静止誘導電器巻線
【課題】巻線高さの増大を抑え、部材数および製作工数を低減でき、しかも他の部材に左右されないシンプルな形状の部材によって冷媒の流れを制御可能である、経済性および冷却性能に優れた静止誘導電器巻線を提供する。
【解決手段】絶縁筒1、2において、円板巻線3と向かい合う側の壁面部には、垂直冷却路8、9の全スパンにわたって、垂直方向に延びた連続整流板12、13が配置されている。これら連続整流板12、13は垂直間隔片6、7と絶縁筒1、2の間に挟んで固定される。さらに、連続整流板12、13は、折り曲げ部14を有する1枚の薄い絶縁板15と、絶縁板15全体を支持する1枚の絶縁支持板16とを貼り合わせることにより構成されている。
【解決手段】絶縁筒1、2において、円板巻線3と向かい合う側の壁面部には、垂直冷却路8、9の全スパンにわたって、垂直方向に延びた連続整流板12、13が配置されている。これら連続整流板12、13は垂直間隔片6、7と絶縁筒1、2の間に挟んで固定される。さらに、連続整流板12、13は、折り曲げ部14を有する1枚の薄い絶縁板15と、絶縁板15全体を支持する1枚の絶縁支持板16とを貼り合わせることにより構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静止誘導電器巻線の冷却構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、変圧器やリアクトルなどの静止誘導電器に使用される巻線は、運転時における発熱量が大きい。このため、静止誘導電器巻線では巻線周辺に冷却路を形成して巻線の冷却を行っている。ここで、一般的な静止誘導電器巻線の冷却構造について、図11および図12を用いて具体的に説明する。図11は変圧器の巻線の平面図、図12は図11のX-X断面図である。
【0003】
図11、図12に示すように、静止誘導電器には内側絶縁筒1および外側絶縁筒2が設けられており、内側絶縁筒1および外側絶縁筒2間には同軸状に円板巻線3が配置されている。円板巻線3は素線導体を巻回して構成され、垂直方向に複数段積重ねられている。
【0004】
図11に図示するように、隣接する上下の円板巻線3の間には複数の水平間隔片4が放射状に等間隔で配置されている。また、内側絶縁筒1と円板巻線3内周部の間には垂直間隔片6が水平間隔片4の内周に合わせて複数配置されている。さらに、外側絶縁筒2と円板巻線3外周部の間には垂直間隔片7が水平間隔片4の外周に合わせて複数配置されている。
【0005】
上記の間隔片4、6、7、によって円板巻線3の周囲に冷却路が形成される。すなわち、水平間隔片4により複数の扇状の水平冷却路5が放射状に形成され、前記垂直間隔片6、7により周方向に沿って複数の内側および垂直冷却路8、9が形成される。内側および外側垂直冷却路8、9は水平冷却路5と連通しており、円板巻線3の内周部および外周部に冷却区間を複数形成することになる。
【0006】
このような冷却構造を持つ静止誘導電器巻線では、気体冷媒や液体冷媒を内側および外側垂直冷却路8、9の下部から流入させ、冷却路5、8、9全体に冷媒を流して円板巻線3を冷却する。冷却路5、8、9に流す冷媒としては、SF6ガスなどの気体冷媒、絶縁油やパーフロロカーボンなどの液体冷媒などが代表的であり、難燃性に優れたシリコン油なども使用している。また最近では、環境への負荷を低減することを考慮して、天然エステル油や温暖化係数の小さい気体冷媒(N2ガス、CO2ガス、空気、CF3lガスなど)が、冷媒として注目を集めている。
【0007】
ところで、冷媒が垂直冷却路8、9を単純に上昇して、水平冷却路5へ侵入する冷媒量が少ないと、円板巻線3の表面部分を十分に冷やすことができない。そこで、静止誘導電器巻線の冷却構造では、垂直冷却路8、9から水平冷却路5へと冷媒を流すことが重要である。例えば、図12に示した従来例では、内側および外側垂直冷却路8、9を塞ぐようにして、内側閉塞板10と外側閉塞板11が配置されている。より詳しくは、閉塞板10、11は、内側と外側で交互に、且つ円板巻線3の全周に亘って、円板巻線3の複数段毎に設置されている。
【0008】
このため、内側垂直冷却路8を上昇する冷媒は、内側閉塞板10の下面部に当たり、これに沿って水平に流れることで、内側垂直冷却路8から水平冷却路5に向かって流れ込む。また、外側垂直冷却路9を上昇する冷媒は、外内側閉塞板10の下面部に当たり、これに沿って水平に流れることで、外側垂直冷却路9から水平冷却路5に向かって流れ込む。したがって、冷媒は、円板巻線3の複数段毎に、内側から外側へ、あるいは外側から内側へジグザグに流れることになり、表面積の大きい水平冷却路5の冷却性能を向上させることが可能となる。
【0009】
しかしながら、このような冷却構造では、冷媒を水平方向にジグザグに流しながら上昇させるので、流れの抵抗である圧力損失が増大した。また、水平冷却路5における流速の不均一が問題となっている。ここで、流速の不均一について図12を用いて説明する。図12において円板巻線3の間に示した矢印は冷媒の流れ(矢印の長さは冷媒の流速の大きさ)を表している。
【0010】
図12に示すように、冷媒が閉塞板10、11の下面部に当たることから、冷媒の流れの方向を変えたばかりの閉塞板10、11のすぐ下部では水平冷却路5の流速が速い(矢印が長い)。これに対して、閉塞板10、11のすぐ上部では、ひとつ上に位置する閉塞板10、11の下面から最も遠いので、水平冷却路5の流速は遅くなる(矢印が短い)。
【0011】
つまり、隣接する上下の閉塞板10(又は11)に挟まれた区間において、下側の方が冷媒の流速が遅く、冷媒が上昇するにつれて流速が上がっていくことになる。このような流速の不均一が生じると、冷媒の流速が遅い閉塞板10、11の上部付近の円板巻線3では、冷却効率が低くなり、静止誘導電器巻線において温度が局所的に上昇することがある。
【0012】
このため、静止誘導電器巻線では、冷媒の圧力損失の低減化や、水平冷却路における流速の均一化が図られている。例えば、特許文献1では、閉塞板10、11(特許文献1ではガイド板)および水平間隔片4(特許文献1では絶縁スペーサ)を備えている。この従来技術では、隣接する上下の閉塞板10(又は11)の間で、冷媒が遅く流れる下部側に比べて、冷媒が速く流れる上部側により多くの水平間隔片4を積層することを特徴としている。これにより、冷媒の流速が遅い下側の水平冷却路5(特許文献1では半径方向ダクト)では容積が小さくなり、反対に冷媒の流速が速い上側の水平冷却路5では容積が大きくなる。その結果、冷媒の流速の均一化を図ることができる。
【0013】
ただし、特許文献1では、絶縁スペーサである水平間隔片4の最大数に合わせて垂直間隔片6、7を設置しなくてはならないので、製作工数が増大するといった問題がある。また、水平間隔片4を増やしたところでは、円板巻線3の放熱が阻害され易くなるため、温度の局所的上昇を招くおそれもあった。
【0014】
そこで、水平間隔片4(絶縁スペーサ)の数を、上下の閉塞板10、11(ガイド板)の間で調整するのではなく、垂直冷却路8、9に障害物を設けて、冷媒の流れを制御する技術が提案されている。具体的には、垂直冷却路8、9に向かって突出する突起を、絶縁筒1、2の壁面に設けたもの(特許文献2〜4)や、水平冷却路5から垂直冷却路8、9へ向かって張り出す分流板を、水平間隔片4に固定したもの(特許文献2、5〜7)などがある。ここでいう分流板とは、図12の閉塞板10、11と同じく、垂直冷却路8、9に流れる冷媒の障害物となる部材であって、その固定方法は、通常、水平間隔片4を3枚構成とし、中央の間隔片の長さを短くして、そこに分流板を挟み込むなどの方法が採られている。
【0015】
さらに、閉塞板10、11自体に改良を加えた技術として、閉塞板10、11の位置を上下にずらして設置したもの(特許文献8)や、閉塞板10、11の形状を三角状にしたもの(特許文献9)も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開平9−153415号公報
【特許文献2】特開平9−162040号公報
【特許文献3】特開平10−106848号公報
【特許文献4】特開平11−121250号公報
【特許文献5】特開平9−199345号公報
【特許文献6】特開平11−168014号公報
【特許文献7】特開2001−148314号公報
【特許文献8】特開2000−58333号公報
【特許文献9】特開平11−97251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、上記の従来技術には、次のような課題が指摘されていた。すなわち、特許文献2〜7では、垂直冷却路8、9に垂直間隔片6、7を等間隔で設置しているので、分流板あるいは突起については、垂直間隔片6、7を避けるような複雑な形状にしなくてはならず、製造コストが増大した。また、水平冷却路5に対し分流板を挟み込んだ場合、分流板の高さの分だけ、巻線高さが高くなるという不具合があった。
【0018】
なお、巻線高さの増大は上記分流板に限らず、閉塞板10、11も水平冷却路5に挿入されるので、同様の問題が起きる。例えば、特許文献8では、閉塞板10、11に当たる折流板が、扇形の絶縁板を水平冷却路5に挟んで固定されるので、折流板が周方向のどこかにあれば、その水平冷却路5には折流板の付いた絶縁板が挟まれていることになる。その結果、絶縁板の挿入枚数が従来よりも増えてしまい、巻線高さが増加し、且つ製作工数も増大した。
【0019】
また、特許文献9の場合も、三角形状の閉塞板10、11を水平冷却路5内に挟むことに変わりが無く、その分だけ巻線高さが高くなっていた。また、水平間隔片4の形状も閉塞板10、11に合わせた形状にする必要があり、形状が複雑化し易く、製作工数は増加した。
【0020】
一方、突起を有する従来例については、突起を水平冷却路5に挟まないので、巻線高さの増加は回避できるものの、突起と閉塞板10、11の両方を絶縁筒1、2の壁面に固定するので、両者の位置調整が容易では無く、製造コストが増大した。例えば、特許文献3、4では、垂直冷却路8、9に突起である狭路部材を有しているが、切り込み工数がかかる点や、狭路部材を分割して装着しなければならず、その固定が困難である点が課題となっていた。
【0021】
本発明は、上述した課題を解消するために提案されたものであり、水平冷却路に挟み込まれる板状部材を省いて巻線高さの増大を抑え、従来の間隔片や絶縁筒には何も加工を加えずに部材数および製作工数を低減でき、しかも他の部材に左右されないシンプルな形状の部材によって冷媒の流れを制御可能である、経済性および冷却性能に優れた静止誘導電器巻線を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記目的を達成するため、本発明は、内側絶縁筒と外側絶縁筒との間に複数段の円板巻線を上下方向に積み重ねて配置すると共に、隣接する上下の円板巻線間に水平間隔片を介在させて水平冷却路を放射状に形成し、前記内側絶縁筒と前記円板巻線との間に内側垂直間隔片を介在させて内側垂直冷却路を形成し、前記外側絶縁筒と前記円板巻線との間に外側垂直間隔片を介在させて外側垂直冷却路を形成し、前記水平冷却路、前記内側垂直冷却路および前記外側垂直冷却路を連通させ、これらの冷却路に冷媒を流すように構成した静止誘導電器巻線において、前記内側および外側の垂直冷却路の全スパンにわたって、円周方向で隣接する前記垂直間隔片の間に連続整流板を配置し、前記連続整流板は前記内側垂直間隔片と前記内側絶縁筒との間、若しくは前記外側垂直間隔片と前記外側絶縁筒との間に挟んで固定し、さらに前記円板巻線側に突出する折り曲げ部を複数設けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明の静止誘導電器巻線によれば、連続整流板の折り曲げ部が冷媒を垂直冷却路から水平冷却路へと流すことで冷却性能を高めることができ、この折り曲げ部は水平冷却路に挟み込まれないので巻線高さを低くすることが可能であり、しかも、連続整流板は垂直冷却路の全スパンに沿って取り付けるため間隔片や絶縁筒に対して何の加工も加える必要が無く、垂直方向に延びるシンプルな板状の部材で構成可能であり、優れた経済性および冷却性能を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る第1の実施形態の垂直断面図。
【図2】図1のA−A断面における部分断面図。
【図3】図1のB−B断面における部分断面図。
【図4】第1の実施形態の要部斜視図。
【図5】本発明に係る第2の実施形態の垂直断面図。
【図6】本発明に係る第3の実施形態の垂直断面図。
【図7】本発明に係る第4の実施形態の水平断面図。
【図8】(a)は図7のC−C断面における垂直断面図、(b)は同じくD−D断面における垂直断面図。
【図9】本発明に係る他の実施形態の要部斜視図。
【図10】本発明に係る他の実施形態の要部斜視図。
【図11】従来の静止誘導電器巻線の一例を示す水平断面図。
【図12】図11のD−D断面における垂直断面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る静止誘導電器巻線の実施形態の一例について、図1〜図10を参照して具体的に説明する。なお、図11、図12にて示した上記従来例と同一の部材に関しては、同一符号を付して説明は省略する。
【0026】
(1)第1の実施形態
[構成]
図1〜図4は本発明に係る第1の実施形態の構成図である。図1は第1の実施形態の垂直断面図、図2は図1のA−Aの断面図、図3は図1のB-Bの断面図、図4は第1の実施形態の要部斜視図である。
【0027】
図1に示すように、内側絶縁筒1および外側絶縁筒2において、円板巻線3と向かい合う側の壁面部には、内側垂直冷却路8および外側垂直冷却路9の全スパンにわたって、垂直方向に延びた内側連続整流板12および外側連続整流板13が配置されている。内側連続整流板12は、円周方向で隣接する内側垂直間隔片6の間に配置され、内側垂直間隔片6と内側絶縁筒1との間に挟まれて内側垂直冷却路8内に固定されている(図2参照)。外側連続整流板13は、円周方向で隣接する外側垂直間隔片7の間に配置され、外側垂直間隔片7と外側絶縁筒2との間に挟まれて外側垂直冷却路9内に固定されている(図3参照)。
【0028】
これら連続整流板12、13は、図4に示すように、折り曲げ部14を有する1枚の薄い絶縁板15と、絶縁板15全体を支持する1枚の絶縁支持板16とを貼り合わせることによって構成されている。絶縁支持板16は絶縁板15よりも幅広に設定されている。そのため、絶縁板15が貼り付けられた状態で、絶縁支持板16の左右の縁部が、垂直間隔片6、7と絶縁筒1、2との間に挟まれることで、連続整流板12、13が固定されている。
【0029】
折り曲げ部14は、絶縁板15が一定間隔で長手方向に同じ方向に折り曲げられることで、複数形成されている。折り曲げ部14は、円板巻線3側に突出する断面三角形状であって、鋭角部分が垂直冷却路8、9に向かって突出することで、垂直冷却路8、9を通過する冷媒の流れの一部を制御するようになっている。
【0030】
これらの折り曲げ部14の円周方向での位置は、円板巻線3の3セクション毎に内側および外側垂直冷却路8、9に交互に位置するように配置されている。さらに、折り曲げ部14の上下方向の位置は、図1に示すように、内側および外側の整流板12、13において、互いに相手側の折り曲げ部14間の中央になるように配置されている。
【0031】
[作用]
このような構成とした静止誘導電器巻線の作用について説明する。図1に示すように、内側および外側の垂直冷却路8、9を冷媒が上昇するが、内側および外側の連続整流板12、13の折り曲げ部14が垂直冷却路8、9の流路断面積を狭めている。このため、冷媒は上方に流れにくくなり、一部の冷媒が水平冷却路5に流れ込む。
【0032】
すなわち、内側垂直冷却路8を上昇した冷媒は、一部が内側連続整流板12の折り曲げ部14の隙間からそのまま内側垂直冷却路8を上昇するが、残りの冷媒は水平冷却路5を内周側から外周側に流れて外側垂直冷却路9に合流する。同様に、外側垂直冷却路9を上昇した冷媒は、一部が外側連続整流板13の折り曲げ部14の隙間からそのまま外側垂直冷却路9を上昇するが、残りの冷媒は水平冷却路5を外周側から内周側に流れて内側垂直冷却路8に合流する。
【0033】
折り曲げ部14は、円板巻線3の3セクション毎に内側・外側垂直冷却路8、9に交互に配置しているので、図1において矢印で示すように、3つの水平冷却路5毎に、内周側から外周側へ、あるいは外周側から内周側というように冷媒が交互にジグザグに流れる。
【0034】
このとき、図1の左方向に流れる3段の冷媒L1〜L3のうち、最上段に位置する冷媒L1の流速が最も大きく(矢印が長く)、最下段に位置するL3の流速が最も小さい(矢印が短い)。そのため、冷媒L3が流れる円板巻線3では冷却効率が悪くなると思われる。
【0035】
しかし実際には、冷媒L3が流れる円板巻線3の下面側には、図1の右方向に流れる3段の冷媒R1〜R3の中で最も流速が速い冷媒R1が流れている。つまり、冷媒L3とR1に挟まれた円板巻線3において、上面側の冷媒L3は流速が遅いが、下面側の冷媒R1は流速が速い。したがって、円板巻線3には上面と下面とを合わせると、十分な量の冷媒が与えられることになり、冷却効率が低下することがない。
【0036】
すなわち、図12で示した前記従来例では、閉塞板10、11のすぐ上部で冷媒の流速が遅くなって局所的に温度が上昇していた。これに対して、第1の実施形態では、円板巻線3の下部から上部にかけて、全体的に均一な冷却が可能であるため、局所的な円板巻線3の温度上昇を防ぐことができる。したがって、円板巻線3全体に良好な冷却特性が期待できる。
【0037】
[効果]
第1の実施形態の効果は、次の通りである。すなわち、垂直に延びる連続整流板12、13を垂直冷却路8、9に装着することにより、垂直冷却路8、9から水平冷却路5に冷媒をジグザグに流すことができ、効率良く円板巻線3を冷却することが可能である。しかも、従来例にて使用していた閉塞板10、11を省くことができるので、円板巻線3全体の高さを削減することができる。
【0038】
また、連続整流板12、13は、2枚の絶縁板15、16を貼り合わせるだけであり、隣接する垂直間隔片6、7の間に配置するので、垂直間隔片6、7を避けるような複雑な形状にする必要はない。つまり、連続整流板12、13の形状は非常にシンプルであり、製造コストの低減化を進めることができる。
【0039】
さらに、連続整流板12、13は、絶縁板15に対して幅広の支持絶縁板16の左右の両縁部を、内側および外側の垂直間隔片6、7と絶縁筒1、2とで挟むことにより、垂直冷却路8、9内に固定している。したがって、連続整流板12、13の取付けおよび取り外しが簡単であり、製作上の工数を減らすことが可能となり、経済的に有利である。また、冷媒の流れの方向を垂直方向から水平方向に変える折り曲げ部14も変形しにくい三角形状であって、強度的にも強い。
【0040】
(2)第2の実施形態
[構成]
続いて、図5の垂直断面図を用いて、本発明に係る第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、連続整流板12a、13aの折り曲げ部14aの設置間隔を、円板巻線3の位置に応じて調整したことに特徴がある。図5に示すように、連続整流板12a、13aは、折り曲げ部14aの設置間隔を円板巻線3の下部で4セクションピッチ(円板巻線4つ毎)、中央部で3セクションピッチ(円板巻線3つ毎)、上部で2セクションピッチ(円板巻線2つ毎)にそれぞれ配置されている。
【0041】
[作用効果]
以上のように折り曲げ部14aを配置した第2の実施形態では、上記第1の実施形態の作用効果に加えて、次のような独自の作用効果がある。すなわち、円板巻線3の下部においては折り曲げ部14aの設置間隔が広いため、水平冷却路5を流れる冷媒の流速がやや小さくなる。これにより、供給したばかりの低温の冷媒が流れる円板巻線3下部では、冷却性能はやや抑制する傾向にある。
【0042】
一方、円板巻線3を冷媒してきたことで冷媒が高温となった円板巻線3の上部では、折り曲げ部14aの設置間隔を狭くしたことで、水平冷却路5を流れる冷媒の流速は大きくなる。これにより、円板巻線3上部において高い冷却性能を確保することができ、円板巻線3の最高温度を抑えることができる。しかも、折り曲げ部14aの総数は、上記第1の実施形態における折り曲げ部14の総数と変わらないので、冷媒の流れの抵抗である圧力損失の増大を招くことが無い。このため、冷媒流量が減少することはなく、良好な冷却効率を得ることができる。
【0043】
(3)第3の実施形態
[構成]
次に、図6の垂直断面図を用いて、本発明に係る第3の実施形態について説明する。図6に示すように、第3の実施形態の連続整流板12b、13bでは、円板巻線3の上下方向の位置に応じて、折り曲げ部141b〜149bの長さ寸法を変えている。すなわち、折り曲げ部141b〜149bは円板巻線3の下部よりも上部の位置する折り曲げ部の方を、長く設けたことを特徴としている。
【0044】
すなわち、円板巻線3最下部における折り曲げ部141bの長さ寸法を、垂直冷却路8、9の幅寸法のおよそ50%、円板巻線3上部における折り曲げ部14の長さ寸法を、垂直冷却路8、9の幅寸法のおよそ90%としている。図6に示した第3の実施形態では折り曲げ部14は9箇所あるので、下方から上方に向かって、折り曲げ部141b〜149bの長さ寸法は徐々に大きくなっていく。具体的には、垂直冷却路8、9の幅寸法に対する各折り曲げ部141b〜149bの長さ寸法の割合は、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%というように5%刻みで長くしている。
【0045】
[作用効果]
以上のような折り曲げ部141b〜149bを有する第3の実施形態では、上記第2の実施形態と同様の作用効果がある。すなわち、円板巻線3の最下部に位置する折り曲げ部141bの長さ寸法は、垂直冷却路8、9の幅寸法の半分と短い。そのため、垂直冷却路8、9を上昇する冷媒のうち半分程度は折り曲げ部14を通り抜けてそのまま上昇する。したがって、水平冷却路5を流れる冷媒量は少なく、流速は遅い。これにより、温度の低い冷媒が流れる円板巻線3下部では冷却性能は低く抑えられる。
【0046】
そして、円板巻線3の上部に行くに従い、折り曲げ部142b〜149bの長さ寸法は徐々に長くなるので、垂直冷却路8、9を上昇する冷媒は、折り曲げ部142b〜149bを通り抜け難くなり、水平冷却路5を流れる冷媒量は増え、流速は次第に大きくなる。したがって、温度の高くなった冷媒が流れる円板巻線3上部においても、優れた冷却性能を確保することができる。
【0047】
このとき、円板巻線3上部付近では冷媒の圧力損失が高いが、円板巻線3下部付近では圧力損失が下がるので、円板巻線3全体としては、圧力損失は変わらない。すなわち、円板巻線3の平均温度を変えることなく、円板巻線3の最高温度の低下を図ることが可能である。
【0048】
(4)第4の実施形態
[構成]
さらに、図7、図8を用いて、本発明に係る第4の実施形態について説明する。図7のC−C断面における垂直断面図を図8(a)、図7のD−D断面における垂直断面図を図8(b)に示す。
【0049】
図7に示すように、第4の実施形態における連続整流板12c、12d、13c、13dでは、内側垂直冷却路8と外側垂直冷却路9の周方向の2スパン毎に、折り曲げ部14c、14dの位置を上下方向にずらして設置している。
【0050】
図8に示すように、折り曲げ部14c、14dにおける上下方向のずれは、円板巻線3の3セクション分ずらしており、内側連続整流板12c(あるいは12d)における折り曲げ部14c(あるいは14d)と、外側連続整流板13c(あるいは13d)における折り曲げ部14c(あるいは14d)とは、互いに相手の折り曲げ部14d(あるいは14c)間の中央になるように配置している。
【0051】
[作用効果]
以上のような第4の実施形態では、C−C断面で内周側から外周側(図9(a)では左方向)に流れる水平冷却路5中の冷媒は、D−D断面では逆向き(図9(b)では右方向)に流れることになる。すなわち、隣接するスパンによって、水平冷却路5中の冷媒の流れの向きは異なることになり、円板巻線3の冷却性能を平均化するといった作用効果がある。
【0052】
(5)他の実施形態
なお、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、例えば、上記第4の実施形態の変形例として、折り曲げ部14c、14dについて、円板巻線3の1ないし2セクション分、上下方向にずらした場合は、ある水平断面において流速の遅い水平冷却路5と、流速の速い水平冷却路5が、周方向2スパン毎に交互に配置されることになる。したがって、円板巻線3の冷却性能は、いっそう平均化されることになり、円板巻線3の上下方向の温度分布を均一に近づけることができる。
【0053】
また、各部材の形状は適宜変更可能である。例えば、図9の(a)に示すように、連続整流板12e、13eにおける折り曲げ部14eでは、下向きの面をやや短くして、断面が直角三角形状としている。このような折り曲げ部14eによれば、下方より流れてくる冷媒から受ける力に対して構造上強くなり、信頼性が向上する。
【0054】
また、連続整流板12f、13fに設けた折り曲げ部14fのように、先端部を丸く折り返しても良い(図9(b)参照)。また、連続整流板12g、13gの折り曲げ部14gのように、絶縁板15を完全に重なるようにして折り返しても良い(図9(c)参照)。これらの折り曲げ部14f、14gでは、上述した折り曲げ部14と同様の冷却効果を得ることができる上に、製造が容易であるというメリットがある。
【0055】
さらに、上記の折り曲げ部は、絶縁板15の一部を折り曲げることで形成しているが、絶縁板15全体を折り曲げることで折り曲げ部を形成するようにしてもよい。すなわち、図10に示す連続整流板12h、13hは、幅狭の絶縁板15hと、幅広の絶縁支持板16hを上下方向に交互に組み合わせて構成している。より詳しくは、絶縁板15を挟んで上下に絶縁支持板16hを配置し、絶縁板15hの上縁部を上方の絶縁支持板16h側に、絶縁板15hの下縁部を下方の絶縁支持板16h側に、それぞれ固定している。
【0056】
絶縁板15を挟んだ2枚の絶縁支持板16hは、対向する縁部同士を接着することにより、垂直方向に延びる1枚の連続した板とする。また、絶縁板15hは、水平方向に延びる中心線を山折りとし、水平絶縁支持板16h側に固定された縁部を谷折りとして、折り曲げ部14hを形成する。すなわち、絶縁板15hは二つ折りとし、全体として断面形状が三角形の凸部となる。さらに、絶縁板15hは、三角形の底辺部の両端つまり絶縁板15hの四隅にスリットsを形成している。
【0057】
以上のような実施形態では、絶縁板15hの四隅にスリットsを設けたので、絶縁板15hを二つに折り曲げたときに、絶縁板15hの四隅に直線的な板部分が残る。このため、直線的な板部は絶縁支持板16側に対して突き合わせ状態となる。したがって、絶縁板15hの三角形の底辺部分(谷折り部分)と絶縁支持板16側との距離が保たれて、絶縁板15hの三角形の頂角がつぶれることない。これにより、折り曲げ部14hを確実に形成することができる。
【0058】
なお、上記の各連続整流板における折り曲げ部の位置は適宜変更可能であり、円板巻線3の複数セクション毎に設ける場合のセクション数も任意に設定可能である。また、垂直冷却路8、9の周方向のスパン毎に、折り曲げ部の位置を上下方向にずらす場合も、スパン数の設定は自由である。
【0059】
さらに、折り曲げ部の先端位置は、水平冷却路5の中央部と同じ高さ(つまり隣接する上下の円板巻線3の中間)であっても良いし、円板巻線3の上面部と同じ高さに設定してもよく、どちらの場合でも水平冷却路5に発生する冷媒の流れの状況は同様であって、同じ効果が期待できる。
【符号の説明】
【0060】
1…内側絶縁筒
2…外側絶縁筒
3…円板巻線
4…水平間隔片
5…水平冷却路
6…内側垂直間隔片
7…外側垂直間隔片
8…内側垂直冷却路
9…外側垂直冷却路
10…内側閉塞板
11…外側閉塞板
12、12a〜12h…内側連続整流板
13、13a〜13h…外側連続整流板
14、14a、141b〜149b、14c〜14h…折り曲げ部
15、15h…絶縁板
16、16h…絶縁支持板
【技術分野】
【0001】
本発明は、静止誘導電器巻線の冷却構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、変圧器やリアクトルなどの静止誘導電器に使用される巻線は、運転時における発熱量が大きい。このため、静止誘導電器巻線では巻線周辺に冷却路を形成して巻線の冷却を行っている。ここで、一般的な静止誘導電器巻線の冷却構造について、図11および図12を用いて具体的に説明する。図11は変圧器の巻線の平面図、図12は図11のX-X断面図である。
【0003】
図11、図12に示すように、静止誘導電器には内側絶縁筒1および外側絶縁筒2が設けられており、内側絶縁筒1および外側絶縁筒2間には同軸状に円板巻線3が配置されている。円板巻線3は素線導体を巻回して構成され、垂直方向に複数段積重ねられている。
【0004】
図11に図示するように、隣接する上下の円板巻線3の間には複数の水平間隔片4が放射状に等間隔で配置されている。また、内側絶縁筒1と円板巻線3内周部の間には垂直間隔片6が水平間隔片4の内周に合わせて複数配置されている。さらに、外側絶縁筒2と円板巻線3外周部の間には垂直間隔片7が水平間隔片4の外周に合わせて複数配置されている。
【0005】
上記の間隔片4、6、7、によって円板巻線3の周囲に冷却路が形成される。すなわち、水平間隔片4により複数の扇状の水平冷却路5が放射状に形成され、前記垂直間隔片6、7により周方向に沿って複数の内側および垂直冷却路8、9が形成される。内側および外側垂直冷却路8、9は水平冷却路5と連通しており、円板巻線3の内周部および外周部に冷却区間を複数形成することになる。
【0006】
このような冷却構造を持つ静止誘導電器巻線では、気体冷媒や液体冷媒を内側および外側垂直冷却路8、9の下部から流入させ、冷却路5、8、9全体に冷媒を流して円板巻線3を冷却する。冷却路5、8、9に流す冷媒としては、SF6ガスなどの気体冷媒、絶縁油やパーフロロカーボンなどの液体冷媒などが代表的であり、難燃性に優れたシリコン油なども使用している。また最近では、環境への負荷を低減することを考慮して、天然エステル油や温暖化係数の小さい気体冷媒(N2ガス、CO2ガス、空気、CF3lガスなど)が、冷媒として注目を集めている。
【0007】
ところで、冷媒が垂直冷却路8、9を単純に上昇して、水平冷却路5へ侵入する冷媒量が少ないと、円板巻線3の表面部分を十分に冷やすことができない。そこで、静止誘導電器巻線の冷却構造では、垂直冷却路8、9から水平冷却路5へと冷媒を流すことが重要である。例えば、図12に示した従来例では、内側および外側垂直冷却路8、9を塞ぐようにして、内側閉塞板10と外側閉塞板11が配置されている。より詳しくは、閉塞板10、11は、内側と外側で交互に、且つ円板巻線3の全周に亘って、円板巻線3の複数段毎に設置されている。
【0008】
このため、内側垂直冷却路8を上昇する冷媒は、内側閉塞板10の下面部に当たり、これに沿って水平に流れることで、内側垂直冷却路8から水平冷却路5に向かって流れ込む。また、外側垂直冷却路9を上昇する冷媒は、外内側閉塞板10の下面部に当たり、これに沿って水平に流れることで、外側垂直冷却路9から水平冷却路5に向かって流れ込む。したがって、冷媒は、円板巻線3の複数段毎に、内側から外側へ、あるいは外側から内側へジグザグに流れることになり、表面積の大きい水平冷却路5の冷却性能を向上させることが可能となる。
【0009】
しかしながら、このような冷却構造では、冷媒を水平方向にジグザグに流しながら上昇させるので、流れの抵抗である圧力損失が増大した。また、水平冷却路5における流速の不均一が問題となっている。ここで、流速の不均一について図12を用いて説明する。図12において円板巻線3の間に示した矢印は冷媒の流れ(矢印の長さは冷媒の流速の大きさ)を表している。
【0010】
図12に示すように、冷媒が閉塞板10、11の下面部に当たることから、冷媒の流れの方向を変えたばかりの閉塞板10、11のすぐ下部では水平冷却路5の流速が速い(矢印が長い)。これに対して、閉塞板10、11のすぐ上部では、ひとつ上に位置する閉塞板10、11の下面から最も遠いので、水平冷却路5の流速は遅くなる(矢印が短い)。
【0011】
つまり、隣接する上下の閉塞板10(又は11)に挟まれた区間において、下側の方が冷媒の流速が遅く、冷媒が上昇するにつれて流速が上がっていくことになる。このような流速の不均一が生じると、冷媒の流速が遅い閉塞板10、11の上部付近の円板巻線3では、冷却効率が低くなり、静止誘導電器巻線において温度が局所的に上昇することがある。
【0012】
このため、静止誘導電器巻線では、冷媒の圧力損失の低減化や、水平冷却路における流速の均一化が図られている。例えば、特許文献1では、閉塞板10、11(特許文献1ではガイド板)および水平間隔片4(特許文献1では絶縁スペーサ)を備えている。この従来技術では、隣接する上下の閉塞板10(又は11)の間で、冷媒が遅く流れる下部側に比べて、冷媒が速く流れる上部側により多くの水平間隔片4を積層することを特徴としている。これにより、冷媒の流速が遅い下側の水平冷却路5(特許文献1では半径方向ダクト)では容積が小さくなり、反対に冷媒の流速が速い上側の水平冷却路5では容積が大きくなる。その結果、冷媒の流速の均一化を図ることができる。
【0013】
ただし、特許文献1では、絶縁スペーサである水平間隔片4の最大数に合わせて垂直間隔片6、7を設置しなくてはならないので、製作工数が増大するといった問題がある。また、水平間隔片4を増やしたところでは、円板巻線3の放熱が阻害され易くなるため、温度の局所的上昇を招くおそれもあった。
【0014】
そこで、水平間隔片4(絶縁スペーサ)の数を、上下の閉塞板10、11(ガイド板)の間で調整するのではなく、垂直冷却路8、9に障害物を設けて、冷媒の流れを制御する技術が提案されている。具体的には、垂直冷却路8、9に向かって突出する突起を、絶縁筒1、2の壁面に設けたもの(特許文献2〜4)や、水平冷却路5から垂直冷却路8、9へ向かって張り出す分流板を、水平間隔片4に固定したもの(特許文献2、5〜7)などがある。ここでいう分流板とは、図12の閉塞板10、11と同じく、垂直冷却路8、9に流れる冷媒の障害物となる部材であって、その固定方法は、通常、水平間隔片4を3枚構成とし、中央の間隔片の長さを短くして、そこに分流板を挟み込むなどの方法が採られている。
【0015】
さらに、閉塞板10、11自体に改良を加えた技術として、閉塞板10、11の位置を上下にずらして設置したもの(特許文献8)や、閉塞板10、11の形状を三角状にしたもの(特許文献9)も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開平9−153415号公報
【特許文献2】特開平9−162040号公報
【特許文献3】特開平10−106848号公報
【特許文献4】特開平11−121250号公報
【特許文献5】特開平9−199345号公報
【特許文献6】特開平11−168014号公報
【特許文献7】特開2001−148314号公報
【特許文献8】特開2000−58333号公報
【特許文献9】特開平11−97251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、上記の従来技術には、次のような課題が指摘されていた。すなわち、特許文献2〜7では、垂直冷却路8、9に垂直間隔片6、7を等間隔で設置しているので、分流板あるいは突起については、垂直間隔片6、7を避けるような複雑な形状にしなくてはならず、製造コストが増大した。また、水平冷却路5に対し分流板を挟み込んだ場合、分流板の高さの分だけ、巻線高さが高くなるという不具合があった。
【0018】
なお、巻線高さの増大は上記分流板に限らず、閉塞板10、11も水平冷却路5に挿入されるので、同様の問題が起きる。例えば、特許文献8では、閉塞板10、11に当たる折流板が、扇形の絶縁板を水平冷却路5に挟んで固定されるので、折流板が周方向のどこかにあれば、その水平冷却路5には折流板の付いた絶縁板が挟まれていることになる。その結果、絶縁板の挿入枚数が従来よりも増えてしまい、巻線高さが増加し、且つ製作工数も増大した。
【0019】
また、特許文献9の場合も、三角形状の閉塞板10、11を水平冷却路5内に挟むことに変わりが無く、その分だけ巻線高さが高くなっていた。また、水平間隔片4の形状も閉塞板10、11に合わせた形状にする必要があり、形状が複雑化し易く、製作工数は増加した。
【0020】
一方、突起を有する従来例については、突起を水平冷却路5に挟まないので、巻線高さの増加は回避できるものの、突起と閉塞板10、11の両方を絶縁筒1、2の壁面に固定するので、両者の位置調整が容易では無く、製造コストが増大した。例えば、特許文献3、4では、垂直冷却路8、9に突起である狭路部材を有しているが、切り込み工数がかかる点や、狭路部材を分割して装着しなければならず、その固定が困難である点が課題となっていた。
【0021】
本発明は、上述した課題を解消するために提案されたものであり、水平冷却路に挟み込まれる板状部材を省いて巻線高さの増大を抑え、従来の間隔片や絶縁筒には何も加工を加えずに部材数および製作工数を低減でき、しかも他の部材に左右されないシンプルな形状の部材によって冷媒の流れを制御可能である、経済性および冷却性能に優れた静止誘導電器巻線を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記目的を達成するため、本発明は、内側絶縁筒と外側絶縁筒との間に複数段の円板巻線を上下方向に積み重ねて配置すると共に、隣接する上下の円板巻線間に水平間隔片を介在させて水平冷却路を放射状に形成し、前記内側絶縁筒と前記円板巻線との間に内側垂直間隔片を介在させて内側垂直冷却路を形成し、前記外側絶縁筒と前記円板巻線との間に外側垂直間隔片を介在させて外側垂直冷却路を形成し、前記水平冷却路、前記内側垂直冷却路および前記外側垂直冷却路を連通させ、これらの冷却路に冷媒を流すように構成した静止誘導電器巻線において、前記内側および外側の垂直冷却路の全スパンにわたって、円周方向で隣接する前記垂直間隔片の間に連続整流板を配置し、前記連続整流板は前記内側垂直間隔片と前記内側絶縁筒との間、若しくは前記外側垂直間隔片と前記外側絶縁筒との間に挟んで固定し、さらに前記円板巻線側に突出する折り曲げ部を複数設けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明の静止誘導電器巻線によれば、連続整流板の折り曲げ部が冷媒を垂直冷却路から水平冷却路へと流すことで冷却性能を高めることができ、この折り曲げ部は水平冷却路に挟み込まれないので巻線高さを低くすることが可能であり、しかも、連続整流板は垂直冷却路の全スパンに沿って取り付けるため間隔片や絶縁筒に対して何の加工も加える必要が無く、垂直方向に延びるシンプルな板状の部材で構成可能であり、優れた経済性および冷却性能を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る第1の実施形態の垂直断面図。
【図2】図1のA−A断面における部分断面図。
【図3】図1のB−B断面における部分断面図。
【図4】第1の実施形態の要部斜視図。
【図5】本発明に係る第2の実施形態の垂直断面図。
【図6】本発明に係る第3の実施形態の垂直断面図。
【図7】本発明に係る第4の実施形態の水平断面図。
【図8】(a)は図7のC−C断面における垂直断面図、(b)は同じくD−D断面における垂直断面図。
【図9】本発明に係る他の実施形態の要部斜視図。
【図10】本発明に係る他の実施形態の要部斜視図。
【図11】従来の静止誘導電器巻線の一例を示す水平断面図。
【図12】図11のD−D断面における垂直断面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る静止誘導電器巻線の実施形態の一例について、図1〜図10を参照して具体的に説明する。なお、図11、図12にて示した上記従来例と同一の部材に関しては、同一符号を付して説明は省略する。
【0026】
(1)第1の実施形態
[構成]
図1〜図4は本発明に係る第1の実施形態の構成図である。図1は第1の実施形態の垂直断面図、図2は図1のA−Aの断面図、図3は図1のB-Bの断面図、図4は第1の実施形態の要部斜視図である。
【0027】
図1に示すように、内側絶縁筒1および外側絶縁筒2において、円板巻線3と向かい合う側の壁面部には、内側垂直冷却路8および外側垂直冷却路9の全スパンにわたって、垂直方向に延びた内側連続整流板12および外側連続整流板13が配置されている。内側連続整流板12は、円周方向で隣接する内側垂直間隔片6の間に配置され、内側垂直間隔片6と内側絶縁筒1との間に挟まれて内側垂直冷却路8内に固定されている(図2参照)。外側連続整流板13は、円周方向で隣接する外側垂直間隔片7の間に配置され、外側垂直間隔片7と外側絶縁筒2との間に挟まれて外側垂直冷却路9内に固定されている(図3参照)。
【0028】
これら連続整流板12、13は、図4に示すように、折り曲げ部14を有する1枚の薄い絶縁板15と、絶縁板15全体を支持する1枚の絶縁支持板16とを貼り合わせることによって構成されている。絶縁支持板16は絶縁板15よりも幅広に設定されている。そのため、絶縁板15が貼り付けられた状態で、絶縁支持板16の左右の縁部が、垂直間隔片6、7と絶縁筒1、2との間に挟まれることで、連続整流板12、13が固定されている。
【0029】
折り曲げ部14は、絶縁板15が一定間隔で長手方向に同じ方向に折り曲げられることで、複数形成されている。折り曲げ部14は、円板巻線3側に突出する断面三角形状であって、鋭角部分が垂直冷却路8、9に向かって突出することで、垂直冷却路8、9を通過する冷媒の流れの一部を制御するようになっている。
【0030】
これらの折り曲げ部14の円周方向での位置は、円板巻線3の3セクション毎に内側および外側垂直冷却路8、9に交互に位置するように配置されている。さらに、折り曲げ部14の上下方向の位置は、図1に示すように、内側および外側の整流板12、13において、互いに相手側の折り曲げ部14間の中央になるように配置されている。
【0031】
[作用]
このような構成とした静止誘導電器巻線の作用について説明する。図1に示すように、内側および外側の垂直冷却路8、9を冷媒が上昇するが、内側および外側の連続整流板12、13の折り曲げ部14が垂直冷却路8、9の流路断面積を狭めている。このため、冷媒は上方に流れにくくなり、一部の冷媒が水平冷却路5に流れ込む。
【0032】
すなわち、内側垂直冷却路8を上昇した冷媒は、一部が内側連続整流板12の折り曲げ部14の隙間からそのまま内側垂直冷却路8を上昇するが、残りの冷媒は水平冷却路5を内周側から外周側に流れて外側垂直冷却路9に合流する。同様に、外側垂直冷却路9を上昇した冷媒は、一部が外側連続整流板13の折り曲げ部14の隙間からそのまま外側垂直冷却路9を上昇するが、残りの冷媒は水平冷却路5を外周側から内周側に流れて内側垂直冷却路8に合流する。
【0033】
折り曲げ部14は、円板巻線3の3セクション毎に内側・外側垂直冷却路8、9に交互に配置しているので、図1において矢印で示すように、3つの水平冷却路5毎に、内周側から外周側へ、あるいは外周側から内周側というように冷媒が交互にジグザグに流れる。
【0034】
このとき、図1の左方向に流れる3段の冷媒L1〜L3のうち、最上段に位置する冷媒L1の流速が最も大きく(矢印が長く)、最下段に位置するL3の流速が最も小さい(矢印が短い)。そのため、冷媒L3が流れる円板巻線3では冷却効率が悪くなると思われる。
【0035】
しかし実際には、冷媒L3が流れる円板巻線3の下面側には、図1の右方向に流れる3段の冷媒R1〜R3の中で最も流速が速い冷媒R1が流れている。つまり、冷媒L3とR1に挟まれた円板巻線3において、上面側の冷媒L3は流速が遅いが、下面側の冷媒R1は流速が速い。したがって、円板巻線3には上面と下面とを合わせると、十分な量の冷媒が与えられることになり、冷却効率が低下することがない。
【0036】
すなわち、図12で示した前記従来例では、閉塞板10、11のすぐ上部で冷媒の流速が遅くなって局所的に温度が上昇していた。これに対して、第1の実施形態では、円板巻線3の下部から上部にかけて、全体的に均一な冷却が可能であるため、局所的な円板巻線3の温度上昇を防ぐことができる。したがって、円板巻線3全体に良好な冷却特性が期待できる。
【0037】
[効果]
第1の実施形態の効果は、次の通りである。すなわち、垂直に延びる連続整流板12、13を垂直冷却路8、9に装着することにより、垂直冷却路8、9から水平冷却路5に冷媒をジグザグに流すことができ、効率良く円板巻線3を冷却することが可能である。しかも、従来例にて使用していた閉塞板10、11を省くことができるので、円板巻線3全体の高さを削減することができる。
【0038】
また、連続整流板12、13は、2枚の絶縁板15、16を貼り合わせるだけであり、隣接する垂直間隔片6、7の間に配置するので、垂直間隔片6、7を避けるような複雑な形状にする必要はない。つまり、連続整流板12、13の形状は非常にシンプルであり、製造コストの低減化を進めることができる。
【0039】
さらに、連続整流板12、13は、絶縁板15に対して幅広の支持絶縁板16の左右の両縁部を、内側および外側の垂直間隔片6、7と絶縁筒1、2とで挟むことにより、垂直冷却路8、9内に固定している。したがって、連続整流板12、13の取付けおよび取り外しが簡単であり、製作上の工数を減らすことが可能となり、経済的に有利である。また、冷媒の流れの方向を垂直方向から水平方向に変える折り曲げ部14も変形しにくい三角形状であって、強度的にも強い。
【0040】
(2)第2の実施形態
[構成]
続いて、図5の垂直断面図を用いて、本発明に係る第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、連続整流板12a、13aの折り曲げ部14aの設置間隔を、円板巻線3の位置に応じて調整したことに特徴がある。図5に示すように、連続整流板12a、13aは、折り曲げ部14aの設置間隔を円板巻線3の下部で4セクションピッチ(円板巻線4つ毎)、中央部で3セクションピッチ(円板巻線3つ毎)、上部で2セクションピッチ(円板巻線2つ毎)にそれぞれ配置されている。
【0041】
[作用効果]
以上のように折り曲げ部14aを配置した第2の実施形態では、上記第1の実施形態の作用効果に加えて、次のような独自の作用効果がある。すなわち、円板巻線3の下部においては折り曲げ部14aの設置間隔が広いため、水平冷却路5を流れる冷媒の流速がやや小さくなる。これにより、供給したばかりの低温の冷媒が流れる円板巻線3下部では、冷却性能はやや抑制する傾向にある。
【0042】
一方、円板巻線3を冷媒してきたことで冷媒が高温となった円板巻線3の上部では、折り曲げ部14aの設置間隔を狭くしたことで、水平冷却路5を流れる冷媒の流速は大きくなる。これにより、円板巻線3上部において高い冷却性能を確保することができ、円板巻線3の最高温度を抑えることができる。しかも、折り曲げ部14aの総数は、上記第1の実施形態における折り曲げ部14の総数と変わらないので、冷媒の流れの抵抗である圧力損失の増大を招くことが無い。このため、冷媒流量が減少することはなく、良好な冷却効率を得ることができる。
【0043】
(3)第3の実施形態
[構成]
次に、図6の垂直断面図を用いて、本発明に係る第3の実施形態について説明する。図6に示すように、第3の実施形態の連続整流板12b、13bでは、円板巻線3の上下方向の位置に応じて、折り曲げ部141b〜149bの長さ寸法を変えている。すなわち、折り曲げ部141b〜149bは円板巻線3の下部よりも上部の位置する折り曲げ部の方を、長く設けたことを特徴としている。
【0044】
すなわち、円板巻線3最下部における折り曲げ部141bの長さ寸法を、垂直冷却路8、9の幅寸法のおよそ50%、円板巻線3上部における折り曲げ部14の長さ寸法を、垂直冷却路8、9の幅寸法のおよそ90%としている。図6に示した第3の実施形態では折り曲げ部14は9箇所あるので、下方から上方に向かって、折り曲げ部141b〜149bの長さ寸法は徐々に大きくなっていく。具体的には、垂直冷却路8、9の幅寸法に対する各折り曲げ部141b〜149bの長さ寸法の割合は、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%というように5%刻みで長くしている。
【0045】
[作用効果]
以上のような折り曲げ部141b〜149bを有する第3の実施形態では、上記第2の実施形態と同様の作用効果がある。すなわち、円板巻線3の最下部に位置する折り曲げ部141bの長さ寸法は、垂直冷却路8、9の幅寸法の半分と短い。そのため、垂直冷却路8、9を上昇する冷媒のうち半分程度は折り曲げ部14を通り抜けてそのまま上昇する。したがって、水平冷却路5を流れる冷媒量は少なく、流速は遅い。これにより、温度の低い冷媒が流れる円板巻線3下部では冷却性能は低く抑えられる。
【0046】
そして、円板巻線3の上部に行くに従い、折り曲げ部142b〜149bの長さ寸法は徐々に長くなるので、垂直冷却路8、9を上昇する冷媒は、折り曲げ部142b〜149bを通り抜け難くなり、水平冷却路5を流れる冷媒量は増え、流速は次第に大きくなる。したがって、温度の高くなった冷媒が流れる円板巻線3上部においても、優れた冷却性能を確保することができる。
【0047】
このとき、円板巻線3上部付近では冷媒の圧力損失が高いが、円板巻線3下部付近では圧力損失が下がるので、円板巻線3全体としては、圧力損失は変わらない。すなわち、円板巻線3の平均温度を変えることなく、円板巻線3の最高温度の低下を図ることが可能である。
【0048】
(4)第4の実施形態
[構成]
さらに、図7、図8を用いて、本発明に係る第4の実施形態について説明する。図7のC−C断面における垂直断面図を図8(a)、図7のD−D断面における垂直断面図を図8(b)に示す。
【0049】
図7に示すように、第4の実施形態における連続整流板12c、12d、13c、13dでは、内側垂直冷却路8と外側垂直冷却路9の周方向の2スパン毎に、折り曲げ部14c、14dの位置を上下方向にずらして設置している。
【0050】
図8に示すように、折り曲げ部14c、14dにおける上下方向のずれは、円板巻線3の3セクション分ずらしており、内側連続整流板12c(あるいは12d)における折り曲げ部14c(あるいは14d)と、外側連続整流板13c(あるいは13d)における折り曲げ部14c(あるいは14d)とは、互いに相手の折り曲げ部14d(あるいは14c)間の中央になるように配置している。
【0051】
[作用効果]
以上のような第4の実施形態では、C−C断面で内周側から外周側(図9(a)では左方向)に流れる水平冷却路5中の冷媒は、D−D断面では逆向き(図9(b)では右方向)に流れることになる。すなわち、隣接するスパンによって、水平冷却路5中の冷媒の流れの向きは異なることになり、円板巻線3の冷却性能を平均化するといった作用効果がある。
【0052】
(5)他の実施形態
なお、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、例えば、上記第4の実施形態の変形例として、折り曲げ部14c、14dについて、円板巻線3の1ないし2セクション分、上下方向にずらした場合は、ある水平断面において流速の遅い水平冷却路5と、流速の速い水平冷却路5が、周方向2スパン毎に交互に配置されることになる。したがって、円板巻線3の冷却性能は、いっそう平均化されることになり、円板巻線3の上下方向の温度分布を均一に近づけることができる。
【0053】
また、各部材の形状は適宜変更可能である。例えば、図9の(a)に示すように、連続整流板12e、13eにおける折り曲げ部14eでは、下向きの面をやや短くして、断面が直角三角形状としている。このような折り曲げ部14eによれば、下方より流れてくる冷媒から受ける力に対して構造上強くなり、信頼性が向上する。
【0054】
また、連続整流板12f、13fに設けた折り曲げ部14fのように、先端部を丸く折り返しても良い(図9(b)参照)。また、連続整流板12g、13gの折り曲げ部14gのように、絶縁板15を完全に重なるようにして折り返しても良い(図9(c)参照)。これらの折り曲げ部14f、14gでは、上述した折り曲げ部14と同様の冷却効果を得ることができる上に、製造が容易であるというメリットがある。
【0055】
さらに、上記の折り曲げ部は、絶縁板15の一部を折り曲げることで形成しているが、絶縁板15全体を折り曲げることで折り曲げ部を形成するようにしてもよい。すなわち、図10に示す連続整流板12h、13hは、幅狭の絶縁板15hと、幅広の絶縁支持板16hを上下方向に交互に組み合わせて構成している。より詳しくは、絶縁板15を挟んで上下に絶縁支持板16hを配置し、絶縁板15hの上縁部を上方の絶縁支持板16h側に、絶縁板15hの下縁部を下方の絶縁支持板16h側に、それぞれ固定している。
【0056】
絶縁板15を挟んだ2枚の絶縁支持板16hは、対向する縁部同士を接着することにより、垂直方向に延びる1枚の連続した板とする。また、絶縁板15hは、水平方向に延びる中心線を山折りとし、水平絶縁支持板16h側に固定された縁部を谷折りとして、折り曲げ部14hを形成する。すなわち、絶縁板15hは二つ折りとし、全体として断面形状が三角形の凸部となる。さらに、絶縁板15hは、三角形の底辺部の両端つまり絶縁板15hの四隅にスリットsを形成している。
【0057】
以上のような実施形態では、絶縁板15hの四隅にスリットsを設けたので、絶縁板15hを二つに折り曲げたときに、絶縁板15hの四隅に直線的な板部分が残る。このため、直線的な板部は絶縁支持板16側に対して突き合わせ状態となる。したがって、絶縁板15hの三角形の底辺部分(谷折り部分)と絶縁支持板16側との距離が保たれて、絶縁板15hの三角形の頂角がつぶれることない。これにより、折り曲げ部14hを確実に形成することができる。
【0058】
なお、上記の各連続整流板における折り曲げ部の位置は適宜変更可能であり、円板巻線3の複数セクション毎に設ける場合のセクション数も任意に設定可能である。また、垂直冷却路8、9の周方向のスパン毎に、折り曲げ部の位置を上下方向にずらす場合も、スパン数の設定は自由である。
【0059】
さらに、折り曲げ部の先端位置は、水平冷却路5の中央部と同じ高さ(つまり隣接する上下の円板巻線3の中間)であっても良いし、円板巻線3の上面部と同じ高さに設定してもよく、どちらの場合でも水平冷却路5に発生する冷媒の流れの状況は同様であって、同じ効果が期待できる。
【符号の説明】
【0060】
1…内側絶縁筒
2…外側絶縁筒
3…円板巻線
4…水平間隔片
5…水平冷却路
6…内側垂直間隔片
7…外側垂直間隔片
8…内側垂直冷却路
9…外側垂直冷却路
10…内側閉塞板
11…外側閉塞板
12、12a〜12h…内側連続整流板
13、13a〜13h…外側連続整流板
14、14a、141b〜149b、14c〜14h…折り曲げ部
15、15h…絶縁板
16、16h…絶縁支持板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側絶縁筒と外側絶縁筒との間に複数段の円板巻線を上下方向に積み重ねて配置すると共に、隣接する上下の円板巻線間に水平間隔片を介在させて水平冷却路を放射状に形成し、前記内側絶縁筒と前記円板巻線との間に内側垂直間隔片を介在させて内側垂直冷却路を形成し、前記外側絶縁筒と前記円板巻線との間に外側垂直間隔片を介在させて外側垂直冷却路を形成し、前記水平冷却路、前記内側垂直冷却路および前記外側垂直冷却路を連通させ、これらの冷却路に冷媒を流すように構成した静止誘導電器巻線において、
前記内側および外側の垂直冷却路の全スパンにわたって、円周方向で隣接する前記垂直間隔片の間に連続整流板を配置し、
前記連続整流板は前記内側垂直間隔片と前記内側絶縁筒との間、若しくは前記外側垂直間隔片と前記外側絶縁筒との間に挟んで固定し、
さらに前記円板巻線側に突出する折り曲げ部を複数設けたことを特徴とする静止誘導電器巻線。
【請求項2】
前記折り曲げ部の上下方向の位置は、前記内側および外側の連続整流板において、互いに相手側の前記折り曲げ部間の中央になるように配置したことを特徴とする請求項1に記載の静止誘導電器巻線。
【請求項3】
前記連続整流板は、前記折り曲げ部を有する絶縁板と、この絶縁板を接着して支持する幅広の絶縁支持板とから構成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の静止誘導電器巻線。
【請求項4】
前記折り曲げ部は前記円板巻線の複数セクション毎に前記内側垂直冷却路と前記外側垂直冷却路とで交互に配置したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の静止誘導電器巻線。
【請求項5】
前記折り曲げ部の設置間隔について前記円板巻線の下部よりも上部の方を狭くしたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の静止誘導電器巻線。
【請求項6】
前記折り曲げ部の長さ寸法について前記円板巻線の下部よりも上部の方を長くしたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の静止誘導電器巻線。
【請求項7】
前記折り曲げ部の位置は前記内側および外側の垂直冷却路の一つあるいは複数のスパン毎に垂直方向にずらしたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の静止誘導電器巻線。
【請求項8】
前記折り曲げ部における下向き面の長さは上向き面の長さよりも短いことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の静止誘導電器巻線。
【請求項9】
前記折り曲げ部は断面が三角形状であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の静止誘導電器巻線。
【請求項10】
断面が三角形状の前記折り曲げ部は、三角形の底辺となる部分にスリットを形成したことを特徴とする請求項9に記載の静止誘導電器巻線。
【請求項1】
内側絶縁筒と外側絶縁筒との間に複数段の円板巻線を上下方向に積み重ねて配置すると共に、隣接する上下の円板巻線間に水平間隔片を介在させて水平冷却路を放射状に形成し、前記内側絶縁筒と前記円板巻線との間に内側垂直間隔片を介在させて内側垂直冷却路を形成し、前記外側絶縁筒と前記円板巻線との間に外側垂直間隔片を介在させて外側垂直冷却路を形成し、前記水平冷却路、前記内側垂直冷却路および前記外側垂直冷却路を連通させ、これらの冷却路に冷媒を流すように構成した静止誘導電器巻線において、
前記内側および外側の垂直冷却路の全スパンにわたって、円周方向で隣接する前記垂直間隔片の間に連続整流板を配置し、
前記連続整流板は前記内側垂直間隔片と前記内側絶縁筒との間、若しくは前記外側垂直間隔片と前記外側絶縁筒との間に挟んで固定し、
さらに前記円板巻線側に突出する折り曲げ部を複数設けたことを特徴とする静止誘導電器巻線。
【請求項2】
前記折り曲げ部の上下方向の位置は、前記内側および外側の連続整流板において、互いに相手側の前記折り曲げ部間の中央になるように配置したことを特徴とする請求項1に記載の静止誘導電器巻線。
【請求項3】
前記連続整流板は、前記折り曲げ部を有する絶縁板と、この絶縁板を接着して支持する幅広の絶縁支持板とから構成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の静止誘導電器巻線。
【請求項4】
前記折り曲げ部は前記円板巻線の複数セクション毎に前記内側垂直冷却路と前記外側垂直冷却路とで交互に配置したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の静止誘導電器巻線。
【請求項5】
前記折り曲げ部の設置間隔について前記円板巻線の下部よりも上部の方を狭くしたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の静止誘導電器巻線。
【請求項6】
前記折り曲げ部の長さ寸法について前記円板巻線の下部よりも上部の方を長くしたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の静止誘導電器巻線。
【請求項7】
前記折り曲げ部の位置は前記内側および外側の垂直冷却路の一つあるいは複数のスパン毎に垂直方向にずらしたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の静止誘導電器巻線。
【請求項8】
前記折り曲げ部における下向き面の長さは上向き面の長さよりも短いことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の静止誘導電器巻線。
【請求項9】
前記折り曲げ部は断面が三角形状であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の静止誘導電器巻線。
【請求項10】
断面が三角形状の前記折り曲げ部は、三角形の底辺となる部分にスリットを形成したことを特徴とする請求項9に記載の静止誘導電器巻線。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−222643(P2011−222643A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−88339(P2010−88339)
【出願日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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