説明

静止誘導器

【課題】冷媒による冷却能力の低下を抑制することができるとともに、小形化を図ることができる静止誘導器を得る。
【解決手段】静止誘導器は、複数のコイル巻線5を含み各コイル巻線5を軸方向に積層して構成されたコイル本体6と、コイル本体6に設けられたスペーサ8とを有している。各コイル巻線5は、径方向に重なるように素線9を多重に巻いてそれぞれ構成されている。スペーサ8は、径方向に重なる素線9間に配置され、素線9間に隙間を生じさせている。各コイル巻線5間には、冷媒が流れる第1の冷媒流路11が設けられている。素線9間に生じた隙間には、第1の冷媒流路11に連通され、コイル巻線5を横切って冷媒を通す第2の冷媒流路12が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コイルを有し、冷媒によりコイルを冷却する静止誘導器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の筒状導体巻回層を同心状に多重に配置した多重筒状巻線を冷却するために、導体冷却用の冷媒流路としての隙間を各筒状導体巻回層間に設けた多重筒状巻線が知られている。各筒状導体巻回層間の隙間の大きさは、冷媒の流量を確保して冷却能力を維持するために、各筒状導体巻回層間の全範囲にわたって、所定の大きさ以上に広く設定されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平1−133719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の多重筒状巻線では、各筒状導体巻回層間の隙間を全範囲にわたって広く設定しなければならず、多重筒状巻線全体の寸法が大きくなってしまう。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、冷媒による冷却能力の低下を抑制することができるとともに、小形化を図ることができる静止誘導器を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る静止誘導器は、径方向に重なるように素線を多重に巻いてそれぞれ構成された複数のコイル巻線を有し、各コイル巻線を軸方向に積層して構成されたコイル本体、及び径方向に重なる上記素線間に配置され、素線間に隙間を生じさせるスペーサを備え、各コイル巻線間には、冷媒が流れる第1の冷媒流路が設けられ、素線間に生じた隙間には、第1の冷媒流路に連通され、コイル巻線を横切って冷媒を通す第2の冷媒流路が形成されている。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係る静止誘導器では、冷媒が流れる第1の冷媒流路が各コイル巻線間に設けられ、コイル巻線の素線間にスペーサが配置されて隙間が生じており、素線間に生じた隙間には、コイル巻線を横切って冷媒を通す第2の冷媒流路が第1の冷媒流路に連通されて形成されているので、第1の冷媒流路内とコイル本体外との間で第2の冷媒流路を通して冷媒を流すことができる。これにより、第1の冷媒流路内に冷媒を流すために各コイル巻線の外周端部間の隙間を広く設定しておく必要がなくなり、冷媒による冷却能力の低下を抑制しながら、各コイル巻線を互いに近づけることができる。従って、冷媒による冷却能力の低下を抑制することができるとともに、静止誘導器全体の小形化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1による外鉄形変圧器を示す一部破断斜視図である。
【図2】図1の多層コイルを示す斜視図である。
【図3】図2のIII-III面に沿った断面図である。
【図4】図2のIV-IV面に沿った断面図である。
【図5】図2のコイル巻線の上部を示す正面図である。
【図6】図5の各スペーサによって生じた隙間と各スペーサとを分離して示す正面図であり、
【図7】図2の各スペーサの厚さ寸法と冷媒の圧力損失との関係を示すグラフである。
【図8】この発明の実施の形態2による外鉄形変圧器のコイル本体の下部を示す要部断面図である。
【図9】この発明の実施の形態3による外鉄形変圧器のコイル本体の下部を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による外鉄形変圧器を示す一部破断斜視図である。図において、静止誘導器である外鉄形変圧器1は、タンク(容器)2と、タンク2内に収容された鉄心3と、タンク2内に収容され、鉄心3に設けられた多層コイル4とを有している。
【0010】
タンク2内には、冷媒としての油が溜められている。タンク2内の油には、鉄心3及び多層コイル4の全体が浸っている。油は、例えば温度差による対流やポンプの動力等により、多層コイル4を通るように下方から上方へ流れてタンク2内を循環するようになっている。多層コイル4は、油が多層コイル4を通ることにより冷却される。
【0011】
図2は、図1の多層コイル4を示す斜視図である。また、図3は図2のIII-III面に沿った断面図、図4は図2のIV-IV面に沿った断面図である。多層コイル4は、複数のコイル巻線5を含み各コイル巻線5を積層して構成されたコイル本体6と、各コイル巻線5間に配置された複数の仕切り体7(図3及び図4)と、各コイル巻線5に設けられた複数のスペーサ8とを有している。この例では、コイル本体6の軸方向が水平にされて配置されている。
【0012】
各コイル巻線5は、コイル本体6の軸方向(図2のy方向)に並べて積層されている。また、各コイル巻線5は、図3及び図4に示すように、コイル本体6の径方向(即ち、コイル本体6の軸方向に垂直な方向)に重なるように素線9を多重に巻いてそれぞれ構成されている。これにより、各コイル巻線5は、扁平の環状巻線とされている。互いに隣り合うコイル巻線5同士は、図3及び図4に示すように、コイル巻線5の径方向外側端部(外周端部)5a及び径方向内側端部(内周端部)5bのいずれかで電気的に接続されている。
【0013】
各仕切り体7は、絶縁体とされている。また、各仕切り体7は、図3及び図4に示すように、コイル本体6の軸方向(図2のy方向)に対して垂直に配置された環状板(プレスボード)10と、環状板10の表面及び裏面のそれぞれに間隔を置いて取り付けられ、コイル巻線5と環状板10との間の間隔を保持する複数のカルタ(図示せず)とを有している。
【0014】
各コイル巻線5間には、仕切り体7が各コイル巻線5間に配置されることにより、冷媒としての油が流れる層間冷媒流路(第1の冷媒流路)11が形成されている。
【0015】
各仕切り体7は、コイル本体6の径方向へ交互にずらして配置されている。これにより、各仕切り体7は、各コイル巻線5の外周端部5a間を仕切る位置と、各コイル巻線5の内周端部5b間を仕切る位置とに、コイル巻線5間ごとに交互に配置されている。各コイル巻線5の外周端部5a間を仕切る仕切り体7の両側に位置するコイル巻線5の内周端部5b同士は、互いに接触している。また、各コイル巻線5の内周端部5b間を仕切る仕切り体7の両側に位置するコイル巻線5の外周端部5a同士は、互いに接触している。即ち、各コイル巻線5は、外周端部5aと内周端部5bとで交互に接触しながら積層されている。
【0016】
各スペーサ8は、図2に示すように、コイル本体6の径方向に重なる素線9間に互いに間隔を置いて配置されている。これにより、各スペーサ8を挟む素線9間には、隙間が生じている。各スペーサ8を挟む素線9間に生じた隙間の最大寸法dsは、スペーサ8の厚さ寸法と同じになっている。素線9間に生じた隙間には、コイル巻線5に対して交差する方向へコイル巻線5を横切って油(冷媒)を通す巻線冷媒流路(第2の冷媒流路)12がスペーサ8を避けて形成されている。この例では、各スペーサ8によって素線9間に生じた隙間のうちスペーサ8を除く空間が巻線冷媒流路12とされている。巻線冷媒流路12は、コイル巻線5を貫通して、コイル巻線5の一方の面から他方の面へ油を通すようになっている。また、巻線冷媒流路12は、層間冷媒流路11に連通されている。従って、巻線冷媒流路12は、コイル巻線5の両側に設けられた2つの層間冷媒流路11のうち、一方の層間冷媒流路11から他方の層間冷媒流路11へ油を通すようになっている。
【0017】
各スペーサ8は、コイル巻線5の外周端部5a近傍の所定の位置に設けられている。従って、巻線冷媒流路12も、コイル巻線5の外周端部5a近傍に設けられている。この例では、各コイル巻線5の上部及び下部の所定の位置に各スペーサ8が設けられ、各コイル巻線5の上部及び下部に巻線冷媒流路12が形成されている。
【0018】
次に、素線9間に生じた隙間と各スペーサ8との関係について説明する。図5は、図2のコイル巻線5の上部を示す正面図である。また、図6は、図5の各スペーサ8によって生じた隙間と各スペーサ8とを分離して示す正面図であり、図6(a)は各スペーサ8を示す図、図6(b)は各スペーサ8によって生じた隙間を示す図である。
【0019】
素線9間に生じた隙間全体の断面積に占める巻線冷媒流路12の断面積の割合を、素線9間の隙間に対する巻線冷媒流路12の開口率α[%]とすると、開口率αは、以下の式(1)で表される。
【0020】
α={1−(S/S)}×100…(1)
【0021】
ただし、Sは、図6(b)に示すように、各スペーサ8を挟む素線9間の隙間全体の断面積である。また、Sは、図6(a)に示すように、共通の隙間内に配置された各スペーサ8の合計断面積である。
【0022】
従って、例えば、隙間全体の断面積Sが1で、各スペーサ8の合計断面積Sが0.4である場合、開口率αは60[%]となる。
【0023】
ここで、各スペーサ8の厚さ寸法[mm]と冷媒の圧力損失[Pa]との関係を、開口率αを変えながら計算により求めた。計算は、油入変圧器に冷媒として一般的に用いられる鉱油(密度0.9[g/cm]、動粘度8.57[mm/s])が流速0.1[m/s]で流れたと仮定して行った。なお、一般的には、油の流速が0.05[m/s]以上になると、コイル巻線5の外周端部に位置する冷媒流路の間隔の影響が冷媒の圧力損失に顕著に現れる。
【0024】
図7は、図2の各スペーサ8の厚さ寸法[mm]と冷媒の圧力損失[Pa]との関係を示すグラフである。なお、図7では、開口率αが20%、40%、90%及び100%のそれぞれの場合のスペーサ8の厚さ寸法と冷媒の圧力損失との関係を示している。
【0025】
図7から、開口率αを40[%]以上で、かつ、各スペーサ8の厚さ寸法(即ち、各スペーサ8を挟む素線9間の距離)を4[mm]以上であるときに、冷媒の圧力損失が500[Pa]以下に抑えられていることが分かる。従って、冷却能力の低下を効果的に抑制するためには、開口率αが40[%]以上で、各スペーサ8の厚さ寸法が4[mm]以上であることが望ましい。
【0026】
また、開口率αを90[%]以上とし、各スペーサ8の厚さ寸法を2[mm]以上とすれば、冷媒の圧力損失の増大を抑制しながら、多層コイル4の小形化をさらに図ることができるが、開口率αを高くしすぎると素線9間の隙間をスペーサ8によって保持することが難しくなることから、開口率αは50[%]以下とするほうがよい。
【0027】
タンク2内を循環する油の一部は、図2〜図4に示すように、各コイル巻線5の下部に形成された巻線冷媒流路12を通って層間冷媒流路11内に流入する(矢印A)。層間冷媒流路11内に流入した油は、コイル巻線5の周方向に沿って上方へ層間冷媒流路11内を流れた後(矢印B)、各コイル巻線5の上部に形成された巻線冷媒流路12を通ってコイル本体6外へ流出する(矢印C)。
【0028】
このような外鉄形変圧器1では、油(冷媒)が流れる層間冷媒流路11が各コイル巻線5間に設けられ、コイル巻線5の素線9間にスペーサ8が配置されて隙間が生じており、素線9間に生じた隙間には、コイル巻線5を横切って冷媒を通す巻線冷媒流路12が層間冷媒流路11に連通されて形成されているので、層間冷媒流路11内とコイル本体6外との間で巻線冷媒流路12を通して冷媒を流すことができる。これにより、層間冷媒流路11内に冷媒を流すために各コイル巻線5の外周端部5a間の隙間を広く設定しておく必要がなくなり、冷媒による冷却能力の低下を抑制しながら、各コイル巻線5を互いに近づけることができ、多層コイル4の小形化を図ることができる。従って、冷媒による冷却能力の低下を抑制することができるとともに、外鉄形変圧器1全体の小形化を図ることができる。
【0029】
また、スペーサ8は、コイル巻線5の外周端部5a近傍の所定の位置に設けられているので、層間冷媒流路11の冷媒をコイル本体6の全体にわたって流れやすくすることができ、冷却能力の向上を図ることができる。
【0030】
また、スペーサ8の厚さ寸法が4[mm]以上とされ、スペーサ8によって生じた素線9間の隙間に対する巻線冷媒流路12の開口率αが40[%]以上とされることにより、冷媒の圧力損失の増大を抑制することができ、コイル本体6内の冷媒をさらに流れやすくすることができる。従って、冷却能力の向上をさらに図ることができる。
【0031】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、スペーサ8によって生じる隙間の数がコイル本体6の径方向について1つのみとされているが、コイル本体6の径方向について互いに異なる複数の位置にスペーサ8を配置することにより、コイル本体6の径方向についての隙間の数を複数としてもよい。
【0032】
即ち、図8は、この発明の実施の形態2による外鉄形変圧器のコイル本体の下部を示す要部断面図である。図において、コイル本体6の下部では、コイル本体6の径方向についてコイル巻線5の互いに異なる所定の位置(この例では、2つの位置)にスペーサ8がそれぞれ配置されている。各スペーサ8は、コイル巻線5の径方向に重なる素線9間に配置されている。また、各スペーサ8は、コイル巻線5の外周端部5a近傍に配置され、かつコイル巻線5の径方向について互いに離して配置されている。これにより、コイル巻線5の下部には、各スペーサ8によって素線9間に生じた複数層(この例では、2層)の隙間がコイル本体6の径方向(コイル巻線5の径方向)について互いに離して設けられている。
【0033】
コイル巻線5の上部にも、コイル巻線5の下部と同様に、コイル本体6の径方向について互いに異なる所定の位置(この例では、2つの位置)にスペーサ8がそれぞれ配置されている。従って、コイル巻線5の上部にも、各スペーサ8によって素線9間に生じた複数層(この例では、2層)の隙間がコイル本体6の径方向(コイル巻線5の径方向)について互いに離して設けられている。
【0034】
各スペーサ8によって素線9間に生じた各隙間には、コイル巻線5を横切って冷媒を通す実施の形態1と同様の巻線冷媒流路12が層間冷媒流路11に連通されてそれぞれ形成されている。コイル巻線5の上部における一層目の隙間と二層目の隙間との距離、コイル巻線5の下部における一層目の隙間と二層目の隙間との距離、及び各隙間を生じさせるスペーサ8の大きさは、冷媒による冷却効果を勘案して設定される。なお、他の構成は実施の形態1と同様である。
【0035】
このような外鉄形変圧器では、スペーサ8が、コイル本体6の径方向についてコイル巻線5の互いに異なる複数の位置にそれぞれ配置されているので、コイル巻線5に複数層の隙間を生じさせることができ、各層の隙間に巻線冷媒流路12を形成することができる。これにより、巻線冷媒流路12を通して冷媒をさらに流しやすくすることができ、冷却能力をさらに向上させることができる。従って、例えば、多層コイル4への通電量の増加により発熱量が多くなった場合や、冷媒の循環にポンプの動力を用いない場合等であっても、多層コイル4に対する冷却能力をより確実に確保することができる。また、各層の隙間に形成された巻線冷媒流路12の一部に冷媒中の異物(例えば、経年劣化によって生じた仕切り体7の破片等)が詰まったとしても、残りの層の隙間に形成された巻線冷媒流路12を通して冷媒を流すことができるので、冷却能力の低下を抑制することができ、冷却性能の信頼性の向上を図ることができる。
【0036】
なお、上記の例では、コイル本体6の径方向についてコイル巻線5の互いに異なる2つの位置にスペーサ8が配置されているが、コイル本体6の径方向についてコイル巻線5の互いに異なる3つ以上の位置にスペーサ8を配置してもよい。
【0037】
実施の形態3.
また、実施の形態1では、各コイル巻線5が外周端部5aと内周端部5bとで交互に接触しながら積層されているが、各コイル巻線5の外周端部5a同士を接触させずに、各コイル巻線5の外周端部5a間に所定の隙間を設けてもよい。
【0038】
即ち、図9は、この発明の実施の形態3による外鉄形変圧器のコイル本体の下部を示す要部断面図である。コイル本体6の下部において、各コイル巻線5の内周端部5b間を仕切る仕切り体7の両側に位置するコイル巻線5(即ち、互いに隣り合うコイル巻線5)の外周端部5a間には、所定の隙間31が生じている。層間冷媒流路11内とコイル本体6外とは、所定の隙間31を介して連通されている。所定の隙間31を形成する外周端部5a間の距離は、層間冷媒流路11を流れる冷媒のすべてを流すために広く設定された従来の隙間の距離よりも狭く設定されている。即ち、所定の隙間31の幅寸法は、層間冷媒流路11を流れる冷媒の一部のみが流れる程度の狭い寸法になっている。
【0039】
コイル本体6の上部においても、各コイル巻線5の内周端部5b間を仕切る仕切り体7の両側に位置するコイル巻線5の外周端部5a間に、コイル本体6の下部と同様の所定の隙間が生じている。
【0040】
なお、各コイル巻線5の外周端部5a間を仕切る仕切り体7の両側に位置するコイル巻線5の内周端部5b同士は、互いに接触している。他の構成は実施の形態1と同様である。
【0041】
このような外鉄形変圧器では、互いに隣り合うコイル巻線5の外周端部5a間に所定の隙間31が生じているので、層間冷媒流路11を流れる冷媒を巻線冷媒流路12及び所定の隙間31のそれぞれに分けて流すことができる。これにより、冷却能力を維持可能な冷媒の流量を確保したまま、コイル巻線5の外周端部5a間の距離を従来よりも狭くすることができる。従って、多層コイル4の小形化を図ることができ、外鉄形変圧器全体の小形化を図ることができる。
【0042】
なお、上記の例では、互いに隣り合うコイル巻線5の外周端部5a間に所定の隙間31を設ける構成が実施の形態1の構成に適用されているが、互いに隣り合うコイル巻線5の外周端部5a間に所定の隙間31を設ける構成を実施の形態2の構成に適用してもよい。
【0043】
また、各上記実施の形態では、各スペーサ8がコイル巻線5の外周端部5a近傍の所定の位置に設けられているが、コイル巻線5の外周端部5aと内周端部5bとの間に位置する中間部の所定の位置に各スペーサ8を設けてもよい。
【0044】
また、各上記実施の形態では、静止誘導器としての外鉄形変圧器にこの発明が適用されているが、静止誘導器としての内鉄形変圧器にこの発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 外鉄形変圧器(静止誘導器)、5 コイル巻線、6 コイル本体、8 スペーサ、9 素線、11 層間冷媒流路(第1の冷媒流路)、12 巻線冷媒流路(第2の冷媒流路)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
径方向に重なるように素線を多重に巻いてそれぞれ構成された複数のコイル巻線を有し、各上記コイル巻線を軸方向に積層して構成されたコイル本体、及び
上記径方向に重なる上記素線間に配置され、上記素線間に隙間を生じさせるスペーサ
を備え、
各上記コイル巻線間には、冷媒が流れる第1の冷媒流路が設けられ、
上記素線間に生じた上記隙間には、上記第1の冷媒流路に連通され、上記コイル巻線を横切って冷媒を通す第2の冷媒流路が形成されていることを特徴とする静止誘導器。
【請求項2】
上記スペーサは、上記コイル巻線の外周端部近傍の所定の位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の静止誘導器。
【請求項3】
上記スペーサは、上記径方向について上記コイル巻線の互いに異なる複数の位置に配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の静止誘導器。
【請求項4】
互いに隣り合う上記コイル巻線の外周端部間には、上記第1の冷媒流路と上記コイル本体外との間を連通する所定の隙間が生じていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の静止誘導器。
【請求項5】
上記スペーサの厚さ寸法が4mm以上とされ、
上記スペーサによって上記素線間に生じた上記隙間に対する上記第2の冷媒流路の開口率は40%以上とされていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の静止誘導器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−19026(P2012−19026A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−154891(P2010−154891)
【出願日】平成22年7月7日(2010.7.7)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】