説明

静電潜像現像用2成分現像剤及び画像形成方法

【課題】樹脂被覆されたキャリアが現像装置内で摩擦ストレスを受け磨耗した際にも、帯電付与能力が変化せず、良好な範囲に保つことができる静電潜像現像用2成分現像剤、及びそれを用いた画像形成方法を提供する。
【解決手段】少なくとも結着樹脂と着色剤を含むトナーとキャリアとからなる静電潜像現像用2成分現像剤において、該キャリアが少なくとも磁性粒子表面にアクリル樹脂を主成分とする樹脂の被覆層を有し、該樹脂被覆層中にBET比表面積100〜250m/gのシリコーン樹脂粒子を0.1〜50質量%含有していることを特徴とする静電潜像現像用2成分現像剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電潜像現像用のキャリアを用いた2成分現像剤及び画像形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式等の静電潜像による画像形成方法においては、電子写真感光体や静電潜像記録体上に種々の手段を用いて静電潜像を形成し、この静電潜像にトナーと呼ばれる着色粒子を付着させて、静電潜像を現像しトナー像を形成する方法が用いられている。
【0003】
この現像に際しては静電潜像現像用キャリア(単にキャリアということもある)と呼ばれる担体粒子をトナーと混合し、両者を相互に摩擦帯電させて、トナーに適当量の正または負の電荷を付与している。キャリアは、表面に樹脂による被覆層を有するキャリアと表面に被覆層を有しないキャリアとに大別されるが、現像剤の寿命を考慮した場合には、被覆層を有するキャリアのほうが優れていることから、種々のタイプの被覆層を有するキャリアが開発され、かつ実用化されている。
【0004】
キャリアに要求される特性は種々あるが、結局トナーに適切な電荷を安定して付与すること、その適切かつ安定な帯電性を長期にわたって維持することが求められる。この為には、キャリアが好適な電気的性質を有し、また、湿度や温度等の環境変化に対する耐性を有し、かつ耐衝撃性、耐摩擦性が高く長期的に帯電性付与能が変化しないことが重要であり、種々のキャリアが提案されている。
【0005】
しかしながら、キャリアにより現像剤の長寿命化が図れるという利点はあるが、それでもこれを長期使用した場合、装置内における摩擦によるストレスにより被覆層の磨耗が生じてトナー帯電量の低下が観察される。それ故、長期間の帯電を安定化させるため、摩擦によりストレスを受けてもトナーの帯電量低下を引き起こさないよう工夫した被覆層が求められている。
【0006】
一方画像形成方法の上では、現在、マイナス帯電性の有機感光体を用いて反転現像を行うのが主流なことから、これにマイナス帯電性のトナーを組合せる方式が広く用いられている。
【0007】
この場合、キャリア被覆層に用いられる樹脂も種々あるが、アクリル系樹脂は、他の樹脂と比較して、トナーにマイナスの帯電を与える能力が強く、その意味で極めて好ましい被覆用樹脂といえる。しかし、表面強度が低くトナーその他との摩擦等により摩耗し易い傾向を有していた(たとえば、特許文献1参照)。
【0008】
一方、キャリアは装置内において、トナーとの摩擦によりその表面にトナーの固着やトナーよりはがれた外添剤等の小粒子が付着する。キャリア表面に付着したトナーや外添剤は、キャリア表面と新たなトナーとの接触を妨げるため、帯電性能やその安定性は低下する。そこで、キャリア表面の付着物をそぎ落とすため、その表面が装置内におけるトナーあるいは外添剤との摩擦により削れ易い被覆層構成になっているキャリアが提案されている(たとえば、特許文献2〜4参照)。しかしながら、この構成のみでは長期間使用した時に十分な耐久性が得られず、安定したプリント作成が行えないものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−205547号公報
【特許文献2】特開2000−235283号公報
【特許文献3】特開平5−45936号公報
【特許文献4】特開2010−102167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するために成された。
【0011】
上記した如く、トナーや外添剤等の付着防止のために樹脂で形成されている被覆層が磨耗されなければならない。しかしながら、樹脂被覆層が磨耗し膜厚が減少した場合には、キャリアの帯電付与能力も低下するため、トナー帯電量の低下をきたす。それ故、キャリアを長期使用した場合の帯電付与能力が低下するのを防止する方策も必要である。
【0012】
即ち、本発明の目的は、樹脂被覆されたキャリアが現像装置内で摩擦ストレスを受け磨耗した際にも、帯電付与能力が変化せず、良好な範囲に保つことができる静電潜像現像用2成分現像剤、及びそれを用いた画像形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の発明者が鋭意検討した結果、本発明の目的は下記構成を採ることにより達成されることがわかった。
【0014】
(1)
少なくとも結着樹脂と着色剤を含むトナーとキャリアとからなる静電潜像現像用2成分現像剤において、該キャリアが少なくとも磁性粒子表面にアクリル樹脂を主成分とする樹脂の被覆層を有し、該樹脂の被覆層中にBET比表面積100〜250m/gのシリコーン樹脂粒子を0.1〜50質量%含有していることを特徴とする静電潜像現像用2成分現像剤。
【0015】
(2)
前記シリコーン樹脂粒子の数平均一次粒子径が5〜100nmであることを特徴とする(1)に記載の静電潜像現像用2成分現像剤。
【0016】
(3)
前記シリコーン樹脂粒子が、シリコーン樹脂コートしたメディア同士を衝突させることで製造されることを特徴とする(1)又は(2)に記載の静電潜像現像用2成分現像剤。
【0017】
(4)
前記メディアの体積平均粒径が80〜500μm、かつ比重が4.5以上8.0以下であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の静電潜像現像用2成分現像剤。
【0018】
(5)
前記キャリアが、芯材粒子とアクリル樹脂とシリコーン樹脂コートしたメディアを同時に混合し撹拌する工程を経て、製造されることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の静電潜像現像用2成分現像剤。
【0019】
(6)
(1)〜(5)のいずれか1項に記載の静電潜像現像用2成分現像剤を用いることを特徴とする画像形成方法。
【発明の効果】
【0020】
本発明により、樹脂被覆されたキャリアが現像装置内で摩擦ストレスを受け磨耗した際にも、帯電付与能力が変化せず、良好な範囲に保つことができる静電潜像現像用2成分現像剤、及びそれを用いた画像形成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】撹拌羽根付高速撹拌混合機の一例を示す概略図。
【図2】画像形成方法を説明する画像形成装置の概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明に用いられる化合物やその構成、画像形成方法につきさらに説明する。
【0023】
近年、省資源、廃棄物抑制の観点から、現像剤にもさらなる耐久性の向上が必要とされている。その向上技術の一つとしてキャリアのアクリル系の被覆樹脂層にシリコーン樹脂などの低表面エネルギー樹脂を添加し、トナースペントなどの汚染の影響を受けにくくさせる技術が開発されていた。
【0024】
しかしながら、従来技術ではより高線速で現像器内のストレスが大きい画像形成装置に用いた場合、添加したシリコーン粒子の粒径が大きいため、膜削れが生じた際のシリコーン粒子の脱離が発生し、十分な耐久性は得られなかった。また従来の合成方法では、本発明の様な小粒径のシリコーン樹脂粒子を作製することは困難であった。
【0025】
即ち、シリコーン樹脂粒子としてこれまで公知だったトスパール等は製造が容易であるもののシリコーン樹脂粒子としての粒径が大きいため、特に近年の高線速画像形成装置での使用においては、樹脂被覆層から離脱しやすく、これらの成分が、トナーとの帯電を阻害してしまう問題があった。また、キャリア表面上の帯電サイトとして電荷をシリコーン樹脂粒子の単位で局在化して蓄積するため、現像剤として流動性がわるく、細線再現性も十分なものではなかった。
【0026】
これに対し、本発明者の検討によりBET比表面積100〜250m/gのシリコーン樹脂粒子を樹脂被覆層に添加した現像剤は、耐久性向上の効果と細線再現性向上の効果ともに最も優れていることを見出した。
【0027】
BET比表面積100〜250m/gのシリコーン樹脂粒子は、平均粒径80μm〜500μmで比重4.5以上8.0以下の粒子(以後、メディアという)上にシリコーン樹脂層を形成させた後、そのメディア同士を高速混合のストレスによるシリコーン樹脂層の破砕で作製することが出来る。
【0028】
作製に当たっては、単独で生成させてもよいし、キャリア芯材への樹脂層被覆工程時にこのメディアを同時にいれることで、シリコーン樹脂粒子の生成に加え、十分な製膜ストレスが得られるため、成膜性がさらに向上する。これはシリコーン樹脂をコートしたメディア同士を衝突させることにより、効率的に小粒径のシリコーン樹脂粒子を作製できるためと思われる。
【0029】
本発明においてBET比表面積100〜250m/gのシリコーン樹脂粒子が有効である理由は、BET比表面積が100m/g未満では、長期使用時にはシリコーン樹脂粒子自身が樹脂被覆層から脱離するため、トナーとの帯電を阻害したり、キャリアへのトナースペントを促進してしまう。しかし、250m/gを超えると、凝集性が増すため、樹脂被覆層中への均一な分散がしにくくなるため、トナーへの帯電不良をおこし易い。従って、上記の中間領域にすることが望ましいためと思われる。
【0030】
BET比表面積100〜250m/gのシリコーン樹脂粒子を製造するには、前記した通り、平均粒径80〜500μmで比重4.5以上8.0以下のメディア上にシリコーン樹脂コートを行い、そのメディア同士の高速混合のストレスによる破砕で作製することが出来る。80μm未満あるいは比重4.5未満のメディアでは、自重が軽すぎてシリコーン樹脂粒子が生成させにくい。一方、500μmより大きく或いは比重が8.0より大きいメディアでは、衝撃力が強すぎて、本発明の粒径範囲より大きな粒子となってしまいやすい。
【0031】
メディアとしては、例えば、鉄、ジルコニウム、ケイ素、チタンおよびそれらの元素を含む合金、酸化物、セラミックスが挙げられる。また、その形態もボール状、ビーズ状の形態が好ましい。
【0032】
シリコーン樹脂コートしたメディアをキャリアの製造時に同時に添加する場合は、このメディアはキャリア製造後に分離する必要がある。メディアの分離手段は、粒径差を使い、篩で可能であるが、磁性の有無で、さらに精密な分離が可能であることから、メディアの中でも特に非磁性のメディアをより好ましく用いることができる。
【0033】
〔シリコーン樹脂コートしたメディア〕
本発明に係るシリコーン樹脂コートしたメディアは、上記メディアに対してシリコーン樹脂が0.1〜10質量%被覆されていることが好ましい。被覆量が0.1質量%未満ではメディア表面に均一な被覆層を形成することが難しく、また10質量%を超えるとメディア同士の凝集が発生してしまう。
【0034】
メディアの表面に樹脂を被覆する方法としては、樹脂を溶剤にて溶解・希釈し、上記メディアの表面に被覆するのが一般的である。用いられる溶剤としては、有機溶剤に可溶性のある樹脂である場合は、トルエン、キシレン、セロソルブブチルアセテート、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタノール等が用いられる。
【0035】
〔シリコーン樹脂コートしたメディアの作製〕
シリコーン樹脂コート層の具体的作製法としては、前記した如く湿式コート法が挙げられる。以下に各方法について述べる。
【0036】
湿式コート法としては、
(1)流動層式スプレーコート法
被覆用樹脂を溶剤に溶解した塗布液を流動層を用いてメディアの表面にスプレー塗布し、次いで乾燥して被膜を作製する方法
(2)浸漬式コート法
被覆用樹脂を溶剤に溶解した塗布液中にメディアを浸漬して塗布処理し、次いで乾燥して被膜を作製する方法
(3)重合法
反応性化合物を溶剤に溶解した塗布液中にメディアを浸漬して塗布処理し、次いで熱等を加えて重合反応を行って被膜を作製する方法
等を挙げることができる。
【0037】
シリコーン樹脂をメディアに被覆後、焼き付けする場合は、外部加熱方式又は内部加熱方式のいずれでもよく、例えば固定式又は流動式電気炉、ロータリ式電気炉、バーナー炉でもよく、もしくはマイクロウェーブによる焼き付けでもよい。焼き付けの温度は使用する樹脂により異なるが、融点又はガラス転移点以上の温度は必要であり、熱硬化性樹脂又は縮合架橋型樹脂等では、充分硬化が進む温度まで上げる必要がある。
【0038】
このようにして、メディア表面に樹脂を被覆、焼き付け、冷却を行えば、本発明に係るシリコーン樹脂コートしたメディアが得られる。
【0039】
〔シリコーン樹脂〕
シリコーン樹脂粒子を形成するシリコーン樹脂の構造としては、下記一般式(1)、(2)で示されるものが好ましい。
【0040】
【化1】

【0041】
ここで、R〜Rは各々メチル基、エチル基、フェニル基、ビニル基、水酸基等より選択される置換基を示している。特にRとRの組み合わせでは、水酸基とメチル基の組み合わせとメチル基とメチル基の組み合わせの混合物が接着性の観点から好ましい。更に、この樹脂に、以下に述べる硬化剤を使用することで架橋被膜を形成することができる。また、アルキル変性、フェノール変性、ウレタン変性などの変性タイプを使用しても良い。
【0042】
シリコーン樹脂を架橋構造化するための硬化剤としては、下記一般式(3)で示す構造のオキシムタイプの硬化剤を挙げることができる。
【0043】
【化2】

【0044】
式中、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基及びそれらの誘導体よりなるグループから選択された置換基を示し、R10及びR11は各々メチル基、エチル基、プロピル基及びそれらの誘導体よりなるグループから選択された置換基を示す。
【0045】
具体的には、下記構造のものを挙げることができる。
【0046】
【化3】

【0047】
本発明において、上記オキシムタイプの硬化剤の添加量は、シリコーン樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましく、0.5〜8質量部がより好ましい。
【0048】
また、シリコーン樹脂に対してシランカップリング剤を添加することで、帯電量などを調整することができる。この帯電量を調整するためには、シリコーン樹脂100質量部に対してシランカップリング剤を5〜50質量部添加することが好ましく、7〜45質量部添加することがより好ましい。添加量を50質量部以下とすることで樹脂の硬度が低下すことを防止でき、添加量を5質量%以上とすることで帯電性付与能力が発揮できる。
【0049】
シランカップリング剤としては、末端にアミノ基或いはアミンを有するアルコキシシランであり、下記構造のものを挙げることができる。
【0050】
【化4】

【0051】
上記シランカップリング剤の中で好適なものとしては、例示化合物(1)、(2)、(3)、(5)及び(6)の構造にある末端にアミン基を持つものを挙げることができる。この理由として明確ではないが、末端に存在するアミンの活性水素の影響により、より容易に樹脂中に取り込むことができ、帯電性を安定化することができるためと推定される。更に、この末端にアミン基を持つものを使用することで、架橋点を増大することができ、より緻密な架橋構造を持たせることができる。
【0052】
〔シリコーン樹脂粒子〕
本発明に関わるシリコーン樹脂粒子としては数平均一次粒子径が5〜100nmのものが好ましい。数平均一次粒子径が上記範囲より大きいと、長期使用時にはシリコーン樹脂粒子が樹脂層から脱離し、トナーとの帯電を阻害したり、キャリアへのトナースペントを促進してしまうおそれがある。また、上記範囲より小さいと、凝集性が増すため、コート層中への均一な分散がしにくくなり、トナーへの帯電不良をおこしてしまうおそれがある。
【0053】
樹脂被覆層中のシリコーン樹脂粒子の含有量は、被覆した樹脂層の質量に対し、シリコーン樹脂粒子を0.1〜50質量%であり、好ましくは5〜40質量%である。シリコーン樹脂粒子の含有量が0.1質量%未満では添加による効果が少なく、逆に50質量%を超えると樹脂被覆層から脱離してくる傾向が顕著となる。
【0054】
尚、本発明のシリコーン樹脂粒子のBET比表面積、数平均粒子径の測定は下記の方法により求めることができる。
【0055】
(BET比表面積及び数平均粒子径の測定)
BET比表面積(m/g)とは、ガス吸着法により粒子の比表面積を算出する測定方法である。ガス吸着法による粒子の比表面積算出は、窒素ガスの様な吸着占有面積が分かっているガス分子を粒子に吸着させ、その吸着量から粒子の比表面積を算出する方法である。BET比表面積は、固体表面に直接吸着したガス分子の量(単分子層吸着量)を正確に算出するためのもので、下記に示すBETの式と呼ばれる数式を用いて算出される。
【0056】
下記式に示す様に、BETの式は一定温度で吸着平衡状態にある時の吸着平衡圧Pとその圧力における吸着量Vの関係を示すもので以下の様に表される。
【0057】
式1:
P/V(P−P)=(1/VmC)+((C−1)/VmC)(P/P
ただし、P :飽和蒸気圧
Vm:単分子層吸着量、気体分子が固体表面で単分子層を形成した時の
吸着量
C :吸着熱などに関するパラメータ(>0)
そして、上式より単分子吸着量Vmを算出し、これにガス分子1個の占める断面積を掛けることにより、粒子の表面積を求めることができる。
【0058】
BET比表面積の具体的な測定方法としては、例えば、サンプルを温度50℃で10時間の脱気を行って前処理をした後、窒素ガスを吸着ガスとして使用してガス吸着量測定装置にて測定を行う。測定を行う全自動ガス吸着量測定装置としては、オートソーブ1(湯浅アイオニクス社製)やフローソーブ2300(島津製作所社製)が挙げられる。これらの測定装置では、窒素吸着法の1点法あるいは多点法によりBET比表面積を求める。
【0059】
シリコーン樹脂粒子の数平均一次粒子径および含有率は以下の方法により算出することができる。
【0060】
集束イオンビーム試料作製装置「SMI2050」(エスアイアイナノテクノロジー(株)製)を用いてキャリア薄片を作製し、その後、その薄片の断面を透過型電子顕微鏡「JEM−2010F」(日本電子(株)製)にて観察する。
【0061】
数平均一次粒子径は、シリコーン樹脂粒子100個についての水平方向フェレ径を算出し、その平均値を数平均一次粒子径とする。
【0062】
尚、シリコーン樹脂粒子が複数くっついて存在する場合には、その凝集体を形成する一次粒子の粒子径を測定するものとする。
【0063】
またシリコーン樹脂粒子の含有率(質量%)は、アクリル樹脂層の総面積に対するシリコーン樹脂粒子の占有面積、及び比重の値から、以下のように算出する。
【0064】
シリコーン樹脂粒子の含有率(質量%)=(シリコーン樹脂粒子の占有面積×シリコーン樹脂粒子の比重)/(アクリル樹脂層の総面積×アクリル樹脂の比重+シリコーン樹脂粒子の占有面積×シリコーン樹脂粒子の比重)
ここで、アクリル樹脂層の総面積、及びシリコーン樹脂粒子の占有面積は、上記のキャリア切片の断面写真からから計測を行う。
【0065】
また、アクリル樹脂の比重、及びシリコーン樹脂粒子の比重は、気相置換法による圧力比較法により求めることができる。例えば、高精度自動体積計VM−100((株)エステック製)にて測定することができる。
【0066】
〔キャリアの磁性粒子(芯材)〕
本発明で用いられる樹脂被覆キャリア用の磁性粒子としては、鉄粉、マグネタイト、各種フェライト系粒子またはそれらを樹脂中に分散したものを挙げることができる。好ましくはマグネタイトや各種フェライト系粒子である。フェライトとしては、銅、亜鉛、ニッケル、マンガン等の重金属を含有するフェライトやアルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属を含有する軽金属フェライトが好ましい。
【0067】
飽和磁化については20〜120Am/kgが好ましい。
【0068】
飽和磁化は、「直流磁化特性自動記録装置3257−35」(横河電機株式会社製)により測定される。
【0069】
〔キャリア樹脂層〕
本発明の静電荷像現像用キャリアの樹脂被覆層形成に好適な樹脂は、トナーに適正な帯電量を付与できるアクリル樹脂であればよい。具体的には、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチルなどのメタクリル酸エステル誘導体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニルなどのアクリル酸エステル誘導体より得られる重合体をあげることができる。さらに、これらメタクリル酸エステルやアクリル酸エステルの単量体に対して、例えばスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンなどのスチレンあるいはスチレン誘導体を共重合あるいは単独重合させてもよい。しかし、この場合、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル成分(これを「主成分」という)が樹脂全体の60質量%以上含有している必要がある。
【0070】
樹脂層の平均厚さhは、キャリアの耐久性と低抵抗化の両立の観点より0.5〜4.0μmが好ましい。樹脂層の平均厚さhは、以下の方法により算出された値である。
【0071】
膜厚の測定方法については、集束イオンビーム試料作成装置(SMI2050 エスアイアイナノテクノロジー(株)製)にてキャリア薄片を作製し、その後、その薄片の断面を透過型電子顕微鏡(JEM−2010F 日本電子(株)製)にて5000倍の視野で観察し、その視野における最大膜厚となる部分と最小膜厚となる部分の平均値を樹脂層の平均厚さhとした。
【0072】
なお、キャリアの体積平均粒径は、20〜70μmが好ましく、より好ましくは25〜60μmである。この体積平均粒径は、湿式分散器を備えてなるレーザー回折式粒度分布測定装置「HELOS」(シンパテック社製)により測定される体積基準の平均粒径である。
【0073】
〔キャリア樹脂層の作製〕
樹脂層の具体的作製法としては、湿式コート法、乾式コート法が挙げられる。以下に各方法について詳細に述べる。
【0074】
湿式コート法としては、
(1)流動層式スプレーコート法
被覆用樹脂を溶剤に溶解した塗布液を流動層を用いて磁性体粒子の表面にスプレー塗布し、次いで乾燥して被膜を作製する方法
(2)浸漬式コート法
被覆用樹脂を溶剤に溶解した塗布液中に磁性体粒子を浸漬して塗布処理し、次いで乾燥して被膜を作製する方法
(3)重合法
反応性化合物を溶剤に溶解した塗布液中に磁性体粒子を浸漬して塗布処理し、次いで熱等を加えて重合反応を行って被膜を作製する方法
等を挙げることができる。
【0075】
乾式コート法としては、
前記した如く、例えば機械的衝撃や熱を加えてコートする方法があり、下記の如き工程により、コート層を形成する。
1:被覆しようとする芯材粒子、被覆用樹脂粒子及び固形物を分散したコート材を、機械的に撹拌し、芯材粒子表面にコート材を付着させる。
2:その後、機械的衝撃や熱を加えて芯材粒子表面に付着した被覆用樹脂粒子を溶融或いは軟化させて固着し、コート層を形成する。
3:必要に応じ1〜2の工程を繰り返し、所望の厚さのコート層を形成する。
【0076】
機械的衝撃や熱を加えてコートする方法の装置としては、例えば「ターボミル」(ターボ工業社製)、ピンミル、「クリプトロン」(川崎重工社製)等のローターとライナーを有する摩砕機又は撹拌羽根付高速撹拌混合機を挙げることができ、これらの中では撹拌羽根付高速撹拌混合機が良好にコート層を形成でき好ましい。
【0077】
加熱する場合には、60〜125℃が好ましい。前記範囲の温度で加熱するとキャリア同士の凝集が発生せず、芯材粒子表面にアクリル樹脂を固着させることができる。
【0078】
図1は、撹拌羽根付高速撹拌混合機の一例を示す概略図である。
【0079】
図1において、11は本体上蓋で、該上蓋11には原料投入口12、投入弁13、フィルター14、点検口15が設けられている。原料投入口12より所定量の芯材粒子及び被覆用樹脂粒子が投入され、投入された前記原料はモーター22により駆動される水平方向回転体18により撹拌される。該回転体18はその中心部18dに互いに120°の角度間隔で配置された撹拌羽根18a、18b及び18cが結合されていて、これらの羽根は底部10aの面に対して約35°傾けて取り付けられている。このため前記撹拌羽根18a、18b及び18cを高速回転させると、前記原料は上方へ掻き上げられ、本体容器10の上部内壁に衝突して落下するが途中、水平方向回転体19に衝突し、原料の撹拌の促進及び凝集の解砕が行われる。尚17は調温用ジャケット、16は温度計、20は製品取出口、21及び24は排出弁、23は容器内排気口である。
【0080】
本発明では、湿式コート法、乾式コート法、湿式コート法と乾式コート法を組み合わせたコート法によりコート層を形成できるが、これらの中では均一なコート層を形成しやすい乾式コート法が好ましい。
【0081】
〔現像剤とトナー〕
本発明の2成分現像剤を構成するトナーは、少なくとも結着樹脂および着色剤を含有するものである。
【0082】
このようなトナーを製造する方法としては、特に限定されるものではなく、粉砕法、懸濁重合法、ミニエマルション重合凝集法、乳化重合凝集法、溶解懸濁法、ポリエステル分子伸長法その他の公知の方法などを挙げることができる。
【0083】
(結着樹脂)
トナーを構成する結着樹脂としては、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体樹脂、オレフィン系樹脂などのビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリスルフォン、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素樹脂などの公知の種々の樹脂を用いることができる。又、これらは1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0084】
(着色剤)
トナーを構成する着色剤としては、公知の無機または有機着色剤を使用することができる。
【0085】
着色剤の添加量はトナー全体に対して1〜30質量%、好ましくは2〜20質量%の範囲とされる。
【0086】
(離型剤)
トナーを構成するトナー粒子中には、必要に応じて離型剤が含有されていてもよい。離型剤としては、公知の種々のワックスを用いることができる。
【0087】
トナーにおける離型剤の添加量は、トナー全体に対して1〜30質量%が好ましく、5〜20質量%がさらに好ましい。
【0088】
(荷電制御剤)
また、トナーを構成するトナー粒子中には、必要に応じて荷電制御剤が含有されていてもよい。荷電制御剤としては、公知の種々の化合物を用いることができる。
【0089】
(外添剤)
トナー母体粒子には、流動性、帯電性、クリーニング性などを改善するために、外添剤を添加することが好ましい。外添剤としては、シリカ、アルミナ、チタニア、チタン酸金属塩、脂肪酸金属塩、ポリエチレン、ポリメチルメタクリレートなどの公知の有機又は無機微粒子を添加することが出来る。
【0090】
(トナー粒子の粒径)
トナー粒子の粒径は、体積基準のメジアン径で3〜8μmのものが好ましい。
【0091】
本発明のトナーとキャリアとからなる2成分現像剤は、本発明のキャリアと上記のトナーとの混合により調製することができる。トナー濃度は、現像条件や現像方法により異なるが、3〜15質量%、好ましくは4〜10質量%である。
【0092】
〔画像形成方法と画像形成装置〕
図2は、本発明に係るモノ黒の画像形成装置の一例を示す断面構成図である。
【0093】
図2に示す画像形成装置1は、デジタル方式による画像形成装置であって、画像読み取り部A、画像処理部B、画像形成部C、転写紙搬送手段としての転写紙搬送部Dから構成されている。
【0094】
画像読み取り部Aの上部には原稿を自動搬送する自動原稿送り手段が設けられていて原稿載置台111上に載置された原稿は原稿搬送ローラ112によって1枚宛分離搬送され読み取り位置113aにて画像の読み取りが行われる。原稿読み取りが終了した原稿は原稿搬送ローラ112によって原稿排紙皿114上に排出される。
【0095】
一方、プラテンガラス113上に置かれた場合の原稿の画像は走査光学系を構成する照明ランプ及び第1ミラーから成る第1ミラーユニット115の速度vによる読み取り動作と、V字状に位置した第2ミラー及び第3ミラーから成る第2ミラーユニット116の同方向への速度v/2による移動によって読み取られる。
【0096】
読み取られた画像は、投影レンズ117を通してラインセンサである撮像素子CCDの受光面に結像される。撮像素子CCD上に結像されたライン状の光学像は順次電気信号(輝度信号)に光電変換されたのちA/D変換を行い、画像処理部Bにおいて濃度変換、フィルター処理等の処理が施された後、画像データは一旦メモリに記憶される。
【0097】
画像形成部Cでは、画像形成ユニットとして、像担持体であるドラム状の感光体121と、その外周に、該感光体121を帯電させる帯電手段(帯電工程)122、帯電した感光体の表面電位を検出する電位検出手段220、現像手段(現像工程)123、転写手段(転写工程)である転写搬送ベルト装置45、前記感光体121のクリーニング装置(クリーニング工程)126及び光除電手段(光除電工程)としてのPCL(プレチャージランプ)127が各々動作順に配置されている。また、現像手段の下流側には感光体121上に現像されたパッチ像の反射濃度を測定する反射濃度検出手段222が設けられている。感光体121には、本発明に係わる感光体を使用し、図示の時計方向に駆動回転される。
【0098】
回転する感光体121へは帯電手段122による一様帯電がなされた後、像露光手段(像露光工程)30としての露光光学系により画像処理部Bのメモリから呼び出された画像信号に基づいた像露光が行われる。書き込み手段である像露光手段30としての露光光学系は図示しないレーザダイオードを発光光源とし、回転するポリゴンミラー31、fθレンズ34、シリンドリカルレンズ35を経て反射ミラー32により光路が曲げられ主走査がなされるもので、感光体121に対してAoの位置において像露光が行われ、感光体121の回転(副走査)によって静電潜像が形成される。本実施の形態の一例では文字部に対して露光を行い、静電潜像を形成する。
【0099】
画像形成装置においては、感光体上に静電潜像を形成するに際し、半導体レーザ又は発光ダイオードを像露光光源として用いることができる。これらの像露光光源を用いて、書き込みの主査方向の露光ドット径を10〜80μmに絞り込み、感光体上にデジタル露光を行うことにより、400dpi(dpi:2.54cm当たりのドット数)以上から2500dpiの高解像度の電子写真画像を得ることができる。
【0100】
前記露光ドット径とは該露光ビームの強度がピーク強度の1/e以上の領域の主走査方向にそった露光ビームの長さ(Ld:長さが最大位置で測定する)を云う。
【0101】
用いられる光ビームとしては半導体レーザを用いた走査光学系及びLEDの固体スキャナー等があり、光強度分布についてもガウス分布及びローレンツ分布等があるがそれぞれのピーク強度の1/e以上の領域を本発明に係わる露光ドット径とする。
【0102】
感光体121上の静電潜像は現像手段123によって反転現像が行われ、感光体121の表面に可視像のトナー像が形成される。本発明に係る画像形成方法では、該現像手段に用いられる現像剤には重合トナーを用いることが好ましい。形状や粒度分布が均一な重合トナーを本発明の感光体と併用することにより、より鮮鋭性が良好な電子写真画像を得ることができる。
【0103】
転写紙搬送部Dでは、画像形成ユニットの下方に異なるサイズの転写紙Pが収納された転写紙収納手段としての給紙ユニット41(A)、41(B)、41(C)が設けられ、また側方には手差し給紙を行う手差し給紙ユニット42が設けられていて、それらの何れかから選択された転写紙Pは案内ローラ43によって搬送路40に沿って給紙され、給紙される転写紙Pの傾きと偏りの修正を行う対の給紙レジストローラ44によって転写紙Pは一時停止を行ったのち再給紙が行われ、搬送路40、転写前ローラ43a、給紙経路46及び進入ガイド板47に案内され、感光体121上のトナー画像が転写位置Boにおいて転写極124及び分離極125によって転写搬送ベルト装置45の転写搬送ベルト454に載置搬送されながら転写紙Pに転写され、該転写紙Pは感光体121面より分離し、転写搬送ベルト装置45により定着手段50に搬送される。定着手段50は定着ローラ51と加圧ローラ52とを有しており、転写紙Pを定着ローラ51と加圧ローラ52との間を通過させることにより、加熱、加圧によってトナーを定着させる。トナー画像の定着を終えた転写紙Pは排紙トレイ64上に排出される。
【0104】
以上は転写紙の片側への画像形成を行う状態を説明したものであるが、両面複写の場合は排紙切換部材170が切り替わり、転写紙案内部177が開放され、転写紙Pは破線矢印の方向に搬送される。
【0105】
更に、搬送機構178により転写紙Pは下方に搬送され、転写紙反転部179によりスイッチバックさせられ、転写紙Pの後端部は先端部となって両面複写用給紙ユニット130内に搬送される。
【0106】
転写紙Pは両面複写用給紙ユニット30に設けられた搬送ガイド31を給紙方向に移動し、給紙ローラ32で転写紙Pを再給紙し、転写紙Pを搬送路40に案内する。
【0107】
再び、上述したように感光体121方向に転写紙Pを搬送し、転写紙Pの裏面にトナー画像を転写し、定着手段50で定着した後、排紙トレイ64に排紙する。
【0108】
画像形成装置としては、上述の感光体と、現像器、クリーニング器等の構成要素をプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このユニットを装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。また、帯電器、像露光器、現像器、転写又は分離器、及びクリーニング器の少なくとも1つを感光体とともに一体に支持してプロセスカートリッジを形成し、装置本体に着脱自在の単一ユニットとし、装置本体のレール等の案内手段を用いて着脱自在の構成としてもよい。
【実施例】
【0109】
以下、本発明を下記の実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0110】
〔シリコーン樹脂粒子の作製〕
(シリコーン樹脂コーティングメディアの作製)
メチルシリコーン樹脂を固形分換算で100g秤量し、500mlのトルエンに溶解させ、コーティング溶液を得た。
【0111】
次に、平均粒径100μm、比重5.1の鉄粉粒子1.0kgを、ディップ式コーティング装置にいれ、前記コーティング溶液をコーティングした後、棚式箱型乾燥機にて、270℃で2時間焼き付けを行い、シリコーン樹脂コーティングメディアを得た。
【0112】
(シリコーン樹脂粒子1の作製)
このシリコーン樹脂コーティングメディアを撹拌羽根付き高速撹拌混合機に入れ、周速10m/secで30分間撹拌し、ふるいがけをして、BET比表面積248m/gのシリコーン樹脂粒子1を得た。
【0113】
(シリコーン樹脂粒子2〜5の作製)
シリコーン樹脂粒子1の作製と同様にして、高速撹拌混合機の周速および撹拌時間を調整し、シリコーン樹脂粒子2〜5を作製した。
【0114】
(シリコーン樹脂粒子6の作製)
5リットルのガラス容器にpH=3.0の水3,510gを仕込み、水温を3℃とし、翼回転数を200rpmとして撹拌しながら、これにメチルトリメトキシシラン180gを投入し、1時間撹拌した。次いで、これにアンモニア水溶液(濃度28%)を90g投入し、液温を3〜7℃に保ちながら10分間撹拌したのち、これにメチルトリメトキシシラン540gを液温5〜10℃に保ちながら2.5時間かけて投入した。
【0115】
投入終了後、更に液温を5〜10℃に保ちながら1時間撹拌を行ったのち、75〜80℃まで加熱して1時間撹拌を行い、得られたスラリーを加圧ろ過器により水分約30%のケーキ状物とし、105℃の乾燥器中で乾燥し得られた乾燥物をジェットミルで解砕し、BET比表面積84m/g(数平均一次粒径100nm)のシリコーン樹脂粒子6を得た。
【0116】
〔キャリアの作製〕
(キャリア1)
撹拌羽根付き高速撹拌混合機に、粒径60μmのフェライト粒子3.0kgと、アクリル樹脂粒子(粒径100nm)50gと、上記「シリコーン樹脂粒子の作製」で作製したシリコーン樹脂粒子1を0.06g(コート樹脂に対して0.12%)添加し、撹拌することにより乾式にてコーティングを行い、フェライト粒子に被覆層を形成した。
【0117】
これをキャリア1とする。
【0118】
(キャリア2〜6、8〜11)
キャリア1と同様にして各シリコーン樹脂粒子を用い、添加量を変えたキャリア2〜6、8〜11を作製した。
【0119】
(キャリア7)
撹拌羽根付き高速撹拌混合機に、粒径60μmのフェライト粒子1.5kgと、上記で作製したシリコーン樹脂コーティングメディア1.5kgと、アクリル樹脂粒子(粒径100nm)50gとを入れ、撹拌することにより、シリコーン樹脂粒子を作製しながら、フェライト粒子の表面にコーティングを行い、フェライト粒子に被覆層を形成した。その後、篩にてシリコーン樹脂コーティングメディアを分離し、キャリア7を得た。
【0120】
【表1】

【0121】
〔現像剤の作製〕
キャリア1〜11の各々94質量部と、bizhub 750トナー6質量部をV型混合機で5分間混合し、現像剤を調製した。
【0122】
〔特性評価〕
デジタル複写機「bizhub 750」(モノクロA4で75枚機:コニカミノルタビジネステクノロジーズ(株)製)を用いて、高温高湿環境(温度35℃、湿度85%RH)下において、以下の評価を行った。尚、印字紙(転写紙)は、A4版の上質紙(64g/m)を用いた。
【0123】
画素率5%の画像を1枚形成して5秒休止する1枚間欠モードで20万枚形成し、その前後に、5cm×5cmの黒ベタ画像およびベタ白画像をそれぞれ1枚ずつ形成し、さらに1本/mm〜8本/mmのそれぞれ1本/mmずつ解像度が異なる細線が1/8領域にそれぞれ印字された細線画像を作成した。
【0124】
(画像濃度)
初期の黒ベタ画像および20万枚印字後黒ベタ画像につき画像濃度を評価した。射濃度計「RD−918」(マクベス社製)を用い、印字紙の絶対反射濃度を「0」に設定し、任意の10箇所の相対反射濃度を10カ所測定してその算術平均値で評価した。
【0125】
画像濃度が1.30以上であれば、十分な画像濃度が得られているといえる。
【0126】
(カブリ)
カブリ濃度は、反射濃度計「RD−918」(マクベス社製)を用い、印字紙の絶対反射濃度を「0」に設定し、初期のベタ白画像および20万枚印字後のベタ白画像を用いて、任意の10箇所の相対反射濃度の平均値を求め、カブリとした。
【0127】
カブリ濃度が0.005以下であれば、カブリは実用的に問題ないといえる。
【0128】
(細線再現性)
初期の細線画像および20万枚印字後の細線画像を用いて細線再現性を評価した。
【0129】
細線再現性は、倍率10倍のルーペで細線が判別できる最高の解像度を細線再現性の指標として評価した。細線再現性は解像度の高いものほど好ましい。
【0130】
【表2】

【0131】
表2に示すとおり、本発明内の実施例1〜7はいずれの特性も良好であるが、本発明外の比較例1〜4は初期性能はよいものでも、20万枚実写後の性能は劣化するとの結果が得られた。
【符号の説明】
【0132】
1 画像形成装置
9Y、9M、9C、9K 画像形成ユニット
6 中間転写体
10 本体容器
12 原料投入口
18a、18b、18c 撹拌羽根
19 水平方向回転体
20 製品取出口
P 転写紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも結着樹脂と着色剤を含むトナーとキャリアとからなる静電潜像現像用2成分現像剤において、該キャリアが少なくとも磁性粒子表面にアクリル樹脂を主成分とする樹脂の被覆層を有し、該樹脂の被覆層中にBET比表面積100〜250m/gのシリコーン樹脂粒子を0.1〜50質量%含有していることを特徴とする静電潜像現像用2成分現像剤。
【請求項2】
前記シリコーン樹脂粒子の数平均一次粒子径が5〜100nmであることを特徴とする請求項1に記載の静電潜像現像用2成分現像剤。
【請求項3】
前記シリコーン樹脂粒子が、シリコーン樹脂コートしたメディア同士を衝突させることで製造されることを特徴とする請求項1又は2に記載の静電潜像現像用2成分現像剤。
【請求項4】
前記メディアの体積平均粒径が80〜500μm、かつ比重が4.5以上8.0以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の静電潜像現像用2成分現像剤。
【請求項5】
前記キャリアが、芯材粒子とアクリル樹脂とシリコーン樹脂コートしたメディアを同時に混合する工程を経て、製造されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の静電潜像現像用2成分現像剤。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の静電潜像現像用2成分現像剤を用いることを特徴とする画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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