説明

電解剥離用陰電極構造体

【課題】簡単な構成で電解生成物を除去する効果的な電解液の流れを形成して高速電解剥離を持続させることが可能な電解剥離用陰電極構造体を提供する。
【解決手段】陽極として作動する平板状被加工物11との間に電解液を介在させて通電し、平板状被加工物11の表層部を電解剥離する電解剥離用陰電極構造体10において、平板状被加工物11の幅方向に隙間を有して配置され、平板状被加工物11の幅方向に渡って電解液を噴出する溝形の電解液ノズル12が底部中央に設けられた保持ブロック13を備え、保持ブロック13の電解液ノズル12の前後方向片側又は両側には陽極と対となる陰極14が形成され、更に、電解液供給路15から、電解液ノズル12に幅方向に均一に電解液を供給する複数の電解液流入路16を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速電解剥離に使用する電解剥離用陰電極構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
電解剥離用の陰電極は陽極となる被加工物に対向させて配置され、しかも陰電極と被加工物は電解液中に浸っている形式が一般的となっている。そして、電解剥離を行なうと、陰電極側には水素ガスの気泡が付着し、被加工物の表面側は被加工物から電解液中に溶け出した溶出物の粘性層で覆われるため、電解剥離の進行速度が低下するという問題が生じる。そこで、電解剥離を高速で行なうために、陰電極を被加工物の表面から一定の隙間を設けて対向させ、陰電極と被加工物との隙間に電解液を流しながら20A/cm以上の電流密度で電解剥離を行なう方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2002−47600号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された発明では、高速で電解剥離が進行するため水素ガス及び溶出物からなる電解生成物の生成速度も大きくなり、被加工物の表面品質性状が不安定となる。そして、陰電極及び被加工物を覆う電解生成物を除去するために所定量の電解液を高速で陰電極と被加工物との間に流す必要が生じる。このため、電解液の循環装置の能力の増大が必要となると共に電解液の飛散対策も講じる必要が生じて、設備コストが上昇するという問題を含めた工業化の可否問題につながり易い。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、簡単な構成で電解生成物を除去する効果的な電解液の流れを形成して高速電解剥離を持続させることが可能な電解剥離用陰電極構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的に沿う本発明に係る電解剥離用陰電極構造体は、陽極として作動する平板状被加工物との間に電解液を介在させて通電し、該平板状被加工物の表層部を電解剥離する電解剥離用陰電極構造体において、
前記平板状被加工物の幅方向に隙間を有して配置され、該平板状被加工物の幅方向に渡って電解液を噴出する溝形の電解液ノズルが底部中央に設けられた保持ブロックを備え、該保持ブロックの前記電解液ノズルの前後方向片側又は両側には前記陽極と対となる陰極が形成され、更に、電解液供給路から、前記電解液ノズルに幅方向に均一に電解液を供給する複数の電解液流入路を有する。
【0007】
本発明に係る電解剥離用陰電極構造体において、複数の前記電解液流入路から前記電解液ノズルへの電解液の供給は、該電解液流入路に接続されるヘッダー部と、該ヘッダー部から前記電解液ノズルに接続される多数の連通孔を介して行われることが好ましい。
【0008】
本発明に係る電解剥離用陰電極構造体において、前記保持ブロックは絶縁体からなって、該保持ブロックの底部中央に前記陰極を形成する長尺の導体ブロックが配置され、更に該導体ブロックには前記電解液ノズルが装着され、該導体ブロック、前記保持ブロック、及び前記電解液ノズルを貫通する前記連通孔が形成されている構成とすることができる。
【0009】
本発明に係る電解剥離用陰電極構造体において、前記陰極の前後方向の幅は、前記電解液ノズルの噴出口の前後方向の幅より小さくできる。
【0010】
本発明に係る電解剥離用陰電極構造体において、前記保持ブロックには、該保持ブロックを支持部材に固定するための角溝が設けられていることが好ましい。
【0011】
本発明に係る電解剥離用陰電極構造体において、該電解剥離用陰電極構造体は固定配置され、前記平板状被加工物が前又は後方向に移動して電解剥離を行うようにできる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1〜6記載の電解剥離用陰電極構造体においては、電解液ノズルから噴射された電解液により、陽極として作動する平板状被加工物と保持ブロックに設けられた陰極との隙間を通過する流れを形成させることができ、陰極及び平板状被加工物の各表面から電解剥離の際に発生する電解生成物を効果的に除去することができる。その結果、安価な構成で高速電解剥離を一定品質性状で持続させることが可能になる。
【0013】
特に、請求項2記載の電解剥離用陰電極構造体においては、電解液を複数の電解液流入路からヘッダー部に供給するので、ヘッダー部内に均一に電解液を供給することができ、多数の連通孔を介して電解液ノズルに電解液を均一の圧力で供給することができる。その結果、電解液を電解液ノズルから平板状被加工物の幅方向に渡って均一な圧力で噴出させることができる。
【0014】
請求項3記載の電解剥離用陰電極構造体においては、陰極を形成する導体ブロックに電解液ノズルが装着されているので、陰極と平板状被加工物との隙間に電解液を容易に介在させることができると共に通過させて容易に電解液の流れを形成させることができる。
【0015】
請求項4記載の電解剥離用陰電極構造体においては、陰極の前後方向の幅は、電解液ノズルの噴出口の前後方向の幅より小さいので、電解電流密度を増加させることができると共に、電解液が陰極と平板状被加工物との隙間を通過する際の抵抗を小さくできる。これにより、電解剥離速度を増大させると共に、陰極と平板状被加工物との隙間を通過する電解液の流速を大きくでき、高速の電解剥離を持続させることができる。
【0016】
請求項5記載の電解剥離用陰電極構造体においては、保持ブロックに設けられた角溝を利用して、保持ブロックを平板状被加工物の幅方向に平行になるように支持部材に固定することができる。
【0017】
請求項6記載の電解剥離用陰電極構造体においては、電解剥離用陰電極構造体は固定配置され、平板状被加工物が前又は後方向に移動して電解剥離を行う構成とすることで、長尺物の表面の電解剥離をも効率的に行なうことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここで、図1は本発明の第1の実施の形態に係る電解剥離用陰電極構造体の斜視図、図2は同電解剥離用陰電極構造体の部分側断面図、図3は本発明の第2の実施の形態に係る電解剥離用陰電極構造体の正断面図、図4は変形例に係る電解剥離用陰電極構造体の正断面図、図5は本発明の第3の実施の形態に係る電解剥離用陰電極構造体の正断面図、図6は変形例に係る電解剥離用陰電極構造体の正断面図である。
【0019】
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る電解剥離用陰電極構造体10は、陽極として作動する平板状被加工物11との間に電解液を介在させて通電し、平板状被加工物11の表層部を電解剥離するもので、平板状被加工物11の幅方向に隙間を有して配置され、平板状被加工物11の幅方向に渡って電解液を噴出する溝形の電解液ノズル12が底部中央に設けられた保持ブロック13を備え、保持ブロック13の電解液ノズル12の前後方向両側には陽極と対となる陰極14が形成され、更に、電解液供給路15から、電解液ノズル12に幅方向に均一に電解液を供給する複数(本実施の形態では3)の電解液流入路16を有している。なお、電解液ノズル12は絶縁体、例えばプラスチックから形成されている。
【0020】
ここで、保持ブロック13には角溝17が設けられ、角溝17に装着された角筒状の保持フレーム18を介して基台に取付けられた図示しない支持部材に固定することで、電解剥離用陰電極構造体10を固定配置している。一方、電解剥離用陰電極構造体10の下方には平板状被加工物11が通過する図示しない加工槽が配置されている。そして、加工槽には、平板状被加工物11の表面が電解剥離用陰電極構造体10(保持フレーム18)の底面と平行になるように平板状被加工物11を搬送する搬送用ローラを前後に備えた図示しない被加工物搬送手段と、平板状被加工物11に噴射された電解液を回収し異物を除去して電解液供給路15に供給する図示しない電解液循環装置とが設けられている。なお、平板状被加工物11の搬送方向と直交する方向を幅方向とし、搬送方向を前側とする。
【0021】
保持ブロック13は、例えば、締結手段の一例であるねじ19、20、21を用いて前ブロック23と後ブロック24とを組み合わせて一体化したもので、上部中央に角溝17が、底部中央に凹部22がそれぞれ形成されている。また、ねじ19、20、21、前ブロック23、後ブロック24は絶縁体、例えばプラスチックから形成されている。そして、凹部22に、例えば純銅で形成された長尺の溝形の導体ブロック25が嵌入されている。これにより、保持ブロック13の底部中央に陰極14を形成する導体ブロック25を配置することができる。ここで、導体ブロック25の長さは、少なくとも平板状被加工物11の幅方向の一端から他端の範囲を覆う長さであって、導体ブロック25の前後方向の幅は16〜40mm、更に好ましくは10〜30mmであり、導体ブロック25の前後方向両側部にそれぞれ形成された陰極14の前後方向の幅は3〜10mmである。なお、導体ブロック25の幅方向の他端部は端子部26と接続ないしは一体物とし、端子部26は図示しない電源ケーブルが取付けられて直流電源の陰極と接続している。
【0022】
導体ブロック25の底部中央には長手方向に切り欠き部27が形成され、切り欠き部27には底部中央に長手方向に断面視して矩形状の電解液噴出溝28を備えた溝形の電解液ノズル12が嵌入されている。これにより、電解液ノズル12を保持ブロック13の底部中央に設けることができると共に、電解液ノズル12の前側及び後側に陰極14をそれぞれ配置することができる。ここで、電解液ノズル12の幅方向長さは導体ブロック25の長さと実質的に同一であり、電解液ノズル12の前後方向の幅は、好ましくは10〜20mmである。また、電解液噴出溝28の深さは10〜20mmとして、噴出口29付近での混流効果を狙っている。また、電解液噴出溝28の幅、すなわち、噴出口29の前後方向の幅は5〜8mmである。
【0023】
以上のような構成とすることにより、導体ブロック25に形成される陰極14を、絶縁体である電解液ノズル12の底面と保持ブロック13の底面の間からそれぞれ露出させると共に、電解液ノズル12の前後方向の幅だけ離して平板状被加工物11に対向させることができる。このため、平板状被加工物11の表面上の2箇所の領域を同時に電解剥離することができる。そして、陰極14は絶縁体の間から露出する状態となっているので、陰極14と平板状被加工物11の表面との間に発生する電界密度を大きくでき、電界剥離の効率を増大することができる。
【0024】
ここで、保持ブロック13、例えば、前ブロック23内には、幅方向にヘッダー部30が形成され、前ブロック23の外側でその幅方向に設けられた電解液供給路15と複数の電解液流入路16を介して接続されている。そして、図2に示すように、ヘッダー部30と電解液ノズル12に形成された電解液噴出溝28とは、前ブロック23、導体ブロック25、及び電解液ノズル12を貫通する多数の連通孔31を介して連通している。
【0025】
このような構成とすることにより、電解液供給路15から各電解液流入路16介して電解液をヘッダー部30内に均一に供給することができる。このため、ヘッダー部30内の電解液を各連通孔31から均一な圧力で電解液ノズル12の電解液噴出溝28内に供給することができる。その結果、噴出口29からは、平板状被加工物11の幅方向に渡って電解液を均一に噴出させることができる。
【0026】
続いて、本発明の第1の実施の形態に係る電解剥離用陰電極構造体10の使用方法について説明する。
平板状被加工物11を加工槽内に配置し、保持フレーム18を介して保持ブロック13の支持部材に対する固定位置を調整して、陰極14が平板状被加工物11表面から所定の隙間h(例えば、0.5〜3mm)を有して対向配置されるように電解剥離用陰電極構造体10を固定配置する。また、平板状被加工物11と直流電圧源の陽極側を図示しない電源ケーブルで接続する。次いで、電解液循環装置を稼動させて、電解液供給路15から各電解液流入路16介してヘッダー部30内に電解液を供給し、ヘッダー部30から連通孔31を介して均一の圧力で電解液を電解液ノズル12に供給して噴出口29から平板状被加工物11表面に向けて噴出させる。ここで、電解液の噴出量は、例えば50〜150リットル/分である。そして、平板状被加工物11と陰極14の間に電解液を介在させて、平板状被加工物11を電解剥離用陰電極構造体10に対して、例えば5〜30m/分の移動速度で前方に移動させながら、直流電源より2〜100A/cmの電流密度で電解電流を流す。これにより、平板状被加工物11の表層部の電解剥離が開始される。
【0027】
電解剥離が開始されると、陰極14側には水素ガスが発生し、平板状被加工物11の表面側には平板状被加工物11から電解液中に溶け出した溶出物により溶出物層が形成される。ここで、噴出口29から噴出した電解液は平板状被加工物11の表面に当たった後、陰極14と平板状被加工物11の表面との間に形成されている隙間hを通過する流れを形成する。このため、陰極14側で発生して集合した水素ガス気泡は電解液の流れによって押し流され陰極14表面に付着することができず、平板状被加工物11から溶け出した溶出物も電解液の流れで押し流されて平板状被加工物11の表面側に溶出物層を形成することができない。このため、電解剥離が進行しても電解電流が低下せず、電解剥離を持続させることが可能になる。
【0028】
図3に本発明の第2の実施の形態に係る電解剥離用陰電極構造体33を、図4にその変形例に係る電解剥離用陰電極構造体34をそれぞれ示す。電解剥離用陰電極構造体33、34は、第1の実施の形態の電解剥離用陰電極構造体10と比較して、電解液ノズル12の幅方向片側に陰極35、36(陰極35は電解液ノズル12の前側に、陰極36は電解液ノズル12の後側に)を形成することが特徴となっている。従って、同一の構成部材には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。なお、陰極35、36をそれぞれ形成する導体ブロック35a、36aの形状が、電解剥離用陰電極構造体10の陰極14を形成する導体ブロック25の形状と異なることに伴って、前ブロック37、38、後ブロック39、40の形状もそれぞれ異なっている。
電解液ノズル12の前後方向片側に陰極35、36を配置することで、平板状被加工物11の移動方向、移動速度等に応じて電解液の流れを選択することが可能になる。
【0029】
図5に本発明の第3の実施の形態に係る電解剥離用陰電極構造体41を、図6にその変形例に係る電解剥離用陰電極構造体42をそれぞれ示す。そして、電解剥離用陰電極構造体41は、第1の実施の形態の電解剥離用陰電極構造体10と比較して、陰極43の前後方向の幅が電解液ノズル12の噴出口29の前後方向の幅より小さくなると共に、各陰極43は電解液ノズル12に接近し、電解剥離用陰電極構造体42は、陰極44の前後方向の幅が電解液ノズル12の噴出口29の前後方向の幅より小さくなって、電解液ノズル12の両側にプラスチック等の絶縁体で形成されたスペーサーブロック47を介して陰極44が配置されていることが特徴となっている。従って、同一の構成部材には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。なお、電解剥離用陰電極構造体41では、陰極43を形成する導体ブロックの形状が電解剥離用陰電極構造体10の陰電極14の形状と異なることに伴って、前、後ブロック45、46の形状が異なっている。
【0030】
電解剥離用陰電極構造体10の陰極14に比べて、陰極43、44の前後方向の幅を電解液ノズル12の噴出口29の前後方向の幅より小さくすることで、陰極43、44と平板状被加工物11との間に流れる電解電流密度を増加させることができる。電解電流密度が増加すると、電解剥離速度が増大して電解生成物(水素ガス、溶出物)の生成量も増大するようになるが、陰極43、44の前後方向の幅が小さくなっているので、陰極43、44と平板状被加工物11の表面との隙間を電解液が通過する際の流路抵抗は電解剥離用陰電極構造体10の場合より低下する。このため、電解剥離用陰電極構造体41、42では、電解液は陰極43、44と平板状被加工物11の表面との隙間を容易に通過することができ、生成する電解生成物を効率的に除去できる。その結果、電解電流密度の増加による電解剥離速度の増大を維持することができる。
【0031】
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載した構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。
例えば、加工槽を前後方向に往復移動する移動装置に載置してもよい。これにより、厚板等の前後方向長さが一定の平板状被加工物の表面の電解剥離を効率的に行なうことができる。また、保持フレームを前後方向に移動する移動装置を介して支持部材に取付けて電解剥離用陰電極構造体を移動可能にしてもよい。これにより、平板状被加工物の前後方向に対して任意の位置での電解剥離を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る電解剥離用陰電極構造体の斜視図である。
【図2】同電解剥離用陰電極構造体の部分側断面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る電解剥離用陰電極構造体の正断面図である。
【図4】変形例に係る電解剥離用陰電極構造体の正断面図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係る電解剥離用陰電極構造体の正断面図である。
【図6】変形例に係る電解剥離用陰電極構造体の正断面図である。
【符号の説明】
【0033】
10:電解剥離用陰電極構造体、11:平板状被加工物、12:電解液ノズル、13:保持ブロック、14:陰極、15:電解液供給路、16:電解液流入路、17:角溝、18:保持フレーム、19、20、21:ねじ、22:凹部、23:前ブロック、24:後ブロック、25:導体ブロック、26:端子部、27:切り欠き部、28:電解液噴出溝、29:噴出口、30:ヘッダー部、31:連通孔、33、34:電解剥離用陰電極構造体、35:陰極、35a:導体ブロック、36:陰極、36a:導体ブロック、37、38:前ブロック、39、40:後ブロック、41、42:電解剥離用陰電極構造体、43、44:陰極、45:前ブロック、46:後ブロック、47:スペーサーブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極として作動する平板状被加工物との間に電解液を介在させて通電し、該平板状被加工物の表層部を電解剥離する電解剥離用陰電極構造体において、
前記平板状被加工物の幅方向に隙間を有して配置され、該平板状被加工物の幅方向に渡って電解液を噴出する溝形の電解液ノズルが底部中央に設けられた保持ブロックを備え、該保持ブロックの前記電解液ノズルの前後方向片側又は両側には前記陽極と対となる陰極が形成され、更に、電解液供給路から、前記電解液ノズルに幅方向に均一に電解液を供給する複数の電解液流入路を有することを特徴とする電解剥離用陰電極構造体。
【請求項2】
請求項1記載の電解剥離用陰電極構造体において、複数の前記電解液流入路から前記電解液ノズルへの電解液の供給は、該電解液流入路に接続されるヘッダー部と、該ヘッダー部から前記電解液ノズルに接続される多数の連通孔を介して行われることを特徴とする電解剥離用陰電極構造体。
【請求項3】
請求項2記載の電解剥離用陰電極構造体において、前記保持ブロックは絶縁体からなって、該保持ブロックの底部中央に前記陰極を形成する長尺の導体ブロックが配置され、更に該導体ブロックには前記電解液ノズルが装着され、該導体ブロック、前記保持ブロック、及び前記電解液ノズルを貫通する前記連通孔が形成されていることを特徴とする電解剥離用陰電極構造体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の電解剥離用陰電極構造体において、前記陰極の前後方向の幅は、前記電解液ノズルの噴出口の前後方向の幅より小さいことを特徴とする電解剥離用陰電極構造体。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の電解剥離用陰電極構造体において、前記保持ブロックには、該保持ブロックを支持部材に固定するための角溝が設けられていることを特徴とする電解剥離用陰電極構造体。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の電解剥離用陰電極構造体において、該電解剥離用陰電極構造体は固定配置され、前記平板状被加工物が前又は後方向に移動して電解剥離を行うことを特徴とする電解剥離用陰電極構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−7599(P2009−7599A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−167851(P2007−167851)
【出願日】平成19年6月26日(2007.6.26)
【出願人】(000176626)三島光産株式会社 (40)