説明

静電荷現像用トナー、静電荷現像用現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び、画像形成方法

【課題】耐光性に優れる静電荷現像用トナーの提供。
【解決手段】光輝性顔料とアゾ系黄色顔料とマゼンタ顔料とを着色剤として含有する静電荷現像用トナー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電荷現像用トナー、静電荷現像用現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び、画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属光沢のごとき輝きを有する画像を形成する目的から、光輝性のトナーが用いられている。
【0003】
着色剤の少量添加でも光輝性ある金色印字を得ることが出来、低コストで帯電性や低温定着性にも優れた静電潜像現像用金色トナーを提供するため、少なくとも結着樹脂と着色剤とを含むトナーであって、前記着色剤が、平均厚さ2μm以上5μm以下、長手方向平均長15μm以上500μm以下の平板状ガラスフレークに銀をコーティングした光輝性顔料であることを特徴とする静電潜像現像用金色トナーが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−207941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、マゼンタ顔料を着色剤として含有しない場合に比較して、耐光性に優れる静電荷現像用トナーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
即ち、請求項1に係る発明は、光輝性顔料とアゾ系黄色顔料とマゼンタ顔料とを着色剤として含有する静電荷現像用トナーである。
【0007】
請求項2に係る発明は、前記マゼンタ顔料が、ナフトール系マゼンタ顔料及びキナクリドン系マゼンタ顔料からなる群より選択される少なくとも一種である請求項1に記載の静電荷現像用トナーである。
【0008】
請求項3に係る発明は、前記アゾ系黄色顔料と前記マゼンタ顔料との比率(質量基準)が、5:1乃至100:1である請求項1又は請求項2に記載の静電荷現像用トナーである。
【0009】
請求項4に係る発明は、前記光輝性顔料の分散径が、1μm以上10μm以下である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の静電荷現像用トナーである。
【0010】
請求項5に係る発明は、前記光輝性顔料の含有量が、10質量%以上20質量%以下である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の静電荷現像用トナーである。
【0011】
請求項6に係る発明は、前記アゾ系黄色顔料及び前記マゼンタ顔料の合計量が、前記光輝性顔料100質量部に対して5質量部以上30質量部以下である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の静電荷現像用トナーである。
【0012】
請求項7に係る発明は、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の静電荷現像用トナーを含む静電荷現像用現像剤である。
【0013】
請求項8に係る発明は、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の静電荷現像用トナーを収納し、
画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジである。
【0014】
請求項9に係る発明は、請求項7に記載の静電荷現像用現像剤を収納し、潜像保持体表面に形成された静電荷像を前記静電荷現像用現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段を備え、
画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジである。
【0015】
請求項10に係る発明は、潜像保持体と、前記潜像保持体表面を帯電する帯電手段と、前記潜像保持体表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、前記静電荷像を請求項7に記載の静電荷現像用現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着手段と、を備える画像形成装置である。
【0016】
請求項11に係る発明は、潜像保持体表面を帯電する帯電工程と、前記潜像保持体表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、前記静電荷像を請求項7に記載の静電荷現像用現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着工程と、を有する画像形成方法である。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る発明によれば、マゼンタ顔料を着色剤として含有しない場合に比較して、耐光性に優れる静電荷現像用トナーが提供される。
【0018】
請求項2に係る発明によれば、ナフトール系マゼンタ顔料及びキナクリドン系マゼンタ顔料からなる群より選択される少なくとも一種以外のマゼンタ顔料を用いた場合に比較して、耐光性がさらに向上する。
【0019】
請求項3に係る発明によれば、アゾ系黄色顔料とマゼンタ顔料との比率(質量基準)が、5:1乃至100:1の範囲外である場合に比較して、耐光性がさらに向上する。
【0020】
請求項4に係る発明によれば、光輝性顔料の分散径が1μm以上10μm以下の範囲外である場合に比較して、トナー画像の光沢感が向上する。
【0021】
請求項5に係る発明によれば、光輝性顔料の含有量が10質量%以上20質量%以下の範囲外である場合に比較して、トナー画像の光沢感が向上する。
【0022】
請求項6に係る発明によれば、アゾ系黄色顔料及びマゼンタ顔料の合計量が光輝性顔料100質量部に対して5質量部以上30質量部以下の範囲外である場合に比較して、金色を呈するトナー画像が得られる。
【0023】
請求項7に係る発明によれば、マゼンタ顔料を着色剤として含有しない場合に比較して、耐光性に優れる静電荷現像用現像剤が得られる。
【0024】
請求項8に係る発明によれば、マゼンタ顔料を着色剤として含有しない場合に比較して、耐光性に優れる静電荷現像用トナーの供給を容易にするトナーカートリッジが提供される。
【0025】
請求項9に係る発明によれば、マゼンタ顔料を着色剤として含有しない場合に比較して、耐光性に優れる静電荷現像用現像剤の取り扱いを容易にし、種々の構成の画像形成装置への適応性を高められる。
【0026】
請求項10に係る発明によれば、マゼンタ顔料を着色剤として含有しない場合に比較して、耐光性に優れる静電荷現像用トナーを用いた画像形成装置が提供される。
【0027】
請求項11に係る発明によれば、マゼンタ顔料を着色剤として含有しない場合に比較して、耐光性に優れる静電荷現像用トナーを用いた画像形成方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本実施形態の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の静電荷現像用トナー、静電荷現像用現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び、画像形成方法の実施形態について詳細に説明する。
【0030】
<静電荷現像用トナー>
本実施形態に係る静電荷現像用トナー(以下、単にトナーと称することがある)は、光輝性顔料とアゾ系黄色顔料とマゼンタ顔料とを着色剤として含有する。
本実施形態のトナーは金色トナーとして好適に使用されるが、本実施形態のトナーの色味は金色に限定されるものではない。
【0031】
着色剤として光輝性顔料とアゾ系黄色顔料とを組み合わせて用いたトナーでは、光輝性顔料で生じた反射光の多くが耐光性に劣るアゾ系黄色顔料に照射するためアゾ系黄色顔料が退色してトナーとしての耐光性に課題があった。その結果、紫外光を長時間浴びた条件下では狙いの光輝性を得ることができないことがあった。
本実施形態ではアゾ系黄色顔料と共にマゼンタ顔料を併用するため、光輝性顔料の反射光の照射をアゾ系黄色顔料と耐光性に優れたマゼンタ顔料に分散することができ、トナーとしての耐光性の課題が改善される。
【0032】
本実施形態のトナーは光輝性顔料とアゾ系黄色顔料とマゼンタ顔料とを着色剤として含有し、必要に応じて結着樹脂、離型剤等のその他の成分を含有してもよい。以下、本実施形態のトナーを構成する各成分について説明する。
【0033】
−着色剤−
本実施形態のトナーにおいては、着色剤として光輝性顔料とアゾ系黄色顔料とマゼンタ顔料とが用いられる。必要に応じてその他の顔料が併用されてもよい。
【0034】
(光輝性顔料)
本実施形態で用いられる光輝性顔料としては、例えば、アルミニウム、黄銅、青銅、ニッケル、ステンレス、亜鉛などの金属粉末、酸化チタンや黄色酸化鉄により被覆された雲母、硫酸バリウム、層状ケイ酸塩、層状アルミニウムのケイ酸塩などの被覆薄片状無機結晶基質、単結晶板状酸化チタン、塩基性炭酸塩、酸オキシ塩化ビスマス、天然グアニン、薄片状ガラス粉、金属蒸着された薄片状ガラス粉など、光輝性を有するものならば特に制限はない。これらの中でも、光輝性、環境安全性、耐薬品性の理由からアルミニウムを光輝性顔料として用いることが望ましい。
【0035】
(アゾ系黄色顔料)
本実施形態に用いられるアゾ系黄色顔料としては、例えば、C.I.Pigment Yellow 74、C.I.Pigment Yellow 1、2、3、5、6、49、65、73、75、97、98、111、116、130等のモノアゾ系顔料、
C.I.Pigment Yellow 93、C.I.Pigment Yellow 94、95、128、166等のジスアゾ縮合系顔料、C.I.Pigment Yellow 12、13、14、17、55、63、81、83、87、90、106、113、114、121、124、126、127、136、152、170、171、172、174、176、188等のジスアゾ系顔料等が挙げられる。これらの中でも、顔料分散性の理由からC.I.Pigment Yellow 74をアゾ系黄色顔料として用いることが望ましい。
【0036】
(マゼンタ顔料)
本実施形態に用いられるマゼンタ顔料としては、例えば、ナフトール系マゼンタ顔料、キナクリドン系マゼンタ顔料、ジケトピロロピロール系マゼンタ顔料、インジゴ系マゼンタ顔料等が挙げられる。これらの中でも、帯電性、安全性の理由からナフトール系マゼンタ顔料及びキナクリドン系マゼンタ顔料からなる群より選択される少なくとも一種をマゼンタ顔料として用いることが望ましい。
【0037】
(その他の顔料)
本実施形態においては、上記顔料以外のその他の顔料を併用してもよい。本実施形態で使用してもよいその他の顔料としては、例えば、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭、非磁性フェライト、マグネタイト、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジRK、インダスレンブリリアントオレンGK、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、ファストスカイブルー、インダスレンブルーBC、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレレート、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、酸化クロム、クロムグリーン、ピグメントグリーン、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等が挙げられる。
【0038】
本実施形態のトナーに含まれるアゾ系黄色顔料とマゼンタ顔料との比率(質量基準)は5:1乃至100:1であることが望ましい。前記比率が5:1よりもマゼンタ顔料が少なければ、本実施形態のトナーを用いてトナー画像を形成した際に良好な金色を呈する画像が得られる。前記比率が100:1よりもマゼンタ顔料が多ければ、トナー画像の耐光性がさらに向上する。前記比率は、20:1乃至90:1がさらに望ましく、30:1乃至80:1が特に望ましい。
【0039】
本実施形態のトナーに含まれる光輝性顔料の分散径は1μm以上10μm以下であることが望ましい。光輝性顔料の分散径が上記範囲であると、光沢感に優れるトナー画像が得られる。分散径のさらに望ましい範囲は2μm以上9μmであり、3μm以上7μm以下が特に望ましい。
光輝性顔料の分散径は下記方法により測定される。
30分硬化型のエポキシ樹脂を装置専用のスタブに滴下し30分放置する。試料をエポキシ樹脂上にまぶし、一昼夜以上おいた後、ウルトラミクロトーム(ウルトラソニック)にてトナー断面を作製する。トナー断面を走査型透過電子顕微鏡(STEM)、もしくはSchottky型電界放射型走査型電子顕微鏡(Schottky FE-SEM)で観察し、顔料の分散径を判断する。
【0040】
本実施形態のトナーにおける光輝性顔料の含有量は10質量%以上20質量%以下であることが望ましい。光輝性顔料の含有量が上記範囲であると、光沢感に優れるトナー画像が得られる。含有量のさらに望ましい範囲は11質量%以上18質量%以下であり、13質量%以上17質量%以下が特に望ましい。
【0041】
本実施形態のトナーに含まれるアゾ系黄色顔料及びマゼンタ顔料の合計量は、本実施形態のトナーに含まれる光輝性顔料100質量部に対して5質量部以上30質量部以下が望ましい。アゾ系黄色顔料及びマゼンタ顔料の合計量が上記範囲であると、本実施形態のトナーを用いてトナー画像を形成した際に良好な金色を呈する画像が得られる。アゾ系黄色顔料及びマゼンタ顔料の合計量は光輝性顔料100質量部に対して7質量部以上25質量部以下がさらに望ましく、10質量部以上20質量部以下が特に望ましい。
【0042】
−結着樹脂−
本実施形態のトナーは結着樹脂を含有してもよい。
本実施形態に用いられる結着樹脂としては、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のエチレン系樹脂;ポリスチレン、α−ポリメチルスチレン等のスチレン系樹脂;ポリメチルメタアクリレート、ポリアクリロニトリル等の(メタ)アクリル系樹脂;ポリアミド樹脂、ポリカーボネイト樹脂、ポリエーテル樹脂およびこれらの共重合樹脂等が挙げられる。これらの中でも、定着画像の表面の平滑性が高く、さらなる光輝性に優れる画像が形成されるポリエステル樹脂を用いることが望ましい。
以下においては、特に好ましく用いられるポリエステル樹脂について説明する。
【0043】
本実施形態に係るポリエステル樹脂とは、例えば、主として多価カルボン酸類と多価アルコール類との縮重合により得られるものである。
前記多価カルボン酸の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、などの芳香族カルボン酸類;無水マレイン酸、フマール酸、コハク酸、アルケニル無水コハク酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸類;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸類が挙げられ、これらの多価カルボン酸が1種または2種以上用いられる。
これら多価カルボン酸の中でも、芳香族カルボン酸を用いることが好ましく、また良好なる定着性を確保するために架橋構造あるいは分岐構造をとるためにジカルボン酸とともに3価以上のカルボン酸(トリメリット酸やその酸無水物等)を併用することが好ましい。
【0044】
前記多価アルコールの例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、などの脂肪族ジオール類;シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなどの脂環式ジオール類;ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの芳香族ジオール類が挙げられる。これら多価アルコールの1種または2種以上が用いられる。
これら多価アルコールの中でも、芳香族ジオール類、脂環式ジオール類が好ましく、このうち芳香族ジオールがより好ましい。また、より良好なる定着性を確保するため、架橋構造あるいは分岐構造をとるためにジオールとともに3価以上の多価アルコール(グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール)を併用してもよい。
【0045】
本実施形態に係るトナーは、加熱による粘度の急激な変化がより現れる点、さらに機械的強度と低温定着性との両立の観点から、結着樹脂として結晶性ポリエステル樹脂を含有してもよい。
本実施形態に係るトナー中における結晶性ポリエステル樹脂の含有量としては、2質量%以上30質量%以下が好ましく、4質量%以上25質量%以下がより好ましい。
【0046】
結晶性ポリエステル樹脂の融解温度は、50℃以上100℃以下の範囲であることが好ましく、55℃以上95℃以下の範囲であることが好ましく、60℃以上90℃以下の範囲であることがより好ましい。
【0047】
なお、本実施形態に係る「結晶性ポリエステル樹脂」とは、示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry;以下、「DSC」と略記することがある)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有するものを指す。また、結晶性ポリエステル樹脂は、その主鎖に対して他成分を共重合したポリマーの場合、他成分が50質量%以下の場合は、この共重合体も結晶性ポリエステルと呼ぶ。
【0048】
前記結晶性ポリエステル樹脂は、酸(ジカルボン酸)成分とアルコール(ジオール)成分とから合成されるものであり、下記において、「酸由来構成成分」とは、ポリエステル樹脂において、ポリエステル樹脂の合成前には酸成分であった構成部位を指し、「アルコール由来構成成分」とは、ポリエステル樹脂の合成前にはアルコール成分であった構成部位を指す。
【0049】
〔酸由来構成成分〕
前記酸由来構成成分となるための酸としては、種々のジカルボン酸が挙げられるが本実施形態に係る結晶性ポリエステル樹脂における酸由来構成成分としては、直鎖型の脂肪族ジカルボン酸が望ましい。
例えば、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼリン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸など、或いはその低級アルキルエステルや酸無水物が挙げられるが、この限りではない。これらの中では、アジピン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸が好ましい。
【0050】
酸由来構成成分としては、その他として2重結合を持つジカルボン酸由来構成成分、スルホン酸基を持つジカルボン酸由来構成成分等の構成成分を含有していてもよい。
上記スルホン基を持つジカルボン酸としては、例えば、2−スルホテレフタル酸ナトリウム塩、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩、スルホコハク酸ナトリウム塩等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級アルキルエステル、酸無水物等も挙げられる。これらの中でも、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩等が好ましい。
これらの脂肪族ジカルボン酸由来構成成分以外の酸由来構成成分(2重結合を持つジカルボン酸由来構成成分および/またはスルホン酸基を持つジカルボン酸由来構成成分)の、酸由来構成成分における含有量としては、1構成モル%以上20構成モル%以下が好ましく、2構成モル%以上10構成モル%以下がより好ましい。
【0051】
なお、本明細書において「構成モル%」とは、ポリエステル樹脂における酸由来構成成分全体中の当該酸由来構成成分、または、アルコール由来構成成分全体中の当該アルコール構成成分を、各1単位(モル)としたときの百分率を指す。
【0052】
〔アルコール由来構成成分〕
アルコール由来構成成分となるためのアルコールとしては、脂肪族ジオールが望ましく、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9―ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ドデカンジオール、1,12−ウンデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオール、などが挙げられるが、この限りではない。これらの中でも、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールが好ましい。
【0053】
(ポリエステル樹脂の製造方法)
ポリエステル樹脂の製造方法としては、特に制限はなく、酸成分とアルコール成分とを反応させる一般的なポリエステル重合法で製造される。例えば、直接重縮合、エステル交換法等を、モノマーの種類によって使い分けて製造する。前記酸成分とアルコール成分とを反応させる際のモル比(酸成分/アルコール成分)としては、反応条件等によっても異なるため、一概には言えないが、高分子量化するためには通常1/1程度が好ましい。
【0054】
ポリエステル樹脂の製造の際に使用し得る触媒としては、ナトリウム、リチウム等のアルカリ金属化合物;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属化合物;亜鉛、マンガン、アンチモン、チタン、スズ、ジルコニウム、ゲルマニウム等の金属化合物;亜リン酸化合物;リン酸化合物;およびアミン化合物等が挙げられる。
【0055】
結着樹脂の分子量(重量平均分子量;Mw)は、15000以上300000以下が望ましく、25000以上130000以下がさらに望ましい。
【0056】
本実施形態において、結着樹脂の重量平均分子量は、GPC(Gel Permeation Chromatography)により測定し、算出された値をいう。具体的には、GPCは東ソー(株)製HLC−8120を使用し、カラムは東ソー製TSKgel SuperHMーM(15cm)を使用し、結着樹脂をTHF溶媒で測定した。次に、単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して結着樹脂の重量平均分子量を算出した。
【0057】
−離型剤−
本実施形態のトナーは離型剤を含有してもよい。
離型剤としては、例えば、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン等のパラフィンワックス;シリコーン樹脂;ロジン類;ライスワックス;カルナバワックス;等が挙げられる。これらの離型剤の融解温度は、50℃以上100℃以下が望ましく、60℃以上95℃以下がより望ましい。
トナー中の離型剤の含有量は、0.5質量%以上15質量%以下が望ましく、1.0質量%以上12質量%以下がより望ましい。
【0058】
−その他の添加剤−
本実施形態のトナーには、上記した成分以外にも、更に必要に応じて内添剤、帯電制御剤、無機粉体(無機粒子)、有機粒子等の種々の成分を添加してもよい。
【0059】
帯電制御剤としては、例えば4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミ、鉄、クロムなどの錯体からなる染料、トリフェニルメタン系顔料などが挙げられる。
【0060】
無機粒子としては、例えば、シリカ粒子、酸化チタン粒子、アルミナ粒子、酸化セリウム粒子、あるいはこれらの表面を疎水化処理した物等、公知の無機粒子を単独または2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、屈折率が前記結着樹脂よりも小さいシリカ粒子が好ましく用いられる。また、シリカ粒子は種々の表面処理を施されてもよく、例えばシラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、シリコーンオイル等で表面処理したものが好ましく用いられる。
【0061】
−トナーの特性−
本実施形態におけるトナーの体積平均粒子径は2μm以上20μm以下の範囲であることが望ましく、より望ましくは3μm以上15μm以下の範囲であり、さらに望ましくは5μm以上10μm以下の範囲である。体積平均粒子径が2μm以上であれば、トナー流動性が向上し、各粒子の帯電性が向上しやすい。また、帯電分布が広がらないため、背景へのかぶりや現像器からのトナーこぼれ等が生じにくくなる。また2μm以上であれば、クリーニング性が困難となることがない。体積平均粒子径が20μm以下であれば、解像度が向上するため、十分な画質が得られ、近年の高画質要求が満たされる。
【0062】
なお、上記体積平均粒子径の測定は、コールターマルチサイザー(コールター社製)を用いて、50μmのアパーチャー径で行われる。この際、測定はトナーを電解質水溶液(アイソトン水溶液)に分散させ、超音波により30秒以上分散させた後に行った。
【0063】
さらに、本実施形態のトナーは、形状係数SF1が110以上140以下の範囲の球状形状であることが好ましい。形状がこの範囲の球状であることにより、転写効率、画像の緻密性が向上し、高画質な画像が形成される。
上記形状係数SF1は110以上130以下の範囲であることがより好ましい。
【0064】
ここで上記形状係数SF1は、下記式(1)により求められる。
SF1=(ML/A)×(π/4)×100 ・・・ 式(1)
上記式(1)中、MLはトナーの絶対最大長、Aはトナーの投影面積を各々示す。
【0065】
前記SF1は、主に顕微鏡画像または走査型電子顕微鏡(SEM)画像を画像解析装置を用いて解析することによって数値化され、例えば、以下のようにして算出される。すなわち、スライドガラス表面に散布した粒子の光学顕微鏡像をビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、100個の粒子の最大長と投影面積を求め、上記式(1)によって計算し、その平均値を求めることにより得られる。
【0066】
<トナーの製造方法>
本実施形態のトナーは、トナー粒子を製造後、トナー粒子に対して外添剤を添加することで作成してもよい。
トナー粒子の製造方法は特に限定されず、公知である混練・粉砕製法等の乾式法や、乳化凝集法や懸濁重合法等の湿式法等によって作製される。
混練・粉砕製法は、着色剤を始めとする各材料を混合した後、ニーダー、押し出し機などを用いて上記材料を溶融混練して、得られた溶融混錬物を粗粉砕した後、ジェットミル等で粉砕し、風力分級機により、目的とする粒径のトナー粒子を得る方法である。
これらの方法の中でも、トナー粒子の形状やトナー粒子の粒子径を制御しやすく、コアシェル構造などトナー粒子構造の制御範囲も広い乳化凝集法が望ましい。以下、乳化凝集法によるトナー粒子の製造方法について詳しく説明する。
【0067】
本実施形態の乳化凝集法はトナー粒子を構成する原料を乳化して樹脂粒子(乳化粒子)等を形成する乳化工程と、該樹脂粒子の凝集体を形成する凝集工程と、凝集体を融合させる融合工程とを有する。
【0068】
(乳化工程)
樹脂粒子分散液の作製は一般的な重合法による樹脂粒子分散液作成、例えば乳化重合法や懸濁重合法、分散重合法などを用いる他にも、水系媒体と結着樹脂とを混合した溶液に、分散機により剪断力を与えることにより乳化して行ってもよい。その際、加熱して樹脂成分の粘性を下げて粒子を形成してもよい。また分散した樹脂粒子の安定化のため、分散剤を使用してもよい。さらに、樹脂が油性で水への溶解度の比較的低い溶剤に溶解するものであれば、該樹脂をそれらの溶剤に解かして水中に分散剤や高分子電解質と共に粒子分散し、その後加熱又は減圧して溶剤を蒸散することにより、樹脂粒子分散液が作製される。
【0069】
水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水;アルコール類;などが挙げられるが、水のみであることが望ましい。
また、乳化工程に使用される分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウム等の水溶性高分子;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタデシル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等のアニオン性界面活性剤、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミンオキサイド等の両性イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等のノニオン性界面活性剤等の界面活性剤;リン酸三カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等の無機塩;等が挙げられる。
【0070】
前記乳化液の作製に用いる分散機としては、例えば、ホモジナイザー、ホモミキサー、加圧ニーダー、エクストルーダー、メディア分散機等が挙げられる。樹脂粒子の大きさとしては、その平均粒子径(体積平均粒子径)は1.0μm以下が望ましく、60nm以上300nm以下の範囲であることがより望ましく、さらに望ましくは150nm以上250nm以下の範囲である。60nm以上では、樹脂粒子が分散液中で不安定な粒子となりやすいため、該樹脂粒子の凝集が容易となる場合がある。また1.0μm以下であると、トナーの粒子径分布が狭くなる場合がある。
【0071】
離型剤分散液の調製に際しては、離型剤を、水中にイオン性界面活性剤や高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質と共に分散した後、離型剤の融解温度以上の温度に加熱すると共に、強いせん断力が付与されるホモジナイザーや圧力吐出型分散機を用いて分散処理する。このような処理を経ることにより、離型剤分散液が得られる。分散処理の際、ポリ塩化アルミニウム等の無機化合物を分散液に添加してもよい。望ましい無機化合物としては、例えば、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、高塩基性ポリ塩化アルミニウム(BAC)、ポリ水酸化アルミニウム、塩化アルミニウム等が挙げられる。これらの中でも、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等が望ましい。上記離型剤分散液は乳化凝集法に用いられるが、トナーを懸濁重合法により製造する際にも上記離型剤分散液を用いてもよい。
【0072】
分散処理により、体積平均粒子径が1μm以下の離型剤粒子を含む離型剤分散液が得られる。なお、より望ましい離型剤粒子の体積平均粒子径は、100nm以上500nm以下である。
体積平均粒子径が100nm以上では、使用される結着樹脂の特性にも影響されるが、一般的に離型剤成分がトナー中に取り込まれやすくなる。また、500nm以下の場合には、トナー中の離型剤の分散状態が良好となる。
【0073】
着色剤(アゾ系黄色顔料及びマゼンタ顔料)分散液の調製は、公知の分散方法が利用でき、例えば回転せん断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミル、アルティマイザーなどの一般的な分散手段を採用することができ、なんら制限されるものではない。着色剤は、水中にイオン性界面活性剤や高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質と共に分散される。分散させた着色剤粒子の体積平均粒子径は1μm以下であればよいが、80nm以上500nm以下の範囲であれば、凝集性を損なうことなく且つトナー中の着色剤の分散が良好で望ましい。
【0074】
着色剤(光輝性顔料)分散液の調製は、アゾ系黄色顔料及びマゼンタ顔料の場合と同様にして行ってもよいし、光輝性顔料と結着樹脂とを溶剤に分散・溶解して混合し、転相乳化やせん断乳化により水中へ分散することにより、樹脂で被覆された光輝性顔料の分散液を調製してもよい。
【0075】
(凝集工程)
凝集工程においては、樹脂粒子の分散液、着色剤分散液、離型剤分散液等を混合して混合液とし、樹脂粒子のガラス転移温度以下の温度で加熱して凝集させ、凝集粒子を形成する。凝集粒子の形成は、攪拌下、混合液のpHを酸性にすることによってなされる場合が多い。pHとしては、2以上7以下の範囲が望ましく、この際、凝集剤を使用することも有効である。
なお、凝集工程において、離型剤分散液は、樹脂粒子分散液等の各種分散液とともに一度に添加・混合してもよいし、複数回に分割して添加しても良い。
【0076】
凝集剤としては、前記分散剤に用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、無機金属塩の他、2価以上の金属錯体が好適に用いられる。特に、金属錯体を用いた場合には界面活性剤の使用量を低減でき、帯電特性が向上するため特に望ましい。
【0077】
前記無機金属塩としては、特に、アルミニウム塩およびその重合体が好適である。より狭い粒度分布を得るためには、無機金属塩の価数が1価より2価、2価より3価、3価より4価の方が、また、同じ価数であっても重合タイプの無機金属塩重合体の方が、より適している。
本実施形態においては、アルミニウムを含む4価の無機金属塩の重合体を用いることが、狭い粒度分布を得るためには望ましい。
【0078】
また、前記凝集粒子が所望の粒子径になったところで樹脂粒子分散液を追添加することで(被覆工程)、コア凝集粒子の表面を樹脂で被覆した構成のトナーを作製してもよい。この場合、離型剤や着色剤がトナー表面に露出しにくくなるため、帯電性や現像性の観点で望ましい構成である。追添加する場合、追添加前に凝集剤を添加したり、pH調整を行ってもよい。
【0079】
(融合工程)
融合工程においては、前記凝集工程に準じた攪拌条件下で、凝集粒子の懸濁液のpHを3以上9以下の範囲に上昇させることにより凝集の進行を止め、前記樹脂のガラス転移温度以上の温度で加熱を行うことにより凝集粒子を融合させる。また、前記樹脂で被覆した場合には、該樹脂も融合しコア凝集粒子を被覆する。前記加熱の時間としては、融合がされる程度行えばよく、0.5時間以上10時間以下程度行えばよい。
【0080】
融合後に冷却し、融合粒子を得る。また冷却の工程で、樹脂のガラス転移温度近傍(ガラス転移温度±10℃の範囲)で冷却速度を落とす、いわゆる徐冷をすることで結晶化を促進してもよい。
融合して得た融合粒子は、ろ過などの固液分離工程や、必要に応じて洗浄工程、乾燥工程を経てトナー粒子とされる。
【0081】
得られたトナー粒子には、帯電調整、流動性付与、電荷交換性付与等を目的として、シリカ、チタニア、酸化アルミに代表される無機酸化物等が外添剤として添加付着されてもよい。これらは、例えばV型ブレンダーやヘンシェルミキサー、レディゲミキサー等によって行うことができ、段階を分けて付着させてもよい。外添剤の添加量は、トナー粒子100部に対して、0.1部以上5部以下の範囲が好ましく、0.3部以上2部以下の範囲がより好ましい。
更に必要に応じ、超音波篩分機、振動篩分機、風力篩分機などを使って、トナーの粗大粒子を外添後取り除いてもよい。
【0082】
また、上述した外添剤以外にも、帯電制御剤、有機粒体、滑剤、研磨剤などのその他の成分(粒子)を添加させてもよい。
【0083】
帯電制御剤としては、特に制限はないが、無色または淡色のものが好ましく使用される。例えば、4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミニウム、鉄、クロムなどの錯体、トリフェニルメタン系顔料などが挙げられる。
【0084】
有機粒体としては、例えば、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等の通常トナー表面の外添剤として使用される粒子が挙げられる。なお、これらの無機粒体や有機粒体は、流動性助剤、クリーニング助剤等として使用される。
滑剤としては、例えば、エチレンビスステアリル酸アミド、オレイン酸アミド等の脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩等が挙げられる。
研磨剤としては、例えば、前述のシリカ、アルミナ、酸化セリウムなどが挙げられる。
【0085】
乳化凝集法でトナー粒子を形成した場合、界面活性剤の作用によりトナー構成材料の一部である光輝性顔料、アゾ系黄色顔料、マゼンタ顔料はそれぞれ高分散し、紙に定着されるまでその分散性は維持されると考えられる。このように、各々の顔料の分散性が維持されていれば、光輝性顔料およびマゼンタ顔料が盾となりアゾ系黄色顔料への紫外光の直接照射が一部防がれると考えられる。また、同様の機構から光輝性顔料からの反射光も一部防がれると考えられる。
【0086】
<静電荷現像用現像剤>
本実施形態の静電荷現像用現像剤(以下、単に現像剤と称することがある)は、本実施形態のトナーを少なくとも含むものである。
本実施形態のトナーは、そのまま一成分現像剤として、あるいは二成分現像剤として用いられる。二成分現像剤として用いる場合にはキャリアと混合して使用される。
【0087】
二成分現像剤に使用し得るキャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアが用いられる。例えば酸化鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物や、これら芯材表面に樹脂被覆層を有する樹脂コートキャリア、磁性分散型キャリア等が挙げられる。またマトリックス樹脂に導電材料などが分散された樹脂分散型キャリアであってもよい。
【0088】
キャリアに使用される被覆樹脂・マトリックス樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、オルガノシロキサン結合を含んで構成されるストレートシリコーン樹脂またはその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が例示されるが、これらに限定されるものではない。
【0089】
導電材料としては、金、銀、銅といった金属やカーボンブラック、更に酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、酸化スズ、カーボンブラック等が例示されるが、これらに限定されるものではない。
【0090】
またキャリアの芯材としては、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物、ガラスビーズ等が挙げられるが、キャリアを磁気ブラシ法に用いるためには、磁性材料であることが望ましい。キャリアの芯材の体積平均粒子径としては、一般的には10μm以上500μm以下の範囲にあり、望ましくは30μm以上100μm以下の範囲にある。
【0091】
またキャリアの芯材の表面に樹脂被覆するには、前記被覆樹脂、および必要に応じて各種添加剤を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法等が挙げられる。溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する被覆樹脂、塗布適性等を勘案して選択すればよい。
【0092】
具体的な樹脂被覆方法としては、キャリアの芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液をキャリアの芯材表面に噴霧するスプレー法、キャリアの芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリアの芯材と被覆層形成溶液とを混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法等が挙げられる。
【0093】
前記二成分現像剤における、本実施形態のトナーと上記キャリアとの混合比(質量比)は、トナー:キャリア=1:100乃至30:100程度の範囲が望ましく、3:100乃至20:100程度の範囲がより望ましい。
【0094】
<トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法>
本実施形態の画像形成装置は、潜像保持体と、前記潜像保持体表面を帯電する帯電手段と、前記潜像保持体表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、前記静電荷像を本実施形態の現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着手段と、を備えるものである。
【0095】
本実施形態の画像形成装置は、例えば、潜像保持体上に保持された各トナー像を中間転写体に順次一次転写を繰り返す画像形成装置や、各色毎の現像手段を備えた複数の潜像保持体を中間転写体上に直列に配置したタンデム型画像形成装置等であってもよい。
【0096】
なお、本実施形態の画像形成装置において、例えば、本実施形態の現像剤を収納した現像手段を含む部分が画像形成装置に対して脱着するカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよく、また、現像手段に供給する補充用のトナーとして本実施形態のトナーを収納する部分が画像形成装置に対して脱着するカートリッジ構造(トナーカートリッジ)であってもよい。
【0097】
本実施形態の画像形成装置により、潜像保持体表面を帯電する帯電工程と、前記潜像保持体表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、前記静電荷像を本実施形態の現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着工程と、を有する本実施形態の画像形成方法が実施される。
【0098】
以下に、図面を参照しながら本実施形態の画像形成装置について説明する。
図1は、本実施形態の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。本実施形態の画像形成装置は、潜像保持体としての感光体が複数、即ち画像形成ユニット(画像形成手段)が複数設けられたタンデム型の構成に係るものである。
【0099】
本実施形態の画像形成装置は、図1に示すように、それぞれイエロー、マゼンタ、シアンそしてブラックの各色のトナー画像を形成する4つの画像形成ユニット50Y、50M、50C、50Kと、光輝性の金色トナー画像を形成する画像形成ユニット50Gが、間隔をおいて並列的に(タンデム状に)配置されている。なお、各画像形成ユニットは、中間転写ベルト33の回転方向上流側から、画像形成ユニット50Y、50M、50C、50K、50Gの順に配列されている。
ここで、各画像形成ユニット50Y、50M、50C、50K、50Gは、収納されている現像剤中のトナーの色を除き同様の構成を有しているため、ここではイエロー画像を形成する画像形成ユニット50Yについて代表して説明する。尚、画像形成ユニット50Yと同様の部分に、イエロー(Y)の代わりに、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)、金色(G)を付した参照符号を付すことにより、各画像形成ユニット50M、50C、50K、50Gの説明を省略する。
【0100】
イエローの画像形成ユニット50Yは、潜像保持体としての感光体11Yを備えており、この感光体11Yは、図示の矢印A方向に沿って図示しない駆動手段によって予め定められたプロセススピードで回転駆動されるようになっている。感光体11Yとしては、例えば、赤外領域に感度を持つ有機感光体が用いられる。
【0101】
感光体11Yの上部には、帯電ロール(帯電手段)18Yが設けられており、帯電ロール18Yには、不図示の電源により予め定められた電圧が印加され、感光体11Yの表面が予め定められた電位に帯電される。
【0102】
感光体11Yの周囲には、帯電ロール18Yよりも感光体11Yの回転方向下流側に、感光体11Yの表面を露光して静電荷像を形成する露光装置(静電荷像形成手段)19Yが配置されている。なお、ここでは露光装置19Yとして、スペースの関係上、小型化が実現されるLEDアレイを用いているが、これに限定されるものではなく、他のレーザービーム等による静電荷像形成手段を用いても勿論問題無い。
【0103】
また、感光体11Yの周囲には、露光装置19Yよりも感光体11Yの回転方向下流側に、イエロー色の現像剤を保持する現像剤保持体を備える現像装置(現像手段)20Yが配置されており、感光体11Y表面に形成された静電荷像を、イエロー色のトナーによって顕像化し、感光体11Y表面にトナー画像を形成する構成になっている。
【0104】
感光体11Yの下方には、感光体11Y表面に形成されたトナー画像を一次転写する中間転写ベルト(一次転写手段)33が、5つの感光体11Y,11M,11C,11K、11Gの下方に渡るように配置されている。この中間転写ベルト33は、一次転写ロール17Yによって感光体11Yの表面に押し付けられている。また、中間転写ベルト33は、駆動ロール12、支持ロール13及びバイアスロール14の3つのロールによって張架され、感光体11Yのプロセススピードと等しい移動速度で、矢印B方向に周動されるようになっている。中間転写ベルト33表面には、イエローのトナー画像が一次転写され、更にマゼンタ、シアン、ブラック、及びゴールド(金色)の各色のトナー画像が順次一次転写され、積層される。
【0105】
また、感光体11Yの周囲には、一次転写ロール17Yよりも感光体11Yの回転方向(矢印A方向)下流側に、感光体11Yの表面に残留したトナーやリトランスファーしたトナーを清掃するためのクリーニング装置15Yが配置されている。クリーニング装置15Yにおけるクリーニングブレードは、感光体11Yの表面にカウンター方向に圧接するように取り付けられている。
【0106】
中間転写ベルト33を張架するバイアスロール14には、中間転写ベルト33を介して二次転写ロール(二次転写手段)34が圧接されている。中間転写ベルト33表面に一次転写され積層されたトナー画像は、バイアスロール14と二次転写ロール34との圧接部において、図示しない用紙カセットから給紙される記録紙(記録媒体)P表面に、静電的に転写される。この際、中間転写ベルト33上に転写、積層されたトナー画像は金色トナー画像が一番上(最上層)になっているため、記録紙P表面に転写されたトナー画像では、金色トナー画像が一番下(最下層)になる。
【0107】
また、二次転写ロール34の下流には、記録紙P上に多重転写されたトナー画像を、熱及び圧力によって記録紙P表面に定着して、永久像とするための定着器(定着手段)35が配置されている。
【0108】
なお、定着器35としては、例えば、表面にフッ素樹脂成分やシリコーン系樹脂に代表される低表面エネルギー材料を用い、ベルト形状を有する定着ベルト、及び、表面にフッ素樹脂成分やシリコーン系樹脂に代表される低表面エネルギー材料を用い、円筒状の定着ロールが挙げられる。
【0109】
次に、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、そしてゴールド(金色)の各色の画像を形成する各画像形成ユニット50Y,50M,50C,50K、50Gの動作について説明する。各画像形成ユニット50Y,50M,50C,50K、50Gの動作は、それぞれ同様であるため、イエローの画像形成ユニット50Yの動作を、その代表として説明する。
【0110】
イエローの現像ユニット50Yにおいて、感光体11Yは、矢印A方向に予め定められたプロセススピードで回転する。帯電ロール18Yにより、感光体11Yの表面は予め定められた電位にマイナス帯電される。その後、感光体11Yの表面は、露光装置19Yによって露光され、画像情報に応じた静電荷像が形成される。続いて、現像装置20Yによりマイナス帯電されたトナーが反転現像され、感光体11Yの表面に形成された静電荷像は感光体11Y表面に可視像化され、トナー画像が形成される。その後、感光体11Y表面のトナー画像は、一次転写ロール17Yにより中間転写ベルト33表面に一次転写される。一次転写後、感光体11Yは、その表面に残留したトナー等の転写残留成分がクリーニング装置15Yのクリーニングブレードにより掻き取られ、清掃され、次の画像形成工程に備える。
【0111】
以上の動作が各画像形成ユニット50Y,50M,50C,50K、50Gで行われ、各感光体11Y,11M,11C,11K、11G表面に可視像化されたトナー画像が、次々と中間転写ベルト33表面に多重転写されていく。カラーモード時は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、そしてゴールド(金色)の順に各色のトナー画像が多重転写されるが、二色、三色モード時のときもこの順番で、必要な色のトナー画像のみが単独又は多重転写されることになる。その後、中間転写ベルト33表面に単独又は多重転写されたトナー画像は、二次転写ロール34により、図示しない用紙カセットから搬送されてきた記録紙P表面に二次転写され、続いて、定着器35において加熱・加圧されることにより定着される。二次転写後に中間転写ベルト33表面に残留したトナーは、中間転写ベルト33用のクリーニングブレードで構成されたベルトクリーナ16により清掃される。
【0112】
なお、イエローの画像形成ユニット50Yは、イエロー色の現像剤を保持する現像剤保持体を含む現像装置20Yと感光体11Yと帯電ロール18Yとクリーニング装置15Yとが一体となって画像形成装置本体から着脱するプロセスカートリッジとして構成されている。また、画像形成ユニット50G、50K、50C及び50Mも画像形成ユニット50Yと同様にプロセスカートリッジとして構成されている。
【0113】
また、トナーカートリッジ40Y、40M、40C、40K及び40Gは、各色のトナーが収納され、画像形成装置に着脱するカートリッジであり、それぞれの色に対応した現像装置と、図示しないトナー供給管で接続されている。そして、各トナーカートリッジ内に収納されているトナーが少なくなった場合には、このトナーカートリッジの交換がなされる。
【実施例】
【0114】
以下、実施例および比較例を挙げ、本実施形態をより具体的に詳細に説明するが、本実施形態は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下において特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を表す。
【0115】
(結着樹脂の合成)
・アジピン酸ジメチル:74部
・テレフタル酸ジメチル:192部
・ビスフェノールAエチレンオキシド付加物:216部
・エチレングリコール:38部
・テトラブトキシチタネート(触媒):0.037部、
上記成分を加熱乾燥した二口フラスコに入れ、容器内に窒素ガスを導入して不活性雰囲気に保ち攪拌しながら昇温した後、160℃で7時間共縮重合反応させ、その後、10Torrまで徐々に減圧しながら220℃まで昇温し4時間保持した。一旦常圧に戻し、無水トリメリット酸9部を加え、再度10Torrまで徐々に減圧し220℃で1時間保持することにより結着樹脂を合成した。
【0116】
(結着樹脂分散液の調製)
・結着樹脂:160部
・酢酸エチル:233部
・水酸化ナトリウム水溶液(0.3N):0.1部
上記成分を1000mlのセパラブルフラスコに入れ、70℃で加熱し、スリーワンモーター(新東科学(株)製)により撹拌して樹脂混合液を調製した。この樹脂混合液をさらに撹拌しながら、徐々にイオン交換水373部を加え、転相乳化させ、脱溶剤することにより結着樹脂分散液(固形分濃度:30%)を得た。
【0117】
(光輝性顔料分散液1の調製)
・アルミニウム顔料(昭和アルミパウダー(株)製、2173EA 6μm):100部
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンR):1.5部
・イオン交換水:400部
アルミニウム顔料のペーストから溶剤を除去し、スターミル(アシザワ・ファインテック(株)製、LMZ)を用いて、上記顔料を機械的に5.2μmまで粉砕、分級した。その後、上記活性剤およびイオン交換水と混合し、乳化分散機キャビトロン(太平洋機工(株)製、CR1010)を用いて1時間ほど分散して、光輝性顔料粒子(アルミニウム顔料)を分散させてなる光輝性顔料分散液1を調製した(固形分濃度:20%)。顔料分散径は5.2μmであった。
【0118】
(光輝性顔料分散液2の調製)
光輝性顔料分散液1のスターミルによる顔料粉砕を3.2μmまで実施する以外は光輝性顔料分散液1と同様の方法で光輝性顔料分散液2を調製した。顔料分散径は径3.2μmであった。
【0119】
(光輝性顔料分散液3の調製)
光輝性顔料分散液1のアルミニウム顔料をアルミニウム顔料(昭和アルミパウダー(株)製、2172EA 7μm)に変更し、粉砕を行わなかった以外は光輝性顔料分散液1と同様の方法で光輝性顔料分散液3を調製した。顔料分散径は径6.9μmであった。
【0120】
(光輝性顔料分散液4の調製)
光輝性顔料分散液1のスターミルによる顔料粉砕を2.8μmまで実施する以外は光輝性顔料分散液1と同様の方法で光輝性顔料分散液4を調製した。顔料分散径は径2.8μmであった。
【0121】
(光輝性顔料分散液5の調製)
光輝性顔料分散液1のアルミニウム顔料をアルミニウム顔料(昭和アルミパウダー(株)製、210EA 9μm)に変更し、粉砕を7.2μmまで実施した以外は光輝性顔料分散液1と同様の方法で光輝性顔料分散液5を調製した。顔料分散径は径7.2μmであった。
【0122】
(光輝性顔料分散液6の調製)
光輝性顔料分散液1のスターミルによる顔料粉砕を1.3μmまで実施する以外は光輝性顔料分散液1と同様の方法で光輝性顔料分散液6を調製した。顔料分散径は径1.3μmであった。
【0123】
(光輝性顔料分散液7の調製)
光輝性顔料分散液1のスターミルによる顔料粉砕を0.7μmまで実施する以外は光輝性顔料分散液1と同様の方法で光輝性顔料分散液7を調製した。顔料分散径は径0.7μmであった。
【0124】
(光輝性顔料分散液8の調製)
光輝性顔料分散液1のアルミニウム顔料をアルミニウム顔料(昭和アルミパウダー(株)製、260EA 10μm)に変更し、スターミルによる粉砕を実施しなかった以外は光輝性顔料分散液1と同様の方法で光輝性顔料分散液8を調製した。顔料分散径は径9.9μmであった。
【0125】
(光輝性顔料分散液9の調製)
光輝性顔料分散液1のアルミニウム顔料をアルミニウム顔料(昭和アルミパウダー(株)製、220EA 17μm)に変更し、粉砕を10.2μmまで実施した以外は光輝性顔料分散液1と同様の方法で光輝性顔料分散液9を調整した。顔料分散径は径10.2μmであった。
【0126】
(光輝性顔料分散液10の調製)
光輝性顔料分散液1のアルミニウム顔料を酸化チタン被覆雲母(メルク社製、Iriodin(R) 120 Lustre Satin 10.6μm)に変更し、粉砕を5.2μmまで実施した以外は光輝性顔料分散液1と同様の方法で光輝性顔料分散液10を調製した。顔料分散径は径5.2μmであった。
【0127】
(アゾ系黄色顔料分散液1の調製)
・C.I.Pigment Yellow74(大日精化製): 50部
・イオン性界面活性剤ネオゲンRK(第一工業製薬): 5部
・イオン交換水: 192.9部
上記成分を混合し、アルティマイザ(スギノマシン社製)により240MPaで10分処理し、アゾ系黄色顔料分散液を得た(固形分濃度:20%)。
【0128】
(アゾ系黄色顔料分散液2の調製)
C.I.Pigment Yellow93(大日精化製)を用いる以外はアゾ系黄色顔料分散液1の調製と同様の方法で、アゾ系黄色顔料分散液2を調製した(固形分濃度:20%)。
【0129】
(マゼンタ顔料分散液1の調製)
顔料をナフトール系マゼンタ顔料であるC.I.Pigment Red 238(山陽色素社製)に変更した以外は、アゾ系黄色顔料分散液1の調製と同様の方法でマゼンタ顔料分散液1を得た(固形分濃度:20%)。
【0130】
(マゼンタ顔料分散液2の調製)
顔料をキナクリドン系マゼンタ顔料であるC.I.Pigment Red122:(大日精化製)に変更した以外は、アゾ系黄色顔料分散液1の調製と同様の方法でマゼンタ顔料分散液2を得た(固形分濃度:20%)。
【0131】
(マゼンタ顔料分散液3の調製)
顔料をアゾ系マゼンタ顔料であるC.I.Pigment Red 5 : (大日精化工業社製)に変更した以外は、アゾ系黄色顔料分散液1の調整と同様の方法でマゼンタ顔料分散液3を得た(固形分濃度:20%)。
【0132】
(離型剤分散液の調製)
・カルナウバワックス(東亜化成(株)製、RC−160 ):50部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンRK):1.0部
・イオン交換水:200部
以上を混合して95℃に加熱し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザ(ゴーリン社)で360分間の分散処理をして、体積平均粒径が0.23μmである離型剤粒子を分散させてなる離型剤分散液(固形分濃度:20%)を調製した。
【0133】
[実施例1]
<トナー1の作製>
・結着樹脂分散液:480部
・離型剤分散液:72部
・光輝性顔料分散液1:140部
・アゾ系黄色顔料分散液1: 20.6部
・マゼンタ顔料分散液(マゼンタ顔料分散液1) : 0.37部
・ノニオン性界面活性剤(IGEPAL CA897):1.40部
上記原料を2Lの円筒ステンレス容器に入れ、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラララックスT50)により4000rpmでせん断力を加えながら10分間分散して混合した。次いで、凝集剤としてポリ塩化アルミニウムの10%硝酸水溶液1.75部を徐々に滴下して、ホモジナイザーの回転数を5000rpmにして15分間分散して混合し、原料分散液とした。
その後、層流を形成するための2枚パドルの攪拌翼を用いた攪拌装置、および温度計を備えた重合釜に原料分散液を移し、攪拌回転数を810rpmにしてマントルヒーターにて加熱し始め、54℃にて凝集粒子の成長を促進させた。またこの際、0.3Nの硝酸や1Nの水酸化ナトリウム水溶液で原料分散液のpHを2.2〜3.5の範囲に制御した。上記pH範囲で2時間ほど保持し、凝集粒子を形成した。
次に、結着樹脂分散液:100部を追添加し、前記凝集粒子の表面に結着樹脂の樹脂粒子を付着させた。さらに56℃に昇温し、光学顕微鏡及びマルチサイザーIIで粒子径を確認しながら凝集粒子を整えた。その後、凝集粒子を融合させるためにpHを8.0に上げた後、67.5℃まで昇温させた。光学顕微鏡で凝集粒子が融合したのを確認した後、67.5℃で保持したままpHを6.0まで下げ、1時間後に加熱を止め、1.0℃/分の降温速度で冷却した。その後20μmメッシュで篩分し、水洗を繰り返した後、真空乾燥機で乾燥してトナー粒子を得た。得られたトナー粒子の体積平均粒子径は12.2μmであった。
得られたトナー粒子100部に対して疎水性シリカ(日本アエロジル社製、RY50)1.5部を、サンプルミルを用いて10000rpmで30秒間混合ブレンドした。その後、目開き45μmの振動篩いで篩分してトナーを調製した。
【0134】
<キャリアの作成>
・トルエン14部
・スチレン−メチルメタクリレート共重合体(成分比:80/20、重量平均分子量:70000)2部
・MZ500(酸化亜鉛、チタン工業)0.6部
上記成分を混合し、10分間スターラーで撹拌させて酸化亜鉛が分散した被覆層形成用溶液を調製した。次に、この被覆液とフェライト粒子(体積平均粒径:38μm)100部とを真空脱気型ニーダーに入れて、60℃において30分撹拌した後、さらに加温しながら減圧して脱気し、乾燥させることによりキャリアを作成した。
【0135】
<現像剤の作成>
得られたキャリアとトナー1とを、それぞれ100部:8部の割合で2リッターのVブレンダーで混合し、現像剤1を作成した。
【0136】
<評価>
試料となる現像剤を、図1記載の富士ゼロックス(株)社製DocuCentre−III C7600の現像器に充填し、記録紙(OKトップコート+紙、王子製紙(株)社製)上に、定着温度190℃、定着圧力4.0kg/cmにて、トナー載り量が4.5g/cmのベタ画像を形成した。
【0137】
−光沢性評価−
定着画像の光沢評価をJIS Z8721-1997に記載の75度鏡面光沢の測定方法にて、Micro-TRI-Gloss(TRICOR Systems (株))を用いて行った。評価基準は以下の通りである。
1 : 光沢値 >90%
2 : 60%<光沢値≦90%
3 : 光沢値≦60%
【0138】
−耐光性評価−
紫外線照射は、アトラス社製、CiウェザオメータにXeランプを付し、内側フィルタとしてCIRA、外側フィルタとしてソーダライムを用いた条件で行った。照射量は400nm換算で40 mW/mの照度で300kJ/mであった。この耐光試験前の画像のL1、a1、b1、照射後のL2、a2、b2をそれぞれオリンパス社製顕微分光装置OSP−SP200を用いて測定した。以下の式によりΔEを算出した。
(ΔE = {(L1-L2)+(a1-a2)+(b1-b2)}1/2
1: ΔE<1 耐光性充分
2: 1≦ΔE<3 耐光性許容範囲
3: 3≦ΔE<4 懸念もあるが許容範囲
4: ΔE≧4 耐光性許容範囲外
【0139】
―金再現性評価―
JIS K 5600−4−3:1999「塗料一般試験方法−第4部:塗膜の視覚特性−第3節:色の目視比較」に準じた色観察用照明(自然昼光照明)下で目視にて金再現性を官能的に評価した。3以下が実際に使用可能なレベルである。
1:鮮やかな金色。
2:普通の金色。
3:ややオレンジがかった金色。
4:赤、黄色味が強い金色。
【0140】
[実施例2乃至49、比較例1]
実施例2は、実施例1のトナー1の作製から光輝性顔料分散液2、アゾ系黄色顔料分散液1を26部、マゼンタ顔料分散液(マゼンタ顔料分散液1)を0.56部に変更しトナー2および現像剤2を作製し実施例1と同様の評価を行った。
【0141】
実施例3は、実施例1のトナー1の作製から光輝性顔料分散液2、アゾ系黄色顔料分散液1を15.1部、マゼンタ顔料分散液(マゼンタ顔料分散液1)を0.28部に変更しトナー3および現像剤3を作製し実施例1と同様の評価を行った。
【0142】
実施例4は、実施例1のトナー1の作製から光輝性顔料分散液3、アゾ系黄色顔料分散液1を15.1部、マゼンタ顔料分散液(マゼンタ顔料分散液1)を0.28部に変更しトナー4および現像剤4を作製し実施例1と同様の評価を行った。
【0143】
実施例5は、実施例1のトナー1の作製から光輝性顔料分散液3、アゾ系黄色顔料分散液1を26部、マゼンタ顔料分散液(マゼンタ顔料分散液1)を0.56部に変更しトナー5および現像剤5を作製し実施例1と同様の評価を行った。
【0144】
実施例6は、実施例1のトナー1の作製から光輝性顔料分散液4、アゾ系黄色顔料分散液1を26部、マゼンタ顔料分散液(マゼンタ顔料分散液1)を0.56部に変更しトナー6および現像剤6を作製し実施例1と同様の評価を行った。
【0145】
実施例7は、実施例1のトナー1の作製から光輝性顔料分散液4、アゾ系黄色顔料分散液1を15.1部、マゼンタ顔料分散液(マゼンタ顔料分散液1)を0.28部に変更しトナー7および現像剤7を作製し実施例1と同様の評価を行った。
【0146】
実施例8は、実施例1のトナー1の作製から光輝性顔料分散液2、アゾ系黄色顔料分散液1を12.3部、マゼンタ顔料分散液(マゼンタ顔料分散液1)を0.28部に変更しトナー8および現像剤8を作製し実施例1と同様の評価を行った。
【0147】
実施例9は、実施例1のトナー1の作製から光輝性顔料分散液3、アゾ系黄色顔料分散液1を12.3部、マゼンタ顔料分散液(マゼンタ顔料分散液1)を0.28部に変更しトナー9および現像剤9を作製し実施例1と同様の評価を行った。
【0148】
実施例10は、実施例1のトナー1の作製から光輝性顔料分散液5、アゾ系黄色顔料分散液1を15.1部、マゼンタ顔料分散液(マゼンタ顔料分散液1)を0.28部に変更しトナー10および現像剤10を作製し実施例1と同様の評価を行った。
【0149】
実施例11は、実施例1のトナー1の作製から光輝性顔料分散液5、アゾ系黄色顔料分散液1を26部、マゼンタ顔料分散液(マゼンタ顔料分散液1)を0.56部に変更しトナー11および現像剤11を作製し実施例1と同様の評価を行った。
【0150】
実施例12は、実施例1のトナー1の作製から光輝性顔料分散液3、アゾ系黄色顔料分散液1を28.8部、マゼンタ顔料分散液(マゼンタ顔料分散液1)を0.56部に変更しトナー12および現像剤12を作製し実施例1と同様の評価を行った。
【0151】
実施例13は、実施例1のトナー1の作製から光輝性顔料分散液2、アゾ系黄色顔料分散液1を28.8部、マゼンタ顔料分散液(マゼンタ顔料分散液1)を0.56部に変更しトナー13および現像剤13を作製し実施例1と同様の評価を行った。
【0152】
実施例14は、実施例1のトナー1の作製から光輝性顔料分散液6、アゾ系黄色顔料分散液1を39.8部、マゼンタ顔料分散液(マゼンタ顔料分散液1)を0.84部に変更しトナー14および現像剤14を作製し実施例1と同様の評価を行った。
【0153】
実施例15は、実施例1のトナー1の作製から光輝性顔料分散液6、アゾ系黄色顔料分散液1を8.2部、マゼンタ顔料分散液(マゼンタ顔料分散液1)を0.19部に変更しトナー15および現像剤15を作製し実施例1と同様の評価を行った。
【0154】
実施例16は、実施例1のトナー1の作製から光輝性顔料分散液8、アゾ系黄色顔料分散液1を8.2部、マゼンタ顔料分散液(マゼンタ顔料分散液1) を0.19部に変更しトナー16および現像剤16を作製し実施例1と同様の評価を行った。
【0155】
実施例17は、実施例1のトナー1の作製から光輝性顔料分散液8、アゾ系黄色顔料分散液1を39.8部、マゼンタ顔料分散液(マゼンタ顔料分散液1)を 0.84部に変更しトナー17および現像剤17を作製し実施例1と同様の評価を行った。
【0156】
実施例18は、実施例1のトナー1の作製から光輝性顔料分散液6、アゾ系黄色顔料分散液1を42.6部、マゼンタ顔料分散液(マゼンタ顔料分散液1) を0.84部に変更しトナー18および現像剤18を作製し実施例1と同様の評価を行った。
【0157】
実施例19は、実施例1のトナー1の作製から光輝性顔料分散液7、アゾ系黄色顔料分散液1を39.8部、マゼンタ顔料分散液(マゼンタ顔料分散液1) を0.84部に変更しトナー19および現像剤19を作製し実施例1と同様の評価を行った。
【0158】
実施例20は、実施例1のトナー1の作製から光輝性顔料分散液7、アゾ系黄色顔料分散液1を8.2部、マゼンタ顔料分散液(マゼンタ顔料分散液1)を 0.19部に変更しトナー20および現像剤20を作製し実施例1と同様の評価を行った。
【0159】
実施例21は、実施例1のトナー1の作製から光輝性顔料分散液6、アゾ系黄色顔料分散液1を5.5部、マゼンタ顔料分散液(マゼンタ顔料分散液1) を0.09部に変更しトナー21および現像剤21を作製し実施例1と同様の評価を行った。
【0160】
実施例22は、実施例1のトナー1の作製から光輝性顔料分散液8、アゾ系黄色顔料分散液1を5.5部、マゼンタ顔料分散液(マゼンタ顔料分散液1)を 0.09部に変更しトナー22および現像剤22を作製し実施例1と同様の評価を行った。
【0161】
実施例23は、実施例1のトナー1の作製から光輝性顔料分散液9、アゾ系黄色顔料分散液1を8.2部、マゼンタ顔料分散液(マゼンタ顔料分散液1)を 0.19部に変更しトナー23および現像剤23を作製し実施例1と同様の評価を行った。
【0162】
実施例24は、実施例1のトナー1の作製から光輝性顔料分散液8、アゾ系黄色顔料分散液1を39.8部、マゼンタ顔料分散液(マゼンタ顔料分散液1) を0.84部に変更しトナー24および現像剤24を作製し実施例1と同様の評価を行った。
【0163】
実施例25は、実施例1のトナー1の作製から光輝性顔料分散液8、アゾ系黄色顔料分散液1を42.6部、マゼンタ顔料分散液(マゼンタ顔料分散液1) を0.84部に変更しトナー25および現像剤25を作製し実施例1と同様の評価を行った。
【0164】
実施例26は、実施例1のトナー1の作製からマゼンタ顔料分散液(マゼンタ顔料分散液2) に変更しトナー26および現像剤26を作製し実施例1と同様の評価を行った。
【0165】
実施例27は、実施例1のトナー1の作製から光輝性顔料分散液6、アゾ系黄色顔料分散液1を39.8部、マゼンタ顔料分散液(マゼンタ顔料分散液2) 0.84部に変更しトナー27および現像剤27を作製し実施例1と同様の評価を行った。
【0166】
実施例28は、実施例1のトナー1の作製から光輝性顔料分散液6、アゾ系黄色顔料分散液1を8.2部、マゼンタ顔料分散液(マゼンタ顔料分散液2)を 0.19部に変更しトナー28および現像剤28を作製し実施例1と同様の評価を行った。
【0167】
実施例29は、実施例1のトナー1の作製から光輝性顔料分散液8、アゾ系黄色顔料分散液1を8.2部、マゼンタ顔料分散液(マゼンタ顔料分散液2) を0.19部に変更しトナー29および現像剤29を作製し実施例1と同様の評価を行った。
【0168】
実施例30は、実施例1のトナー1の作製から光輝性顔料分散液8、アゾ系黄色顔料分散液1を39.8部、マゼンタ顔料分散液(マゼンタ顔料分散液2) を0.84部に変更しトナー30および現像剤30を作製し実施例1と同様の評価を行った。
【0169】
実施例31は、実施例1のトナー1の作製からマゼンタ顔料分散液(マゼンタ顔料分散液3)に変更しトナー31および現像剤31を作製し実施例1と同様の評価を行った。
【0170】
実施例32は、実施例1のトナー1の作製から光輝性顔料分散液6、アゾ系黄色顔料分散液1を39.8部、マゼンタ顔料分散液(マゼンタ顔料分散液3)を 0.84部に変更しトナー32および現像剤32を作製し実施例1と同様の評価を行った。
【0171】
実施例33は、実施例1のトナー1の作製から光輝性顔料分散液6、アゾ系黄色顔料分散液1を8.2部、マゼンタ顔料分散液(マゼンタ顔料分散液3)を 0.19部に変更しトナー33および現像剤33を作製し実施例1と同様の評価を行った。
【0172】
実施例34は、実施例1のトナー1の作製から光輝性顔料分散液8、アゾ系黄色顔料分散液1を8.2部、マゼンタ顔料分散液(マゼンタ顔料分散液3) を0.19部に変更しトナー34および現像剤34を作製し実施例1と同様の評価を行った。
【0173】
実施例35は、実施例1のトナー1の作製から光輝性顔料分散液8、アゾ系黄色顔料分散液1を39.8部、マゼンタ顔料分散液(マゼンタ顔料分散液3)を 0.84部に変更しトナー35および現像剤35を作製し実施例1と同様の評価を行った。
【0174】
実施例36は、実施例1のトナー1の作製から結着樹脂分散液を700部、離型剤分散液を105部に変更しトナー36および現像剤36を作製し実施例1と同様の評価を行った。
【0175】
実施例37は、実施例1のトナー1の作製から結着樹脂分散液を350部、離型剤分散液を52.5部、マゼンタ顔料分散液(マゼンタ顔料分散液1)を 0.44部に変更しトナー37および現像剤37を作製し実施例1と同様の評価を行った。
【0176】
実施例38は、実施例1のトナー1の作製から結着樹脂分散液を1000部、離型剤分散液を150部、マゼンタ顔料分散液(マゼンタ顔料分散液1) を0.35部に変更しトナー38および現像剤38を作製し実施例1と同様の評価を行った。
【0177】
実施例39は、実施例1のトナー1の作製から結着樹脂分散液を280部、離型剤分散液を42部に変更しトナー39および現像剤39を作製し実施例1と同様の評価を行った。
【0178】
実施例40は、実施例1のトナー1の作製からアゾ系黄色顔料分散液1を16.8部、マゼンタ顔料分散液(マゼンタ顔料分散液1)を4.20部に変更しトナー40および現像剤40を作製し実施例1と同様の評価を行った。
【0179】
実施例41は、実施例1のトナー1の作製からアゾ系黄色顔料分散液1を17.8部、マゼンタ顔料分散液(マゼンタ顔料分散液1)を3.17部に変更しトナー41および現像剤41を作製し実施例1と同様の評価を行った。
【0180】
実施例42は、実施例1のトナー1の作製からアゾ系黄色顔料分散液1を20.3部、マゼンタ顔料分散液(マゼンタ顔料分散液1)を0.75部に変更しトナー42および現像剤42を作製し実施例1と同様の評価を行った。
【0181】
実施例43は、実施例1のトナー1の作製からアゾ系黄色顔料分散液1を20.3部、マゼンタ顔料分散液(マゼンタ顔料分散液1)を0.65部に変更しトナー43および現像剤43を作製し実施例1と同様の評価を行った。
【0182】
実施例44は、実施例1のトナー1の作製からアゾ系黄色顔料分散液1を20.7部、マゼンタ顔料分散液(マゼンタ顔料分散液1)を0.28部に変更しトナー44および現像剤44を作製し実施例1と同様の評価を行った。
【0183】
実施例45は、実施例1のトナー1の作製からアゾ系黄色顔料分散液1を20.8部、マゼンタ顔料分散液(マゼンタ顔料分散液1)を0.23部に変更しトナー45および現像剤45を作製し実施例1と同様の評価を行った。
【0184】
実施例46は、実施例1のトナー1の作製からアゾ系黄色顔料分散液1を20.8部、マゼンタ顔料分散液(マゼンタ顔料分散液1)を0.21部に変更しトナー46および現像剤46を作製し実施例1と同様の評価を行った。
【0185】
実施例47は、実施例1のトナー1の作製からアゾ系黄色顔料分散液1を20.8部、マゼンタ顔料分散液(マゼンタ顔料分散液1)を0.20部に変更しトナー47および現像剤47を作製し実施例1と同様の評価を行った。
【0186】
実施例48は、実施例1のトナー1の作製からアゾ系黄色顔料分散液2に変更しトナー48および現像剤48を作製し実施例1と同様の評価を行った。
【0187】
実施例49は、実施例1のトナー1の作製から光輝性顔料分散液10に変更しトナー49および現像剤49を作製し実施例1と同様の評価を行った。
【0188】
比較例1は、実施例1のトナー1の作製から、アゾ系黄色顔料分散液1を21.0部、マゼンタ顔料分散液(マゼンタ顔料分散液1)を 0部に変更しトナー50および現像剤50を作製し実施例1と同様の評価を行った。
【0189】
実施例1乃至49、比較例1の結果を表1に示す。
またトナー中の顔料のアゾ系黄色顔料とマゼンタ顔料の確認は、トナー約10mgを正確に秤量し、これをトルエンに溶解し、10ccのトルエン溶液を作製した。光輝性顔料の粒径が1μm以上の場合は12時間以上静置、1μm未満の場合は遠心分離機にて光輝性顔料を沈殿させ、その上澄み液の一部を留去したのち、残留物の赤外吸収スペクトルから顔料の種類を特定した。より具体的にはアゾ系黄色顔料とマゼンタ顔料の固有の吸収波長を予め測定しておき、前記残留物中の顔料の種類を特定した。
またその量については前記上澄み液の紫外吸収スペクトルを測定することによりランベルト・ベールの法則より求めた。より具体的には各顔料について特定波長の吸収ピークの強度と濃度の関係から吸光系数を測定し、次に試料の紫外吸収スペクトルを求めることにより、波長の高さから顔料の濃度を測定した。
なお、測定機の感度と顔料濃度との関係が合うようにトルエンの量を調整するのは言うまでもない。
【0190】
【表1】

【0191】
なお、表1において「光輝性顔料に対する有色顔料量」は、光輝性顔料100部に対するアゾ系黄色顔料及びマゼンタ顔料の合計量(質量基準)を意味する。
【符号の説明】
【0192】
11 感光体
12 駆動ロール
13 支持ロール
14 バイアスロール
15 クリーニング装置
16 ベルトクリーナ
17 一次転写ロール
18 帯電ロール
19 露光装置
20 現像装置
34 二次転写ロール
35 定着器
40 トナーカートリッジ
50 画像形成ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光輝性顔料とアゾ系黄色顔料とマゼンタ顔料とを着色剤として含有する静電荷現像用トナー。
【請求項2】
前記マゼンタ顔料が、ナフトール系マゼンタ顔料及びキナクリドン系マゼンタ顔料からなる群より選択される少なくとも一種である請求項1に記載の静電荷現像用トナー。
【請求項3】
前記アゾ系黄色顔料と前記マゼンタ顔料との比率(質量基準)が、5:1乃至100:1である請求項1又は請求項2に記載の静電荷現像用トナー。
【請求項4】
前記光輝性顔料の分散径が、1μm以上10μm以下である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の静電荷現像用トナー。
【請求項5】
前記光輝性顔料の含有量が、10質量%以上20質量%以下である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の静電荷現像用トナー。
【請求項6】
前記アゾ系黄色顔料及び前記マゼンタ顔料の合計量が、前記光輝性顔料100質量部に対して5質量部以上30質量部以下である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の静電荷現像用トナー。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の静電荷現像用トナーを含む静電荷現像用現像剤。
【請求項8】
請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の静電荷現像用トナーを収納し、
画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジ。
【請求項9】
請求項7に記載の静電荷現像用現像剤を収納し、潜像保持体表面に形成された静電荷像を前記静電荷現像用現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段を備え、
画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
【請求項10】
潜像保持体と、前記潜像保持体表面を帯電する帯電手段と、前記潜像保持体表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、前記静電荷像を請求項7に記載の静電荷現像用現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着手段と、を備える画像形成装置。
【請求項11】
潜像保持体表面を帯電する帯電工程と、前記潜像保持体表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、前記静電荷像を請求項7に記載の静電荷現像用現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着工程と、を有する画像形成方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−163695(P2012−163695A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−22936(P2011−22936)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】