説明

静電荷像現像用電子写真トナー

【課題】色再現性や帯電安定性に優れ、良好な画像が得られるトナーを提供する。
【解決手段】着色剤として、(A)フタロシアニン化合物及び(B)下記一般式(X)で表される化合物を含有するトナー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成に使用される静電荷像現像用電子写真トナーに関し、特に、着色剤にフタロシアニン化合物を含有する静電荷像現像用電子写真トナーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
静電荷像現像用電子写真トナー(以下、簡単にトナーともいう)を用いる電子写真方式の画像形成は、従来からの文書作成に代表されるモノクロプリントに加え、最近ではフルカラープリントも行える様になってきた。この様なフルカラー画像形成装置は、例えば、特開2005−157314号公報に記載されており、印刷方式の様に版を起こさずに必要枚数分のプリント物をオンデマンドに作成できるので、少量プリント発注の機会の多い軽印刷分野で主に利用される様になった。
【0003】
カタログや広告などのフルカラーのプリント物をトナーで作成するにあたり、使用されるトナーにはオリジナルに忠実な画像が得られる様な色再現性が要求されている。すなわち、フルカラーの画像形成では、イエロー、マゼンタ、シアンのトナー画像を重ね合わせることにより、目標の色調画像が再現され、忠実な色再現を実現する上でベースとなるこれらカラートナーが良好な色再現性を有することが求められていた。
【0004】
そのため、カラートナーの色再現性向上を目的として、種々の金属錯体色素を含めた着色剤の検討がこれまでもなされてきた。例えば、代表的なカラートナー用着色剤の1つとして、銅フタロシアニン系顔料が挙げられる。銅フタロシアニン系顔料を用いたトナーは、汎用性があり、優れた耐光性を有するものの、画像の反射スペクトルにおいて長波長側のベースラインが高く、色濁りを感じさせる色合いの画像が形成される傾向が見られた。従って、企業のロゴマークのプリント等に代表される高度な色再現性が要求される様な画像形成には向いていないとされていた。
【0005】
そこで、銅フタロシアニン系顔料が抱えている上記課題を改良することで色濁りを発生させないトナーの開発が、例えば、特開平5−239368号公報に開示されているが、色濁りを十分に解消させるまでには至らなかった。
【0006】
一方、銅フタロシアニン系顔料等の顔料を用いたトナーは、印刷インクで作成される画像品質レベルは得ることができ、ある程度の汎用性は有するものではあるが、写真画像の色再現に最適な色相角を発現すること、低明度から高明度までの広い明度領域においてでも、高い色再現性を発現させることが難しかった。
【0007】
上記銅フタロシアニン系顔料の課題に対し、低明度から高明度において幅広い色再現性を発現させる方法として、無金属フタロシアニンやアルミニウムフタロシアニンを併用する方法(例えば、特許文献1参照。)や、ニッケルフタロシアニンを併用する方法(例えば、特許文献2参照。)が提案されている。これらの方法によれば色相角の変更は可能であり、また、低明度もしくは高明度のいずれかの領域では色再現性を高めることが出来ても、低明度から高明度まで広い明度範囲の全ての領域において高い色再現性を発現させることができるレベルとしては不十分であり、写真画像に近似の色再現を実現させる観点においては、更なる改良が強く望まれているのが現状である。
【0008】
一方、電子写真用トナーは、通常、結着樹脂を顔料、必要に応じてワックス等の離型剤や帯電制御剤と共に溶融混練した後、微粉砕し、更に分級する混練粉砕法により製造されている。通常の混練粉砕法により得られるトナーは、一般的には不定形で、その粒径分布はブロードで、流動性や転写性が低く、定着エネルギーが高く、トナー粒子間での帯電量が不均一で、帯電安定性が低いという問題点があった。更に、このようなトナーから得られる画像はその画質が未だ不満足のものであった。
【0009】
上記混練粉砕法によるトナーの問題点を克服するため、重合法によるトナーの製造方法が提案されている。このトナーの製造では、練り工程及び粉砕工程が必要なく、エネルギーの節約、生産時間の短縮、製品収率の向上等のコスト削減の寄与が大きい。また、このような重合法により得られる重合トナー粒子の粒度分布は、粉砕法によるトナーの粒度分布に比べてシャープな分布の形成が容易である上、ワックスの内包化も容易なため、トナーの流動性を大きく向上させることもでき、また、球形トナーを得ることも容易である。
【0010】
しかし、重合法によるトナーには未だ解消されていない課題も多い。例えば上記方法で得られた重合トナーは、製造時に洗浄されたとしてもトナー粒子には界面活性剤が残存するため、トナーを高温高湿下で使用あるいは保存すると、トナー粒子が吸湿し、帯電立ち上がり性や帯電安定性が低下する。その結果、画像上に中抜けやカブリが発生し、ドット再現性や細線再現性が低下し、画質が悪化する。特に、複数のトナー像を重ね合わせるフルカラー画像の形成時には画像上に中抜けやカブリの発生が顕著であった。(例えば、特許文献3参照。)。このような背景から、低明度から高明度まで広い明度範囲いずれの領域においてでも高い色再現性を有し、かつ帯電安定性が良好で画像の中抜けの無い静電荷像現像用電子写真トナーの開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2009−222984号公報
【特許文献2】特開2009−151162号公報
【特許文献3】特開2004−302066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、各色トナーを混色した時の色再現性、特に低明度から高明度までの広い明度範囲での彩度に優れ、かつ帯電安定性が良好で中抜けの無い画像を形成することができる静電荷像現像用電子写真トナーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
【0014】
1.着色剤として、(A)フタロシアニン化合物及び(B)下記一般式(X)で表される化合物を含有することを特徴とする静電荷像現像用電子写真トナー。
【0015】
【化1】

【0016】
〔式中、Mは2個の水素原子、2価の金属原子、3価の金属原子、または4価の金属原子を表し、Xは各々独立に、水素原子、酸素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、置換若しくは未置換のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、−(OPR1112)、(−OPOR1314)、−(OCOR18)、−(OR19)、−(OCOCOOR20)、−(OCOCOR21)、−(OCONR2223)または下記一般式(Y)で表される基を示す。R11からR23は各々水素原子または任意の置換基を表す。nは0、1または2を表す。Rx1、Rx2、Rx3、Rx4は各々独立に置換基を表し、n1、n2、n3、n4は各々独立に0から8の正数を表す。〕
【0017】
【化2】

【0018】
〔式中、R、R、Rは、各々独立に炭素数が1から22のアルキル基、炭素数が6から18のアリール基、炭素数が1から22のアルコキシ基、または炭素数が6から18のアリールオキシ基を示す。なお、R、R、Rはお互い同じ基であっても、異なる基であってもよい。〕
2.前記(A)フタロシアニン化合物が、下記一般式(I)で表される化合物であることを特徴とする前記1に記載の静電荷像現像用電子写真トナー。
【0019】
【化3】

【0020】
〔式中、Mは、ケイ素原子(Si)、ゲルマニウム原子(Ge)、またはスズ原子(Sn)を表す。また、Zは、各々独立に、ヒドロキシ基、塩素原子、炭素数が6から18のアリールオキシ基、炭素数が1から22のアルコキシ基、または前記一般式(Y)で表される基を示す。A、A、A及びAは、各々独立に下記に示す電子吸引性置換基を有してもよい芳香環を形成する原子団群から選ばれる少なくとも1種を表す。〕
【0021】
【化4】

【発明の効果】
【0022】
本発明により、各色トナーを混色した時の色再現性、特に低明度から高明度まで広い明度範囲での彩度に優れ、かつ帯電安定性が良好で、中抜けの無い画像が得られる静電荷像現像用電子写真トナーを提供することができた。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
【0024】
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、着色剤として、(A)フタロシアニン化合物及び(B)前記一般式(X)で表される化合物を含有することを特徴とする静電荷像現像用電子写真トナーにより、各色トナーを混色した時の色再現性、特に低明度から高明度まで広い明度範囲での彩度に優れ、かつ帯電安定性が良好で、中抜けの無い画像が得られる静電荷像現像用電子写真トナーを実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
【0025】
以下、本発明の静電荷像現像用電子写真トナーの詳細について説明する。
【0026】
はじめに、本発明に係る一般式(X)で表される化合物について説明する。
【0027】
前記一般式(X)において、Mは2個の水素原子、2価の金属原子、3価の金属原子、または4価の金属原子を表し、Xは各々独立に、水素原子、酸素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、置換若しくは未置換のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、−(OPR1112)、(−OPOR1314)、−(OCOR18)、−(OR19)、−(OCOCOOR20)、−(OCOCOR21)、−(OCONR2223)または前記一般式(Y)で表される基を示す。R11からR23は各々水素原子または任意の置換基を表す。nは0、1または2を表す。Rx1、Rx2、Rx3、Rx4は各々独立に置換基を表し、n1、n2、n3、n4は各々独立に0から8の正数を表す。
【0028】
前記一般式(X)で表される化合物について、さらに詳しく説明する。
【0029】
前記一般式(X)において、Mは2個の水素原子、2価の金属原子、3価の金属原子、または4価の金属原子を表すが、Mが2価の金属原子、3価の金属原子、または4価の金属原子を表す場合、金属原子種として特に制限はなく、使用者の意図する目的に合致するよう、使用者が種々検討を重ねた上で最適な金属原子を選択すればよい。
【0030】
一般式(X)において適用可能な金属原子の例としては、Al、Si、Ca、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、Mo、Ru、Rh、Pd、In、Sn、Pt、Pb、Mg等が挙げられ、好ましくは、Si、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、Mo、Ru、Rh、Pd、In、Sn、Pt、Pb、Mgであり、より好ましくはSi、Fe、Cu、Zn、Mgであり、最も好ましくはSi、Cuである。
【0031】
該金属原子が3価もしくは4価の場合、Xとして、各々独立に、水素原子、酸素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、置換若しくは未置換のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、−(OPR1112)、(−OPOR1314)、−(OCOR18)、−(OR19)、−(OCOCOOR20)、−(OCOCOR21)、−(OCONR2223)または前記一般式(Y)で表される基を1つまたは2つ有してもよい。R11からR23は各々水素原子または任意の置換基を表すが、R11からR23が置換基である場合、該置換基については、後述するRx1、Rx2、Rx3、Rx4で表される置換基と同様に基を挙げることができる。
【0032】
前記一般式(Y)で表される基において、R、R、Rは、各々独立に炭素数が1から22のアルキル基、炭素数が6から18のアリール基、炭素数が1から22のアルコキシ基、または炭素数が6から18のアリールオキシ基を示す。なお、R、R及びRは、上記炭素数のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基を表すものであるが、これらの基の炭素数は好ましくは1から10であり、より好ましくは、2から8である。R、R、Rはお互い同じ基であっても、異なる基であってもよい。
【0033】
続いて、Rx1、Rx2、Rx3、Rx4で表される置換基について説明する。
【0034】
x1、Rx2、Rx3、Rx4は各々独立に置換基を表し、該置換基には特に制限はなく、使用者の意図する目的に合致するよう、使用者が種々検討を重ねた上で最適な置換基を選択すればよい。
【0035】
x1、Rx2、Rx3、Rx4で表される置換基の例としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、複素アリール基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、キナゾリル基、フタラジル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基、ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基(フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、ヨウ素原子等)、ヒドロキシ基等が挙げられ、これらの基はさらに同様の基で置換されていてもよい。
【0036】
x1、Rx2、Rx3、Rx4で表される置換基として好ましくは、上述したアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、カルバモイル基、アミノ基、シアノ基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、であり、より好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基、である。R11〜R23が置換基の場合についても、好ましい置換基は同様である。
【0037】
n1、n2、n3、n4は各々独立に0から8の正数を表す。好ましくは0から4の整数であり、より好ましくは0から2の整数である。
【0038】
続いて、本発明に係るフタロシアニン化合物について説明する。
【0039】
本発明に係るフタロシアニン化合物は、例えば、金属不含または金属含有フタロシアニン化合物、例えば、銅フタロシアニン、コバルトフタロシアニン、ニッケルフタロシアニン、亜鉛フタロシアニン、アルミフタロシアニン、ケイ素フタロシアニン、及びそれらの誘導体などであり、具体的には、特開2001−089682号公報、特開2009−222984号公報、特開2009−151162号公報、特開2002−357923号公報、特開2008−176311号公報等に記載のフタロシアニン化合物を挙げることができる。
【0040】
本発明のトナーにおいては、フタロシアニン化合物が、前記一般式(I)で表される化合物であることが好ましい。
【0041】
前記一般式(I)において、Mは、ケイ素原子(Si)、ゲルマニウム原子(Ge)、またはスズ原子(Sn)を表す。また、Zは、各々独立に、ヒドロキシ基、塩素原子、炭素数が6から18のアリールオキシ基、炭素数が1から22のアルコキシ基、または前記一般式(Y)で表される基を示す。A、A、A及びAは、各々独立に前記電子吸引性置換基を有してもよい芳香環を形成する原子団群から選ばれる少なくとも1種を表す。
【0042】
本発明のトナーでは、着色剤として(A)フタロシアニン化合物および(B)上記一般式(X)で表される化合物をそれぞれ少なくとも1種含有することを特徴とするものであり、その中でも、(A)フタロシアニン化合物としては、特に前記一般式(I)で表される化合物、すなわち、軸配位子を有するフタロシアニン化合物を用いることが好ましい。
【0043】
本発明では、(A)フタロシアニン化合物および(B)上記一般式(X)で表される化合物に加えて、公知の着色剤を併用することも可能である。トナー中における着色剤の含有量は、トナー全体に対して1〜30質量%、好ましくは2〜20質量%の範囲に設定するのが好ましい。特に、上記化合物は高い分子吸光性が期待されるので、従来よりも少ない着色剤添加量で良好な色再現性を発現することができる。
【0044】
次いで、本発明に係る(B)一般式(X)で表される化合物及び(A)フタロシアニン化合物である一般式(I)で表されるテトラアザポルフィン系化合物の具体例について説明するが、本発明のトナーに適用可能な一般式(X)で表される化合物及び一般式(I)で表されるテトラアザポルフィン系化合物は、これら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
【0045】
以下に、一般式(X)で表される化合物の具体例を以下に列挙する。
【0046】
はじめに、一般式(X)で表される化合物の骨格構造X−a〜X−jの一覧を、以下に示す。
【0047】
【化5】

【0048】
【化6】

【0049】
次いで、骨格構造と置換基Mの具体的化合物を記載した一般式(X)で表される例示化合物X−1〜X−85を下記表1に示す。
【0050】
【表1】

【0051】
上記表1において、Meはメチル基、Etはエチル基、Acはアセチル基を表す。
【0052】
また、表1に記載の各化合物が異性体を含む場合には、表1においては便宜上代表的な構造のみを示しており、例示化合物としてはすべての異性体を包含するものである。具体的には、例えば、表1に記載の例示化合物X−25は、下記の構造異性体(およびその立体異性体)を含むものである。
【0053】
【化7】

【0054】
次いで、一般式(I)で表されるテトラアザポルフィン系化合物の具体例を、下記表2に示す。
【0055】
【表2】

【0056】
本発明に係る一般式(X)で表される化合物及び一般式(I)で表されるテトラアザポルフィン系化合物は、当該業者で公知の合成方法に従って合成して得ることができる。
【0057】
本発明に係る一般式(X)で表される化合物及び一般式(I)で表されるテトラアザポルフィン系化合物の分散状態での数平均一次粒子径は、種類により多様であるが、概ね10〜200nm程度が好ましく、10〜130nmであることがより好ましく、10〜90nmであることが最も好ましい。本発明に係る着色剤のトナーへの添加形態としては、あらゆる方法が使用可能であり、例えば結着樹脂への溶解、含浸、結着樹脂とは別の着色剤の固体分散物としての添加、また着色剤固体分散物にポリマー、高沸点油剤等を混在させた形態が考えられる。好ましい添加形態としては、重量平均粒子径10nmから1μm未満の固体分散物とする方法が安定性の観点から好ましく、粒子径10nmから130nm未満の固体分散物としたほうがより好ましく、10〜90nmの単分散性固体分散とした場合、光の散乱が抑えられ、隠蔽性粒子を無くすことができるので色再現性の観点から好ましい。また、溶解のない固体分散であるため拡散性、ブリードが抑えられ、着色剤の耐光性、耐熱性が改善される。ポリマー、高沸点油剤を混合して固体分散物とすることにより凝集を防止し粒径をコントロールすることも有効であり、必要に応じて添加することが好ましい。更に別のポリマーで被覆し、コア/シェルを形成することも、製造安定性、保存安定性を高めるために用いることができる。トナーとしては、重合トナー、粉砕トナー両方に適用可能であるが、トナーの加工性、着色剤の添加の容易性から重合トナーにより適している。
【0058】
次いで、本発明において好ましい固体分散物の作製方法について説明する。本発明において、着色剤固体分散物は、例えば、着色剤(色素)を酢酸エチル、トルエンなどの水非混和性有機溶剤中に溶解あるいは分散した後、水中で分散あるいは乳化した後、有機溶剤を除去する液中乾燥法により得ることができる。また、着色剤が固体で分散できる場合には、上記液中乾燥法を適用しなくても、界面活性剤を加えた水媒体中に固体の着色剤を分散させても良い。乳化分散機は限定されないが、例えば、超音波分散機、高速攪拌型分散機等が用いられる。
【0059】
次いで、本発明の静電荷像現像用電子写真トナーのその他の構成要素及び調製方法について説明する。
【0060】
〔着色剤〕
(イエロートナー)
本発明に用いられるイエロートナーとしては、従来公知のイエロートナーを用いることができ、その選択に際しては使用者の用途・目的に応じて最適なものを選択すればよい。
【0061】
本発明の目的効果を効果的に達成することができる観点から、イエロートナー単色として色相角は70から95の範囲が好ましく、より好ましくは80から90の範囲である。イエロー着色剤とは、該着色剤を含有する電子写真用トナーを調製し、画像を形成した場合において、イエロー色調となりうる色素である。該着色剤は、染料であってもよく、顔料であってもよい。
【0062】
イエロートナー用のイエロー着色剤としては、染料として、例えば、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162など、顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー14、同17、同74、同94、同138、同155、同180、同185などを用いることができ、またこれらの混合物も用いることができる。特に、染料では、C.I.ソルベントイエロー162、顔料ではC.I.ピグメントイエロー74、同93、同138、同180が好ましい。
【0063】
(マゼンタトナー)
本発明において用いられるマゼンタトナーは、従来公知のマゼンタトナーを用いることができ、その選択に際しては使用者の用途・目的に応じて最適なものを選択すればよい。
【0064】
次に、本発明において好適に用いられるマゼンタ着色剤について説明する。
【0065】
マゼンタ着色剤とは、該着色剤を含有する電子写真用トナーを調整し、画像を形成した場合に、マゼンタ色調となりうる色素である。該着色剤は、染料であってもよく、顔料であってもよい。
【0066】
本発明に好適に用いられるマゼンタトナーは、トナー単色として、L表色系による色相角(h)が300°から330°が好ましく、より好ましくは310°から330°の範囲である。
【0067】
マゼンタトナー用の具体的な着色剤としては、以下のものが挙げられる。
【0068】
顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド58:2、C.I.ピグメントレッド200、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド8、C.I.ピグメントレッド13、C.I.ピグメントレッド23、C.I.ピグメントレッド223、C.I.ピグメントレッド212、C.I.ピグメントレッド213、C.I.ピグメントレッド222、C.I.ピグメントレッド238、C.I.ピグメントレッド245、C.I.ピグメントレッド49:2、C.I.ピグメントレッド175、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド214、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド221、C.I.ピグメントレッド190、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド88、C.I.ピグメントレッド181等が挙げられる。
【0069】
(シアントナー)
本発明において用いられるシアントナーでは、着色剤として本発明に係る一般式(X)で表される化合物及フタロシアニン化合物と共に、本発明の目的効果を損なわない範囲で、従来公知のシアン着色剤を併用することができ、その選択に際しては使用者の用途・目的に応じて最適なものを選択すればよい。
【0070】
(黒トナー)
本発明において用いられる黒トナーは、従来公知の黒トナーを用いることができ、その選択に際しては使用者の用途・目的に応じて最適なものを選択すればよい。
【0071】
本発明に係る黒トナーに適用可能な着色剤としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラックや、マグネタイトやフェライト等の磁性粉が挙げられる。
【0072】
(併用色素)
本発明のトナーにおいては、上記説明した各着色剤と共に、他の色素を併用してもよく、共に用いられる色素としては一般に知られている色素を用いることができるが、本発明においては色素が油溶性色素であることが好ましい。油溶性色素は、通常カルボン酸やスルホン酸等の水溶性基を有さない有機溶剤に可溶で水に不溶な色素であるが、水溶性色素を長鎖の塩基と造塩することにより油溶性を示す色素も含まれる。
【0073】
例えば、酸性色素、直接色素、反応性色素と長鎖アミンとの造塩色素が知られている。以下に限定されるものではないが、例えば、オリエント化学工業株式会社製のValifast Yellow 4120、Valifast Yellow 3150、Valifast Yellow 3108、Valifast Yellow 2310N、Valifast Yellow 1101、Valifast Red 3320、Valifast Red 3304、Valifast Red 1306、Valifast Blue 2610、Valifast Blue 2606、Valifast Blue 1603、Oil Yellow GG−S、Oil Yellow 3G、Oil Yellow 129、Oil Yellow 107、Oil Yellow 105、Oil Scarlet 308、Oil Red RR、Oil Red OG、Oil Red 5B、Oil Pink 312、Oil Blue BOS、Oil Blue 613、Oil Blue 2N、Oil Black BY、Oil Black BS、Oil Black 860、Oil Black 5970、Oil Black 5906、Oil Black 5905、日本化薬株式会社製のKayaset Yellow SF−G、Kayaset Yellow K−CL、Kayaset Yellow GN、Kayaset Yellow A−G、Kayaset Yellow 2G、Kayaset Red SF−4G、Kayaset Red K−BL、Kayaset Red A−BR、Kayaset Magenta 312、Kayaset Blue K−FL、有本化学工業株式会社製のFS Yellow 1015、FS Magenta 1404、FS Cyan 1522、FS Blue 1504、C.I.Solvent Yellow 88、83、82、79、56、29、19、16、14、04、03、02、01、C.I.Solvent Red 84:1、C.I.Solvent Red 84、218、132、73、72、51、43、27、24、18、01、C.I.Solvent Blue 70、67、44、40、35、11、02、01、C.ISolvent Black 43、70、34、29、27、22、7、3、C.I.Solvent Violet 3、C.I.Solvent Green 3及び7、Plast Yellow DY352、Plast Red 8375、三井化学社製のMS Yellw HD−180、MS Red G、MS Magenta HM−1450H、MS Blue HM−1384、住友化学社製のES Red 3001、ES Red 3002、ES Red 3003、TS Red 305、ES Yellow 1001、ES Yellow 1002、TS Yellow 118、ES Orange 2001、ES Blue 600、TS Turq Blue 618、Bayer社製のMACROLEX Yellow 6G、Ceres Blue GNNEOPAN Yellow O75、Ceres Blue GN、MACROLEX Red Violet R等が挙げられる。
【0074】
油溶性色素として分散色素を用いることもでき、以下に限定されるものではないが、例えば、C.I.ディスパーズイエロー5、42、54、64、79、82、83、93、99、100、119、122、124、126、160、184:1、186、198、199、204、224及び237;C.I.ディスパーズオレンジ13、29、31:1、33、49、54、55、66、73、118、119及び163;C.I.ディスパーズレッド54、60、72、73、86、88、91、92、93、111、126、127、134、135、143、145、152、153、154、159、164、167:1、177、181、204、206、207、221、239、240、258、277、278、283、311、323、343、348、356及び362;C.I.ディスパーズバイオレット33;C.I.ディスパーズブルー56、60、73、87、113、128、143、148、154、158、165、165:1、165:2、176、183、185、197、198、201、214、224、225、257、266、267、287、354、358、365及び368並びにC.I.ディスパーズグリーン6:1及び9等が挙げられる。
【0075】
その他、油溶性色素として、フェノール、ナフトール類、ピラゾロン、ピラゾロトリアゾールなどの環状メチレン化合物、開鎖メチレン化合物などのカプラー、p−ジアミノピリジン類、アゾメチン色素、インドアニリン色素なども好ましく用いられる。
【0076】
〔界面活性剤〕
本発明のトナーに適用可能な乳化剤、分散剤、表面張力調整剤としては特に制限されるものではないが、カチオン系、アニオン系、両性、ノニオン系のいずれの界面活性剤も用いることができる。
【0077】
乳化剤あるいは分散剤として、好ましくはアニオン系またはノニオン系界面活性剤である。様々な条件を満足するため、両方の界面活性剤を併用することも可能である。アニオン系界面活性剤としては、例えば、オレイン酸ナトリウム等の高級脂肪酸塩類、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルアリールスルホン酸塩類、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩類、ポリエキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩類、モノオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルスルホコハク酸ナトリウム等のアルキルスルホコハク酸エステル塩及びその誘導体類等を挙げることができる。その他、例えば、花王(株)製の分散剤デモールSNB、MS、N、SSL、ST、P(商品名)も挙げられる。また、高分子界面活性剤として、以下の水溶性樹脂を用いることができる。水溶性樹脂として好ましく用いられるのは、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体等を挙げることができる。高分子界面活性剤の例として、その他に、アクリル−スチレン系樹脂であるジョンクリル等(ジョンソン社)が挙げられる。その他、反応性乳化剤として知られているモノマー基と界面活性剤成分の両者を有する化合物も色素溶解性が低く乳化能が高いことから有用である。反応性乳化剤としては、例えば、花王社製の「ラムテル S−120」、「ラムテル S−120A」、「ラムテル S−180」、「ラムテル S−180A」等の「ラテムル Sシリーズ」、三洋化成工業社製の「エレミノール JS−2」等の「エレミノール JSシリーズ」、ADEKA社製の「アデカリアソープ NE−10」、「アデカリアソープ NE−20」、「アデカリアソープ NE−30」などのNEシリーズ、「アデカリアソープ SE−10N」、「アデカリアソープ SE−20N」、「アデカリアソープ SE−30N」などのSEシリーズ、第一工業製薬社製の「アクアロン RN−10」、「アクアロン RN−20」、「アクアロン RN−30」、「アクアロン RN−50」などのRN シリーズ、「アクアロン HS−05」、「アクアロン HS−10」、「アクアロン HS−20」、「アクアロン HS−30」などのHS シリーズ、アクアロン BCシリーズ、「アクアロン KH−05」、「アクアロン KH−10」などのアクアロン KHシリーズなどを挙げることができる。
【0078】
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等のポリオキシエチレンオクアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレエート等のソルビタン高級脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート等のポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレート等のポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル類、オイレン酸モノグリセライド、ステアリン酸モノグリセライド等のグリセリン高級脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックコポリマー等を挙げることができる。
【0079】
両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン型、スルホベタイン型、アミノカルボン酸塩、イミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。カチオン系界面活性剤としては、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩等が挙げられる。
【0080】
これらの界面活性剤を使用する場合、単独又は2種類以上を混合して用いることができ、固体分散物に対して、0.001〜1.0質量%の範囲で添加することにより使用することができる。
【0081】
〔ポリマー〕
本発明のトナーにおいて、着色剤分散物中にポリマー(樹脂)を含有する場合、その少なくとも1種については、重量平均分子量が40,000未満、特に500以上、40,000未満であることが、微粒子を形成すること、分散安定性に優れること、画像の透明性等の観点から好ましい。
【0082】
本発明に適用可能な樹脂としては、一般に知られている樹脂が使用可能であり、例えば、(メタ)アクリレート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、アミノ系樹脂、フッ素系樹脂、フェノール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アラミド樹脂などが挙げられるが、好ましい樹脂としては、アセタール基を含有するポリマー、中でもポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、及び重合性エチレン性不飽和二重結合を有するビニルモノマーのラジカル重合によって得られたポリマーが好ましい。ビニルモノマーのラジカル共重合体に用いられる具体的なモノマーとしては、酢酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシル、2−フェノキシエチルアクリレート、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸フェニル、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル等、アセトアセトキシエチルメタクリレート、メタクリル酸グリシジルの大豆油脂肪酸変性品(ブレンマーG−FA:日本油脂社製)等が挙げられる。
【0083】
〔組成〕
本発明において、固体分散物は、着色剤(色素)、必要に応じてポリマー、高沸点油剤を含有するものである。ポリマー、高沸点油剤を添加する場合、ポリマー、高沸点油剤は全体の30〜70質量%の範囲であることが好ましい。
【0084】
〔粒径〕
本発明における、着色剤もしくは色素固体分散物は、重量平均粒子径が10nm〜200nmの範囲であることが好ましく、より好ましくは10nm〜130nmであり、特に好ましくは10nm〜90nmである。重量平均粒子径が10nm以下になると単位体積あたりの表面積が非常に大きくなるため、固体分散物の安定性が悪くなり易く、保存安定性が劣化し易い。130nmを越える大粒子では、トナーでの単位色材量あたりの彩度が低下してしまう。
【0085】
一方、彩度に対しては粒径分布も影響する。粒径分布をCV値として以下のように定義した。
【0086】
粒径測定値の全体を100%として累積曲線を求め、累積曲線が16%,50%,84%となる粒径をd16,d50,d84とした場合、CV値=(d84−d16)×100/(2×d50)。CV値としては100以下が好ましく、より好ましくは50以下であり、更に30以下がより好ましい。
【0087】
重量平均粒子径は、動的光散乱法、レーザー回折法、遠心沈降法、FFF法、電気的検知体法などを用いて求めることが可能であるが、本発明では、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて動的光散乱法で求めるのが好ましい。
【0088】
(トナーの添加剤)
本発明のトナーにおいては、下記の結着樹脂及び着色剤もしくは色素固体分散物の他、公知の荷電制御剤、オフセット防止剤等を使用することができる。荷電制御剤としては特に限定されるものではない。カラートナーに用いる負荷電制御剤としては、カラートナーの色調、透光性に悪影響を及ぼさない無色、白色あるいは淡色の荷電制御剤が使用可能であり、例えばサリチル酸誘導体の亜鉛やクロムの金属錯体、カリックスアレーン系化合物、有機ホウ素化合物、含フッ素4級アンモニウム塩系化合物等が好適に用いられる。上記サリチル酸金属錯体としては、例えば、特開昭53−127726号公報、特開昭62−145255号公報等に記載のものが、カリックスアレーン系化合物としては例えば特開平2−201378号公報等に記載のものが、有機ホウ素化合物としては例えば特開平2−221967号公報に記載のものが、有機ホウ素化合物としては例えば特開平3−1162号公報に記載のものが使用可能である。このような荷電制御剤を用いる場合、結着樹脂(結着樹脂)100質量部に対して0.1〜10質量部、好ましくは0.5〜5.0質量部使用することが望ましい。
【0089】
オフセット防止剤としても、特に制限されることはなく、例えば、ポリエチレンワックス、酸化型ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化型ポリプロピレンワックス、カルナバワックス、サゾールワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、ホホバ油ワックス、蜜ろうワックス等が使用可能である。このようなワックスの添加量は、結着樹脂100質量部に対して0.5〜5質量部、好ましくは1〜3質量部が望ましい。これは添加量が0.5質量部より少ないと添加による効果が不十分となり、5質量部より多くなると透光性や色再現性が低下するためである。
【0090】
本発明のトナーは、上記結着樹脂、色素固体分散物及びその他の所望の添加剤を使用し、混練・粉砕法、懸濁重合法、乳化重合法、乳化分散造粒法、カプセル化法等その他の公知の方法により製造することができる。これらの製造方法の中で、画像の高画質化に伴うトナーの小粒径化を考慮すると、製造コスト及び製造安定性の観点から、乳化重合方法が好ましい。
【0091】
乳化重合方法は、乳化重合によって製造された結着樹脂エマルジョンを、他の色素固体分散物等、トナー粒子成分の分散液と混合し、pH調整により生成した粒子表面の反発力と電解質添加による凝集力のバランスを取りながら緩慢凝集させ、粒径・粒度分布を制御しながら会合を行うと同時に加熱撹拌することで微粒子間の融着・形状制御を行うことによりトナー粒子を製造する。
【0092】
本発明のトナー粒子は、体積基準のメディアン径を4〜10μm、好ましくは6〜9μmに調整することが画像の高精細再現性の観点から好ましい。
【0093】
本発明においては、トナーの流動性付与やクリーニング性向上等の観点から後処理剤を添加・混合して使用することができ、特に限定されるものではない。このような後処理剤としては、例えば、シリカ微粒子やアルミナ微粒子、チタニア微粒子等の無機酸化物微粒子や、ステアリン酸アルミニウム微粒子、ステアリン酸亜鉛微粒子等の無機ステアリン酸化合物微粒子、またチタン酸ストロンチウムやチタン酸亜鉛等の無機チタン酸化合物微粒子等を使用することができ、単独あるいは異種の添加剤を併用して使用することが可能である。これらの微粒子は、耐環境安定性や耐熱保管性の観点からシランカップリング剤、チタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイル等で表面処理して用いることが望ましく、添加量はトナー100質量部に対して0.05〜5質量部、好ましくは0.1〜3質量部用いることが望ましい。
【0094】
本発明のトナーは、キャリアと混合して用いる2成分現像用トナーとして、また、キャリアを使用しない1成分現像用トナーが使用可能である。
【0095】
使用するキャリアとしては、従来、2成分現像用のキャリアとして公知のものを使用することができ、例えば、鉄やフェライト等の磁性体粒子からなるキャリア、このような磁性体粒子を樹脂で被覆してなる樹脂コートキャリア、あるいは磁性体微粉末を結着樹脂中に分散してなるバインダー型キャリア等を使用することができる。これらのキャリアの中でも、被覆樹脂としてシリコーン系樹脂、オルガノポリシロキサンとビニル系単量体との共重合樹脂(グラフト樹脂)またはポリエステル系樹脂を用いた樹脂コートキャリアを使用することがトナースペント等の観点から好ましく、特にオルガノポリシロキサンとビニル系単量体との共重合樹脂にイソシアネートを反応させて得られた樹脂で被覆したキャリアが、耐久性、耐環境安定性及び耐スペント性の観点から好ましい。上記ビニル系単量体としてはイソシアネートと反応性を有する水酸基等の置換基を有する単量体を使用する必要がある。また、キャリアの体積基準のメディアン径は20〜100μm、好ましくは20〜60μmのものを使用することが高画質の確保とキャリアかぶり防止の観点から好ましい。
【0096】
〔結着樹脂〕
本発明のトナーに含有される結着樹脂としては、固体分散物との密着性が高くなる熱可塑性樹脂が好ましく、特に溶剤可溶性のものが好ましい。更に、ポリマーの前駆体が溶剤可溶性であれば3次元構造を形成する硬化性樹脂も使用可能である。結着樹脂としては、一般にトナーの結着樹脂として用いられているものが特に制限なく用いられるが、例えば、スチレン系の樹脂やアルキルアクリレート及びアルキルメタクリレート等のアクリル系樹脂、スチレンアクリル系共重合樹脂、ポリエステル系樹脂、シリコーン系樹脂、オレフィン系樹脂、アミド系樹脂あるいはエポキシ系樹脂などが好適に用いられるが、透明性や重ね合わせ画像の色再現性を高めるため、透明性が高く、溶融特性が低粘度でシャープメルト性の高い樹脂が要求される。このような特性を有する結着樹脂としてはスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂が適している。
【0097】
また、これらの樹脂を混合して使用することもでき、更に付加重合型樹脂と重縮合型樹脂がアクリル酸などを介して複合化したポリマーも使用することが出来る。複合化した樹脂としては、(i)アクリル酸エステルやメタクリル酸エステルの如きカルボン酸エステル基を有するモノマー成分を重合したビニル系樹脂成分とポリエステル系樹脂成分との間でエステル交換反応を行うことによって形成されるもの、(ii)アクリル酸やメタクリル酸の如きカルボン酸基を有するモノマー成分を重合したビニル系樹脂成分とポリエステル成分との間でエステル化反応が生じることによって形成されるもの、(iii)フマル酸のような不飽和結合を持つモノマーを用いて重合された不飽和ポリエステル樹脂成分の存在下でビニル系モノマーを重合して形成されるもの、などが挙げられる。
【0098】
更に樹脂の末端やモノマー中に存在する官能基とその官能基に活性を持つ化合物とを反応させた変性ポリマーも使用することが出来る。
【0099】
変性ポリマーは、有機溶媒中に活性水素基を有する化合物と反応可能な部位を有する重合体を含有し、水系媒体中で造粒する際に活性水素基を有する化合物と反応させて得られ、活性水素基を有する化合物と反応可能な部位を有する重合体としては、イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマーが好ましく、活性水素基を有する化合物としてはアミン、ケチミン化合物、オキサゾリン化合等が好ましい。
【0100】
結着樹脂としては、数平均分子量(Mn)が3000〜6000、好ましくは3500〜5500、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnが2〜6、好ましくは2.5〜5.5、ガラス転移点が50〜70℃、好ましくは55〜70℃及び軟化温度が90〜110℃、好ましくは90〜105℃である樹脂を使用することが望ましい。また数平均分子量が異なるポリマーを2種以上併用することも可能である。
【0101】
結着樹脂の数平均分子量が3000より小さいとフルカラーのベタ画像を折り曲げた際に画像部が剥離して画像欠損が発生し(折り曲げ定着性が悪化し)、6000より大きいと定着時の熱溶融性が低下して定着強度が低下する。また、Mw/Mnが2より小さいと高温オフセットが発生しやすくなり、6より大きいと定着時のシャープメルト特性が低下して、トナーの透光性ならびにフルカラー画像形成時の混色性が低下してしまう。また、ガラス転移点が50℃より低いとトナーの耐熱性が不十分となって、保管時にトナーの凝集が発生しやすくなり、70℃より高いと溶融しにくくなって定着性が低下するとともにフルカラー画像形成時の混色性が低下する。また、軟化温度が90℃より低いと高温オフセットが生じやすくなり、110℃より高いと定着強度、透光性、混色性及びフルカラー画像の光沢性が低下する。
【0102】
〔画像形成方法〕
次に、本発明のトナーを用いる画像形成方法について説明する。
【0103】
本発明において、画像形成の方式については、特に限定されるものではなく、例えば、感光体上に複数の画像を形成し、一括で転写する方式、感光体に形成された画像を転写ベルトなどに逐次転写する方式など、特に限定されないが、より好ましくは感光体上の複数の画像を形成し、一括で転写する方式である。この方式は、感光体に対して均一帯電させ第一の画像に応じた露光を与え、その後、第一回目の現像を行い、感光体上に第一のトナー像を形成させる。次いで、その第一の画像が形成された感光体を均一帯電し第二の画像に応じた露光を与え、第二回目の現像を行い、感光体上に第二のトナー像を形成させる。更に、第一及び第二の画像が形成された感光体を均一帯電し第三の画像に応じた露光を与え、第三回目の現像を行い、感光体上に第三のトナー像を形成させる。更に、第一、第二及び第三の画像が形成された感光体を均一帯電し第四の画像に応じた露光を与え、第四回目の現像を行い、感光体上に第四のトナー像を形成させる。
【0104】
例えば、第一回目をイエロー、第二回目をマゼンタ、第三回目をシアン、第四回目を黒トナーで現像することで、フルカラートナー画像を感光体上に形成するものである。
【0105】
その後、感光体上に形成された画像を紙等の画像支持体に一括して転写を行い、更に画像支持体に定着し、画像を形成する。
【0106】
上記方式では、感光体上に形成された画像を一括して紙等に転写し、画像を形成する方式であるため、いわゆる中間転写方式とは異なり、画像を乱す要因となる転写の回数が1回ですみ、画像品質を高くすることができる。
【0107】
感光体に現像する方式としては、複数の現像が必要であることから、非接触現像が好ましい。また、現像に際しては交番電界を印加する方式も好ましい方式である。
【0108】
又、前記した如く、現像方式としては、像形成体上に重ね合わせカラー画像を形成し、一括転写する方式については、非接触現像方式が好ましい。
【0109】
二成分現像剤として使用することのできるキャリアの体積基準のメディアン径は15〜100μm、より好ましくは25〜60μmのものが良い。キャリアの体積基準のメディアン径の測定は、代表的には湿式分散機を備えたレーザー回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
【0110】
キャリアは、更に樹脂により被覆されているもの、あるいは樹脂中に磁性粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型キャリアが好ましい。コーティング用の樹脂組成としては、特に限定は無いが、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン/アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂あるいはフッ素含有重合体系樹脂等が用いられる。また、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、スチレン/アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール樹脂等を使用することができる。
【0111】
本発明に使用される好適な定着方法としては、いわゆる接触加熱方式を挙げることができる。特に、接触加熱方式の代表的なものとして、熱ロール定着方式及び固定配置された加熱体を内包した回動する加圧部材により定着する圧接加熱定着方式を挙げることができる。
【0112】
〔画像〕
本発明のトナーを使用して現像・転写・定着を行う画像形成において、その転写から定着の状態を説明すると、転写材の上に転写された本発明のトナーが、定着後においてもその着色剤もしくは色素固体分散物が崩壊せず、紙の表面に付着している。
【0113】
本発明においては、上記のように固体分散物をトナー粒子中に分散させることにより、トナー粒子がその着色剤もしくは色素を含むにもかかわらず、その着色剤もしくは色素がトナー粒子の表面に遊離しない(移行しない)ため、従来のトナーの問題点である、(1)帯電量が低い、(2)高温高湿下及び低温低湿下での帯電量の差が大きい(環境依存性)、(3)着色剤の種類例えばフルカラー画像記録のようにシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各顔料を用いる場合の各色トナーについて帯電量がばらつく、などを払拭することができる。また、転写材への熱定着の際その着色剤もしくは色素のその着色剤もしくは色素固体分散物外への移行(色素固体分散物表面への露出)が起こらない為、一般的な色素を使用したトナーにおいて問題となる、熱定着時の色素の昇華やオイル汚染が生じることはない。
【実施例】
【0114】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
【0115】
《トナーの調製》
〔シアントナー1の調製〕
下記トナー構成物をヘンシェルミキサ(三井三池鉱業社製)に投入し、撹拌羽の周速を25m/秒に設定して5分間混合処理した。
【0116】
〈トナー構成物〉
ポリエステル樹脂(ビスフェノールA−エチレンオキサイド付加物、テレフタル酸、トリメリット酸の縮合物 重量平均分子量19,500)
100質量部
一般式(X)で表される化合物:例示化合物(X−1) 2.3質量部
一般式(I)で表される化合物:例示化合物(I−1) 2.3質量部
離型剤(ペンタエリスリトールテトラステアレート) 6.1質量部
荷電制御剤(ジベンジル酸ホウ素) 1.0質量部
上記調製した混合物を二軸押出混練機で混練し、次いで、ハンマーミルで粗粉砕した後、ターボミル粉砕機(ターボ工業社製)で粉砕処理し、さらに、コアンダ効果を利用した気流分級機で微粉分級処理を行うことで、体積基準メディアン径が5.9μmのシアン着色粒子を得た。
【0117】
次に、上記シアン着色粒子に、下記の外添剤を添加して、ヘンシェルミキサ(三井三池鉱業社製)にて外添処理を行い、粉砕法により調製したシアントナー1を得た。
【0118】
〈外添剤〉
ヘキサメチルシラザン処理したシリカ(平均一次粒径12nm)
0.6質量部
n−オクチルシラン処理した二酸化チタン(平均一次粒径24nm)
0.8質量部
なお、ヘンシェルミキサによる外添処理は、撹拌羽根の周速35m/秒、処理温度35℃、処理時間15分の条件の下で行った。
【0119】
〔シアントナー2〜43、イエロートナー1、マゼンタトナー1の調製〕
(着色剤微粒子分散液の調製)
〈シアン着色剤微粒子分散液1の調製〉
n−ドデシル硫酸ナトリウム9.2質量部を、イオン交換水の160質量部に撹拌・溶解し、撹拌を継続しながら、着色剤化合物Aとして、一般式(I)で表される化合物として例示化合物(I−1)を5.25質量部、着色剤化合物Bとして、一般式(X)で表される化合物である例示化合物(X−1)を5.25質量部徐々に添加し、次いで、機械式分散機「クレアミックス」(エムテクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤化合物A及び着色剤化合物Bが分散されたシアン着色剤微粒子分散液1を調製した。
【0120】
このシアン着色剤微粒子分散液1が含有する着色剤化合物A及び着色剤化合物Bの粒子径を、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定したところ、各々体積基準のメディアン径で105nmであった。
【0121】
〈シアン着色剤微粒子分散液2の調製〉
上記シアン着色剤微粒子分散液1の調製において、着色剤化合物Aである例示化合物(I−1)の添加量を6.7質量部に、着色剤化合物Bである例示化合物(X−1)の添加量を3.3質量部にそれぞれ変更した以外は同様にして、粒子径が体積基準のメディアン径で105nmである着色剤化合物A及び着色剤化合物Bが分散されたシアン着色剤微粒子分散液2を調製した。
【0122】
〈シアン着色剤微粒子分散液3の調製〉
上記シアン着色剤微粒子分散液2の調製において、着色剤化合物Aとして例示化合物(I−1)に代えて、同質量の例示化合物(I−4)を用いた以外は同様にして、粒子径が体積基準のメディアン径で100nmである着色剤化合物A及び着色剤化合物Bを含むシアン着色剤微粒子分散液3を調製した。
【0123】
〈シアン着色剤微粒子分散液4の調製〉
上記シアン着色剤微粒子分散液2の調製において、着色剤化合物Aとして例示化合物(I−1)に代えて、同質量の例示化合物(I−8)を用いた以外は同様にして、粒子径が体積基準のメディアン径で100nmである着色剤化合物A及び着色剤化合物Bを含むシアン着色剤微粒子分散液4を調製した。
【0124】
〈シアン着色剤微粒子分散液5の調製〉
上記シアン着色剤微粒子分散液2の調製において、着色剤化合物Aとして例示化合物(I−1)に代えて、同質量の例示化合物(I−13)を用いた以外は同様にして、粒子径が体積基準のメディアン径で102nmである着色剤化合物A及び着色剤化合物Bを含むシアン着色剤微粒子分散液5を調製した。
【0125】
〈シアン着色剤微粒子分散液6の調製〉
上記シアン着色剤微粒子分散液2の調製において、着色剤化合物Bとして例示化合物(X−1)に代えて、同質量の例示化合物(X−6)を用いた以外は同様にして、粒子径が体積基準のメディアン径で105nmである着色剤化合物A及び着色剤化合物Bを含むシアン着色剤微粒子分散液6を調製した。
【0126】
〈シアン着色剤微粒子分散液7の調製〉
上記シアン着色剤微粒子分散液2の調製において、着色剤化合物Bとして例示化合物(X−1)に代えて、同質量の例示化合物(X−13)を用いた以外は同様にして、粒子径が体積基準のメディアン径で99nmである着色剤化合物A及び着色剤化合物Bを含むシアン着色剤微粒子分散液7を調製した。
【0127】
〈シアン着色剤微粒子分散液8の調製〉
上記シアン着色剤微粒子分散液2の調製において、着色剤化合物Bとして例示化合物(X−1)に代えて、同質量の例示化合物(X−16)を用いた以外は同様にして、粒子径が体積基準のメディアン径で98nmである着色剤化合物A及び着色剤化合物Bを含むシアン着色剤微粒子分散液8を調製した。
【0128】
〈シアン着色剤微粒子分散液9〜39の調製〉
上記シアン着色剤微粒子分散液2の調製において、着色剤化合物A及び着色剤化合物Bの種類を、それぞれ表3に記載の組み合わせに変更した以外は同様にして、シアン着色剤微粒子分散液9〜39を調製した。
【0129】
〈シアン着色剤微粒子分散液40の調製:比較例、粉砕法〉
上記シアン着色剤微粒子分散液1の調製において、着色剤化合物Bである例示化合物(X−1)を除き、着色剤化合物Aである例示化合物(I−1)のみを10質量部用いた以外は同様にして、粒子径が体積基準のメディアン径で102nmである着色剤化合物Aのみを含むシアン着色剤微粒子分散液40を調製した。
【0130】
〈シアン着色剤微粒子分散液41の調製:比較例、重合法〉
上記シアン着色剤微粒子分散液2の調製において、着色剤化合物Aである例示化合物(I−1)に代えて、ニッケルフタロシアニンを用い、更に着色剤化合物Bである例示化合物(X−1)に代えて、銅フタロシアニンを用いた以外は同様にして、粒子径が体積基準のメディアン径で85nmである着色剤化合物A及び着色剤化合物Bを含むシアン着色剤微粒子分散液41を調製した。
【0131】
〈シアン着色剤微粒子分散液42の調製:比較例、重合法〉
上記シアン着色剤微粒子分散液2の調製において、着色剤化合物Bである例示化合物(X−1)に代えて、銅フタロシアニンを用いた以外は同様にして、粒子径が体積基準のメディアン径で98nmである着色剤化合物A及び着色剤化合物Bを含むシアン着色剤微粒子分散液42を調製した。
【0132】
〈イエロー着色剤微粒子分散液1の調製:イエロートナー用〉
上記シアン着色剤微粒子分散液1の調製において、着色剤化合物Aである5.25質量部の例示化合物(1−1)及び着色剤化合物Bである5.25質量部の例示化合物(X−1)に代えて、C.I.Pigment Yellow 74を10.5質量部用いた以外は同様にして、粒子径が体積基準のメディアン径で102mである着色剤化合物A及び着色剤化合物Bを含むイエロー着色剤微粒子分散液1を調製した。
【0133】
〈マゼンタ着色剤微粒子分散液1の調製:マゼンタトナー用〉
上記シアン着色剤微粒子分散液1の調製において、着色剤化合物Aである5.25質量部の例示化合物(1−1)及び着色剤化合物Bである5.25質量部の例示化合物(X−1)に代えて、C.I.Pigment Red 122を10.5質量部用いた以外は同様にして、粒子径が体積基準のメディアン径で98mである着色剤化合物A及び着色剤化合物Bを含むマゼンタ着色剤微粒子分散液1を調製した。
【0134】
(樹脂微粒子分散液1の調製)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5000mlのセパラブルフラスコに、予めアニオン系界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:SDS)7.08gをイオン交換水2760gに溶解させた界面活性剤溶液(水系媒体)を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。一方、離型剤として下記化合物Aの72.0g、スチレンの115.1g、n−ブチルアクリレートの42.0g、メタクリル酸の10.9gから構成される単量体混合液を80℃に加温して溶解させて、第1の単量体溶液を調製した。循環経路を有する機械式分散機により、80℃に保温した上記界面活性剤溶液中に、上記第1の単量体溶液(80℃)を混合分散させ、均一な分散粒子径を有する乳化粒子(油滴)の分散液を調製した。次いで、この分散液に、重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)0.84gをイオン交換水200gに溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を80℃にて3時間にわたって加熱、撹拌することにより重合(第1段重合)を行い、ラテックスを調製した。
【0135】
次いで、このラテックスに、重合開始剤(KPS)8.00gおよび水溶性連鎖移動剤として2−クロロエタノール10.0gをイオン交換水240gに溶解させた溶液を添加し、15分経過後、80℃で、スチレン383.6g、n−ブチルアクリレート140.0g、メタクリル酸36.4gからなる第2の単量体溶液を126分間かけて滴下した。滴下終了後、60分にわたって加熱撹拌することにより重合(第2段重合)を行った後、40℃まで冷却し樹脂微粒子〔1〕を含有する樹脂微粒子分散液1を調製した。
【0136】
化合物A:C{CHOCO(CHOCH
(シアントナー2の調製)
〈シアントナー母体粒子2の調製〉
上記樹脂微粒子分散液1の1250gと、イオン交換水2000gと、シアン着色剤微粒子分散液1の165gとを、温度センサー、冷却管、窒素導入装置、撹拌装置を取り付けた5リットルの四つ口フラスコに入れて撹拌して会合用溶液を準備した。この会合用溶液の内温を30℃に調整した後、5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加え、pHを10.0に調整した。次いで、塩化マグネシウム6水和物52.6gをイオン交換水72gに溶解した水溶液を、撹拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置した後に昇温を開始し、この系を6分間かけて90℃まで昇温した(昇温速度=10℃/分)。その状態で、「コールターマルチサイザーTA−3」(ベックマン・コールター社製)にて会合粒子の平均粒径を測定し、体積基準のメディアン径が6.5μmになった時点で、塩化ナトリウム115gをイオン交換水700gに溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させ、さらに、液温度90℃±2℃にて6時間にわたって加熱、撹拌することにより融着を継続させた。その後、6℃/分の条件で30℃まで冷却し、塩酸を添加してpHを2.0に調整し、撹拌を停止した。生成した会合粒子を固液分離し、15リットルのイオン交換水による洗浄を4回繰り返し、その後、40℃の温風で乾燥して、シアントナー母体粒子2を得た。
【0137】
〈シアントナーの調製〉
上記調製したシアントナー母体粒子2に、疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm、疎水化度=68)を1質量%および疎水性酸化チタン(数平均一次粒子径=20nm、疎水化度=63)を1質量%添加し、「ヘンシェルミキサ」(三井三池化工機社製)により混合した。その後、45μmの目開きのフルイを用いて粗大粒子を除去し、シアントナー母体粒子2よりなるシアントナー2を調製した。
【0138】
(シアントナー3〜43の調製)
上記シアントナー母体粒子2の調製において、シアン着色剤微粒子分散液1の代わりにそれぞれシアン着色剤微粒子分散液2〜42を用いた以外は同様にして、シアントナー母体粒子3〜43を調製した。
【0139】
次いで、上記シアントナー2の調製と同様にして外添剤処理を行うことにより、シアントナー母体粒子3〜43を用いて、シアントナー3〜43を調製した。
【0140】
(イエロートナー1の調製)
上記シアントナー2の調製において、シアン着色剤微粒子分散液1に代えて、イエロー着色剤微粒子分散液1を用いた以外は同様にして、イエロートナー母体粒子1を調製し、このイエロートナー母体粒子1を用いてシアントナー1の調製と同様にして外添剤処理を行うことにより、イエロートナー1を調製した。
【0141】
(マゼンタトナー1の調製)
上記シアントナー2の調製において、シアン着色剤微粒子分散液1に代えて、マゼンタ着色剤微粒子分散液1を用いた以外は同様にして、マゼンタトナー母体粒子1を調製し、このマゼンタトナー母体粒子1を用いてシアントナー1の調製と同様にして外添剤処理を行うことにより、マゼンタトナー1を調製した。
【0142】
《現像剤の調製》
上記調製したシアントナー1〜43、イエロートナー1およびマゼンタトナー1の各々に、シリコーン樹脂を被覆した体積基準のメディアン径60μmのフェライトキャリアを、各トナー濃度が6質量%になる条件で混合し、二成分現像剤であるシアン現像剤1〜43、イエロー現像剤1、マゼンタ現像剤1を調製した。
【0143】
上記調製した各現像剤の主な構成を、表3に示す。
【0144】
【表3】

【0145】
《現像剤を用いた各評価》
〔低明度シアン領域における発色性の評価〕
上記調製したシアン現像剤1〜43、イエロー現像剤1、マゼンタ現像剤1を、フルカラー高速複合機「bizhub C 6500」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)に装填し、定着線速310mm/min(約65枚/分)に設定された条件下でプリント画像形成動作を行い、低明度のシアン領域にあたるパッチ画像(L=30、色相角h=220°)を、記録紙として「PODグロスコート紙128g/m」(王子製紙社製)を用いてプリントし、下記の方法に従って彩度Cを測定した。
【0146】
〈彩度Cの測定〉
彩度Cを算出するために、はじめにLを測定した。Lの測定は、具体的には、分光光度計「Gretag Macbeth Spectrolino」(Gretag Macbeth社製)を用い、光源にD65光源、反射測定アパーチャにφ4mmのものを使用し、測定波長域380〜730nmを10nm間隔、視野角(observer)を2°、基準合わせに専用白タイルを用いた条件下で測定した。
【0147】
次いで、測定したa、b値を基にして、下式に従って彩度Cを求めた。
【0148】
彩度C=〔(a+(b1/2
上記測定した彩度Cを基に、下記の基準に従って、低明度シアン領域における発色性を評価した。
【0149】
A:彩度Cが、23以上である
B:彩度Cが、21以上、23未満である
C:彩度Cが、19以上、21未満である
D:彩度Cが、19未満である
上記判断基準において、ランクがAまたはBであれば、実用上問題のない低明度シアン領域における発色性であると判定した。
【0150】
〔高明度シアン領域における発色性の評価〕
上記低明度シアン領域における発色性の評価において、出力画像として、低明度のシアン領域にあたるパッチ画像(L=30、色相角h=220°)に代えて、高明度のシアン領域にあたるパッチ画像(L=60、色相角h=220°)を用いた以外は同様にして、彩度Cを測定し、得られた彩度Cを基に、下記の基準に従って、高明度シアン領域における発色性を評価した。
【0151】
A:彩度Cが、47以上である
B:彩度Cが、43以上、47未満である
C:彩度Cが、39以上、43未満である
D:彩度Cが、39未満である
上記判断基準において、ランクがAまたはBであれば、実用上問題のない高明度シアン領域における発色性であると判定した。
【0152】
〔帯電性の湿度依存性の評価〕
帯電性の湿度依存性の評価は、シアン現像剤1〜43を、市販のデジタルカラー複写機(複合機)bizhub C352(コニカミノルタビジネステクノロジーズ製)のシアン現像器を駆動する単体駆動機に装填して行った。
【0153】
20℃、50%RHの環境下で72時間放置したシアン現像器2台を、一方は、1)として33℃、80%RH環境下で2時間放置した。他方は、2)として10℃、12%RHの環境下で2時間放置した。
【0154】
次いで、1)及び2)の環境下で放置した各現像器を30秒、1200秒駆動した後、それぞれの現像器より現像剤を各5gサンプリングし、トナーの帯電量をブローオフ法で測定し、下記の基準に従って帯電性の湿度依存性を評価した。なお、ブローオフ法による帯電量の測定は、ブローオフ帯電量測定装置「TB−200(東芝ケミカル社製)」を用いて行った。
【0155】
A:30秒駆動後、1200秒駆動後共に、1)の保管環境における帯電量値と、2)の保管環境における帯電量値は、いずれも3.0マイクロC/g未満である
B:30秒駆動後、1200秒駆動後共に、1)の保管環境における帯電量値と、2)の保管環境における帯電量値は、いずれも3.0マイクロC/g以上、5.0マイクロC/g未満である
C:30秒駆動後、1200秒駆動後共に、1)の保管環境における帯電量値と、2)の保管環境における帯電量値は、いずれも7.0マイクロC/g以上である
〔帯電速度の評価〕
発色性の評価に用いたのと同様のフルカラー高速複合機「bizhub C 6500」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)に、各色現像剤を充填した後、画素率75%の条件で、トナー消費量、補給量が著しく多いプリントモードで1000枚プリントを行った後、フルカラー高速複合機内におけるトナーこぼれと1000枚目プリントの画像かすれを目視観察し、下記の基準に従って、帯電速度の評価を行った。
【0156】
A:1000枚プリント後に、帯電不良によるトナーこぼれ及び画像のかすれの発生は全く認められない
B:1000枚プリント後に、帯電不良によるトナーこぼれは認められないが、プリントの後端に軽微なかすれ発生が確認されるが、実用上問題なし
C:1000枚プリント後に、帯電不良によるトナーこぼれ及び画像のかすれ発生が認められ、実用上懸念される品質である
〔中抜け耐性の評価〕
フルカラー複写機(CF−3102、2成分現像方式 コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)に、シアン現像剤1〜43、イエロー現像剤1、マゼンタ現像剤1をそれぞれセットし、CW比各色5%(レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)、ブラック(Bk)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のTotal 35%)の画像を1000枚印字した。その後、常温常湿環境(23℃、55%RH)及び過酷条件として高温高湿環境(30℃、85%RH)で、フルカラー複写機をそれぞれ20時間放置した後、再プリントにより得られた画像サンプルにおける中抜けの発生状況について目視観察し、下記の基準に従って中抜け耐性(転写性)の評価を行った。
【0157】
中抜け耐性に劣る現像剤は、保管環境として高温高湿環境になると、トナー間の凝集力が強くなり、同時に帯電量も低下する為、中抜け性能は悪化する傾向にある。
【0158】
A:画像上での中抜けの発生は認められなかった
B:画像上で微細な中抜けの発生が認められるが、画像欠損のレベルまでには到らず、実用上許容される品質である
C:画像上に多数の中抜けが発生し、かつ一部の画像で欠損も発生しており、実用上問題となる品質である
以上により得られた各評価結果を、表4に示す。
【0159】
【表4】

【0160】
表4に記載の結果より明らかなように、本発明で規定する構成からなるシアントナーを用いて調製した現像剤は、比較例に対し、低明度シアン領域及び高明度シアン領域における発色性、帯電性の湿度依存性、帯電速度及び中抜け耐性に優れていることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色剤として、(A)フタロシアニン化合物及び(B)下記一般式(X)で表される化合物を含有することを特徴とする静電荷像現像用電子写真トナー。
【化1】

〔式中、Mは2個の水素原子、2価の金属原子、3価の金属原子、または4価の金属原子を表し、Xは各々独立に、水素原子、酸素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、置換若しくは未置換のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、−(OPR1112)、(−OPOR1314)、−(OCOR18)、−(OR19)、−(OCOCOOR20)、−(OCOCOR21)、−(OCONR2223)または下記一般式(Y)で表される基を示す。R11からR23は各々水素原子または任意の置換基を表す。nは0、1または2を表す。Rx1、Rx2、Rx3、Rx4は各々独立に置換基を表し、n1、n2、n3、n4は各々独立に0から8の正数を表す。〕
【化2】

〔式中、R、R、Rは、各々独立に炭素数が1から22のアルキル基、炭素数が6から18のアリール基、炭素数が1から22のアルコキシ基、または炭素数が6から18のアリールオキシ基を示す。なお、R、R、Rはお互い同じ基であっても、異なる基であってもよい。〕
【請求項2】
前記(A)フタロシアニン化合物が、下記一般式(I)で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用電子写真トナー。
【化3】

〔式中、Mは、ケイ素原子(Si)、ゲルマニウム原子(Ge)、またはスズ原子(Sn)を表す。また、Zは、各々独立に、ヒドロキシ基、塩素原子、炭素数が6から18のアリールオキシ基、炭素数が1から22のアルコキシ基、または前記一般式(Y)で表される基を示す。A、A、A及びAは、各々独立に下記に示す電子吸引性置換基を有してもよい芳香環を形成する原子団群から選ばれる少なくとも1種を表す。〕
【化4】


【公開番号】特開2011−242502(P2011−242502A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−112887(P2010−112887)
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】