説明

静電霧化装置

【課題】 高電圧発生回路の個体のばらつきによる高電圧出力のばらつきを調整し、且つ、搭載される電気機器を誤動作させることがない。
【解決手段】 制御手段4に、前記高電圧発生回路3で出力する高電圧を検出して該検出値に基づいて前記高電圧が静電霧化に必要な所定の高電圧となるように調整する高電圧調整手段11と、高電圧発生回路3のスイッチングを駆動させための制御手段4から出力される高電圧制御信号のスイッチング周波数を調整するための周波数調整手段12とを設ける。周波数調整手段11により、上記スイッチング周波数を、当該高電圧発生回路3で出力される高電圧が静電霧化に必要な所定の高電圧となるような特定周波数範囲に含まれ、且つ、前記静電霧化装置5が組み込まれる電気機器13における赤外線リモコン受信部14が持つ受信周波数範囲に入らない範囲に調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電霧化現象を利用して帯電微粒子水を生成するための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、霧化電極と、霧化電極に水を供給する水供給手段と、霧化電極に高電圧を印加する高電圧発生回路とを備え、前記霧化電極に供給された水を前記高電圧の印加によって発生する高電界で静電霧化させて、ラジカルを含む帯電微粒子水を生成するようにした静電霧化装置が知られている。
【0003】
現在上記のような静電霧化装置を電気機器に搭載することが行われている。静電霧化装置により発生させるラジカルを含む帯電微粒子水は、ラジカルを含み且つ長寿命であるため、空気中への拡散を大量に行うことができ、悪臭成分などに効果的に作用して脱臭に有効であり、また、肌の保湿に対しても有効である。
【0004】
しかしながら、上記のような静電霧化装置は、高電圧発生回路の個体ばらつきにより高電圧発生回路から出力する高電圧の定格電圧に対するばらつきが大きいという問題がある。すなわち、高電圧発生回路は、使用する部品定数により高電圧の出力値が決まるため、使用する部品定数のばらつきが大きい場合、高電圧の定格電圧に対するばらつきが大きくなってしまう。高電圧のばらつきが大きすぎる高電圧発生回路は、脱臭と肌保湿に有効な帯電微粒子量を確保することができない。上記のような高電圧のばらつきが大きすぎる高電圧発生回路に対しては、部品の付け替えによる高電圧の調整をしなければならない。このため、高電圧の出力ばらつきを安定して定格電圧に調整したいという要望がある。
【0005】
また、電気機器に組み込む静電霧化装置においては、高電圧を発生する際のスイッチング周波数が高電圧発生回路により任意に決定されるため、高電圧発生回路のスイッチング周波数が、静電霧化装置が組み込まれた家庭用エアコンなどの電気機器における赤外線リモコン受信部が持つ受信周波数と受信周波数が重なる場合があり、電気機器が誤動作するおそれがある。
【特許文献1】特開2007−21370号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、高電圧発生回路の個体のばらつきによる高電圧出力のばらつきを調整し、且つ、搭載される電気機器を誤動作させることがない静電霧化装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る静電霧化装置5は、霧化電極1と、該霧化電極1に水を供給する水供給手段2と、制御手段4が出力する高電圧制御信号により高電圧を出力して前記霧化電極1に高電圧を印加する高電圧発生回路3とを備え、前記霧化電極1に供給された水を前記高電圧の印加によって発生する高電界で静電霧化させるものである。そして、本発明の特徴は、制御手段4に、前記高電圧発生回路3で出力する高電圧を検出して該検出値に基づいて前記高電圧が静電霧化に必要な所定の高電圧となるように調整する高電圧調整手段11と、高電圧発生回路3のスイッチングを駆動させための制御手段4から出力される高電圧制御信号のスイッチング周波数を調整するための周波数調整手段12とを設け、上記周波数調整手段11により、上記スイッチング周波数を、当該高電圧発生回路3で出力される高電圧が静電霧化に必要な所定の高電圧となるような特定周波数範囲に含まれ、且つ、前記静電霧化装置5が組み込まれる電気機器13における赤外線リモコン受信部14が持つ受信周波数範囲に入らない範囲に調整することである。
【0008】
このような構成とすることで、高電圧発生回路3の個体ばらつきによる高電圧発生回路3から出力する高電圧の定格電圧に対するばらつきを、制御手段4に設けた高電圧調整手段11により調整して高電圧発生回路3から出力する高電圧を定格電圧となるように調整することができる。また、周波数調整手段12により、高電圧発生回路3のスイッチングを駆動させための高電圧制御信号のスイッチング周波数を、当該高電圧発生回路3で出力される高電圧が静電霧化に必要な所定の高電圧となるような特定周波数範囲に含まれ、且つ、前記静電霧化装置5が組み込まれる電気機器13における赤外線リモコン受信部14が持つ受信周波数範囲に入らない範囲に調整するものであり、これにより、高電圧発生回路3のスイッチングが静電霧化装置5が組み込まれる電気機器13を誤動作しないようにできる。
【0009】
また、制御手段4から出力される前記高電圧発生回路3を駆動させるための高電圧制御信号がパルス幅変調方式であることが好ましい。
【0010】
このような構成とすることで、高電圧発生回路3から出力する高電圧を固定した状態で制御することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、上記のように構成したので、高電圧発生回路の固定ばらつきによる高電圧出力のばらつきを制御手段に設けた高電圧調整手段により調整して、高電圧の出力値を定格電圧にすることができ、部品の付け替えや可変抵抗等の手段により調整する必要がなく、生産コストを安くすることができる。また、高電圧発生回路のスイッチングが静電霧化装置が組み込まれる電気機器のリモコン受信部に影響を与えないようにでき、電気機器の誤動作を防止できる。
【0012】
また、制御手段から出力される高電圧発生回路を駆動させるための高電圧制御信号がパルス幅変調方式とすることで、高電圧発生回路のスイッチング周波数を固定した状態で制御することができて、静電霧化装置が組み込まれる電気機器のリモコン受信部に影響を与えないようにできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0014】
図1には本発明の静電霧化装置5の制御ブロック図が示してある。静電霧化装置5は、霧化電極1と、霧化電極1に水を供給する水供給手段2と、霧化電極1に供給された水を静電霧化するために霧化電極1に供給された水に高電圧を印加するための高電圧発生回路3とを備えている。また、図1において、4はマイコンよりなる制御手段、9は放電電流検出回路、10は高電圧検出回路、3は高電圧発生回路、5aは霧化ブロック、7はペルチェ用電源回路、20はペルチェ電圧検出回路である。
【0015】
添付図面に示す実施形態においては、水供給手段2が、空気中の水分を結露水として生成することで霧化電極1に水を供給するための冷却手段により構成してある例を示している。
【0016】
図1に示す実施形態においてはペルチェユニット6により冷却手段が構成してあり、冷却手段により空気中の水分を冷却して結露水を生成することで霧化電極1に水を供給するようになっている。
【0017】
ペルチェユニット6は、熱伝導性の高いアルミナや窒化アルミニウムからなる絶縁板の片面側に回路を形成してある一対のペルチェ回路板を、互いの回路が向き合うように対向させ、多数列設してあるBiTe系の熱電素子を両ペルチェ回路板間で挟持すると共に隣接する熱電素子同士を両側の回路で電気的に接続させ、ペルチェ入力リード線を介してなされるペルチェ用電源回路7から熱電素子への通電により一方のペルチェ回路板側から他方のペルチェ回路板側に向けて熱が移動するように構成したものである。更に、上記一方の側のペルチェ回路板の外側には冷却部を接続してあり、また、上記他方の側のペルチェ回路板の外側には放熱部が接続してあり、放熱部としてたとえば放熱フィンを例示できる。ペルチェユニット6の冷却部には霧化電極1の後端部が接続してある。
【0018】
添付図面に示す実施形態では霧化電極1に対向するように対向電極8が配設してある。そして、添付図面に示す実施形態では、ペルチェユニット6と、霧化電極1と、対向電極8とで霧化ブロック5aを構成してある。
【0019】
上記構成の静電霧化装置5は、ペルチェユニット6に通電することで、冷却部が冷却され、冷却部が冷却されることで霧化電極1が冷却され、空気中の水分を結露して霧化電極1に水(結露水)を供給するようになっている。
【0020】
このように霧化電極1に水が供給された状態で上記霧化電極1と対向電極8との間に高電圧発生回路3から高電圧を印加すると、霧化電極1と対向電極8との間にかけられた高電圧により霧化電極1の先端部に供給された水と対向電極8との間にクーロン力が働いて、水の液面が局所的に錐状に盛り上がり(テーラーコーン)が形成される。このようにテーラーコーンが形成されると、該テーラーコーンの先端に電荷が集中してこの部分における電界強度が大きくなって、これによりこの部分に生じるクーロン力が大きくなり、更にテーラーコーンを成長させる。このようにテーラーコーンが成長し該テーラーコーンの先端に電荷が集中して電荷の密度が高密度となると、テーラーコーンの先端部分の水が大きなエネルギー(高密度となった電荷の反発力)を受け、表面張力を超えて分裂・飛散(レイリー分裂)を繰り返してマイナス又はプラスに帯電したナノメータサイズの帯電微粒子水を大量に生成するようになっている。生成された帯電微粒子水は静電霧化装置5の外部に放出される。
【0021】
そして、制御手段4から出力される冷却制御信号に基づいて、ペルチェ用電源回路7からペルチェユニット6に冷却用電圧が出力されてペルチェユニット6の冷却作用により空気中の水分が結露水として生成されて霧化電極1の先端部に結露水が供給される。
【0022】
この状態で、制御手段4から高電圧制御信号を出力すると、高電圧制御信号に基づいて高電圧発生回路3から高電圧が出力され、霧化電極1に高電圧を印加され、前述のようにして霧化電極1の先端部の水の静電霧化が行われ、ナノメータサイズの帯電微粒子水が生成される。
【0023】
ここで、放電電流検出回路9により、放電時の電流を検出し、放電電流検出回路9から制御手段4に放電電流信号を出力し、該放電電流信号に基づいて、制御手段4により高電圧発生回路3、ペルチェ用電源回路7をPWM制御するようになっている。
【0024】
上記のような静電霧化装置5は赤外線リモコン受信部14を備えた電気機器13に組み込まれる。静電霧化装置5を組み込む電気機器13としては、例えば赤外線リモコンにより制御される家庭用空調装置や空気清浄機等を挙げることができるが、必ずしも上記例のみに限定されず、赤外線リモコンにより制御される電気機器であれば、他の電気機器であってもよい。
【0025】
ここで、上記のように電気機器13に組み込まれる(搭載される)本発明の静電霧化装置5は、制御手段4に、高電圧発生回路3で出力する高電圧を検出して該検出値に基づいて前記高電圧が静電霧化に必要な所定の高電圧となるように調整する高電圧調整手段11と、高電圧発生回路3のスイッチングを駆動させるための制御手段4から出力される高電圧制御信号のスイッチング周波数を調整するための周波数調整手段12と、上記周波数調整手段12によるスイッチング周波数の調整条件と同じ条件で調整した周波数の冷却制御信号でペルチェ用電源回路7を駆動するペルチェ電圧制御手段15を設けている。
【0026】
上記高電圧調整手段11による高電圧発生回路3から出力する高電圧の調整、周波数調整手段12による制御手段4から出力される高電圧制御信号のスイッチング周波数の調整、ペルチェ用のスイッチング周波数の調整、ペルチェ電圧制御手段15によるペルチェ用電源回路7から出力する電圧の調整は、静電霧化装置5の初期設定の際に自動的に行われる。
【0027】
上記初期設定においては、まず、制御手段4に設けた周波数調整手段12によるスイッチング周波数の調整を行う制御が行われる。
【0028】
すなわち、高電圧発生回路3の固有周波数は固体によるばらつきがあるので、周波数調整手段12により、高電圧発生回路の固有周波数に対応して、制御手段4から高電圧発生回路3への高電圧制御信号の周波数出力を制御して静電霧化に必要な高電圧を確保できるような特定周波数範囲に含まれ、且つ、当該静電霧化装置5が組み込まれる電気機器13における赤外線リモコン受信部14が持つ受信周波数範囲に入らない範囲に調整する。
【0029】
図2にはその一例の制御フロー図が示してある。
【0030】
本実施形態においては、制御手段4から高電圧制御信号(PWMデューティ固定、周波数は初期値)を出力して、高電圧発生回路3から高電圧の出力を開始し、高電圧検出回路10により高電圧を検出して、高電圧信号を制御手段4に入力して高電圧出力を読み込む。次に、周波数をΔfだけワンステップ増加させ、周波数をΔf増加させた時の高電圧出力が下降(高電圧信号値が減少)した場合は、周波数をΔfだけワンステップ減少させ、周波数をΔf減少させた時の高電圧が上昇(高電圧信号値が増加)する場合は、周波数制限値(上記赤外線リモコン受信部14が持つ受信周波数範囲の上限値)を越えたか否かを判定し、周波数制限値を越えた場合は、上記越えた周波数よりもワンステップ前の周波数にスイッチング周波数を確定する(図3参照)。
【0031】
周波数制限値を越えない場合は、再び周波数をΔfだけワンステップ減少させる。
【0032】
一方、周波数をΔf減少させた時の高電圧が下降(高電圧信号値が減少)する場合は、ピーク周波数を越えたと認定できるので、周波数をΔfだけワンステップだけ増加させて、高電圧がピーク周波数を越えて下降する直前の周波数に戻し、この周波数をピーク周波数であるとみなしてスイッチング周波数として確定する(図4参照)。
【0033】
また、上記図2の制御フロー図において、高電圧発生回路3から高電圧の出力を開始し、高電圧出力を読み込み、次に、周波数をΔfだけワンステップ増加させた時の高電圧が上昇(高電圧信号値が増加)した場合は、周波数をΔf増加させ、周波数をΔf増加させた時の高電圧が上昇(高電圧信号値が増加)する場合は、周波数制限値(上記赤外線リモコン受信部14が持つ受信周波数範囲の下限値)を越えたか否かを判定し、周波数制限値を越えた場合は、上記越えた周波数よりもワンステップ前の周波数にスイッチング周波数を確定する。周波数制限値を越えない場合は、再び周波数をΔfだけワンステップ増加させる(図5参照)。
【0034】
一方、周波数をΔf増加させた時の高電圧が上昇(高電圧信号値が増加)する場合は、ピーク周波数を越えたたと認定できるので、周波数をΔfだけワンステップだけ減少させて、高電圧がピーク周波数を越えて下降する直前の周波数に戻し、この周波数をピーク周波数であるとみなしてスイッチング周波数として確定する。
【0035】
図3乃至図6には上記図2の制御フローによってスイッチング周波数を調整する各例の順序を説明するための説明図である。
【0036】
図3は、スイッチング周波数の初期値が(1)で、最初に周波数をワンステップ(Δf)増加させた際に高電圧出力が下降(高電圧信号値が減少)したケースで、次に、周波数をΔfずつ減少させて、周波数を(2)、(3)……(N)と減少していく際に、高電圧出力が上昇から下降に転じる前に周波数(N)が、周波数制限値を越えた場合を示し、この場合は、最初に周波数制限値を越えた(N)から周波数をワンステップ(Δf)増加させた(M)をスイッチング周波数として確定する例を示している。
【0037】
図4は、スイッチング周波数の初期値が(1)で、最初に周波数をワンステップ(Δf)増加させた際に高電圧出力が下降(高電圧信号値が減少)したケースで、次に、周波数をΔfずつ減少させて、周波数を(2)、(3)……(N)と減少していく際に、高電圧出力が上昇から下降に転じて周波数(N)となっても、周波数制限値を越えない場合を示し、この場合は、高電圧出力が上昇から下降に転じて周波数(N)から周波数をワンステップ(Δf)増加させた(M)をスイッチング周波数として確定する例を示している。
【0038】
図5は、スイッチング周波数の初期値が(1)で、最初に周波数をワンステップ(Δf)増加させた際に高電圧出力が上昇(高電圧信号値が増加)したケースで、次に、周波数をΔfずつ増加させて、周波数を(2)……(N)と増加していく際に、高電圧出力が上昇から下降に転じる前に周波数(N)が、周波数制限値を越えた場合を示し、この場合は、最初に周波数制限値を越えた(N)から周波数をワンステップ(Δf)減少させた(M)をスイッチング周波数として確定する例を示している。
【0039】
図6は、スイッチング周波数の初期値が(1)で、最初に周波数をワンステップ(Δf)増加させた際に高電圧出力が上昇(高電圧信号値が増加)したケースで、次に、周波数をΔfずつ減少させて、周波数を(2)……(N)と増加していく際に、高電圧出力が上昇から下降に転じて周波数(N)となっても、周波数制限値を越えない場合を示し、この場合は、高電圧出力が上昇から下降に転じて周波数(N)から周波数をワンステップ(Δf)減少させた(M)をスイッチング周波数として確定する例を示している。
【0040】
このようにして、制御手段4に設けた周波数調整手段12により、高電圧発生回路3のスイッチングを駆動させるための高電圧制御信号の周波数の調整をしてスイッチング周波数を自動的に確定した後、電圧調整手段11による高電圧発生回路3から出力する高電圧が静電霧化に必要な所定の高電圧となるように自動的に調整する。
【0041】
すなわち、静電霧化装置5の高電圧発生回路3は組み込まれる部品定数により個体ばらつきがあり、高電圧発生回路3から出力する高電圧の定格電圧に対するばらつきがある。このため、本発明においては、制御手段4に高電圧調整手段11を設けることで、高電圧発生回路3で出力する高電圧を検出して該検出値に基づいて高電圧調整手段11により前記高電圧が静電霧化に必要な所定の高電圧となるように自動的に調整する。
【0042】
ここで、本発明においては、高電圧発生回路3には従来のようにDCDCコントローラICやスイッチング回路を設けることなく、制御手段4に設けた高電圧調整手段11により調整されたパルス幅変調方式の高電圧制御信号により高電圧発生回路3に設けたスイッチング素子を直接オン、オフするようになっている。
【0043】
図7には高電圧調整手段11による高電圧の調整の制御のフロー図が示してあり、この図7に基づいて高電圧の調整につき説明する。
【0044】
制御手段4から高電圧制御信号(PWMデューテイ固定、周波数は上記で求めた周波数)を出力し、高電圧発生回路3から高電圧の出力を開始する。この高電圧発生回路3から出力する高電圧を高電圧検出回路10で検出して、検出した放電電圧信号を制御手段2に設けた高電圧調整手段11で読み取り、該高電圧検出回路10で検出した高電圧が定格電圧であるかを判定し、検出された高電圧が定格電圧の場合は、制御手段4から出力する高電圧制御信号のデューティ比を維持し、一方、検出された高電圧が定格電圧でない場合は、制御手段4から出力する高電圧制御信号のデューティ比を変更し、高電圧が定格電圧となるように調整し、高電圧が定格電圧になると高電圧制御信号のデューティ比を維持する。このように高電圧調整手段11により、高電圧発生回路3で出力する高電圧を検出して該検出値に基づいて前記高電圧が静電霧化に必要な定格電圧となるように調整する。
【0045】
また、制御手段4には前述のようにペルチェ電圧制御手段15が設けてあり、ペルチェ電圧制御手段15により、前記周波数調整手段12で求めたスイッチング周波数と同じ周波数の冷却制御信号でペルチェ用電源回路7を駆動するように調整する。
【0046】
ここで、本発明においては、ペルチェ用電源回路7には従来のようにDCDCコントローラICやスイッチング回路を設けることなく、制御手段4に設けたペルチェ電圧制御手段15により調整されたパルス幅変調方式の冷却制御信号によりペルチェ用電源回路7に設けたスイッチング素子を直接オン、オフするようになっている。
【0047】
図8には高電圧調整手段11によるペルチェ電圧の調整の制御のフロー図が示してあり、この図8に基づいてペルチェ電圧の調整につき説明する。
【0048】
制御手段4から冷却制御信号(PWMデューテイ固定、周波数は前述の周波数調整手段12を調整して求めたスイッチング周波数と同じ周波数に設定)を出力し、ペルチェ用電源回路7から電圧の出力を開始する。このペルチェ用電源回路7から出力する電圧をペルチェ電圧検出回路20で検出して、検出したペルチェ電圧信号を制御手段2に設けた高電圧調整手段11で読み取り、該ペルチェ電圧検出回路20で検出した電圧が目標電圧であるかを判定し、検出された電圧が目標電圧の場合は、制御手段4から出力する冷却圧制御信号のデューティ比を維持し、一方、検出された高電圧が目標電圧でない場合は、制御手段4から出力する冷却制御信号のデューティ比を変更し、電圧が目標電圧となるように調整し、電圧が目標電圧になると冷却制御信号のデューティ比を維持する。
【0049】
上記のように、静電霧化装置5の初期設定において、周波数調整手段12によるスイッチング周波数の調整を行って、高電圧発生回路3のスイッチング周波数を、当該高電圧発生回路3で出力される高電圧が静電霧化に必要な所定の高電圧となるような特定周波数範囲に含まれ、且つ、前記静電霧化装置5が組み込まれた電気機器13における赤外線リモコン受信部14が持つ受信周波数範囲に入らない範囲に設定し、更に、このようにして設定したスイッチング周波数と同じ周波数にペルチェ電源回路7のスイッチング周波数を設定するので、高電圧発生回路3のスイッチング及びペルチェ用電源回路7のスイッチングが静電霧化装置5が組み込まれる電気機器13を誤動作しないようにできる。
【0050】
また、制御手段4に設けた高電圧調整手段11により、高電圧発生回路3から出力する高電圧を検出し、この高電圧検出信号に基づいて高電圧発生回路3から出力する高電圧を定格電圧となるように調整し、更に、ペルチェ電圧制御手段15により、ペルチェ用電源回路7から出力する電圧を検出し、この電圧検出信号に基づいてペルチェ用電源回路7から出力するペルチェ電圧を目標電圧となるように調整するので、高電圧発生回路3、ペルチェ用電源回路7の個体ばらつきを、制御手段4により調整して高電圧発生回路3から出力する高電圧を定格電圧に調整すると共にペルチェ用電源回路7から出力する電圧を目標電圧に調整することができる。
【0051】
この結果、本発明においては、高電圧発生回路3は、スイッチング駆動と高電圧制御を制御手段4が行うことになり、また、ペルチェ用電源回路7は、スイッチング駆動とペルチェ電圧制御を制御手段が行うこととなり、DCDCコントローラICやスイッチング回路を必要とせず、部品点数が少なくなり、コストが安くなる。
【0052】
そして、本発明の静電霧化装置においては、上記のような調整を初期設定時に制御手段4により自動的に行うので、実際の静電霧化装置5の使用に当たっては、静電霧化によって帯電微粒子水の発生量を安定させることができる。
【0053】
なお、図1においては、水供給手段2としてペルチェユニットの例を示したが、ペルチェユニット以外の冷却手段であってもよい。また、空気中の水分を結露水として水を供給するものに限定されず、タンクのような水溜め部から毛細管現象や重力等を利用して霧化電極に水を供給するようにしてもよい。
【0054】
本発明において、ペルチェユニットを設けない場合は、前述の実施形態におけるペルチェ用電源回路7、ペルチェ電圧検出回路20、ペルチェ電圧制御手段15は設けない。
【0055】
また、図1の実施形態では対向電極8を設けた例を示したが、対向電極8を設けない場合であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の静電霧化装置の制御ブロック図である。
【図2】同上のスイッチング周波数を調整して確定する制御フロー図である。
【図3】同上のスイッチング周波数のセンシングの例を示す説明図である。
【図4】同上のスイッチング周波数のセンシングの他例を示す説明図である。
【図5】同上のスイッチング周波数のセンシングの更に他例を示す説明図である。
【図6】同上のスイッチング周波数のセンシングの更に他例を示す説明図である。
【図7】同上の高電圧制御の制御フロー図である。
【図8】同上のペルチェ制御の制御フロー図である。
【符号の説明】
【0057】
1 霧化電極
2 水供給手段
3 高電圧発生回路
4 制御手段
5 静電霧化装置
11 高電圧調整手段
12 周波数調整手段
13 電気機器
14 赤外線リモコン受信部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
霧化電極と、該霧化電極に水を供給する水供給手段と、制御手段が出力する高電圧制御信号により高電圧を出力して前記霧化電極に高電圧を印加する高電圧発生回路とを備え、前記霧化電極に供給された水を前記高電圧の印加によって発生する高電界で静電霧化させる静電霧化装置において、
制御手段に、前記高電圧発生回路で出力する高電圧を検出して該検出値に基づいて前記高電圧が静電霧化に必要な所定の高電圧となるように調整する高電圧調整手段と、高電圧発生回路のスイッチングを駆動させための制御手段から出力される高電圧制御信号のスイッチング周波数を調整するための周波数調整手段とを設け、
上記周波数調整手段により、上記スイッチング周波数を、当該高電圧発生回路で出力される高電圧が静電霧化に必要な所定の高電圧となるような特定周波数範囲に含まれ、且つ、前記静電霧化装置が組み込まれる電気機器における赤外線リモコン受信部が持つ受信周波数範囲に入らない範囲に調整することを特徴とする静電霧化装置。
【請求項2】
前記制御手段から出力される前記高電圧発生回路を駆動させるための高電圧制御信号がパルス幅変調方式であることを特徴とする請求項1記載の静電霧化装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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