静電駆動装置
【課題】 静電駆動装置において、移動子の位置を検出する。
【解決手段】 静電駆動装置100は、スリット群123と複数の駆動電極122とが設けられた固定子120と、固定子120側の面には駆動電極122に対向する位置にエレクトレット化部位が設けられ、スリット群123と対向しながら移動するスリット132を有し、固定子120に対し移動可能に設けられた移動子130と、光をスリット群123とスリットと132を通過させるための発光を行う発光素子160と、発光素子160から発光されてスリット群123及びスリット132を通過してきた光を受光するリニア光学センサ140を有する。
【解決手段】 静電駆動装置100は、スリット群123と複数の駆動電極122とが設けられた固定子120と、固定子120側の面には駆動電極122に対向する位置にエレクトレット化部位が設けられ、スリット群123と対向しながら移動するスリット132を有し、固定子120に対し移動可能に設けられた移動子130と、光をスリット群123とスリットと132を通過させるための発光を行う発光素子160と、発光素子160から発光されてスリット群123及びスリット132を通過してきた光を受光するリニア光学センサ140を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電気力を利用して移動子を駆動する静電駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、静電気力を利用して対象物を駆動する静電駆動の方法が知られている。この静電駆動の方法をカメラのシャッタ機構に利用した場合を例として説明する。シャッタ機構は、円形開口が設けられたステータと光を遮光するフィルム状部材からなるスライダからなっている。ステータには帯状電極が設けられており、スライダは帯状電極と対応するように帯状に最初に帯状電極により帯電される。このような状態で帯状電極に適切な位相で正負の電圧を印加することによって、帯状電極とこれに対応するように帯状に帯電したスライダとの間に吸引力と反発力が働き、ステータに対してスライダが移動される(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−220592号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載されたものによると、ステータに対してスライダを移動させることができる。すなわち、静電気力を利用して移動子を駆動することができる。
【0004】
しかしながら、移動子の位置を検出するための構成を有していないため、静電駆動装置単体で移動子の位置を検出することができない。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、移動子の位置を検出することができる静電駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載された発明は、静電駆動装置において、複数の第1のスリットと複数の駆動電極とが設けられた固定子と、上記固定子側の面には上記駆動電極に対向する位置にエレクトレット化部位が設けられ、上記第1のスリットと対向しながら移動する第2のスリットを有し、上記固定子に対し移動可能に設けられた移動子と、光を上記第1のスリットと上記第2のスリットとを通過させるための発光を行う発光素子と、上記発光素子から発光されて上記第1のスリット及び上記第2のスリットを通過してきた光を受光する受光素子と、を有していることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載された発明は、静電駆動装置において、エレクトレット化された部位を有する移動子と、上記移動子の移動領域投影面中に、上記移動子を駆動するため複数の駆動電極が設けられた駆動電極領域と、上記移動領域投影面中の一部に上記複数の駆動電極が設けられていない駆動電極非形成領域とを有する固定子と、光を発光する発光素子と、上記発光素子からの上記駆動電極非形成領域を通過し光を受光するように設けられた受光素子と、を有することを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載された発明は、静電駆動装置において、円周の周方向に配列された複数の第1のスリットと周方向に配列された複数の駆動電極とを有する固定部材と、上記固定部材に対し回動可能に取り付けられ上記固定部材の上記駆動電極が設けられた面に対向して配設され、上記駆動電極が設けられた面側には永久分極された誘電体であるエレクトレット部位と、上記第1のスリットと対向しながら上記回動する第2のスリットを有する移動部材と、光を上記第1のスリットと上記第2のスリットとを通過させるための発光を行う発光素子と、上記発光素子から発光されて上記第1のスリット及び上記第2のスリットを通過してきた光を受光する受光素子と、を有していることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載された発明は、静電駆動装置において、表面に、高反射率部と該高反射率部と比較して低反射率の低反射率部とからなる複数の縞状のパターンと複数の駆動電極とが設けられた固定子と、上記固定子の上記駆動電極に対向する面にはエレクトレット化された部位と、反射部とを有し、上記固定子に対し移動可能に設けられた移動子と、上記反射部を介し、上記パターンに光を投光する発光素子と、上記パターンからの反射光を受光する受光素子と、を有することを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載された発明は、静電駆動装置において、表面に、複数の駆動電極と、該複数の駆動電極と平行に列状に並んだ複数の第1電極群とが設けられた固定子と、上記固定子の上記駆動電極に対向する面には上記駆動電極に対向する位置にエレクトレット化された部位と上記複数の第1電極群に対し対向して移動し、上記複数の第1電極群のそれぞれ一つとの間の静電容量を検出するための第2電極とが設けられ、上記固定子に対し移動可能な移動子と、を有することを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載された発明は、静電駆動装置において、表面に複数の駆動電極が設けられた固定子と、光投光素子と、上記固定子の上記駆動電極に対向する面には上記駆動電極に対向する位置にエレクトレット化された部位と、上記投光素子からの光を反射もしくは通過させる例えばミラーである光制御部位とが設けられ、上記固定子に対し相対移動可能な移動子と、上記光制御部位からの光を受光し、上記固定子に対する上記移動子の相対位置を検出可能とする例えばラインセンサである光検出器と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、静電駆動装置単体で移動子の位置を検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
先ず、図1から図4を参照して本発明の各実施形態に共通する静電駆動装置の原理について説明する。図1(a)及び(b)に示すように、静電駆動装置1は固定子2と移動子3とを備え、移動子3は固定子2に対して同図において左右方向に移動自在に構成されている。そして、固定子2には、例えば、被写体からの光像を図示しない撮像素子に導くための光線通過可能領域である開口部4が設けられている。更に、この固定子2は上記移動子3の移動方向と直行する方向に、帯状の複数の駆動電極5が所定の間隔で並設されている。上記移動子3は、遮光性を有する部材であり、後述する永久分極された誘導体(以下、エレクトレットと称する。)6の部位を複数備えている。
【0014】
このような構成において、駆動電極5に周波電圧を印加すると、駆動電極5と上述のエレクトレット6との間に吸引力もしくは反発力が発生し、結果的に移動子3が固定子2に対して相対移動する。したがって、移動子3が固定子2の開口部4を、開放若しくは遮蔽するように移動可能にしておくことにより、静電駆動装置1は、例えば、カメラ等に用いられるシャッタ機構として利用できる。このようにシャッタ機構として利用した場合、図1(a)はシャッタが開の状態を示し、図1(b)はシャッタが閉の状態を示す。なお、固定子2に開口部4は必ずしも必要なものではなく、固定子2を透過部材として、図1(a)に示されるように、駆動電極5が設けられていない領域を形成しても良い。
【0015】
図2は、静電駆動装置1の断面を模式的に示すと共に静電駆動装置1の駆動回路7を示した図である。静電駆動装置1において、固定子2に並設されたそれぞれの駆動電極5には、駆動回路7からの電圧信号線が接続されている。これらの電圧信号線には4相の電圧信号が印加されるようになっている。従って、駆動電極5には、4本毎に同一の電圧信号が印加される。図2では、駆動電極5にA、B、C、Dの符号を付し、5A、5B、5C、5Dとしてこの電圧信号を区別している。
移動子3には、固定子2との対向面に永久分極されたエレクトレット6の部位を複数備えている。
【0016】
なお、この図2は、あくまでも模式図であり、実際の静電駆動装置1における駆動電極5、エレクトレット6の部位の数、配置間隔は、静電駆動装置1の大きさ、開口部4の面積、エレクトレット6の部位の極性、その配置形態、シャッタ機構として利用した場合はシャッタ機構として要求される駆動分解能やシャッタ最高速度等の様々な要因によって適宜決定されるものである。また、静電駆動装置1は、正負の極性を有するエレクトレット6の部位が交互に配置されたタイプであるが、いずれか一方の極性だけでも実現可能である。
【0017】
図2の左には、静電駆動装置1に印加する電圧信号を発生する駆動回路7の構成が示されている。パルス発生回路8で生成した矩形波列(駆動パルス信号)は、昇圧回路9と位相器10に供給される。昇圧回路9では、入力された矩形波列が100V程度まで昇圧されるとともに、2つの極性を有する電圧信号に分岐されて、駆動電極5A及び5Cに供給される。一方、位相器10に入力された矩形波列は、90°位相が遅れた波形となり、その後、昇圧回路9に入力されて、上述と同様の2つの矩形波列となり、駆動電極5B及び5Dに供給される。
【0018】
図3は、上記駆動回路7によって作成されて、駆動電極5A〜5Dに印加される電圧信号列の例を示したタイミングチャートである。このうち、図3(a)は駆動電極5A、図3(b)は駆動電極5B、図3(c)は駆動電極5C、図3(d)は駆動電極5Dのタイミングチャートである。なお、駆動電極5A〜5Dの電圧の状態は、時間t1〜t4の4つの状態が、時間経過に対応して繰り返して変化するものである。
【0019】
図4(a)〜(d)は、上述した静電駆動装置1の動作を説明する図である。なお、図4(a)〜(d)において、同図右側方向を移動子3の進行方向として、後方側(左側)に正極(プラス)のエレクトレット6aの部位、前方側(右側)に負極(マイナス)のエレクトレット6bの部位は配列されているものとする。
【0020】
図4(a)は、図3に示される時間t1に切り替った直後のエレクトレットと駆動電極5の電圧の状態(極性)を示している。この状態において、正極のエレクトレット6aは、駆動電極5A(正極)から反発力を受け、駆動電極5B(負極)から吸引力を受ける。また、負極のエレクトレット6bは、駆動電極5C(負極)から反発力を受け、駆動電極5D(正極)から吸引力を受ける。このため、移動子3は図4(a)の右方向に力を受けて、1つの駆動電極ピッチd分右方向へ移動する。
【0021】
図4(b)は、時間t2に切り替った直後のエレクトレットと駆動電極の電圧の状態を示している。この状態において、正極のエレクトレット6aは、駆動電極5B(正極)から反発力を受け、駆動電極5C(負極)から吸引力を受ける。また、負極のエレクトレット6bは、駆動電極5D(負極)から反発力を受け、駆動電極5A(正極)から吸引力を受ける。このため、移動子3は図4(b)の右方向に力を受けて、1つの駆動電極ピッチd分右方向へ移動する。
【0022】
図4(c)は、時間t3に切り替った直後のエレクトレットと駆動電極の電圧の状態を示している。この状態において、正極のエレクトレット6aは、駆動電極5C(正極)から反発力を受け、駆動電極5D(負極)から吸引力を受ける。また、負極のエレクトレット6bは、駆動電極5A(負極)から反発力を受け、駆動電極5B(正極)から吸引力を受ける。このため、移動子3は図4(c)の右方向に力を受けて、1つの駆動電極ピッチd分右方向へ移動する。
【0023】
図4(d)は、時間t4に切り替った直後のエレクトレットと駆動電極の電圧の状態を示している。この状態において、正極のエレクトレット6aは、駆動電極5D(正極)から反発力を受け、駆動電極5A(負極)から吸引力を受ける。また、負極のエレクトレット6bは、駆動電極5B(負極)から反発力を受け、駆動電極5C(正極)から吸引力を受ける。このため、移動子3は図4(d)の右方向に力を受けて、1つの駆動電極ピッチd分右方向へ移動する。
【0024】
上述したように、移動子3は1つの駆動電極ピッチd移動し、この動作が繰り返されることで、移動子3は図4(a)→(b)→(c)→(d)のように右方向(図中矢印方向)に移動する。なお、図4(a)〜(d)において、移動子3を左方向に移動するためには、駆動電極5A〜5Dに印加する電圧の極性を逆に切り替えればよい。
【0025】
次に、本発明の各実施形態について説明する。
【0026】
(第1の実施形態)
第1の実施形態を説明する。図5は、本発明に係る第1の実施形態の静電駆動装置100の構成を示す分解図である。受台110には、固定子120を固定するために受台110の長手方向に沿って形成された固定子固定溝111、移動子130を移動可能にガイドするために固定子固定溝111と所定間隔をあけ、平行となるように形成された移動子ガイド112、光を検出するためのリニア光学センサ140を固定するための凹部113a、113b、平行光レンズ150を固定するための凹部114a、114b、光を発光する発光素子(例えば、発光ダイオード)160を固定するために発光素子受台115が設けられている。
【0027】
固定子120は、所定の厚さを有する矩形状からなり、その略中央部には光を通過させるために開口部121を設けている。また、固定子120は、固定子固定溝111にはめ込まれたときに移動子130と対向する面に、図中上下方向に帯状の駆動電極122が複数所定間隔で設けられている。さらに、固定子120の下方には、駆動電極122の並び方向と平行となるように、一方の端から他方の端まで所定ピッチPでスリットが設けられたスリット群123が設けられている。
【0028】
移動子130は、固定子120と略同じ高さ、かつ、開口部121の幅より若干広い幅をした所定の厚さの矩形状からなる。また、移動子130の固定子120と対向する面には、固定子120に設けられた駆動電極122と対向するように、上下方向にエレクトレット化部位であるエレクトレット131が所定間隔で設けられている。
【0029】
リニア光学センサ140は、長手方向が移動子130の移動方向となり、かつ、受光素子が配設された受光面141が移動子130と対向する向きに向けられたラインセンサで構成されている。前記受光素子は、リニア光学センサ140の長手方向に固定子120に設けられたスリット群123と対応するように複数配置されている。また、リニア光学センサ140は、下側面に、2つの突起部143a、143bが設けられている。この突起部143a、143bがそれぞれ受台110の凹部113a、113bに嵌入され、リニア光学センサ140は受台110に固定される。さらに、リニア光学センサ140に設けられた各受光素子は、発光素子160から発光された光を平行光レンズ150を介して受光するとON信号、光を受光しない場合はOFF信号を図示しない信号検出部に出力する。
【0030】
平行光レンズ150の下側面には突起部151a、151bが設けられている。この突起部151a、151bがそれぞれ受台110の凹部114a、114bに嵌入され、平行光レンズ150は受台110に固定される。受台110に固定された平行光レンズ150は、発光素子受台115に固定された発光素子160が発光した光を受光すると、その受光した光を平行光にし、固定子120の下部へ投光する。
【0031】
したがって、固定子120、リニア光学センサ140、平行光レンズ150、発光素子160が受台110に固定されて構成される静電駆動装置100において、移動子130が移動子ガイド112上にないときは、発光素子160から発光された光は、平行光レンズ150で平行光にされて、固定子120の下部へ投光される。このとき、固定子120のスリット群123に投光された光は通過するが、スリット群123のスリット以外の部分に投光された光は通過せずに固定子120により遮断される。固定子120のスリット群123のスリットを通過した光は、リニア光学センサ140に配設された受光素子にそれぞれ入射される。このためリニア光学センサ140のすべての受光素子は、光を受光しON信号を図示しない信号検出部へ出力する。
【0032】
図6は、静電駆動装置100において、移動子130の位置を検出する構成について説明するための図である。上述したように発光素子160から発光された光は、平行光レンズ150で平行光にされて、固定子120の下部へ投光される。そして、固定子120のスリット群123のスリットを通過した光は、移動子130の下部へ投光された光は移動子130により遮断され、移動子130の下部へ投光されない光はリニア光学センサ140に配置された受光素子でそれぞれ受光される。したがって、移動子130により光が遮断されない位置に配置されている受光素子で発光素子160からの光が受光される。このようにリニア光学センサ140に配置された各受光素子のうち、光を受光した受光素子からはON信号が、光を受光しない受光素子からはOFF信号が図示しない信号検出部に出力される。信号検出部は、このリニア光学センサ140から出力されるON/OFF信号に基づいて移動子130の位置を検出することができる。
【0033】
さらに詳しく説明すると、移動子130は、上述した原理で説明したように、図示しない駆動回路により固定子120の駆動電極122に周波電圧を印加することにより、固定子120に対して相対移動が可能である。このように移動子130が固定子120に対して相対移動すると、その移動子130の移動に応じて固定子120のスリット群123のスリットを通過して移動子130により遮断される光の位置が変化する。したがって、リニア光学センサ140に配設された受光素子から出力されるON/OFF信号が変化する。上記信号検出部は、このON/OFF信号により、OFF信号を出力した受光素子が配置された位置に移動子130が位置していることを検出することができる。
【0034】
図7は、このON/OFF信号の波形を概念的に示す図である。図7において横軸はリニア光学センサ140のセンサの受光素子の並び方向に対応している。この波形図により、図示しない信号検出部は、OFF信号を出力している受光素子の位置に移動子130が位置していることを検出することができる。
【0035】
また、このようにOFF信号を出力する受光素子の変化に基づいて、図示しない信号検出部は移動子130がいずれの方向に移動しているかを検出することができる。すなわち、例えば、図示しない記憶部にリニア光学センサ140の受光素子から出力されたON/OFF信号の情報を一時的に記憶しておき、移動子130が移動した後のリニア光学センサ140の受光素子から出力されたON/OFF信号の情報と比較することにより、移動子130がいずれの方向に移動しているかを検出することが可能となる。
【0036】
このように構成された静電駆動装置100によると、リニア光学センサ140から出力されるON/OFF信号に基づいて、移動子130の位置を検出することができるとともに、移動子130の移動方向を検出することができる。
【0037】
このように移動子130の位置を検出することができるので静電駆動装置100は、例えば、予め図示しない記憶部に移動子130により固定子120の開口部121が閉となる位置のリニア光学センサ140の受光素子のON/OFF信号の情報を記憶しておくことにより、移動子130を固定子120の開口部121が閉となる位置に移動させることも可能となる。
【0038】
また、静電駆動装置100は、移動子130の位置を検出するとともに、図示しない時刻情報を生成する時刻生成部を設け、移動子130の移動位置に対する時間を求めることにより、移動子130の移動速度を算出することも可能である。
【0039】
(第2の実施形態)
次に第2の実施形態について述べる。この第2の実施形態の静電駆動装置は、フォトリフレクタタイプのセンサを用いて固定子に設けられた縞状のパターンを検出して移動子の位置を検出するようにしたものである。図8は静電駆動装置200の移動子230の位置を検出する構成を概略的に示す図であり、図9はその構成を上側から示す図である。なお、固定子220を図示しない受台に固定し、固定された固定子220に対して移動子230が相対移動する構成については、第1の実施形態と同様であるため図示及び説明を省略する。
【0040】
固定子220は、略中央に開口部221、図中上下方向に帯状の駆動電極222が複数所定間隔で設けられている。この駆動電極222の下方の表面に、一方の端から他方の端まで光の反射率の高い高反射率部と、この高反射率部の反射率と比較して低反射率の低反射率部とが所定ピッチPで複数設けられた縞状のパターン(例えば、白と黒の縞状パターン)223が設けられている。
【0041】
移動子230は、固定子220と対向する面で駆動電極222と対向する位置には、図示しないエレクトレット化された部位を有し、そのエレクトレット化された部位を有する面と反対面に反射部であるプリズムミラー231を有している。プリズムミラー231は、移動子230が図示しない移動子ガイドにガイドされて移動するときに固定子220の縞状のパターン223に対応する位置となるように設けられている。またプリズムミラー231は、上側からみたときに断面が三角形状となるように構成されており、図9に示すように、三角形状の一辺から入射された光を斜辺部分で曲げて縞状のパターン223へ投光し、また、縞状のパターン223から反射された光を斜辺部分で曲げて上記光が入射された方向へ投光する。なお、移動子230には、プリズムミラー231と固定子220の縞状のパターン223との間で光を通過させるために、図示しない開口部が設けられている。
【0042】
また、発光素子(例えばレーザ発光体)260から発光された光を反射してプリズムミラー231へ投光するとともに、プリズムミラー231に反射された光を通過させ受光素子250で受光させるためのハーフミラー201が設けられている。なお、発光素子260、受光素子250、ハーフミラー201は静電駆動装置200内の所定位置に設けられている。また、受光素子250は、ハーフミラー201を通過した光を受光した場合はON信号を、ハーフミラー201から光を受光しない場合はOFF信号を図示しない信号検出部に出力する。
【0043】
したがって、発光素子260から発せられた光は、ハーフミラー201で反射し、プリズムミラー231に入射する。このプリズムミラー231に入射された光は、プリズムミラー231で固定子220方向へ曲げられ、縞状のパターン223へ投光される。この縞状のパターン223の高反射率部で反射された光(低反射率部ではほとんど反射されない。)は、プリズムミラー231に入射される。そして、プリズムミラー231に入射された光はプリズムミラー231でハーフミラー201の方向に曲げられ、ハーフミラー201に入射する。このハーフミラー201に入射された光は、ハーフミラー201を通過して受光素子250に入射する。
【0044】
このように構成された静電駆動装置200において、固定子220の一方の端側から他方の端に移動子230が移動する際の動作について説明する。固定子220の駆動電極222に図示しない駆動回路により周波電圧が印加されると、移動子230の図示しないエレクトレットと駆動電極222との間に反発力と、吸引力が働き、移動子230は図示しない移動子ガイドに沿って移動する。このように移動子230が移動するときは、発光素子260は、常時光を発光するようになっている。したがって、移動子230が移動するときは、発光素子260からの光は、ハーフミラー201で曲げられ、プリズムミラー231に入射される。この入射された光は、プリズムミラー231で曲げられて、固定子220側へ常に投光される。
【0045】
そして、移動子230が図示しない移動子ガイドに沿って移動を開始し、プリズムミラー231から固定子220側へ投光される光が、縞状のパターン223の高反射率部に入射されると、その光はプリズムミラー231へ反射される。この反射された光は、プリズムミラー231で曲げられ、ハーフミラー201へ投光される。この光はハーフミラー201を通過して受光素子250へ入射されるため、信号検出部はON信号を検出する。
【0046】
さらに、移動子230が移動すると、プリズムミラー231から固定子220側へ投光される光が、縞状のパターン223の低反射率部に入射される。この入射された光は、プリズムミラー231へは反射されない。このため、受光素子250には光が入射されなくなり、信号検出部はOFF信号を検出する。
【0047】
このように移動子230が図示しない移動子ガイドに沿って移動する際、信号検出部は、縞状のパターン223の高反射率部、低反射率部に応じて、受光素子250から所定ピッチP毎にON信号とOFF信号とを交互に検出する。
【0048】
したがって、静電駆動装置200は、信号検出部で検出したON信号とOFF信号との変化をカウントすることより、そのカウント数に基づいて移動子230の位置を検出することができる。
【0049】
このように移動子230の位置を検出することができるので静電駆動装置200は、例えば、図示しない記憶部に移動子230により固定子220の開口部221が閉となる位置となる場合のカウント数を予め記憶しておくことにより、移動子230を固定子220の開口部221を閉とする位置に移動させることも可能となる。
【0050】
続いて、移動子の位置を検出する構成の変形例について説明する。この変形例は、固定子に設けられた縞状のパターンの検出をレーザ発受光部により行うようにしたものである。図10は静電駆動装置200´の移動子230aの位置を検出する構成を概略的に示す図であり、図11はその構成を上側から示す図である。なお、固定子を図示しない受台に固定し、固定された固定子に対して移動子が相対移動する構成については、第1の実施形態と同様であるため図示及び説明を省略し、また、固定子については上述の固定子220と同様な構成をしているため説明を省略する。
【0051】
移動子230aは、固定子220と対向する面で駆動電極222と対向する位置に、図示しないエレクトレット化された部位を有し、そのエレクトレット化された部位を有する面にはミラー232が設けられている。このミラー232は、レーザ光を発光するとともにレーザ光を受光可能に構成されたレーザ発受光部202から入射されたレーザ光を曲げて固定子220の縞状のパターン223へ投光するとともに、縞状のパターン223の高反射率部から反射された光を曲げてレーザ発受光部202へ投光するものである。
【0052】
レーザ発受光部202は、縞状のパターン223の高反射率部から反射された光がミラー232により曲げられた光を受光したときはON信号を、受光しないときはOFF信号を信号検出部に出力する。
【0053】
このように構成された静電駆動装置200´において、固定子220の一方の端側から他方の端に移動子230aが移動する際の動作について説明する。固定子220の駆動電極222に図示しない駆動回路により周波電圧が印加されると、移動子230aのエレクトレットと駆動電極222との間に反発力と、吸引力が働き、移動子230aは図示しない移動子ガイドに沿って移動する。このように移動子230aが移動するときは、レーザ発受光部202は、常時光を発光する。したがって、移動子230aが移動するときは、レーザ発受光部202からの光は、ミラー232で曲げられ、固定子220側へ常に投光される。
【0054】
そして、移動子230aが図示しない移動子ガイドに沿って移動を開始し、ミラー232から固定子220側へ投光される光が、縞状のパターン223の高反射率部に入射されると、その光はミラー232へ反射される。この反射された光は、ミラー232で曲げられ、レーザ発受光部202へ入射されるため、信号検出部はON信号を検出する。
【0055】
さらに、移動子230aが移動すると、ミラー232から固定子220側へ投光される光が、縞状のパターン223の低反射率部に入射される。この入射された光は、ミラー232へは反射されない。このため、レーザ発受光部202には光が入射されなくなり、信号検出部は、OFF信号を検出する。
【0056】
このように移動子230aが図示しない移動子ガイドに沿って移動する際、信号検出部は、縞状のパターン223の高反射率部、低反射率部に応じて、レーザ発受光部202から所定ピッチP毎にON信号とOFF信号とを交互に検出する。
【0057】
したがって、静電駆動装置200´は、信号検出部で検出したON信号とOFF信号との変化をカウントすることより、そのカウント数に基づいて移動子230aの位置を検出することができる。
【0058】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について述べる。図12は、静電駆動装置300の構成を概略的に示す分解図である。図12に示すように、固定子320には、略中央に開口部321、移動子330の移動領域投影面(移動子330が固定子320に対して相対移動する領域)に、所定間隔で駆動電極322を配設した駆動電極形成領域323(開口部321の部分も含むものとする。)と、駆動電極322が配設されていない駆動電極非形成領域324とが設けられている。この駆動電極非形成領域324は、固定子320の一端面近傍に設けられている。なお、駆動電極形成領域323は、開口部321の部分については、開口部321の上下に分かれて配置された駆動電極322を透明電極でつなぐようにして形成しても良い。また、固定子320は光を透過可能な半透明部材で構成されている。
【0059】
固定子320と、その固定子320の駆動電極322が配設された面と対向して略同形状のカバーガラス370を、図示しないスペーサ等を介して密閉固着し、その内部に遮光部材からなるとともに固定子320と対向する面に駆動電極322に対向するように形成されたエレクトレット化された部位を有する矩形状の移動子330が挿入されて静電駆動装置300が組み立てられる。
【0060】
さらに、静電駆動装置300は、発光部(発光素子)350及び受光部(受光素子)360からなるフォトインタラプタが設けられている。このフォトインタラプタは発光部350から発光された光が駆動電極非形成領域324を透過するように、発光部350が固定子320の外側に、受光部360がカバーガラス370の外側に固着されて取り付けられている。また、移動子330が初期位置に位置しているときに、移動子330を検出できるように発光部350及び受光部360を配置している。さらに、受光部360には図示しない信号検出部が接続されている。受光部360は発光部350の発光する光を受光しているときはON信号を、移動子330により発光部350の発光する光が遮断されているときはOFF信号を信号検出部に出力する。
【0061】
このように構成された静電駆動装置300において、移動子330が初期位置に位置しているときは移動子330により発光部350から発光された光が遮断され受光部360で光が受光されないため、信号検出部はOFF信号を検出する。そして、固定子320の駆動電極322に図示しない駆動回路により周波電圧が印加されると、移動子330のエレクトレット化された部位と駆動電極322との間に反発力と、吸引力が働き、移動子330は初期位置から移動を開始する。このように移動子330が移動を開始すると、移動子330によって遮られていた発光部350から発光された光が受光部360で受光されるようになるため信号検出部はON信号を検出する。そして、移動子330が初期位置から固定子320の他端側へ移動し、上記周波電圧と逆の周波電圧が駆動電極322に印加されて移動子330が他端側から初期位置に戻ってくると移動子330により発光部350から発光された光が再び遮断されるため信号検出部はOFF信号を検出する。
【0062】
したがって、静電駆動装置300は、発光部350及び受光部360からなるフォトインタラプタから出力されるON/OFF信号に基づいて、移動子330が初期位置に位置しているか否かを検出することできる。
【0063】
ここまでは、1枚の移動子330を用いる静電駆動装置300の場合について説明したが、以下では2枚の移動子を用いた静電駆動装置の場合を説明する。図13は、2枚の移動子431、432を用いた静電駆動装置400において、移動子431、432それぞれの初期位置を検出するための構成を概略的に示す分解図である。
【0064】
図13に示すように、固定子420aには、開口部421a、駆動電極422aを配設した駆動電極形成領域423a、駆動電極422aを配設していない駆動電極非形成領域424a及び駆動電極非形成領域425aが設けられている。駆動電極形成領域423a、駆動電極非形成領域424a、425aは固定子420a上に形成され、駆動電極非形成領域424aと駆動電極非形成領域425aは、固定子420aの両端面近傍にそれぞれ設けられている。この固定子420aと同形状及び同構成の固定子420bには、開口部421b、駆動電極422bを配設した駆動電極形成領域423b、駆動電極422bを配設していない駆動電極非形成領域424a、駆動電極非形成領域425bが設けられている。移動子431、432は、遮光部材からなるとともにエレクトレット化された部位を図13においては下側に有しており、その形状は、矩形状の一端に切り欠き部431a、432aがそれぞれ設けられたものとなっている。この切り欠き部431a、432aは、図中矢印で示す移動子431、432の移動方向では同じ側に、その移動方向と垂直方向では異なる側の端に設けられている。また、移動子431、432は、それぞれ切り欠き部431a、432aを有していても、移動子431のみで開口部421a、432のみで開口部432bを閉とすることができる程度の大きさとなっている。
【0065】
固定子420aと、その固定子420aの駆動電極422aが配設された面と対向して略同形状のカバーガラス470を図示しないスペーサ等を介して密閉固着し、その内部にエレクトレット化された部位が駆動電極422aと対向するように移動子431が挿入され、さらに、固定子420aの駆動電極422aが配設された面と反対面に、固定子420bの駆動電極422bが配設された面を対向して図示しないスペーサ等を介して密閉固定し、その内部にエレクトレット化された部位が駆動電極422bと対向するように移動子432が挿入されて静電駆動装置400が組み立てられる。
【0066】
さらに、静電駆動装置400は、発光部450及び受光部460、発光部451及び受光部461からなる2組のフォトインタラプタが設けられている。一方のフォトインタラプタは発光部450から発光された光が駆動電極非形成領域424b、424aを透過して受光部460で受光できるように、発光部450が固定子420bの外側に、受光部460がカバーガラス470の外側に固着されている。他方のフォトインタラプタは、発光部451から発光された光が駆動電極非形成領域425b、425aを透過して受光部461で受光できるように、発光部451が固定子420bの外側に、受光部461がカバーガラス470の外側に固着されている。したがって、移動子431は、切り欠き部431aしか設けられていないため発光部450及び受光部460からなるフォトインタラプタで検出することが可能だが、発光部451及び受光部461からなるフォトインタラプラでは検出することができない。逆に、移動子432は、切り欠き部432aしか設けられていないため発光部450及び受光部460からなるフォトインタラプラで検出することはできないが、発光部451及び受光部461からなるフォトインタラプタでは検出することが可能となっている。また、発光部450及び受光部460は移動子431が初期位置に位置しているときに移動子431を検出できるように配置し、発光部451及び受光部461は移動子432が初期位置に位置しているときに移動子432を検出できるように配置している。
【0067】
また、受光部460、461は図示しない信号検出部とそれぞれ接続されている。移動子431のみが初期位置に位置しているときは、受光部460は発光部450から発光された光が移動子431により遮断されるため信号検出部はOFF信号を検出し、受光部461は発光部451から発光された光を切り欠き部431aにより受光するため信号検出部はON信号を検出する。そして、固定子420aの駆動電極422aに図示しない駆動回路により周波電圧が印加されると、移動子431のエレクトレット化された部位と駆動電極422aとの間に反発力と、吸引力が働き、移動子431は初期位置から移動を開始する。このように移動子431が移動を開始すると、信号検出部は、受光部460が発光部450から発光された光を受光するため受光部460からON信号を検出し、また、受光部461からON信号を検出する。移動子431が初期位置から固定子420aの他端側へ移動し、上記周波電圧と逆の周波電圧が駆動電極422aに印加されて移動子431が他端側から初期位置に戻ってくると、信号検出部は、受光部460が移動子431により発光部450から発光された光が遮断されるため受光部460からOFF信号を検出し、また、受光部461からON信号を検出する。このように移動子431は切り欠き部431aが設けられているため、信号検出部は、受光部461からのON/OFF信号によらず、受光部460からの信号がOFF信号となっているときに、移動子431が初期位置に位置していることを検出する。
【0068】
また、移動子432は切り欠き部432aが設けられているため、信号検出部は、受光部460からのON/OFF信号によらず、受光部461からの信号がOFF信号となっているときに、移動子432が初期位置に位置していることを検出する。なお、移動子432が固定子420b上を移動するときに信号検出部で検出するON/OFF信号については、移動子431の場合における説明といずれのフォトインタラプタを用いてON/OFF信号を検出するかの違いだけなので説明を省略する。
【0069】
したがって、静電駆動装置400は、発光部450及び受光部460からなるフォトインタラプタから出力されるON/OFF信号のみに基づいて移動子431が初期位置にいるか否かを検出することができ、発光部451及び受光部461からなるフォトインタラプタから出力されるON/OFF信号のみに基づいて移動子432が初期位置に位置しているか否かをそれぞれ検出することできる。
【0070】
なお、静電駆動装置400は、駆動電極非形成領域424a、424b、425a、425bを固定子420a及び420bの両端面近傍に設けたが、これに限られず、固定子420a及び420b上で対角方向に位置する端の近傍に設けるようにしても良い。このように構成した場合、移動子431、432の切り欠き部431a、432a、発光部450及び受光部460からなるフォトインタラプタ、発光部451及び受光部461からなるフォトインタラプタは駆動電極非形成領域425a、425bの位置に対応して配置するようにすれば良い。
【0071】
(第4の実施形態)
次に第4の実施形態について述べる。この第4の実施形態は、第3の実施形態で説明した駆動電極非形成領域を固定子に複数設け、これを利用して固定子上で移動子が開口部を開とする位置(第3の実施形態における初期位置)にあること又は開口部を閉とする位置にあることを検出するものである。
【0072】
先ず、図14を参照して、1枚の移動子を用いた静電駆動装置について説明する。図14は、静電駆動装置300´をカバーガラス370側から示す図で、(a)は、開口部321が開となる位置を示し、(b)は、開口部321が閉となる位置を示している。静電駆動装置300´は、第3の実施形態で説明した静電駆動装置300に、さらに駆動電極非形成領域325を設け、その駆動電極非形成領域325に光を透過させるように図示しない発光部及び受光部361からなるフォトインタラプタを設けたものである。このフォトインタラプタは、移動子330が初期位置から移動を開始して開口部321が閉となる位置に進んだときに、移動子330を検出できる位置に配置しておく。また、受光部361は、上述した受光部360に接続されている信号検出部と接続されており、信号検出部は、受光部360からのON/OFF信号と、受光部361からのON/OFF信号とをそれぞれ受信する。なお、他の構成については第3の実施形態の静電駆動装置300と同様であるため説明を省略し、同様な符号を付すこととする。
【0073】
移動子330が初期位置に位置しているときは、信号検出部は、発光部350から発光された光が移動子330により遮断されるため受光部360からOFF信号を検出し、また、受光部361からは図示しない発光部からの光が移動子330により遮断されないためON信号を検出する。そして、固定子320の駆動電極322に図示しない駆動回路により周波電圧が印加されると、移動子330のエレクトレット化された部位と駆動電極322との間に反発力と、吸引力が働き、移動子330は初期位置から移動を開始する。このように移動子330が移動を開始すると、信号検出部は、受光部360が発光部350から発光された光を受光するため、受光部360からON信号を検出し、また、受光部361からもON信号を検出し続ける。さらに、移動子330が移動を続け、受光部361で図示しない発光部から受光している光が移動子330により遮断されると、信号検出部は、受光部360からはON信号を検出するが、受光部361からはOFF信号を検出する。この受光部361からのOFF信号を検出することにより、信号検出部は移動子330が開口部321を閉とする位置に到達したことを検出することができる。
【0074】
したがって、静電駆動装置300´は、駆動電極非形成領域324、325を固定子320上に設け、2組のフォトインタラプタを利用して、移動子330が初期位置にあること及び移動子330により開口部321が閉となる位置に移動子330があること、つまり、開口部321が閉となっていることを検出することができる。
【0075】
次に、図15を参照して2枚の移動子を用いた静電駆動装置について説明する。図15は、静電駆動装置500の概略的な構成を説明するための分解図である。
【0076】
図15に示すように、静電駆動装置500は、半透明部材からなるセパレータ501の各面に、駆動電極522a、522bがそれぞれ配設された固定子520a、520b(固定子520aと固定子520bとは同形状をしている。)が図示しないスペーサを介して密閉固着され、その内部に遮光部材からなるとともにエレクトレット化された部位を有する移動子531、532が、そのエレクトレット化された部位を有する面と固定子520a、520bの駆動電極522a、522bが配設された面とが対向するようにそれぞれ挿入され、組み立てられる。セパレータ501の幅は固定子520a、520bの幅(後述する発光部、受光部が配置できる程度の幅)より広くなっており、各固定子520a、520bは、セパレータ501の幅方向の異なる端にそれぞれ合わされて固着される。
【0077】
固定子520aには、略中央に開口部521a、移動子531の移動領域投影面(移動子531の固定子520aに対して相対移動する領域)に、所定間隔で駆動電極522aを配設した駆動電極形成領域523a(開口部521aの部分も含むものとする。)と、駆動電極522が配設されていない駆動電極非形成領域524a〜526aとが設けられている。駆動電極形成領域523aは、セパレータ501側の固定子520aの面に設けられている。また、駆動電極非形成領域524a〜526aは、固定子520aがセパレータ501に合わせられた側の所定位置にそれぞれ設けられている。この位置については後述する。なお、固定子520aに設けている構成と対応して開口部521b、駆動電極522b、駆動電極形成領域523b、駆動電極非形成領域524b〜526bが固定子520bに設けられている。なお、駆動電極非形成領域524a〜526aと、駆動電極非形成領域524b〜526bとは互いに幅方向の異なる端側に設けられている。
【0078】
さらに、静電駆動装置500には、発光部550〜555及び受光部560〜565のそれぞれの組からなる6つのフォトインタラプタが設けられている。各フォトインタラプタは、各発光部550〜552から発光された光が駆動電極非形成領域524a〜526aをそれぞれ透過して受光部560〜562で受光されるように、発光部550〜552が固定子520aの外側に、受光部560〜562がセパレータ501の外側にそれぞれ固着され、また、各発光部553〜555から発光された光が駆動電極非形成領域524b〜526bをそれぞれ透過して受光部563〜565で受光されるように、発光部553〜555が固定子520bの外側に、受光部563〜565がセパレータ501の外側にそれぞれ固着されている。
【0079】
6つのフォトインタラプタ及び駆動電極非形成領域524a〜526a、524b〜526bの位置について説明する。発光部550〜552及び受光部560〜562、並びに駆動電極非形成領域524a〜526aは、移動子531により、開口部521a及び開口部521bが開となる場合(移動子531が初期位置に位置している場合)、開口部521aが開から閉となる間の場合、開口部521aが閉となった場合、開口部521aが閉となる位置を移動子531が通過した場合と、受光部560〜562から出力される信号に基づいて区別できるような位置にそれぞれ形成されている。また、発光部553〜555及び受光部563〜565、並びに駆動電極非形成領域524b〜526bも、同様に、移動子532により、開口部521b及び開口部521aが開となる場合(移動子532が初期位置に位置している場合)、開口部521bが開から閉となる間の場合、開口部521bが閉となった場合、開口部521bが閉となる位置を移動子532が通過した場合と、受光部563〜565から出力される信号に基づいて区別できるような位置にそれぞれ形成されている。各受光部560〜565は、各発光部550〜555が発光した光をそれぞれ受光したときにON信号を、光を受光しないときにOFF信号を図示しない信号検出部へ出力する。
【0080】
なお、図16(a)は静電駆動装置500を上側から(固定子520a側から)見た図であり、(b)は(a)におけるA−A断面を概略的に示す図である。この図16は説明を容易にするため、図15を用いて説明した構成以外は図示していない。また、図17は、静電駆動装置500を上側から(固定子520a側から)見た図であり、移動子531が開口部521a及び開口部521bからなる開口521を閉じ、移動子532が開口521を開とする位置から閉とする位置へ移動して開口521を一部閉じている様子を示している。
【0081】
図18は、移動子531が固定子520aに対して相対移動するときに、信号検出部が移動子531の位置を検出するために用いるテーブルT1を示している。テーブルT1において、フォトインタラプタ(P/I)1、2、3は、発光部550〜552、受光部560〜562のそれぞれの組から構成される。なお上述したように受光部560〜562は発光部550〜552からの光を受光するとON信号を、移動子531により発光部550〜552からの光が遮断されるとOFF信号を信号検出部に出力する。したがって、信号検出部が、テーブルT1の設定と、P/I1〜P/I3が出力するON/OFF信号に基づいて移動子531の位置を検出することにより、静電駆動装置500は、開口部521a及び開口部521bの開閉の状態を検出することができる。すなわち、静電駆動装置500は、P/I1がOFF信号、P/I2がOFF信号、P/I3がON信号を出力していることが信号検出部で検出されると開口部521aが開となっている(移動子531が初期位置に位置している)ことを検出する。また、P/I1がON信号、P/I2がOFF信号、P/I3がON信号を出力していることが信号検出部で検出されると開口部521aが開から閉の状態に遷移している間となっていることを検出する。また、P/I1がON信号、P/I2がOFF信号、P/I3がOFF信号を出力していることが信号検出部で検出されると開口部521aが閉となっていることを検出する。さらに、P/I1がON信号、P/I2がON信号、P/I3がOFF信号を出力していることが信号検出部で検出されると移動子531が開口部521aを閉とする位置を通過したことを検出する。
【0082】
また、図示は省略するが、信号検出部は、フォトインタラプタ(P/I)4〜6からのON/OFF信号に基づいて移動子532の位置を検出するためのテーブルも設けている。P/I4〜6は、発光部553〜555、受光部563〜565のそれぞれの組からなり、受光部563〜565は発光部553〜555からの光を受光するとON信号を、移動子532により発光部553〜555からの光が遮断されるとOFF信号を信号検出部に出力する。また、前記テーブルの設定は、図18で説明したテーブルT1において、P/I1〜P/I3と、P/I4〜P/I6とをそれぞれ入れ替えたものとなっている。このため、信号検出部が、前記テーブルの設定と、P/I4〜P/I6が出力するON/OFF信号に基づいて移動子532の位置を検出することにより、静電駆動装置500は、開口部521b及び開口部521aの開閉の状態を検出することができる。
【0083】
次に、静電駆動装置500の移動子531、532の位置を検出する動作について説明する。信号検出部によりP/I1、2、4、5からOFF信号が、P/I3、6からON信号が検出されて初期位置に位置していると信号検出部により検出されている移動子531、532は、図示しない駆動回路により駆動電極522a、522bに周波電圧が印加されると、固定子520a、520bに対して相対移動を開始する。移動子531、532が移動を開始すると、信号検出部によりP/I1、3、4、6からON信号が、P/I2、5からOFF信号が検出されて開口部521a、521bが開から閉に遷移している状態であることを検出する。さらに移動子531、532が移動すると、信号検出部により、P/I1、4からON信号が、P/I2、3、5、6からOFF信号が検出されて開口部521a、521bが閉となったことを検出する。そして、信号検出部により、P/I1、2、4、5からON信号が、P/I3、6からOFF信号が検出されて移動子531、532が閉位置を通過したことを検出する。
【0084】
したがって、静電駆動装置500は、P/I1〜3から出力されるON/OFF信号に基づいて移動子531の位置を検出することができ、P/I4〜6から出力されるON/OFF信号に基づいて移動子532の位置を検出することができる。
【0085】
また、静電駆動装置500がカメラ等のエレクトレットシャッタに用いられた場合に、例えば、レリーズON時に開口521が閉から開をえて閉になるように移動子531,532を移動させる。又移動子531,532の移動開始時刻を制御することによって開口部521が開となる時刻を制御できるのでシャッタスピードを変えることができる。しかしながら、初期位置が開口521を閉とする位置の場合は、P/I1〜3から出力されるON/OFF信号に基づいて移動子531の位置を検出できるので移動子531を、開口部521a及び開口部521bを閉とする位置へ移動させる方向を決定できるとともに、P/I4〜6から出力されるON/OFF信号に基づいて移動子532の位置を検出できるので移動子532を、開口部521b及び開口部521aを閉とする位置へ移動させる方向を決定できる。そして、移動子531、532をそれぞれ決定された方向へ移動させ、開口部521aを閉とする位置で移動子531を検出したら移動を停止し、開口部521bを閉とする位置で移動子532を検出したら移動を停止することにより、開口部521a及び開口部521bからなる開口521を閉とすることができる。
【0086】
なお、上述の第4の実施形態の静電駆動装置500は、2枚の移動子531、532を同じように移動させているが、それぞれの固定子520aの駆動電極522a、固定子520bの駆動電極522bに印加する周波電圧をずらすことにより、移動子531、532をずらして移動させることも可能である。このように移動子531、532をずらして移動させることにより、静電駆動装置500の開口521の広さを絞ることも可能となる。
【0087】
(第5の実施形態)
次に第5の実施形態について説明する。図19は、この第5の実施形態の静電駆動装置600を上側から見た図である。この静電駆動装置600は、2枚の移動子を用いて開口部を絞った状態(小径絞り状態)を実現するように構成したものである。この静電駆動装置600は、第4の実施形態で説明した静電駆動装置500と、駆動電極非形成領域、フォトインタラプタの配置、移動子の形状、移動子の初期位置以外は同様な構成をしている。このため、同様な構成部分については同様な符号を付すとともに説明を省略し、静電駆動装置500と異なる構成について説明する。
【0088】
固定子520a、図示しない520bには、セパレータ501の幅方向の端に合わせられた端にそれぞれ4つの駆動電極非形成領域621a〜624a、621b〜624bが設けられている。この駆動電極非形成領域621a〜624aは、一方の端(図19では上側)からそれぞれ所定間隔で配置され、駆動電極非形成領域621b〜624bは、他方の端(図19では下側)から前記所定間隔と同じ間隔で配置されている。この駆動電極非形成領域621a〜624a、621b〜624bの位置については後述する。駆動電極非形成領域621a〜624aをそれぞれ光が透過するように、発光部650〜653及び図示しない受光部660〜663を設けており、また、駆動電極非形成領域621b〜624bをそれぞれ光が透過するように、図示しない発光部654〜657及び受光部664〜667を設けている。各受光部660〜667は図示しない信号検出部とそれぞれ接続されており、受光部660〜667は発光部650〜657から発光された光をそれぞれ受光したときはON信号を、受光しないときはOFF信号を信号検出部に出力する。
【0089】
移動子631、632は、図示しない開口部521a及び521bからなる開口521を絞るために矩形状の一辺に、端側が幅広となった略台形上の切り欠き部631a、632aをそれぞれ有している。移動子631、632の初期位置は静電駆動装置600の異なる端となっており、移動子631、632が初期位置から移動するときに対向する向きに切り欠き部631a、632aが移動子631、632に設けられている。したがって、移動子631、632が初期位置から移動して所定距離進むと、図20に示すように、移動子631の切り欠き部631aを設けた端部と、移動子632の切り欠き部632aを設けた端部とが重なり、開口521の一部からしか光が通過しない開口M(小径絞り状態)となる。
【0090】
発光部650〜657及び受光部660〜667、並びに駆動電極非形成領域621a〜624a、621b〜624bの位置について説明する。発光部650〜653及び受光部660〜663、並びに駆動電極非形成領域621a〜624aは、移動子631により、開口部521aが開となる場合(移動子631が初期位置に位置している場合)、開口部521aが小径絞り状態となる場合、開口部521aが閉となる場合を、受光部660〜663から出力される信号に基づいて区別できるような位置にそれぞれ形成されている。また、発光部654〜657及び受光部664〜667、並びに駆動電極非形成領域621b〜624bも、同様に、移動子632により、開口部521bが開となる場合(移動子632が初期位置に位置している場合)、開口部521bが小径絞り状態となる場合、開口部521bが閉となる場合を、受光部664〜667から出力される信号に基づいて区別できるような位置にそれぞれ形成されている。
【0091】
図21は、移動子631が固定子520aに対して相対移動するときに、信号検出部が移動子631の位置を検出するために用いるテーブルT2を示している。テーブルT2において、フォトインタラプタ(P/I)11、12、13、14は、発光部650〜653、図示しない受光部660〜663のそれぞれの組から構成される。なお上述したように図示しない受光部660〜663は、発光部650〜653からの光を受光するとON信号を、移動子631により発光部650〜653からの光が遮断されるとOFF信号を信号検出部に出力する。したがって、信号検出部が、テーブルT2の設定と、P/I11〜P/I14が出力するON/OFF信号とに基づいて移動子631の位置を検出することにより、静電駆動装置600は、開口部521aの開閉の状態を検出することができる。すなわち、静電駆動装置600はP/I11がOFF信号、P/I12がOFF信号、P/I13がON信号、P/I14がON信号を出力していることが信号検出部で検出されると移動子631が開口部521aに対して開となる位置である(初期位置に位置している)ことを検出する。P/I11がON信号、P/I12がOFF信号、P/I13がOFF信号、P/I14がON信号を出力していることが信号検出部で検出されると移動子631が開口部521aに対して小径絞り状態となる位置であることを検出する。P/I11がON信号、P/I12がON信号、P/I13がOFF信号、P/I14がOFF信号を出力していることが信号検出部で検出されると移動子631が開口部521aに対して閉となる位置であることを検出する。なお、移動子631のみでは開口521を開、小径絞り状態、閉とすることができないが、後述する移動子632も同様に動作するため、移動子631と移動子632とにより、開口521を開、小絞り状態、閉とすることができる。
【0092】
また、図示は省略するが、信号検出部は、フォトインタラプタ(P/I)15〜18からのON/OFF信号に基づいて移動子632の位置を検出するためのテーブルも設けている。P/I15〜18は、図示しない発光部654〜657、受光部664〜667のそれぞれの組からなり、受光部664〜667は、図示しない発光部654〜657からの光を受光するとON信号を、移動子632により発光部654〜657からの光が遮断されるとOFF信号を信号検出部に出力する。また、テーブルは、図21で説明したテーブルT2において、P/I11〜P/I4と、P/I15〜P/I18とを、それぞれ入れ替えたものである。このため、信号検出部が、テーブルの設定と、P/I15〜P/I18が出力するON/OFF信号とに基づいて移動子632の位置を検出することにより、静電駆動装置600は、開口部521bの開閉の状態を検出することができる。なお、移動子532の位置を検出するためのP/I15〜18のON/OFF信号の組み合わせは、上述した移動子631の場合と同様であるため説明を省略する。
【0093】
次に、静電駆動装置600の移動子631、632の位置を検出する動作について説明する。信号検出部により、P/I11、12、15、16からOFF信号、P/I13、14、17、18からON信号が検出されて初期位置に位置していると信号検出部により検出されている移動子631、632は、図示しない駆動回路により移動子631、632が対向して移動するように駆動電極522a、522bにそれぞれ周波電圧が印加されると、固定子520a、520bに対してそれぞれ移動を開始する。移動子631、632が移動し、信号検出部によりP/I11、14、15、18からON信号、P/I12、13、16、17からOFF信号が検出されると、静電駆動装置600は、移動子631、632が小径絞り状態となり、開口521が開口Mとなって絞られていることを検出する。そして、さらに移動子631、632が移動し、信号検出部により、P/I11、12、15、16からON信号、P/I13、14、17、18からOFF信号が検出されると、開口521が閉となったことを検出する。
【0094】
したがって、静電駆動装置600は、P/I11〜14から出力されるON/OFF信号に基づいて移動子631の位置を検出することができ、P/I15〜18から出力されるON/OFF信号に基づいて移動子632位置を検出することができ、また、小径絞り状態となる位置に移動子631、632が位置したことを検出することができる。
【0095】
(第6の実施形態)
次に第6の実施形態について述べる。図22は、第6の実施形態の静電駆動装置700の構成を説明するための概略的な分解図である。なお、受台710の固定子固定溝711に固定された固定子720に対して移動子ガイド712にガイドされて移動子730が相対移動する構成は第1の実施形態と同様であるため説明を省略し、移動子730の位置を検出する構成について説明する。
【0096】
受台710には、受光素子部741〜743を固定する受光素子嵌合部713a〜713c、コリメータレンズ751〜753を固定するコリメータレンズ置台714a〜714c、発光素子761〜763を固定する発光素子置台715a〜715cが設けられている。なお、受光素子部741は、上側に受光素子741zを配置し、下側に受光素子741a、741bを並べて配置した構成となっている。受光素子部742、743も同様な配置で受光素子742z、742a、742b、受光素子743z、743a、743bが設けられている。これら受光素子嵌合部713a〜713cと発光素子置台715a〜715c(及びコリメータレンズ置台714a〜714c)の各組は、固定子固定溝711、移動子ガイド712を挟み、かつ、固定子720の長手方向に所定間隔となるように受台710に配置されている。
【0097】
開口部721を有する固定子720の駆動電極722の下方に、スリット部723〜725が設けられている。スリット部723は、上側にスリット723zを配置し、下側にスリット723a、723bを所定ピッチPの四分の一ずらして並べて配置した構成となっている。スリット部724、725も同様な配置でスリット724z、724a、724b、スリット725z、725a、725bが設けられている。また、各スリット部723〜725は固定子720を固定子固定溝711に固定したときに受光素子部741〜743と対応する位置となるように設けられている。各受光素子部741〜743は各発光素子761〜763が発光した光を受光した場合はON信号を、受光しない場合はOFF信号を図示しない信号検出部へ出力する。
【0098】
移動子730の下方には、1つのスリット731と、そのスリット731の下側に一方の端から他端まで所定ピッチPで配列されたスリット群732とが設けられている。移動子730が移動子ガイド712にガイドされて移動するときに、スリット731は固定子720のスリット723Z〜725Zと対応する位置、スリット群732は、スリット723a、723b、724a、724b、725a、725bと対応する位置を通過するように移動子730に設けられている。上述したようにスリット部723、724、725の下側に配置された2つのスリットの間隔はピッチPの四分の一ずれており、スリット群732のスリットの間隔はピッチPである。このため、各スリット部723、724、725の下側に配置されたいずれかのスリット、例えばスリット723aとスリット群732のいずれかのスリットが完全に重畳したときに、その完全に重畳しているスリット群732のスリットと隣接するスリットと、スリット723bとは不完全な重畳状態となる。
【0099】
このように構成された静電駆動装置700において、移動子730の移動方向において、移動子730のスリット731と固定子720のスリット723zが一致する位置が移動子730の初期位置となり、スリット731とスリット724zが一致する位置が開口部721を閉とする位置となり、スリット731とスリット725zが一致する位置が開口部721を移動子730が通過したことを示す位置となっている。
【0100】
次に、静電駆動装置700の移動子730の位置を検出する動作について説明する。先ず、発光素子761〜763が発光し、受光素子741z、742z、743zから出力されるON/OFF信号に基づいて移動子730の位置を検出する。例えば、信号検出部により受光素子741z、743zからON信号が、受光素子742zからOFF信号が検出されている場合には、静電駆動装置700は、移動子730が初期位置に位置していないと判断できるため、図示しない駆動回路により固定子720の駆動電極722に移動子730を図中左側に移動させるように周波電圧を印加する。そして、受光素子741zからOFF信号を検出した後、再びON信号を検出したとき(すなわち、移動子730のスリット731と固定子720のスリット723zが重畳したとき)に、移動子730が初期位置に位置したことを検出し、駆動電極722への周波電圧の印加を終了する。
【0101】
続いて、このように初期位置に位置した後の移動子730の動作について説明する。移動子730を図中右上側へ移動させるように図示しない駆動回路により駆動電極722に周波電圧を印加する。これにより移動子730は、移動子ガイド712に沿って初期位置から右上側へ移動を開始する。
【0102】
このように移動子730が移動していくと、スリット724zは移動子730のスリット731の図中右側の部分で遮られる。このとき、受光素子742zはOFF信号を信号検出部に出力する。そして、移動子730のスリット731と、固定子720のスリット724zが重畳した位置となると、発光素子762からコリメータレンズ752を介して出力された光が、スリット731、スリット724zを通過して受光素子742zで受光される。このため受光素子742zからON信号を信号検出部に出力する。このように、信号検出部が受光素子742zからのON/OFF信号を検出することにより、静電駆動装置700は移動子730が開口部721を閉とする位置に位置したことを検出できる。
【0103】
そして駆動回路により駆動電極722にさらに周波電圧が印加されると、スリット725zは移動子730のスリット731の図中右側の部分で遮られる。このとき、受光素子743zはOFF信号を信号検出部に出力する。そして、移動子730のスリット731と固定子720のスリット725zとが重畳した位置となると、発光素子763からコリメータレンズ753を介して出力された光が、スリット731、スリット725zを通過して受光素子743zで受光される。このため受光素子743zはON信号を信号検出部に出力する。このように、信号検出部が受光素子743zからのON/OFF信号を検出することにより、静電駆動装置700は移動子730が開口部721を通過した位置に位置したことを検出できる。
【0104】
したがって、このように構成された静電駆動装置700は、各受光素子部741、742、743の上側に配置された受光素子741z、742z、743zからのON/OFF信号に基づいて、移動子730が開口部721を開口する位置である初期位置、開口部721を閉とする位置、開口部721を閉とする位置を通過した位置を検出することができる。
【0105】
また、移動子730が移動子ガイド712に沿って移動するときに、移動子730のスリット群732を通過する光は、固定子720に設けられたスリット723aと723b、スリット724aと724b、スリット725aと725bのいずれかの組に入射される。上述したようにスリット群732は所定ピッチPで設けられているが、スリット723aと723bはピッチPの四分の一ずれて配置されている(スリット724aと724b、スリット725aと725bも同様である。)。
【0106】
このように構成されているため、移動子730が移動する際に、例えば、スリット723aと723bにスリット群732を通過した光が入射し、各スリット723aと723bを通過して受光素子741a、741bでそれぞれ受光される光は、ピッチPの四分の一ずれたタイミングとなる。図23はこの信号の波形を示す図である。図23において例えばA相は移動子730のスリット群732及び固定子720のスリット723aを通過した光を受光した受光素子741aから出力される信号であり、B相は移動子730のスリット群732及び固定子720のスリット723bを通過した光を受光した受光素子741bから出力される信号であり、2相信号となっている。上述したように、移動子730のスリット群732はピッチPで設けられているが、固定子720のスリット723aとスリット723bとは移動子730の移動方向にピッチPの四分の一ずれているため、2相信号はピッチPの四分の一ずれた波形となっている。すなわち、例えば、移動子730が図中右上側に移動するときは、受光素子741aから出力されるON信号から、ピッチPの四分の一に相当する時間遅れて受光素子741bからON信号が出力される。また、移動子730が図中左下側に移動するときは、受光素子741bから出力されるON信号から、ピッチPの四分の一に相当する時間遅れて受光素子741aからON信号が出力される。信号検出部により検出されるON/OFF信号の位相を検出することにより、移動子730の移動方向を検出することができる。
【0107】
したがって、静電駆動装置700は、各受光素子部741、742、743の下側に配置された受光素子741aと741b、受光素子742aと742b、受光素子743aと743bのいずれかの組から出力されるON/OFF信号の位相に基づいて、移動子730の移動方向を検出することができる。
【0108】
(第7の実施形態)
次に第7の実施形態について述べる。図24は、フォトインタラプタを回転型静電駆動装置に使用した静電駆動装置800の構成を説明するための概略的な分解図である。
【0109】
円盤形状をした固定部材820は、開口部821が設けられており、その開口部821の外側には、周方向に所定間隔及び所定の長さで配列された複数の駆動電極822が放射状に設けられている。また、駆動電極822が配列された外側には、スリット部823が設けられている。スリット部823は、固定部材820の中心側にスリット823zを配置し、外側にスリット823a、823bを配置した構成となっている。スリット823a、823bは、周方向に同一位置となるように配列されており、スリット823aとスリット823bとは、所定ピッチPの四分の一ずらして配置されている。さらに固定部材820の中心には、孔824が設けられている。なお、固定部材820は、図示しない部材により、静電駆動装置800内の所定位置に固定される。
【0110】
固定部材820と同様の円盤形状の移動部材830は、中心に孔834が設けられている。この孔834と固定部材820の孔824をボス801で止めることにより、固定部材820に対して移動部材830は回動自在に取り付けられる。このとき移動部材830を所定の部材を介して取り付けることにより、固定部材820と移動部材830は所定間隔が保たれるようになる。また、移動部材830の固定部材820と対向する面で、かつ、駆動電極822に対応する位置には放射状に正極、負極に帯電したエレクトレット化された部位が設けられており(図示しない。)、固定部材820の開口部821に対応する位置には開口部833が設けられている。このように構成された静電駆動装置800は、図示しない駆動回路により固定部材820の駆動電極822に周波電圧が印加されると、駆動電極822と移動部材830に形成されたエレクトレット化された部位との間に反発力、吸引力が働き、移動部材830が回転するようになっている。移動部材830の開口部833の外側には、1つのスリット831と、そのスリット831のさらに外側に全周にわたって所定ピッチPで配列されたスリット群832とが設けられている。スリット831は固定部材820のスリット823Zに対応する位置に、スリット群832は、スリット823a、823bに対応する位置に設けられている。このため、スリット823aがスリット群832のいずれかのスリットと完全に重畳したときに、スリット823bはスリット群832のスリット823aと重畳しているスリットと隣接するスリットと不完全な重畳状態となる。
【0111】
固定部材820及び移動部材830の端を逃がす凹部811を設けた受台810には、コリメータレンズ850を固定するコリメータレンズ置台814、このコリメータレンズ850に向けて光を発光する発光素子860を固定する発光素子置台815、受光素子部841を嵌合する受光素子嵌合部813が設けられている。受光素子部841は、上側に受光素子841zを配置し、下側に受光素子841a、841bを並べて配置した構成となっている。また、受光素子部841の受光素子841z、841a、841bはそれぞれ図示しない信号検出部と接続されている。また、コリメータレンズ置台814に固定されたコリメータレンズ850と受光素子嵌合部813に嵌合された受光素子部841とは、凹部811を挟んで対向するように設けられている。したがって、発光素子860から発光された光は、コリメータレンズ850により平行光となって移動部材830のスリット831及びスリット群832に投光される。この投光された光がスリット831、スリット群832のスリットを通過した場合は固定部材820に投光され、さらに、固定部材820のスリット823zを通過した場合は受光素子841zへ、スリット823aを通過した場合は受光素子841a、スリット823bを通過した場合は受光素子841bへ入射される。各受光素子841z、841a、841bは光を受光するとON信号を、光を受光していないときはOFF信号を信号検出部へ出力する。
【0112】
次にこのように構成された静電駆動装置800の移動部材830の位置を検出する動作について説明する。図示しない駆動回路により固定部材820の駆動電極822に周波電圧が印加されると、駆動電極822と、移動部材830のエレクトレット化された部位との間に働く反発力、吸引力により移動部材830の回転が、例えば図中時計回りに開始されるとともに、発光素子860から光が発光される。この発光された光は、コリメータレンズ850により平行光にされ、移動部材830の端部に照射される。そして、コリメータレンズ850からの平行光がスリット831を通過する位置まで移動部材830が回転すると、スリット831を光が通過して固定部材820に入射される。この固定部材820に入射される光は、移動部材830の回転とともに固定部材820上を走査する。そして、移動部材830のスリット831と固定部材820のスリット823zが光の入射方向で重畳する位置となったときに、スリット831を通過した光は、さらにスリット823zを通過して受光素子841zに入射される。このとき、受光素子841zから信号検出部にON信号が出力される。そして、移動部材830がさらに回転し、スリット831とスリット823zが光の入射方向で重畳しない位置となると、スリット831から入射される光は、固定部材820により遮断される。このため、受光素子841zから信号検出部にOFF信号が出力される。そして、移動部材830のスリット831がさらに移動すると、コリメータレンズ850からの光は、移動部材830により遮断される。このように信号検出部が受光素子841zからのON信号を検出したときに、移動部材830のスリット831と固定部材820のスリット823zが光の入射方向で重畳する位置となったことを検出することができる。
【0113】
また、静電駆動装置800は、例えば、移動部材830のスリット831と固定部材820のスリット823zが光の入射方向で重畳する位置となった位置からスリット群832のスリットを何回カウントすれば、固定部材820の開口部821と移動部材830の開口部833が略一致する位置となるかを予め記憶しておき、信号検出部が受光素子841zからのON信号を検出した後、受光素子841a(又は、受光素子841b)からのON/OFF信号の変化した回数をカウントするように構成すれば、そのカウント数が予め記憶されたカウント数と一致したときに、移動部材830が固定部材820の開口部821を開とする位置に位置したことを検出することができる。
【0114】
さらに、移動部材830の端部に発光素子860から発光された光が平行光レンズ850を介して照射されると、スリット群832を所定ピッチPごとに光が通過し、固定部材820のスリット823a、823bを介して、受光素子841a、841bに入射される。このとき、スリット823aとスリット823bとはピッチPの四分の一ずれて配置されているため、受光素子841aから出力されるON/OFF信号、受光素子842bから出力されるON/OFF信号の位相は四分の一ピッチPずれて信号検出部へ出力される。例えば、信号検出部は図中時計回りに移動部材830が回転しているときは、受光素子841bからのON信号よりピッチPの四分の一に相当する時間送れて受光素子841aからのON信号を検出する。したがって、静電駆動装置800は、信号検出部で検出される受光素子841aから出力されるON/OFF信号と、受光素子842bから出力されるON/OFF信号との位相のずれを検出することにより、移動部材830の回転方向を検出することができる。
【0115】
(第8の実施形態)
次に第8の実施形態について説明する。図25は静電駆動装置900の構成を説明するための概略的な分解図であり、図26は移動子930を図25と反対側から見たときの斜視図である。
【0116】
図25に示すように、固定子920は、所定の厚さを有する矩形状からなり、その略中央には光を通過させるために開口部921を設けている。また、固定子920は、受台910の固定子固定溝911にはめ込まれたときに移動子930と対向する面に、図中上下方向に帯状の駆動電極922が複数所定間隔で設けられている。この駆動電極922の下側(駆動電極922の外側)には、一方の端から他端まで光を検出するためのリニア光学センサ940が固定子920の長手方向に沿って配設されている。リニア光学センサ940は、複数の受光素子が配設された受光面が移動子930と対向する向きに向けられている。なお、リニア光学センサ940の各受光素子は図示しない信号検出部と接続されている。
【0117】
移動子930は、固定子920の駆動電極922が配設された面と対向する面に図示しないエレクトレット化された部位931(図26において図示。)が設けられるとともに、下方に、光を反射する矩形状の反射ミラー932が貼り付けられている。また、受台910の固定子固定溝911に固定子920は固定され、移動子930は移動子ガイド912によりガイドされて移動する。このように移動子930が固定子920に対して移動するとき、リニア光学センサ940と反射ミラー932は、反射ミラー932で反射された光をリニア光学センサ940で受光できるように配置されている。また、固定子固定溝911と移動子ガイド912との間には、平行光レンズ950を載置するための平行光レンズ受部914が設けられている。この平行光レンズ受部914の中央には、発光素子960を嵌合するための発光素子嵌合部915が設けられている。この発光素子嵌合部915に発光素子960が嵌合された後、その上側に平行光レンズ950が載置される。
【0118】
図27は、移動子930の位置を検出する構成を説明するための図であり、組み立てられた静電駆動装置900の反射ミラー932を通過する断面を概略的に示している。発光素子960から発光された光は平行光レンズ950で平行光にされ、移動子930の下方へ投光される。移動子930の下方に貼り付けられた反射ミラー932に投光された光は反射してリニア光学センサ940に入射される。
【0119】
次にこのように構成された静電駆動装置900の移動子930の位置を検出する動作について説明する。図示しない駆動回路から駆動電極922に周波電圧が印加されると移動子930が移動子ガイド912に沿って例えば、図25において右上から左下方向へ移動を開始するとともに、発光素子960から光を発光する。発光素子960から発光された光は、平行光レンズ950で平行光にされ移動子930の下部へ投光される。この投光された光のうち、反射ミラー932に投光された光は反射されてリニア光学センサ940に入射する。リニア光学センサ940で光が入射された位置に配置された受光素子はON信号を信号検出部に出力する。なお、反射ミラー932からの反射光を受光しない受光素子からはOFF信号が信号検出部へ出力される。
【0120】
静電駆動装置900は、信号検出部がON信号を受信した受光素子の位置により、移動子930の位置を検出することができる。例えば、予め固定子920の開口部921が移動子930により閉となる位置となる受光素子の位置を予め記憶しておくことにより、この受光素子の位置と、信号検出部により検出したON信号を出力した受光素子の位置とが一致するか否かを判断することにより、静電駆動装置900は、固定子920の開口部921を閉とする位置に移動子930が位置したことを検出することができる。
【0121】
また、静電駆動装置900は、信号検出部でON信号を検出したリニア光学センサ940の受光素子の位置の変化に基づいて、移動子930が移動子ガイド912に沿っていずれの方向へ移動しているかを検出することができる。
【0122】
(第9の実施形態)
次に第9の実施形態について述べる。図28は、静電駆動装置1000の移動子1030を検出する構成を概略的に示す図である。この第9の実施形態は、静電容量を用いて移動子の移動量を検出する静電駆動装置1000について説明する。なお、固定子を図示しない受台に固定し、固定された固定子に対して移動子1030が相対移動する構成については、第1の実施形態と同様であるため説明を省略し、移動子1030の位置を検出する構成について説明する。
【0123】
固定子1020は、所定の厚さを有する矩形状からなり、その略中央部には光を通過させるために開口部1021を設けている。また、固定子1020は、図示しない固定子固定溝にはめ込まれたときに移動子1030と対向する面に、図中上下方向に帯状の駆動電極1022が複数所定間隔で設けられている。また、複数の駆動電極1022の下方(駆動電極1022の外側)の表面に、複数の駆動電極1022の配設方向と平行に列上に複数の第1の電極を並べた対向電極群1023(第1の電極群)が設けられている。対向電極群1023は、例えば、所定のピッチPで導電性インクが印刷されて構成される。
【0124】
移動子1030は、固定子1020と対向する面で駆動電極1022と対向する位置にエレクトレット化された部位を有している。また、移動子1030は、対向電極群1023のそれぞれ一つとの間の静電容量を検出するための対向電極1032(第2電極)が設けられている。この対向電極1032は、図示しない静電容量を測定するための測定回路と接続されている。測定回路から対向電極1032に信号が送信されると、その信号は複数の対向電極群1023から対向電極1032に戻り、測定回路で受信されるようになっている。すなわち、対向電極1032と対向電極群1023とは、それらが対向する位置にあるときは静電容量的に接続している。
【0125】
次にこのように構成された静電駆動装置1000の移動子1030の位置を検出する動作について説明する。図示しない駆動回路により固定子1020の駆動電極1022に周波電圧が印加されると、駆動電極1022と移動子1030のエレクトレット化された部位との間に反発力と、吸引力が働き、移動子1030が固定子1020に対して相対移動するとともに、図示しない測定回路から対向電極1032に信号が送信される。そして、移動子1030の移動により対向電極1032が対向電極群1023に対向して移動する際、対向電極1032が対向電極群1023の電極と対向している場合は、測定回路から対向電極1032に送信された信号はその対向している対向電極群1023から戻り測定回路で受信されるため、対向電極1032が対向電極群1023の電極と対向していない場合と比較して静電容量が異なるものとなる。
【0126】
したがって、静電駆動装置1000は、この静電容量の変化を検出することにより、移動子1030が固定子1020に設けられた対向電極群1023の電極を1つ移動した(ピッチP移動した)ことを検出することができる。静電駆動装置1000は、この静電容量の変化の回数をカウントすることにより、固定子1020の一方の端からの移動子1030の移動量を検出することができるので、移動子1030の位置を検出することができる。例えば、静電駆動装置1000は、予め静電容量の変化を何回カウントしたら固定子1020の開口部1021を閉とする位置となるかを記憶しておき、移動子1030が移動した後の静電容量の変化をカウントし、そのカウント数が予め記憶されたカウント数と一致したときに、移動子1030が固定部材1020の開口部1021を閉とする位置に位置したことを検出できる。
【0127】
さらに、この発明は上記各実施の形態に限定されなるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施できることは勿論である。また、上記各実施形態によれば、次のような構成が得られる。
【0128】
(付記1)
複数の第1のスリットと複数の駆動電極とが設けられた固定子と、
上記固定子側の面には上記駆動電極に対向する位置にエレクトレット化部位が設けられ、上記第1のスリットと対向しながら移動する第2のスリットを有し、上記固定子に対し移動可能に設けられた移動子と、
光を上記第1のスリットと上記第2のスリットとを通過させるための発光を行う発光素子と、
上記発光素子から発光されて上記第1のスリット及び上記第2のスリットを通過してきた光を受光する受光素子と、
を有していることを特徴とする静電駆動装置。
【0129】
(付記2)
上記移動子は更に、
上記第1のスリットと上記第2のスリットが完全に重畳したとき、上記第1のスリットと不完全な重畳状態となる第3のスリットと、
上記第1のスリットと上記第3のスリットとを通過してきた光を受光する第2の受光素子と、
を有したことを特徴とする付記1に記載の静電駆動装置。
【0130】
(付記3)
上記固定子に設けられた遮光部としての上記駆動電極の互いのその間を複数のスリット(光線透過部)としたことを特徴とする付記1又は2に記載の静電駆動装置。
【0131】
(付記4)
複数のスリットは上記駆動電極の外側に設けられていることを特徴とする付記1から3のいずれか1に記載の静電駆動装置。
【0132】
(付記5)
エレクトレット化された部位を有する移動子と、
上記移動子の移動領域投影面中に、上記移動子を駆動するため複数の駆動電極が設けられた駆動電極領域と、上記移動領域投影面中の一部に上記複数の駆動電極が設けられていない駆動電極非形成領域とを有する固定子と、
光を発光する発光素子と、
上記発光素子からの上記駆動電極非形成領域を通過し光を受光するように設けられた受光素子と、
を有することを特徴とする静電駆動装置。
【0133】
(付記6)
上記駆動電極非形成領域は上記固定子の一端面近傍にあることを特徴とする付記5に記載の静電駆動装置。
【0134】
(付記7)
上記駆動電極非形成領域は上記固定子の両端面近傍にあることを特徴とする付記5に記載の静電駆動装置。
【0135】
(付記8)
上記駆動電極非形成領域は上記固定子の複数の領域に設けられたことを特徴とする付記5に記載の静電駆動装置。
【0136】
(付記9)
上記駆動電極非形成領域は上記固定子に複数個所設けられ上記移動子の位置を制御し上記固定子の開口部から入射する光量を変動させることを可能とすることを特徴とする付記5から8のいずれか1に記載の静電駆動装置。
【0137】
(付記10)
円周の方向に配列された複数の第1のスリットと周方向に配列された複数の駆動電極とを有する固定部材と、
上記固定部材に対し回動可能に取り付けられ上記固定部材の上記駆動電極が設けられた面に対向して所定の間隔を保つように配設され、上記駆動電極が設けられた面側には永久分極された誘電体であるエレクトレット部位と、上記第1のスリットと対向しながら上記回動する第2のスリットを有する移動部材と、
光を上記第1のスリットと上記第2のスリットとを通過させるための発光を行う発光素子と、
上記発光素子から発光されて上記第1のスリット及び上記第2のスリットを通過してきた光を受光する受光素子と、
を有していることを特徴とする静電駆動装置。
【0138】
(付記11)
上記第1のスリットと上記第2のスリットとが完全に重畳したとき、上記第1のスリットと不完全な重畳状態となる第3のスリットと、
上記第1のスリットと上記第3のスリットとを通過してきた光を受光する第2の受光素子と、
を有したことを特徴とする付記10に記載の静電駆動装置。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】静電駆動装置の動作原理を説明する固定子と移動子の図。
【図2】静電駆動装置の動作原理を説明する制御系の図。
【図3】静電駆動装置の動作原理を説明する電極への電圧印加タイミングを示す図。
【図4】静電駆動装置の動作原理を説明する固定子と移動子の力の作用を示す図。
【図5】本発明に係る第1の実施形態の静電駆動装置の構成を概略的に示す図。
【図6】同実施形態における移動子の位置を検出する構成を説明するための図。
【図7】同実施形態における受光素子から出力された出力信号を示す図。
【図8】本発明に係る第2の実施形態の移動子の位置を検出する構成を概略的に示す図
【図9】図8の構成を上側から示す図。
【図10】同実施形態の変形例の移動子の位置を検出する構成の変形例を示す図。
【図11】図10の構成を上側から示す図。
【図12】本発明に係る第3の実施形態の1枚の移動子の初期位置を検出するための構成を概略的に示す図。
【図13】同実施形態の2枚の移動子の初期位置を検出するための構成を概略的に示す図。
【図14】本発明に係る第4の実施形態の1枚の移動子を用いた静電駆動装置をカバーガラス側から示す図。
【図15】同実施形態の2枚の移動子を用いて静電駆動装置の概略的な構成を説明するための図。
【図16】同実施形態の静電駆動装置の概略的な構成を説明するための他の図。
【図17】同実施形態の移動子の動きを説明するための図。
【図18】同実施形態の移動子の位置の検出に用いられるテーブルを示す図。
【図19】本発明に係る第5の実施形態の2枚の移動子により絞りを実現するための構成を説明するための図。
【図20】同実施形態の小径絞り状態を示す図。
【図21】同実施形態の移動子により絞りを実現するときに移動子の位置の検出に用いられるテーブルを示す図。
【図22】本発明に係る第6の実施形態の静電駆動装置の構成を概略的に示す図。
【図23】同実施形態における受光素子から出力された信号を示す図。
【図24】本発明に係る第7の実施形態の静電駆動装置の構成を概略的に示す図。
【図25】本発明に係る第8の実施形態の静電駆動装置の構成を概略的に示す図。
【図26】同実施形態の移動子を他の方向からみたときの斜視図。
【図27】同実施形態の移動子の位置を検出する構成を説明するための図。
【図28】本発明に係る第9の実施形態の静電駆動装置の移動子の位置を検出する構成を概略的に示す図。
【符号の説明】
【0140】
100、200、200´、300、300´、400、500、600、700、800、900、1000…静電駆動装置、120、220、320、420a、420b、520a、520b、620、720、920、1020…固定子、820…固定部材、130、230、230a、330、431、432、531、532、630、730、930、1030…移動子、830…移動部材、140、940…リニア光学センサ、160、260、761〜763、860、960…発光素子、350、450、451、550〜555、650〜657…発光部、360、460、461、560〜565、660〜667、741〜743、860…受光部(受光素子)、202…発受光部
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電気力を利用して移動子を駆動する静電駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、静電気力を利用して対象物を駆動する静電駆動の方法が知られている。この静電駆動の方法をカメラのシャッタ機構に利用した場合を例として説明する。シャッタ機構は、円形開口が設けられたステータと光を遮光するフィルム状部材からなるスライダからなっている。ステータには帯状電極が設けられており、スライダは帯状電極と対応するように帯状に最初に帯状電極により帯電される。このような状態で帯状電極に適切な位相で正負の電圧を印加することによって、帯状電極とこれに対応するように帯状に帯電したスライダとの間に吸引力と反発力が働き、ステータに対してスライダが移動される(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−220592号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載されたものによると、ステータに対してスライダを移動させることができる。すなわち、静電気力を利用して移動子を駆動することができる。
【0004】
しかしながら、移動子の位置を検出するための構成を有していないため、静電駆動装置単体で移動子の位置を検出することができない。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、移動子の位置を検出することができる静電駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載された発明は、静電駆動装置において、複数の第1のスリットと複数の駆動電極とが設けられた固定子と、上記固定子側の面には上記駆動電極に対向する位置にエレクトレット化部位が設けられ、上記第1のスリットと対向しながら移動する第2のスリットを有し、上記固定子に対し移動可能に設けられた移動子と、光を上記第1のスリットと上記第2のスリットとを通過させるための発光を行う発光素子と、上記発光素子から発光されて上記第1のスリット及び上記第2のスリットを通過してきた光を受光する受光素子と、を有していることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載された発明は、静電駆動装置において、エレクトレット化された部位を有する移動子と、上記移動子の移動領域投影面中に、上記移動子を駆動するため複数の駆動電極が設けられた駆動電極領域と、上記移動領域投影面中の一部に上記複数の駆動電極が設けられていない駆動電極非形成領域とを有する固定子と、光を発光する発光素子と、上記発光素子からの上記駆動電極非形成領域を通過し光を受光するように設けられた受光素子と、を有することを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載された発明は、静電駆動装置において、円周の周方向に配列された複数の第1のスリットと周方向に配列された複数の駆動電極とを有する固定部材と、上記固定部材に対し回動可能に取り付けられ上記固定部材の上記駆動電極が設けられた面に対向して配設され、上記駆動電極が設けられた面側には永久分極された誘電体であるエレクトレット部位と、上記第1のスリットと対向しながら上記回動する第2のスリットを有する移動部材と、光を上記第1のスリットと上記第2のスリットとを通過させるための発光を行う発光素子と、上記発光素子から発光されて上記第1のスリット及び上記第2のスリットを通過してきた光を受光する受光素子と、を有していることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載された発明は、静電駆動装置において、表面に、高反射率部と該高反射率部と比較して低反射率の低反射率部とからなる複数の縞状のパターンと複数の駆動電極とが設けられた固定子と、上記固定子の上記駆動電極に対向する面にはエレクトレット化された部位と、反射部とを有し、上記固定子に対し移動可能に設けられた移動子と、上記反射部を介し、上記パターンに光を投光する発光素子と、上記パターンからの反射光を受光する受光素子と、を有することを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載された発明は、静電駆動装置において、表面に、複数の駆動電極と、該複数の駆動電極と平行に列状に並んだ複数の第1電極群とが設けられた固定子と、上記固定子の上記駆動電極に対向する面には上記駆動電極に対向する位置にエレクトレット化された部位と上記複数の第1電極群に対し対向して移動し、上記複数の第1電極群のそれぞれ一つとの間の静電容量を検出するための第2電極とが設けられ、上記固定子に対し移動可能な移動子と、を有することを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載された発明は、静電駆動装置において、表面に複数の駆動電極が設けられた固定子と、光投光素子と、上記固定子の上記駆動電極に対向する面には上記駆動電極に対向する位置にエレクトレット化された部位と、上記投光素子からの光を反射もしくは通過させる例えばミラーである光制御部位とが設けられ、上記固定子に対し相対移動可能な移動子と、上記光制御部位からの光を受光し、上記固定子に対する上記移動子の相対位置を検出可能とする例えばラインセンサである光検出器と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、静電駆動装置単体で移動子の位置を検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
先ず、図1から図4を参照して本発明の各実施形態に共通する静電駆動装置の原理について説明する。図1(a)及び(b)に示すように、静電駆動装置1は固定子2と移動子3とを備え、移動子3は固定子2に対して同図において左右方向に移動自在に構成されている。そして、固定子2には、例えば、被写体からの光像を図示しない撮像素子に導くための光線通過可能領域である開口部4が設けられている。更に、この固定子2は上記移動子3の移動方向と直行する方向に、帯状の複数の駆動電極5が所定の間隔で並設されている。上記移動子3は、遮光性を有する部材であり、後述する永久分極された誘導体(以下、エレクトレットと称する。)6の部位を複数備えている。
【0014】
このような構成において、駆動電極5に周波電圧を印加すると、駆動電極5と上述のエレクトレット6との間に吸引力もしくは反発力が発生し、結果的に移動子3が固定子2に対して相対移動する。したがって、移動子3が固定子2の開口部4を、開放若しくは遮蔽するように移動可能にしておくことにより、静電駆動装置1は、例えば、カメラ等に用いられるシャッタ機構として利用できる。このようにシャッタ機構として利用した場合、図1(a)はシャッタが開の状態を示し、図1(b)はシャッタが閉の状態を示す。なお、固定子2に開口部4は必ずしも必要なものではなく、固定子2を透過部材として、図1(a)に示されるように、駆動電極5が設けられていない領域を形成しても良い。
【0015】
図2は、静電駆動装置1の断面を模式的に示すと共に静電駆動装置1の駆動回路7を示した図である。静電駆動装置1において、固定子2に並設されたそれぞれの駆動電極5には、駆動回路7からの電圧信号線が接続されている。これらの電圧信号線には4相の電圧信号が印加されるようになっている。従って、駆動電極5には、4本毎に同一の電圧信号が印加される。図2では、駆動電極5にA、B、C、Dの符号を付し、5A、5B、5C、5Dとしてこの電圧信号を区別している。
移動子3には、固定子2との対向面に永久分極されたエレクトレット6の部位を複数備えている。
【0016】
なお、この図2は、あくまでも模式図であり、実際の静電駆動装置1における駆動電極5、エレクトレット6の部位の数、配置間隔は、静電駆動装置1の大きさ、開口部4の面積、エレクトレット6の部位の極性、その配置形態、シャッタ機構として利用した場合はシャッタ機構として要求される駆動分解能やシャッタ最高速度等の様々な要因によって適宜決定されるものである。また、静電駆動装置1は、正負の極性を有するエレクトレット6の部位が交互に配置されたタイプであるが、いずれか一方の極性だけでも実現可能である。
【0017】
図2の左には、静電駆動装置1に印加する電圧信号を発生する駆動回路7の構成が示されている。パルス発生回路8で生成した矩形波列(駆動パルス信号)は、昇圧回路9と位相器10に供給される。昇圧回路9では、入力された矩形波列が100V程度まで昇圧されるとともに、2つの極性を有する電圧信号に分岐されて、駆動電極5A及び5Cに供給される。一方、位相器10に入力された矩形波列は、90°位相が遅れた波形となり、その後、昇圧回路9に入力されて、上述と同様の2つの矩形波列となり、駆動電極5B及び5Dに供給される。
【0018】
図3は、上記駆動回路7によって作成されて、駆動電極5A〜5Dに印加される電圧信号列の例を示したタイミングチャートである。このうち、図3(a)は駆動電極5A、図3(b)は駆動電極5B、図3(c)は駆動電極5C、図3(d)は駆動電極5Dのタイミングチャートである。なお、駆動電極5A〜5Dの電圧の状態は、時間t1〜t4の4つの状態が、時間経過に対応して繰り返して変化するものである。
【0019】
図4(a)〜(d)は、上述した静電駆動装置1の動作を説明する図である。なお、図4(a)〜(d)において、同図右側方向を移動子3の進行方向として、後方側(左側)に正極(プラス)のエレクトレット6aの部位、前方側(右側)に負極(マイナス)のエレクトレット6bの部位は配列されているものとする。
【0020】
図4(a)は、図3に示される時間t1に切り替った直後のエレクトレットと駆動電極5の電圧の状態(極性)を示している。この状態において、正極のエレクトレット6aは、駆動電極5A(正極)から反発力を受け、駆動電極5B(負極)から吸引力を受ける。また、負極のエレクトレット6bは、駆動電極5C(負極)から反発力を受け、駆動電極5D(正極)から吸引力を受ける。このため、移動子3は図4(a)の右方向に力を受けて、1つの駆動電極ピッチd分右方向へ移動する。
【0021】
図4(b)は、時間t2に切り替った直後のエレクトレットと駆動電極の電圧の状態を示している。この状態において、正極のエレクトレット6aは、駆動電極5B(正極)から反発力を受け、駆動電極5C(負極)から吸引力を受ける。また、負極のエレクトレット6bは、駆動電極5D(負極)から反発力を受け、駆動電極5A(正極)から吸引力を受ける。このため、移動子3は図4(b)の右方向に力を受けて、1つの駆動電極ピッチd分右方向へ移動する。
【0022】
図4(c)は、時間t3に切り替った直後のエレクトレットと駆動電極の電圧の状態を示している。この状態において、正極のエレクトレット6aは、駆動電極5C(正極)から反発力を受け、駆動電極5D(負極)から吸引力を受ける。また、負極のエレクトレット6bは、駆動電極5A(負極)から反発力を受け、駆動電極5B(正極)から吸引力を受ける。このため、移動子3は図4(c)の右方向に力を受けて、1つの駆動電極ピッチd分右方向へ移動する。
【0023】
図4(d)は、時間t4に切り替った直後のエレクトレットと駆動電極の電圧の状態を示している。この状態において、正極のエレクトレット6aは、駆動電極5D(正極)から反発力を受け、駆動電極5A(負極)から吸引力を受ける。また、負極のエレクトレット6bは、駆動電極5B(負極)から反発力を受け、駆動電極5C(正極)から吸引力を受ける。このため、移動子3は図4(d)の右方向に力を受けて、1つの駆動電極ピッチd分右方向へ移動する。
【0024】
上述したように、移動子3は1つの駆動電極ピッチd移動し、この動作が繰り返されることで、移動子3は図4(a)→(b)→(c)→(d)のように右方向(図中矢印方向)に移動する。なお、図4(a)〜(d)において、移動子3を左方向に移動するためには、駆動電極5A〜5Dに印加する電圧の極性を逆に切り替えればよい。
【0025】
次に、本発明の各実施形態について説明する。
【0026】
(第1の実施形態)
第1の実施形態を説明する。図5は、本発明に係る第1の実施形態の静電駆動装置100の構成を示す分解図である。受台110には、固定子120を固定するために受台110の長手方向に沿って形成された固定子固定溝111、移動子130を移動可能にガイドするために固定子固定溝111と所定間隔をあけ、平行となるように形成された移動子ガイド112、光を検出するためのリニア光学センサ140を固定するための凹部113a、113b、平行光レンズ150を固定するための凹部114a、114b、光を発光する発光素子(例えば、発光ダイオード)160を固定するために発光素子受台115が設けられている。
【0027】
固定子120は、所定の厚さを有する矩形状からなり、その略中央部には光を通過させるために開口部121を設けている。また、固定子120は、固定子固定溝111にはめ込まれたときに移動子130と対向する面に、図中上下方向に帯状の駆動電極122が複数所定間隔で設けられている。さらに、固定子120の下方には、駆動電極122の並び方向と平行となるように、一方の端から他方の端まで所定ピッチPでスリットが設けられたスリット群123が設けられている。
【0028】
移動子130は、固定子120と略同じ高さ、かつ、開口部121の幅より若干広い幅をした所定の厚さの矩形状からなる。また、移動子130の固定子120と対向する面には、固定子120に設けられた駆動電極122と対向するように、上下方向にエレクトレット化部位であるエレクトレット131が所定間隔で設けられている。
【0029】
リニア光学センサ140は、長手方向が移動子130の移動方向となり、かつ、受光素子が配設された受光面141が移動子130と対向する向きに向けられたラインセンサで構成されている。前記受光素子は、リニア光学センサ140の長手方向に固定子120に設けられたスリット群123と対応するように複数配置されている。また、リニア光学センサ140は、下側面に、2つの突起部143a、143bが設けられている。この突起部143a、143bがそれぞれ受台110の凹部113a、113bに嵌入され、リニア光学センサ140は受台110に固定される。さらに、リニア光学センサ140に設けられた各受光素子は、発光素子160から発光された光を平行光レンズ150を介して受光するとON信号、光を受光しない場合はOFF信号を図示しない信号検出部に出力する。
【0030】
平行光レンズ150の下側面には突起部151a、151bが設けられている。この突起部151a、151bがそれぞれ受台110の凹部114a、114bに嵌入され、平行光レンズ150は受台110に固定される。受台110に固定された平行光レンズ150は、発光素子受台115に固定された発光素子160が発光した光を受光すると、その受光した光を平行光にし、固定子120の下部へ投光する。
【0031】
したがって、固定子120、リニア光学センサ140、平行光レンズ150、発光素子160が受台110に固定されて構成される静電駆動装置100において、移動子130が移動子ガイド112上にないときは、発光素子160から発光された光は、平行光レンズ150で平行光にされて、固定子120の下部へ投光される。このとき、固定子120のスリット群123に投光された光は通過するが、スリット群123のスリット以外の部分に投光された光は通過せずに固定子120により遮断される。固定子120のスリット群123のスリットを通過した光は、リニア光学センサ140に配設された受光素子にそれぞれ入射される。このためリニア光学センサ140のすべての受光素子は、光を受光しON信号を図示しない信号検出部へ出力する。
【0032】
図6は、静電駆動装置100において、移動子130の位置を検出する構成について説明するための図である。上述したように発光素子160から発光された光は、平行光レンズ150で平行光にされて、固定子120の下部へ投光される。そして、固定子120のスリット群123のスリットを通過した光は、移動子130の下部へ投光された光は移動子130により遮断され、移動子130の下部へ投光されない光はリニア光学センサ140に配置された受光素子でそれぞれ受光される。したがって、移動子130により光が遮断されない位置に配置されている受光素子で発光素子160からの光が受光される。このようにリニア光学センサ140に配置された各受光素子のうち、光を受光した受光素子からはON信号が、光を受光しない受光素子からはOFF信号が図示しない信号検出部に出力される。信号検出部は、このリニア光学センサ140から出力されるON/OFF信号に基づいて移動子130の位置を検出することができる。
【0033】
さらに詳しく説明すると、移動子130は、上述した原理で説明したように、図示しない駆動回路により固定子120の駆動電極122に周波電圧を印加することにより、固定子120に対して相対移動が可能である。このように移動子130が固定子120に対して相対移動すると、その移動子130の移動に応じて固定子120のスリット群123のスリットを通過して移動子130により遮断される光の位置が変化する。したがって、リニア光学センサ140に配設された受光素子から出力されるON/OFF信号が変化する。上記信号検出部は、このON/OFF信号により、OFF信号を出力した受光素子が配置された位置に移動子130が位置していることを検出することができる。
【0034】
図7は、このON/OFF信号の波形を概念的に示す図である。図7において横軸はリニア光学センサ140のセンサの受光素子の並び方向に対応している。この波形図により、図示しない信号検出部は、OFF信号を出力している受光素子の位置に移動子130が位置していることを検出することができる。
【0035】
また、このようにOFF信号を出力する受光素子の変化に基づいて、図示しない信号検出部は移動子130がいずれの方向に移動しているかを検出することができる。すなわち、例えば、図示しない記憶部にリニア光学センサ140の受光素子から出力されたON/OFF信号の情報を一時的に記憶しておき、移動子130が移動した後のリニア光学センサ140の受光素子から出力されたON/OFF信号の情報と比較することにより、移動子130がいずれの方向に移動しているかを検出することが可能となる。
【0036】
このように構成された静電駆動装置100によると、リニア光学センサ140から出力されるON/OFF信号に基づいて、移動子130の位置を検出することができるとともに、移動子130の移動方向を検出することができる。
【0037】
このように移動子130の位置を検出することができるので静電駆動装置100は、例えば、予め図示しない記憶部に移動子130により固定子120の開口部121が閉となる位置のリニア光学センサ140の受光素子のON/OFF信号の情報を記憶しておくことにより、移動子130を固定子120の開口部121が閉となる位置に移動させることも可能となる。
【0038】
また、静電駆動装置100は、移動子130の位置を検出するとともに、図示しない時刻情報を生成する時刻生成部を設け、移動子130の移動位置に対する時間を求めることにより、移動子130の移動速度を算出することも可能である。
【0039】
(第2の実施形態)
次に第2の実施形態について述べる。この第2の実施形態の静電駆動装置は、フォトリフレクタタイプのセンサを用いて固定子に設けられた縞状のパターンを検出して移動子の位置を検出するようにしたものである。図8は静電駆動装置200の移動子230の位置を検出する構成を概略的に示す図であり、図9はその構成を上側から示す図である。なお、固定子220を図示しない受台に固定し、固定された固定子220に対して移動子230が相対移動する構成については、第1の実施形態と同様であるため図示及び説明を省略する。
【0040】
固定子220は、略中央に開口部221、図中上下方向に帯状の駆動電極222が複数所定間隔で設けられている。この駆動電極222の下方の表面に、一方の端から他方の端まで光の反射率の高い高反射率部と、この高反射率部の反射率と比較して低反射率の低反射率部とが所定ピッチPで複数設けられた縞状のパターン(例えば、白と黒の縞状パターン)223が設けられている。
【0041】
移動子230は、固定子220と対向する面で駆動電極222と対向する位置には、図示しないエレクトレット化された部位を有し、そのエレクトレット化された部位を有する面と反対面に反射部であるプリズムミラー231を有している。プリズムミラー231は、移動子230が図示しない移動子ガイドにガイドされて移動するときに固定子220の縞状のパターン223に対応する位置となるように設けられている。またプリズムミラー231は、上側からみたときに断面が三角形状となるように構成されており、図9に示すように、三角形状の一辺から入射された光を斜辺部分で曲げて縞状のパターン223へ投光し、また、縞状のパターン223から反射された光を斜辺部分で曲げて上記光が入射された方向へ投光する。なお、移動子230には、プリズムミラー231と固定子220の縞状のパターン223との間で光を通過させるために、図示しない開口部が設けられている。
【0042】
また、発光素子(例えばレーザ発光体)260から発光された光を反射してプリズムミラー231へ投光するとともに、プリズムミラー231に反射された光を通過させ受光素子250で受光させるためのハーフミラー201が設けられている。なお、発光素子260、受光素子250、ハーフミラー201は静電駆動装置200内の所定位置に設けられている。また、受光素子250は、ハーフミラー201を通過した光を受光した場合はON信号を、ハーフミラー201から光を受光しない場合はOFF信号を図示しない信号検出部に出力する。
【0043】
したがって、発光素子260から発せられた光は、ハーフミラー201で反射し、プリズムミラー231に入射する。このプリズムミラー231に入射された光は、プリズムミラー231で固定子220方向へ曲げられ、縞状のパターン223へ投光される。この縞状のパターン223の高反射率部で反射された光(低反射率部ではほとんど反射されない。)は、プリズムミラー231に入射される。そして、プリズムミラー231に入射された光はプリズムミラー231でハーフミラー201の方向に曲げられ、ハーフミラー201に入射する。このハーフミラー201に入射された光は、ハーフミラー201を通過して受光素子250に入射する。
【0044】
このように構成された静電駆動装置200において、固定子220の一方の端側から他方の端に移動子230が移動する際の動作について説明する。固定子220の駆動電極222に図示しない駆動回路により周波電圧が印加されると、移動子230の図示しないエレクトレットと駆動電極222との間に反発力と、吸引力が働き、移動子230は図示しない移動子ガイドに沿って移動する。このように移動子230が移動するときは、発光素子260は、常時光を発光するようになっている。したがって、移動子230が移動するときは、発光素子260からの光は、ハーフミラー201で曲げられ、プリズムミラー231に入射される。この入射された光は、プリズムミラー231で曲げられて、固定子220側へ常に投光される。
【0045】
そして、移動子230が図示しない移動子ガイドに沿って移動を開始し、プリズムミラー231から固定子220側へ投光される光が、縞状のパターン223の高反射率部に入射されると、その光はプリズムミラー231へ反射される。この反射された光は、プリズムミラー231で曲げられ、ハーフミラー201へ投光される。この光はハーフミラー201を通過して受光素子250へ入射されるため、信号検出部はON信号を検出する。
【0046】
さらに、移動子230が移動すると、プリズムミラー231から固定子220側へ投光される光が、縞状のパターン223の低反射率部に入射される。この入射された光は、プリズムミラー231へは反射されない。このため、受光素子250には光が入射されなくなり、信号検出部はOFF信号を検出する。
【0047】
このように移動子230が図示しない移動子ガイドに沿って移動する際、信号検出部は、縞状のパターン223の高反射率部、低反射率部に応じて、受光素子250から所定ピッチP毎にON信号とOFF信号とを交互に検出する。
【0048】
したがって、静電駆動装置200は、信号検出部で検出したON信号とOFF信号との変化をカウントすることより、そのカウント数に基づいて移動子230の位置を検出することができる。
【0049】
このように移動子230の位置を検出することができるので静電駆動装置200は、例えば、図示しない記憶部に移動子230により固定子220の開口部221が閉となる位置となる場合のカウント数を予め記憶しておくことにより、移動子230を固定子220の開口部221を閉とする位置に移動させることも可能となる。
【0050】
続いて、移動子の位置を検出する構成の変形例について説明する。この変形例は、固定子に設けられた縞状のパターンの検出をレーザ発受光部により行うようにしたものである。図10は静電駆動装置200´の移動子230aの位置を検出する構成を概略的に示す図であり、図11はその構成を上側から示す図である。なお、固定子を図示しない受台に固定し、固定された固定子に対して移動子が相対移動する構成については、第1の実施形態と同様であるため図示及び説明を省略し、また、固定子については上述の固定子220と同様な構成をしているため説明を省略する。
【0051】
移動子230aは、固定子220と対向する面で駆動電極222と対向する位置に、図示しないエレクトレット化された部位を有し、そのエレクトレット化された部位を有する面にはミラー232が設けられている。このミラー232は、レーザ光を発光するとともにレーザ光を受光可能に構成されたレーザ発受光部202から入射されたレーザ光を曲げて固定子220の縞状のパターン223へ投光するとともに、縞状のパターン223の高反射率部から反射された光を曲げてレーザ発受光部202へ投光するものである。
【0052】
レーザ発受光部202は、縞状のパターン223の高反射率部から反射された光がミラー232により曲げられた光を受光したときはON信号を、受光しないときはOFF信号を信号検出部に出力する。
【0053】
このように構成された静電駆動装置200´において、固定子220の一方の端側から他方の端に移動子230aが移動する際の動作について説明する。固定子220の駆動電極222に図示しない駆動回路により周波電圧が印加されると、移動子230aのエレクトレットと駆動電極222との間に反発力と、吸引力が働き、移動子230aは図示しない移動子ガイドに沿って移動する。このように移動子230aが移動するときは、レーザ発受光部202は、常時光を発光する。したがって、移動子230aが移動するときは、レーザ発受光部202からの光は、ミラー232で曲げられ、固定子220側へ常に投光される。
【0054】
そして、移動子230aが図示しない移動子ガイドに沿って移動を開始し、ミラー232から固定子220側へ投光される光が、縞状のパターン223の高反射率部に入射されると、その光はミラー232へ反射される。この反射された光は、ミラー232で曲げられ、レーザ発受光部202へ入射されるため、信号検出部はON信号を検出する。
【0055】
さらに、移動子230aが移動すると、ミラー232から固定子220側へ投光される光が、縞状のパターン223の低反射率部に入射される。この入射された光は、ミラー232へは反射されない。このため、レーザ発受光部202には光が入射されなくなり、信号検出部は、OFF信号を検出する。
【0056】
このように移動子230aが図示しない移動子ガイドに沿って移動する際、信号検出部は、縞状のパターン223の高反射率部、低反射率部に応じて、レーザ発受光部202から所定ピッチP毎にON信号とOFF信号とを交互に検出する。
【0057】
したがって、静電駆動装置200´は、信号検出部で検出したON信号とOFF信号との変化をカウントすることより、そのカウント数に基づいて移動子230aの位置を検出することができる。
【0058】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について述べる。図12は、静電駆動装置300の構成を概略的に示す分解図である。図12に示すように、固定子320には、略中央に開口部321、移動子330の移動領域投影面(移動子330が固定子320に対して相対移動する領域)に、所定間隔で駆動電極322を配設した駆動電極形成領域323(開口部321の部分も含むものとする。)と、駆動電極322が配設されていない駆動電極非形成領域324とが設けられている。この駆動電極非形成領域324は、固定子320の一端面近傍に設けられている。なお、駆動電極形成領域323は、開口部321の部分については、開口部321の上下に分かれて配置された駆動電極322を透明電極でつなぐようにして形成しても良い。また、固定子320は光を透過可能な半透明部材で構成されている。
【0059】
固定子320と、その固定子320の駆動電極322が配設された面と対向して略同形状のカバーガラス370を、図示しないスペーサ等を介して密閉固着し、その内部に遮光部材からなるとともに固定子320と対向する面に駆動電極322に対向するように形成されたエレクトレット化された部位を有する矩形状の移動子330が挿入されて静電駆動装置300が組み立てられる。
【0060】
さらに、静電駆動装置300は、発光部(発光素子)350及び受光部(受光素子)360からなるフォトインタラプタが設けられている。このフォトインタラプタは発光部350から発光された光が駆動電極非形成領域324を透過するように、発光部350が固定子320の外側に、受光部360がカバーガラス370の外側に固着されて取り付けられている。また、移動子330が初期位置に位置しているときに、移動子330を検出できるように発光部350及び受光部360を配置している。さらに、受光部360には図示しない信号検出部が接続されている。受光部360は発光部350の発光する光を受光しているときはON信号を、移動子330により発光部350の発光する光が遮断されているときはOFF信号を信号検出部に出力する。
【0061】
このように構成された静電駆動装置300において、移動子330が初期位置に位置しているときは移動子330により発光部350から発光された光が遮断され受光部360で光が受光されないため、信号検出部はOFF信号を検出する。そして、固定子320の駆動電極322に図示しない駆動回路により周波電圧が印加されると、移動子330のエレクトレット化された部位と駆動電極322との間に反発力と、吸引力が働き、移動子330は初期位置から移動を開始する。このように移動子330が移動を開始すると、移動子330によって遮られていた発光部350から発光された光が受光部360で受光されるようになるため信号検出部はON信号を検出する。そして、移動子330が初期位置から固定子320の他端側へ移動し、上記周波電圧と逆の周波電圧が駆動電極322に印加されて移動子330が他端側から初期位置に戻ってくると移動子330により発光部350から発光された光が再び遮断されるため信号検出部はOFF信号を検出する。
【0062】
したがって、静電駆動装置300は、発光部350及び受光部360からなるフォトインタラプタから出力されるON/OFF信号に基づいて、移動子330が初期位置に位置しているか否かを検出することできる。
【0063】
ここまでは、1枚の移動子330を用いる静電駆動装置300の場合について説明したが、以下では2枚の移動子を用いた静電駆動装置の場合を説明する。図13は、2枚の移動子431、432を用いた静電駆動装置400において、移動子431、432それぞれの初期位置を検出するための構成を概略的に示す分解図である。
【0064】
図13に示すように、固定子420aには、開口部421a、駆動電極422aを配設した駆動電極形成領域423a、駆動電極422aを配設していない駆動電極非形成領域424a及び駆動電極非形成領域425aが設けられている。駆動電極形成領域423a、駆動電極非形成領域424a、425aは固定子420a上に形成され、駆動電極非形成領域424aと駆動電極非形成領域425aは、固定子420aの両端面近傍にそれぞれ設けられている。この固定子420aと同形状及び同構成の固定子420bには、開口部421b、駆動電極422bを配設した駆動電極形成領域423b、駆動電極422bを配設していない駆動電極非形成領域424a、駆動電極非形成領域425bが設けられている。移動子431、432は、遮光部材からなるとともにエレクトレット化された部位を図13においては下側に有しており、その形状は、矩形状の一端に切り欠き部431a、432aがそれぞれ設けられたものとなっている。この切り欠き部431a、432aは、図中矢印で示す移動子431、432の移動方向では同じ側に、その移動方向と垂直方向では異なる側の端に設けられている。また、移動子431、432は、それぞれ切り欠き部431a、432aを有していても、移動子431のみで開口部421a、432のみで開口部432bを閉とすることができる程度の大きさとなっている。
【0065】
固定子420aと、その固定子420aの駆動電極422aが配設された面と対向して略同形状のカバーガラス470を図示しないスペーサ等を介して密閉固着し、その内部にエレクトレット化された部位が駆動電極422aと対向するように移動子431が挿入され、さらに、固定子420aの駆動電極422aが配設された面と反対面に、固定子420bの駆動電極422bが配設された面を対向して図示しないスペーサ等を介して密閉固定し、その内部にエレクトレット化された部位が駆動電極422bと対向するように移動子432が挿入されて静電駆動装置400が組み立てられる。
【0066】
さらに、静電駆動装置400は、発光部450及び受光部460、発光部451及び受光部461からなる2組のフォトインタラプタが設けられている。一方のフォトインタラプタは発光部450から発光された光が駆動電極非形成領域424b、424aを透過して受光部460で受光できるように、発光部450が固定子420bの外側に、受光部460がカバーガラス470の外側に固着されている。他方のフォトインタラプタは、発光部451から発光された光が駆動電極非形成領域425b、425aを透過して受光部461で受光できるように、発光部451が固定子420bの外側に、受光部461がカバーガラス470の外側に固着されている。したがって、移動子431は、切り欠き部431aしか設けられていないため発光部450及び受光部460からなるフォトインタラプタで検出することが可能だが、発光部451及び受光部461からなるフォトインタラプラでは検出することができない。逆に、移動子432は、切り欠き部432aしか設けられていないため発光部450及び受光部460からなるフォトインタラプラで検出することはできないが、発光部451及び受光部461からなるフォトインタラプタでは検出することが可能となっている。また、発光部450及び受光部460は移動子431が初期位置に位置しているときに移動子431を検出できるように配置し、発光部451及び受光部461は移動子432が初期位置に位置しているときに移動子432を検出できるように配置している。
【0067】
また、受光部460、461は図示しない信号検出部とそれぞれ接続されている。移動子431のみが初期位置に位置しているときは、受光部460は発光部450から発光された光が移動子431により遮断されるため信号検出部はOFF信号を検出し、受光部461は発光部451から発光された光を切り欠き部431aにより受光するため信号検出部はON信号を検出する。そして、固定子420aの駆動電極422aに図示しない駆動回路により周波電圧が印加されると、移動子431のエレクトレット化された部位と駆動電極422aとの間に反発力と、吸引力が働き、移動子431は初期位置から移動を開始する。このように移動子431が移動を開始すると、信号検出部は、受光部460が発光部450から発光された光を受光するため受光部460からON信号を検出し、また、受光部461からON信号を検出する。移動子431が初期位置から固定子420aの他端側へ移動し、上記周波電圧と逆の周波電圧が駆動電極422aに印加されて移動子431が他端側から初期位置に戻ってくると、信号検出部は、受光部460が移動子431により発光部450から発光された光が遮断されるため受光部460からOFF信号を検出し、また、受光部461からON信号を検出する。このように移動子431は切り欠き部431aが設けられているため、信号検出部は、受光部461からのON/OFF信号によらず、受光部460からの信号がOFF信号となっているときに、移動子431が初期位置に位置していることを検出する。
【0068】
また、移動子432は切り欠き部432aが設けられているため、信号検出部は、受光部460からのON/OFF信号によらず、受光部461からの信号がOFF信号となっているときに、移動子432が初期位置に位置していることを検出する。なお、移動子432が固定子420b上を移動するときに信号検出部で検出するON/OFF信号については、移動子431の場合における説明といずれのフォトインタラプタを用いてON/OFF信号を検出するかの違いだけなので説明を省略する。
【0069】
したがって、静電駆動装置400は、発光部450及び受光部460からなるフォトインタラプタから出力されるON/OFF信号のみに基づいて移動子431が初期位置にいるか否かを検出することができ、発光部451及び受光部461からなるフォトインタラプタから出力されるON/OFF信号のみに基づいて移動子432が初期位置に位置しているか否かをそれぞれ検出することできる。
【0070】
なお、静電駆動装置400は、駆動電極非形成領域424a、424b、425a、425bを固定子420a及び420bの両端面近傍に設けたが、これに限られず、固定子420a及び420b上で対角方向に位置する端の近傍に設けるようにしても良い。このように構成した場合、移動子431、432の切り欠き部431a、432a、発光部450及び受光部460からなるフォトインタラプタ、発光部451及び受光部461からなるフォトインタラプタは駆動電極非形成領域425a、425bの位置に対応して配置するようにすれば良い。
【0071】
(第4の実施形態)
次に第4の実施形態について述べる。この第4の実施形態は、第3の実施形態で説明した駆動電極非形成領域を固定子に複数設け、これを利用して固定子上で移動子が開口部を開とする位置(第3の実施形態における初期位置)にあること又は開口部を閉とする位置にあることを検出するものである。
【0072】
先ず、図14を参照して、1枚の移動子を用いた静電駆動装置について説明する。図14は、静電駆動装置300´をカバーガラス370側から示す図で、(a)は、開口部321が開となる位置を示し、(b)は、開口部321が閉となる位置を示している。静電駆動装置300´は、第3の実施形態で説明した静電駆動装置300に、さらに駆動電極非形成領域325を設け、その駆動電極非形成領域325に光を透過させるように図示しない発光部及び受光部361からなるフォトインタラプタを設けたものである。このフォトインタラプタは、移動子330が初期位置から移動を開始して開口部321が閉となる位置に進んだときに、移動子330を検出できる位置に配置しておく。また、受光部361は、上述した受光部360に接続されている信号検出部と接続されており、信号検出部は、受光部360からのON/OFF信号と、受光部361からのON/OFF信号とをそれぞれ受信する。なお、他の構成については第3の実施形態の静電駆動装置300と同様であるため説明を省略し、同様な符号を付すこととする。
【0073】
移動子330が初期位置に位置しているときは、信号検出部は、発光部350から発光された光が移動子330により遮断されるため受光部360からOFF信号を検出し、また、受光部361からは図示しない発光部からの光が移動子330により遮断されないためON信号を検出する。そして、固定子320の駆動電極322に図示しない駆動回路により周波電圧が印加されると、移動子330のエレクトレット化された部位と駆動電極322との間に反発力と、吸引力が働き、移動子330は初期位置から移動を開始する。このように移動子330が移動を開始すると、信号検出部は、受光部360が発光部350から発光された光を受光するため、受光部360からON信号を検出し、また、受光部361からもON信号を検出し続ける。さらに、移動子330が移動を続け、受光部361で図示しない発光部から受光している光が移動子330により遮断されると、信号検出部は、受光部360からはON信号を検出するが、受光部361からはOFF信号を検出する。この受光部361からのOFF信号を検出することにより、信号検出部は移動子330が開口部321を閉とする位置に到達したことを検出することができる。
【0074】
したがって、静電駆動装置300´は、駆動電極非形成領域324、325を固定子320上に設け、2組のフォトインタラプタを利用して、移動子330が初期位置にあること及び移動子330により開口部321が閉となる位置に移動子330があること、つまり、開口部321が閉となっていることを検出することができる。
【0075】
次に、図15を参照して2枚の移動子を用いた静電駆動装置について説明する。図15は、静電駆動装置500の概略的な構成を説明するための分解図である。
【0076】
図15に示すように、静電駆動装置500は、半透明部材からなるセパレータ501の各面に、駆動電極522a、522bがそれぞれ配設された固定子520a、520b(固定子520aと固定子520bとは同形状をしている。)が図示しないスペーサを介して密閉固着され、その内部に遮光部材からなるとともにエレクトレット化された部位を有する移動子531、532が、そのエレクトレット化された部位を有する面と固定子520a、520bの駆動電極522a、522bが配設された面とが対向するようにそれぞれ挿入され、組み立てられる。セパレータ501の幅は固定子520a、520bの幅(後述する発光部、受光部が配置できる程度の幅)より広くなっており、各固定子520a、520bは、セパレータ501の幅方向の異なる端にそれぞれ合わされて固着される。
【0077】
固定子520aには、略中央に開口部521a、移動子531の移動領域投影面(移動子531の固定子520aに対して相対移動する領域)に、所定間隔で駆動電極522aを配設した駆動電極形成領域523a(開口部521aの部分も含むものとする。)と、駆動電極522が配設されていない駆動電極非形成領域524a〜526aとが設けられている。駆動電極形成領域523aは、セパレータ501側の固定子520aの面に設けられている。また、駆動電極非形成領域524a〜526aは、固定子520aがセパレータ501に合わせられた側の所定位置にそれぞれ設けられている。この位置については後述する。なお、固定子520aに設けている構成と対応して開口部521b、駆動電極522b、駆動電極形成領域523b、駆動電極非形成領域524b〜526bが固定子520bに設けられている。なお、駆動電極非形成領域524a〜526aと、駆動電極非形成領域524b〜526bとは互いに幅方向の異なる端側に設けられている。
【0078】
さらに、静電駆動装置500には、発光部550〜555及び受光部560〜565のそれぞれの組からなる6つのフォトインタラプタが設けられている。各フォトインタラプタは、各発光部550〜552から発光された光が駆動電極非形成領域524a〜526aをそれぞれ透過して受光部560〜562で受光されるように、発光部550〜552が固定子520aの外側に、受光部560〜562がセパレータ501の外側にそれぞれ固着され、また、各発光部553〜555から発光された光が駆動電極非形成領域524b〜526bをそれぞれ透過して受光部563〜565で受光されるように、発光部553〜555が固定子520bの外側に、受光部563〜565がセパレータ501の外側にそれぞれ固着されている。
【0079】
6つのフォトインタラプタ及び駆動電極非形成領域524a〜526a、524b〜526bの位置について説明する。発光部550〜552及び受光部560〜562、並びに駆動電極非形成領域524a〜526aは、移動子531により、開口部521a及び開口部521bが開となる場合(移動子531が初期位置に位置している場合)、開口部521aが開から閉となる間の場合、開口部521aが閉となった場合、開口部521aが閉となる位置を移動子531が通過した場合と、受光部560〜562から出力される信号に基づいて区別できるような位置にそれぞれ形成されている。また、発光部553〜555及び受光部563〜565、並びに駆動電極非形成領域524b〜526bも、同様に、移動子532により、開口部521b及び開口部521aが開となる場合(移動子532が初期位置に位置している場合)、開口部521bが開から閉となる間の場合、開口部521bが閉となった場合、開口部521bが閉となる位置を移動子532が通過した場合と、受光部563〜565から出力される信号に基づいて区別できるような位置にそれぞれ形成されている。各受光部560〜565は、各発光部550〜555が発光した光をそれぞれ受光したときにON信号を、光を受光しないときにOFF信号を図示しない信号検出部へ出力する。
【0080】
なお、図16(a)は静電駆動装置500を上側から(固定子520a側から)見た図であり、(b)は(a)におけるA−A断面を概略的に示す図である。この図16は説明を容易にするため、図15を用いて説明した構成以外は図示していない。また、図17は、静電駆動装置500を上側から(固定子520a側から)見た図であり、移動子531が開口部521a及び開口部521bからなる開口521を閉じ、移動子532が開口521を開とする位置から閉とする位置へ移動して開口521を一部閉じている様子を示している。
【0081】
図18は、移動子531が固定子520aに対して相対移動するときに、信号検出部が移動子531の位置を検出するために用いるテーブルT1を示している。テーブルT1において、フォトインタラプタ(P/I)1、2、3は、発光部550〜552、受光部560〜562のそれぞれの組から構成される。なお上述したように受光部560〜562は発光部550〜552からの光を受光するとON信号を、移動子531により発光部550〜552からの光が遮断されるとOFF信号を信号検出部に出力する。したがって、信号検出部が、テーブルT1の設定と、P/I1〜P/I3が出力するON/OFF信号に基づいて移動子531の位置を検出することにより、静電駆動装置500は、開口部521a及び開口部521bの開閉の状態を検出することができる。すなわち、静電駆動装置500は、P/I1がOFF信号、P/I2がOFF信号、P/I3がON信号を出力していることが信号検出部で検出されると開口部521aが開となっている(移動子531が初期位置に位置している)ことを検出する。また、P/I1がON信号、P/I2がOFF信号、P/I3がON信号を出力していることが信号検出部で検出されると開口部521aが開から閉の状態に遷移している間となっていることを検出する。また、P/I1がON信号、P/I2がOFF信号、P/I3がOFF信号を出力していることが信号検出部で検出されると開口部521aが閉となっていることを検出する。さらに、P/I1がON信号、P/I2がON信号、P/I3がOFF信号を出力していることが信号検出部で検出されると移動子531が開口部521aを閉とする位置を通過したことを検出する。
【0082】
また、図示は省略するが、信号検出部は、フォトインタラプタ(P/I)4〜6からのON/OFF信号に基づいて移動子532の位置を検出するためのテーブルも設けている。P/I4〜6は、発光部553〜555、受光部563〜565のそれぞれの組からなり、受光部563〜565は発光部553〜555からの光を受光するとON信号を、移動子532により発光部553〜555からの光が遮断されるとOFF信号を信号検出部に出力する。また、前記テーブルの設定は、図18で説明したテーブルT1において、P/I1〜P/I3と、P/I4〜P/I6とをそれぞれ入れ替えたものとなっている。このため、信号検出部が、前記テーブルの設定と、P/I4〜P/I6が出力するON/OFF信号に基づいて移動子532の位置を検出することにより、静電駆動装置500は、開口部521b及び開口部521aの開閉の状態を検出することができる。
【0083】
次に、静電駆動装置500の移動子531、532の位置を検出する動作について説明する。信号検出部によりP/I1、2、4、5からOFF信号が、P/I3、6からON信号が検出されて初期位置に位置していると信号検出部により検出されている移動子531、532は、図示しない駆動回路により駆動電極522a、522bに周波電圧が印加されると、固定子520a、520bに対して相対移動を開始する。移動子531、532が移動を開始すると、信号検出部によりP/I1、3、4、6からON信号が、P/I2、5からOFF信号が検出されて開口部521a、521bが開から閉に遷移している状態であることを検出する。さらに移動子531、532が移動すると、信号検出部により、P/I1、4からON信号が、P/I2、3、5、6からOFF信号が検出されて開口部521a、521bが閉となったことを検出する。そして、信号検出部により、P/I1、2、4、5からON信号が、P/I3、6からOFF信号が検出されて移動子531、532が閉位置を通過したことを検出する。
【0084】
したがって、静電駆動装置500は、P/I1〜3から出力されるON/OFF信号に基づいて移動子531の位置を検出することができ、P/I4〜6から出力されるON/OFF信号に基づいて移動子532の位置を検出することができる。
【0085】
また、静電駆動装置500がカメラ等のエレクトレットシャッタに用いられた場合に、例えば、レリーズON時に開口521が閉から開をえて閉になるように移動子531,532を移動させる。又移動子531,532の移動開始時刻を制御することによって開口部521が開となる時刻を制御できるのでシャッタスピードを変えることができる。しかしながら、初期位置が開口521を閉とする位置の場合は、P/I1〜3から出力されるON/OFF信号に基づいて移動子531の位置を検出できるので移動子531を、開口部521a及び開口部521bを閉とする位置へ移動させる方向を決定できるとともに、P/I4〜6から出力されるON/OFF信号に基づいて移動子532の位置を検出できるので移動子532を、開口部521b及び開口部521aを閉とする位置へ移動させる方向を決定できる。そして、移動子531、532をそれぞれ決定された方向へ移動させ、開口部521aを閉とする位置で移動子531を検出したら移動を停止し、開口部521bを閉とする位置で移動子532を検出したら移動を停止することにより、開口部521a及び開口部521bからなる開口521を閉とすることができる。
【0086】
なお、上述の第4の実施形態の静電駆動装置500は、2枚の移動子531、532を同じように移動させているが、それぞれの固定子520aの駆動電極522a、固定子520bの駆動電極522bに印加する周波電圧をずらすことにより、移動子531、532をずらして移動させることも可能である。このように移動子531、532をずらして移動させることにより、静電駆動装置500の開口521の広さを絞ることも可能となる。
【0087】
(第5の実施形態)
次に第5の実施形態について説明する。図19は、この第5の実施形態の静電駆動装置600を上側から見た図である。この静電駆動装置600は、2枚の移動子を用いて開口部を絞った状態(小径絞り状態)を実現するように構成したものである。この静電駆動装置600は、第4の実施形態で説明した静電駆動装置500と、駆動電極非形成領域、フォトインタラプタの配置、移動子の形状、移動子の初期位置以外は同様な構成をしている。このため、同様な構成部分については同様な符号を付すとともに説明を省略し、静電駆動装置500と異なる構成について説明する。
【0088】
固定子520a、図示しない520bには、セパレータ501の幅方向の端に合わせられた端にそれぞれ4つの駆動電極非形成領域621a〜624a、621b〜624bが設けられている。この駆動電極非形成領域621a〜624aは、一方の端(図19では上側)からそれぞれ所定間隔で配置され、駆動電極非形成領域621b〜624bは、他方の端(図19では下側)から前記所定間隔と同じ間隔で配置されている。この駆動電極非形成領域621a〜624a、621b〜624bの位置については後述する。駆動電極非形成領域621a〜624aをそれぞれ光が透過するように、発光部650〜653及び図示しない受光部660〜663を設けており、また、駆動電極非形成領域621b〜624bをそれぞれ光が透過するように、図示しない発光部654〜657及び受光部664〜667を設けている。各受光部660〜667は図示しない信号検出部とそれぞれ接続されており、受光部660〜667は発光部650〜657から発光された光をそれぞれ受光したときはON信号を、受光しないときはOFF信号を信号検出部に出力する。
【0089】
移動子631、632は、図示しない開口部521a及び521bからなる開口521を絞るために矩形状の一辺に、端側が幅広となった略台形上の切り欠き部631a、632aをそれぞれ有している。移動子631、632の初期位置は静電駆動装置600の異なる端となっており、移動子631、632が初期位置から移動するときに対向する向きに切り欠き部631a、632aが移動子631、632に設けられている。したがって、移動子631、632が初期位置から移動して所定距離進むと、図20に示すように、移動子631の切り欠き部631aを設けた端部と、移動子632の切り欠き部632aを設けた端部とが重なり、開口521の一部からしか光が通過しない開口M(小径絞り状態)となる。
【0090】
発光部650〜657及び受光部660〜667、並びに駆動電極非形成領域621a〜624a、621b〜624bの位置について説明する。発光部650〜653及び受光部660〜663、並びに駆動電極非形成領域621a〜624aは、移動子631により、開口部521aが開となる場合(移動子631が初期位置に位置している場合)、開口部521aが小径絞り状態となる場合、開口部521aが閉となる場合を、受光部660〜663から出力される信号に基づいて区別できるような位置にそれぞれ形成されている。また、発光部654〜657及び受光部664〜667、並びに駆動電極非形成領域621b〜624bも、同様に、移動子632により、開口部521bが開となる場合(移動子632が初期位置に位置している場合)、開口部521bが小径絞り状態となる場合、開口部521bが閉となる場合を、受光部664〜667から出力される信号に基づいて区別できるような位置にそれぞれ形成されている。
【0091】
図21は、移動子631が固定子520aに対して相対移動するときに、信号検出部が移動子631の位置を検出するために用いるテーブルT2を示している。テーブルT2において、フォトインタラプタ(P/I)11、12、13、14は、発光部650〜653、図示しない受光部660〜663のそれぞれの組から構成される。なお上述したように図示しない受光部660〜663は、発光部650〜653からの光を受光するとON信号を、移動子631により発光部650〜653からの光が遮断されるとOFF信号を信号検出部に出力する。したがって、信号検出部が、テーブルT2の設定と、P/I11〜P/I14が出力するON/OFF信号とに基づいて移動子631の位置を検出することにより、静電駆動装置600は、開口部521aの開閉の状態を検出することができる。すなわち、静電駆動装置600はP/I11がOFF信号、P/I12がOFF信号、P/I13がON信号、P/I14がON信号を出力していることが信号検出部で検出されると移動子631が開口部521aに対して開となる位置である(初期位置に位置している)ことを検出する。P/I11がON信号、P/I12がOFF信号、P/I13がOFF信号、P/I14がON信号を出力していることが信号検出部で検出されると移動子631が開口部521aに対して小径絞り状態となる位置であることを検出する。P/I11がON信号、P/I12がON信号、P/I13がOFF信号、P/I14がOFF信号を出力していることが信号検出部で検出されると移動子631が開口部521aに対して閉となる位置であることを検出する。なお、移動子631のみでは開口521を開、小径絞り状態、閉とすることができないが、後述する移動子632も同様に動作するため、移動子631と移動子632とにより、開口521を開、小絞り状態、閉とすることができる。
【0092】
また、図示は省略するが、信号検出部は、フォトインタラプタ(P/I)15〜18からのON/OFF信号に基づいて移動子632の位置を検出するためのテーブルも設けている。P/I15〜18は、図示しない発光部654〜657、受光部664〜667のそれぞれの組からなり、受光部664〜667は、図示しない発光部654〜657からの光を受光するとON信号を、移動子632により発光部654〜657からの光が遮断されるとOFF信号を信号検出部に出力する。また、テーブルは、図21で説明したテーブルT2において、P/I11〜P/I4と、P/I15〜P/I18とを、それぞれ入れ替えたものである。このため、信号検出部が、テーブルの設定と、P/I15〜P/I18が出力するON/OFF信号とに基づいて移動子632の位置を検出することにより、静電駆動装置600は、開口部521bの開閉の状態を検出することができる。なお、移動子532の位置を検出するためのP/I15〜18のON/OFF信号の組み合わせは、上述した移動子631の場合と同様であるため説明を省略する。
【0093】
次に、静電駆動装置600の移動子631、632の位置を検出する動作について説明する。信号検出部により、P/I11、12、15、16からOFF信号、P/I13、14、17、18からON信号が検出されて初期位置に位置していると信号検出部により検出されている移動子631、632は、図示しない駆動回路により移動子631、632が対向して移動するように駆動電極522a、522bにそれぞれ周波電圧が印加されると、固定子520a、520bに対してそれぞれ移動を開始する。移動子631、632が移動し、信号検出部によりP/I11、14、15、18からON信号、P/I12、13、16、17からOFF信号が検出されると、静電駆動装置600は、移動子631、632が小径絞り状態となり、開口521が開口Mとなって絞られていることを検出する。そして、さらに移動子631、632が移動し、信号検出部により、P/I11、12、15、16からON信号、P/I13、14、17、18からOFF信号が検出されると、開口521が閉となったことを検出する。
【0094】
したがって、静電駆動装置600は、P/I11〜14から出力されるON/OFF信号に基づいて移動子631の位置を検出することができ、P/I15〜18から出力されるON/OFF信号に基づいて移動子632位置を検出することができ、また、小径絞り状態となる位置に移動子631、632が位置したことを検出することができる。
【0095】
(第6の実施形態)
次に第6の実施形態について述べる。図22は、第6の実施形態の静電駆動装置700の構成を説明するための概略的な分解図である。なお、受台710の固定子固定溝711に固定された固定子720に対して移動子ガイド712にガイドされて移動子730が相対移動する構成は第1の実施形態と同様であるため説明を省略し、移動子730の位置を検出する構成について説明する。
【0096】
受台710には、受光素子部741〜743を固定する受光素子嵌合部713a〜713c、コリメータレンズ751〜753を固定するコリメータレンズ置台714a〜714c、発光素子761〜763を固定する発光素子置台715a〜715cが設けられている。なお、受光素子部741は、上側に受光素子741zを配置し、下側に受光素子741a、741bを並べて配置した構成となっている。受光素子部742、743も同様な配置で受光素子742z、742a、742b、受光素子743z、743a、743bが設けられている。これら受光素子嵌合部713a〜713cと発光素子置台715a〜715c(及びコリメータレンズ置台714a〜714c)の各組は、固定子固定溝711、移動子ガイド712を挟み、かつ、固定子720の長手方向に所定間隔となるように受台710に配置されている。
【0097】
開口部721を有する固定子720の駆動電極722の下方に、スリット部723〜725が設けられている。スリット部723は、上側にスリット723zを配置し、下側にスリット723a、723bを所定ピッチPの四分の一ずらして並べて配置した構成となっている。スリット部724、725も同様な配置でスリット724z、724a、724b、スリット725z、725a、725bが設けられている。また、各スリット部723〜725は固定子720を固定子固定溝711に固定したときに受光素子部741〜743と対応する位置となるように設けられている。各受光素子部741〜743は各発光素子761〜763が発光した光を受光した場合はON信号を、受光しない場合はOFF信号を図示しない信号検出部へ出力する。
【0098】
移動子730の下方には、1つのスリット731と、そのスリット731の下側に一方の端から他端まで所定ピッチPで配列されたスリット群732とが設けられている。移動子730が移動子ガイド712にガイドされて移動するときに、スリット731は固定子720のスリット723Z〜725Zと対応する位置、スリット群732は、スリット723a、723b、724a、724b、725a、725bと対応する位置を通過するように移動子730に設けられている。上述したようにスリット部723、724、725の下側に配置された2つのスリットの間隔はピッチPの四分の一ずれており、スリット群732のスリットの間隔はピッチPである。このため、各スリット部723、724、725の下側に配置されたいずれかのスリット、例えばスリット723aとスリット群732のいずれかのスリットが完全に重畳したときに、その完全に重畳しているスリット群732のスリットと隣接するスリットと、スリット723bとは不完全な重畳状態となる。
【0099】
このように構成された静電駆動装置700において、移動子730の移動方向において、移動子730のスリット731と固定子720のスリット723zが一致する位置が移動子730の初期位置となり、スリット731とスリット724zが一致する位置が開口部721を閉とする位置となり、スリット731とスリット725zが一致する位置が開口部721を移動子730が通過したことを示す位置となっている。
【0100】
次に、静電駆動装置700の移動子730の位置を検出する動作について説明する。先ず、発光素子761〜763が発光し、受光素子741z、742z、743zから出力されるON/OFF信号に基づいて移動子730の位置を検出する。例えば、信号検出部により受光素子741z、743zからON信号が、受光素子742zからOFF信号が検出されている場合には、静電駆動装置700は、移動子730が初期位置に位置していないと判断できるため、図示しない駆動回路により固定子720の駆動電極722に移動子730を図中左側に移動させるように周波電圧を印加する。そして、受光素子741zからOFF信号を検出した後、再びON信号を検出したとき(すなわち、移動子730のスリット731と固定子720のスリット723zが重畳したとき)に、移動子730が初期位置に位置したことを検出し、駆動電極722への周波電圧の印加を終了する。
【0101】
続いて、このように初期位置に位置した後の移動子730の動作について説明する。移動子730を図中右上側へ移動させるように図示しない駆動回路により駆動電極722に周波電圧を印加する。これにより移動子730は、移動子ガイド712に沿って初期位置から右上側へ移動を開始する。
【0102】
このように移動子730が移動していくと、スリット724zは移動子730のスリット731の図中右側の部分で遮られる。このとき、受光素子742zはOFF信号を信号検出部に出力する。そして、移動子730のスリット731と、固定子720のスリット724zが重畳した位置となると、発光素子762からコリメータレンズ752を介して出力された光が、スリット731、スリット724zを通過して受光素子742zで受光される。このため受光素子742zからON信号を信号検出部に出力する。このように、信号検出部が受光素子742zからのON/OFF信号を検出することにより、静電駆動装置700は移動子730が開口部721を閉とする位置に位置したことを検出できる。
【0103】
そして駆動回路により駆動電極722にさらに周波電圧が印加されると、スリット725zは移動子730のスリット731の図中右側の部分で遮られる。このとき、受光素子743zはOFF信号を信号検出部に出力する。そして、移動子730のスリット731と固定子720のスリット725zとが重畳した位置となると、発光素子763からコリメータレンズ753を介して出力された光が、スリット731、スリット725zを通過して受光素子743zで受光される。このため受光素子743zはON信号を信号検出部に出力する。このように、信号検出部が受光素子743zからのON/OFF信号を検出することにより、静電駆動装置700は移動子730が開口部721を通過した位置に位置したことを検出できる。
【0104】
したがって、このように構成された静電駆動装置700は、各受光素子部741、742、743の上側に配置された受光素子741z、742z、743zからのON/OFF信号に基づいて、移動子730が開口部721を開口する位置である初期位置、開口部721を閉とする位置、開口部721を閉とする位置を通過した位置を検出することができる。
【0105】
また、移動子730が移動子ガイド712に沿って移動するときに、移動子730のスリット群732を通過する光は、固定子720に設けられたスリット723aと723b、スリット724aと724b、スリット725aと725bのいずれかの組に入射される。上述したようにスリット群732は所定ピッチPで設けられているが、スリット723aと723bはピッチPの四分の一ずれて配置されている(スリット724aと724b、スリット725aと725bも同様である。)。
【0106】
このように構成されているため、移動子730が移動する際に、例えば、スリット723aと723bにスリット群732を通過した光が入射し、各スリット723aと723bを通過して受光素子741a、741bでそれぞれ受光される光は、ピッチPの四分の一ずれたタイミングとなる。図23はこの信号の波形を示す図である。図23において例えばA相は移動子730のスリット群732及び固定子720のスリット723aを通過した光を受光した受光素子741aから出力される信号であり、B相は移動子730のスリット群732及び固定子720のスリット723bを通過した光を受光した受光素子741bから出力される信号であり、2相信号となっている。上述したように、移動子730のスリット群732はピッチPで設けられているが、固定子720のスリット723aとスリット723bとは移動子730の移動方向にピッチPの四分の一ずれているため、2相信号はピッチPの四分の一ずれた波形となっている。すなわち、例えば、移動子730が図中右上側に移動するときは、受光素子741aから出力されるON信号から、ピッチPの四分の一に相当する時間遅れて受光素子741bからON信号が出力される。また、移動子730が図中左下側に移動するときは、受光素子741bから出力されるON信号から、ピッチPの四分の一に相当する時間遅れて受光素子741aからON信号が出力される。信号検出部により検出されるON/OFF信号の位相を検出することにより、移動子730の移動方向を検出することができる。
【0107】
したがって、静電駆動装置700は、各受光素子部741、742、743の下側に配置された受光素子741aと741b、受光素子742aと742b、受光素子743aと743bのいずれかの組から出力されるON/OFF信号の位相に基づいて、移動子730の移動方向を検出することができる。
【0108】
(第7の実施形態)
次に第7の実施形態について述べる。図24は、フォトインタラプタを回転型静電駆動装置に使用した静電駆動装置800の構成を説明するための概略的な分解図である。
【0109】
円盤形状をした固定部材820は、開口部821が設けられており、その開口部821の外側には、周方向に所定間隔及び所定の長さで配列された複数の駆動電極822が放射状に設けられている。また、駆動電極822が配列された外側には、スリット部823が設けられている。スリット部823は、固定部材820の中心側にスリット823zを配置し、外側にスリット823a、823bを配置した構成となっている。スリット823a、823bは、周方向に同一位置となるように配列されており、スリット823aとスリット823bとは、所定ピッチPの四分の一ずらして配置されている。さらに固定部材820の中心には、孔824が設けられている。なお、固定部材820は、図示しない部材により、静電駆動装置800内の所定位置に固定される。
【0110】
固定部材820と同様の円盤形状の移動部材830は、中心に孔834が設けられている。この孔834と固定部材820の孔824をボス801で止めることにより、固定部材820に対して移動部材830は回動自在に取り付けられる。このとき移動部材830を所定の部材を介して取り付けることにより、固定部材820と移動部材830は所定間隔が保たれるようになる。また、移動部材830の固定部材820と対向する面で、かつ、駆動電極822に対応する位置には放射状に正極、負極に帯電したエレクトレット化された部位が設けられており(図示しない。)、固定部材820の開口部821に対応する位置には開口部833が設けられている。このように構成された静電駆動装置800は、図示しない駆動回路により固定部材820の駆動電極822に周波電圧が印加されると、駆動電極822と移動部材830に形成されたエレクトレット化された部位との間に反発力、吸引力が働き、移動部材830が回転するようになっている。移動部材830の開口部833の外側には、1つのスリット831と、そのスリット831のさらに外側に全周にわたって所定ピッチPで配列されたスリット群832とが設けられている。スリット831は固定部材820のスリット823Zに対応する位置に、スリット群832は、スリット823a、823bに対応する位置に設けられている。このため、スリット823aがスリット群832のいずれかのスリットと完全に重畳したときに、スリット823bはスリット群832のスリット823aと重畳しているスリットと隣接するスリットと不完全な重畳状態となる。
【0111】
固定部材820及び移動部材830の端を逃がす凹部811を設けた受台810には、コリメータレンズ850を固定するコリメータレンズ置台814、このコリメータレンズ850に向けて光を発光する発光素子860を固定する発光素子置台815、受光素子部841を嵌合する受光素子嵌合部813が設けられている。受光素子部841は、上側に受光素子841zを配置し、下側に受光素子841a、841bを並べて配置した構成となっている。また、受光素子部841の受光素子841z、841a、841bはそれぞれ図示しない信号検出部と接続されている。また、コリメータレンズ置台814に固定されたコリメータレンズ850と受光素子嵌合部813に嵌合された受光素子部841とは、凹部811を挟んで対向するように設けられている。したがって、発光素子860から発光された光は、コリメータレンズ850により平行光となって移動部材830のスリット831及びスリット群832に投光される。この投光された光がスリット831、スリット群832のスリットを通過した場合は固定部材820に投光され、さらに、固定部材820のスリット823zを通過した場合は受光素子841zへ、スリット823aを通過した場合は受光素子841a、スリット823bを通過した場合は受光素子841bへ入射される。各受光素子841z、841a、841bは光を受光するとON信号を、光を受光していないときはOFF信号を信号検出部へ出力する。
【0112】
次にこのように構成された静電駆動装置800の移動部材830の位置を検出する動作について説明する。図示しない駆動回路により固定部材820の駆動電極822に周波電圧が印加されると、駆動電極822と、移動部材830のエレクトレット化された部位との間に働く反発力、吸引力により移動部材830の回転が、例えば図中時計回りに開始されるとともに、発光素子860から光が発光される。この発光された光は、コリメータレンズ850により平行光にされ、移動部材830の端部に照射される。そして、コリメータレンズ850からの平行光がスリット831を通過する位置まで移動部材830が回転すると、スリット831を光が通過して固定部材820に入射される。この固定部材820に入射される光は、移動部材830の回転とともに固定部材820上を走査する。そして、移動部材830のスリット831と固定部材820のスリット823zが光の入射方向で重畳する位置となったときに、スリット831を通過した光は、さらにスリット823zを通過して受光素子841zに入射される。このとき、受光素子841zから信号検出部にON信号が出力される。そして、移動部材830がさらに回転し、スリット831とスリット823zが光の入射方向で重畳しない位置となると、スリット831から入射される光は、固定部材820により遮断される。このため、受光素子841zから信号検出部にOFF信号が出力される。そして、移動部材830のスリット831がさらに移動すると、コリメータレンズ850からの光は、移動部材830により遮断される。このように信号検出部が受光素子841zからのON信号を検出したときに、移動部材830のスリット831と固定部材820のスリット823zが光の入射方向で重畳する位置となったことを検出することができる。
【0113】
また、静電駆動装置800は、例えば、移動部材830のスリット831と固定部材820のスリット823zが光の入射方向で重畳する位置となった位置からスリット群832のスリットを何回カウントすれば、固定部材820の開口部821と移動部材830の開口部833が略一致する位置となるかを予め記憶しておき、信号検出部が受光素子841zからのON信号を検出した後、受光素子841a(又は、受光素子841b)からのON/OFF信号の変化した回数をカウントするように構成すれば、そのカウント数が予め記憶されたカウント数と一致したときに、移動部材830が固定部材820の開口部821を開とする位置に位置したことを検出することができる。
【0114】
さらに、移動部材830の端部に発光素子860から発光された光が平行光レンズ850を介して照射されると、スリット群832を所定ピッチPごとに光が通過し、固定部材820のスリット823a、823bを介して、受光素子841a、841bに入射される。このとき、スリット823aとスリット823bとはピッチPの四分の一ずれて配置されているため、受光素子841aから出力されるON/OFF信号、受光素子842bから出力されるON/OFF信号の位相は四分の一ピッチPずれて信号検出部へ出力される。例えば、信号検出部は図中時計回りに移動部材830が回転しているときは、受光素子841bからのON信号よりピッチPの四分の一に相当する時間送れて受光素子841aからのON信号を検出する。したがって、静電駆動装置800は、信号検出部で検出される受光素子841aから出力されるON/OFF信号と、受光素子842bから出力されるON/OFF信号との位相のずれを検出することにより、移動部材830の回転方向を検出することができる。
【0115】
(第8の実施形態)
次に第8の実施形態について説明する。図25は静電駆動装置900の構成を説明するための概略的な分解図であり、図26は移動子930を図25と反対側から見たときの斜視図である。
【0116】
図25に示すように、固定子920は、所定の厚さを有する矩形状からなり、その略中央には光を通過させるために開口部921を設けている。また、固定子920は、受台910の固定子固定溝911にはめ込まれたときに移動子930と対向する面に、図中上下方向に帯状の駆動電極922が複数所定間隔で設けられている。この駆動電極922の下側(駆動電極922の外側)には、一方の端から他端まで光を検出するためのリニア光学センサ940が固定子920の長手方向に沿って配設されている。リニア光学センサ940は、複数の受光素子が配設された受光面が移動子930と対向する向きに向けられている。なお、リニア光学センサ940の各受光素子は図示しない信号検出部と接続されている。
【0117】
移動子930は、固定子920の駆動電極922が配設された面と対向する面に図示しないエレクトレット化された部位931(図26において図示。)が設けられるとともに、下方に、光を反射する矩形状の反射ミラー932が貼り付けられている。また、受台910の固定子固定溝911に固定子920は固定され、移動子930は移動子ガイド912によりガイドされて移動する。このように移動子930が固定子920に対して移動するとき、リニア光学センサ940と反射ミラー932は、反射ミラー932で反射された光をリニア光学センサ940で受光できるように配置されている。また、固定子固定溝911と移動子ガイド912との間には、平行光レンズ950を載置するための平行光レンズ受部914が設けられている。この平行光レンズ受部914の中央には、発光素子960を嵌合するための発光素子嵌合部915が設けられている。この発光素子嵌合部915に発光素子960が嵌合された後、その上側に平行光レンズ950が載置される。
【0118】
図27は、移動子930の位置を検出する構成を説明するための図であり、組み立てられた静電駆動装置900の反射ミラー932を通過する断面を概略的に示している。発光素子960から発光された光は平行光レンズ950で平行光にされ、移動子930の下方へ投光される。移動子930の下方に貼り付けられた反射ミラー932に投光された光は反射してリニア光学センサ940に入射される。
【0119】
次にこのように構成された静電駆動装置900の移動子930の位置を検出する動作について説明する。図示しない駆動回路から駆動電極922に周波電圧が印加されると移動子930が移動子ガイド912に沿って例えば、図25において右上から左下方向へ移動を開始するとともに、発光素子960から光を発光する。発光素子960から発光された光は、平行光レンズ950で平行光にされ移動子930の下部へ投光される。この投光された光のうち、反射ミラー932に投光された光は反射されてリニア光学センサ940に入射する。リニア光学センサ940で光が入射された位置に配置された受光素子はON信号を信号検出部に出力する。なお、反射ミラー932からの反射光を受光しない受光素子からはOFF信号が信号検出部へ出力される。
【0120】
静電駆動装置900は、信号検出部がON信号を受信した受光素子の位置により、移動子930の位置を検出することができる。例えば、予め固定子920の開口部921が移動子930により閉となる位置となる受光素子の位置を予め記憶しておくことにより、この受光素子の位置と、信号検出部により検出したON信号を出力した受光素子の位置とが一致するか否かを判断することにより、静電駆動装置900は、固定子920の開口部921を閉とする位置に移動子930が位置したことを検出することができる。
【0121】
また、静電駆動装置900は、信号検出部でON信号を検出したリニア光学センサ940の受光素子の位置の変化に基づいて、移動子930が移動子ガイド912に沿っていずれの方向へ移動しているかを検出することができる。
【0122】
(第9の実施形態)
次に第9の実施形態について述べる。図28は、静電駆動装置1000の移動子1030を検出する構成を概略的に示す図である。この第9の実施形態は、静電容量を用いて移動子の移動量を検出する静電駆動装置1000について説明する。なお、固定子を図示しない受台に固定し、固定された固定子に対して移動子1030が相対移動する構成については、第1の実施形態と同様であるため説明を省略し、移動子1030の位置を検出する構成について説明する。
【0123】
固定子1020は、所定の厚さを有する矩形状からなり、その略中央部には光を通過させるために開口部1021を設けている。また、固定子1020は、図示しない固定子固定溝にはめ込まれたときに移動子1030と対向する面に、図中上下方向に帯状の駆動電極1022が複数所定間隔で設けられている。また、複数の駆動電極1022の下方(駆動電極1022の外側)の表面に、複数の駆動電極1022の配設方向と平行に列上に複数の第1の電極を並べた対向電極群1023(第1の電極群)が設けられている。対向電極群1023は、例えば、所定のピッチPで導電性インクが印刷されて構成される。
【0124】
移動子1030は、固定子1020と対向する面で駆動電極1022と対向する位置にエレクトレット化された部位を有している。また、移動子1030は、対向電極群1023のそれぞれ一つとの間の静電容量を検出するための対向電極1032(第2電極)が設けられている。この対向電極1032は、図示しない静電容量を測定するための測定回路と接続されている。測定回路から対向電極1032に信号が送信されると、その信号は複数の対向電極群1023から対向電極1032に戻り、測定回路で受信されるようになっている。すなわち、対向電極1032と対向電極群1023とは、それらが対向する位置にあるときは静電容量的に接続している。
【0125】
次にこのように構成された静電駆動装置1000の移動子1030の位置を検出する動作について説明する。図示しない駆動回路により固定子1020の駆動電極1022に周波電圧が印加されると、駆動電極1022と移動子1030のエレクトレット化された部位との間に反発力と、吸引力が働き、移動子1030が固定子1020に対して相対移動するとともに、図示しない測定回路から対向電極1032に信号が送信される。そして、移動子1030の移動により対向電極1032が対向電極群1023に対向して移動する際、対向電極1032が対向電極群1023の電極と対向している場合は、測定回路から対向電極1032に送信された信号はその対向している対向電極群1023から戻り測定回路で受信されるため、対向電極1032が対向電極群1023の電極と対向していない場合と比較して静電容量が異なるものとなる。
【0126】
したがって、静電駆動装置1000は、この静電容量の変化を検出することにより、移動子1030が固定子1020に設けられた対向電極群1023の電極を1つ移動した(ピッチP移動した)ことを検出することができる。静電駆動装置1000は、この静電容量の変化の回数をカウントすることにより、固定子1020の一方の端からの移動子1030の移動量を検出することができるので、移動子1030の位置を検出することができる。例えば、静電駆動装置1000は、予め静電容量の変化を何回カウントしたら固定子1020の開口部1021を閉とする位置となるかを記憶しておき、移動子1030が移動した後の静電容量の変化をカウントし、そのカウント数が予め記憶されたカウント数と一致したときに、移動子1030が固定部材1020の開口部1021を閉とする位置に位置したことを検出できる。
【0127】
さらに、この発明は上記各実施の形態に限定されなるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施できることは勿論である。また、上記各実施形態によれば、次のような構成が得られる。
【0128】
(付記1)
複数の第1のスリットと複数の駆動電極とが設けられた固定子と、
上記固定子側の面には上記駆動電極に対向する位置にエレクトレット化部位が設けられ、上記第1のスリットと対向しながら移動する第2のスリットを有し、上記固定子に対し移動可能に設けられた移動子と、
光を上記第1のスリットと上記第2のスリットとを通過させるための発光を行う発光素子と、
上記発光素子から発光されて上記第1のスリット及び上記第2のスリットを通過してきた光を受光する受光素子と、
を有していることを特徴とする静電駆動装置。
【0129】
(付記2)
上記移動子は更に、
上記第1のスリットと上記第2のスリットが完全に重畳したとき、上記第1のスリットと不完全な重畳状態となる第3のスリットと、
上記第1のスリットと上記第3のスリットとを通過してきた光を受光する第2の受光素子と、
を有したことを特徴とする付記1に記載の静電駆動装置。
【0130】
(付記3)
上記固定子に設けられた遮光部としての上記駆動電極の互いのその間を複数のスリット(光線透過部)としたことを特徴とする付記1又は2に記載の静電駆動装置。
【0131】
(付記4)
複数のスリットは上記駆動電極の外側に設けられていることを特徴とする付記1から3のいずれか1に記載の静電駆動装置。
【0132】
(付記5)
エレクトレット化された部位を有する移動子と、
上記移動子の移動領域投影面中に、上記移動子を駆動するため複数の駆動電極が設けられた駆動電極領域と、上記移動領域投影面中の一部に上記複数の駆動電極が設けられていない駆動電極非形成領域とを有する固定子と、
光を発光する発光素子と、
上記発光素子からの上記駆動電極非形成領域を通過し光を受光するように設けられた受光素子と、
を有することを特徴とする静電駆動装置。
【0133】
(付記6)
上記駆動電極非形成領域は上記固定子の一端面近傍にあることを特徴とする付記5に記載の静電駆動装置。
【0134】
(付記7)
上記駆動電極非形成領域は上記固定子の両端面近傍にあることを特徴とする付記5に記載の静電駆動装置。
【0135】
(付記8)
上記駆動電極非形成領域は上記固定子の複数の領域に設けられたことを特徴とする付記5に記載の静電駆動装置。
【0136】
(付記9)
上記駆動電極非形成領域は上記固定子に複数個所設けられ上記移動子の位置を制御し上記固定子の開口部から入射する光量を変動させることを可能とすることを特徴とする付記5から8のいずれか1に記載の静電駆動装置。
【0137】
(付記10)
円周の方向に配列された複数の第1のスリットと周方向に配列された複数の駆動電極とを有する固定部材と、
上記固定部材に対し回動可能に取り付けられ上記固定部材の上記駆動電極が設けられた面に対向して所定の間隔を保つように配設され、上記駆動電極が設けられた面側には永久分極された誘電体であるエレクトレット部位と、上記第1のスリットと対向しながら上記回動する第2のスリットを有する移動部材と、
光を上記第1のスリットと上記第2のスリットとを通過させるための発光を行う発光素子と、
上記発光素子から発光されて上記第1のスリット及び上記第2のスリットを通過してきた光を受光する受光素子と、
を有していることを特徴とする静電駆動装置。
【0138】
(付記11)
上記第1のスリットと上記第2のスリットとが完全に重畳したとき、上記第1のスリットと不完全な重畳状態となる第3のスリットと、
上記第1のスリットと上記第3のスリットとを通過してきた光を受光する第2の受光素子と、
を有したことを特徴とする付記10に記載の静電駆動装置。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】静電駆動装置の動作原理を説明する固定子と移動子の図。
【図2】静電駆動装置の動作原理を説明する制御系の図。
【図3】静電駆動装置の動作原理を説明する電極への電圧印加タイミングを示す図。
【図4】静電駆動装置の動作原理を説明する固定子と移動子の力の作用を示す図。
【図5】本発明に係る第1の実施形態の静電駆動装置の構成を概略的に示す図。
【図6】同実施形態における移動子の位置を検出する構成を説明するための図。
【図7】同実施形態における受光素子から出力された出力信号を示す図。
【図8】本発明に係る第2の実施形態の移動子の位置を検出する構成を概略的に示す図
【図9】図8の構成を上側から示す図。
【図10】同実施形態の変形例の移動子の位置を検出する構成の変形例を示す図。
【図11】図10の構成を上側から示す図。
【図12】本発明に係る第3の実施形態の1枚の移動子の初期位置を検出するための構成を概略的に示す図。
【図13】同実施形態の2枚の移動子の初期位置を検出するための構成を概略的に示す図。
【図14】本発明に係る第4の実施形態の1枚の移動子を用いた静電駆動装置をカバーガラス側から示す図。
【図15】同実施形態の2枚の移動子を用いて静電駆動装置の概略的な構成を説明するための図。
【図16】同実施形態の静電駆動装置の概略的な構成を説明するための他の図。
【図17】同実施形態の移動子の動きを説明するための図。
【図18】同実施形態の移動子の位置の検出に用いられるテーブルを示す図。
【図19】本発明に係る第5の実施形態の2枚の移動子により絞りを実現するための構成を説明するための図。
【図20】同実施形態の小径絞り状態を示す図。
【図21】同実施形態の移動子により絞りを実現するときに移動子の位置の検出に用いられるテーブルを示す図。
【図22】本発明に係る第6の実施形態の静電駆動装置の構成を概略的に示す図。
【図23】同実施形態における受光素子から出力された信号を示す図。
【図24】本発明に係る第7の実施形態の静電駆動装置の構成を概略的に示す図。
【図25】本発明に係る第8の実施形態の静電駆動装置の構成を概略的に示す図。
【図26】同実施形態の移動子を他の方向からみたときの斜視図。
【図27】同実施形態の移動子の位置を検出する構成を説明するための図。
【図28】本発明に係る第9の実施形態の静電駆動装置の移動子の位置を検出する構成を概略的に示す図。
【符号の説明】
【0140】
100、200、200´、300、300´、400、500、600、700、800、900、1000…静電駆動装置、120、220、320、420a、420b、520a、520b、620、720、920、1020…固定子、820…固定部材、130、230、230a、330、431、432、531、532、630、730、930、1030…移動子、830…移動部材、140、940…リニア光学センサ、160、260、761〜763、860、960…発光素子、350、450、451、550〜555、650〜657…発光部、360、460、461、560〜565、660〜667、741〜743、860…受光部(受光素子)、202…発受光部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電駆動装置において、
複数の第1のスリットと複数の駆動電極とが設けられた固定子と、
上記固定子側の面には上記駆動電極に対向する位置にエレクトレット化部位が設けられ、上記第1のスリットと対向しながら移動する第2のスリットを有し、上記固定子に対し移動可能に設けられた移動子と、
光を上記第1のスリットと上記第2のスリットとを通過させるための発光を行う発光素子と、
上記発光素子から発光されて上記第1のスリット及び上記第2のスリットを通過してきた光を受光する受光素子と、
を有していることを特徴とする静電駆動装置。
【請求項2】
エレクトレット化された部位を有する移動子と、
上記移動子の移動領域投影面中に、上記移動子を駆動するため複数の駆動電極が設けられた駆動電極領域と、上記移動領域投影面中の一部に上記複数の駆動電極が設けられていない駆動電極非形成領域とを有する固定子と、
光を発光する発光素子と、
上記発光素子からの上記駆動電極非形成領域を通過し光を受光するように設けられた受光素子と、
を有することを特徴とする静電駆動装置。
【請求項3】
円周の周方向に配列された複数の第1のスリットと周方向に配列された複数の駆動電極とを有する固定部材と、
上記固定部材に対し回動可能に取り付けられ上記固定部材の上記駆動電極が設けられた面に対向して配設され、上記駆動電極が設けられた面側には永久分極された誘電体であるエレクトレット部位と、上記第1のスリットと対向しながら上記回動する第2のスリットを有する移動部材と、
光を上記第1のスリットと上記第2のスリットとを通過させるための発光を行う発光素子と、
上記発光素子から発光されて上記第1のスリット及び上記第2のスリットを通過してきた光を受光する受光素子と、
を有していることを特徴とする静電駆動装置。
【請求項4】
表面に、高反射率部と該高反射率部と比較して低反射率の低反射率部とからなる複数の縞状のパターンと複数の駆動電極とが設けられた固定子と、
上記固定子の上記駆動電極に対向する面にはエレクトレット化された部位と、反射部とを有し、上記固定子に対し移動可能に設けられた移動子と、
上記反射部を介し、上記パターンに光を投光する発光素子と、
上記パターンからの反射光を受光する受光素子と、
を有することを特徴とする静電駆動装置。
【請求項5】
表面に、複数の駆動電極と、該複数の駆動電極と平行に列状に並んだ複数の第1電極群とが設けられた固定子と、
上記固定子の上記駆動電極に対向する面には上記駆動電極に対向する位置にエレクトレット化された部位と上記複数の第1電極群に対し対向して移動し、上記複数の第1電極群のそれぞれ一つとの間の静電容量を検出するための第2電極とが設けられ、上記固定子に対し移動可能な移動子と、
を有することを特徴とする静電駆動装置。
【請求項6】
静電駆動装置において、
表面に複数の駆動電極が設けられた固定子と、
光投光素子と、
上記固定子の上記駆動電極に対向する面には上記駆動電極に対向する位置にエレクトレット化された部位と、上記投光素子からの光を反射もしくは通過させる光制御部位とが設けられ、上記固定子に対し相対移動可能な移動子と、
上記光制御部位からの光を受光し、上記固定子に対する上記移動子の相対位置を検出可能とする光検出器と、
を有することを特徴とする静電駆動装置。
【請求項1】
静電駆動装置において、
複数の第1のスリットと複数の駆動電極とが設けられた固定子と、
上記固定子側の面には上記駆動電極に対向する位置にエレクトレット化部位が設けられ、上記第1のスリットと対向しながら移動する第2のスリットを有し、上記固定子に対し移動可能に設けられた移動子と、
光を上記第1のスリットと上記第2のスリットとを通過させるための発光を行う発光素子と、
上記発光素子から発光されて上記第1のスリット及び上記第2のスリットを通過してきた光を受光する受光素子と、
を有していることを特徴とする静電駆動装置。
【請求項2】
エレクトレット化された部位を有する移動子と、
上記移動子の移動領域投影面中に、上記移動子を駆動するため複数の駆動電極が設けられた駆動電極領域と、上記移動領域投影面中の一部に上記複数の駆動電極が設けられていない駆動電極非形成領域とを有する固定子と、
光を発光する発光素子と、
上記発光素子からの上記駆動電極非形成領域を通過し光を受光するように設けられた受光素子と、
を有することを特徴とする静電駆動装置。
【請求項3】
円周の周方向に配列された複数の第1のスリットと周方向に配列された複数の駆動電極とを有する固定部材と、
上記固定部材に対し回動可能に取り付けられ上記固定部材の上記駆動電極が設けられた面に対向して配設され、上記駆動電極が設けられた面側には永久分極された誘電体であるエレクトレット部位と、上記第1のスリットと対向しながら上記回動する第2のスリットを有する移動部材と、
光を上記第1のスリットと上記第2のスリットとを通過させるための発光を行う発光素子と、
上記発光素子から発光されて上記第1のスリット及び上記第2のスリットを通過してきた光を受光する受光素子と、
を有していることを特徴とする静電駆動装置。
【請求項4】
表面に、高反射率部と該高反射率部と比較して低反射率の低反射率部とからなる複数の縞状のパターンと複数の駆動電極とが設けられた固定子と、
上記固定子の上記駆動電極に対向する面にはエレクトレット化された部位と、反射部とを有し、上記固定子に対し移動可能に設けられた移動子と、
上記反射部を介し、上記パターンに光を投光する発光素子と、
上記パターンからの反射光を受光する受光素子と、
を有することを特徴とする静電駆動装置。
【請求項5】
表面に、複数の駆動電極と、該複数の駆動電極と平行に列状に並んだ複数の第1電極群とが設けられた固定子と、
上記固定子の上記駆動電極に対向する面には上記駆動電極に対向する位置にエレクトレット化された部位と上記複数の第1電極群に対し対向して移動し、上記複数の第1電極群のそれぞれ一つとの間の静電容量を検出するための第2電極とが設けられ、上記固定子に対し移動可能な移動子と、
を有することを特徴とする静電駆動装置。
【請求項6】
静電駆動装置において、
表面に複数の駆動電極が設けられた固定子と、
光投光素子と、
上記固定子の上記駆動電極に対向する面には上記駆動電極に対向する位置にエレクトレット化された部位と、上記投光素子からの光を反射もしくは通過させる光制御部位とが設けられ、上記固定子に対し相対移動可能な移動子と、
上記光制御部位からの光を受光し、上記固定子に対する上記移動子の相対位置を検出可能とする光検出器と、
を有することを特徴とする静電駆動装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【公開番号】特開2006−296014(P2006−296014A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−109899(P2005−109899)
【出願日】平成17年4月6日(2005.4.6)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月6日(2005.4.6)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]