線3の長手方向Aに移動させる移動手段14と、着色手段13が着色領域3bに着色材を付着する位置に移動手段14によって移動したときに、着色手段13による着色材の噴出及び着色手段13の往復移動を制御する着色制御手段21aと、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性の芯線と、この芯線を被覆する絶縁性の被覆部とを備えた電線を着色する電線着色装置に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体としての自動車などには、種々の電子機器が搭載される。このため、前記自動車などは、前記電子機器に電源などからの電力やコンピュータなどからの制御信号などを伝えるために、ワイヤハーネスを配索している。ワイヤハーネスは、複数の電線と、該電線の端部などに取り付けられたコネクタなどを備えている。
【0003】
電線は、導電性の芯線と該芯線を被覆する絶縁性の合成樹脂からなる被覆部とを備えている。電線は、所謂被覆電線である。コネクタは、導電性の端子金具と絶縁性のコネクタハウジングとを備えている。端子金具は、電線の端部などに取りつけられかつ該電線の芯線と電気的に接続する。コネクタハウジングは、箱状に形成されかつ端子金具を収容する。
【0004】
前記ワイヤハーネスを組み立てる際には、まず電線を所定の長さに切断した後、該電線の端部などに端子金具を取り付ける。必要に応じて電線同士を接続する。その後、端子金具をコネクタハウジング内に挿入する。こうして、前述したワイヤハーネスを組み立てる。
【0005】
前述したワイヤハーネスの電線は、芯線の大きさと、被覆部の材質(耐熱性の有無などによる材質の変更)と、使用目的などを識別する必要がある。なお、使用目的とは、例えば、エアバック、ABS(Antilock Brake System)や車速情報などの制御信号や、動力
伝達系統などの電線が用いられる自動車の系統(システム)である。
【0006】
ワイヤハーネスの電線は、前述した使用目的(系統)を識別するために、外表面が互いに異なる2色でストライプ模様に形成されてきた。そこで、従来から芯線の周りに合成樹脂を押し出し被覆して、被覆部を形成する際に、まず、被覆部を構成する合成樹脂に所望の色の着色剤を混入する。そして、芯線を被覆した合成樹脂即ち被覆部の外表面の一部に、前記着色剤と異なる色の着色剤を付着させる。こうして、被覆部の外表面の一部を着色して、電線をストライプ模様に着色してきた(マーキングしてきた)。
【0007】
しかしながら、電線の製造時においては電線の種類等を電線の色で判別するため、ストライプ模様の電線では、電線の見る方向によっては模様を認識できない虞があったことから、本発明の出願人は、製造後の単色の電線を着色する際に、液状の着色材を電線の外表面に向かって一定量ずつ滴射して、該着色材の液滴が電線の軸線を中心とした螺旋状に電線の外表面に付着させる電線の着色装置を提案している(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−79200号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように螺旋状の着色を電線に施すことで、電線をあらゆる方向から見ても、電線の外表面に形成された複数の点を容易に認識できるようになった。しかしながら、製造する電線の種類の増加に伴って1つの色(マーク)のみでは、電線の種類を管理することが困難であることから、色の組み合わせ等によって管理するようになっているが、複数色の点を螺旋状に着色すると、電線の見る方向によっては模様を認識できない虞があった。
【0009】
また、着色装置の着色ノズルを電線上で移動させる場合、電線の長手方向及び直交方向に移動させる必要があったため、2つのモータを用いて2軸方向の制御を行う必要があり、1軸ロボット等を2台使用しなければならず、装置の価格が非常に高価となり且つ制御が複雑化してしまうという問題があった。さらに、電線のサイズが変わると、そのサイズに合わせて着色装置等の移動量を調整する必要があったため、装置が大型化してしまうという問題があった。
【0010】
よって本発明は、上述した問題点に鑑み、簡単な装置構成で電線の視認性及び意匠性を向上することができる電線着色装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため本発明によりなされた請求項1記載の電線着色装置は、図1の基本構成図に示すように、液状の着色材を電線3の外表面3aに付着させて、該外表面3aに帯状の意匠パターン6を形成する電線着色装置1であって、前記電線3の外表面3aに向かって前記着色材を噴出する着色手段13と、前記意匠パターン6に対応した前記外表面3aの複数の着色領域3bの各々の全周に亘って前記着色材が付着され且つ前記電線3の長手方向Aと交差するように、前記着色手段13の着色材を噴出する先端部分を往復可能かつ円弧状に移動させる往復移動手段18と、前記着色手段13及び前記往復運動手段18又は前記電線3の何れかを前記電線3の長手方向Aに移動させる移動手段14と、前記着色手段13が前記着色領域3bに前記着色材を付着する位置に前記移動手段14によって移動したときに、前記着色手段13による着色材の噴出及び前記着色手段13の往復移動を制御する着色制御手段21aと、を有することを特徴とする。
【0012】
上記請求項1に記載した本発明の電線着色装置によれば、着色手段13及び往復運動手段18又は電線3の何れかが移動手段14によって電線3の長手方向Aに移動されると、着色領域3bに対応した位置で、着色制御手段21aの制御によって着色手段13は着色材を噴出し、かつ、往復移動手段18はその着色手段13の着色材を噴出する先端部分を円弧状に往復移動させる。そして、電線3の外表面3aの複数の着色領域3bの各々の全周に亘って着色材が付着されて、電線3の外表面3aに帯状の意匠パターン6が形成される。
【0013】
請求項2記載の発明は、図1の基本構成図に示すように、請求項1に記載の電線着色装置において、前記往復移動手段18が、前記電線3に対する垂線上に設定された任意の点を中心とする円周上となるように前記着色手段13の先端部分を移動させるエアシリンダを有することを特徴とする。
【0014】
上記請求項2に記載した本発明の電線着色装置によれば、往復移動手段18のエアシリンダは、着色手段13の先端部分の移動軌跡が電線3に対する垂線上の設定された任意の点を中心とした円周上となるように、着色手段13の先端部分を移動させる。
【0015】
請求項3記載の発明は、図1の基本構成図に示すように、請求項2に記載の電線着色装置において、前記着色手段13が前記電線3に対して噴出した着色材の飛散を防止する飛散防止部材71を有することを特徴とする。
【0016】
上記請求項3に記載した本発明の電線着色装置によれば、着色手段13が円弧状に往復移動した状態で電線3に着色材を噴出しても、飛散防止部材71によってその着色材の飛散が防止される。
【0017】
請求項4記載の発明は、図1の基本構成図に示すように、請求項1〜3の何れか1項に記載の電線着色装置において、前記着色制御手段21aが、前記往復移動手段18による前記着色手段13の往復移動中にのみ着色材を噴出するように制御する手段であることを特徴とする。
【0018】
上記請求項4に記載した本発明の電線着色装置によれば、往復移動手段18がその着色手段13の先端部分を円弧状に往復移動させるときのみ、表示制御手段21aは着色材を噴出させることができる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように請求項1に記載した本発明によれば、着色材を噴出する着色手段の先端部分を電線の長手方向に交差するように円弧状に往復移動させ、その着色手段を電線の長手方向に移動するようにして、複数の着色領域の全周に亘って着色材を付着させるようにしたことから、着色手段を電線と交差する方向に移動させることなく、電線の外表面の全周に亘って帯状の意匠パターンを確実に形成することができるため、電線に対応した意匠パターンを電線のあらゆる方向から見ても容易に認識することができる。また、複数の着色手段を長手方向の一方向のみに移動させれば良いため、移動手段の簡単化を図ることが可能となり、コストダウンを図ることができる。従って、装置構成及び制御の簡単化を図ることができ、且つ、外表面の一部に着色した電線よりも視認性及び意匠性を向上することができるという効果を奏する。また、電線の識別が可能な意匠パターンを電線に容易に形成することができるため、複数の色毎に用意する電線の在庫削減に貢献することができる。さらに、在庫削減に応じて電線棚等を削減することができるため、電線の製造工程に設けるスペースの削減にも貢献することができる。
【0020】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、着色手段の先端部分の移動軌跡が、電線に対する垂線上の設定された任意の点を中心とした円周上となるように着色手段の先端部分を移動させるようにしたことから、着色材を電線に対して広範囲に噴出させることができるため、電線の外表面の全周に亘って帯状の意匠パターンをより一層確実に形成することができるとともに、電線のサイズ変更にも容易に対応することができる。
【0021】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の発明の効果に加え、飛散防止部材によって着色材の飛散を防止するようにしたことから、着色手段の円弧状に往復移動させる範囲を広く設定することができるため、電線の外表面の全周に亘って帯状の意匠パターンをより一層確実に形成することができるとともに、電線のサイズ変更にも容易に対応することができる。
【0022】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1〜3の何れか1項に記載の発明の効果に加え、着色手段の先端部分を円弧状に往復移動させるときのみ、着色手段に着色材を噴出させるようにしたことから、より一層の制御の簡単化を図ることができるとともに、着色材の噴出量を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明に係る電線着色装置の一実施の形態を、図2〜図9の図面を参照して説明する。
【0024】
ワイヤハーネスを製造するワイヤハーネス製造システムには、図2に示すように、電線切断工程P1、着色工程P2、端子圧着工程P3、ジョイント工程P4等の複数の工程を有している。そして、本最良の形態では、本発明による電線着色装置を着色工程P2に設ける場合について説明するが、上記システムに着色工程P2を設けない場合は、切断工程P1や端子圧着工程P3に電線着色装置を設けることになる。
【0025】
なお、ワイヤハーネスは、複数のサブワイヤハーネスを備えている。サブワイヤハーネスは、前述した自動車に搭載される系統(システム)毎に設けられている。各サブワイヤハーネスは、複数の電線と、該電線の端部などに取り付けられたコネクタなどを備えている。
【0026】
電線切断工程P1では、電線選択、測長、切断等を行う。該電線切断工程P1は、図3に示す電線作製装置100を備えている。
【0027】
電線作製装置100は、リール状の長尺電線を所定の長さで切断し、定尺の電線を作製して、該電線を各種工程に供される電線クランプ竿等にU字状にして電線の各端部を係止する。そして、該電線クランプ竿等は、上述した複数の工程に亘って設けられた搬送装置10によって着色工程P2に搬送される。
【0028】
搬送装置10は、上述した複数の工程に亘って循環しているベルトや鎖等の搬送帯と、該搬送帯の駆動原減である搬送用駆動モータと、該搬送用駆動モータの駆動を制御する搬送用制御部と、を有している。つまり、搬送用制御部の制御による搬送用駆動モータの駆動に応じて電線クランプ竿が各工程に搬送される。また、本最良の形態では、搬送用制御部が、後述する圧着機の圧着する周期(タクトタイム)に応じて間欠的に搬送用駆動モータを駆動させることで、複数の電線を間欠的に搬送させている。
【0029】
また、電線クランプ竿は、図示しないが、電線を挟持する複数の挟持部11と、該挟持部11を所定の間隔で固定する固定部と、を有している。そして、電線作製装置100は、電線のUターン旋回ヘッドを用いて電線の先端部をU字状に折り曲げた状態で、電線の両端寄りを一対の挟持部11に挟持させるようにしている。
【0030】
着色工程P2では、電線切断工程P1から搬送される電線に、液状の着色材を電線の外表面に付着させて、該電線の識別が可能な帯状の意匠パターンを形成する。そして、着色工程P2は、後述する本発明の電線着色装置1を有している。
【0031】
端子圧着工程P3では、仕分け・アプリケータ(A/P)段取・圧着・検査・マジック付け(マーキング)等を行う。すなわち、先ず端子の種類毎に電線を仕分けする。A/P段取は、端子圧着機200のA/P(アプリケータ)を端子の種類に応じて載せ換えたり、圧着高さを調整したりすることである。A/Pは圧着具である昇降式の上型(クリンパ)と固定式の下型(アンビル)とを含む。電線の端末に端子を圧着した後、圧着状態を目視やテレビカメラで検査し、後述の端子挿入工程での識別のためにマジックインクで端子に識別印を付ける。
【0032】
端子圧着機200は、それぞれ異種類の端子を圧着するもので、装置自体の構成は既知である。端子圧着機200は、電線クランプ竿によって搬送された電線に対して、前記圧着具を用いて端子を圧着するものである。
【0033】
ジョイント工程P4では、ジョイント仕分け・ジョイント中剥き・A/P段取・ジョイント圧着・検査・ジョイントテープ巻きを行う。すなわち、先ずジョイント端子の種類やジョイント位置に応じて、端子圧着工程P3の端子付き電線を仕分けする。次いで電線の中間部の絶縁被覆を皮剥き機で皮剥きする。さらに端子圧着と同様にジョイント圧着機のA/Pをジョイント端子に応じて段取する。そして電線の皮剥き位置に別の電線の端末をジョイント端子で分岐接続する。圧着状態を検査した後、ジョイント部を絶縁ビニールテープでテープ巻きする。
【0034】
その後の工程では、例えば、端子圧着工程P3で端子圧着した電線やジョイント工程P4でジョイントした電線を品番ごとにセットする。そして、それらの各電線の端子をコネクタハウジング内に挿入して、ワイヤハーネスを構成するサブワイヤハーネスを組み立てる。
【0035】
図3及び図4に示す電線着色装置1は、上述した着色工程P2に設けられ、図5に示す電線3の外表面3aの一部に示す意匠パターン6を形成する装置である。即ち、電線着色装置1は、電線3の外表面3aの全周に亘って液体の着色材を付着させて帯状の意匠パターン6を形成する。
【0036】
電線3は、移動体としての自動車などに配索されるワイヤハーネスを構成する。電線3は、図5に示すように、導電性の複数の芯線4と、絶縁性の被覆部5とを備えている。芯線4は、複数の導線が撚られて形成されている。芯線4を構成する導線は、導電性の金属からなる。また、芯線4は、一本の導線から構成されても良い。被覆部5は、例えば、ポリ塩化ビニル(Polyvinylchloride:PVC)などの合成樹脂からなる。被覆部5は、芯線4を被覆している。このため、電線3の外表面3aとは、被覆部5の外表面をなしている。
【0037】
また、被覆部5は、単色である。なお、被覆部5を構成する合成樹脂に所望の着色剤を混入して、電線3の外表面3aを単色にしても良い。
【0038】
前述した構成の電線3は、複数束ねられるとともに端部などにコネクタなどが取り付けられて前述したワイヤハーネスを構成する。コネクタが自動車などの各種の電子機器のコネクタにコネクタ結合して、ワイヤハーネス即ち電線3は、各電子機器に各種の信号や電力を伝える。
【0039】
また、電線3の外表面3aには、意匠パターン6に対応した複数の着色領域3bが着色材によって形成される。そして、着色領域3bに付着した着色材は、その付着した面からその裏面に回り込むことで、着色領域3bの全周に亘って付着することになる。なお、本最良の形態では、着色領域3bが、意匠パターン6に対応して、電線3の長手方向における幅が異なるように形成する場合について説明するが、全てを同一の幅とするなど種々異なる形状とすることができる。
【0040】
このように形成された意匠パターン6は、着色領域3bの幅、着色箇所の個数、色等の組み合わせによって電線3の色、サイズ、使用目的等を示している。よって、意匠パターン6を変更することで、電線の色、サイズ、使用目的等の識別が可能な構成となっている。なお、意匠パターン6については、電線の品種、系統(システム)等の他の情報を示すようにしてもよい。
【0041】
また、電線3の外表面3aの全周にリング状に形成することで、識別性を損なうことなく、意匠パターン6を形成することができる。そして、従来の電線のように、電線製造時にナチュラル材等に白色の電線を統一して形成し、マーキングを追加することにより、電線サイズや品種を識別するためのバンドマークをマーキングする必要性がなくなることから、識別性を損なうことのない電線3を製造することが可能となる。
【0042】
電線着色装置1は、図3及び図4に示すように、制御ユニット20と、着色ユニット30と、該着色ユニット30を駆動するドライバ24と、を有している。
【0043】
制御ユニット20は、予め定めたプログラムに従って各種の処理や制御などを行う中央演算処理装置(CPU)21、CPU21のためのプログラム等を格納した読み出し専用のメモリであるROM22、各種のデータを格納するとともにCPU21の処理作業に必要なエリアを有する読み出し書き込み自在のメモリであるRAM23等を有して構成している。
【0044】
ROM22には、請求項中の着色制御手段や移動制御手段等としてCPU21を機能させるための着色移動制御プログラム等の各種プログラムと、電線3の色、サイズ等に対応した意匠パターン6を形成する上で必要な各種データを有する複数の意匠パターン情報と、を記憶している。意匠パターン情報は、着色対象となる着色領域3b、該着色領域3bの着色する着色材の色、該着色領域3bの相対位置置等の各種データを有している。
【0045】
ドライバ24は、制御ユニット20と着色ユニット30との各々に接続している。ドライバ24は、制御ユニット20からの指示に応じて後述する着色装置13の噴出及び長手方向Aにおける移動の制御を行う。ドライバ24は、移動させている着色装置13の移動位置に対応する位置情報(カウンタ値など)を制御ユニット20に出力する。
【0046】
着色ユニット30は、着色材の色等に応じた複数の着色装置13と、これらの着色装置13を収容するケース14aを図5中のY方向である電線3の長手方向Aに移動可能な移動手段としてのスライド部14と、往復移動手段としての首振り部18と、飛散防止部材71と、洗浄部91と、を有している。
【0047】
該複数の着色装置13は、着色手段であり、電線3の長手方向Aに沿って並設している。なお、長手方向Aは、電線3の搬送方向Fと直交する方向となっている。着色装置13の各々は、着色ノズル31と、着色材供給源32と、加圧気体供給源33と、を備えている。
【0048】
前述した構成の着色ノズル31は、後述の着色材供給源32からの液状の着色材を、電線3の外表面3aに向かって噴出する。着色ノズル31は、噴出した着色材の液滴を電線3の外表面3aに付着させて、該電線3の外表面3aの少なくとも一部を着色する(マーキング)する。
【0049】
着色ノズル31は、図6に示すように、円筒状のノズル本体34と、このノズル本体34内に収容されたインサート部材35と、流入管36と、第1のノズル部材37と、弁機構38と、第2のノズル部材50と、接続パイプ51とを備えている。
【0050】
第2のノズル部材50は、円筒状に形成されている。第2のノズル部材50は、ポリエーテルエーテルケトン(Polyetheretherketone:以下PEEKと呼ぶ)からなる。第2のノズル部材50の外径は、第1のノズル部材37の外径と等しい。
【0051】
また、第2のノズル部材50の内径は、第1のノズル部材37の内径より小さい。第2のノズル部材50は、第1のノズル部材37と同軸に配されているとともに、該第1のノズル部材37に連結している。
【0052】
第2のノズル部材50は、第1のノズル部材37より電線3寄りに配されている。また、第1のノズル部材37と第2のノズル部材50との間は、水密になっている。第2のノズル部材50と第1のノズル部材37は、内側に第1のノズル部材37の長手方向に沿う矢印Sに沿って、着色材が流れる。矢印Sは、着色材が流れる方向をなしている。
【0053】
このため、第2のノズル部材50の第1のノズル部材37寄りに端面50aは、第1のノズル部材37の内面から該第1のノズル部材37の内側に向かって突出している。また、端面50aは、矢印Sに対し直交(交差)する方向に沿って平坦に形成されている。
【0054】
なお、前述した第1のノズル部材37と第2のノズル部材50とで、ノズル部材47を構成している。ノズル部材47は、インサート部材35内に連通し、内側に着色材が流れる。
【0055】
接続パイプ51は、フッ素樹脂からなり円筒状に形成されている。接続パイプ51の内径は、第1のノズル部材37と第2のノズル部材50の外径と略等しい。接続パイプ51は、第1のノズル部材37と第2のノズル部材50との双方の外側に嵌合しており、これらの第1のノズル部材37と第2のノズル部材50とを連結する。また、接続パイプ51は、第2のノズル部材50を第1のノズル部材37から着脱自在としている。
【0056】
前述した構成の着色装置13の各々は、上述した制御ユニット20に接続しており、制御ユニット20の制御に応じて動作する。そして、着色ノズル31は、着色材供給源32からの着色材を、流入管36を通して、流路39内に導く。そして、コイル40に印加されていない状態で、コイルばね42の付勢力により、弁体44が第1のノズル部材37の基端部37aに接触して、着色材が流路39内に位置付けられている。
【0057】
そして、着色ノズル31は、コイル40に印加されると、コイルばね42の付勢力に抗して、円板部46に取り付けられた弁体44が第1のノズル部材37の基端部37aから離れて、流路39内の着色材を矢印Sに沿って第1のノズル部材37と第2のノズル部材50との内側を通す。そして、着色ノズル31は、第2のノズル部材50から着色材を噴出する。また、コイル40は、ドライバ24からの命令に基づいて、予め定められる一定時間印加される。このため、着色ノズル31は、一定量ずつ着色材を電線3の外表面3aに向かって噴出する。
【0058】
前述した着色材とは、色材(工業用有機物質)が水またはその他の溶媒に溶解、分散した液状物質である。即ち、着色材は、色材と溶媒とからなる。有機物質(色材)としては、染料、顔料(大部分は有機物であり、合成品)があり、時には染料が顔料として、顔料が染料として用いられることがある。より具体的な例として、着色材とは、着色液または塗料である。
【0059】
着色液とは、溶媒中に色材としての染料が溶けているもの又は分散しているものを示しており、塗料とは、溶媒としての分散液中に色材としての顔料が分散しているものを示している。このため、着色液が電線3の外表面3aに付着すると、染料が被覆部5内にしみ込み、塗料が電線3の外表面3aに付着すると、顔料が被覆部5内にしみ込むことなく外表面3aに接着する。即ち、着色装置13は、電線3の外表面3aの一部を染料で染める又は電線3の外表面3aに顔料を塗る。このため、電線3の外表面3aを着色するとは、電線3の外表面3aの一部を染料で染める(染色する)ことと、電線3の外表面3aの一部に顔料を塗ることとを示している。
【0060】
また、前記溶媒と分散液は、被覆部5を構成する合成樹脂と親和性のあるものが望ましい。この場合、染料が被覆部5内に確実にしみ込んだり、顔料が外表面3aに確実に接着することとなる。なお、本実施形態では、着色材として前述した着色液を用い、溶媒としてアセトン(Acetone)を用いている。
【0061】
着色材供給源32は、液状の着色材を収容するとともに、着色ノズル31に対応している。着色材供給源32は、対応する着色ノズル31の流入管36内に着色材を供給する。
【0062】
加圧気体供給源33は、加圧された気体を着色材供給源32内に供給する。加圧気体供給源33は、ドライバ24からの要求に応じて、加圧された気体を着色材供給源32内に供給することで、着色ノズル31の弁体44が第1のノズル部材37の基端部37aから離れると、流路39内の着色材が速やかに第1のノズル部材37及び第2のノズル部材50から滴射するようにする。
【0063】
このように構成した着色装置13は、加圧気体供給源33による加圧、着色ノズル31のノズル径、着色材のノズル通過速度、着色ノズル31と電線3との距離、着色材の粘度等を変化させることで、電線3の着色領域3bにおける着色幅、着色材の電線3に対する回り込み具合等を変更することができるため、任意の意匠パターンを効率よく形成することができる。
【0064】
スライド部14は、ドライバ24に接続しており、該ドライバ24からの駆動指示に応じて駆動モータが駆動されることで、駆動モータがケース14aを矩形状のレール部材14bに沿って所定位置まで移動可能な構成となっている。即ち、制御部20によってケース14aの図5中の上下方向(Y軸方向)、つまり電線3の長手方向Aにおける移動を制御することが可能な構成となっており、請求項中の移動手段に相当している。また、スライド部14は、着色装置13の着色ノズル31から電線3に対して着色材が垂直に向かう状態でケース14aを保持するとともに、該状態で前記上下方向の移動が可能な構成となっている。
【0065】
首振り部18は、複数の着色装置13を収容したケース14aを保持する板状の保持部材81と、着色装置13の着色材供給源32等が設けられる略L字状の基板部82と、該基板部82に対して保持部材81を回動自在に固定する固定部83と、前記電線3に対する垂線上に設定された任意の点を中心とする円周上となるようにケース14a(複数の着色装置13の先端部分)の端部を移動させるエアシリンダ84と、を有している。
【0066】
エアシリンダ84は、制御ユニット20に接続されており、CPU21からの要求に応じて所定の範囲内で、ピストン85が往復する構成となっている。そして、ピストン85の先端は、保持部材81と当接していることから、ピストン85の往復動作に応じて、固定部83を回動中心としてケース14aが円弧状に往復移動する。つまり、着色装置13の着色ノズル31が、図7中の往復範囲R内で電線3に対して円弧状に往復移動が可能な構成となっている。
【0067】
このような首振り部18は、CPU21からの制御に応じてエアシリンダ84を往復動作すると、固定部83を回動中心として、ケース14aを電線3の長手方向Aと交差するように往復移動する。つまり、ケース14a内に設けられる着色ノズル31を、振り子のように電線3の長手方向Aと交差させた状態で、着色材を噴出させることが可能となっている。その結果、電線3のサイズに関係なく、電線3の外表面3aにおける着色領域3bの各々の全周に亘って着色材を確実に付着させることができる。
【0068】
飛散防止部材71は、電線3がセットされる断面略U字状の溝部72を有している。溝部72は、着色対象となる全ての種類の電線3と接触しない大きさ、形状で形成されている。そして、電線3から垂れたり、飛散した着色材7は、溝部72から外部に排出される構成となっている。飛散防止部材71は、昇降機構73により基板90に対して昇降自在に設けられている。このように飛散防止部材71を設けることで、電線3に対して多量の着色材7を付着させることができるため、着色材を電線3の全周に亘って確実に付着させることができる。
【0069】
洗浄部91は、着色装置13の複数の着色ノズル31を洗浄する洗浄槽92を有している。そして、洗浄槽92にケース14aが図3に示すレール部材14bによって移動されると、ケース14a内の複数の着色ノズル31が洗浄され、その廃液は外部に排出される。
【0070】
制御ユニット20は、着色領域3bに着色するときに、その着色する色に対応した着色装置13を選択して、該当する着色装置13に対する図3中の電線3の長手方向Aにおける移動を制御する。そして、着色装置13の着色ノズル31が着色位置にある状態で、エアシリンダ84を駆動させて着色ノズル31を首振りさせるとともに、その首振り中に着色材7を着色ノズル31から噴出させる。
【0071】
例えば、図8に示す意匠パターン6を固定した1本の電線3の外表面3aに形成する場合、ドライバ24は、図8中のSTARTからENDで示した実線と破線とからなる矢印C方向に、該当する着色装置13を移動させることになる。そして、矢印Cの実線部分、つまり、3つの各着色装置13が着色領域3bと対向しているときに、円弧状に往復移動させている着色装置13の着色ノズル31から着色材7を噴出させることで、各着色領域3bに着色材7が付着される。
【0072】
次に、図5に示す意匠パターン6を、固定した1本の電線3の外表面3aに形成する場合の制御ユニット20のCPU21が実行する制御の一例を説明する。
【0073】
この場合、ROM22の意匠パターン情報としては、電線3の識別データと、着色領域3bに対応し、かつ、着色順に対応する、着色する色を示す色データ、移動開始位置データ、移動停止位置データ、電線3のサイズデータ(幅)、着色開始位置データ、着色停止位置データ等の各種データと、を有している。
【0074】
CPU21によって図9示す着色移動制御処理のプログラムが実行されると、ステップS31において、電線3の識別情報が図示しないバーコードリーダによる読み取り、作業者による入力等によって取り込まれ、該識別情報はRAM23に記憶され、その後ステップS32に進む。
【0075】
ステップS32において、識別情報に対応する前記識別データを有する意匠パターン情報が複数の意匠パターン情報の中から取得されてRAM23に記憶され、その後ステップS33に進む。
【0076】
ステップS33において、RAM23の意匠パターン情報の色データに対応する着色装置13の、最初の移動開始位置データが示す移動開始位置への移動がドライバ24に要求されることで、ドライバ24はスライド部14を駆動して、該当する着色装置13を最初の移動開始位置(図8中のSTART)に移動させ、その後ステップS34に進む。なお、本最良の形態では、着色ユニット30が複数の着色装置13を有していることから、該当する着色装置13が移動を制御する上での基準となるように移動させている。
【0077】
ステップS34において、RAM13の意匠パターン情報の折り返し位置データに基づいて、着色装置13の移動開始がドライバに要求されることで、ドライバ24は、スライド部14を駆動して、該当する着色装置13を電線3の長手方向Aに所定の速度で移動終了位置(図8中のEND)まで移動させ、その後ステップS35に進む。
【0078】
ステップS35(着色制御手段)において、ドライバ24からの位置情報と意匠パターン情報の着色開始位置データとの比較結果に基づいて、着色装置13が着色開始位置であるか否かが判定される。着色開始位置ではないと判定された場合は(S35でN)、この判定処理を繰り返すことで、着色装置13が着色開始位置に到達するのを待つ。一方、着色開始位置であると判定された場合は(S35でY)、ステップS36に進む。
【0079】
ステップS36(着色制御手段)において、着色位置に位置する着色装置13に対して着色材の噴出開始が要求されるとともに、エアシリンダ84に例えば往復分、片道分等の動作開始が要求されることで、ドライバ24は上述したように着色装置13に着色材を噴出させ、また、エアシリンダ84は上述したように着色装置13の着色ノズル31を円弧状に往復又は片道分だけ移動させ、その後ステップS37に進む。
【0080】
ステップS37(着色制御手段)において、ドライバ24からの位置情報と意匠パターン情報の着色停止位置データとの比較結果に基づいて、着色装置13が着色停止位置であるか否かが判定される。着色停止位置ではないと判定された場合は(S37でN)、この判定処理を繰り返すことで、着色装置13が着色停止位置に到達するのを待つ。一方、着色停止位置であると判定された場合は(S37でY)、ステップS38に進む。
【0081】
ステップS38(着色制御手段)において、ドライバ24に移動中の着色装置13の着色材の噴出停止が要求されることで、ドライバ24は着色装置13の着色材の噴出を停止させ、その後、ステップS39に進む。なお、着色停止位置の検出については、着色開始位置を検出してからの任意に設定された所定時間、着色装置13の往復又は片道の移動時間等に基づいて着色停止位置を検出するなど種々異なる形態とすることができる。
【0082】
ステップS39において、着色装置13が移動終了位置に到達したか否かの判定結果等に基づいて、電線3の全ての着色領域3bに対する着色が終了したか否かが判定される。着色が終了していないと判定された場合は(S39でN)、ステップS35に戻り、一連の処理が繰り返される。一方、着色が終了していると判定された場合は(S39でY)、ステップS40に進む。
【0083】
ステップS40において、次の電線3に対する着色要求を受けているか否かが判定される。着色要求を受けていると判定された場合は(S40でY)、ステップS31に戻り、一連の処理が繰り返される。一方、着色要求を受けていないと判定された場合は(S40でN)、ステップS41に進む。
【0084】
ステップS41において、終了要求を受けたか否かが判定される。終了要求を受けていないと判定された場合は(S41でN)、ステップS31に戻り、一連の処理が繰り返されることで、次の電線3に対する着色に対する制御が行われる。一方、終了要求を受けたと判定された場合は(S41でY)、処理が終了される。
【0085】
次に、上述した本発明に係る電線着色装置1の動作(作用)の一例を図8の図面を参照して以下に説明する。
【0086】
電線着色装置1は、着色する電線3の品番等を取り込むと、それに対応する意匠パターンを抽出する。この意匠パターン情報は、3つの着色領域3bに対応したデータを有している。1つ目の着色領域3bに対応した、着色開始位置データには位置L11,L13,L15がそれぞれ設定されている。また、着色終了位置データには位置L12,L14,L16がそれぞれ設定されている。
【0087】
着色ユニット30は着色装置13が1つ目の着色領域3bの着色開始位置データ「位置L11」が示す着色開始位置に到達すると、着色材7の噴出を開始するとともに、着色装置13を円弧状に往復又は片道分だけ移動させる。そして、着色終了位置データ「L12」が示す着色終了位置に到達すると、着色材7の噴出を停止するとともに、着色装置13の円弧状移動を停止する。その結果、着色ノズル31から噴出された着色材7は、電線3の外表面3aの1つ目の着色領域3bの全てに亘って付着される。
【0088】
同様に、2つ目の着色領域3bの着色開始位置データ「位置L13」が示す着色開始位置に到達すると、着色材7の噴出を開始するとともに、着色装置13を円弧状に往復又は片道分だけ移動させる。そして、着色終了位置データ「L14」が示す着色終了位置に到達すると、着色材7の噴出を停止するとともに、着色装置13の円弧状移動を停止する。そして、3つ目の着色領域3bの着色開始位置データ「位置L15」が示す着色開始位置に到達すると、着色材7の噴出を開始するとともに、着色装置13を円弧状に往復又は片道分だけ移動させる。そして、し、着色終了位置データ「L16」が示す着色終了位置に到達すると、着色装置13の円弧状移動を停止する。
【0089】
このように3つの着色領域3bからなる意匠パターン6を電線3の外表面3aの全周に亘って形成することになる、また、搬送装置10によって電線クランプ竿の挟持部11が移動されて次の電線3がセットされると、続けて電線3に対して上述した一連の処理を実行して意匠パター6を電線3の外表面3aの全周に亘って形成することになる。
【0090】
以上説明した本発明の電線着色装置1によれば、着色材7を噴出する着色装置13の先端部分である着色ノズル31を電線3の長手方向Aに交差するように円弧状に往復移動させ、その着色装置13を電線3の長手方向Aのみに移動するようにして、複数の着色領域3bの全周に亘って着色材7を付着させるようにしたことから、着色装置13を電線3と交差する方向に移動させることなく、電線3の外表面3aの全周に亘って帯状の意匠パターン6を確実に形成することができるため、電線3に対応した意匠パターン6を電線3のあらゆる方向から見ても容易に認識することができる。また、複数の着色装置13を長手方向の一方向のみに移動させれば良いため、移動手段の簡単化を図ることが可能となり、コストダウンを図ることができる。従って、装置構成及び制御の簡単化を図ることができ、且つ、外表面3aの一部に着色した電線3よりも視認性及び意匠性を向上することができるという効果を奏する。また、電線3の識別が可能な意匠パターン6を電線3に容易に形成することができるため、複数の色毎に用意する電線の在庫削減に貢献することができる。さらに、在庫削減に応じて電線棚等を削減することができるため、電線の製造工程に設けるスペースの削減にも貢献することができる。
【0091】
また、着色装置13の着色ノズル31の移動軌跡が、電線3に対する垂線上の設定された任意の点を中心とした円周上となるように着色ノズル31を移動させるようにしたことから、着色材7を電線3に対して広範囲に噴出させることができるため、電線3の外表面3aの全周に亘って帯状の意匠パターン6をより一層確実に形成することができるとともに、電線3のサイズ変更にも容易に対応することができる。
【0092】
さらに、飛散防止部材71によって着色材7の飛散を防止するようにしたことから、着色装置13の円弧状に往復移動させる範囲を広く設定することができるため、電線3の外表面3aの全周に亘って帯状の意匠パターンをより一層確実に形成することができるとともに、電線3のサイズ変更にも容易に対応することができる。
【0093】
また、着色装置13の着色ノズル31の先端部分を円弧状に往復移動させるときのみ、着色装置13に着色材7を噴出させるようにしたことから、より一層の制御の簡単化を図ることができるとともに、着色材7の噴出量を低減することができる。
【0094】
なお、上述した本最良の形態では、電線着色装置1で1本の電線3に対する着色を行う場合について説明したが、本発明はこれに限定するものではなく、複数本の電線3を長手方向Aと直交する搬送方向Fに並設させた状態で、例えばその中央に位置する電線3の上方を中心に着色ノズル31を円弧状に移動させるなど種々異なる実施形態とすることができる。
【0095】
また、上述した本最良の形態では、着色装置13及び首振り部18をスライド部14によって電線3の長手方向Aに移動させる場合について説明したが、電線3を搬送装置10等によって移動させる実施形態とすることもできる。
【0096】
また、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明に係る電線着色装置の基本構成を示す構成図である。
【図2】本発明に係る電線着色装置を用いるワイヤハーネス製造システムの工程例を説明するための図である。
【図3】本発明に係る電線着色装置の概略構成の一例を示す構成図である。
【図4】図3中の着色手段と往復移動手段をと電線との関係を示す斜視図である。
【図5】電線に形成する意匠パターンを説明するための図である。
【図6】着色装置の着色ノズルの構成例を示す断面図である。
【図7】図4中の首振り部の動作を説明するための図である。
【図8】1本の電線に対する着色を説明するための図である。
【図9】図3中のCPUが実行する着色移動制御処理の一部を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0098】
1 電線着色装置
3 電線
3a 外表面
6 意匠パターン
13 着色手段(着色装置)
14 移動手段(スライド部)
18 往復移動手段(首振り部)
21a 着色制御手段(CPU)
A 長手方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状の着色材を電線の外表面に付着させて、該外表面に帯状の意匠パターンを形成する電線着色装置であって、
前記電線の外表面に向かって前記着色材を噴出する着色手段と、
前記意匠パターンに対応した前記外表面の複数の着色領域の各々の全周に亘って前記着色材が付着され且つ前記電線の長手方向と交差するように、前記着色手段の着色材を噴出する先端部分を往復可能かつ円弧状に移動させる往復移動手段と、
前記着色手段及び前記往復運動手段又は前記電線の何れかを前記電線の長手方向に移動させる移動手段と、
前記着色手段が前記着色領域に前記着色材を付着する位置に前記移動手段によって移動したときに、前記着色手段による着色材の噴出及び前記着色手段の往復移動を制御する着色制御手段と、
を有することを特徴とする電線着色装置。
【請求項2】
前記往復移動手段が、前記電線に対する垂線上に設定された任意の点を中心とする円周上となるように前記着色手段の先端部分を移動させるエアシリンダを有することを特徴とする請求項1に記載の電線着色装置。
【請求項3】
前記着色手段が前記電線に対して噴出した着色材の飛散を防止する飛散防止部材を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の電線着色装置。
【請求項4】
前記着色制御手段が、前記往復移動手段による前記着色手段の往復移動中にのみ着色材を噴出するように制御する手段であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の電線着色装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−323888(P2007−323888A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−151294(P2006−151294)
【出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】