説明

静電潜像現像用現像剤、現像剤カートリッジ、プロセスカートリッジ及び画像形成装置

【課題】印画枚数による画像濃度の変動を抑えた静電潜像現像用現像剤を提供すること。
【解決手段】個数平均粒子径が50nm以上500nm以下の外添剤を表面に有するトナーと、核体及び該核体上に形成された被覆層を有するキャリアとを含み、前記被覆層が粒子を含み、前記キャリアの表面に前記粒子に起因する凸部が形成され、前記被覆層の表面からの前記凸部の個数平均高さHが前記粒子の個数平均粒子径Dの1/2以上1未満であり且つ前記外添剤の個数平均粒子径以上である静電潜像現像用現像剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電潜像現像用現像剤、現像剤カートリッジ、プロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真法など静電潜像を経て画像情報を可視化する方法では、トナーを現像剤として用いる。この現像剤としては、トナーとキャリアからなる二成分現像剤と、磁性トナーなどのようにトナー単独で用いられる一成分現像剤とが存在する。
【0003】
上記二成分現像剤としては、例えば、キャリア表面にコート層に含まれる粒子に由来する凹凸を有するキャリアをトナーと共に含む静電荷像現像用現像剤が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。この現像剤によれば、クリーニング性を維持しつつ、低温定着システムに対応し、耐オフセット性が良好で、定着装置および画像が汚染することがない、とされている。
【0004】
また、キャリア核体上に樹脂及び導電性粉末からなる被覆層を有する静電潜像現像剤用キャリアにおいて、該導電性粉末の平均一次粒子径を(B)μm、樹脂コート厚みを(A)μmとしたとき、両者の関係が(A)≦(B)≦(A)+3(μm)を満足する静電潜像現像剤用キャリアが開示されている(例えば、特許文献2参照。)。このキャリアによれば、コートキャリアにおいても所望の帯電性を実現し、簡便に製造でき、長寿命化するとされている。
【0005】
更に、磁性を有する真球状の粒子上に、それを被覆する形態に設けられた外殻層を有するキャリアであり、外殻層が層内に内包される微粒子に基づく凹凸を有し、且つ、最表面がシリコーン樹脂の皮膜で被覆されている静電潜像現像用キャリアが開示されている(例えば、特許文献3参照。)。このキャリアによれば、長期間の使用においても画質変化がなく、更には細線再現性及び小径ドットの均一な再現が可能で、解像性に優れる、とされている。
【0006】
また、芯材となるコアと、前記コア表面に形成された被覆層と、前記被覆層の表面に形成された複数の凸部と、を有するキャリアが開示されている(例えば、特許文献4参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−226506号公報
【特許文献2】特開平09−160304号公報
【特許文献3】特開2002−287431号公報
【特許文献4】特開2006−18129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
即ち、本発明の課題は、印画枚数による画像濃度の変動を抑えた静電潜像現像用現像剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は、以下の手段により解決される。
請求項1に係る発明は、
個数平均粒子径が50nm以上500nm以下の外添剤を表面に有するトナーと、核体及び該核体上に形成された被覆層を有するキャリアとを含み、
前記被覆層が粒子を含み、
前記キャリアの表面に前記粒子に起因する凸部が形成され、前記被覆層の表面からの前記凸部の個数平均高さHが前記粒子の個数平均粒子径Dの1/2以上1未満であり且つ前記外添剤の個数平均粒子径以上である静電潜像現像用現像剤である。
【0010】
請求項2に係る発明は、前記被覆層の表面からの前記凸部の個数平均高さHが、該粒子の個数平均粒子径Dの3/5以上4/5以下である請求項1に記載の静電潜像現像用現像剤である。
請求項3に係る発明は、前記キャリアの断面における被覆層の外周長さに対して、被覆層の外周部と前記粒子とが交わる弧の総長さが30%以上50%以下である請求項1に記載の静電潜像現像用現像剤である。
【0011】
請求項4に係る発明は、前記粒子が、酸化スズ、チタン、及び銅から選択される少なくとも1種を含む請求項1又は請求項2に記載の静電潜像現像用現像剤である。
【0012】
請求項5に係る発明は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の静電潜像現像用現像剤が収容された現像剤カートリッジである。
【0013】
請求項6に係る発明は、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の静電潜像現像用現像剤により、静電潜像保持体表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像装置と、
静電潜像保持体、前記静電潜像保持体表面を帯電する帯電装置、帯電した前記静電潜像保持体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成装置、及び前記静電潜像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写装置からなる群より選ばれる少なくとも一種と、
を備える画像形成装置本体に脱着されるプロセスカートリッジである。
【0014】
請求項7に係る発明は、
静電潜像保持体と、
前記静電潜像保持体を帯電させる帯電装置と、
帯電した前記静電潜像保持体を露光して、該静電潜像保持体上に静電潜像を形成させる静電潜像形成装置と、
前記静電潜像を請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の静電潜像現像用現像剤により現像してトナー像を形成する現像装置と、
前記トナー像を前記静電潜像保持体から記録媒体に転写する転写装置と、
前記記録媒体に転写された転写像を定着する定着装置と、
を有する画像形成装置である。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、個数平均粒子径が50nm以上500nm以下の外添剤を表面に有するトナーを用いたときに、被覆層に粒子が含有されたキャリアを用いず、又はキャリアの被覆層の表面から突出した粒子に起因する凸部の平均高さが、粒子の個数平均粒子径Dの1/2未満若しくは1以上の場合に比べて、印画枚数による画像濃度の変動が抑えられた静電潜像現像用現像剤が提供される。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、キャリアの被覆層の表面からの前記凸部の個数平均高さが、該粒子の個数平均粒子径Dの3/5以上4/5以下にない場合に比べて、印画枚数による画像濃度の変動がより抑えられた静電潜像現像用現像剤が提供される。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、キャリアの断面における被覆層の外周長さに対して、被覆層の外周部と前記粒子とが交わる弧の総長さが30%未満または50%を超える場合に比べて、印画枚数による画像濃度の変動がより抑えられた静電潜像現像用現像剤が提供される。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、キャリアの被覆層に含有される粒子が、カーボンブラ酸化スズ、チタン、銅のいずれも含まない場合に比べて、使用初期における画像濃度の低下が抑えられた静電潜像現像用現像剤が提供される。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、上記特定の静電潜像現像用現像剤を使用しない場合に比べて、印画枚数による画像濃度の変動が抑えられた現像剤カートリッジが提供される。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、上記特定の静電潜像現像用現像剤を使用しない場合に比べて、印画枚数による画像濃度の変動が抑えられたプロセスカートリッジが提供される。
【0021】
請求項7に記載の発明によれば、上記特定の静電潜像現像用現像剤を使用しない場合に比べて、印画枚数による画像濃度の変動が抑えられた画像形成装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施形態に係るキャリア表面の様子を説明する図であり、(A)は画像出力の初期時、(B)は使用経時後の様子である。
【図2】本実施形態に係るキャリアの概略断面図である。
【図3】本実施形態の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図4】本実施形態のプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<静電潜像現像用現像剤>
本実施形態の静電潜像現像用現像剤は、個数平均粒子径が50nm以上500nm以下の外添剤を表面に有するトナーと、核体及び該核体上に形成された被覆層を有するキャリアとを含み、前記被覆層が粒子を含み、前記キャリアの表面に前記粒子に起因する凸部が形成され、前記被覆層の表面からの前記凸部の個数平均高さHが前記粒子の個数平均粒子径Dの1/2以上1未満であり且つ前記外添剤の個数平均粒子径以上である。
【0024】
摩擦帯電性を促進させるため、トナーには50nm以上のいわゆる大径粒子の外添剤を添加することがある。しかし、大径粒子の外添剤はその大きさゆえにトナーから脱離し易く、キャリアと混合した際に脱離した外添剤がキャリア表面に付着し、結果として印画初期においてキャリアの抵抗が上昇して、画像濃度が低下する傾向にある。
【0025】
そこで、本実施の形態の静電潜像現像用現像剤(以下、単に、「現像剤」と称する場合がある。)では、トナーから脱離し易い傾向にある個数平均粒子径が50nm以上500nm以下の外添剤(以下「大径外添剤」と称する場合がある)を表面に有するトナーを用いたときの上記課題の解決を図る。具体的には、キャリアの被覆層に粒子を含有させ、該粒子に起因する凸部をキャリア表面に形成する。そして、被覆層の表面からの前記凸部の個数平均高さHを、該粒子の個数平均粒子径Dの1/2以上1未満とする。なお、被覆層の表面からの前記凸部の個数平均高さHは、前記外添剤の個数平均粒子径以上とする。
【0026】
このキャリアとトナーの様子を図1に示す。図1において、(A)は印画初期のキャリアとトナーの配置の様子を示し、(B)は時間が経過して印画枚数が増加した後(以後、「使用経時」と表現する場合がある。)の様子を示している。
【0027】
図1(A)に示すように、本実施の形態では、キャリアは核体(図示せず)の表面に被覆層11を有し、被覆層11は粒子12を含む。キャリアの表面は、粒子12に起因する凸部が形成されている。このように粒子12は、被覆層11の表面Sから突出した凸部を形成している。この凸部の個数平均高さHは、粒子12の個数平均粒子径Dの1/2以上1未満である。凸部の個数平均高さHが粒子12の個数平均粒子径Dの1/2以上の場合には、被覆層11の表面Sと粒子12の表面とのなす角θが90度以下となって、トナーから脱離した外添剤14がこの部分(粒子12の付け根部分)に捕集される。なお、凸部の個数平均高さHは、外添剤14の個数平均粒子径以上である。また、上記「なす角θ」は、「表面Sと、粒子12を円近似したときの表面Sとの接点における接線と、の角度のうち小さい方」を意味する。
【0028】
つまり、画像の出力初期においては、図1(A)に示されるように、被覆層11の表面Sにおける粒子12の付け根部に、トナーから脱離した大径外添剤が捕集されるため、外添剤14に起因した画像濃度の低下が抑制される。
【0029】
また、現像を繰り返し行って出力枚数が増加したときには、粒子12における個数平均粒子径Dの1/2以上の部分がキャリア表面から突出していることから、被覆層11から粒子12が脱離しやすい形態となっている。このとき図1(B)に示すように、被覆層11から粒子12が脱離した跡には凹部が形成され、この凹部にトナーから脱離した外添剤14が捕捉される。凹部に外添剤14が捕捉されると、外添剤14からの摩擦によってキャリアの被覆層11が剥離することが抑えられて、キャリアの核体が露出して抵抗値が低下することが抑制され、結果として、画像濃度の上昇が抑えられる。
【0030】
以上、本実施の形態に係るキャリアを大径外添剤と組み合わせた現像剤とすることで、使用初期から使用経時に渡って画像濃度の変動が抑えられる。
以降では、本実施の形態の現像剤を構成するトナー及びキャリアについて説明する。
【0031】
〔トナー〕
本実施形態におけるトナーは、個数平均粒子径が50nm以上500nm以下の外添剤を表面に有するものであれば、特に限定されない。
【0032】
−外添剤−
外添剤の個数平均粒子径は、50nm以上500nm以下の範囲であり、75nm以上300nm以下の範囲であることが望ましく、100nm以上300nm以下の範囲であることがより望ましい。
なお、個数平均粒子径が50nm未満の外添剤はトナーから脱離しにくいために、キャリア表面に外添剤が付着したことによって画像濃度が低下するという本実施形態の課題が発生しにくい。よって本実施の形態では、個数平均粒子径が50nm未満のいわゆる小粒径の外添剤を併用しても構わないが、外添剤の少なくとも1種として、上記範囲の個数平均粒子径を有するものを用いる。
【0033】
また、本実施形態における大径外添剤は、トナー質量に対して0.3質量%以上2.0質量%以下の範囲で外添されることが望ましく、0.5質量%以上1.5質量%以下の範囲であることがより望ましく、0.5質量%以上1.2質量%以下の範囲であることが更に望ましい。大径外添剤の添加量が上記範囲内にあると、摩擦帯電が促進されて帯電性に優れる。
【0034】
上述の併用し得る小粒径の外添剤の個数平均粒子径は、10nm以上50nm未満の範囲であることが望ましく、20nm以上50nm未満の範囲であることがより望ましい。小粒径の外添剤を用いることで、トナーの流動性に優れる。
【0035】
小径外添剤は、トナーの質量に対して、0.5質量%以上3.0質量%以下の範囲で使用することが望ましく、0.8質量%以上2.0質量%以下の範囲で使用することがより望ましい。
【0036】
ここで、外添剤の個数平均粒子径は、レーザ回折・散乱式粒度分布測定装置(HORIBA LA−910)を用いて測定する。なお、0.5質量%のアニオン界面活性剤(ニューレックスペーストH、日本油脂社製)水溶液中に0.1質量%のポリリン酸ナトリウムを添加したものの中に、測定する外添剤を添加し、これを1分間超音波で分散させたものを測定試料として用いる。また、現像剤から分析する場合は、後述する粒子12の個数平均粒子径Dの測定と同様の方法により測定する。
【0037】
本実施形態において、外添剤としては、SiO、TiO、Al、CuO、ZnO、SnO、CeO、Fe、MgO、BaO、CaO、KO、NaO、ZrO、CaO・SiO、KO・(TiO、Al・2SiO、CaCO、MgCO、BaSO、MgSO等の無機粒子が挙げられる。これらのうち、トナーの流動性が良好となる点から、シリカ粒子及びチタニア粒子が望ましい。
また、ポリスチレン粒子、ポリメチルメタクリレート粒子、及びポリフッ化ビニリデン粒子等の樹脂粒子、酸化セリウム、ステアリン酸亜鉛等のクリ−ニング助剤又は転写助剤等を使用してもよい。
【0038】
外添剤としての無機粒子の表面は、予め疎水化処理されていることが望ましい。この疎水化処理によりトナーの粉体流動性が改善されるほか、帯電の環境依存性、及び耐キャリア汚染性に対しても有効である。疎水化処理は、疎水化処理剤に無機粒子を浸漬する等により行われる。
疎水化処理剤は特に制限されないが、例えば、シラン系カップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でもシラン系カップリング剤が望ましい。
【0039】
シラン系カップリング剤としては、例えば、クロロシラン、アルコキシシラン、シラザン、特殊シリル化剤のいずれかのタイプが使用され得る。具体的には、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、N,O−(ビストリメチルシリル)アセトアミド、N,N−(トリメチルシリル)ウレア、tert−ブチルジメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシピロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
疎水化処理剤の使用量は、無機粒子の種類等により異なり一概に規定されないが、通常無機粒子100質量部に対して、5質量部以上50質量部以下の範囲が適当である。
【0040】
また、疎水化処理剤による外添剤の疎水化度は、40%以上100%以下が好ましく、50%以上90%以下がより好ましく、60%以上90%以下が更に好ましい。
本実施形態における疎水化度は、水50ccに粒子を0.2g加え、スターラーで攪拌後、メタノールで滴定し、粒子が全て溶媒に懸濁したときのメタノール滴定量をTccとしたときに、以下の式で表される疎水化度(M)と定義する。
疎水化度(M)=[T/(50+T)]×100(vol.%)
【0041】
本実施形態におけるトナーは、結着樹脂及び着色剤を含み、必要に応じて、離型剤やその他の成分を含有するトナー粒子に、前述の外添剤が外添されてなる。
以下、トナー粒子の成分について詳細に説明する。
【0042】
−結着樹脂−
トナー粒子に用いられる結着樹脂としては、公知のものが使用され、優れた低温定着性が得られる点から、結晶性樹脂を用いたり、結晶性樹脂と非結晶性樹脂とを併用したりしてもよい。
【0043】
結着樹脂としては、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;等の単独重合体及び共重合体が例示される。
【0044】
代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。更に、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等が挙げられる。
これらの中では、特に、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体が望ましい。
【0045】
また、結晶性樹脂の具体例としては、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸等の長鎖アルキルのジカルボン酸類、及び、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、バチルアルコール等の長鎖アルキル、アルケニルのジオール類を用いたポリエステル樹脂;(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸オレイル、(メタ)アクリル酸ベヘニル等の長鎖アルキル、アルケニルの(メタ)アクリル酸エステルを用いたビニル系樹脂;等が挙げられ、定着時の紙などの記録媒体への接着性や帯電性、所望の範囲に融点の調整が容易であるなどの観点からポリエステル樹脂系の結晶性樹脂が望ましい。
【0046】
−着色剤−
トナー粒子を構成する着色剤としては、特に制限はなく、染料及び顔料のどちらでもかまわないが、耐光性や耐水性の観点から顔料が望ましい。
顔料としては、カーボンブラック、アニリンブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロライド、フタロシアンブルー、マラカイトグリーンオキサート、ランプブラック、ローズベンガル、キナクリドン、ベンジジンイエロー、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド185、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・イエロー180、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー74、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等の公知の顔料が使用される。
【0047】
また、着色剤として磁性粉を用いてもよい。磁性粉としては、コバルト、鉄、ニッケルなどの強磁性金属、コバルト、鉄、ニッケル、アルミニウム、鉛、マグネシウム、亜鉛、マンガンなどの金属の合金や酸化物などの公知の磁性体が使用される。
【0048】
以上の着色剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお、着色剤の種類を適宜選択することにより、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナー等の各色トナーが得られる。
【0049】
本実施形態におけるトナー中に含まれる着色剤の含有量としては、トナー粒子100質量部に対して、0.1質量部以上40質量部以下が望ましく、1質量部以上30質量部以下が更に望ましい。
【0050】
−その他の内添成分−
本実施形態におけるトナーには、必要に応じて、離型剤や帯電制御剤などのその他の成分が内添されてもよい。
離型剤は、一般に離型性を向上させる目的で使用される。離型剤の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;融解温度を有するシリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物・石油系ワックス;脂肪酸エステル、モンタン酸エステル、カルボン酸エステル等のエステル系ワックスなどが挙げられる。これらの離型剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0051】
離型剤の含有量としては、トナー粒子100質量部に対し、1質量部以上20質量部以下が望ましく、2質量部以上15質量部以下がより望ましい。離型剤の含有量が上記範囲内であると、離型剤の添加の効果が奏され、且つ帯電性の低下が抑えられる。
【0052】
離型剤の融点としては50℃以上120℃以下が好ましく、60℃以上100℃以下がより好ましい。離型剤の融点が上記範囲内にあると、耐ブロッキング性や現像性に優れる。
【0053】
また、トナー(トナー粒子)には、必要に応じて、帯電制御剤が添加されてもよい。帯電制御剤としては、公知のものが使用され、例えばアゾ系金属錯化合物、サリチル酸の金属錯化合物、極性基を含有するレジンタイプの帯電制御剤が適用される。
【0054】
−トナーの製造方法−
トナーの製造には、公知の湿式法や乾式法が利用され、例えば、結着樹脂と、着色剤、及び必要に応じて離型剤、帯電制御剤等を混練、粉砕、分級する混練粉砕法;混練粉砕法にて得られた粒子を機械的衝撃力又は熱エネルギーにて形状を変化させる方法;結着樹脂の重合性単量体を乳化重合させ、形成された分散液と、着色剤を分散させた分散液、及び、必要に応じて利用される離型剤、帯電制御剤等の分散液と、を混合し、凝集、加熱融着させ、トナーを得る乳化重合凝集法;結着樹脂を得るための重合性単量体と、着色剤、及び必要に応じて離型剤、帯電制御剤等の溶液と、を水系溶媒に懸濁させて重合する懸濁重合法;結着樹脂と、着色剤、及び必要に応じて離型剤、帯電制御剤等の溶液と、を水系溶媒に懸濁させて造粒する溶解懸濁法;等が使用される。
また、上記方法で得られたトナーをコア粒子にして、更に樹脂粒子を付着させた後、加熱融合してコアシェル構造を有するトナーを製造してもよい。
【0055】
続いて、このようにして得られたトナー粒子に、個数平均粒子径が50nm以上500nm以下の外添剤(大径外添剤)、必要に応じて小径外添剤を添加し、混合することにより、本実施形態におけるトナーを得る。
トナー粒子と外添剤との混合は、公知の方法、例えば、Vブレンダーやヘンシュルミキサー、レディーゲミキサーミキサーなどによって行う。
更に、必要に応じて、振動篩分機、風力篩分機などを使って、得られたトナー中の粗大粒子を取り除いてもよい。
【0056】
−トナーの粒径−
上記のようにして得られたトナーの体積平均粒子径は2μm以上8μm以下の範囲であることが望ましく、更に4μm以上7μm以下の範囲であることがより望ましい。トナーの粒径が上記範囲内にあると、帯電性及び流動性に優れる。
【0057】
また、粒度分布の指標である体積平均粒度分布指標(GSDv)の値としては、1.6以下が好ましく、1.5以下が更に好ましい。粒度分布が上記範囲内にあると、逆極性トナーや低帯電トナーの発生が抑えられる。
【0058】
トナーの体積平均粒子径(累積体積平均粒子径D50v)、個数平均粒子径(累積数平均粒子径D50P)や各種の粒度分布指標は、コールターマルチサイザーII(ベックマン−コールター社製)を用い、電解液はISOTON−II(ベックマンーコールター社製)を使用して測定される。
測定に際しては、分散剤として、界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムが望ましい)の5質量%水溶液2ml中に測定試料を0.5mg以上50mg以下の範囲で加える。これを100ml以上150ml以下の電解液中に添加する。
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1分間分散処理を行い、コールターマルチサイザーIIにより、アパーチャー径として100μmのアパーチャーを用いて2μm以上60μm以下の範囲の粒径の粒子の粒度分布を測定する。なお、サンプリングする粒子数は50000個である。
【0059】
このようにして測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積16%となる粒子径を累積体積平均粒子径D16v、累積数平均粒子径D16P、累積50%となる粒子径を累積体積平均粒子径D50v、累積数平均粒子径D50P、累積84%となる粒子径を累積体積平均粒子径D84v、累積数平均粒子径D84Pと定義する。
これらを用いて、体積平均粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16V1/2、数平均粒度分布指標(GSDp)は(D84P/D16P1/2として算出される。
【0060】
〔キャリア〕
次に、図2を参照しながら本実施の形態に係るキャリアについて説明する。
本実施の形態に係るキャリアは、核体16と、核体16を被覆する被覆層11とを有する。被覆層11は粒子12を含有し、該粒子12に起因する凸部がキャリア表面に形成されている。そして、被覆層11の表面からの前記凸部の個数平均高さHが、粒子12の個数平均粒子径Dの1/2以上1未満であり、且つ該凸部の個数平均高さHは前記トナーの外添剤14の個数平均粒子径以上である。
【0061】
画像出力の初期においては、粒子12の被覆層11への接地部(付け根部分)でトナーの外添剤14を捕捉し、出力枚数が増加したときの使用経時においては、粒子12が脱離した跡の凹部に外添剤14が捕捉される。
【0062】
上記作用を奏する観点から、被覆層11の表面からの凸部の個数平均高さHは、粒子12の個数平均粒子径Dの1/2以上1未満であり、1/2以上4/5以下であることが望ましく、3/5以上4/5以下であることが望ましい。
【0063】
なお、粒子12の被覆層11への接地部(付け根部分)においてトナーの外添剤が捕捉されるために、被覆層11の表面からの凸部の個数平均高さHは、外添剤14の個数平均粒子径以上とする。望ましくは、前記個数平均高さHは、外添剤14の個数平均粒子径の2倍以上であり、4倍以上であることがより望ましい。
【0064】
被覆層11の表面からの凸部の個数平均高さHは、以下の方法によって測定される。
2液式接着剤クイック30(コニシ株式会社製)の混合液70重量部に、キャリア30重量部を加えて混合し、25℃環境下で48時間静置して硬化させる。硬化物を剃刀で形を整えた後、ダイヤモンドナイフSK2035(住友電気工業株式会社製)を取り付けたウルトラミクロトーム装置(LEICA社製、URUTRACUT UCT)により切削する(面出し)。更に光学顕微鏡で切断面の平滑性を確認しながら、平滑な切断面が形成されるまで切削を実施して試料片を作製する。
得られた試料片を走査型電子顕微鏡にて観察することで、試料片の断面画像を得る。得られた画像を画像解析ソフトとしてWinROOF(三谷商事(株)製)により解析することから、被覆層11から突出している粒子12の個数平均高さHを算出する。
凸部の個数平均高さHの平均値は、キャリア1個に対して測定箇所5個測定し、且つ、無作為に選択したキャリア50個の算術平均とする。
【0065】
凸部の個数平均高さHは、粒子12の個数平均粒子径Dと被覆層11の厚さとの差に相関する。よって、凸部の個数平均高さHは、粒子12の個数積平均粒子径Dと被覆層11の厚さにより調整される。また、被覆層を形成するための樹脂を含む塗布液を、浮遊させた核体の表面に噴霧するスプレー法を用い、まず樹脂のみを溶解させた溶液を噴霧し、その後樹脂及び粒子12を溶解させた溶液を噴霧することによっても凸部の個数平均高さHは調節される。
【0066】
粒子12の個数平均粒子径は、0.5μm以上5μm以下であることが望ましく、0.5μm以上4μm以下であることがより望ましく、0.6μm以上3μm以下であることが更に望ましい。
粒子12の個数平均粒子径が上記範囲にあると、凸部の個数平均高さHが外添剤14を捕捉するのに充分な高さとなり、かつ経時使用によりキャリアから粒子12が脱離したときに形成される凹部の大きさが、適度な量の外添剤を捕集するものとなり、結果として経時使用による画像変動が抑えられる。
【0067】
粒子12の個数平均粒子径Dは、前述した凸部の個数平均高さHの測定方法と同様の方法により作製した試料片を、同様の方法により画像解析を行って算出する。なお、粒子12の平均粒子径Dの平均値は、無作為に選択したキャリア50個の算術平均とする。
【0068】
キャリア表面における凸部の占有率は、下記範囲であることが望ましい。つまり、キャリアの断面における被覆層11の外周長さLに対して、被覆層の外周部と粒子12とが交わる弧L(nはキャリア断面における粒子12の個数を示す。)の総長さ(L+L+・・・+Ln−1+L)が20%以上70%以下であることが望ましく、30%以上70%以下であることがより望ましく、30%以上60%以下であることが更に望ましく、30%以上50%以下であることが更に望ましい。
【0069】
凸部の占有率が上記範囲内にあると、使用初期では凸部の付け根において外添剤14が充分に捕捉され、かつ経時使用によりキャリアから粒子12が脱離して凹部が適切な量で形成されることで適度な量の外添剤の捕集が行われ、結果として使用初期から使用経時まで画像変動が抑えられる。
【0070】
なお、被覆層11の外周長さLとは、キャリアの被覆層の表面において粒子12が存在しないとしたときの外周の長さをいう。
【0071】
キャリアの断面における被覆層11の外周長さL、及び被覆層の外周部と粒子12とが交わる弧Lnの総長さは、以下の方法によって測定される。
まず、前述した凸部の個数平均高さHの測定方法と同様の方法により得られた断面画像を用いて、弧Lnの総長さを算出する。被覆層11の断面中の凹部が存在する箇所は、凹部の外側の両端を直線で置き換えた長さとして算出する。上記値は、無作為に選択したキャリア100個の算術平均とする。
以下では、キャリアを構成する材料について説明する。
【0072】
−核体−
キャリアの核体16の材質について特に制限はなく、磁性粉を単独で芯材に用いるもの、あるいは磁性粉を微粒子化し、樹脂中に分散させたものが挙げられる。
当該磁性粉の材料としては、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、これらとマンガン、クロム、希土類元素との合金(例えば、ニッケル-鉄合金、コバルト-鉄合金、アルミニウム-鉄合金等)、及びフェライト、マグネタイト等の磁性酸化物等が挙げられる。これらの中でも、特性が安定しており、かつ毒性が少ない点で有利であるマグネタイトが好ましい。
【0073】
磁性粉を微粒子化し、樹脂中に分散する方法としては、樹脂と磁性粉とを混練し粉砕する方法、樹脂と磁性粉とを溶融しスプレードライする方法、重合製法を用い溶液中で磁性粉含有樹脂を重合させる方法等が挙げられる。前記キャリアは、微粒子の磁性粉をキャリア全質量に対して80質量%以上含有することが、キャリア飛散を生じにくくする点で好ましい。
【0074】
核体16の体積平均粒子径は、一般的には10μm以上100μm以下であり、25μm以上80μm以下が望ましい。核体16の体積平均粒子径の測定は、後述するキャリアの体積平均粒子径の測定と同様にして行われる。なおキャリアから体積平均粒子径を測定する場合には、被覆層を除去してから測定を行う。
【0075】
キャリアの核体としては、体積電気抵抗値が1×107Ωcm以上であるものが望ましい。体積電気抵抗の測定方法は後述する。
【0076】
さらに、低ストレス性を目的として、重合製法による球形の核体を用いてもよい。重合核体の真比重は3.0g/cm3以上5.0g/cm3以下が好ましく、飽和磁化は40emu/g以上が好ましい。
【0077】
キャリアの核体16の球形度は特に限定されない。しかしながら、本実施の形態の課題である外添剤のキャリアへの付着による画像濃度の低下は、トナーから大径外添剤が遊離してキャリア表面に移行することにより発生するため、球形度の高いキャリアにおいて起こり易い。そのため本実施の形態としたときの効果が効果的に現れるのは、球形度の高いキャリアである。よって、本実施形態の効果が効果的に奏されるのは、球形度が0.95以上の核体を用いた場合であり、より効果的なのは球形度が0.97以上の核体を用いた場合である。
【0078】
本実施形態において、キャリアの球形度とは、下記の方法で測定した平均円形度をいう。
キャリア0.2gをエチレングリコール25質量%水溶液に分散させ、これを測定試料として用いる。測定装置としてFPIA3000(シスメックス社製)を用い、LPF測定モードにて測定し、粒径が10μm未満,及び50μmを超える粒子をカットして解析し、100個の粒子を測定し、平均円形度を求める。ここで、個々の円形度は下記式(1)に基づいて求める。
【0079】
式(1): 円形度=円相当径周囲長/周囲長=[2×(A×π)1/2]/PM
【0080】
上記式(1)において、Aはキャリア粒子の投影面積、PMはキャリア粒子の周囲長を表す。
【0081】
なお、測定はHPFモード(高分解能モード)、希釈倍率10倍で行う。また、データの解析に当たっては、測定ノイズ除去の目的で、個数粒径解析範囲を3μmから80μmの範囲、円形度解析範囲を0.850から1.000の範囲で実施する。
【0082】
−被覆層−
本実施の形態に係るキャリアは、前述の核体16を被覆する被覆層11を有する。
この被覆層11は、キャリア用の被覆層の材料として用いられているものであれば公知の樹脂が利用され、二種類以上の樹脂をブレンドして用いてもよい。
被覆層を構成する樹脂としては大別すると、トナーに帯電性を付与するための樹脂(帯電付与樹脂)と、トナー成分のキャリアへの移行を防止するために用いられる表面エネルギーの低い樹脂とが挙げられる。
【0083】
ここで、トナーに負帯電性を付与するための帯電付与樹脂としては、アミノ系樹脂、例えば、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、ポリアミド樹脂、及びエポキシ樹脂等が挙げられ、更にポリビニル及びポリビニリデン系樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、スチレンアクリル共重合樹脂等のポリスチレン系樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エチルセルロース樹脂等のセルロース系樹脂等が挙げられる。
また、トナーに正帯電性を付与するための帯電付与樹脂としては、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル等のハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等が挙げられる。
【0084】
トナー成分のキャリアへの移行を防止するために用いられる表面エネルギーの低い樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリ弗化ビニル樹脂、ポリ弗化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、弗化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、弗化ビニリデンと弗化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンと弗化ビニリデンと非弗化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、及びシリコーン樹脂等が挙げられる。
【0085】
上記表面エネルギーの低い樹脂の中でも、シリコーン樹脂が好ましく、ポリメチルシロキサンであることが好ましい。
被覆層11にポリメチルシロキサンを使用することで、攪拌等により発生するキャリア内の応力によるキャリア表面の歪に対し、剥がれにくくなるだけでなく、高い耐磨耗性を有し、低い表面エネルギーで有ることによるトナーや外添剤による影響を受け難い表面が得られる。
【0086】
被覆層11の平均膜厚は、0.1μm以上5μm以下であることが望ましく、0.25μm以上3.0μm以下であることがより望ましく、0.25μm以上2.0μm以下であることが更に望ましい。
被覆層11の平均膜厚が上記範囲にあると、後述の粒子12が脱離した跡の凹部が形成されて、外添剤14の補足が充分に行われ、また被覆層11の膜厚の均一化や剥離の防止の観点で優れる。
【0087】
被覆層11の平均膜厚は、前述した凸部の個数平均高さHの測定方法と同様の方法により得られた断面画像を用いて、無造作に選択したキャリア50個測定したときの平均値を算出して求める。
【0088】
−粒子−
本実施の形態に係るキャリアは、被覆層11に粒子12を含有する。粒子12は外添剤の粒子径と上記関係を満たすものであれば、材質や形状などについては特に限定されない。
【0089】
粒子12の材質としては半導電性の粒子あるいは導電性の粒子が好ましい。尚、「半導電性」とは体積抵抗率で10Ωcm以上1013Ωcm以下を意味し、「導電性」とは体積抵抗率で10Ωcm未満の範囲を意味する。
具体的には、金属粉、酸化スズ、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛、硫酸バリウム、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、等が挙げられ、酸化スズ、チタン、及び銅から選ばれる少なくとも1種の粒子が、経時での画像濃度変動を抑制する観点から望ましい。
【0090】
粒子12に用いる熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン;ポリビニル及びポリビニリデン系樹脂、例えば、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル及びポリビニルケトン;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;スチレン−アクリル酸共重合体;オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコン樹脂又はその変性品;フッ素樹脂、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン;ポリエステル;ポリカーボネート等が挙げられる。
【0091】
粒子12に用いる熱硬化性樹脂の例としては、フェノール樹脂;アミノ樹脂、例えば尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂;エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0092】
被覆層11における粒子12の含有量は、上述のキャリア表面における凸部の占有率、つまりキャリアの断面における被覆層11の外周長さLに対して、被覆層の外周部と粒子12とが交わる弧Lnの総長さ、が20%以上70%以下となるように調整することが望ましい。具体的には、被覆層11中の粒子の含有率は、30質量%以上60質量%以下であることが望ましく、3質量%以上20質量%以下であることがより望ましい。
【0093】
なお、被覆層11に含有される粒子12によって形成された凸部の個数平均高さHは、粒子12の個数平均粒子径Dの1/2以上1未満となっているため、粒子12は、使用初期においては被覆層11に自身の一部が埋め込まれて存在し、使用経時においては被覆層11から脱離しやすいように設計されている。
このような構造を有するキャリア表面であれば、上記作用により使用初期から使用経時に渡って画像濃度の変動が抑えられるため、被覆層11を形成する樹脂の種類や粒子12の材質などは特に問わない。
【0094】
また、使用経時において粒子12が被覆層11から脱離するよう、被覆層11の形成後に後処理工程を施したり、粒子12に表面処理を施したりすることも有効である。
【0095】
−キャリアの製造方法−
キャリアの核体16上に被覆層11を形成する方法は特に限定されず、従来公知の方法が利用され、下記方法が望ましい。
即ち、被覆層形成用溶液(溶剤中に被覆層を形成する樹脂および粒子12を含有し、その他に必要に応じて帯電制御剤等を含む溶液)を調製し、この被覆層形成用溶液中に核体を浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液を核体16の表面に噴霧するスプレー法、核体16を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中で核体16と被覆層形成用溶液とを混合し、次いで、溶剤を除去するニーダーコーター法等が挙げられる。しかしながら、溶液を用いたものに限定されない。例えば、キャリアの核体16の種類によっては、核体16と樹脂粉末とを共に加熱混合するパウダーコート法などを採用してもよい。更に、被覆層を形成した後に、電気炉やキルンなどのような装置により加熱処理してもよい。
【0096】
また、被覆層11を形成するための被覆層形成用溶液に使用する溶剤としては、樹脂を溶解するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化物などが使用される。
【0097】
−キャリアの物性−
上記のようにして得られるキャリアは、1kOe時の磁力が170emu/cm以上250emu/cm以下の範囲であることが望ましく、185emu/cm以上235emu/cm以下の範囲であることがより望ましい。
ここで、キャリアの磁力は、振動試料型磁力計BHV−525(理研電子(株)製)を用い、VSM用常温サンプルケース粉末用(H−2902−151)に一定量サンプルを採り、正秤した後に1kOeの磁場中にて測定した値である。
【0098】
また、キャリアの体積平均粒子径は、25μm以上100μm以下の範囲であることが望ましく、25μm以上80μm以下の範囲であることがより望ましく、25μm以上60μm以下の範囲であることが更に望ましい。
キャリアの体積平均粒子径が上記範囲内にあると、現像剤保持体への磁気的拘束力が発揮されて、感光体へのキャリアの付着が抑えられ、また細線再現性に優れる。
【0099】
キャリアの体積平均粒子径は、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(LS Particle Size Analyzer:LS13 320、BECKMAN COULTER社製)を用いて測定された値をいう。得られた粒度分布を分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、小粒径側から体積累積分布を引いて、全核体に対して累積50%となる粒径を体積平均粒子径D50vとする。
【0100】
本実施形態におけるキャリアの密度は、2.0g/cm以上5.0g/cm以下であることが望ましく、2.5g/cm以上4.5g/cm以下であることがより望ましく、3.0g/cm以上4.0g/cm以下であることが更に望ましい。キャリアの密度が上記範囲内にあると、帯電付与能力及び流動性に優れる。
ここで、キャリアの密度の測定方法は、「物理化学実験法(東京化学同人社、第3版)」の密度の項に記載の方法に準じて測定する。測定には、電気抵抗が17MΩ以上の水を用い、測定温度は25℃で行う。
【0101】
本実施形態におけるキャリアの体積電気抵抗は、1×10Ωcm以上1×1016Ωcm以下の範囲に制御されることが望ましく、1×10Ωcm以上1×1014Ωcm以下の範囲であることがより望ましく、1×10Ωcm以上1×1013Ωcm以下の範囲であることが更に望ましい。
キャリアの体積電気抵抗が上記範囲内にあると、現像時に現像電極として機能してソリッド再現性に優れ、現像剤中のトナー濃度が低下した時に現像ロールからキャリアへ電荷が注入し、キャリア自体が現像されることが抑制される。
【0102】
上記キャリアの体積電気抵抗(Ωcm)は以下のように測定する。なお、測定環境は、温度20℃、湿度50%RHとする。
20cmの電極板を配した円形の治具の表面に、測定対象となるキャリアを1mmから3mm程度の厚さになるように平坦に載せ、キャリア層を形成する。この上に前記同様の20cmの電極板を載せキャリア層を挟み込む。キャリア間の空隙をなくすため、キャリア層上に載せた電極板の上に4kgの荷重をかけてからキャリア層の厚み(cm)を測定する。キャリア層上下の両電極には、エレクトロメーター及び高圧電源発生装置に接続されている。両電極に電界が103.8V/cmとなるように高電圧を印加し、このとき流れた電流値(A)を読み取ることにより、キャリアの体積電気抵抗(Ω・cm)を計算する。キャリアの体積電気抵抗(Ω・cm)の計算式は、下記式(2)に示す通りである。
式(2): R=E×20/(I−I)/L
【0103】
上記式(2)中、Rはキャリアの体積電気抵抗(Ω・cm)、Eは印加電圧(V)、Iは電流値(A)、Iは印加電圧0Vにおける電流値(A)、Lはキャリア層の厚み(cm)をそれぞれ表す。また、20の係数は、電極板の面積(cm)を表す。
【0104】
〔静電荷像現像用現像剤〕
本実施の形態の静電荷像現像用現像剤は、上記トナーと上記キャリアとを含有する。本実施形態に係る現像剤は、本実施形態に係るキャリアおよびトナーを適当な配合割合で混合することにより調製される。キャリアの含有量((キャリア)/(キャリア+トナー)×100)としては、85質量%以上99質量%以下の範囲が望ましく、より望ましくは87質量%以上98質量%の範囲、さらに望ましくは89質量%以上97質量%以下の範囲である。
【0105】
<現像剤カートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置>
本実施形態の画像形成装置は、静電潜像保持体と、前記静電潜像保持体を帯電させる帯電装置と、帯電した前記静電潜像保持体を露光して、該静電潜像保持体上に静電潜像を形成させる静電潜像形成装置と、既述の本実施形態の静電潜像現像用現像剤により現像してトナー像を形成する現像装置と、前記トナー像を前記静電潜像保持体から記録媒体に転写する転写装置と、前記記録媒体に転写された転写像を定着する定着装置とを有する。
【0106】
また、本実施形態の画像形成装置において、例えば現像装置を含む部分が、画像形成装置本体に対して脱着可能なカートリッジ構造(現像剤カートリッジ、プロセスカートリッジ)であってもよい。
【0107】
カートリッジ構造としては、画像形成装置に対して脱着可能であり、前記静電荷像現像用現像剤を収納する現像剤カートリッジが挙げられる。また、画像形成装置に対して脱着可能であり、少なくとも前述の静電潜像現像用現像剤により静電潜像保持体表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像装置を有し、更に、静電潜像保持体、前記静電潜像保持体表面を帯電する帯電装置、帯電した前記静電潜像保持体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成装置、及び前記静電潜像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写装置からなる群より選ばれる少なくとも一種と、を備えるプロセスカートリッジが挙げられる。
【0108】
以下、本実施形態の画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
【0109】
図3は、4連タンデム方式のフルカラー画像形成装置を示す概略構成図である。図3に示す画像形成装置は、色分解された画像データに基づくイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を出力する電子写真方式の第1乃至第4の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10K(画像形成装置)を備えている。これらの画像形成ユニット(以下、単に「ユニット」と称する)10Y、10M、10C、10Kは、水平方向に互いに所定距離離間して並設されている。なお、これらユニット10Y、10M、10C、10Kは、画像形成装置本体に対して脱着可能なプロセスカートリッジであってもよい。
【0110】
各ユニット10Y、10M、10C、10Kの図面における上方には、各ユニットを通して中間転写体としての中間転写ベルト20が配置されている。中間転写ベルト20は、図における左から右方向に互いに離間して配置された駆動ローラ22および中間転写ベルト20内面に接する支持ローラ24に巻回されて設けられ、第1ユニット10Yから第4ユニット10Kに向う方向に走行されるようになっている。尚、支持ローラ24は、図示しないバネ等により駆動ローラ22から離れる方向に力が加えられており、両者に巻回された中間転写ベルト20に所定の張力が与えられている。また、中間転写ベルト20の静電潜像保持体側面には、駆動ローラ22と対向して中間転写体クリーニング装置30が備えられている。
また、各ユニット10Y、10M、10C、10Kの現像装置4Y、4M、4C、4Kのそれぞれには、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kに収容されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーが供給可能である。
【0111】
上述した第1乃至第4ユニット10Y、10M、10C、10Kは、同等の構成を有しているため、ここでは中間転写ベルト走行方向の上流側に配置されたイエロー画像を形成する第1ユニット10Yについて代表して説明する。尚、第1ユニット10Yと同等の部分に、イエロー(Y)の代わりに、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を付した参照符号を付すことにより、第2乃至第4ユニット10M、10C、10Kの説明を省略する。
【0112】
第1ユニット10Yは、静電潜像保持体として作用する感光体1Yを有している。感光体1Yの周囲には、感光体1Yの表面を所定の電位に帯電させる帯電ローラ(帯電装置)2Y、帯電された表面を色分解された画像信号に基づくレーザ光線3Yよって露光して静電潜像を形成する露光装置(静電潜像形成装置)3、静電潜像に現像剤を供給して現像像を形成する現像装置(現像像形成装置)4Y、現像した現像像を中間転写ベルト20上に転写する1次転写ローラ5Y(1次転写装置)、および1次転写後に感光体1Yの表面に残存するトナーを除去するクリーニングブレードを備えた感光体クリーニング装置6Yが順に配設されている。
尚、1次転写ローラ5Yは、中間転写ベルト20の内側に配置され、感光体1Yに対向した位置に設けられている。更に、各1次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kには、1次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部による制御によって、各1次転写ローラに印加する転写バイアスを可変する。
【0113】
以下、第1ユニット10Yにおいてイエロー画像を形成する動作について説明する。まず、動作に先立って、帯電ローラ2Yによって感光体1Yの表面が−600Vから−800V程度の電位に帯電される。
感光体1Yは、導電性(20℃における体積抵抗率:1×10−6Ωcm以下)の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、通常は高抵抗(一般の樹脂程度の抵抗)であるが、レーザ光線3Yが照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体1Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置3を介してレーザ光線3Yを出力する。レーザ光線3Yは、感光体1Yの表面の感光層に照射され、それにより、イエロー印字パターンの静電荷像が感光体1Yの表面に形成される。
【0114】
静電潜像とは、帯電によって感光体1Yの表面に形成される像であり、レーザ光線3Yによって、感光層の被照射部分の比抵抗が低下し、感光体1Yの表面の帯電した電荷が流れ、一方、レーザ光線3Yが照射されなかった部分の電荷が残留することによって形成される、いわゆるネガ潜像である。
このようにして感光体1Y上に形成された静電潜像は、感光体1Yの走行に従って所定の現像位置まで回転される。そして、この現像位置で、感光体1Y上の静電潜像が、現像装置4Yによって可視像(現像像)化される。
【0115】
現像装置4Y内には、例えば、少なくともイエロー着色剤と結晶性樹脂及び非結晶性樹脂とを含む体積平均粒子径が7μmのイエロートナーが収容されている。イエロートナーは、現像装置4Yの内部で攪拌されることで摩擦帯電し、感光体1Y上に帯電した帯電荷と同極性(負極性)の電荷を有して現像剤ロール(現像剤保持体)上に保持されている。そして感光体1Yの表面が現像装置4Yを通過していくことにより、感光体1Y表面上の除電された潜像部にイエロートナーが静電的に付着し、潜像がイエロートナーによって現像される。イエローの現像像が形成された感光体1Yは、引続き所定速度で走行され、感光体1Y上に現像された現像像が所定の1次転写位置へ搬送される。
【0116】
感光体1Y上のイエローの現像像が1次転写へ搬送されると、1次転写ローラ5Yに所定の1次転写バイアスが印加され、感光体1Yから1次転写ローラ5Yに向う静電気力が現像像に作用され、感光体1Y上の現像像が中間転写ベルト20上に転写される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と逆極性の(+)極性であり、例えば第1ユニット10Yでは制御部に(図示せず)よって+10μA程度に制御されている。
一方、感光体1Y上に残留したトナーはクリーニング装置6Yで除去されて回収される。
【0117】
また、第2ユニット10M以降の1次転写ローラ5M、5C、5Kに印加される1次転写バイアスも、第1ユニットに準じて制御されている。
こうして、第1ユニット10Yにてイエローの現像像の転写された中間転写ベルト20は、第2乃至第4ユニット10M、10C、10Kを通して順次搬送され、各色の現像像が重ねられて多重転写される。
【0118】
第1乃至第4ユニットを通して4色の現像像が多重転写された中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20と中間転写ベルト20内面に接する支持ローラ24と中間転写ベルト20の像保持面側に配置された2次転写ローラ(2次転写装置)26とから構成された2次転写部へと至る。一方、記録紙(記録媒体)Pが供給機構を介して2次転写ローラ26と中間転写ベルト20とが圧接されている隙間に所定のタイミングで給紙され、所定の2次転写バイアスが支持ローラ24に印加される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と同極性の(−)極性であり、中間転写ベルト20から記録紙Pに向う静電気力が現像像に作用され、中間転写ベルト20上の現像像が記録紙P上に転写される。尚、この際の2次転写バイアスは2次転写部の抵抗を検出する抵抗検出装置(図示せず)により検出された抵抗に応じて決定されるものであり、電圧制御されている。
【0119】
この後、記録紙Pは定着装置28へと送り込まれ現像像が加熱され、色重ねした現像像が溶融されて、記録紙P上へ定着される。カラー画像の定着が完了した記録紙Pは、排出部へ向けて搬出され、一連のカラー画像形成動作が終了される。
なお、上記例示した画像形成装置は、中間転写ベルト20を介して現像像を記録紙Pに転写する構成となっているが、この構成に限定されるものではなく、感光体から直接現像像が記録紙に転写される構造であってもよい。
【0120】
図4は、本実施形態の静電荷像現像剤を収容するプロセスカートリッジの好適な一例を示す概略構成図である。プロセスカートリッジ200は、感光体(静電潜像保持体)107とともに、帯電ローラ(帯電装置)108、現像装置(現像像形成装置)111、クリーニングブレードを備えた感光体クリーニング装置113、露光のための開口部118、及び、除電露光のための開口部117を取り付けレール116を用いて組み合わせ、そして一体化したものである。
そして、このプロセスカートリッジ200は、転写装置112と、定着装置115と、図示しない他の構成部分とから構成される画像形成装置本体に対して着脱自在としたものであり、画像形成装置本体とともに画像形成装置を構成するものである。なお、300は記録紙(記録媒体)である。
【0121】
図4で示すプロセスカートリッジでは、帯電装置108、現像装置111、クリーニング装置113、露光のための開口部118、及び、除電露光のための開口部117を備えているが、これら装置は選択的に組み合わせることが可能である。本実施形態のプロセスカートリッジでは、感光体107のほかには、帯電装置108、現像装置111、クリーニング装置113、露光のための開口部118、及び、除電露光のための開口部117から構成される群から選択される少なくとも1種を備える。
【実施例】
【0122】
以下、実施例により本実施形態を説明するが、本実施形態はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0123】
<トナー(1)の作製>
[トナー粒子の製造]
−樹脂粒子分散液の調製−
・スチレン(和光純薬製) ・・・320質量部
・n−ブチルアクリレート(和光純薬製) ・・・80質量部
・βカルボキシエチルアクリレート(ローディア日華製) ・・・9質量部
・1,10−デカンジオールジアクリレート(新中村化学工業製) ・・・1.5質量部
・ドデカンチオール(和光純薬製) ・・・2.7質量部
【0124】
上記の各成分を混合溶解し、これをアニオン性界面活性剤ダウファックス(ダウ・ケミカル日本製)4質量部を含有するイオン交換水550質量部に溶解し、更に攪拌槽中で分散、乳化し10分間ゆっくりと攪拌・混合しながら、過硫酸アンモニウム6質量部を溶解したイオン交換水50質量部を投入した。次いで、系内の窒素置換を十分に行った後、攪拌槽内を攪拌しながら攪拌槽ジャケットを槽内温度が70℃になるまで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続した。
これにより体積平均粒子径240nm、固形分量42.9質量%、オンセットガラス転移点50.6℃、Mw33900、Mn10200の樹脂粒子分散液を得た。
【0125】
−着色剤粒子分散液の調製−
・マゼンタ顔料(C.I.Pigment Red 122) ・・・90質量部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンR) ・・・10質量部
・イオン交換水 ・・・240質量部
【0126】
上記の各成分を攪拌槽で混合し、これを分散圧力245MPaに設定したアルティマイザーHJP−25008(株式会社スギノマシン製)を用いて分散処理し、着色剤粒子分散液を調製した。着色剤分散液における着色剤の平均粒子径は125nmであった。
【0127】
−離型剤分散液の調製−
・パラフィンワックス ・・・30質量部
(PolyWax850、東洋ペトロライト社製)
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンR) ・・・2.5質量部
・イオン交換水 ・・・67.5質量部
【0128】
上記の成分を95℃に加熱して、ホモジナイザーを用いて分散した後、ダイノーミルで分散処理してワックス分散液(離型剤分散液)を得た。分散ワックスの平均粒径は240nmであった。
なお、これらの樹脂粒子分散液、着色剤分散液、離型剤分散液の粒径測定には、マイクロトラック(日機装(株)製、マイクロトラックUPA9340)を用いた。
【0129】
−トナー粒子の作製−
(凝集工程)
・イオン交換水 ・・400質量部
・樹脂粒子分散液 ・・・240質量部
・着色剤分散液 ・・・64質量部
・離型剤分散液 ・・・56質量部
・無機粒子分散液(日産化学社製、スノーテックスOL) ・・・12質量部
・無機粒子分散液(日産化学社製、スノーテックスOS) ・・・10質量部
【0130】
以上の混合成分を攪拌槽中に投入し、ホモジナイザーで十分に混合・分散した後、凝集剤〔浅田化学社製、ポリ塩化アルミニウム〕0.5質量部と、イオン交換水100質量部との混合液を、攪拌槽を攪拌しながら10分間かけて添加し、添加終了後そのまま40℃まで緩やかに加熱して30分間保持した後49℃まで加熱した。49℃で40分保持した後、コールターカウンター(コールター社製マルチサイザーII)で粒径を測定すると体積平均粒子径4.8μmの凝集粒子が生成していることが確認された。更に、加熱用ジャケットの温度を上げて52℃で40分間保持した。
【0131】
(付着工程)
上記のように調製した凝集粒子を含む分散液に、更に、前記樹脂粒子分散液65質量部を緩やかに添加し、更に加熱用ジャケットの温度を上げて53℃で1時間保持した。得られた付着粒子について、体積平均粒子径を測定すると5.7μmであった。
【0132】
(融合工程)
次に、pHが6.0になるように1mol/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加した後、撹拌を継続しながら85℃まで緩やかに加熱し60分間保持した。その後96℃まで加熱し、1mol/リットルの硝酸水溶液をpH5.0になるまで加え、5時間保持した。
その後、得られたトナースラリーを40℃まで冷却し、更にこのスラリーを目開き15μm網で篩分処理した後、フィルタープレス(東京エンジニアリング社製)でろ過した。
【0133】
得られたトナースラリー100質量部に対して、500質量部のイオン交換水(導電率2μS以下)をフィルタープレス装置内のトナーに通過させ、続けて300質量部のイオン交換水に1mol/リットルの硝酸水溶液をPH3.0になるまで加えた酸洗浄水を通過させ、更に400質量部のイオン交換水を通過させ、圧搾、脱水した後、水分率33.2%のトナーケーキを得た。水分率は、湿量基準であり、ザルトリウス製MA30を用い、150℃20分の測定を行った。
このトナーケーキをランデルミルRM−1(徳寿工作所製)にて解砕し、乾燥原料としての湿潤トナーを得て、これを気流式乾燥機として、フラッシュジェットドライヤ(セイシン企業製)を用い、乾燥を実施し、体積平均粒子径6.0μmのマゼンタトナー粒子を得た。
【0134】
このマゼンタトナー粒子100質量部に対し、小径外添剤としてルチル型酸化チタン(n−デシルトリメトキシシラン処理したもの、個数平均粒子径48nm)を1.50質量部、大径外添剤としてゾルゲル法シリカ(個数平均粒子径110nm、球形度0.85)を1.70質量部を加え、5リットルヘンシェルミキサーを用い、周速33m/秒で15分間ブレンドを行った後、目開き45μmの篩で粗大粉を除去し、外添剤を有するトナー(1)を得た。
【0135】
<キャリア(1)の作製>
[核体粒子(1)の作製]
ヘンシェルミキサーに、0.3μmの球状マグネタイト粒子500質量部を投入し、十分に攪拌した後、チタネート系カップリング剤5.0質量部を添加し、約100℃まで昇温し30分間良く混合攪拌することによりチタネート系カップリング剤被覆された球状マグネタイト粒子を得た。
【0136】
次に、1Lの四つ口フラスコに、フェノール60質量部、37質量%ホルマリン90質量部、親油化処理された上記マグネタイト粒子500質量部、28質量%アンモニア水16質量部、及び水50質量部を攪拌混合した。次に、攪拌しながら60分間で85℃に上昇させ、同温度で180分間反応させた。その後、25℃まで冷却し、500mlの水を添加した後、上澄み液を除去、沈殿物を水洗した。これを減圧下、130℃で乾燥して体積平均粒子径34.3μmの核体粒子(1)を得た。核体粒子(1)の球形度は、0.98であった。
【0137】
[被覆層形成用原料溶液(a)の調製]
下記組成の成分を60分間スターラーにて撹拌/分散し、被覆層形成用原料溶液(a)を調製した。
【0138】
−被覆層形成用原料溶液(a)−
・トルエン ・・・95質量部
・スチレン−メタクリレート共重合体(成分比、25:75) ・・・15質量部
・酸化スズ(体積平均粒子径1.1μm) ・・・2質量部
【0139】
得られた被覆層形成用原料溶液(a)13質量部と核体粒子(1)100質量部とを真空脱気型ニーダに入れ、90℃で30分撹拌した後、−65kPaで5分、−70kPaで3分攪拌した後更に減圧して脱気、乾燥させた。
【0140】
乾燥したキャリアを取り出し後、更に電気炉で150℃1時間の硬化を行った。これを冷却した後に目開き75μmの篩にて凝集による粗大粉を除去し、体積平均粒子径35.1μm、1kOe時の磁力が201emu/cmのキャリア(1)を得た。
【0141】
〔被覆層の厚さ、凸部の個数平均高さH、及び粒子の個数平均粒子径Dの測定〕
得られたキャリア(1)の断面を上述の方法により観察したところ、被覆層の平均厚さは0.27μmであり、凸部の個数平均高さHは、0.88μmであった。粒子の個数平均粒子径Dは、1.1μmであった。
【0142】
〔凸部の占有率の測定〕
得られたキャリア(1)の断面を上述の方法により観察し、被覆層の外周長さに対する、被覆層の外周部と被覆層に含有される粒子とが交わる弧の総長さを算出したところ、30%であった。下記表1〜3では、この値をΣL/Lの項目に記載する。
【0143】
<キャリア(2)から(15)、比較キャリア(1)の作製>
上記キャリア(1)の作製において、被覆層に用いた酸化スズの個数平均粒子径を下記表1に示すように変更し、更に、酸化スズの添加量及び樹脂量を変更して、凸部の個数平均高さH、被覆層の厚さが下記表1に示す値になるようにした以外は同様の方法で、キャリア(2)から(15)、及び比較キャリア(1)を作製した。
【0144】
[実施例1から15]
キャリア(1)から(15)のいずれか170質量部と、トナー(1)15質量部と、をVブレンダーを用い40rpmで20分間攪拌し、212μmの網目を有する篩いで篩うことによりマゼンタの静電潜像現像用現像剤(1)から(15)を作製した。
【0145】
[比較例1]
比較キャリア(1)170質量部と、トナー(1)15質量部と、をVブレンダーを用い40rpmで20分間攪拌し、212μmの網目を有する篩いで篩うことにより比較のマゼンタの静電潜像現像用現像剤(1)を作製した。
【0146】
〔評価〕
静電潜像現像用現像剤(1)を用いて、富士ゼロックス(株)製のDocuCentre Color 400改造機で、高温高湿(28℃85%RH環境)にて、画像面積が80%となる画像を10000枚連続出力した。
出力された画像の10枚目、1000枚目、5000枚目、10000枚目における画像濃度を画像濃度計(X−Rite404A:X−Rite社製)で測定した。また、出力画像の濃度の変動を、10枚目の画像と1000枚目、5000枚目、10000枚目における画像との濃度差から下記基準により評価した。
【0147】
−画像濃度の変動の評価基準−
◎:3%未満の濃度変動
○:3%以上6%未満の濃度変動
△:6%以上9%未満の濃度変動
×:9%以上の濃度変動
【0148】
また、静電潜像現像用現像剤(2)から(15)および比較の静電潜像現像用現像剤(1)についても、同様の評価を行った。
結果を下記表に示す。
【0149】
【表1】

【0150】
上記表から分るように、実施例1から15の静電潜像現像用現像剤は、出力画像の枚数が増加しても画像濃度の変動が抑えられていた。特に、凸部の個数平均高さHが前記粒子の個数平均粒子径Dの1/2以上4/5以下のときに画像濃度の変動が抑えられ、更に好適には、3/5以上4/5以下のときであった。
これに対して、凸部の個数平均高さHが前記粒子の個数平均粒子径Dの1/2未満である比較例1では、初期の1000枚から10枚目の画像濃度に対して10%濃度が低下し、画像濃度の変動が実施例1から15に比べて大きくなっていた。
また、粒子の個数平均粒子径Dが1.1μmであって、凸部の個数平均高さHが粒子の個数平均粒子径Dの4/5である実施例1、4から7のうち、前記キャリアの断面における被覆層の外周長さに対して、被覆層の外周部と前記粒子とが交わる弧の総長さが30%以上50%以下である実施例1、5、6は、実施例4、7に比べて画像濃度の変動がより抑えられていた。
【0151】
[実施例16,17]
<トナー(2)の作製>
トナー(1)の作製で用いられたマゼンタトナー粒子の質量に対して、小径外添剤としてルチル型酸化チタン(n−デシルトリメトキシシラン処理したもの、個数平均粒子径48nm)を1.50質量%、大径外添剤として気相酸化法にて作製したシリカ(個数平均粒子径60nm、球形度0.90)を1.50質量%を加え、5リットルヘンシェルミキサーを用い、周速33m/秒で15分間ブレンドを行った後、目開き45μmの篩で粗大粉を除去し、外添剤を有するトナー(2)を作製した。
【0152】
<トナー(3)の作製>
トナー(1)の作製で用いられたマゼンタトナー粒子の質量に対して、小径外添剤としてルチル型酸化チタン(n−デシルトリメトキシシラン処理したもの、個数平均粒子径48nm)を1.50質量%、大径外添剤としてポリメチルメタクリレート粒子(個数平均粒子径320nm、球形度0.95)を1.20質量%を加え、5リットルヘンシェルミキサーを用い、周速33m/秒で15分間ブレンドを行った後、目開き45μmの篩で粗大粉を除去し、外添剤を有するトナー(3)を作製した。
【0153】
<静電潜像現像用現像剤(16)(17)の作製>
キャリア(1)170質量部と、トナー(2)または(3)15質量部と、をVブレンダーを用い40rpmで20分間攪拌し、212μmの網目を有するシーブで篩うことによりマゼンタの静電潜像現像用現像剤(16)及び(17)を作製した。
【0154】
<評価>
実施例1と同様にして、但し、マゼンタの静電潜像現像用現像剤(16)または(17)に代えて評価を行った。結果を下記表に示す。
【0155】
【表2】

【0156】
上記表に示されるように、トナーの外添剤の種類や粒子径を変えた実施例16及び17の静電潜像現像用現像剤でも、出力画像の枚数が増加しても画像濃度の変動が抑えられていた。
【0157】
[実施例18から21]
実施例1の被覆層形成用原料溶液(a)において用いた酸化スズ粒子を、下記の粒子に代えた以外は、実施例1と同様にして、マゼンタの静電潜像現像用現像剤(18)から(21)を作製した。この現像剤を用いて実施例1と同様にして評価を行った。結果を下記表に示す。
・実施例18:アルミナ(商品名:AKP−3000、住友化学社製、個数平均粒子径0.62μm)
・実施例19:シリカ(商品名:SFP−30M、電気化学工業株式社製、個数平均粒子径0.7μm)、
・実施例20:チタン(商品名:TA−500、富士チタン社製、個数平均粒子径0.68μm)
・実施例21:銅(商品名:1050Y、三井金属鉱業社製、個数平均粒子径0.75μm)
【0158】
【表3】

【0159】
上記表に示されるように、キャリアの被覆層に含有する粒子の種類や粒子径を変えた実施例18から21の静電潜像現像用現像剤でも、出力画像の枚数が増加しても画像濃度の変動が抑えられていた。実施例1及び実施例18から21の結果から、特に、被覆層に酸化スズ粒子、チタン粒子、銅粒子を添加したときに、使用初期(1000枚目)における画像濃度の低下が抑えられていた。
【符号の説明】
【0160】
1Y、1M、1C、1K、107 感光体(像保持体)
2Y、2M、2C、2K、108 帯電ローラ
3Y、3M、3C、3K レーザ光線
3 露光装置(静電潜像形成装置)
4Y、4M、4C、4K、111 現像装置
5Y、5M、5C、5K 1次転写ローラ
6Y、6M、6C、6K、113 感光体クリーニング装置
8Y、8M、8C、8K トナーカートリッジ
10Y、10M、10C、10K ユニット
11 キャリアの被覆層
12 粒子
14 外添剤
16 キャリアの核体
20 中間転写ベルト
22 駆動ローラ
24 支持ローラ
26 2次転写ローラ(転写装置)
28、115 定着装置
30 中間転写体クリーニング装置
107 感光体
108 帯電装置
111 現像装置
112 転写装置
113 クリーニング装置
115 定着装置
116 取り付けレール
117 除電露光のための開口部
118 露光のための開口部
200 プロセスカートリッジ、
P、300 記録紙(被転写体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
個数平均粒子径が50nm以上500nm以下の外添剤を表面に有するトナーと、核体及び該核体上に形成された被覆層を有するキャリアとを含み、
前記被覆層が粒子を含み、
前記キャリアの表面に前記粒子に起因する凸部が形成され、前記被覆層の表面からの前記凸部の個数平均高さHが前記粒子の個数平均粒子径Dの1/2以上1未満であり且つ前記外添剤の個数平均粒子径以上である静電潜像現像用現像剤。
【請求項2】
前記被覆層の表面からの前記凸部の個数平均高さHが、該粒子の個数平均粒子径Dの3/5以上4/5以下である請求項1に記載の静電潜像現像用現像剤。
【請求項3】
前記キャリアの断面における被覆層の外周長さに対して、被覆層の外周部と前記粒子とが交わる弧の総長さが30%以上50%以下である請求項1又は請求項2に記載の静電潜像現像用現像剤。
【請求項4】
前記粒子が、酸化スズ、チタン及び銅から選択される少なくとも1種を含む請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の静電潜像現像用現像剤。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の静電潜像現像用現像剤が収容された現像剤カートリッジ。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の静電潜像現像用現像剤により、静電潜像保持体表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像装置と、
静電潜像保持体、前記静電潜像保持体表面を帯電する帯電装置、帯電した前記静電潜像保持体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成装置、及び前記静電潜像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写装置からなる群より選ばれる少なくとも一種と、
を備える画像形成装置本体に脱着されるプロセスカートリッジ。
【請求項7】
静電潜像保持体と、
前記静電潜像保持体を帯電させる帯電装置と、
帯電した前記静電潜像保持体を露光して、該静電潜像保持体上に静電潜像を形成させる静電潜像形成装置と、
前記静電潜像を請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の静電潜像現像用現像剤により現像してトナー像を形成する現像装置と、
前記トナー像を前記静電潜像保持体から記録媒体に転写する転写装置と、
前記記録媒体に転写された転写像を定着する定着装置と、
を有する画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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