説明

電話機、電話処理方法及び電話機用プログラム

【課題】複数の相手先との同時通話を行う場合でも、効率的に且つ操作性を向上させて当該同時通話を行うことが可能な電話機等を提供する。
【解決手段】インターネット回線を用いた第一の呼の着信、及びPSTN回線を用いた第二の呼の着信がそれぞれ可能な電話機であって、第一の呼による第一の通話中に第二の呼の着信があった場合に、当該第一の通話を保留状態とし、第一の通話から第二の呼による第二の通話に切り換える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、電話機、電話処理方法及び電話機用プログラムの技術分野に属し、より詳細には、複数の呼の着信がそれぞれ可能な電話機及び電話処理方法並びに当該電話機に用いられる電話機用プログラムの技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータ等を用いることでインターネット等のネットワークを介して複数の相手先と接続し、これら複数の相手先と同時に音声通話又はリアルタイムの画像付の音声通話を行うことが可能な電話システムが普及しつつある(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
ここで、当該電話システムにおいては、各相手先毎の音声データ又は画像データは、当該電話システムが準拠すべき通信規格に準拠していわゆるパケット化され、時分割的に各相手先毎に授受されことで、擬似的に複数の相手先との同時通話が可能となっている。
【0004】
また、当該電話システムにおいては、各通話者は、基本的に例えば15インチ程度の大きさの表示画面を備える表示装置を含む上記パーソナルコンピュータ等をその通話端末として用いるのであり、当該表示画面上にその時に通話している複数の相手先の画像等を表示しつつ、同時通話を行うことができるように構成されている。
【0005】
更に、当該同時通話においては、通話をしているときに他の者から着信があった場合には、その通話中の者との通話を一時的に保留して着信した相手に応答する等、多様な使用態様が可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−169160公報(第1図乃至第4図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記電話システムを利用しようとする者が全て上記パーソナルコンピュータ等を利用できる環境にあるとは限らず、例えば携帯型の端末を用いて上記電話システムに参加しようとする場合、その表示画面の大きさが十分でない場合が多いが、従来の上記電話システムでは、この点に関する配慮が全く為されていなかった。このため、せっかく複数の相手先と同時通話できる環境にあっても、その表示画面が狭いことに起因して、例えば通話している相手先の画像が複数相手先分表示できない等、その利便性が著しく低下するという問題点があった。
【0008】
そして、この問題点は、近年の装置小型化の趨勢を鑑みると、より深刻な問題となる。
【0009】
そこで、本願は上記の各問題点に鑑みて為されたもので、その課題の一例は、複数の相手先との同時通話を行う場合でも、効率的に且つ操作性を向上させて当該同時通話を行うことが可能な電話機、電話処理方法及び電話機用プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、第一の通信回線を用いた第一の呼の着信、及び前記第一の通信回線とは種類が異なる第二の通信回線を用いた第二の呼の着信がそれぞれ可能な電話機であって、前記第一の呼による第一の通話中に前記第二の呼の着信があった場合に、当該第一の通話を保留状態とする制御部等の保留手段と、前記第一の通話中に前記第二の呼の着信があった場合に、前記保留手段によって前記第一の通話を保留にした後、前記第一の通話から前記第二の呼による第二の通話に切り換える制御部等の切換手段と、を備える。
【0011】
上記の課題を解決するために、請求項5に記載の発明は、第一の通信インターフェースを介した第一の呼の着信、及び前記第一の通信インターフェースとは種類が異なる第二の通信インターフェースを介した第二の呼の着信がそれぞれ可能な電話機であって、前記第一の呼による第一の通話中に前記第二の呼の着信があった場合に、当該第一の通話を保留状態とする制御部等の保留手段と、前記第一の通話中に前記第二の呼の着信があった場合に、前記保留手段によって前記第一の通話を保留にした後、前記第一の通話から前記第二の呼による第二の通話に切り換える制御部等の切換手段と、を備える。
【0012】
上記の課題を解決するために、請求項6に記載の発明は、第一の通信回線を用いた第一の呼の着信、及び前記第一の通信回線とは種類が異なる第二の通信回線を用いた第二の呼の着信がそれぞれ可能な電話機において実行される電話処理方法であって、前記第一の呼による第一の通話中に前記第二の呼の着信があった場合に、当該第一の通話を保留状態とする保留工程と、前記第一の通話中に前記第二の呼の着信があった場合に、前記保留工程において前記第一の通話を保留にした後、前記第一の通話から前記第二の呼による第二の通話に切り換える切換工程と、を含む。
【0013】
上記の課題を解決するために、請求項7に記載の発明は、コンピュータを、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の電話機として機能させる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態に係る電話システムの概要構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態に係る電話システムの動作を示す図であり、(a)はメモリ内の優先順位情報の内容を例示する図であり、(b)は当該動作を示すフローチャートである。
【図3】第1実施形態に係る電話システムの動作を例示する流れ図である。
【図4】第2実施形態に係る電話システムのメモリ内の優先順位情報の内容を例示する図である。
【図5】第2実施形態に係る電話システムの動作を例示する流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本願を実施するための最良の形態について、図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施形態は、インターネット等のネットワークを介した通話と、一般公衆回線(例えば、いわゆるPSTN(Public Switched Telephone Networks)回線等の加入電話回線)を介した通話と、が共に可能な電話システムに対して本願を適用した場合の実施の形態である。
【0016】
(I)第1実施形態
始めに、本願に係る第1実施形態について、図1乃至図3を用いて説明する。なお、図1は第1実施形態に係る電話システムの概要構成を示すブロック図であり、図2は第1実施形態に係る電話システムの動作を示す図であり、図3は第1実施形態に係る電話システムの動作を例示する流れ図である。
【0017】
図1に示すように、第1実施形態に係る電話システムSは、使用者が把持して通話を行う携帯型の子機50と、当該子機50に対する充電機能及び台座機能を備えると共に、当該子機50を外部回線に接続する機能を有する親機1と、上記ネットワークNTと当該親機1とを接続する機能を備えるパーソナルコンピュータ等からなる接続装置70と、により構成されている。
【0018】
このとき、子機50は、親機1との無線通信を行うためのアンテナ51と、送信回路53及び受信回路54を備える送受信部52と、制御手段としての制御部55と、操作ボタン等を含むキー操作部60と、アンプ56及び57と、マイク58と、スピーカ59と、文字や記号等を例えば11文字2行表示可能な液晶ディスプレイ等からなる表示部61と、により構成されている。
【0019】
また、親機1は、子機50のアンテナ51との間で無線電波の授受を行うアンテナ17と、送信回路15及び受信回路16を備える送受信部14と、不揮発性領域及び揮発性領域の双方を含む優先順位情報記憶手段としてのメモリ13Aを含む制御手段及び複合通信手段としての制御部13と、アンプ7乃至12とクロススイッチ6とを備えるスイッチ部5と、上記一般公衆回線Xと接続される回線インターフェース2と、コーデック部4と、USB(Universal Serial Bus)インターフェース3と、により構成されている。
【0020】
更に、接続装置70は、上記USBインターフェース3と接続されるUSBインターフェース71と、上記ネットワークNTと接続されるインターフェース72と、接続装置70としての機能を実行するネットワーク電話機能部73と、により構成されている。なお、当該接続装置70の構成において、ネットワーク電話機能部73は、具体的には、当該接続装置70としてのパーソナルコンピュータにインストールされている対応プログラムを当該パーソナルコンピュータ内の図示しないCPU等が実行することにより実現されるものである。
【0021】
次に、上記構成を備える電話システムSの全体動作について説明する。
【0022】
先ず、当該電話システムSを用いて上記一般公衆回線Xを介して通話を行う場合の動作について説明する。
【0023】
実施形態に係る電話システムSを用いて一般公衆回線Xを介した通話を行う場合、先ず、子機51のキー操作部60においてその旨の操作が実行されると、当該操作が為された事を示す操作信号が当該子機50から親機1に出力され、これにより、親機1の制御部13がスイッチング部5内のクロススイッチ6を夫々回線インターフェース2側に切り換える。
【0024】
その後、一般公衆回線Xを介して外部から送信されて来た音声信号等は、回線インターフェース2において予め設定された入力インターフェース処理が施され、アンプ7、クロススイッチ6及びアンプ11を介して送信回路15に出力される。
【0025】
そして、送信回路15は、制御部13の制御の下、当該音声信号等に対して予め設定された暗号化処理や符号化処理等を施した上で、アンテナ17及び子機50のアンテナ51を介して子機50の受信回路54に出力する。
【0026】
これにより、受信回路54は、制御部55の制御の下、出力されて来た音声信号等に対して予め設定された復号処理等を施し、元の音声信号としてアンプ57を介してスピーカ59に出力し、当該音声信号に対応する音声として放音させる。
【0027】
なおこのとき、当該音声信号の送信元の電話番号等は、制御部55を介して表示部61上に表示される。
【0028】
これらに対し、子機50のマイク58を介して入力された通話者の音声は、アンプ56を介して送信回路53に音声信号として入力され、制御部13の制御の下、当該送信回路53において予め設定された暗号化処理や符号化処理等が施された上で、アンテナ51及び親機1のアンテナ17を介して親機1の受信回路16に出力される。
【0029】
これにより、当該受信回路16は、制御部13の制御の下、出力されて来た音声信号に対して予め設定された復号処理等を施し、元の音声信号としてアンプ12,クロススイッチ6及びアンプ8を介して回線インターフェース2に出力する。
【0030】
そして、回線インターフェース2は、当該音声信号に対して予め設定された出力インターフェース処理等を施し、一般公衆回線Xを介して通話先に送信する。
【0031】
次に、実施形態に係る電話システムSを用いてネットワークNTを介して通話を行う場合の動作について説明する。
【0032】
実施形態に係る電話システムSを用いてネットワークNTを介した通話を行う場合、上記一般公衆回線Xを介して行う場合と同様に、子機51のキー操作部60においてその旨の操作が実行されると、当該操作が為された事を示す操作信号が当該子機50から親機1に出力され、これにより、親機1の制御部13がスイッチング部5内のクロススイッチ6を夫々コーデック部42側に切り換える。
【0033】
一方、当該ネットワークNTを介した通話に供される音声信号等は、当該ネットワークNTが準拠すべきデータ伝送規格(より具体的には、例えば当該ネットワークNTがインターネットである場合におけるTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)規格)に則って符号化され且つパケット化された上で接続装置70のインターフェース72に入力される。
【0034】
そして、当該インターフェース72により予め設定された入力インターフェース処理が施され、ネットワーク電話機能部73及びUSBインターフェース71を介して親機1のUSBインターフェース3に出力される。
【0035】
そして、当該USBインターフェース3は、当該パケット内の音声信号等に対して予め設定された入力インターフェース処理を施し、コーデック部4に出力される。
【0036】
これにより、当該コーデック部4は、制御部13の制御の下、当該音声信号等に対して上記規格に準拠した復号処理を施し、アンプ9、クロススイッチ6及びアンプ11を介して送信回路15に出力する。
【0037】
そして、送信回路15は、制御部13の制御の下、上記一般公衆回線Xを介した通話の場合と同様に当該音声信号等に対して予め設定された暗号化処理や符号化処理等を施した上で、アンテナ17及び子機50のアンテナ51を介して子機50の受信回路54に出力する。
【0038】
これにより、受信回路54は、制御部55の制御の下、出力されて来た音声信号等に対して予め設定された復号処理等を施し、元の音声信号としてアンプ57を介してスピーカ59に出力し、当該音声信号に対応する音声として放音させる。
【0039】
なおこのとき、当該音声信号の送信元の電話番号等(当該音声信号と共にパケット化されて送信されて来るものである)は、制御部55を介して表示部61上に表示される。
【0040】
一方、子機50のマイク58を介して入力された通話者の音声は、上記一般公衆回線Xの場合と同様にしてアンテナ51及び親機1のアンテナ17を介して親機1の受信回路16に出力される。
【0041】
これにより、当該受信回路16は、制御部13の制御の下、出力されて来た音声信号に対して予め設定された復号処理等を施し、元の音声信号としてアンプ12、クロススイッチ6及びアンプ10を介してコーデック部4に出力する。
【0042】
これにより、コーデック部4は、制御部13の制御の下、当該音声信号に対して上記規格に準拠した符号化処理を施し、USBインターフェース3及び接続装置70のUSBインターフェース71を介してネットワーク電話機能部73に出力する。
【0043】
そして、当該ネットワーク電話機能部73は、出力されてきた音声信号に対して上記規格に準拠した符号化処理及びパケット化処理等を施し、これをインターフェース72を介してネットワークNTに送信し、当該ネットワークNTを介して通話先に伝送する。
【0044】
なお、送信元としての接続装置70に割り当てられた電話番号等は、通話開始時における上記パケット化処理の際に上記送信信号と共にパケット化され、上記通話先に伝送されることとなる。
【0045】
次に、第1実施形態に係る通話処理について、具体的に図2及び図3を用いて説明する。
【0046】
上述した第1実施形態に係る電話システムSにおいては、従来と同様に、ネットワークNTを介した通話中に他の相手先から別の呼が当該ネットワークNTを介して着信した場合、それまで通話していた呼を一旦保留状態とした上で新たに着信した呼に対する通話を開始資することが可能とされている。また、上述した保留状態を複数保持しつつ更に新たな呼の着信がネットワークNTを介してあった場合でも、その新たな呼に対する応答も可能とされている。
【0047】
このとき、第1実施形態に係る電話システムSにおいては、ネットワークNTを介した呼の着信が同時並行的に複数あった場合に備え、当該呼の属性(より具体的には、「通話中」の呼、電話システムSの操作者による「発信操作中」の呼、「着信」中の(すなわち、着信音が鳴動中の)呼、当該操作者によって「保留」とされた呼及び通話の相手先の操作により「保留」とされた呼の五種類の属性)に対応した優先順位が予め設定されており、その優先順位を示す優先順位情報がメモリ13Aの不揮発性領域内に記憶されている。
【0048】
より具体的には、上記した各属性に夫々一対一に対応する優先順位情報80乃至84が、図2(a)に例示するようにメモリ13Aの不揮発性領域内に記憶されている。
【0049】
このとき、通話中の呼と発信操作中の呼が同時に併存することはあり得ないため、夫々に対応する優先順位情報80及び81は、相互に同等且つ他の属性に対して最も高い優先度とされている。
【0050】
また、着信中の呼に対応する優先順位情報82内においては、更に細分化された優先順位として、着信中である呼が複数あるとき、夫々に対応する電話システムSへの着信時刻が早い呼ほど優先度が高い優先順位とされている。
【0051】
更に、電話システムSの操作者によって保留とされた呼に対応する優先順位情報83内において、更に細分化された優先順位として、当該操作者の操作により保留中となっている呼が複数あるとき、当該保留状態に移行した時刻が遅い呼ほど優先度が高い優先順位とされている。
【0052】
更にまた、通話の相手先の操作により保留とされた呼に対応する優先順位情報84内において、更に細分化された優先順位として、当該相手先の操作により保留中とされている呼が複数あるとき、当該保留状態に移行した時刻が遅い呼ほど優先度が高い優先順位とされている。
【0053】
そして、図2(a)に例示する優先順位情報80乃至84がメモリ13Aに記憶されている電話システムSにおいては、当該電話システムSに対して新たな呼の着信があった場合や当該電話システムSにおいて新たな呼の発信操作を実行する場合等においては、図2(b)に示すように、そのときの操作対象となっている夫々の呼の属性が上記五種類の属性のうちのいずれであるかを確認し(ステップS1)、その確認された属性に対応する優先順位情報80乃至84に基づき当該呼の現段階における優先度を確認し(ステップS2)、更にその確認された優先度に応じて表示部61における表示内容を入れ換えると共に呼の切り換え動作等を実行し(ステップS3)、当該切り換えられた呼に対応する処理を実際に実行する(ステップS4)。
【0054】
その後、全ての呼に対する処理が完了したか否かを確認し(ステップS5)、当該全ての呼に対する処理が完了しているときは(ステップS5;YES)そのまま第1実施形態に係る通話処理を完了し、一方、未処理の(より具体的には、例えば保留中の)呼がまだあるときは(ステップS5;NO)、当該残っている呼に対して上記優先度に応じた処理を行うべく上記ステップS1に戻る。
【0055】
次に、図2(b)に示した動作の具体例について、図3を用いて説明する。なお、図3は、「○×」なる相手先からの呼を保留しつつ「○○」なる相手先と通話を実行しているときに、「××」なる相手先から着信があった場合の処理、並びに当該「××」なる相手先との通話を終了する場合の処理について制御部13及び55の動作並びに表示部61における表示態様の変化を例示するものである。
【0056】
すなわち、図3に例示するように、「○×」なる相手先からの呼を保留しつつ「○○」なる相手先と通話を実行している場合には、当該「○×」なる相手先の呼が保留状態であることを示す動作情報100及び当該「○○」なる相手先の呼が通話状態であることを示す動作情報101がメモリ13Aの揮発性領域内に保持されており、これに伴って、「通話 相手先;○○」なる表示が表示部61において実行されている。
【0057】
そして、この状態の時に「××」なる相手先から着信があると、その着信を示す旨のベル音等が図1において図示しないスピーカにおいて鳴動され、これに対応して子機50を把持して「○○」なる相手先と通話していた操作者はキー操作部60内の図示しない通話釦を押下する。
【0058】
この操作により、「××」なる相手先との呼が「通話中」状態となり、これにより図2(a)に示した優先順位情報80及び83に基づき、当該「××」なる相手先の呼が通話状態であることを示す動作情報102が最優先の動作情報として新たにメモリ13Aの揮発性領域内に保持され、更にこれに伴って動作状態101の内容が「通話中」から「保留中」に変更された上でメモリ13A内に継続して保持されることとなり、更に「通話 相手先;××」なる表示が表示部61において新たに実行される。
【0059】
次に、「××」なる相手先との通話を終了するときは、操作者によりキー操作部60内の図示しない終了釦が押下され、この操作により「××」なる相手先との呼が切断されると共に上記動作情報102がメモリ13Aから消去される。そして、図2(a)に示した優先順位情報83に基づき、「○○」なる相手先の呼が保留状態であることを示す動作情報101が最優先となってメモリ13Aの揮発性領域内に継続して保持され、これに伴って、「保留 相手先;○○」なる表示が表示部61において新たに実行される。
【0060】
なお、上記した一連の動作中においては、「○×」なる相手先との呼は、継続して保留されていることとなる。
【0061】
以上説明したように、第1実施形態に係る電話システムSにおける通話処理によれば、夫々の呼の属性に基づいて予め設定されている優先順位に則って当該各呼に対する制御を実行するので、異なる属性の呼が同時並行的に制御されることがなく、結果として、複数の呼を用いた同時通信を行う場合でも効率的に且つ操作性を向上させて当該制御を行うことができる。
【0062】
また、優先順位に基づいて現在制御している呼に対応する動作情報のみを表示部61に表示するので、例えば小型の子機50により複数の呼を用いた同時通信を行う場合において、表示部61としての表示可能文字数が少ない場合でも効率的且つ操作性を向上させて当該通信を行うことができる。
【0063】
更に、優先順位情報80として、現在通話中の呼の優先順位が第一番とされているので、現在通話中の呼の状態(例えば、相手先番号等)を的確に把握して当該通話を継続することができる。
【0064】
更にまた、優先順位情報81として、現在発信操作中の呼の優先順位が、上記通話中の呼と同等の第一番とされているので、当該発信操作中の呼の状態(例えば、発信電話番号等)を的確に把握して当該通話を継続することができる。
【0065】
また、抽選順位情報82として、着信時刻が早い呼ほど優先度が高い優先順位であるので、先に着信した呼から順に応答処理に供させることができることで、発信元を長時間待たせることなく通信を開始又は再開することができる。
【0066】
更に、優先順位情報83として、子機50の操作者の操作によって保留状態に移行した時刻が遅い呼ほど優先度が高い優先順位とされているので、直近に保留状態に移行させた呼からその内容等を迅速に思い出しつつ通信をすることができる。
【0067】
更にまた、優先順位情報82及び83として、着信中である呼の優先度が、操作者の操作により保留中となっている呼の優先度より高いので、呼の確立を優先させて同時通信をすることができる。
【0068】
また、優先順位情報84として、相手先の操作により保留状態に移行した時刻が遅い呼ほど優先度が高い優先順位とされているので、直近に保留状態に移行させられた呼からその内容等を迅速に思い出しつつ通信をすることができる。
【0069】
更に、優先順位情報82乃至84として、着信中である呼の優先度>子機50の操作者が保留とした呼の優先度>通信の相手先に保留とされた呼の優先度、とされているので、呼の確立を最優先としつつ、現実の通信/通話態様に即した状態で効率的に同時通信を実現することができる。
【0070】
(II)第2実施形態
次に、本願に係る他の実施形態である第2実施形態について、図4及び図5を用いて説明する。なお、図4は第2実施形態に係る電話システムのメモリ内の優先順位情報の内容を例示する図であり、図5は第2実施形態に係る電話システムの動作を例示する流れ図である。また、第2実施形態に係る電話システムの構成は、基本的には第1実施形態に係る電話システムSのものと同一であるので、同一の部材については同一の部材番号を用いて説明し、その細部の説明は省略する。
【0071】
上述した第1実施形態においては、ネットワークNTを介して授受される呼における優先度のみを考慮したが、以下に説明する第2実施形態では、これに加えて、一般公衆回線(以下、適宜PSTN回線と略称する)Xを介して授受される呼を含めて優先度を考える。
【0072】
すなわち、第2実施形態に係る電話システムにおける呼の優先度は、図4に例示するように、PSTN回線Xを介して授受される呼の優先度がネットワークNTを介して着信中の呼の優先度と子機50の操作者によって保留とされた呼の優先度の間の優先度とされており、その旨が優先順位情報85としてメモリ13Aの不揮発性領域内に記憶されている。
【0073】
そして、図4に例示する優先順位情報80乃至85を用いて、ネットワークNTを介して授受される呼とPSTN回線Xを介して授受される呼とを併せて通話処理が実行される。
【0074】
次に、図4に例示する優先順位情報80乃至85を用いた通話処理の具体例について、図5を用いて説明する。なお、図5は、「○○」なる相手先と通話を実行しているときに、PSTN回線Xを介して着信があった場合の処理、並びにPSTN回線Xを介した通話を終了する場合の処理について制御部13及び55の動作並びに表示部61における表示態様の変化を例示するものである。
【0075】
すなわち、図5に例示するように、「○○」なる相手先と通話を実行している場合には、当該「○○」なる相手先の呼が通話状態であることを示す動作情報100がメモリ13Aの揮発性領域内に保持されており、これに伴って、「通話 相手先;○○」なる表示が表示部61において実行されている。
【0076】
そして、この状態の時にPSTN回線Xを介した着信があると、その着信を示す旨のベル音等が上記スピーカにおいて鳴動され、これに対応して子機50を把持して「○○」なる相手先と通話していた操作者はキー操作部60内の図示しない終了釦を押下する。
【0077】
この操作により、「○○」なる相手先との呼が保留状態となり、これにより図4に示した優先順位情報83及び85に基づき、PSTN回線Xを介した着信があったことを示す動作情報103が最優先の動作情報として新たにメモリ13Aの揮発性領域内に保持され、更にこれに伴って動作状態100の内容が「通話中」から「保留中」に変更された上でメモリ13A内に継続して保持されることとなり、更にPSTN回線Xからの着信があったことを示す「着信」なる表示が表示部61において新たに実行される。
【0078】
そして、この状態で操作者がキー操作部60内の図示しない通話釦を押下すると、動作状態103の内容が「着信中」から「通話中」に変更された上でメモリ13A内に継続して保持されることとなり、更に表示部61においてPSTN回線Xを介した通話の時間等の表示が実行される。
【0079】
次に、PSTN回線Xを介した通話を終了するときは、操作者によりキー操作部60内の図示しない終了釦が押下され、この操作により当該PSTN回線Xを介した通話(呼)が切断されると共に上記動作情報103がメモリ13Aから消去される。そして、図4に示した優先順位情報83に基づき、「○○」なる相手先の呼が保留状態であることを示す動作情報100が最優先となってメモリ13Aの揮発性領域内に継続して保持され、これに伴って、「保留 相手先;○○」なる表示が表示部61において新たに実行される。
【0080】
以上説明したように、第2実施形態に係る電話システムにおける通話処理によれば、第1実施形態に係る電話システムSの通話処理による作用効果に加えて、PSTN回線Xを介して授受される呼があるとき、着信中のネットワークNTを介して授受される呼の優先度が当該PSTN回線Xを介して授受される呼の優先度より高く、更に当該PSTN回線Xを介して授受される呼の優先度が子機50の操作者の操作により保留中となっている呼の優先度より高いので、ネットワークNTを介して授受される呼と、PSTN回線Xを介して授受される呼とがある場合においても、効率的且つ現実の通信態様に即して同時通信を制御することができる。
【0081】
なお、図2(b)に示すフローチャートに対応するプログラムを、フレキシブルディスク又はハードディスク等の情報記録媒体に記録しておき、又はインターネット等を介して取得して記録しておき、これらを汎用のコンピュータで読み出して実行することにより、当該コンピュータを実施形態に係る制御部13又は55として活用することも可能である。
【符号の説明】
【0082】
1 親機
2 回線インターフェース
3、71 USBインターフェース
4 コーデック部
5 スイッチ部
6 クロススイッチ
13、55 制御部
14、52 送受信部
15、53 送信回路
16、54 受信回路
17、51 アンテナ
58 マイク
59 スピーカ
60 キー操作部
61 表示部
70 接続装置
72 インターフェース
73 ネットワーク電話機能部
80、81、82、83、84、85 優先順位情報
100、101、102、103 動作情報
S 電話システム
X 一般公衆回線
NT ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の通信回線を用いた第一の呼の着信、及び前記第一の通信回線とは種類が異なる第二の通信回線を用いた第二の呼の着信がそれぞれ可能な電話機であって、
前記第一の呼による第一の通話中に前記第二の呼の着信があった場合に、当該第一の通話を保留状態とする保留手段と、
前記第一の通話中に前記第二の呼の着信があった場合に、前記保留手段によって前記第一の通話を保留にした後、前記第一の通話から前記第二の呼による第二の通話に切り換える切換手段と、
を備えることを特徴とする電話機。
【請求項2】
請求項1に記載の電話機において、
前記第一の通信回線のためのインターフェース手段と、
前記第二の通信回線のためのインターフェース手段と、
を更に備え、
各前記インターフェース手段は、いずれの当該インターフェースを介した着信及び発信も同時に受け付けるように構成されていることを特徴とする電話機。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の電話機において、
前記第一の通話の前記保留状態よりも前記第二の通話の方が優先順位が高いことを示す優先順位情報に基づいて、前記保留手段は前記第一の通話を前記保留状態とし、
前記優先順位情報に基づいて、前記切換手段は前記第一の通話から前記第二の通話への切り換えを行うことを特徴とする電話機。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電話機において、
前記第一の通信回線はインターネット回線であり、第二の通信回線はPSTN(Public Switched Telephone Networks)回線であることを特徴とする電話機。
【請求項5】
第一の通信インターフェースを介した第一の呼の着信、及び前記第一の通信インターフェースとは種類が異なる第二の通信インターフェースを介した第二の呼の着信がそれぞれ可能な電話機であって、
前記第一の呼による第一の通話中に前記第二の呼の着信があった場合に、当該第一の通話を保留状態とする保留手段と、
前記第一の通話中に前記第二の呼の着信があった場合に、前記保留手段によって前記第一の通話を保留にした後、前記第一の通話から前記第二の呼による第二の通話に切り換える切換手段と、
を備えることを特徴とする電話機。
【請求項6】
第一の通信回線を用いた第一の呼の着信、及び前記第一の通信回線とは種類が異なる第二の通信回線を用いた第二の呼の着信がそれぞれ可能な電話機において実行される電話処理方法であって、
前記第一の呼による第一の通話中に前記第二の呼の着信があった場合に、当該第一の通話を保留状態とする保留工程と、
前記第一の通話中に前記第二の呼の着信があった場合に、前記保留工程において前記第一の通話を保留にした後、前記第一の通話から前記第二の呼による第二の通話に切り換える切換工程と、
を含むことを特徴とする電話処理方法。
【請求項7】
コンピュータを、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の電話機として機能させることを特徴とする電話機用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−176883(P2011−176883A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−123210(P2011−123210)
【出願日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【分割の表示】特願2006−151618(P2006−151618)の分割
【原出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【出願人】(000111878)パイオニアコミュニケーションズ株式会社 (44)
【Fターム(参考)】