説明

静電荷現像用トナーの評価方法、流動性評価装置、該評価方法を用いて得られた静電荷現像用トナー、それを用いた現像方法及びそれを収容したカートリッジ

【課題】トナーの流動性をトナー粉体相中に円柱状検出部材を侵入させ、円柱状検出部材がトナー粉体相中を移動するときに発生する力を測定することにより、定量的に、精度良く、個人差がなく評価でき、細かいトナー間の流動性の違いを正確に評価出来る静電荷現像用トナーの評価方法、流動性評価装置、該評価方法を用いて得られた静電荷現像用トナー、それを用いた現像方法及びそれを収容したカートリッジの提供。
【解決手段】トナー粉体相中に長い円柱状検出部材を侵入させ、トナー粉体相を圧密手段により圧密した後円柱状検出部材を移動させ、そのときに円柱状検出部材に発生する力を測定することによりトナー粉体の流動性を評価することを特徴とする静電荷現像用トナーの評価方法、流動性評価装置、該評価方法を用いて得られた静電荷現像用トナー、それを用いた現像方法及びそれを収容したカートリッジ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電荷現像用トナーの評価方法、流動性評価装置、該評価方法を用いて得られた静電荷現像用トナー、それを用いた現像方法及びそれを収容したカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタなどの画質は、高画質化が進んでおり、最近ではその高画質を維持することが重要になって来ている。この高画質を維持するためには、現像剤や感光体が劣化しないことも重要であるが、感光体や転写ベルト上などのクリーニング工程が非常に重要になって来ている。
このクリーニング工程は、トナーの帯電量などの他に流動性に非常に影響され、ブレードなどのクリーニング部材によりトナー粒子がきれいに剥ぎ取られる流動特性をもつことが必要になってくる。トナー粒子の流動性が良すぎるとトナー粒子はブレードを通過しやすくなりクリーニング不良を生じる。逆にトナー粒子の流動性が悪い場合には、感光体等への固着などが生じクリーニング不良が生じてしまう。そのため、トナー粒子の流動性の最適化が必要になる。
また、高画質化が進むにつれて、それに用いられるトナーにおいては、小粒径化、高機能化が進んでいる。そのため、トナーの構造が複雑になってきており、従来より細かい作製時の制御が必要となってきている。特に、トナーの流動性はクリーニング性やドット再現性の他に種々の画像品質に影響を与えるため、評価の面では個人差のない、精度の高い評価法が必要とされている。
また、トナーの作製法が粉砕方式から重合法等の他の方式に変化したとき、製造条件に対しての流動特性の変化が大きく、粉砕方式の場合に比較して、細かい作製時のコントロールおよび評価が必要となっている。
【0003】
このようなトナー粉体の流動性評価法として、特許文献1には、磁場が印加されたロートの狭部を通過して落下するのに要する時間を測定することにより、現像機内の現像剤の流動性を正確に評価する方法が開示されている。また、特許文献2には、傾斜可能な板の上にトナーを載せ、板を徐々に傾けていき、流れ始めるときと流れ終えたときの角度を測定する方法が記載されている。
さらに、特許文献3には篩を何段かに重ねて、その上にトナーを投入して、篩部分に水平方向と垂直方向の振動を与え、一定時間後の各篩部に残ったトナー量に予め設定された係数を乗算して算出する方法が記載されている。
しかし、これらの方式は、データのバラツキが大きく、測定者による差があり、細かいトナー間の流動性の違いを評価することは出来なかった。
【0004】
【特許文献1】特開平01−203941号公報
【特許文献2】特開平04−116449号公報
【特許文献3】特開2000−292967号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、流動性の精度の高い、個人差のない評価方法及び評価装置を提供すること、およびこの評価方法及び評価装置を用いることにより、クリーニング性の良い高画質が安定して得られる静電荷現像用トナーを作製し、安定した生産方法を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1は、トナー粉体相中に長い円柱状検出部材を侵入させ、トナー粉体相を圧密手段により圧密した後円柱状検出部材を移動させ、そのときに円柱状検出部材に発生する力を測定することによりトナー粉体の流動性を評価することを特徴とする静電荷現像用トナーの評価方法に関する。
本発明の第2は、トナー粉体相を圧密手段により圧密状態にしたままで、トナー粉体相の圧密荷重を測定しながら、円柱状検出部材を圧密方向に対して垂直方向に移動させ、円柱状検出部材に発生する力を測定することによりトナー粉体の流動性を評価することを特徴とする請求項1記載の静電荷現像用トナーの評価方法に関する。
本発明の第3は、圧密荷重を測定する手段としてロードセルを用い、そのロードセルを試料容器の下に設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の静電荷現像用トナーの評価方法に関する。
本発明の第4は、圧密する手段としてオモリを載せたピストンを用い、その圧密荷重の値が0.5〜50Nになるようにしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の静電荷現像用トナーの評価方法に関する。
本発明の第5は、圧密手段によりトナー粉体相の空間率が0.4〜0.7になるようにしたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の静電荷現像用トナーの評価方法に関する。
本発明の第6は、円柱状検出部材のトナー粉体相への侵入時の移動速度が0.01〜2mm/secであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の静電荷現像用トナーの評価方法に関する。
本発明の第7は、円柱状検出部材の測定時の移動速度が0.1〜4mm/secであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の静電荷現像用トナーの評価方法に関する。
本発明の第8は、円柱状検出部材の移動量が5〜50mmであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の静電荷現像用トナーの評価方法に関する。
本発明の第9は、トナー粉体相に対して円柱状検出部材を相対的に1〜10回往復移動させることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の静電荷現像用トナーの評価方法に関する。
本発明の第10は、円柱状検出部材の測定時の移動加速度が0.001〜1mm/secであることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の静電荷現像用トナーの評価方法に関する。
本発明の第11は、円柱状検出部材、トナーを収容した容器、該容器内のトナー粉体相中に該円柱状検出部材を水平に埋没させる手段、トナー粉体相を容器上方から下方に圧密する手段、トナー粉体相中において、トナー粉体相と該円柱状検出部材とを相対的に円柱状検出部材の長手方向に移動させる手段及びこのときの円柱状検出部材に働く力を検出する検出手段よりなることを特徴とする静電荷現像用トナーの流動性評価装置に関する。
本発明の第12は、円柱状検出部材の表面が規則的な凹凸形状をもつことを特徴する請求項11に記載の静電荷現像用トナーの流動性評価装置に関する。
本発明の第13は、円柱状検出部材が溝を設けた棒からなることを特徴する請求項11に記載の静電荷現像用トナーの流動性評価装置に関する。
本発明の第14は、円柱状検出部材の直径が1.5〜3mmφであることを特徴とする請求項11〜13のいずれかに記載の静電荷現像用トナーの流動性評価装置に関する。
本発明の第15は、請求項1〜10のいずれかに記載の静電荷現像用トナーの評価方法により、添加剤を混合する混合工程以降のトナー粉体の円柱状検出部材(直径:2mmφ、黄銅)が相対的にトナー相中を移動するときに発生する力の値が0.1〜0.7Nになるようにしたことを特徴とする静電荷現像用トナーに関する。
本発明の第16は、トナー粉体が、少なくとも樹脂、顔料からなるトナーの中に電荷制御剤および/または離型剤を含んでいることを特徴とする請求項15記載の静電荷現像用トナーに関する。
本発明の第17は、静電荷現像用トナーにおいて、トナー粉体の表面に添加剤が付着または固着していることを特徴とする請求項15又は16記載の静電荷現像用トナーに関する。
本発明の第18は、静電荷現像用トナーにおいて、トナー粉体の体積平均粒径が4〜8μmであることを特徴とする請求項15〜17のいずれかに記載の静電荷現像用トナーに関する。
本発明の第19は、静電荷現像用トナーにおいて、トナー粉体が重合法で製造されたことを特徴とする請求項15〜18のいずれかに記載の静電荷現像用トナーに関する。
本発明の第20は、静電荷現像用トナーにおいて、トナー粉体の平均円形度が0.9〜0.99であることを特徴とする請求項15〜19のいずれかに記載の静電荷現像用トナーに関する。
本発明の第21は、請求項15〜20のいずれかに記載の静電荷現像用トナーを用いて、接触または非接触現像を行なうことを特徴とする1成分現像方法に関する。
本発明の第22は、1成分現像方法において、ドクターローラおよび/または供給ローラを用いることを特徴とする請求項21記載の1成分現像方法に関する。
本発明の第23は、請求項15〜20のいずれかに記載の静電荷現像用トナーと体積平均粒径20〜70μmのキャリアを用いて現像することを特徴とする2成分現像方法に関する。
本発明の第24は、請求項21〜23のいずれかに記載の1成分現像方法または2成分現像方法において、ACバイアス電圧成分を印加して現像することを特徴とする現像方法に関する。
本発明の第25は、請求項15〜20のいずれかに記載のトナーが収容されていることを特徴とするトナーカートリッジまたはプロセスカートリッジに関する。
本発明の第26は、請求項1〜10のいずれかに記載のトナー粒体の流動性評価方法を用いて、トナー製造過程で評価を行ない、その評価に基づいてトナーを製造することを特徴とする静電荷現像用トナーの製造方法に関する。
【0007】
本発明の静電荷現像用トナーの評価方法は、トナー粉体相中に長い円柱状検出部材を侵入させ、円柱状検出部材を長手方向に移動させ、そのときに円柱状検出部材にかかる力を測定し、その力の値により流動性を評価するものである。
本発明に係る静電荷現像用トナーの評価装置には圧密荷重測定手段が備付けられており、圧密手段によりトナー粉体相を圧密したままの状態で、圧密荷重を測定しながら、その圧密したトナー粉体相中を円柱状検出部材を移動させ、力を測定するものである。
円柱状検出部材の表面形状はどんなものでも良く、表面に凹凸の有るものでも表面に凹凸の無いものでも良い。
但し、表面に凹凸の有る円柱状検出部材の場合には、円柱状検出部材の移動方向による依存性が生じないように規則的な凹凸形状をもつようにする必要がある。
円柱状検出部材の材質は硬いものである必要がある。例えば、Cu、Fe、SUS、黄銅などからできた溝の切ってある棒、これらの部材の周りを樹脂などで被覆したもの、太いメタル線の周りに密にメタル線を巻き付けたものなどがある。
円柱状検出部材の直径は1.5〜3mmφのものが適している。円柱状検出部材の直径が1.5mmφより小さいと円柱状検出部材が変形しやすくなるため、円柱状検出部材にかかる力のバラツキが大きくなり、細かい流動性の違いを評価することができない。逆に、円柱状検出部材の直径が3mmφより大きい場合には、トナー粉体相中に侵入させる場合のトナー粒子と円柱状検出部材との間に働く抵抗力が大きくなり、円柱状検出部材の周辺に働く力の場所による違いが大きくなる。そのため、正確な測定が出来にくくなり、トナーの流動性の評価には適していない。
円柱状検出部材の長さは、円柱状検出部材が移動してもトナー粉体相の中に円柱状検出部材が連続的に存在するような、十分な長さが必要である。
また、円柱状検出部材表面に溝が切ってある場合には、円柱状検出部材の材質面とトナー粒子との摩擦成分を測定するのではなく、トナー粒子とトナー粒子との摩擦成分を測定することが可能になる。
そのためには、円柱状検出部材がトナー相の中を移動するとき、円柱状検出部材表面に切ってある溝の中にトナー粒子が入り込んできて、その入り込んだトナー粒子と周りのトナー粒子との摩擦状態を測定するようにする必要がある。この溝の形状は問わないが、円柱状検出部材の材質面とトナー粒子との接触が小さくなるように工夫する必要がある。
【0008】
一例を図2により説明する。
図2は、円柱状検出部材の表面形状の概要を示す。
図2(a)は、円柱状検出部材の円周表面上に溝を切ったもので、その溝の断面が三角形の凹凸からなるのこぎり歯形状をしている。この場合、円柱状検出部材材質面とトナー粒子との接触は、三角溝の山の先端部分のみとなる。ほとんどが溝に入り込んだトナー粒子とその周辺のトナー粒子との接触となる。円柱状検出部材の材質は何でも良いが、加工しやすくて、表面が固く、変質しない材質が良い。また、帯電性を帯びない材質が適している。
この例としては、SUS、Al、Cu、Au、Ag、黄銅等がある。
【0009】
トナーの力特性は、円柱状検出部材の移動速度や円柱状検出部材の移動加速度により変化する。
本測定では測定の精度を上げるために、トナー粒子同士の微妙な接触状態が測定出来るように、円柱状検出部材の移動速度や移動加速度を下げて測定するようにした。そのため、測定条件は以下のようにした。
円柱状検出部材の移動速度:0.1〜4mm/sec
円柱状検出部材の移動加速度:0.001〜1mm/sec
円柱状検出部材の移動速度が0.1mm/secより遅い場合はトナー相の微妙な状態の影響を受けやすいため、力測定バラツキの問題が生じ、測定には適していない。4mm/secより速い場合はトナーの飛び散り、噴出等が生じて、安定に測定できないので適していない。
円柱状検出部材の移動加速度が0.001mm/secより遅い場合はトナー相の微妙な状態の影響を受けやすく、測定バラツキの問題が生じるため測定には適していない。
1mm/secより速い場合はトナーの飛び散り、噴出等が生じて、トナー粒子と円柱状検出部材との接触状態が変化してしまい、流動性評価には適していない。
【0010】
本発明に係る静電荷現像用トナーの評価装置を図1により説明する。
該評価装置は、圧密ゾーンおよび測定ゾーンから成る。
圧密ゾーンは、トナーを入れる容器、圧密荷重を測定するロードセル、容器の中のトナーを圧密するピストン、そのピストンに荷重を加えるおもり、そのピストンとおもりを上下させる昇降ステージ等から構成される。
圧密荷重を測定するロードセルは、トナー粉体相にかかる圧密荷重を測るため、試料容器の下で出来るだけ試料容器に近い部分に設ける。
なお、本構成は一例であり、本発明を限定するものではない。勿論、ピストンやおもりを固定して、トナーの入った試料容器を上下させるようにしても良い。
図1の構成では、トナーを入れた試料容器を固定し、ピストンとおもりを下降させ、圧密用のピストンを粉体に接触させ、さらに下降させてピストンにおもりの荷重が全てかかるようにおもりが支持板より浮いた状態になるようにし、一定時間放置する。そのときの圧密荷重はロードセルにて正確に測定する。
その後、圧密したままの状態でトナー相中にある円柱状検出部材を動かして、円柱状検出部材に発生する力を測定する。圧密荷重を測定するロードセルは荷重レンジが広く、分解能の高いものが適している。
ピストンは容器側面と微小なギャップを保ちながらトナー粉体相表面に近づいて接触し、トナー粉体相表面に荷重を加えていく。
そのため、ピストンの材質は加工しやすくて、表面が固く、変質しない材質が良い。また、帯電によるトナー付着が無いようにする必要があり、導電性の材質が適している。
この例としては、SUS、Al、Cu、Au、Ag、黄銅等がある。
【0011】
測定ゾーンは、円柱状の検出部材をトナー粉体相中に侵入させ、その端を力検出器であるロードセルに接続する。
具体的には、図1のように試料容器を挟んで両側にガイドプーリーを設け、その上に円柱状検出部材(検出棒)が載るように、片側から円柱状検出部材を侵入させる。
侵入させるときの円柱状検出部材の移動速度は、0.01〜2mm/secが適している。
円柱状検出部材の移動速度が0.01mm/secより遅い場合はトナー測定の初期化に時間がかかるため、測定には適していない。2mm/secより速い場合はトナー粉体相の相状態が乱されるため、場所による違いが発生し、安定な測定ができなくなるので適していない。また、円柱状検出部材(検出棒)はトナー粉体相の中央部を通過するように設定する。
当然、円柱状検出部材は、試料容器側面の両側の適切な位置に開けてある孔を通して、侵入させる必要がある。
試料容器側面の孔は、トナー漏れのないように円柱状検出部材の大きさに合せた孔である必要がある。しかし、その孔の大きさの許容度が小さい場合には、円柱状検出部部材と孔との間に接触状態が生じやすくなり、それが摩擦成分として力特性に反映されるので良くない。そのため、円柱状検出部材と孔との間に適切なギャップを設けることが必要である。
【0012】
測定時には、円柱状検出部材を駆動ユニットにより左右方向に駆動する。そのときの円柱状検出部材に働く力をロードセルにより検出する。円柱状検出部材の移動量は位置検出器で測定し、移動量と力との関係を測定データとしてPC等で入手する。
トナーの測定時にはトナーを一定量試料容器に入れ、本装置にセットする。(本体にセットしてある試料容器にトナーを一定量投入しても良い。)そして、円柱状検出部材をトナー粉体相中に侵入させる。
その後、圧密ゾーンにてピストンを下降させ、トナー粉体相中にピストンを接触させ、トナー粉体相を圧密してそのときの圧密荷重を測定し、トナー粉体相を一定の圧密状態に初期化する。
この圧密操作により、トナー粉体相の圧密状態を個人差のないようにし、かつその圧密荷重を精度良く評価することにより、精度の高い測定が実現できる。
トナーの測定には圧密荷重が0.5〜50Nになるようにおもりを選択した方が良い。
圧密荷重が0.5Nより小さい場合には円柱状検出部材とトナー粒子との接触状態が場所により異なり、円柱状検出部材に働く力もバラツキが大きくなり測定に適していない。圧密荷重が50Nより大きい場合には、トナー粒子に変形が生じ易くなり、正常なトナー粒子としての特性評価が出来なくなり、測定には適していない。
トナー粉体相を圧密した後のトナー相の空間率は、0.4〜0.7になるようにし、出来るだけトナー粒子間の隙間の変化が大きくなるような状態にする。その後、円柱状検出部材を駆動させ測定を行なう。そのとき、トナー相の圧密方向に対して円柱状検出部材を垂直方向に移動させる。
【0013】
円柱状検出部材の形は、前述したように表面に凹凸の有るものでも表面に凹凸の無いものでも良く、直径が1.5〜3mmφのものが適している。
円柱状検出部材の長さは、円柱状検出部材が移動してもトナー粉体相の中に円柱状検出部材が連続的に存在するような、十分な長さが必要である。溝の形状は、どのような形状でも良いが、円柱状検出部材の移動方向による依存性が生じないように規則的な凹凸形状をもつようにする必要がある。
また、円柱状検出部材の溝形状は同じ円柱状検出部材が何度でも造れるように、単純な凹凸形状をもつ方が良い。
その一例を図2に示すが、三角形の凹凸からなるのこぎり歯形状のもの(a)、コイルを芯線の周りに巻き付けた凹凸形状にもの(b)、凹凸の無い表面をもつもの(c)などがある。
容器の材質については問わないが、トナーとの帯電による影響が出ないように導電性の
材質が適している。また、トナーを入れ替えながら測定するため、汚れを少なくするために表面が鏡面に近いものが良い。
容器のサイズは重要であり、トナー粉体相を圧密したときの圧密の均一性を増すために、トナー容器の直径をトナー相の厚みに対して大きくなるサイズを選択する必要がある。
力を測定するロードセルは測定レンジが広く、分解能の高いものが適している。
位置検出器はリニアスケール、光を用いた変位センサ等があるが、精度的に0.01mm以下の仕様が適している。駆動ユニットは、サーボモータやステッピングモータを用いて、精度良く駆動できるものが良い。また、円柱状検出部材は装置の底板に平行に動かすために、ガイドレールを設けて、円柱状検出部材をガイドレールに沿って動かすようにする。
円柱状検出部材は一定方向の動きだけではなく、往ったり来たりの往復駆動も行なうので、円柱状検出部材の水平度などの位置だしは水準器などを用いて精度良く行なえるようにしておく必要がある。
トナー粉体相を圧密するピストンは、Cu、Al、SUS、Au、Ag、黄銅などからなり、表面や側面は表面に凹凸のない、鏡面に近いスムーズな面をもっている必要がある。何度もトナーを圧密するため、傷の入りにくい硬い材質が適している。
【0014】
試料容器も変形しにくい硬い材質のものが適しているが、加工性などの点からCu、Al、SUS、黄銅などが使用されている。何度も試料を交換して使用するため、特に容器の内面は傷の入らないように硬くなるような表面処理をしておけば良い。
力測定は、決められた速度、加速度条件で行なう。
円柱状検出部材の駆動方向や往復回数なども決めておく必要がある。勿論、一定方向のみの測定でも良いが、移動方向の依存性などをみる場合には往復測定をした方が良い。その場合、往復回数は1〜10回が良い。10回より多く往復測定しても変化が殆んどなく、測定の意味が無い。移動距離は基本的には任意であり、データが安定する位置まで移動させるのが良い。
しかし、測定時間等の関係から5〜50mmの移動量が適している。5mmより小さい場合には力特性が大きく変化している領域でデータが安定しないという問題が発生する。
50mmより大きくなると力特性は安定するが、測定時間が長くなるという問題が発生する。測定モードは、どのような条件でも可能であるが、例として以下のような測定モードがある。
(1)容器にトナーを充填する。
(2)円柱状検出部材を試料容器側面の孔を通して侵入させる。
(3)トナー粉体相をピストンにより加圧して、圧密状態を作り出す。
(4)圧密荷重を測定する。
(5)圧密させた状態で圧密荷重を測定しながら試料ステージを駆動させ、そのときの力を測定する。
(6)予め設定した距離迄移動したところで、移動動作を止める。
(7)試料ステージをスタート位置(最初のホームポジション)に戻す動作を行なう。
以上の(1)〜(7)の操作を繰返して、測定を行なう。試料ステージの移動を止めないで、一定の距離を往復駆動させて、力の変化を測定しても良い。
また、別の測定法としては、トナー粉体相をピストンにより圧密した後、一定距離試料ステージを移動させて止め、さらに一定距離を移動させて止めるという動作を繰返し行ない(1回の動作でも良い)、そのときの力変化を測定する。なお、円柱状検出部材の侵入方法は上記以外の方法でも良い。
【0015】
本発明に係る測定法では、トナー粉体相の空間率が重要になるが、我々の実験結果では空間率は0.40以上のとき安定して測定が可能であった。
0.40未満では圧密状態の微妙な条件の違いが力特性に影響を及ぼし、安定した測定が困難であった。トナー相の空間率の範囲としては、種々な測定法の場合を含めて、0.40〜0.70であった。0.70より大きい場合にはトナー粉体相と円柱状検出部材との接触状態が一定化せず、安定した測定には適していなかった。
しかし、測定系、測定条件等に関してはこの限りではない。
本評価装置に用いるトナーは、高画質画像を実現するために、トナーの体積平均粒径が4〜8μmであることが必要である。本トナーの体積平均粒径は4〜8μmであり、さらに好ましくは5〜7μmである。
体積平均粒径4μm未満では長期間の使用でのトナー飛散による機内の汚れ、低湿環境下での画像濃度低下、感光体クリーニング不良等という問題が生じやすく、人体への影響も懸念される。また体積平均粒径が8μmを超える場合では100μm以下の微小スポットの解像度が充分でなく非画像部への飛び散りも多く画像品位が劣る傾向となる。
【0016】
本トナーを用いる現像剤は、高画質画像を実現するために、キャリアの体積平均粒径が20〜70μmであることが必要である。
キャリアの体積平均粒径が20〜70μmの範囲にあると、現像機内部のトナー濃度が2〜10重量%の範囲内において、トナーの帯電量をより均一にすることができる。20μmより小さくなるとキャリア粒子の感光体上への付着等が生じやすく、さらにトナーとの撹拌効率が悪くなりトナーの均一な帯電量が得られにくくなる。逆に、キャリアの体積平均粒径が70μmを超える場合では、細かい画像再現性が悪くなり、高画質は得られない。
【0017】
本発明のトナーの構成成分について以下に説明する。
本発明のトナーに使用する樹脂は、従来からカラートナーに用いられているポリエステル樹脂及び/又はポリオール樹脂等が好ましい。ポリエステル樹脂やポリオール樹脂は、従来多用されてきたスチレン−アクリル系樹脂よりも低温定着性に優れ、耐熱保存性も比較的よいためである。しかし、ポリエステル樹脂やポリオール樹脂は、スチレン−アクリル系樹脂に比べると、離型剤の分散性が悪く、そのため、粉砕時に樹脂とワックスの界面に粉砕応力が集中し易く、樹脂と離型剤の界面で粉砕され易く、粉砕されたトナーの表面には添加した離型剤の割合以上に離型剤が露出して、トナーの安定性を悪くする面があるので、この点に注意して使用することが好ましい。
本発明で使用できる樹脂としては、スチレン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、スチレンアクリル樹脂、スチレンメタクリレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレンブタジエン樹脂、フェノール樹脂、ブチラール樹脂、テルペン樹脂、ポリオール樹脂等がある。
ビニル樹脂としては、ポリスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体:スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロロメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体:ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等がある。
ポリエステル樹脂としては以下のA群に示したような2価のアルコールと、B群に示したような二塩基酸塩からなるものであり、さらにC群に示したような3価以上のアルコールあるいはカルボン酸を第三成分として加えてもよい。
A群:エチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3,3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2,0)−2,2′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等。
B群:マレイン酸、フマール酸、メサコニン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタール酸、イソフタール酸、テレフタール酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、マロン酸、リノレイン酸、またはこれらの酸無水物または低級アルコールのエステル等。
C群:グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3価以上のアルコール、トリメリト酸、ピロメリト酸等の3価以上のカルボン酸等。
ポリオール樹脂としては、エポキシ樹脂と2価フェノールのアルキレンオキサイド付加物、もしくはそのグリシジルエーテルとエポキシ基と反応する活性水素を分子中に1個有する化合物と、エポキシ樹脂と反応する活性水素を分子中に2個以上有する化合物を反応してなるものなどがある。
【0018】
本発明で用いる顔料としては以下のものが用いられる。
黒色顔料としては、カーボンブラック、オイルファーネスブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、アニリンブラック等のアジン系色素、金属塩アゾ色素、金属酸化物、複合金属酸化物が挙げられる。
黄色顔料としては、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキが挙げられる。
また、橙色顔料としては、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダンスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダンスレンブリリアントオレンジGKが挙げられる。
赤色顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bが挙げられる。
紫色顔料としては、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキが挙げられる。
青色顔料としては、コバルトブルー、アルカリブルー、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBCが挙げられる。
緑色顔料としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ等がある。
これらは1種または2種以上を使用することができる。
特にカラートナーにおいては、良好な顔料の均一分散が必須となり、顔料を直接大量の樹脂中に投入するのではなく、一度高濃度に顔料を分散させたマスターバッチを作製し、それを希釈する形で投入する方式が用いられている。
この場合、一般的には、分散性を助けるために溶剤が使用されていたが、環境等の問題があり、本発明では水を使用して分散させた。水を使用する場合、マスターバッチ中の残水分が問題にならないように、温度コントロールが重要になる。
【0019】
本発明のトナーには電荷制御剤をトナー粒子内部に配合(内添)してもよいが、場合により、トナー粒子と混合(外添)して用いても良い。電荷制御剤によって、現像システムに応じた最適の電荷量コントロールが可能となり、特に本発明では、粒度分布と電荷量とのバランスを更に安定したものとすることが可能である。
トナーを正電荷性に制御するものとして、ニグロシンおよび四級アンモニウム塩、トリフェニルメタン系染料、イミダゾール金属錯体や塩類を、単独あるいは2種類以上組み合わせて用いることができる。また、トナーを負電荷性に制御するものとしてサリチル酸金属錯体や塩類、有機ホウ素塩類、カリックスアレン系化合物等が用いられる。
また、本発明におけるトナーには定着時のオフセット防止のために離型剤を内添することが可能である。離型剤としては、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックスなどの天然ワックス、モンタンワックスおよびその誘導体、パラフィンワックスおよびその誘導体、ポリオレフィンワックスおよびその誘導体、サゾールワックス、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキルリン酸エステル等がある。これら離型剤の融点は65〜90℃であることが好ましい。この範囲より低い場合には、トナーの保存時のブロッキングが発生しやすくなり、この範囲より高い場合には定着ローラー温度が低い領域でオフセットが発生しやすくなる場合がある。
離型剤等の分散性を向上させるなどの目的の為に、更に添加剤を加えても良い。添加剤としては、スチレンアクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、スチレンメタクリレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレンブタジエン樹脂、フェノール樹脂、ブチラール樹脂、テルペン樹脂、ポリオール樹脂等があり、それぞれの樹脂を2種以上混合した物でも良い。
【0020】
本発明に係るトナーを作製する方法としては、粉砕法、重合法(懸濁重合、乳化重合、分散重合、乳化凝集、乳化会合等)等があるが、これらの作製法に限るものではない。
粉砕法の一例としては、まず、前述した樹脂、着色剤としての顔料または染料、電荷制御剤、離型剤、その他の添加剤等をヘンシェルミキサーの如き混合機により充分に混合した後、バッチ式の2本ロール、バンバリーミキサーや連続式の2軸押出し機、連続式の1軸混練機等の熱混練機を用いて構成材料をよく混練し、圧延冷却後、切断を行なう。
切断後のトナー混練物は破砕を行ない、ハンマーミル等を用いて粗粉砕し、更にジェット気流を用いた微粉砕機や機械式粉砕機により微粉砕し、旋回気流を用いた分級機やコアンダ効果を用いた分級機により所定の粒度に分級する。その後、混合機により無機粒子などからなる添加剤を粒子表面に付着もしくは固着させる。
この混合工程後のトナー粒子の流動性を本評価装置を用いて評価する。
図1は、本発明の静電荷現像用トナーの流動性評価装置の1例を示す概略図であり、(a)は、円柱状検出部材侵入前の状態を示す図、(b)は、円柱状検出部材侵入後の状態を示す図である。
この場合、抜取り検査で、試料を試料容器に入れ、その試料容器を直接図1に示す評価装置の試料台に載せ測定を行なう。
円柱状検出部材の移動速度は0.1〜4mm/secとし、円柱状検出部材の移動加速度を0.001〜1mm/secとした。測定は、円柱状検出部材を固定し、試料ステージを5mm以上の予め設定した移動距離を駆動し、その後元の初期位置に戻す。
このときの円柱状検出部材にかかる力を測定し、トナーの流動性を評価する。
【0021】
本発明に係る評価装置でトナー流動性を評価した場合には、測定値(力)とトナー流動性が以下のような関係になる。
力が小さい場合、流動性は良い。
力が大きい場合、流動性は悪い。
円柱状検出部材を用いた本評価装置の特徴は、以下のようになり、抜取り試料をそのまま迅速に、簡単に測定できるため、個人差の無い、精度の高い測定が出来ることにある。
(1)非破壊検査である。
(2)試料をそのまま測定できる。
(3)短時間で測定できる。
(4)誰にでも簡単に測定できる。
そのため、製造ラインでの計測も可能であり、製造工程の中での各工程間に設置して、工程途中での品質評価ができる。
図4は、本発明の静電荷現像用トナーの評価装置を用いたトナー製造装置の1例を示す概略図である。
例えば、図4に示すように、混合工程を経た後、次工程へ粉体試料を搬送する途中に、試料抜取り・測定ゾーンを設けておき、あるタイミングでバルブを開閉して、一定量の試料を測定部へ搬送する。その測定部の先端部はSUS等でできた容器になっており、そのまま本評価装置にて測定する。
または、その容器を近くの別の場所にある本評価装置へ持っていき、試料ステージへのせて測定する。
測定し終わったトナーは、元の試料の中に戻す。評価の結果、その数値が予め定めた設定範囲を外れていた場合、試料を充填工程へは回さず、トナーの再処理工程へ回す。
これらの仕組みは、混合工程前の工程である粉砕・分級工程後の検査、混合工程の後にある風篩工程後の検査、充填前の検査等に適用できる。
また、これらの機能をもったトナー評価装置を単独に開発段階の評価装置として使うことも可能である。
【0022】
トナーの場合、前述の通り本発明に係る評価方法における力の測定値は流動性を示しており、定量的な評価が可能となる。
今までの従来の評価法では、トナー間の違いは評価出来るが、トナーの種類が違うと同じ土俵では評価できないという問題があった。
しかし、本発明に係る評価装置で測定した値は、粉体特性としての力の値であり、トナーの種類が変わっても粒径が変わっても同じ土俵で評価出来る値であり、非常に汎用的な評価値になる。
トナー粉体相中での円柱状検出部材の移動時の力特性は、トナーの流動性と密接な関係があり、トナーの流動性が良い場合には1個1個のトナー粒子間の付着力が小さいために動きやすく、そのトナー粉体相内で円柱状検出部材を動かしても力は小さい。
しかし、逆にトナーの流動性が悪い場合には、1個1個のトナー粒子間の付着力が大きいために動きにくく、そのトナー粉体相内で円柱状検出部材を移動した場合には円柱状検出部材にかかる力は大きくなる。
そのため、本発明の評価装置では、以下のような関係で流動性を評価出来る。
トナー粉体相内を移動したときの力が小さい→流動性は良い。
トナー粉体相内を移動したときの力が大きい→流動性が悪い。
トナーの流動性は、トナー作製工程の中の混合工程によりほとんど決まる。つまり、無機粒子などからなる添加剤をトナー粒子表面に付着もしくは固着させる状態によって、トナー粒子の流動性は大きく変化する。
トナーの混合状態は、混合工程での混合条件(仕込み量、回転数、混合時間等)によって変化する。そのため、流動性には混合条件が重要な役割を果たし、混合工程後の流動性の評価が重要となる。
【0023】
プリンタや複写機において、高画質化を実現するためには、非常に微小なドット再現性を高める必要がある。それを実現するためには、非常に微小な潜像に対して忠実なトナー現像が必要となる。
この忠実な現像を可能にするためには、現像域に均一なトナーブラシを供給する必要がある。そのためには、トナー帯電量が適度な条件であることが必要であるが、常に安定して現像域に均一なトナーブラシが供給できるようなトナーの動き易さ、搬送のし易さが非常に重要となる。つまり、微小なドット再現性を上げるためには、トナーの流動性を上げることが必要になる。
また、高画質を実現するためには、何度も違う画像を作成しても過去の画像の影響が無いようにクリーニング性を高める必要がある。
そのためには、ブレードなどのクリーニング部材によりトナー粒子がきれいに剥ぎ取られる流動性をもつことが必要になってくる。
トナー粒子の流動性が良すぎるとトナー粒子はブレード下を通過しやすくなりクリーニング不良を生じる。逆にトナー粒子の流動性が悪い場合には、感光体等への固着などが生じクリーニング不良が生じてしまう。そのため、トナー粒子の流動性の最適化が必要になる。
そこで、トナーの流動性を円柱状検出部材を用いた本発明の評価方法により評価し、ドット再現性やクリーニング性との関係を調べた結果、非常に強い相関関係が存在し、円柱状検出部材(直径:2mmφ、黄銅)がトナー粉体相中を移動するときに、円柱状検出部材に発生する力の値が0.1〜0.7Nであるときに、ドット再現性やクリーニング性が良くなることが分かった。力の値が0.1未満では、トナーの流動性が良すぎるためにブレードの下をトナーが通過することが可能となり、クリーニング不良となり、画質低下が生じた。0.7Nより大きくなれば流動性が低下し、ドット再現性およびクリーニング性とも悪くなり、画質低下が生じた。
【0024】
本発明に係るトナーを作製する方法としては、粉砕法以外の方法が考えられ、重合法の一例としては、モノマーに着色剤及び電荷制御剤等を添加したモノマー組成物を水系の媒体中で懸濁し重合させることでトナー粒子を得る。造粒法は特に限定されない。
例えば、有機溶媒中にイソシアネート基を含有するポリエステル系プレポリマー、顔料系着色剤、離型剤を加えて油性分散液を作り、この油性分散液を無機微粒子及び/又はポリマー微粒子の存在下に水系媒体中に分散させ、ついでこの分散液中で該プレポリマーをポリアミン及び/又は活性水素含有基を有するモノアミンと反応させてウレア基を有するウレア変性ポリエステル系樹脂を形成させ、このウレア変性ポリエステル系樹脂を含む分散液からそれに含まれる液状媒体を除去することにより本発明のトナーを得ることができる。
ウレア変性ポリエステル系樹脂は、Tg40〜65℃、好ましくは45〜60℃、数平均分子量(Mn)2500〜50000、好ましくは2500〜30000、重量平均分子量(Mw)1万〜50万、好ましくは3万〜10万である。
このトナーは、該プレポリマーと該アミンとの反応によって高分子量化されたウレア結合を有するウレア変性ポリエステル系樹脂をバインダー樹脂として含む。そして、そのバインダー樹脂中には着色剤が高分散している。
これらの方式の場合にも、造粒後の検査、電荷制御剤の処理後の検査、添加剤の混合工程後の検査、混合工程の後にある風篩工程後の検査、充填前の検査等に適用できる。
また、流動性はトナー形状によって影響されるが、トナーの平均円形度が0.9〜0.99である非常に球形に近いトナーの場合には流動性に優れ、ドット再現性やクリーニング性に優れた高画質化を実現できる。
【0025】
さらに二成分現像剤として使用する場合は、後述する磁性キャリアと所定の混合比率で混合することによって二成分現像剤とする。
本トナーは、接触または非接触現像方式に使用する1成分現像剤として用いる。接触または非接触現像方式は色々な公知のものが使用される。
例えば、アルミスリーブを用いた接触現像法、導電性ゴムベルトを用いた接触現像法、アルミ素管の表面にカーボンブラック等を含む導電性樹脂層を形成した現像スリーブを用いる非接触現像法等がある。
また、1成分現像方式において、トナー供給部の出口にトナー層を均一にするためのローラー状のブレードやトナーを供給するための供給ローラを設けた現像方式に、本トナーを用いることが好ましい。
このような方式の場合には、感光体へのフィルミングだけではなく、ドクターローラや供給ローラへのフィルミングが発生する。
このため、トナー層が均一に形成できないばかりかトナー帯電が不均一になり、トナー電荷量も小さくなる。このため現像不良が生じる。
しかし本発明のトナーを用いると、ドクターローラや供給ローラへのフィルミングは発生せず、安定した現像が行なわれ、耐久特性に優れた方式となる。(図5参照。)
また、磁性トナーとする場合には、トナー粒子の中に磁性体の微粒子を内添すれば良い。磁性体としては、フェライト、マグネタイト、鉄、ニッケル、コバルト、それらの合金などの強磁性体等が考えられる。磁性体の体積平均粒径は0.1〜1μmが好ましい。磁性体の含有量はトナー100重量部に対して、10から70重量部であることが好ましい。
【0026】
二成分現像剤に使用されるキャリアとしては公知のものが使用可能であり、例えば鉄粉、フェライト粉、ニッケル粉、マグネタイト粉の如き磁性粒子あるいはこれら磁性粒子の表面をフッ素系樹脂、ビニル系樹脂、シリコーン系樹脂等で処理したもの、あるいは磁性粒子が樹脂中に分散されている磁性粒子分散樹脂粒子等が挙げられる。これら磁性キャリアの体積平均粒径は20〜70μmが良い。
また、前述したように本発明の一成分または二成分現像剤は流動性向上剤として無機微粉体をトナーに添加して用いることが可能である。
本発明の無機微粉体としてはSi、Ti、Al、Mg、Ca、Sr、Ba、In、Ga、Ni、Mn、W、Fe、Co、Zn、Cr、Mo、Cu、Ag、V、Zr等の酸化物や複合酸化物が挙げられる。
これらのうち二酸化珪素(シリカ)、二酸化チタン(チタニア)、アルミナの微粒子が好適に用いられる。さらに、疎水化処理剤等により表面改質処理することが有効である。
疎水化処理剤の代表例としては以下のものが挙げられる。
ジメチルジクロルシラン、トリメチルクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルジクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、p−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、クロルメチルトリクロルシラン、ヘキサフェニルジシラザン、ヘキサトリルジシラザン等。
無機微粉体はトナーに対して0.1〜2重量%使用されるのが好ましい。0.1重量%未満では、トナー凝集を改善する効果が乏しくなり、2重量%を超える場合は、細線間のトナー飛び散り、機内の汚染、感光体の傷や摩耗等の問題が生じやすい傾向がある。
また、本発明の現像剤には、実質的な悪影響を与えない範囲内で更に他の添加剤、例えばテフロン(登録商標)粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末の如き滑剤粉末;あるいは酸化セリウム粉末、炭化珪素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末などの研磨剤;あるいは例えばカーボンブラック粉末、酸化亜鉛粉末、酸化スズ粉末等の導電性付与剤を現像性向上剤として少量用いることもできる。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、トナーの流動性をトナー粉体相中に円柱状検出部材を侵入させ、円柱状検出部材がトナー粉体相中を移動するときに発生する力を測定することにより、定量的に、精度良く、個人差がなく評価でき、細かいトナー間の流動性の違いを正確に評価出来る静電荷現像用トナーの評価方法、流動性評価装置、該評価方法を用いて得られた静電荷現像用トナー、それを用いた現像方法及びそれを収容したカートリッジを提供することができた。
又、本発明により、短時間でトナー粉体相をそのまま測定できるので、製造ラインの中にも導入でき、高品質なトナーを安定して生産できる。
【実施例】
【0028】
以下、実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例においては、組成および混合条件を変化せしめてトナーを作製し、トナー流動性を本評価装置を用いて評価し、クリーニング性をブレード通過後の感光体上の画像濃度で評価し、ドット再現性を画像のザラツキ感として5段階評価した。
トナーの流動性は予め最適な圧密条件(圧密荷重:6N)で圧密状態にし、圧密荷重および空間率を測定した後、以下の条件で測定し、円柱状検出部材がトナー粉体相を相対的に移動している時の力(表1中では引抜力として表示。)を測定した。圧密時のトナー漏れは、トナー漏れの有無で評価した。
円柱状検出部材:黄銅(直径:2mmφ)
円柱状検出部材の相対移動速度:1.0mm/sec
円柱状検出部材の相対移動加速度:0.2mm/sec
なお、以下の配合における部数は全て重量部である。
【0029】
実施例1
樹脂 ポリエステル樹脂 100部
顔料 マゼンタ顔料(C.I.ピグメントレッド57) 4部
帯電制御剤 サルチル酸亜鉛塩 5部
上記原材料をミキサーで十分に混合した後、2軸押出し機によりバレル温度100℃、混練機回転数100rpmで溶融混練した。
混練物を圧延冷却後カッターミルで粗粉砕し、ジェット気流を用いた微粉砕機で粉砕後、旋回式風力分級装置を用いて、体積平均粒径が6μmの粒度分布に分級した。さらに、このようにして得られた母体着色粒子100部に対して、以下の混合条件にて添加剤を混合し、トナーを作製した。
添加剤 シリカ微粉末 1.0部
酸化チタン微粉末 0.3部
混合回転数 1000rpm
混合時間 120sec
混合機 スーパーミキサー
本トナーを作製した後、本評価装置により圧密し、圧密状態(圧密荷重、空間率)および流動性を測定した結果を表1に示す。
得られたトナーを潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価、クリーニング実験およびランニング実験を行なった。その結果を表1に示す。
【0030】
実施例2
実施例1と同様の原材料、作製方法で混練、粉砕、分級を行ない、体積平均粒径が6μmの粒度分布に分級した。
さらに、このようにして得られた母体着色粒子100部に対して、以下の混合条件にて添加剤を混合し、トナーを作製した。
添加剤 シリカ微粉末 1.2部
酸化チタン微粉末 0.3部
混合回転数 1000rpm
混合時間 120sec
混合機 スーパーミキサー
本トナーを作製した後、本評価装置により圧密し、圧密状態(圧密荷重、空間率)および流動性を測定した結果を表1に示す。
得られたトナーを潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価、クリーニング実験およびランニング実験を行なった。その結果を表1に示す。
【0031】
実施例3
実施例1と同様の原材料、作製方法で混練、粉砕、分級を行ない、体積平均粒径が6μmの粒度分布に分級した。
さらに、このようにして得られた母体着色粒子100部に対して、以下の混合条件にて添加剤を混合し、トナーを作製した。
添加剤 シリカ微粉末 1.5部
酸化チタン微粉末 0.3部
混合回転数 1100rpm
混合時間 120sec
混合機 スーパーミキサー
本トナーを作製した後、本評価装置により圧密し、圧密状態(圧密荷重、空間率)および流動性を測定した結果を表1に示す。
得られたトナーを潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価、クリーニング実験およびランニング実験を行なった。その結果を表1に示す。
【0032】
実施例4
実施例1と同様の原材料、作製方法で混練、粉砕、分級を行ない、体積平均粒径が6μmの粒度分布に分級した。
さらに、このようにして得られた母体着色粒子100部に対して、以下の混合条件にて添加剤を混合し、トナーを作製した。
添加剤 シリカ微粉末 1.8部
酸化チタン微粉末 0.3部
混合回転数 1100rpm
混合時間 120sec
混合機 スーパーミキサー
本トナーを作製した後、本評価装置により圧密し、圧密状態(圧密荷重、空間率)および流動性を測定した結果を表1に示す。
得られたトナーを潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価、クリーニング実験およびランニング実験を行なった。その結果を表1に示す。
【0033】
比較例1
実施例1と同様の原材料、作製方法で混練、粉砕、分級を行ない、体積平均粒径が6μmの粒度分布に分級した。
さらに、このようにして得られた母体着色粒子100部に対して、以下の混合条件にて添加剤を混合し、トナーを作製した。
添加剤 シリカ微粉末 1.0部
混合回転数 700rpm
混合時間 120sec
混合機 スーパーミキサー
本トナーを作製した後、本評価装置により圧密し、圧密状態(圧密荷重、空間率)および流動性を測定した結果、表1のようになった。
得られたトナーを潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価、クリーニング実験およびランニング実験を行なった。その結果を表1に示す。
【0034】
実施例5
トナーバインダーの合成
冷却管、攪拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物724部、イソフタル酸276部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧、230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時間反応した後、160℃まで冷却して、これに32部の無水フタル酸を加えて2時間反応した。
次いで、80℃まで冷却し、酢酸エチル中にてイソフォロンジイソシアネート188部と2時間反応を行い、イソシアネート含有プレポリマーIを得た。次いでプレポリマーI267部とイソホロンジアミン14部を50℃で2時間反応させ、重量平均分子量64000のウレア変性ポリエステルIを得た。
上記と同様にビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物724部、テレフタル酸276部を常圧下、230℃で8時間重縮合し、次いで10〜15mmHgの減圧で5時間反応して、ピーク分子量5000の変性されていないポリエステルAを得た。
ウレア変性ポリエステルI200部と変性されていないポリエステルA800部を酢酸エチル/MEK(1/1)混合溶剤2000部に溶解、混合し、トナーバインダーIの酢酸エチル/MEK溶液を得た。一部減圧乾燥し、トナーバインダーIを単離した。分析の結果Tgは62℃であった。
トナーの作製
トナーバインダーIの酢酸エチル/MEK溶液 240部
ペンタエリスリトールテトラベヘネート(溶融粘度25cps) 20部
銅フタロシアニンブルー顔料(C.I.ピグメントブルー15:3) 5部
上記原材料をビーカー内で、60℃にてTK式ホモミキサーで12000rpmで攪拌し、均一に溶解、分散させてトナー材料溶液を作製した。
イオン交換水 706部
ハイドロキシアパタイト10%懸濁液 294部
(日本化学工業(株)製スーパタイト10)
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.2部
ビーカー内に上記原材料を入れ均一に溶解した。
その後60℃に昇温し、TK式ホモミキサーで12000rpmに攪拌しながら、上記トナー材料溶液を投入し10分間攪拌した。ついでこの混合液を攪拌棒および温度計付のフラスコに移し、30℃まで昇温して減圧下で溶剤を除去し、濾別、洗浄、乾燥した後、風力分級し、トナー粒子を得た。体積平均粒径は6.5μmであった。
このトナー粒子100部に対して以下の混合条件にて添加剤を混合し、トナーを得た。
さらに、母体着色粒子100部に対して、以下の混合条件にて添加剤を混合し、トナーを作製した。
添加剤 シリカ微粉末 1.0部
酸化チタン微粉末 0.3部
混合回転数 1200rpm
混合時間 120sec
混合機 Qミキサー
本トナーを作製した後、本評価装置により圧密し、圧密状態(圧密荷重、空間率)および流動性を測定した結果を表1に示す。
上記作製法で得られたトナーとキャリアをキャリア97.5部に対し、2.5部の割合で混合し、二成分現像剤を作製した。
得られた現像剤を潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価、クリーニング実験およびランニング実験を行なった。その結果を表1に示す。
【0035】
実施例6
実施例5と同様の原材料、作製方法でトナー作製を行ない、体積平均粒径が6.5μmの粒度分布に分級した。
さらに、このようにして得られた母体着色粒子100部に対して、以下の混合条件にて添加剤を混合し、トナーを作製した。
添加剤 シリカ微粉末 1.2部
酸化チタン微粉末 0.3部
混合回転数 1200rpm
混合時間 120sec
混合機 Qミキサー
本トナーを作製した後、本評価装置により圧密し、圧密状態(圧密荷重、空間率)および流動性を測定した結果を表1に示す。
上記作製法で得られたトナー2.5部とキャリア97.5部を混合し、二成分現像剤を作製した。
得られた現像剤を潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価、クリーニング実験およびランニング実験を行なった。その結果を表1に示す。
【0036】
実施例7
実施例5と同様の原材料、作製方法でトナー作製を行ない、体積平均粒径が6.5μmの粒度分布に分級した。
さらに、このようにして得られた母体着色粒子100部に対して、以下の混合条件にて添加剤を混合し、トナーを作製した。
添加剤 シリカ微粉末 1.5部
酸化チタン微粉末 0.3部
混合回転数 1200rpm
混合時間 120sec
混合機 Qミキサー
本トナーを作製した後、本評価装置により圧密し、圧密状態(圧密荷重、空間率)および流動性を測定した結果を表1に示す。
上記作製法で得られたトナー2.5部とキャリア97.5部を混合し、二成分現像剤を作製した。
得られた現像剤を潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価、クリーニング実験およびランニング実験を行なった。その結果を表1に示す。
【0037】
実施例8
実施例5と同様の原材料、作製方法でトナー作製を行ない、体積平均粒径が6.5μmの粒度分布に分級した。
さらに、このようにして得られた母体着色粒子100部に対して、以下の混合条件にて添加剤を混合し、トナーを作製した。
添加剤 シリカ微粉末 1.8部
酸化チタン微粉末 0.3部
混合回転数 1200rpm
混合時間 120sec
混合機 Qミキサー
本トナーを作製した後、本評価装置により圧密し、圧密状態(圧密荷重、空間率)および流動性を測定した結果を表1に示す。
上記作製法で得られたトナー2.5部とキャリア97.5部を混合し、二成分現像剤を作製した。
得られた現像剤を潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価、クリーニング実験およびランニング実験を行なった。その結果を表1に示す。
【0038】
比較例2
実施例5と同様の原材料、作製方法でトナー作製を行ない、体積平均粒径が6.5μmの粒度分布に分級した。
さらに、このようにして得られた母体着色粒子100部に対して、以下の混合条件にて添加剤を混合し、トナーを作製した。
添加剤 シリカ微粉末 1.0部
混合回転数 700rpm
混合時間 120sec
混合機 スーパーミキサー
本トナーを作製した後、本評価装置により圧密し、圧密状態(圧密荷重、空間率)および流動性を測定した結果を表1に示す。
上記作製法で得られたトナー2.5部とキャリア97.5部を混合し、二成分現像剤を作製した。
得られた現像剤を潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価、クリーニング実験およびランニング実験を行なった。その結果を表1に示す。
【0039】
実施例9
樹脂 ポリエステル樹脂 100部
着色剤 カーボンブラック 10部
帯電制御剤 サルチル酸亜鉛塩 2部
離型剤 カルナウバワックス 5部
添加剤 スチレンアクリル樹脂 3部
上記原材料をミキサーで十分に混合した後、2軸押出し機によりバレル温度100℃で回転数120rpmで溶融混練した。混練物を圧延冷却後カッターミルで粗粉砕し、ジェット気流を用いた微粉砕機で粉砕後、旋回式風力分級装置を用いて、体積平均粒径が6μmの粒度分布に分級した。さらに、母体着色粒子100部に対して、以下の混合条件にて添加剤を混合し、トナーを作製した。
添加剤 シリカ微粉末 1.2部
酸化チタン微粉末 0.3部
混合回転数 1200rpm
混合時間 120sec
混合機 Qミキサー
本トナーを作製した後、本評価装置により圧密し、圧密状態(圧密荷重、空間率)および流動性を測定した結果を表1に示す。
上記作製法で得られたトナー2.5部とキャリア97.5部を混合し、二成分現像剤を作製した。
得られた現像剤を潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価、クリーニング実験およびランニング実験を行なった。その結果を表1に示す。
【0040】
実施例10
実施例9と同様の原材料、作製方法でトナー作製を行ない、体積平均粒径が6μmの粒度分布に分級した。
さらに、このようにして得られた母体着色粒子100部に対して、以下の混合条件にて添加剤を混合し、トナーを作製した。
添加剤 シリカ微粉末 1.5部
酸化チタン微粉末 0.3部
混合回転数 1200rpm
混合時間 120sec
混合機 Qミキサー
本トナーを作製した後、本評価装置により圧密し、圧密状態(圧密荷重、空間率)および流動性を測定した結果を表1に示す。
上記作製法で得られたトナー2.5部とキャリア97.5部を混合し、二成分現像剤を作製した。
得られた現像剤を潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価、クリーニング実験およびランニング実験を行なった。その結果を表1に示す。
【0041】
実施例11
実施例9と同様の原材料、作製方法でトナー作製を行ない、体積平均粒径が6μmの粒度分布に分級した。
さらに、このようにして得られた母体着色粒子100部に対して、以下の混合条件にて添加剤を混合し、トナーを作製した。
添加剤 シリカ微粉末 1.8部
酸化チタン微粉末 0.3部
混合回転数 1200rpm
混合時間 120sec
混合機 Qミキサー
本トナーを作製した後、本評価装置により圧密し、圧密状態(圧密荷重、空間率)および流動性を測定した結果を表1に示す。
上記作製法で得られたトナー2.5部とキャリア97.5部を混合し、二成分現像剤を作製した。
得られた現像剤を潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価、クリーニング実験およびランニング実験を行なった。その結果を表1に示す。
【0042】
比較例3
実施例9と同様の原材料、作製方法でトナー作製を行ない、体積平均粒径が6μmの粒度分布に分級した。
さらに、このようにして得られた母体着色粒子100部に対して、以下の混合条件にて添加剤を混合し、トナーを作製した。
添加剤 シリカ微粉末 1.0部
混合回転数 700rpm
混合時間 120sec
混合機 スーパーミキサー
本トナーを作製した後、本評価装置により圧密し、圧密状態(圧密荷重、空間率)および流動性を測定した結果を表1に示す。
上記作製法で得られたトナー2.5部とキャリア97.5部を混合し、二成分現像剤を作製した。
得られた現像剤を潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価、クリーニング実験およびランニング実験を行なった。その結果を表1に示す。
以上の実施例1〜11、比較例1〜3の測定結果を表1に示す。
【0043】
【表1】

【0044】
以上の結果から分かるように、トナー粉体相の本評価装置による流動性評価値とクリーニング性との間には強い相関関係が存在し、本評価装置によりクリーニング性を評価できることが分かる。
また、表1から、本評価装置による流動性評価値とドット再現性との間にも強い相関関係が存在し、本評価装置によりドット再現性を評価できることが分かる。表1から圧密荷重は安定した値を示しており、流動性評価値の精度は高いことが分かる。また、圧密時のトナー漏れは生じなく、問題なかった。
図3および表1の結果から、ドット再現性およびクリーニング性の良い高画質を得るために必要な、流動性の良いトナーを得るためには、以下の条件を満足することが必要である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の静電荷現像用トナーの流動性評価装置の1例を示す概略図であり、(a)は、円柱状検出部材侵入前の状態を示す図、(b)は、円柱状検出部材侵入後の状態を示す図。
【図2】円柱状検出部材の表面形状の概要を示す図であり、(a)は、のこぎり歯形状の例を示す図、(b)は、楕円歯形状の例を示す図、(c)は、ツルツル形状の例を示す図。
【図3】実施例1〜11および比較例1〜3における円柱状検出部材の相対駆動時の力(引抜力)とクリーニング性との関係を示す図。
【図4】本発明の静電荷現像用トナーの評価装置を用いたトナー製造装置の1例を示す概略図。
【図5】本発明の評価法を用いて作製したトナーを使った現像装置の1例を示す概略図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー粉体相中に長い円柱状検出部材を侵入させ、トナー粉体相を圧密手段により圧密した後円柱状検出部材を移動させ、そのときに円柱状検出部材に発生する力を測定することによりトナー粉体の流動性を評価することを特徴とする静電荷現像用トナーの評価方法。
【請求項2】
トナー粉体相を圧密手段により圧密状態にしたままで、トナー粉体相の圧密荷重を測定しながら、円柱状検出部材を圧密方向に対して垂直方向に移動させ、円柱状検出部材に発生する力を測定することによりトナー粉体の流動性を評価することを特徴とする請求項1記載の静電荷現像用トナーの評価方法。
【請求項3】
圧密荷重を測定する手段としてロードセルを用い、そのロードセルを試料容器の下に設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の静電荷現像用トナーの評価方法。
【請求項4】
圧密する手段としてオモリを載せたピストンを用い、その圧密荷重の値が0.5〜50Nになるようにしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の静電荷現像用トナーの評価方法。
【請求項5】
圧密手段によりトナー粉体相の空間率が0.4〜0.7になるようにしたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の静電荷現像用トナーの評価方法。
【請求項6】
円柱状検出部材のトナー粉体相への侵入時の移動速度が0.01〜2mm/secであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の静電荷現像用トナーの評価方法。
【請求項7】
円柱状検出部材の測定時の移動速度が0.1〜4mm/secであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の静電荷現像用トナーの評価方法。
【請求項8】
円柱状検出部材の移動量が5〜50mmであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の静電荷現像用トナーの評価方法。
【請求項9】
トナー粉体相に対して円柱状検出部材を相対的に1〜10回往復移動させることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の静電荷現像用トナーの評価方法。
【請求項10】
円柱状検出部材の測定時の移動加速度が0.001〜1mm/secであることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の静電荷現像用トナーの評価方法。
【請求項11】
円柱状検出部材、トナーを収容した容器、該容器内のトナー粉体相中に該円柱状検出部材を水平に埋没させる手段、トナー粉体相を容器上方から下方に圧密する手段、トナー粉体相中において、トナー粉体相と該円柱状検出部材とを相対的に円柱状検出部材の長手方向に移動させる手段及びこのときの円柱状検出部材に働く力を検出する検出手段よりなることを特徴とする静電荷現像用トナーの流動性評価装置。
【請求項12】
円柱状検出部材の表面が規則的な凹凸形状をもつことを特徴する請求項11に記載の静電荷現像用トナーの流動性評価装置。
【請求項13】
円柱状検出部材が溝を設けた棒からなることを特徴する請求項11に記載の静電荷現像用トナーの流動性評価装置。
【請求項14】
円柱状検出部材の直径が1.5〜3mmφであることを特徴とする請求項11〜13のいずれかに記載の静電荷現像用トナーの流動性評価装置。
【請求項15】
請求項1〜10のいずれかに記載の静電荷現像用トナーの評価方法により、添加剤を混合する混合工程以降のトナー粉体の円柱状検出部材(直径:2mmφ、黄銅)が相対的にトナー粉体相中を移動するときに発生する力の値が0.1〜0.7Nになるようにしたことを特徴とする静電荷現像用トナー。
【請求項16】
トナー粉体が、少なくとも樹脂、顔料からなるトナーの中に電荷制御剤および/または離型剤を含んでいることを特徴とする請求項15記載の静電荷現像用トナー。
【請求項17】
静電荷現像用トナーにおいて、トナー粉体の表面に添加剤が付着または固着していることを特徴とする請求項15又は16記載の静電荷現像用トナー。
【請求項18】
静電荷現像用トナーにおいて、トナー粉体の体積平均粒径が4〜8μmであることを特徴とする請求項15〜17のいずれかに記載の静電荷現像用トナー。
【請求項19】
静電荷現像用トナーにおいて、トナー粉体が重合法で製造されたことを特徴とする請求項15〜18のいずれかに記載の静電荷現像用トナー。
【請求項20】
静電荷現像用トナーにおいて、トナー粉体の平均円形度が0.9〜0.99であることを特徴とする請求項15〜19のいずれかに記載の静電荷現像用トナー。
【請求項21】
請求項15〜20のいずれかに記載の静電荷現像用トナーを用いて、接触または非接触現像を行なうことを特徴とする1成分現像方法。
【請求項22】
1成分現像方法において、ドクターローラおよび/または供給ローラを用いることを特徴とする請求項21記載の1成分現像方法。
【請求項23】
請求項15〜20のいずれかに記載の静電荷現像用トナーと体積平均粒径20〜70μmのキャリアを用いて現像することを特徴とする2成分現像方法。
【請求項24】
請求項21〜23のいずれかに記載の1成分現像方法または2成分現像方法において、ACバイアス電圧成分を印加して現像することを特徴とする現像方法。
【請求項25】
請求項15〜20のいずれかに記載のトナーが収容されていることを特徴とするトナーカートリッジまたはプロセスカートリッジ。
【請求項26】
請求項1〜10のいずれかに記載のトナー粉体の流動性評価方法を用いて、トナー製造過程で評価を行ない、その評価に基づいてトナーを製造することを特徴とする静電荷現像用トナーの製造方法。

【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図1】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−349860(P2006−349860A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−174187(P2005−174187)
【出願日】平成17年6月14日(2005.6.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】