静止型流体混合装置
【課題】流体の圧力損失の低減と分解・組立が簡単な静止型流体混合装置の提供。
【解決手段】一方向に伸延する一対の板状の混合エレメント10、20を重合状態に対面させて、両混合エレメント間にその伸延方向に伸延する混合流路を形成し、混合流路の始端部に流入孔12を、混合流路の終端部に混合エレメントの他側部に流出孔14を形成し、混合流路は、流入孔から流入した流体を混合流路の伸延方向に流動させて分流させる複数の分流部と、分流部で分流された流体を混合流路の伸延方向に流動させて合流させる複数の合流部とを具備し、混合流路の始端部と混合エレメントの流入孔との間には始端側一時滞留空間40を、混合流路の終端部と混合エレメントの流出孔との間には終端側一時滞留空間50を形成し、始端側一時滞留空間および終端側一時滞留空間は混合流路と略同一幅とする静止型流体混合装置。
【解決手段】一方向に伸延する一対の板状の混合エレメント10、20を重合状態に対面させて、両混合エレメント間にその伸延方向に伸延する混合流路を形成し、混合流路の始端部に流入孔12を、混合流路の終端部に混合エレメントの他側部に流出孔14を形成し、混合流路は、流入孔から流入した流体を混合流路の伸延方向に流動させて分流させる複数の分流部と、分流部で分流された流体を混合流路の伸延方向に流動させて合流させる複数の合流部とを具備し、混合流路の始端部と混合エレメントの流入孔との間には始端側一時滞留空間40を、混合流路の終端部と混合エレメントの流出孔との間には終端側一時滞留空間50を形成し、始端側一時滞留空間および終端側一時滞留空間は混合流路と略同一幅とする静止型流体混合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種類の流体(例えば、気体と液体、液体と液体、ないしは、固体としての粒体や粉体等と液体)を混合して混合体となすとともに、混合体を超微細化かつ均一化することができる静止型流体混合装置に関する。かかる静止型流体混合装置は、例えば、気体と液体を混合・撹拌した場合には、気体をナノレベル(1μm未満)の超微細な気泡となして、この超微細な気泡を液体中に混入させた気液混合体(気泡混じりの液体)として供給する超微細気泡成生装置としても使用することができる。
【背景技術】
【0002】
従来、静止型流体混合装置の一形態として、特許文献1に開示されたものがある。すなわち、特許文献1には、中央部に流体の流入口を形成した円板状の第1混合エレメントに、円板状の第2混合エレメントを対向させて配置するとともに、両混合エレメントの間に、上記流入口から両混合エレメントの間に流入した流体が周縁部に向けて流れる混合流路を形成したものがある。そして、混合流路は、流入口から流入した流体を放射線方向に流動させて分流させる複数の分流部と、分流部で分流された流体を放射線方向に流動させて合流させる複数の合流部とを具備している。また、第2混合エレメントの周縁部には多数の小径円形孔を円周方向に間隔を開けて穿設することで混合流路の終端部と連通する流出口を形成している。第2混合エレメントの背後には整流部を介して第2の混合エレメントの周縁部側に形成した流出口から中心部に向かって流体を直線的に流動させる集合流路を形成している。
【0003】
そして、第1混合エレメントと第2混合エレメントを一つのユニットとして、複数のユニットを重合状態に配置するとともに、これらのユニットの周縁部に形成したボルト挿通孔中に複数の連結ボルトを貫通して、複数のユニットを一体化している。この際、各ユニットにはほぼ均等の締め付け力が作用するように各連結ボルトを締め付け固定する。
【0004】
このようにして、始端側の第1混合エレメントに形成した流入口から流入させた複数種類の流体を、混合流路→流出口→集合流路→流入口→混合流路・・・・というように重合状態に配置された各ユニット中にて流動させることで、均一に混合させることができるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】W02002/070117公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記した静止型流体混合装置では、流体が混合流路から集合流路に流入する際に、第2混合エレメントの周縁部に円周方向に間隔を開けて多数穿設された小径円形孔を通過させるようにしているために、各円形孔に流体が流入する際にその流径が縮径し、円形孔から流出する際に流径が拡径して、流体の圧力損失が生じる。しかも、複数のユニットを配置している場合には、複数倍の流体の圧力損失が生じることになる。その結果、高出力のポンプで流体を圧送する必要性が生じて、その分ランニングコストが高くなるという不具合がある。
【0007】
また、静止型流体混合装置を分解して洗浄作業やメンテナンス作業を行う際には、ボルト挿通孔中から複数の連結ボルトを引き抜いて、各ユニットの連結を解除することで、各エレメントを洗浄等することができるが、再度組み立てる際には、各ボルト挿通孔中に連結ボルトを貫通して、各ユニットにほぼ均等の締め付け力が作用するように各連結ボルトを締め付け固定しなければならず、かかる組み立て作業が非常に煩雑である。そのため、静止型流体混合装置の洗浄回数が必然的に多くなる分野(例えば、混合対象物が食品関連)では、使用が敬遠されがちであった。
【0008】
そこで、本発明は、上記した課題に鑑みて、流体の圧力損失を低減するとともに、分解・組立を簡単に行うことができる静止型流体混合装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の発明に係る静止型流体混合装置は、一方向に伸延する一対の板状の混合エレメントを重合状態に対面させて、両混合エレメント間にその伸延方向に伸延する混合流路を形成するとともに、混合流路の始端部に混合エレメントの一側部に形成した流入孔を連通させる一方、混合流路の終端部に混合エレメントの他側部に形成した流出孔を連通させ、前記混合流路は、前記流入孔から流入した流体を混合流路の伸延方向に流動させて分流させる複数の分流部と、分流部で分流された流体を混合流路の伸延方向に流動させて合流させる複数の合流部とを具備し、混合流路の始端部と混合エレメントの一側部に形成した流入孔との間には始端側一時滞留空間を形成するとともに、始端側一時滞留空間は混合流路の始端部と略同一幅に形成して略全幅にわたって混合流路の始端部と連通させる一方、混合流路の終端部と混合エレメントの他側部に形成した流出孔との間には終端側一時滞留空間を形成するとともに、終端側一時滞留空間は混合流路の終端部と略同一幅に形成して略全幅にわたって混合流路の終端部と連通させたことを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明に係る静止型流体混合装置は、請求項1記載の静止型流体混合装置であって、一対の板状の前記混合エレメント間に単数もしくは複数の板状の中間混合エレメントを介在させて、これらの混合エレメントを積層状態となし、混合エレメントと中間混合エレメントとの間に混合流路を形成し、各混合流路の始端部は前記始端側一時滞留空間に連通させる一方、各混合流路の終端部は前記終端側一時滞留空間に連通させたことを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明に係る静止型流体混合装置は、請求項1記載の静止型流体混合装置であって、一対の板状の前記混合エレメント間に単数もしくは複数の板状の中間混合エレメントを介在させて、これらの混合エレメントを積層状態となし、中間混合エレメントにはその肉厚方向に貫通する多数の貫通孔を形成して、混合エレメントと中間混合エレメントとの間、中間混合エレメント同士間、ないしは、中間混合エレメントを通した混合エレメント間に混合流路を形成し、各混合流路の始端部は前記始端側一時滞留空間に連通させる一方、各混合流路の終端部は前記終端側一時滞留空間に連通させたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、次のような効果を奏する。すなわち、本発明では、複数種類の流体を一方向に伸延させて形成した混合流路中に流動させることで、混合流体を超微細化かつ均一化することができる。そして、混合流路から集合流路に移行させることないため、混合流路中を流動する流体の流速(線速度)を大きくかつ略一定に保つことができて、超微細化かつ均一化効率を高めることができる。具体的には、従来技術のように混合流路から多数の小径円形孔を通して集合流路に流動させることがないため、流体の圧力損失を大幅に低減させることができる。その結果、低出力のポンプで流体を圧送することができて、その分ランニングコストを削減することができる。
【0013】
また、静止型流体混合装置を分解して洗浄作業やメンテナンス作業を行う際には、重合状態に連結した一対の混合エレメントの連結を解除して混合流路を開放することで、各エレメントを洗浄等することができる。再度組み立てる際には、両混合エレメントを重合状態に連結して混合流路を密封することで、簡単に組み立てることができる。したがって、かかる組み立て作業に熟練を要することがなく、しかも、肉体的体力弱者である婦女子や老人でも楽に分解・組立作業を行うことができる。そのため、食品関連のように頻繁に洗浄を要求される分野においても、静止型流体混合装置の洗浄作業を随時簡単に対処することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】窒素水製造装置の概念的説明図。
【図2】第1実施形態としての流体混合部の正面説明図。
【図3】図2のI-I線矢視底面図。
【図4】図2のII-II線矢視平面図。
【図5】第1実施形態としての流体混合部の断面正面説明図。
【図6】混合流路形成パターン面の説明図。
【図7】第1実施形態としての流体混合部の混合流路の説明図。
【図8】第2実施形態としての流体混合部の断面正面説明図。
【図9】第3実施形態としての流体混合部の断面正面説明図。
【図10】第3実施形態としての流体混合部の混合流路の説明図。
【図11】第4実施形態としての流体混合部の断面正面説明図。
【図12】第4実施形態としての流体混合部の混合流路の説明図。
【図13】第5実施形態としての流体混合部の断面正面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、図面を参照しながら本発明の実施例を説明する。
【0016】
図1に示すAは窒素水製造装置である。窒素水製造装置Aは、処理水Wを収容したタンクTの底部に循環パイプJの基端部を連結し、循環パイプJの先端部をタンクT内の処理水W中に上面から挿入して循環流路Rを形成している。循環パイプJの中途部には圧送ポンプPを取り付け、その圧送ポンプPの吸入口近傍(直上流側)に位置する循環パイプJの中途部には窒素ガス供給部Nを連結している。窒素ガス供給部Nの下流側に位置する循環パイプJの中途部には後述する第1〜第5実施形態ないしはそれらの変形例のいずれかの流体混合部Mを設けている。Kは処理水供給部であり、処理水供給部KはタンクT内に流体としての液体である処理水Wを随時供給可能としている。ここで、処理水Wは、生鮮食品の処理やパイプ中の洗浄等に使用するものであり、処理水Wとしては、水道水、海水、冠水を適量だけ付加した水等を適用することができる。Vは循環パイプJの先端部に取り付けた圧力調整弁である。なお、窒素ガス供給部Nから処理水W中に供給される窒素ガスは、圧送ポンプPの吸入側からエジェクタ効果により圧送ポンプP内に吸入されるようにすることができる。この際、窒素ガスの吸入量は、循環パイプJ中を流れる処理水Wの循環流量の約3%(ntp;1atm、0℃、ノルマル流量)に設定することができる。
【0017】
このようにして、窒素水製造装置Aでは、処理水Wに窒素ガスを供給して、これらを中途部に圧送ポンプPと流体混合部Mを設けた循環パイプJとタンクTとで形成される循環流路Rを通して循環させることができる。この際、流体混合部Mは、処理水Wと窒素ガスの気液混相にせん断力を作用させて、窒素ガスをナノバルブ(直径がナノレベル(1μm以下)の超微細な気泡)となして処理水Wと混合させることができる。窒素ナノバブル(ナノバブル状態の窒素ガス)を含有する処理水Wは、タンクT内に環流させることで、タンクT内にて処理水W中に溶存している酸素をナノバルブとなした窒素ガスに放散させることができる。そうすることで、酸素ガスを内包した窒素ガスを処理水W中にて浮上させて、窒素ガスとともに酸素ガスを大気中に放出させことができる。その結果、処理水W中の溶存酸素量を大幅に低減させて、窒素ナノバブルを含有して溶存酸素量が低減された窒素水となすことができる。かかる窒素水は窒素ナノバブルを含有しているため、低減された溶存酸素量を長時間にわたって維持させることができる。
【0018】
以下に、流体混合部Mの第1〜第5実施形態ないしはそれらの変形例について、図面を参照しながら説明する。
【0019】
[第1実施形態としての流体混合部M]
第1実施形態としての流体混合部Mは、図2〜図5に示すように、一方向(本実施形態では左右方向)に伸延する上下一対の横長四角形板状の混合エレメント10,20を重合状態に対面させて、両混合エレメント10,20間にその伸延方向に伸延する混合流路30を形成している。
【0020】
そして、混合エレメント10の左側端部には流入側接続部11を形成している。流入側接続部11は一端を混合エレメント10の左側端面に開口させるとともに、他端を混合エレメント10の左側端部下面に開口させている。流入側接続部11の一端に形成した流入孔12には循環パイプJの流入側を着脱自在に接続している。流入側接続部11の他端には始端側一時滞留空間40を介して混合流路30の始端部を連通させている。
【0021】
また、混合エレメント10の右側端部には流出側接続部13を形成している。流出側接続部13は一端を混合エレメント10の右側端面に開口させるとともに、他端を混合エレメント10の右側端部下面に開口させている。流出側接続部13の一端に形成した流出孔14には循環パイプJの流出側を着脱自在に接続している。流出側接続部13の他端には終端側一時滞留空間50を介して混合流路30の終端部を連通させている。
【0022】
混合流路30は、混合エレメント10の下面に多数形成した凹部15からなる混合流路形成パターン面Paと、混合エレメント20の上面に多数形成した凹部25からなる混合流路形成パターン面Pbとを対向させて形成している。各混合流路形成パターン面Pa,Pbは、凹部15,25を開口形状が正六角形で隙間のない状態に多数形成することで、いわゆるハニカム状に形成している。しかも、凹部15,25は、同形同大の六角開口形状に形成して、図6に示すような配置で対向させることで、混合流路30に流入孔12から流入した流体を混合流路30の伸延方向に流動させて分流させる複数の分流部と、分流部で分流された流体を混合流路30の伸延方向に流動させて合流させる複数の合流部とが形成されるようにしている。
【0023】
すなわち、混合流路形成パターン面Paは、図6に一点鎖線で示すように、混合エレメント10の凹部15を幅方向に五列かつ左右伸延方向に多数個千鳥状に配置して形成している。また、混合流路形成パターン面Pbは、図6に実線で示すように、混合エレメント20の凹部25を幅方向に六列かつ左右伸延方向に多数個千鳥状に配置して形成している。そして、混合エレメント10の凹部15の中心位置に、混合エレメント20の凹部25の角部26が位置する状態で当接している。このような状態で当接させると、相互に位置ずれした混合エレメント10の凹部15と混合エレメント20の凹部25との間で流体(処理水Wと窒素ガス)を流動させることができる。角部26は3つの凹部25の角部が集まっている位置である。また、混合エレメント20の凹部25の中心位置にも、混合エレメント10の凹部15の角部16が位置する。角部16は3つの凹部15の角部が集まっている位置である。この場合は、混合エレメント10の角部16が上述した分流部や合流部として機能する。
【0024】
したがって、例えば、混合エレメント10の凹部15側から混合エレメント20の凹部25側に流体が流れる場合を考えると、流体は二つの流路に分流されることになる。つまり、混合エレメント10の凹部15の中央位置に位置された混合エレメント20の角部26は、流体を分流する分流部として機能する。逆に、混合エレメント20側から混合エレメント10側に流体が流れる場合を考えると、二方から流れてきた流体が1つの凹部15に流れ込むことで合流することになる。この場合、混合エレメント20の中央位置に位置された角部26は、合流部として機能する。
【0025】
混合流路30の始端部と混合エレメント10の左側部に形成した流入側接続部11との間には始端側一時滞留空間40を形成している。始端側一時滞留空間40は、混合エレメント10の左側部下面に形成した凹状の空間形成部41と、混合エレメント20の左側部上面に形成した凹状の空間形成部42とを、上下方向に対面させて形成している。しかも、図6に示すように、両空間形成部41,42とで形成される始端側一時滞留空間40の前後方向の幅W1は、混合流路30の始端部の前後方向の幅W2と略同一幅に形成して、始端側一時滞留空間40の略全幅にわたって混合流路30の始端部と連通させている。
【0026】
また、混合流路30の終端部と混合エレメント10の他側部に形成した流出側接続部13との間には終端側一時滞留空間50を形成している。終端側一時滞留空間50は、混合エレメント10の右側部下面に形成した凹状の空間形成部51と、混合エレメント20の右側部上面に形成した凹状の空間形成部52とを、上下方向に対面させて形成している。しかも、両空間形成部51,52とで形成される終端側一時滞留空間50の前後方向の幅W3は、混合流路30の終端部の前後方向の幅W4と略同一幅に形成して、終端側一時滞留空間50の略全幅にわたって混合流路30の終端部と連通させている。
【0027】
60は上側の混合エレメント10の周囲に間隔を開けて多数形成した上側ビス孔、61は下側の混合エレメント20の周囲に間隔を開けて多数形成した下側ビス孔である。各ビス孔60,61は上下方向に軸線を向けて形成して、上下に符合する上・下側ビス孔60,61中にビス62を螺着することで、両混合エレメント10,20を重合状態に簡単かつ堅実に連結することができる。また、ビスを取り外すことで、両混合エレメント10,20の連結を簡単に解除して、凹部15,25等の洗浄作業をすることができる。70は混合エレメント20の上面において多数の凹部25と空間形成部42,52の周囲を囲むように形成したOリング配置溝である。71はOリング配置溝70に配置したOリングである。Oリング71により混合エレメント10,20の密閉性を確保することができる。
【0028】
このように、相互に対向状態に対面配置された両混合エレメント10,20の間には、流入側接続部11と始端側一時滞留空間40と混合流路30と終端側一時滞留空間50と流出側接続部13とが直列状に連通される。そして、図7にも示すように、流入側接続部11の流入孔12から供給された流体は始端側一時滞留空間40内に流入し、始端側一時滞留空間40から幅方向に略均等に混合流路30に流入して、混合流路30内を流動した後、終端側一時滞留空間50を通して流出側接続部13の流出孔14から流出される。この際、混合流路30では流体が分流と合流(分散と混合)を繰り返しながら両混合エレメント10,20の伸延方向に蛇行状態にて流動する。したがって、流体として、例えば、液体と気体を混合流路30に流入させると、気体は気泡径がサブミクロンレベル(ナノレベル)に超微細化かつ均一化されるとともに、液体中に均一分散化される。
【0029】
[第2実施形態としての流体混合部M]
第2実施形態としての流体混合部Mは、第1実施形態としての流体混合部Mと基本的構造を同じくするが、図8に示すように、上下一対の混合エレメント10,20間に、これら混合エレメント10,20よりも薄肉板状の中間混合エレメント80を一枚介在させて、これらの混合エレメント10,20,80を積層状態となしている点で異なる。
【0030】
すなわち、中間混合エレメント80は、混合エレメント10の混合流路形成パターン面Paと対面する上面に混合流路形成パターン面Pbを形成する一方、混合エレメント20の混合流路形成パターン面Pbと対面する下面に混合流路形成パターン面Paを形成している。ここで、中間混合エレメント80の混合流路形成パターン面Paは、凹部15と同形状の凹部81を多数対向状態に配置して形成し、また、中間混合エレメント80の混合流路形成パターン面Pbは、凹部25と同形状の凹部82を多数対向状態に配置して形成している。
【0031】
中間混合エレメント80の左側部には空間形成部43を形成しており、空間形成部43は上下方向(肉厚方向)に貫通するとともに、混合エレメント10,20の空間形成部41,42と整合して、これら空間形成部41〜43により始端側一時滞留空間40を形成している。中間混合エレメント80の右側部には空間形成部53を形成しており、空間形成部53は上下方向(肉厚方向)に貫通するとともに、混合エレメント10,20の空間形成部51,52と整合して、これら空間形成部51〜53により終端側一時滞留空間50を形成している。83はOリング配置溝、84はOリングである。中間混合エレメント80の周縁部にも混合エレメント10,20のビス孔60,61と符合するビス孔(図示せず)を形成して、これらのビス孔中にビス62を貫通状に螺着するようにしている。
【0032】
このように、本実施形態の流体混合部Mでは、混合エレメント10と中間混合エレメント80との間、及び、中間混合エレメント80と混合エレメント20との間にそれぞれ混合流路30が形成されて、上下に平行する混合流路30が二流路配置される。そして、流入側接続部11の流入孔12から供給された流体は始端側一時滞留空間40内に流入し、始端側一時滞留空間40から幅方向に略均等に各混合流路30に並列的に流入する。その結果、混合流路30による流体の超微細化かつ均一化が並列的に効率良く行われる。また、中間混合エレメント80を所要複数枚積層することで、所要数の混合流路30を配置することができて、流体の超微細化かつ均一化作業をより一層効率化させることができる。
【0033】
[第3実施形態としての流体混合部M]
第3実施形態としての流体混合部Mは、第1実施形態としての流体混合部Mと基本的構造を同じくするが、図9に示すように、上下一対の混合エレメント10,20間に、これら混合エレメント10,20よりも薄肉板状の中間混合エレメント90,91を二枚介在させて、これらの混合エレメント10,20,90,91を積層状態となしている点で異なる。
【0034】
すなわち、中間混合エレメント90は、その肉厚方向に貫通する多数の貫通孔92を形成しており、貫通孔92は凹部25と平面視同形状の六角柱状空間に形成するとともに多数配置して、平面形状が混合流路形成パターン面Pbと整合する混合流路形成パターン面Pcを形成している。そうすることで、中間混合エレメント90の上下面には混合エレメント10の混合流路形成パターン面Paと対面して混合流路30を形成する混合流路形成パターン面Pcを形成している。また、中間混合エレメント91は、その肉厚方向に貫通する多数の貫通孔93を形成しており、貫通孔93は凹部15と平面視同形状の六角柱状空間に形成するとともに多数配置して、平面形状が混合流路形成パターン面Paと整合する混合流路形成パターン面Pdを形成している。そうすることで、中間混合エレメント91の上下面には混合エレメント20の混合流路形成パターン面Pbと対面して混合流路30を形成する混合流路形成パターン面Pdを形成している。
【0035】
中間混合エレメント90,91の左側部にはそれぞれ相互に整合する空間形成部44,45を形成しており、空間形成部44,45は上下方向(肉厚方向)に貫通するとともに、混合エレメント10,20の空間形成部41,42とも整合して、これら空間形成部41,42,44,45により始端側一時滞留空間40を形成している。中間混合エレメント90,91の右側部にはそれぞれ相互に整合する空間形成部54,55を形成しており、空間形成部54,55は上下方向(肉厚方向)に貫通するとともに、混合エレメント10,20の空間形成部51,52とも整合して、これら空間形成部51,52,54,55により終端側一時滞留空間50を形成している。94,95はOリング配置溝、96,97はOリングである。中間混合エレメント90,91の周縁部にも混合エレメント10,20のビス孔60,61と符合するビス孔(図示せず)を形成して、これらのビス孔中にビスを貫通状に螺着するようにしている。
【0036】
このように、本実施形態の流体混合部Mでは、図10に示すように、混合エレメント10と中間混合エレメント90との間、中間混合エレメント90,91同士の間、中間混合エレメント91と混合エレメント20、及び、中間混合エレメント90,91を通した混合エレメント10,20同士の間にそれぞれ混合流路30が形成される。そして、かかる混合流路30は流体がどのエレメント間を流動するのか不明な不規則蛇行流路となる。その結果、かかる混合流路30を流動する流体は錯流・脈流となって蛇行する。ここで、錯流とは流体が各混合エレメント10,20,90,91の凹部15,25ないしは貫通孔92,93の面を擦りながら流動する流れである。また、脈流は流路断面積が周期的ないしは不定期的に変化する流れである。
【0037】
したがって、例えば、液体と気体を流体として混合流路30に流入させた際に、錯流・脈流が繰り返し形成されると、流体中に、局所的高圧部分や局所的低圧部分が生じる。このような流体中では、局所的に低圧部分(例えば真空部分などの負圧部分)が生じるときに、いわゆる発泡現象が生じて液体中に気体が生じたり、微小な気泡が膨張(破裂)したり、生じた気体(気泡)が崩壊(消滅)したりするといったいわゆるキャビテーションと称される現象が生ずる。このようなキャビテーションが起こるときに生ずる力によって、気体の微細化が行われ、流体混合が促進される。その結果、流体の超微細化かつ均一化作業をより一層効率化させることができる。
【0038】
[第4実施形態としての流体混合部M]
第4実施形態としての流体混合部Mは、第1実施形態としての流体混合部Mと基本的構造を同じくするが、図11に示すように、上下一対の混合エレメント10,20間に、これら混合エレメント10,20よりも薄肉板状の中間混合エレメント90を一枚介在させて、これらの混合エレメント10,20,90を積層状態となしている点で異なる。ここで、混合エレメント20の上面には混合流路形成パターン面Pbに代えて混合流路形成パターン面Paを形成している。
【0039】
すなわち、混合流路形成パターン面Paを有する混合エレメント10と、混合流路形成パターン面Paを有する混合エレメント20との間に、混合流路形成パターン面Pcを上下面に有する中間混合エレメント90を介在させて、混合流路形成パターン面Paと混合流路形成パターン面Pcとを対面させている。
【0040】
このように、本実施形態の流体混合部Mでは、図12に示すように、混合エレメント10と中間混合エレメント90との間、中間混合エレメント90と混合エレメント20との間、及び、中間混合エレメント90を通した混合エレメント10,20同士の間にそれぞれ混合流路30が形成される。そして、かかる混合流路30は流体がどのエレメント間を流動するのか不明な不規則蛇行流路となる。その結果、かかる混合流路30を流動する流体は錯流・脈流となって蛇行する。そして、流入側接続部11の流入孔12から供給された流体は始端側一時滞留空間40内に流入し、始端側一時滞留空間40から幅方向に略均等に各混合流路30に並列的に流入する。その結果、混合流路30による流体の超微細化かつ均一化が並列的に効率良く行われる。
【0041】
[第5実施形態としての流体混合部M]
第5実施形態としての流体混合部Mは、第3実施形態としての流体混合部Mと基本的構造を同じくするが、図13に示すように、上下一対の混合エレメント10,20間に、これら混合エレメント10,20よりも薄肉板状の中間混合エレメント80,90,91を介在させて、これらの混合エレメント10,20,80,90,91を積層状態となしている点で異なる。
【0042】
すなわち、本実施形態に係る流体混合部Mは、混合流路形成パターン面Paを有する混合エレメント10と、混合流路形成パターン面Pcを有する中間混合エレメント90と、混合流路形成パターン面Pdを有する中間混合エレメント91と、上下面に混合流路形成パターン面Pb,Paを有する中間混合エレメント80と、混合流路形成パターン面Pcを有する中間混合エレメント90と、混合流路形成パターン面Pdを有する中間混合エレメント91と、混合流路形成パターン面Pbを有する混合エレメント20とを積層して構成している。始端側一時滞留空間40は空間形成部41,44,45,43,44,45,42によりを形成している。終端側一時滞留空間50は空間形成部51,54,55,53,54,55,52によりを形成している。
【0043】
このように構成することで、第3実施形態に係る流体混合部Mの混合流路30の形態を並列的に二流路形成することができる。また、必要に応じて、混合エレメント10,20間に介在させる中間混合エレメント80,90,91の数を増加させることにより、多数の流路を並列的に形成することができる。その結果、混合流路30による流体の超微細化かつ均一化が並列的に効率良く行われる。
【0044】
以上に述べてきた第1実施形態〜第5実施形態における流体混合部Mは、始端側一時滞留空間40と終端側一時滞留空間50との間に混合流路30を単数ないしは並列的に複数形成して、各混合流路30に流体を略均等に流入させることができるため、圧力損失を低減させることができる。また、変形例として、上記した第2実施形態〜第5実施形態における中間混合エレメント80,90,91の肉厚と貫通孔92,93の径を、適宜異ならせることもできる。その場合、流体の超微細化かつ均一化効率に変化をもたせることができる。
【0045】
一対の混合エレメント10,20同士の連結手段としては、本実施形態のビスに限られるものではなく、その変形例も適宜適用することができる。例えば、クランプバンドのようなエレメント挟持体(図示せず)により両混合エレメント10,20を挟持することで混合流路30の周囲を密封することも、また、両混合エレメント10,20を挟持解除することで混合流路30を開放することもできる。また、混合エレメント10と混合エレメント20の一方の長手側縁部同士を観音開き状に枢着して、他方の長手側縁部同士を連結・解除自在に連結することもできる。これら変形例としての連結手段によれば、混合エレメント10,20を重合状態に連結するための連結作業を堅実に行うことができるとともに、混合エレメント10,20を開放状態となすための連結解除作業を簡単に行うことができる。そのため、混合流路30の洗浄作業を頻繁に行う必要性がある場合には好適である。
【符号の説明】
【0046】
A 窒素水製造装置
M 流体混合部
10 混合エレメント
11 流入側接続部
12 流入孔
13 流出側接続部
14 流出孔
15 凹部
20 混合エレメント
25 凹部
30 混合流路
80 中間混合エレメント
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種類の流体(例えば、気体と液体、液体と液体、ないしは、固体としての粒体や粉体等と液体)を混合して混合体となすとともに、混合体を超微細化かつ均一化することができる静止型流体混合装置に関する。かかる静止型流体混合装置は、例えば、気体と液体を混合・撹拌した場合には、気体をナノレベル(1μm未満)の超微細な気泡となして、この超微細な気泡を液体中に混入させた気液混合体(気泡混じりの液体)として供給する超微細気泡成生装置としても使用することができる。
【背景技術】
【0002】
従来、静止型流体混合装置の一形態として、特許文献1に開示されたものがある。すなわち、特許文献1には、中央部に流体の流入口を形成した円板状の第1混合エレメントに、円板状の第2混合エレメントを対向させて配置するとともに、両混合エレメントの間に、上記流入口から両混合エレメントの間に流入した流体が周縁部に向けて流れる混合流路を形成したものがある。そして、混合流路は、流入口から流入した流体を放射線方向に流動させて分流させる複数の分流部と、分流部で分流された流体を放射線方向に流動させて合流させる複数の合流部とを具備している。また、第2混合エレメントの周縁部には多数の小径円形孔を円周方向に間隔を開けて穿設することで混合流路の終端部と連通する流出口を形成している。第2混合エレメントの背後には整流部を介して第2の混合エレメントの周縁部側に形成した流出口から中心部に向かって流体を直線的に流動させる集合流路を形成している。
【0003】
そして、第1混合エレメントと第2混合エレメントを一つのユニットとして、複数のユニットを重合状態に配置するとともに、これらのユニットの周縁部に形成したボルト挿通孔中に複数の連結ボルトを貫通して、複数のユニットを一体化している。この際、各ユニットにはほぼ均等の締め付け力が作用するように各連結ボルトを締め付け固定する。
【0004】
このようにして、始端側の第1混合エレメントに形成した流入口から流入させた複数種類の流体を、混合流路→流出口→集合流路→流入口→混合流路・・・・というように重合状態に配置された各ユニット中にて流動させることで、均一に混合させることができるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】W02002/070117公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記した静止型流体混合装置では、流体が混合流路から集合流路に流入する際に、第2混合エレメントの周縁部に円周方向に間隔を開けて多数穿設された小径円形孔を通過させるようにしているために、各円形孔に流体が流入する際にその流径が縮径し、円形孔から流出する際に流径が拡径して、流体の圧力損失が生じる。しかも、複数のユニットを配置している場合には、複数倍の流体の圧力損失が生じることになる。その結果、高出力のポンプで流体を圧送する必要性が生じて、その分ランニングコストが高くなるという不具合がある。
【0007】
また、静止型流体混合装置を分解して洗浄作業やメンテナンス作業を行う際には、ボルト挿通孔中から複数の連結ボルトを引き抜いて、各ユニットの連結を解除することで、各エレメントを洗浄等することができるが、再度組み立てる際には、各ボルト挿通孔中に連結ボルトを貫通して、各ユニットにほぼ均等の締め付け力が作用するように各連結ボルトを締め付け固定しなければならず、かかる組み立て作業が非常に煩雑である。そのため、静止型流体混合装置の洗浄回数が必然的に多くなる分野(例えば、混合対象物が食品関連)では、使用が敬遠されがちであった。
【0008】
そこで、本発明は、上記した課題に鑑みて、流体の圧力損失を低減するとともに、分解・組立を簡単に行うことができる静止型流体混合装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の発明に係る静止型流体混合装置は、一方向に伸延する一対の板状の混合エレメントを重合状態に対面させて、両混合エレメント間にその伸延方向に伸延する混合流路を形成するとともに、混合流路の始端部に混合エレメントの一側部に形成した流入孔を連通させる一方、混合流路の終端部に混合エレメントの他側部に形成した流出孔を連通させ、前記混合流路は、前記流入孔から流入した流体を混合流路の伸延方向に流動させて分流させる複数の分流部と、分流部で分流された流体を混合流路の伸延方向に流動させて合流させる複数の合流部とを具備し、混合流路の始端部と混合エレメントの一側部に形成した流入孔との間には始端側一時滞留空間を形成するとともに、始端側一時滞留空間は混合流路の始端部と略同一幅に形成して略全幅にわたって混合流路の始端部と連通させる一方、混合流路の終端部と混合エレメントの他側部に形成した流出孔との間には終端側一時滞留空間を形成するとともに、終端側一時滞留空間は混合流路の終端部と略同一幅に形成して略全幅にわたって混合流路の終端部と連通させたことを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明に係る静止型流体混合装置は、請求項1記載の静止型流体混合装置であって、一対の板状の前記混合エレメント間に単数もしくは複数の板状の中間混合エレメントを介在させて、これらの混合エレメントを積層状態となし、混合エレメントと中間混合エレメントとの間に混合流路を形成し、各混合流路の始端部は前記始端側一時滞留空間に連通させる一方、各混合流路の終端部は前記終端側一時滞留空間に連通させたことを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明に係る静止型流体混合装置は、請求項1記載の静止型流体混合装置であって、一対の板状の前記混合エレメント間に単数もしくは複数の板状の中間混合エレメントを介在させて、これらの混合エレメントを積層状態となし、中間混合エレメントにはその肉厚方向に貫通する多数の貫通孔を形成して、混合エレメントと中間混合エレメントとの間、中間混合エレメント同士間、ないしは、中間混合エレメントを通した混合エレメント間に混合流路を形成し、各混合流路の始端部は前記始端側一時滞留空間に連通させる一方、各混合流路の終端部は前記終端側一時滞留空間に連通させたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、次のような効果を奏する。すなわち、本発明では、複数種類の流体を一方向に伸延させて形成した混合流路中に流動させることで、混合流体を超微細化かつ均一化することができる。そして、混合流路から集合流路に移行させることないため、混合流路中を流動する流体の流速(線速度)を大きくかつ略一定に保つことができて、超微細化かつ均一化効率を高めることができる。具体的には、従来技術のように混合流路から多数の小径円形孔を通して集合流路に流動させることがないため、流体の圧力損失を大幅に低減させることができる。その結果、低出力のポンプで流体を圧送することができて、その分ランニングコストを削減することができる。
【0013】
また、静止型流体混合装置を分解して洗浄作業やメンテナンス作業を行う際には、重合状態に連結した一対の混合エレメントの連結を解除して混合流路を開放することで、各エレメントを洗浄等することができる。再度組み立てる際には、両混合エレメントを重合状態に連結して混合流路を密封することで、簡単に組み立てることができる。したがって、かかる組み立て作業に熟練を要することがなく、しかも、肉体的体力弱者である婦女子や老人でも楽に分解・組立作業を行うことができる。そのため、食品関連のように頻繁に洗浄を要求される分野においても、静止型流体混合装置の洗浄作業を随時簡単に対処することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】窒素水製造装置の概念的説明図。
【図2】第1実施形態としての流体混合部の正面説明図。
【図3】図2のI-I線矢視底面図。
【図4】図2のII-II線矢視平面図。
【図5】第1実施形態としての流体混合部の断面正面説明図。
【図6】混合流路形成パターン面の説明図。
【図7】第1実施形態としての流体混合部の混合流路の説明図。
【図8】第2実施形態としての流体混合部の断面正面説明図。
【図9】第3実施形態としての流体混合部の断面正面説明図。
【図10】第3実施形態としての流体混合部の混合流路の説明図。
【図11】第4実施形態としての流体混合部の断面正面説明図。
【図12】第4実施形態としての流体混合部の混合流路の説明図。
【図13】第5実施形態としての流体混合部の断面正面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、図面を参照しながら本発明の実施例を説明する。
【0016】
図1に示すAは窒素水製造装置である。窒素水製造装置Aは、処理水Wを収容したタンクTの底部に循環パイプJの基端部を連結し、循環パイプJの先端部をタンクT内の処理水W中に上面から挿入して循環流路Rを形成している。循環パイプJの中途部には圧送ポンプPを取り付け、その圧送ポンプPの吸入口近傍(直上流側)に位置する循環パイプJの中途部には窒素ガス供給部Nを連結している。窒素ガス供給部Nの下流側に位置する循環パイプJの中途部には後述する第1〜第5実施形態ないしはそれらの変形例のいずれかの流体混合部Mを設けている。Kは処理水供給部であり、処理水供給部KはタンクT内に流体としての液体である処理水Wを随時供給可能としている。ここで、処理水Wは、生鮮食品の処理やパイプ中の洗浄等に使用するものであり、処理水Wとしては、水道水、海水、冠水を適量だけ付加した水等を適用することができる。Vは循環パイプJの先端部に取り付けた圧力調整弁である。なお、窒素ガス供給部Nから処理水W中に供給される窒素ガスは、圧送ポンプPの吸入側からエジェクタ効果により圧送ポンプP内に吸入されるようにすることができる。この際、窒素ガスの吸入量は、循環パイプJ中を流れる処理水Wの循環流量の約3%(ntp;1atm、0℃、ノルマル流量)に設定することができる。
【0017】
このようにして、窒素水製造装置Aでは、処理水Wに窒素ガスを供給して、これらを中途部に圧送ポンプPと流体混合部Mを設けた循環パイプJとタンクTとで形成される循環流路Rを通して循環させることができる。この際、流体混合部Mは、処理水Wと窒素ガスの気液混相にせん断力を作用させて、窒素ガスをナノバルブ(直径がナノレベル(1μm以下)の超微細な気泡)となして処理水Wと混合させることができる。窒素ナノバブル(ナノバブル状態の窒素ガス)を含有する処理水Wは、タンクT内に環流させることで、タンクT内にて処理水W中に溶存している酸素をナノバルブとなした窒素ガスに放散させることができる。そうすることで、酸素ガスを内包した窒素ガスを処理水W中にて浮上させて、窒素ガスとともに酸素ガスを大気中に放出させことができる。その結果、処理水W中の溶存酸素量を大幅に低減させて、窒素ナノバブルを含有して溶存酸素量が低減された窒素水となすことができる。かかる窒素水は窒素ナノバブルを含有しているため、低減された溶存酸素量を長時間にわたって維持させることができる。
【0018】
以下に、流体混合部Mの第1〜第5実施形態ないしはそれらの変形例について、図面を参照しながら説明する。
【0019】
[第1実施形態としての流体混合部M]
第1実施形態としての流体混合部Mは、図2〜図5に示すように、一方向(本実施形態では左右方向)に伸延する上下一対の横長四角形板状の混合エレメント10,20を重合状態に対面させて、両混合エレメント10,20間にその伸延方向に伸延する混合流路30を形成している。
【0020】
そして、混合エレメント10の左側端部には流入側接続部11を形成している。流入側接続部11は一端を混合エレメント10の左側端面に開口させるとともに、他端を混合エレメント10の左側端部下面に開口させている。流入側接続部11の一端に形成した流入孔12には循環パイプJの流入側を着脱自在に接続している。流入側接続部11の他端には始端側一時滞留空間40を介して混合流路30の始端部を連通させている。
【0021】
また、混合エレメント10の右側端部には流出側接続部13を形成している。流出側接続部13は一端を混合エレメント10の右側端面に開口させるとともに、他端を混合エレメント10の右側端部下面に開口させている。流出側接続部13の一端に形成した流出孔14には循環パイプJの流出側を着脱自在に接続している。流出側接続部13の他端には終端側一時滞留空間50を介して混合流路30の終端部を連通させている。
【0022】
混合流路30は、混合エレメント10の下面に多数形成した凹部15からなる混合流路形成パターン面Paと、混合エレメント20の上面に多数形成した凹部25からなる混合流路形成パターン面Pbとを対向させて形成している。各混合流路形成パターン面Pa,Pbは、凹部15,25を開口形状が正六角形で隙間のない状態に多数形成することで、いわゆるハニカム状に形成している。しかも、凹部15,25は、同形同大の六角開口形状に形成して、図6に示すような配置で対向させることで、混合流路30に流入孔12から流入した流体を混合流路30の伸延方向に流動させて分流させる複数の分流部と、分流部で分流された流体を混合流路30の伸延方向に流動させて合流させる複数の合流部とが形成されるようにしている。
【0023】
すなわち、混合流路形成パターン面Paは、図6に一点鎖線で示すように、混合エレメント10の凹部15を幅方向に五列かつ左右伸延方向に多数個千鳥状に配置して形成している。また、混合流路形成パターン面Pbは、図6に実線で示すように、混合エレメント20の凹部25を幅方向に六列かつ左右伸延方向に多数個千鳥状に配置して形成している。そして、混合エレメント10の凹部15の中心位置に、混合エレメント20の凹部25の角部26が位置する状態で当接している。このような状態で当接させると、相互に位置ずれした混合エレメント10の凹部15と混合エレメント20の凹部25との間で流体(処理水Wと窒素ガス)を流動させることができる。角部26は3つの凹部25の角部が集まっている位置である。また、混合エレメント20の凹部25の中心位置にも、混合エレメント10の凹部15の角部16が位置する。角部16は3つの凹部15の角部が集まっている位置である。この場合は、混合エレメント10の角部16が上述した分流部や合流部として機能する。
【0024】
したがって、例えば、混合エレメント10の凹部15側から混合エレメント20の凹部25側に流体が流れる場合を考えると、流体は二つの流路に分流されることになる。つまり、混合エレメント10の凹部15の中央位置に位置された混合エレメント20の角部26は、流体を分流する分流部として機能する。逆に、混合エレメント20側から混合エレメント10側に流体が流れる場合を考えると、二方から流れてきた流体が1つの凹部15に流れ込むことで合流することになる。この場合、混合エレメント20の中央位置に位置された角部26は、合流部として機能する。
【0025】
混合流路30の始端部と混合エレメント10の左側部に形成した流入側接続部11との間には始端側一時滞留空間40を形成している。始端側一時滞留空間40は、混合エレメント10の左側部下面に形成した凹状の空間形成部41と、混合エレメント20の左側部上面に形成した凹状の空間形成部42とを、上下方向に対面させて形成している。しかも、図6に示すように、両空間形成部41,42とで形成される始端側一時滞留空間40の前後方向の幅W1は、混合流路30の始端部の前後方向の幅W2と略同一幅に形成して、始端側一時滞留空間40の略全幅にわたって混合流路30の始端部と連通させている。
【0026】
また、混合流路30の終端部と混合エレメント10の他側部に形成した流出側接続部13との間には終端側一時滞留空間50を形成している。終端側一時滞留空間50は、混合エレメント10の右側部下面に形成した凹状の空間形成部51と、混合エレメント20の右側部上面に形成した凹状の空間形成部52とを、上下方向に対面させて形成している。しかも、両空間形成部51,52とで形成される終端側一時滞留空間50の前後方向の幅W3は、混合流路30の終端部の前後方向の幅W4と略同一幅に形成して、終端側一時滞留空間50の略全幅にわたって混合流路30の終端部と連通させている。
【0027】
60は上側の混合エレメント10の周囲に間隔を開けて多数形成した上側ビス孔、61は下側の混合エレメント20の周囲に間隔を開けて多数形成した下側ビス孔である。各ビス孔60,61は上下方向に軸線を向けて形成して、上下に符合する上・下側ビス孔60,61中にビス62を螺着することで、両混合エレメント10,20を重合状態に簡単かつ堅実に連結することができる。また、ビスを取り外すことで、両混合エレメント10,20の連結を簡単に解除して、凹部15,25等の洗浄作業をすることができる。70は混合エレメント20の上面において多数の凹部25と空間形成部42,52の周囲を囲むように形成したOリング配置溝である。71はOリング配置溝70に配置したOリングである。Oリング71により混合エレメント10,20の密閉性を確保することができる。
【0028】
このように、相互に対向状態に対面配置された両混合エレメント10,20の間には、流入側接続部11と始端側一時滞留空間40と混合流路30と終端側一時滞留空間50と流出側接続部13とが直列状に連通される。そして、図7にも示すように、流入側接続部11の流入孔12から供給された流体は始端側一時滞留空間40内に流入し、始端側一時滞留空間40から幅方向に略均等に混合流路30に流入して、混合流路30内を流動した後、終端側一時滞留空間50を通して流出側接続部13の流出孔14から流出される。この際、混合流路30では流体が分流と合流(分散と混合)を繰り返しながら両混合エレメント10,20の伸延方向に蛇行状態にて流動する。したがって、流体として、例えば、液体と気体を混合流路30に流入させると、気体は気泡径がサブミクロンレベル(ナノレベル)に超微細化かつ均一化されるとともに、液体中に均一分散化される。
【0029】
[第2実施形態としての流体混合部M]
第2実施形態としての流体混合部Mは、第1実施形態としての流体混合部Mと基本的構造を同じくするが、図8に示すように、上下一対の混合エレメント10,20間に、これら混合エレメント10,20よりも薄肉板状の中間混合エレメント80を一枚介在させて、これらの混合エレメント10,20,80を積層状態となしている点で異なる。
【0030】
すなわち、中間混合エレメント80は、混合エレメント10の混合流路形成パターン面Paと対面する上面に混合流路形成パターン面Pbを形成する一方、混合エレメント20の混合流路形成パターン面Pbと対面する下面に混合流路形成パターン面Paを形成している。ここで、中間混合エレメント80の混合流路形成パターン面Paは、凹部15と同形状の凹部81を多数対向状態に配置して形成し、また、中間混合エレメント80の混合流路形成パターン面Pbは、凹部25と同形状の凹部82を多数対向状態に配置して形成している。
【0031】
中間混合エレメント80の左側部には空間形成部43を形成しており、空間形成部43は上下方向(肉厚方向)に貫通するとともに、混合エレメント10,20の空間形成部41,42と整合して、これら空間形成部41〜43により始端側一時滞留空間40を形成している。中間混合エレメント80の右側部には空間形成部53を形成しており、空間形成部53は上下方向(肉厚方向)に貫通するとともに、混合エレメント10,20の空間形成部51,52と整合して、これら空間形成部51〜53により終端側一時滞留空間50を形成している。83はOリング配置溝、84はOリングである。中間混合エレメント80の周縁部にも混合エレメント10,20のビス孔60,61と符合するビス孔(図示せず)を形成して、これらのビス孔中にビス62を貫通状に螺着するようにしている。
【0032】
このように、本実施形態の流体混合部Mでは、混合エレメント10と中間混合エレメント80との間、及び、中間混合エレメント80と混合エレメント20との間にそれぞれ混合流路30が形成されて、上下に平行する混合流路30が二流路配置される。そして、流入側接続部11の流入孔12から供給された流体は始端側一時滞留空間40内に流入し、始端側一時滞留空間40から幅方向に略均等に各混合流路30に並列的に流入する。その結果、混合流路30による流体の超微細化かつ均一化が並列的に効率良く行われる。また、中間混合エレメント80を所要複数枚積層することで、所要数の混合流路30を配置することができて、流体の超微細化かつ均一化作業をより一層効率化させることができる。
【0033】
[第3実施形態としての流体混合部M]
第3実施形態としての流体混合部Mは、第1実施形態としての流体混合部Mと基本的構造を同じくするが、図9に示すように、上下一対の混合エレメント10,20間に、これら混合エレメント10,20よりも薄肉板状の中間混合エレメント90,91を二枚介在させて、これらの混合エレメント10,20,90,91を積層状態となしている点で異なる。
【0034】
すなわち、中間混合エレメント90は、その肉厚方向に貫通する多数の貫通孔92を形成しており、貫通孔92は凹部25と平面視同形状の六角柱状空間に形成するとともに多数配置して、平面形状が混合流路形成パターン面Pbと整合する混合流路形成パターン面Pcを形成している。そうすることで、中間混合エレメント90の上下面には混合エレメント10の混合流路形成パターン面Paと対面して混合流路30を形成する混合流路形成パターン面Pcを形成している。また、中間混合エレメント91は、その肉厚方向に貫通する多数の貫通孔93を形成しており、貫通孔93は凹部15と平面視同形状の六角柱状空間に形成するとともに多数配置して、平面形状が混合流路形成パターン面Paと整合する混合流路形成パターン面Pdを形成している。そうすることで、中間混合エレメント91の上下面には混合エレメント20の混合流路形成パターン面Pbと対面して混合流路30を形成する混合流路形成パターン面Pdを形成している。
【0035】
中間混合エレメント90,91の左側部にはそれぞれ相互に整合する空間形成部44,45を形成しており、空間形成部44,45は上下方向(肉厚方向)に貫通するとともに、混合エレメント10,20の空間形成部41,42とも整合して、これら空間形成部41,42,44,45により始端側一時滞留空間40を形成している。中間混合エレメント90,91の右側部にはそれぞれ相互に整合する空間形成部54,55を形成しており、空間形成部54,55は上下方向(肉厚方向)に貫通するとともに、混合エレメント10,20の空間形成部51,52とも整合して、これら空間形成部51,52,54,55により終端側一時滞留空間50を形成している。94,95はOリング配置溝、96,97はOリングである。中間混合エレメント90,91の周縁部にも混合エレメント10,20のビス孔60,61と符合するビス孔(図示せず)を形成して、これらのビス孔中にビスを貫通状に螺着するようにしている。
【0036】
このように、本実施形態の流体混合部Mでは、図10に示すように、混合エレメント10と中間混合エレメント90との間、中間混合エレメント90,91同士の間、中間混合エレメント91と混合エレメント20、及び、中間混合エレメント90,91を通した混合エレメント10,20同士の間にそれぞれ混合流路30が形成される。そして、かかる混合流路30は流体がどのエレメント間を流動するのか不明な不規則蛇行流路となる。その結果、かかる混合流路30を流動する流体は錯流・脈流となって蛇行する。ここで、錯流とは流体が各混合エレメント10,20,90,91の凹部15,25ないしは貫通孔92,93の面を擦りながら流動する流れである。また、脈流は流路断面積が周期的ないしは不定期的に変化する流れである。
【0037】
したがって、例えば、液体と気体を流体として混合流路30に流入させた際に、錯流・脈流が繰り返し形成されると、流体中に、局所的高圧部分や局所的低圧部分が生じる。このような流体中では、局所的に低圧部分(例えば真空部分などの負圧部分)が生じるときに、いわゆる発泡現象が生じて液体中に気体が生じたり、微小な気泡が膨張(破裂)したり、生じた気体(気泡)が崩壊(消滅)したりするといったいわゆるキャビテーションと称される現象が生ずる。このようなキャビテーションが起こるときに生ずる力によって、気体の微細化が行われ、流体混合が促進される。その結果、流体の超微細化かつ均一化作業をより一層効率化させることができる。
【0038】
[第4実施形態としての流体混合部M]
第4実施形態としての流体混合部Mは、第1実施形態としての流体混合部Mと基本的構造を同じくするが、図11に示すように、上下一対の混合エレメント10,20間に、これら混合エレメント10,20よりも薄肉板状の中間混合エレメント90を一枚介在させて、これらの混合エレメント10,20,90を積層状態となしている点で異なる。ここで、混合エレメント20の上面には混合流路形成パターン面Pbに代えて混合流路形成パターン面Paを形成している。
【0039】
すなわち、混合流路形成パターン面Paを有する混合エレメント10と、混合流路形成パターン面Paを有する混合エレメント20との間に、混合流路形成パターン面Pcを上下面に有する中間混合エレメント90を介在させて、混合流路形成パターン面Paと混合流路形成パターン面Pcとを対面させている。
【0040】
このように、本実施形態の流体混合部Mでは、図12に示すように、混合エレメント10と中間混合エレメント90との間、中間混合エレメント90と混合エレメント20との間、及び、中間混合エレメント90を通した混合エレメント10,20同士の間にそれぞれ混合流路30が形成される。そして、かかる混合流路30は流体がどのエレメント間を流動するのか不明な不規則蛇行流路となる。その結果、かかる混合流路30を流動する流体は錯流・脈流となって蛇行する。そして、流入側接続部11の流入孔12から供給された流体は始端側一時滞留空間40内に流入し、始端側一時滞留空間40から幅方向に略均等に各混合流路30に並列的に流入する。その結果、混合流路30による流体の超微細化かつ均一化が並列的に効率良く行われる。
【0041】
[第5実施形態としての流体混合部M]
第5実施形態としての流体混合部Mは、第3実施形態としての流体混合部Mと基本的構造を同じくするが、図13に示すように、上下一対の混合エレメント10,20間に、これら混合エレメント10,20よりも薄肉板状の中間混合エレメント80,90,91を介在させて、これらの混合エレメント10,20,80,90,91を積層状態となしている点で異なる。
【0042】
すなわち、本実施形態に係る流体混合部Mは、混合流路形成パターン面Paを有する混合エレメント10と、混合流路形成パターン面Pcを有する中間混合エレメント90と、混合流路形成パターン面Pdを有する中間混合エレメント91と、上下面に混合流路形成パターン面Pb,Paを有する中間混合エレメント80と、混合流路形成パターン面Pcを有する中間混合エレメント90と、混合流路形成パターン面Pdを有する中間混合エレメント91と、混合流路形成パターン面Pbを有する混合エレメント20とを積層して構成している。始端側一時滞留空間40は空間形成部41,44,45,43,44,45,42によりを形成している。終端側一時滞留空間50は空間形成部51,54,55,53,54,55,52によりを形成している。
【0043】
このように構成することで、第3実施形態に係る流体混合部Mの混合流路30の形態を並列的に二流路形成することができる。また、必要に応じて、混合エレメント10,20間に介在させる中間混合エレメント80,90,91の数を増加させることにより、多数の流路を並列的に形成することができる。その結果、混合流路30による流体の超微細化かつ均一化が並列的に効率良く行われる。
【0044】
以上に述べてきた第1実施形態〜第5実施形態における流体混合部Mは、始端側一時滞留空間40と終端側一時滞留空間50との間に混合流路30を単数ないしは並列的に複数形成して、各混合流路30に流体を略均等に流入させることができるため、圧力損失を低減させることができる。また、変形例として、上記した第2実施形態〜第5実施形態における中間混合エレメント80,90,91の肉厚と貫通孔92,93の径を、適宜異ならせることもできる。その場合、流体の超微細化かつ均一化効率に変化をもたせることができる。
【0045】
一対の混合エレメント10,20同士の連結手段としては、本実施形態のビスに限られるものではなく、その変形例も適宜適用することができる。例えば、クランプバンドのようなエレメント挟持体(図示せず)により両混合エレメント10,20を挟持することで混合流路30の周囲を密封することも、また、両混合エレメント10,20を挟持解除することで混合流路30を開放することもできる。また、混合エレメント10と混合エレメント20の一方の長手側縁部同士を観音開き状に枢着して、他方の長手側縁部同士を連結・解除自在に連結することもできる。これら変形例としての連結手段によれば、混合エレメント10,20を重合状態に連結するための連結作業を堅実に行うことができるとともに、混合エレメント10,20を開放状態となすための連結解除作業を簡単に行うことができる。そのため、混合流路30の洗浄作業を頻繁に行う必要性がある場合には好適である。
【符号の説明】
【0046】
A 窒素水製造装置
M 流体混合部
10 混合エレメント
11 流入側接続部
12 流入孔
13 流出側接続部
14 流出孔
15 凹部
20 混合エレメント
25 凹部
30 混合流路
80 中間混合エレメント
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に伸延する一対の板状の混合エレメントを重合状態に対面させて、両混合エレメント間にその伸延方向に伸延する混合流路を形成するとともに、混合流路の始端部に混合エレメントの一側部に形成した流入孔を連通させる一方、混合流路の終端部に混合エレメントの他側部に形成した流出孔を連通させ、
前記混合流路は、前記流入孔から流入した流体を混合流路の伸延方向に流動させて分流させる複数の分流部と、分流部で分流された流体を混合流路の伸延方向に流動させて合流させる複数の合流部とを具備し、
混合流路の始端部と混合エレメントの一側部に形成した流入孔との間には始端側一時滞留空間を形成するとともに、始端側一時滞留空間は混合流路の始端部と略同一幅に形成して略全幅にわたって混合流路の始端部と連通させる一方、
混合流路の終端部と混合エレメントの他側部に形成した流出孔との間には終端側一時滞留空間を形成するとともに、終端側一時滞留空間は混合流路の終端部と略同一幅に形成して略全幅にわたって混合流路の終端部と連通させたことを特徴とする静止型流体混合装置。
【請求項2】
一対の板状の前記混合エレメント間に単数もしくは複数の板状の中間混合エレメントを介在させて、これらの混合エレメントを積層状態となし、
混合エレメントと中間混合エレメントとの間に混合流路を形成し、
各混合流路の始端部は前記始端側一時滞留空間に連通させる一方、各混合流路の終端部は前記終端側一時滞留空間に連通させたことを特徴とする請求項1記載の静止型流体混合装置。
【請求項3】
一対の板状の前記混合エレメント間に単数もしくは複数の板状の中間混合エレメントを介在させて、これらの混合エレメントを積層状態となし、
中間混合エレメントにはその肉厚方向に貫通する多数の貫通孔を形成して、
混合エレメントと中間混合エレメントとの間、中間混合エレメント同士間、ないしは、中間混合エレメントを通した混合エレメント間に混合流路を形成し、
各混合流路の始端部は前記始端側一時滞留空間に連通させる一方、各混合流路の終端部は前記終端側一時滞留空間に連通させたことを特徴とする請求項1記載の静止型流体混合装置。
【請求項1】
一方向に伸延する一対の板状の混合エレメントを重合状態に対面させて、両混合エレメント間にその伸延方向に伸延する混合流路を形成するとともに、混合流路の始端部に混合エレメントの一側部に形成した流入孔を連通させる一方、混合流路の終端部に混合エレメントの他側部に形成した流出孔を連通させ、
前記混合流路は、前記流入孔から流入した流体を混合流路の伸延方向に流動させて分流させる複数の分流部と、分流部で分流された流体を混合流路の伸延方向に流動させて合流させる複数の合流部とを具備し、
混合流路の始端部と混合エレメントの一側部に形成した流入孔との間には始端側一時滞留空間を形成するとともに、始端側一時滞留空間は混合流路の始端部と略同一幅に形成して略全幅にわたって混合流路の始端部と連通させる一方、
混合流路の終端部と混合エレメントの他側部に形成した流出孔との間には終端側一時滞留空間を形成するとともに、終端側一時滞留空間は混合流路の終端部と略同一幅に形成して略全幅にわたって混合流路の終端部と連通させたことを特徴とする静止型流体混合装置。
【請求項2】
一対の板状の前記混合エレメント間に単数もしくは複数の板状の中間混合エレメントを介在させて、これらの混合エレメントを積層状態となし、
混合エレメントと中間混合エレメントとの間に混合流路を形成し、
各混合流路の始端部は前記始端側一時滞留空間に連通させる一方、各混合流路の終端部は前記終端側一時滞留空間に連通させたことを特徴とする請求項1記載の静止型流体混合装置。
【請求項3】
一対の板状の前記混合エレメント間に単数もしくは複数の板状の中間混合エレメントを介在させて、これらの混合エレメントを積層状態となし、
中間混合エレメントにはその肉厚方向に貫通する多数の貫通孔を形成して、
混合エレメントと中間混合エレメントとの間、中間混合エレメント同士間、ないしは、中間混合エレメントを通した混合エレメント間に混合流路を形成し、
各混合流路の始端部は前記始端側一時滞留空間に連通させる一方、各混合流路の終端部は前記終端側一時滞留空間に連通させたことを特徴とする請求項1記載の静止型流体混合装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−45534(P2012−45534A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−192932(P2010−192932)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(504244173)株式会社MGグローアップ (15)
【出願人】(392024518)丸福水産株式会社 (16)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(504244173)株式会社MGグローアップ (15)
【出願人】(392024518)丸福水産株式会社 (16)
【Fターム(参考)】
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