説明

電話装置および電話イベント情報通知方法

【課題】電話の着信等のイベントをユーザにわかりやすい状態で通知する電話装置および電話イベント情報通知方法を提供する。
【解決手段】 自電話装置20において着信に関するイベントが発生したときに、このイベントの詳細情報を着信履歴情報として記録する着信履歴記録部25と、着信によるイベントが発生したときに、このイベントの発生を通知するためのイベント情報を家電ネットワーク50内のすべての家電機器40から出力させるために送信し、家電機器40のいずれかから当該イベント情報に関する着信履歴情報の取得要求を受信すると、この取得要求に対応する着信履歴情報を取得要求の送信元である家電機器40から出力させるために、着信履歴記録部25から送信させる電話イベント管理部26とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話の着信等のイベントをユーザにわかりやすい状態で通知する電話装置および電話イベント情報通知方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電話装置は、着信を受けた際に自身の装置から着信音を鳴動させることにより、当該着信をユーザに通知していた。また、ユーザが不在のため着信に応答できなかった際は、着信履歴を自身の装置の画面に表示させることにより、当該着信があったことをユーザに通知していた。さらに、留守番電話機能付きの電話装置は、ユーザが不在により着信に応答できず発信者からのメッセージを録音したときに、自身の装置に設置されたボタンを点滅させることなどにより、録音されたメッセージがあることをユーザに通知していた。
【0003】
また近年は、特許文献1に記載されたような、着信を受けた際にネットワークにより電話装置に接続されたパーソナルコンピュータのディスプレイ上に着信電話番号に対応した情報を表示させたり、発信元の電話番号を記憶しておくコンピュータ電話統合システム(CTI;Computer Telephony Integrationシステム)により、電話の着信を管理する技術が知られている。
【0004】
この電話統合システムを利用することにより、予め電話装置に接続されたパーソナルコンピュータ上で、着信を受けた際に発信元の電話番号を確認したり記憶したりすることができ、ユーザにとって利便性が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−96503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし従来の電話装置により、着信音を鳴動させることで着信を通知するようにすると、ユーザが電話装置から遠い場所にいる場合には着信音が聞こえず気付かない可能性があるという問題があった。
【0007】
また、着信履歴を画面に表示させたり、録音メッセージがあることをボタンの点滅させたりすることでこれらのイベントを通知するようにすると、ユーザが電話装置の表示等を意識的に確認しなければこれらの通知に気付かない可能性があるという問題があった。
【0008】
さらに、上記の特許文献1の技術では、予めパーソナルコンピュータと電話装置とを1対1で対応づけてユーザまたはシステム管理者が登録を行わなければならず、設定に手間がかかるという問題があった。また、登録されたパーソナルコンピュータをユーザが使用しているときでなければ当該機能を利用することができないため、着信や録音メッセージに気付かない可能性があるという問題があった。
【0009】
よって本発明の目的は、電話の着信等のイベントをユーザにわかりやすい状態で通知する電話装置および電話イベント情報通知方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するための、本発明の電話装置は、複数の電子機器にネットワークを介して接続された電話装置において、自装置においてイベントが発生したときに、このイベントに関するイベント詳細情報を記録するイベント情報記録部と、自装置において着信によるイベントが発生したときに、このイベントの発生を通知するためのイベント情報をすべての前記複数の電子機器から出力させるために送信する着信処理部と、前記着信処理部からイベント情報を送信したことにより、前記電子機器のいずれかから前記着信によるイベントに関するイベント詳細情報の取得要求を受信すると、この取得要求に対応するイベント詳細情報を前記イベント詳細情報の取得要求の送信元である電子機器から出力させるために、前記イベント情報記録部から送信させる出力情報制御部とを備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の電話イベント情報通知方法は、複数の電子機器にネットワークを介して接続された電話装置が、自装置においてイベントが発生したときに、このイベントに関するイベント詳細情報を記録し、自装置において着信によるイベントが発生したときに、このイベントの発生を通知するためのイベント情報をすべての前記複数の電子機器から出力させるために送信し、前記イベント情報を送信したことにより、前記電子機器のいずれかから前記着信によるイベントに関するイベント詳細情報の取得要求を受信すると、この取得要求に対応するイベント詳細情報を前記イベント詳細情報の取得要求の送信元である電子機器から出力させるために送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の電話装置および電話イベント情報通知方法は、電話の着信等のイベントをユーザにわかりやすい状態で通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態による電話装置を利用した電話イベント情報通知システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態による電話装置の電話イベント管理部の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態による電話装置と家電機器との間で情報が送受信されるときの状態を示すシーケンス図である。
【図4】本発明の一実施形態による電話装置の電話イベント管理部で実行される処理を説明するフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態による電話装置を利用した電話イベント情報通知システムの家電機器に出力されるイベント情報の一例である。
【図6】本発明の一実施形態による電話装置を利用した電話イベント情報通知システムの家電機器に出力されるイベント情報の一例である。
【図7】本発明の一実施形態による電話装置を利用した電話イベント情報通知システムの家電機器に出力される着信履歴情報の一例である。
【図8】本発明の一実施形態による電話装置を利用した電話イベント情報通知システムの家電機器に出力されるイベント情報の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態による電話装置を利用した電話イベント情報通知システムについて、詳細に説明する。
【0015】
〈一実施形態による電話イベント情報通知システムの構成〉
本実施形態の電話イベント通知情報システムは、図1に示すように、n台の電話機10−1〜10−nと、発生したイベントの情報を通知する機能を有する電話装置20と、これらの電話機10−1〜10−nと電話装置20とを接続する電話網30と、電話装置20で発生したイベントに関する情報を出力する出力装置としての家電機器40と、電話装置20と家電機器40とを接続する家電ネットワーク50とを備える。図1においては家電ネットワーク50に接続された家電機器40が1台の場合を示しているが、実際には複数の家電機器40が接続可能である。
【0016】
電話装置20は、電話網インタフェース部21と、電話−ユーザインタフェース部22と、自動応答部23と、録音メッセージ蓄積部24と、着信履歴記録部25と、電話イベント管理部26と、ネットワークインタフェース部27とを有する。
【0017】
電話網インタフェース部21は、対向する他の電話機10−1〜10−nのいずれかと、発呼のための呼制御信号および音声情報や映像情報を、電話網30を介して送受信する。電話装置20または電話機が10−1〜10−nのいずれかがIP電話のときは、この呼制御信号にはSIP(Session Initiation Protocol)が用いられる。
【0018】
電話−ユーザインタフェース部22は、ユーザにより操作されるプッシュボタンやハンドセット、ユーザに情報を出力する画面、およびこれらの操作を制御する制御部(図示せず)等で構成され、他の電話機10−1〜10−nへの発信指示の入力、他の電話機10−1〜10−nからの着信への応答指示の入力、および他の電話機10−1〜10−nとの通信の切断指示の入力、発生したイベントに関する情報の出力、発生したイベントに関する詳細情報の取得要求の入力、録音されたメッセージ情報の出力等を行う。
【0019】
自動応答部23は、電話網インタフェース部21を介して対向する他の電話機10−1〜10−nのいずれかからの着信が開始してから、ユーザが電話−ユーザインタフェース部22を操作して応答するまでの時間である応答待ち時間が予め設定されたリミットに達したときに、着信元の電話機から自動応答用メッセージを再生させるための音声情報である自動応答用メッセージ情報を記憶する。また、電話イベント管理部26から自動応答命令を取得したときには、この記憶している自動応答用メッセージ情報を再生させるために電話網インタフェース部21を介して着信元の電話機に送信する。
【0020】
録音メッセージ蓄積部24は、着信元の電話機において自動応答メッセージ情報が再生された後に、蓄積命令を取得すると、当該着信元の電話機を操作する通話相手から送出される音声情報や映像情報によるメッセージを録音メッセージ情報として蓄積する。また、電話イベント管理部26から録音メッセージ情報の再生命令を取得したときには、この蓄積した録音メッセージ情報を電話−ユーザインタフェース部22から再生させるかまたは、家電機器40の録音メッセージ出力制御部43を介して家電−ユーザインタフェース部44から再生させるために送信する。
【0021】
着信履歴記録部25は、電話網インタフェース部21を介して対向する他の電話機10−1〜10−nのいずれかから着信があったときに、電話イベント管理部26からの記録命令により当該着信に関する着信履歴情報を記憶する。この着信履歴情報には、ユーザが応答する前に着信元の電話機から呼制御信号が切断された「未応答着信」であるか、ユーザが応答した「応答済着信」であるかの情報を含む。
【0022】
電話イベント管理部26は、図2に示すように着信処理部261と、出力情報制御部262と、発信処理部263とを有する。
【0023】
着信処理部261は、電話網インタフェース部21を介して対向する他の電話機10−1〜10−nのいずれかから呼制御信号を受信したことにより着信を検知すると、予め設定された条件に従って、着信元の電話機10に自動応答部23から自動応答用メッセージ情報を送信させるための制御、録音メッセージ情報を録音メッセージ蓄積部24に蓄積させるための制御、および着信履歴記録部25に着信履歴情報を記憶させるための制御を行う。
【0024】
また、着信処理部261は、呼制御信号の受信中には着信中であることを通知するためのイベント情報を生成し、またユーザが応答する前に着信元の電話機から呼制御信号が切断されたときには現在の未応答着信の件数を加算して通知するためのイベント情報を生成し、また録音メッセージ情報が録音メッセージ蓄積部24に蓄積されたときには未確認の録音メッセージ情報の件数を加算して通知するためのイベント情報を生成する。
【0025】
出力情報制御部262は、着信処理部261で生成されたイベント情報を電話−ユーザインタフェース部22から出力させるとともに、ネットワークインタフェース部27を介して家電機器40の家電−ユーザインタフェース部44から出力させる。
【0026】
また、出力情報制御部262は、イベント情報を電話−ユーザインタフェース部22および家電−ユーザインタフェース部44から出力させたことで、ユーザの操作によりこれらの着信履歴を表示させるための着信履歴表示要求が送信されると、これに応答して着信履歴記録部25から着信履歴情報を要求元に送信させるための表示命令を送出する。また、録音メッセージ情報を再生させための再生要求が送信されると、これに応答して録音メッセージ蓄積部24から該当する録音メッセージ情報を要求元に送信させるための再生命令を送出する。
【0027】
発信処理部263は、電話−ユーザインタフェース部22またはネットワークインタフェース部27から発信要求が送出されたときに、この発信要求に基づいて電話網インタフェース部21を介して該当する他の電話機に呼制御信号を発信するための発信処理を行う。
【0028】
ネットワークインタフェース部27は、家電ネットワーク50を介して接続された家電機器40に録音メッセージ情報、着信履歴情報、イベント情報を送信する処理、および家電機器40から送信される着信履歴表示要求、録音メッセージ再生要求、発信要求等の制御命令を受信する処理を行う。
【0029】
家電機器40は、イベント情報表示制御部41と、着信履歴表示制御部42と、録音メッセージ出力制御部43と、家電−ユーザインタフェース部44とを有する。
【0030】
イベント情報表示制御部41は、電話イベント管理部26の出力情報制御部262からネットワークインタフェース部27を介して送信されたイベント情報を受信し、表示画面情報を生成して家電−ユーザインタフェース部44に表示させる。
【0031】
着信履歴表示制御部42は、イベント情報表示制御部41の制御により家電−ユーザインタフェース部44にイベント情報が表示されたことにより、ユーザから着信履歴表示要求、録音メッセージ再生要求、または発信要求が入力されたときには、これらの要求をネットワークインタフェース部27を介して電話イベント管理部26に送信する。また、電話イベント管理部26に着信履歴表示要求を送信したことにより着信履歴記録部25から送信された着信履歴情報を受信し、表示画面情報を生成して家電−ユーザインタフェース部44に表示させる。
【0032】
録音メッセージ出力制御部43は、着信履歴表示制御部42から録音メッセージ再生要求が送信されたことにより録音メッセージ蓄積部24から送信された録音メッセージ情報を受信し、家電−ユーザインタフェース部44から出力させる。
【0033】
家電−ユーザインタフェース部44は、イベント情報表示制御部41から取得したイベント情報および着信履歴表示制御部42から取得した着信履歴情報を表示するとともに、これらを表示したことによりユーザから入力された着信履歴表示要求、録音メッセージ再生要求を着信履歴表示制御部42に送出する。また、録音メッセージ出力制御部43から取得した録音メッセージ情報を出力する。
【0034】
〈一実施形態による電話イベント情報通知システムの動作〉
次に、本実施形態による電話イベント情報通知システムの動作について、図3のシーケンス図および図4のフローチャートを参照して説明する。
【0035】
図3は、電話装置20におけるイベント発生前〜発生後に、m台の家電機器40−1〜40−mと電話装置20との間で情報が送受信されるときの状態を示した図であり、図4は、電話装置20におけるイベントの発生に関して電話イベント管理部26で実行される処理の流れを示した図である。
【0036】
(1)前処理
まず前処理として、所定時間間隔で家電ネットワーク50内の各家電機器40−1〜40−mにおいて電話装置20の存在が認識されるとともに、それぞれ電話装置20との接続に関する情報が取得される。
【0037】
この各家電機器40−1〜40−mにおける電話装置20の存在の認識および接続に関する情報の取得は、a)各家電機器が家電ネットワーク50に接続されているすべての装置に対して電話装置が存在するかどうかを確認するメッセージを所定時間間隔でマルチキャスト送信し、電話装置20がこれを受信すると接続に関する情報を返信する方法、または、b)電話装置20が家電ネットワーク50に接続されているすべての装置に対して所定時間間隔で接続に関する情報をマルチキャスト送信する方法、のいずれかにより行われる。
【0038】
各家電機器40−1〜40−mでは、この電話装置20から送信された接続に関する情報に従って、以降の電話装置20との情報の送受信が行われる。
【0039】
また各家電機器40−1〜40−mの起動時に、電話装置20において発生したイベントに関する通知を要求するためのイベント通知要求がイベント情報表示制御部41から電話装置20に送信され(S1〜S3)、このイベント通知要求が電話装置20のネットワークインタフェース部27を介して電話イベント管理部26で受信される。
【0040】
電話イベント管理部26でイベント通知要求が受信されると、これに応答してイベントの発生に関する通知の許諾を示す許諾応答がそれぞれの家電機器40−1〜40−mに送信される(S4〜S6)。
【0041】
以降は、この許諾応答が受信された家電機器において、電話装置20で発生したイベントに関するイベント情報が通知されるようになる。
【0042】
(2)着信による呼制御イベント発生時の処理
上述したように前処理が行われると、電話イベント管理部26の着信処理部261では、着信中、着信中の未応答切断、通話開始、通話終了等の呼制御イベントがあったか否かを監視する待ち受けが開始される(S21)。
【0043】
次に、後述する「応答待ち時間」の計測中であるか否かが判定されるが(S22)、ここでは計測中ではないと判定されたものとする(S22の「NO」)。
【0044】
次に、着信処理部261で着信中による呼制御イベントが発生したことが検知されるとステップS24に移り、「着信中」であることを通知するためのイベント情報が生成される。このイベント情報は、出力情報制御部262の制御により電話−ユーザインタフェース部22から着信音などにより出力されるとともに各家電機器40−1〜40−mにネットワークインタフェース部27を介して送信され、前処理にて許諾応答が受信されたすべての家電機器40−1〜40−mのイベント情報表示制御部41を介して家電−ユーザインタフェース部44から出力される(S24および図3のS7〜S10)。
【0045】
この着信中のイベント情報が、家電−ユーザインタフェース部44である出力画面に出力されたときの画面構成図の一例を図5に示す。
【0046】
この図5の出力画面441には、着信元の電話機の電話番号を含むイベント情報442として「着信中:03-XXXX-XXXX」が表示されている。
【0047】
次に、着信処理部261において、着信中による呼制御イベントが発生してからユーザが電話−ユーザインタフェース部22を操作して応答するまでの時間である応答待ち時間の計測が開始される(S25)。応答待ち時間の計測が開始されると、ステップS22に戻る。
【0048】
ステップS22では応答待ち時間の計測中であるか否かが判定され、ここでは応答待ち時間の計測が開始されているためステップS26に移り、この応答待ち時間が予め設定されたリミットに達したか否かが判定される(S26)。
【0049】
ここで応答待ち時間がリミットに達していると判定されたとき(S26の「YES」)には、自動応答部23に自動応答命令が送出され、電話網インタフェース部21を介して着信元の電話機に自動応答用メッセージ情報を送信させる(S27)。また応答待ち時間がリミットに達していないと判定されたとき(S26の「NO」)には、着信中であることを通知するためのイベント情報の出力が継続される。
【0050】
(3)未応答切断による呼制御イベント発生時の処理
着信後、ステップS23においてユーザが未応答の状態で着信元の電話機から呼制御信号が切断される未応答切断の呼制御イベントが発生したことが検知されるとステップS28に移り、応答待ち時間の計測処理が終了される(S28)。
【0051】
そして記録命令を送出し、「未応答着信」であることを示す情報を含む着信履歴情報を着信履歴記録部25に記録させる(S29)。また着信処理部261ではユーザに確認操作が行われていない未応答着信の件数が保持されており、新たな未応答着信の情報を着信履歴情報に記録させると、この保持されている未応答着信の件数が1件加算される(S30)。
【0052】
着信処理部261において保持されている未応答着信の件数が1件加算されると、この加算された未応答着信の件数を変更する通知をするためのイベント情報が生成される。このイベント情報は、出力情報制御部262の制御により電話−ユーザインタフェース部22から出力されるとともに各家電機器40−1〜40−mにネットワークインタフェース部27を介して送信され、前処理にて許諾応答が受信されたすべての家電機器40−1〜40−mのイベント情報表示制御部41を介して家電−ユーザインタフェース部44から出力される(S31)。
【0053】
この未応答着信の件数の変更を通知するためのイベント情報が、家電−ユーザインタフェース部44である出力画面に出力されたときの画面構成図の一例を図6に示す。
【0054】
この図6の出力画面441には、現在未確認の未応答着信の件数が3件であることを示す情報「3件の着信がありました」を含むイベント情報443が表示されている。未応答着信の件数の変更を通知するためのイベント情報が出力画面に出力されると、ステップS22に戻る。
【0055】
ステップS22では応答待ち時間の計測中であるか否かが判定され、ここでは応答待ち時間の計測が終了されているため、応答待ち時間の計測中ではないと判定される(S22の「NO」)。
【0056】
(4)応答による呼制御イベント発生時の処理
着信後、ステップS23において、ユーザが電話−ユーザインタフェース部22を操作し応答したことを検知すると、電話網インタフェース部21に応答命令が送出され、通話可能な状態になる。このユーザの操作による応答がされたかまたは、ステップS27において自動応答用メッセージ情報が着信元の電話機に送信され再生されたことにより、通話が開始され応答による呼制御イベントが発生したことが検知されると、ステップS32に移り、応答待ち時間の計測が終了される(S32)。ステップS32において応答待ち時間の計測が終了されると、ステップS22に戻る。
【0057】
ステップS22では応答待ち時間の計測中であるか否かが判定され、ここでは応答待ち時間の計測が終了されているため、応答待ち時間の計測中ではないと判定される(S22の「NO」)。
【0058】
着信元の電話機との通話が開始されると、電話−ユーザインタフェース部22と通話相手の電話機との間で、電話網インタフェース部21および電話網30を介して通話による音声情報や映像情報が送受信される。
【0059】
また、通話が開始されたことが検知されると、家電機器40−1〜40−mの家電−ユーザインタフェース部44から出力されていた「着信中」であることを通知するためのイベント情報が消去される。
【0060】
(5)通話終了による呼制御イベント発生時の処理
着信後通話が開始され、さらにこの通話終了による呼制御イベントが発生したことが検知されるとステップS33に移り、この通話が自動応答用メッセージ情報の再生によるものか否かが判定される(S33)。
【0061】
当該終了した通話が自動応答用メッセージ情報の再生によるものではなくユーザの操作により応答したものであると判定されたときには(S33の「NO」)、記録命令を送出してユーザが応答した「応答済着信」であることを示す情報を含む着信履歴情報を着信履歴記録部25に記録させる(S34)。ステップS34において着信履歴情報が記録されると、ステップS22に戻る。
【0062】
また、ステップS33において当該終了した通話が自動応答用メッセージ情報の再生によるものであると判定され(S33の「YES」)、この通話の終了後に通話相手から録音メッセージが送信されたときは、蓄積命令を送出してこのメッセージを録音メッセージ情報として録音メッセージ蓄積部24に蓄積させる。
【0063】
通話相手から録音メッセージが送信されず録音メッセージ情報が蓄積されなかったときは(S35の「NO」)、記録命令を送出して「未応答着信」であることを示す情報を含む着信履歴情報を着信履歴記録部25に記録させる(S36)。着信処理部261では、新たな未応答着信の着信履歴情報を着信履歴記録部25に記録させると、この保持されている未応答着信の件数が1件加算される(S37)。
【0064】
着信処理部261において保持されている未応答着信の件数が1件加算されると、この加算された未応答着信の件数に変更する通知をするためのイベント情報が生成される。このイベント情報は、出力情報制御部262の制御により電話−ユーザインタフェース部22から出力されるとともに各家電機器40−1〜40−mにネットワークインタフェース部27を介して送信され、前処理にて許諾応答が受信されたすべての家電機器40−1〜40−mのイベント情報表示制御部41を介して家電−ユーザインタフェース部44から出力される(S38)。
【0065】
この未応答着信の件数の変更を通知するためのイベント情報が、家電−ユーザインタフェース部44である出力画面に出力されたときの画面構成図はステップS33において出力されたものと同様であり、例えば図6のように表示される。
【0066】
未応答着信の件数を通知するためのイベント情報が出力画面に出力されると、ステップS22に戻る。
【0067】
また、ステップS35において通話相手から録音メッセージが送信され録音メッセージ情報が蓄積中であったときには(S35の「YES」)、この通話終了により録音メッセージ情報の蓄積処理を停止させる(S39)。
【0068】
録音メッセージ蓄積部24に録音メッセージ情報が蓄積されると、当該通話について着信履歴記録部25に記録された着信履歴情報に、録音メッセージ情報があることを示す情報が付加される(S40)。
【0069】
また着信処理部261では、ユーザによる確認操作が行われていない録音メッセージ情報の件数が保持されており、新たな録音メッセージ情報を録音メッセージ蓄積部24に蓄積させると、この保持されている録音メッセージ情報の件数が1件加算される(S41)。
【0070】
着信処理部261において蓄積された録音メッセージ情報の件数が1件加算されると、この加算された録音メッセージ情報の件数を変更する通知をするためのイベント情報が生成される。このイベント情報は、出力情報制御部262の制御により電話−ユーザインタフェース部22から新着メッセージ通知用ランプの点滅などにより出力されるとともに各家電機器40−1〜40−mにネットワークインタフェース部27を介して送信され、前処理にて許諾応答が受信されたすべての家電機器40−1〜40−mのイベント情報表示制御部41を介して家電−ユーザインタフェース部44から出力される(S42)。
【0071】
この未応答着信の件数の変更を通知するためのイベント情報が、家電−ユーザインタフェース部44である出力画面に出力されると、例えば図6に示すように現在蓄積されている未確認の録音メッセージ情報の件数が2件であることを示す情報「このうち2件に伝言メッセージがあります」を含むイベント情報443が表示される。録音メッセージ情報の件数の変更を通知するためのイベント情報が出力画面に出力されると、ステップS22に戻る。
【0072】
ステップS22では応答待ち時間の計測中であるか否かが判定され、ここでは応答待ち時間の計測が終了されているため、応答待ち時間の計測中ではないと判定される(S22の「NO」)。
【0073】
(6)着信履歴表示要求発生時の処理
上述したように、未応答着信があることを示すイベント情報が家電機器40−1〜40−mの家電−ユーザインタフェース部44に出力されたことにより、いずれかの家電機器でユーザから着信履歴を表示させるための着信履歴表示要求が入力されると、着信履歴表示制御部42の制御によりこの着信履歴表示要求が電話装置20に送信され、電話イベント管理部26で受信される。
【0074】
電話イベント管理部26では、出力情報制御部262においてこの着信履歴表示要求に従って、該当する着信履歴情報を着信履歴表示要求が入力された家電機器40に送信するように着信履歴記録部25に表示命令が送出される。
【0075】
着信履歴記録部25から着信履歴情報が受信された家電機器40では、着信履歴表示制御部42により当該着信履歴情報を表示する表示画面情報が生成され、家電−ユーザインタフェース部44に出力される。
【0076】
この着信履歴表示制御部42はWebブラウザを利用したアプリケーションで着信履歴表示要求の送信や表示画面情報の生成を行い、着信履歴表示要求を送信する際はHTTPリクエストを用いることが想定される。この場合、要求する着信履歴情報を特定する識別情報であるURLに対してHTTP GETリクエストが着信履歴表示制御部42から送信され、これに応答して電話装置20からHTTP応答により着信履歴が送信されることになる。
【0077】
また、家電−ユーザインタフェース部44の画面上では、図6に示すようなイベント情報とともに表示される「着信履歴を表示する」の操作ボタン444が操作されることにより、着信履歴表示要求が入力される。「着信履歴を表示しない」の操作ボタン445が操作されたときには、当該イベント情報443はユーザにより確認済みであると認識され、表示は消去される。
【0078】
家電−ユーザインタフェース部44に着信履歴情報が表示されたときの一例を、図7に示す。
【0079】
この図7の出力画面441には、図6で表示されたイベント情報の内容とともに、着信履歴情報446が表示されている。この着信履歴情報446としては、着信元の電話番号、録音メッセージ情報が蓄積されている場合に録音メッセージ再生要求を入力するための「メッセージ再生」ボタン447、当該着信元の電話機に対する発信要求を入力するための「リダイアル」ボタン448が表示されている。
【0080】
この着信履歴情報の表示は、図7に示す形式に限定されず、過去の着信履歴情報やユーザが確認済みの着信履歴情報と合わせた形で表示するようにしてもよい。また、録音メッセージ情報がある着信に関しては、当該録音メッセージ情報を消去させるための「メッセージ消去」ボタンを表示させるようにしてもよい。
【0081】
(7)録音メッセージ再生要求発生時の処理
上述したように着信履歴情報がいずれかの家電機器40の家電−ユーザインタフェース部44に出力されたことにより、ユーザから「メッセージ再生」ボタン447が操作されて録音メッセージ再生要求が入力されると、着信履歴表示制御部42の制御によりこの録音メッセージ再生要求が電話装置20に送信され、電話イベント管理部26で受信される。また、録音メッセージ再生要求が電話装置20に送信されると、着信履歴表示制御部42の制御により録音メッセージ出力制御部43を起動させるための起動命令が送出される。
【0082】
電話イベント管理部26では、出力情報制御部262においてこの録音メッセージ再生要求に従って、該当する録音メッセージ情報を録音メッセージ再生要求が入力された家電機器40に送信するように録音メッセージ蓄積部24に再生命令が送出される。
【0083】
録音メッセージ蓄積部24から録音メッセージ情報が受信された家電機器40では、起動した録音メッセージ出力制御部43により、家電−ユーザインタフェース部44から当該録音メッセージが再生される。
【0084】
この録音メッセージ情報を特定する際も、着信履歴情報を特定する場合と同様にURLが識別情報として利用される。
【0085】
(8)発信要求発生時の処理
上述したように着信履歴がいずれかの家電機器40の家電−ユーザインタフェース部44に出力されたことにより、ユーザから「リダイアル」ボタン448が操作されて発信要求が入力されると、着信履歴表示制御部42の制御によりこの発信要求が電話装置20に送信され、電話イベント管理部26で受信される。
【0086】
電話イベント管理部26では、発信処理部263において電話−ユーザインタフェース部22から着信音が出力され、発信要求を受信したことがユーザに通知される。ユーザがこの着信音に応答して通話可能な状態になるように操作されると、電話イベント管理部26から電話網インタフェース部21を介して当該発信要求に該当する電話番号の電話機に対して呼制御信号が送信され発呼処理が行われる。
【0087】
このようにして着信履歴情報や録音メッセージ情報が出力されると、電話イベント管理部26のこれらがユーザに確認されたものと認識され、他の家電機器40の家電−ユーザインタフェース部44で表示されている未応答着信があることを示すイベント情報の未応答着信の件数や未確認の録音メッセージ情報の件数が更新される。
【0088】
また本実施形態においては、着信によるイベント情報の表示→着信履歴情報の表示→発信要求/録音メッセージ情報の再生要求の順で処理される場合について説明したが、図8に示すイベント情報449ように、着信によるイベント情報を表示する画面上に「発信」ボタンや「録音メッセージ再生」ボタンを含む着信履歴情報を追加することにより、この画面から直接発信要求または録音メッセージ再生要求を送信するようにしてもよい。
【0089】
また本実施形態においては、家電機器から発信要求を送信したときに、電話装置でユーザが応答したときに発呼処理が行われる場合について説明したが、当該家電機器に通話機能が搭載されていれば、電話装置でユーザに応答させることなく、発呼処理が行われるようにしてもよい。
【0090】
また本実施形態においては電話装置内に電話−ユーザインタフェース部が搭載されている場合について説明したが、他の形態として電話−ユーザインタフェース部を電話装置とは別個の外部装置として構成することも可能である。例えば電話網としてIP電話網を利用する場合に、IP電話網に接続された専用アダプタに本実施形態の電話装置20の電話網インタフェース部21、自動応答部23、録音メッセージ蓄積部24、着信履歴記憶部25、電話イベント管理部26、およびネットワークインタフェース部27の機能を搭載させ、この専用アダプタに接続されたアナログ電話やIP電話の子機にユーザ−インタフェース部22の機能を搭載させることで、電話イベント情報通知システムを構成するようにしてもよい。
【0091】
以上の本実施形態によれば、家電ネットワークに接続された複数の家電機器の表示画面上に電話に関する着信等のイベント情報を表示するため、例えば電話装置が設置された部屋とは離れた部屋にユーザがいる場合にも、ユーザのいる部屋のテレビ装置等に着信中であることが通知され、ユーザが電話に関するイベントに気付きやすくなる。
【0092】
また、着信等のイベント情報が表示された家電機器において、着信履歴を確認したり、録音メッセージを出力させたり、着信元の電話機に発呼したりする指示を入力することができ、ユーザの利便性が向上する。
【符号の説明】
【0093】
10、10−1〜10−n…電話機
20…電話装置
21…電話網インタフェース部
22…電話−ユーザインタフェース部
23…自動応答部
24…録音メッセージ蓄積部
25…着信履歴記録部
26…電話イベント管理部
27…ネットワークインタフェース部
30…電話網
40、40−1〜40−m…家電機器
41…イベント情報表示制御部
42…着信履歴表示制御部
43…録音メッセージ出力制御部
44…家電−ユーザインタフェース部
50…家電ネットワーク
261…着信処理部
262…出力情報制御部
263…発信処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電子機器にネットワークを介して接続された電話装置において、
自装置においてイベントが発生したときに、このイベントに関するイベント詳細情報を記録するイベント情報記録部と、
自装置において着信によるイベントが発生したときに、このイベントの発生を通知するためのイベント情報をすべての前記複数の電子機器から出力させるために送信する着信処理部と、
前記着信処理部からイベント情報を送信したことにより、前記電子機器のいずれかから前記着信によるイベントに関するイベント詳細情報の取得要求を受信すると、この取得要求に対応するイベント詳細情報を前記イベント詳細情報の取得要求の送信元である電子機器から出力させるために、前記イベント情報記録部から送信させる出力情報制御部と、
を備えることを特徴とする電話装置。
【請求項2】
前記電子機器は家庭内の家電機器であり、前記ネットワークは当該家庭内で構築された家電ネットワークである
ことを特徴とする請求項1に記載の電話装置。
【請求項3】
前記着信によるイベントは、着信中であることを示すイベント、未応答により切断された着信があったことを示すイベント、または着信により録音メッセージ情報が蓄積されたことを示すイベントであり、
前記イベント詳細情報は、着信元の電話番号を含む着信履歴情報、または着信元の通話相手から送信された録音メッセージ情報である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電話装置。
【請求項4】
複数の電子機器にネットワークを介して接続された電話装置が、
自装置においてイベントが発生したときに、このイベントに関するイベント詳細情報を記録し、
自装置において着信によるイベントが発生したときに、このイベントの発生を通知するためのイベント情報をすべての前記複数の電子機器から出力させるために送信し、
前記イベント情報を送信したことにより、前記電子機器のいずれかから前記着信によるイベントに関するイベント詳細情報の取得要求を受信すると、この取得要求に対応するイベント詳細情報を前記イベント詳細情報の取得要求の送信元である電子機器から出力させるために送信する
ことを特徴とする電話イベント情報通知方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−258663(P2010−258663A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−105097(P2009−105097)
【出願日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】