説明

静電気クリーナー用除埃器

【課題】 除埃器と掃除機を一つにまとめてコンパクトに保管できる静電気クリーナー用除埃器において、まとめた事で重量が重くなり移動し難い為、キャスターとハンドルを設置する事により楽に移動できるようになり、また静電気が及ぼす人体や周辺機器への影響を取り除く事のできる静電気クリーナー用除埃器を提供する。
【解決手段】 除埃器の筐体の下部に2個の対になったキャスター11と、2個のキャスターを結ぶ線に対して平行で、キャスターに近い方の側面に伸縮可能なハンドル12を付ける事により筐体を容易に移動させる事ができ、また筐体の静電気が問題となる部分に金属等の導電性材料を使ったり貼ったりして導電性を付与するか、導電性繊維などの導電性シート15を貼って筐体に溜まった静電気を空気中に放電したりして静電気による障害を防ぐことを特徴とする静電気クリーナー用除埃器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は掃除機により筐体の外部より空気を吸い込み、その空気の流れの中で静電気クリーナーを振り動かし埃・ゴミなどを振り落とすことにより、静電気クリーナーが吸着した埃・ゴミなどを周りに飛散させることなく、空気の流れに埃・ゴミなどをのせて掃除機により吸引・除去することができることを特徴とする静電気クリーナー用除埃器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
静電気クリーナーとは、電気的に絶縁性のポリマーの細い毛の束より成り、使用前に前記束を振ることにより毛と毛の摩擦による静電気を発生させ、その静電気により埃・ゴミなどを吸着し除去するものである。従来より静電気クリーナーにより吸着した埃・ゴミは、一般に屋外にて静電気クリーナーを振ることにより振り落としていた。またその時に、新たな静電気を発生させて吸着能力の再生を行なっていた。
【0003】
一般に掃除道具としては、床・壁などの埃・ゴミの除去に掃除機が使われ、そして机の上や本棚の本の上、キャビネットの中、パソコン周り、店舗で並べられた多数の商品などの複雑な形状部や細かな狭い場所での埃・ゴミの除去には静電気クリーナーが使われている。最近では、埃・ゴミを除去するための様々な掃除道具があるが、使い捨てタイプは取り込んだ埃・ゴミと一緒に最終的に掃除道具自体がゴミになる。埃・ゴミなどよりも遥かに膨大な量のゴミを作り出すことになり、非常に不経済であり地球環境に対しても優しくない。また薬品処理を施した化学モップは薬品が付着しているため、食事をするテーブルの上などでは使い難く、汚れた場合は業者において再生処理をする必要があり不経済である。静電気クリーナーは経済性・衛生面からみても最も優れた埃・ゴミ取り用掃除道具である。しかし静電気クリーナーは使用して汚れた場合、吸着した埃・ゴミなどを外で振り落とさなければならない唯一・致命的な欠点があり、その欠点により静電気クリーナーの利便性が著しく損なわれていた。その欠点を補う道具として、静電気クリーナーに吸着した埃・ゴミを、いちいち外に出ることなく手元の筐体の中で振り落とし、それを掃除機で吸う事により掃除をしているその場所で衛生的に静電気クリーナーを再生することのできる静電気クリーナー用除埃器がある。
【0004】
更に、除埃器を使用する時は常に掃除機が必要となる。その為、除埃器と掃除機が別々にあると不便であり場所も取る為、掃除機を台ごと除埃器の中にスライド移動させて収納させる事により、一つにまとめてコンパクトに保管でき、いつでもどこでもその利便性を提供できる、掃除機を筐体の中に収納できる構造の静電気クリーナー用除埃器がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
例えば、静電気クリーナー用除埃器の例として、特許公開2007−307335号公報、特許公開2010−12453号公報などが知られている。
【特許文献1】特許公開2007−307335号公報
【特許文献2】特許公開2010−12453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
掃除機(6)を載せた台(8)を、除埃器として使用する時だけ筐体(3)から外に出し、除埃器として使用していない時は掃除機(6)を載せた台(8)が除埃器の中に移動して、掃除機を除埃器の筐体(3)の中へ収納できる構造の除埃器において、掃除機と除埃器が一つにまとめられた事により空間的にコンパクトになり、また除埃器と掃除機が常に一緒にある為、いつでもどこでもその利便性を提供できるようになった。しかしこの場合、通常除埃器の移動は筐体(3)の中へ掃除機(6)を収納した状態で行うが、2つの器具が合体した重さとなるため重量が重くなり、除埃器の移動が困難になった。
【0007】
また静電気クリーナーが吸着した埃・ゴミなどを振り落とす為に静電気クリーナーを筐体内部において振り動かすが、その時に発生する静電気の筐体での蓄積が、場合によっては人体及び周辺電気・電子機器へ影響を及ぼす事が懸念される。本発明はこのように除埃器を実際に使用する時に発生する問題を解決するために成されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
静電気クリーナーを入れるための開口部(1)を持った蓋(2)と本体である筐体(3)と、前記筐体の下部に取り付けられ、通風路(4)などによって筐体と空間的に繋がる開口した掃除機用吸い込み口(5)を上面に持った、掃除機(6)の吸い込み具(7)を設置でき、掃除機(6)のスタンドとしても使える台(8)より構成される静電気クリーナー用除埃器において、筐体下部に2個の対になったキャスター(11)を取り付け、さらに2個のキャスター(11)を結ぶ線に対して平行な筐体の側面でキャスター(11)に近い方の側面に伸縮可能なハンドル(12)を取り付ける。筐体を傾ける事によって、キャスター(11)の車輪が床面と接触する事になり、筐体を容易に移動させる事ができる。
【0009】
筐体の中で静電気クリーナーを振り動かすと、静電気クリーナーに静電気が発生してホコリ等の吸着能力を再生できるが、同時に筐体が電気的に絶縁である樹脂製だった場合には、筐体にも静電気が溜まる。そのような筐体に溜まった静電気で使用者が不快感を感じたり、周囲の電気・電子機器に影響を与えたりする事を防ぐ為に、筐体の問題となる部分に金属などの導電性材料を使ったり、または薄い導電性材料を貼って導電性を付与したり、或いは静電気除去機能のある導電性繊維などの導電性シート(15)を貼って筐体に溜まった静電気を空気中に放電する事により、静電気による障害を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明により掃除機を内部に収納する事で重くなった除埃器でも容易に移動できるようになり、更に使用時に除埃器内部で発生した静電気が人体及び周辺電機・電子機器へ影響しないようにする事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の外観透視斜視図
【図2】本発明の裏側外観斜視図
【図3】本発明の透視側面図
【図4】本発明の移動時の透視側面図
【図5】本発明の第2の実施形態の外観透視斜視図
【図6】本発明の第2の実施形態の移動時の透視側面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1に本発明における第1の実施形態を示す。まず従来の除埃器本体の構造についてであるが、静電気クリーナーを入れるための開口部(1)を持った蓋(2)と本体である筐体(3)と、前記筐体の下部に取り付けられ、通風路(4)あるいはホース・パイプなどによって筐体と空間的に繋がる開口した掃除機用吸い込み口(5)を上面に持った、掃除機(6)の吸い込み具(7)を設置でき、掃除機(6)のスタンドとしても使える台(8)がある。そして台(8)と接続する筐体下部の接続部分が開口しており、その台移動用開口部(9)を通って台(8)が筐体の内外へ移動することができる。台(8)の移動経路にある筐体の壁の一部を開閉できる開閉扉(10)とすることにより、前記台(8)に掃除機(6)を設置したまま台(8)をスライドして筐体内外へ移動し、筐体の中へ掃除機(6)を収納したり、外に出して除埃器として使用したりすることができる。そして本発明では上記構造を持つ静電気クリーナー用除埃器において、筐体下部に2個のキャスター(11)を取り付け、更にキャスター(11)を取り付けた側面に伸縮可能なハンドル(12)を取り付けることにより、筐体(3)の中へ掃除機(6)を収納した状態でも、キャスター(11)を使って容易に移動が出来るようになる。
【0013】
図2は上記第1の実施形態を裏側から見た外観斜視図である。筐体の台(8)が出入りする側面の相対する側面下部に2個の対になったキャスター(11)を横方向に向けて取り付け、更にキャスター(11)を取り付けた側面に伸縮可能なハンドル(12)を取り付ける。移動する時はハンドル(12)を伸ばし、ハンドル(12)を持って筐体を傾けて移動する。筐体を傾ける事によって、キャスター(11)の車輪が床面と接触する事になり、キャスター(11)を使って容易に移動する事ができる。
【0014】
図3は上記第1の実施形態を横から見た透視側面図である。キャスター(11)の車輪外周部の最下部の位置は、筐体底面全体が接地して安定に置けるようにする為に、筐体の底面と同じ高さか若干上が好ましい。しかし除埃器が安定に置けるのであれば、若干底面より下であっても良いが、その場合は筐体の下に空間ができて除埃器が不安定になるので、除埃器が動かないようにキャスター(11)にストッパーなどを付けても良い。
【0015】
図4は上記第1の実施形態を傾けて移動する時の透視側面図である。除埃器を傾ける事によって、キャスター(11)の車輪外周部の最下部が床面と接触する事になり、キャスター(11)を使って容易に移動する事ができる。この時キャスター(11)が筐体側面から外に出ている程、傾ける角度が少なくても車輪を接地することができる。即ち、キャスター(11)が側面から出ている長さXが大きい程、傾ける角度が少なくても車輪が床等に接することができる。
【0016】
図5は第2の実施形態の外観透視斜視図である。除埃器の筐体の相対する二つの側面下部にキャスター(11)を取り付けても良い。
【0017】
図6は第2の実施形態を傾けて移動する時の透視側面図である。この場合はキャスター(11)の車輪外周部を、キャスター(11)を取り付けた側面に対して垂直な移動方向側(がわ)側面(13)から外に出さなければならない。この時、車輪外周部が移動方向側側面(13)から外に大きく出ている程、傾ける角度が少なくても車輪が接地することができる。即ち、キャスター(11)が移動方向側側面(13)から出ている長さYが大きい程、傾ける角度が少なくても車輪を接地することができる。その為に図6に示すようにキャスター(11)の軸受け部(14)を筐体から外に出しても良い。
【0018】
或いは除埃器の安定性が確保できるのであれば、車輪外周部の最下部を筐体の底面より下に出しても良い。この場合は筐体の下に空間ができて除埃器が不安定になるので、除埃器が動かないようにキャスター(11)にストッパーなどを付けても良い。または上記の組合せでキャスター(11)の車輪外周部を移動方向側側面(13)から外に出し、かつ車輪外周部の最下部が筐体の底面より下になるようにする事により、より少し傾けるだけで車輪が接地し、キャスター(11)を使って除埃器を楽に移動させることができる。
【0019】
キャスター(11)は一軸のキャスターが好ましいが、移動する時に進行方向に向かって車輪が滑らかに回転するのであれば、2軸回転式でも良い。
【0020】
ハンドル(12)は伸縮可能なものとし、それぞれの高さで固定できるようにストッパーを設ける。
【0021】
図1には導電性シート(15)を蓋(2)に貼った様子が示されている。除埃器の構造により静電気が溜まる部位が異なるので、その構造で静電気が溜まり問題となる部分の材料を電気的導電性のある金属などの導電性材料にするか、薄い導電性材料を貼って導電性を付与するか、或いは静電気除去用の導電性繊維などの導電性シート(15)を貼り、筐体に溜まった静電気を空気中に放電し、静電気による被害を防ぐ。
【0022】
筐体の材料は軽量でありながらも強度を持つ樹脂製が良いが、金属製でも良い。
【0023】
本発明は以上のような構造であり、使い方は除埃器としての使用が終り掃除機を筐体の中に収容して移動する時に、ハンドル(12)を伸ばして除埃器を傾け、キャスター(11)の車輪を床等に接して移動する。また静電気除去用の導電性シート(15)等は問題となる場所に貼り付ける。
【0024】
掃除機(6)は除埃器の筐体(3)より取り外して、掃除機単独としても使用できる。
【0025】
なお、本発明は上述の実施の形態の一例に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更は可能である。
【符号の説明】
【0026】
1 開口部
2 蓋
3 筐体
4 通風路
5 掃除機用吸い込み口
6 掃除機
7 吸い込み具
8 台
9 台移動用開口部
10 開閉扉
11 キャスター
12 ハンドル
13 移動方向側側面
14 軸受け部
15 導電性シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電気クリーナーを入れるための開口部(1)を持った蓋(2)と本体である筐体(3)と、前記筐体の下部に取り付けられ、通風路(4)などによって筐体と空間的に繋がる開口した掃除機用吸い込み口(5)を上面に持った、掃除機(6)の吸い込み具(7)を設置でき、掃除機(6)のスタンドとしても使える台(8)より構成される静電気クリーナー用除埃器において、筐体の下部に2個の対になったキャスター(11)と、2個のキャスター(11)を結ぶ線に対して平行な筐体の側面でキャスター(11)に近い方の側面に伸縮可能なハンドル(12)が付いていて、筐体を傾けてキャスターを使って移動できることを特徴とする静電気クリーナー用除埃器。
【請求項2】
筐体に溜まった静電気による周囲への影響を防ぐ為に、筐体の問題となる部分を金属などの導電性材料にするか、または薄い導電性材料を貼って導電性を付与するか、または静電気除去機能のある導電性繊維などの導電性シート(15)を貼って静電気を空気中に放電させることを特徴とする請求項1記載の静電気クリーナー用除埃器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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