説明

非円形で深さが変化する刻線を有する、膨張した、シングルヒンジの、刻線が刻まれた破裂ディスク

油井内において中でディスクがチュービングストリングを閉止する関係にあるホルダー内に取り付けられるよう適用され、油井のチュービングストリングにおけるセクション間の連結の健全性試験に最大限の有用性を有する、一体型の、前もって破断する破裂ディスクが提供される。該ディスクは、ストリング内における液体の圧力水頭および漏洩試験圧力に耐性を有し、予め定められた過剰圧力下で破裂して完全に開口するように設計される。ディスクの凹凸状の膨張部分は、その凹面に形成される非円形の連続する刻線を有する。刻線は、その周囲にわたって深さが連続して変化し、外側に張り出したカム部分を含む。該カム部分の刻線の深さは最も深く最初に破裂する。該カム部分は、ディスクの破裂領域のヒンジ部分を形成するより浅い刻線部分のちょうど反対側に位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
発明の分野
本発明は該して、多様な産業および油井での用途に用いられる液体を輸送する導管、特に複数のセクションからなるパイプストリングの試験に用いるための、漏洩健全性(leak integrity)試験装置に関する。より詳しくは、本発明は、そうした装置と、特にその一部を形成する、こわれやすい(frangible)、前もって作用する (forward acting)破裂ディスクと、に関する。該破裂ディスクは、凹凸のある設計で、凹面に形成される非円形で連続する刻線(score line)を有する。該刻線はその周囲全体にわたって深さが変化している。また、該刻線は、外側に張り出したカム部分を含み、その部分が最も深い。該カム部分は、最初に破裂する部分であり、ディスク破裂時にディスクの破裂領域がディスクのフランジ部分から分離するのを防止するためのヒンジ部分を形成する、より浅い刻線部分と対向して位置する。該装置は、油井のチュービングストリングにおける各セクション同士の連結の健全性試験において使用する際に特別な有用性を有するが、石油精製や石油化学事業における使用、およびその他の、パイプまたは導管を通過して圧力下で液体が輸送される場合における使用も可能である。
【0002】
従来技術の説明
油井を稼動させるために、細長い、セクション化されたチュービングストリングが、サッカーロッド(sucker rod)およびポンプアセンブリを収容した状態で、油井ケーシング内に下ろされる。深い油井においては、チュービングストリングがグレード(grade)から油層まで何千フィートも伸びている場合もある。ストリングの各セクション同士の接合部分における漏洩は、ポンプ効率および油井製造に重大な影響を与える。過去においては、パイプストリングを取り出して接合部分の漏洩を特定し、ストリングを修理することが時折必要であった。これは、修理費用および休止時間の双方における非常に大きな浪費を示す。
【0003】
米国特許第5,996,696号明細書は、ストリングを取り出す必要がなくなる、油井ケーシング内の油井のチュービングにおける漏洩健全性試験を行うための方法および装置について記載している。‘696号明細書の装置は、各ストリングセクション間に配置されるハウジングを含む(通常、ポンプおよび油井構造に近いストリングセクションの下端に近接する)。ハウジングには、閉止し、流れをブロックする関係で、金属製の破裂ディスクが装備されている。ストリングの試験が所望されると、破裂ディスクに対して、予め決められた液体圧力が適用される。チュービングストリングが十分な程度に漏洩がない場合、破裂ディスクは予め決められた破裂圧力およびそれに近い圧力において破裂する。一方で、実質的な漏洩がある場合、ストリング内で生じる圧力がディスクを破裂させるのに不十分である。
【0004】
‘696号明細書に開示されている好ましい破裂ディスクの設計は、金属製で凹凸のあるディスクであり、ディスクの膨張した破裂部分の表面に形成された不連続な刻線を有する。刻線の不連続性は、ディスクのヒンジ部分の役割を果たす。この特許明細書に記載されている装置および方法は、当技術分野における飛躍的な進歩を示してはいるものの、性能の観点からみるとディスクの設計が最適ではない場合があることがわかっている。当然のことながら、こういった状況における有用な破裂ディスクは、所望の破裂圧力において確実に破裂しなければならない。さもなくば不正確な試験結果が得られる恐れがある。加えて、破裂させた後のディスクはばらばらになってはならず、完全な双方向の液体の流れがまだそこを通過できなければならない。
【0005】
発明の要約
本発明は、先に概略を述べた問題を克服し、液体輸送ライン、特に油井チュービングストリングに適用するための改善された漏洩試験装置を提供し、試験の信頼性を高める。一般的に、本発明の装置は、油井のチュービングストリングとの連結に適用される管状ホルダーを含み、該ホルダー内に、通常は該ホルダーを通過する中央経路を閉止する関係にある、破裂ディスクを有する。ディスクは、第1環状面、対向する第2環状面、内側円形マージンを有する外側環状周辺フランジ部分と、フランジ部分の第1環状面の内側にありそこから突き出している、凹凸状で一般的に半球状の膨張領域と、を含む。膨張領域は対向する凹面と凸面とを有し、外側円形マージンと、膨張領域の外側円形マージンと一体化して該外側円形マージンとフランジ部分の内側円形マージンとを結合する、環状で横方向に弓形の一体型過渡(transition)領域と、が与えられる。
【0006】
ディスクの膨張領域においては、過渡領域に隣接して配置される関係にある膨張領域の外側円形マージンと近接する凹面において、連続する非円形の刻線が与えられる。刻線は、より長い半円形の部分と、該半円形の刻線部分の長さと比較するとより短い、第2の、一般的に曲線の刻線カム部分と、を有する。カム刻線部分は、より長い刻線部分の直径の外側に張り出し、過渡領域に非常に近接して、その内側に配置される。
【0007】
刻線はその全体にわたって深さが変化し、カム刻線部分において最も深く、該カム刻線部分の実質的に正反対側において最も浅く、それにより刻線のヒンジ部分を定義する。
【0008】
ディスクを通過して液体が流れるようにするために、ディスクの凹面に対して向けられた液体の過剰圧力の影響下において、ディスクは開口可能である。カム刻線部分は、刻線の残りの部分と比較して、液体圧力下においてカム刻線部分が最初に破裂するような深さを有する。一方、より長い刻線部分は深さが変化し、それにより、刻線のヒンジ部分が切断されることなく、完全に開口した破裂位置へと、破裂領域が回転することを可能にする。膨張領域が破裂し、ディスクが完全に開口すると、中央の破裂領域の端は、ディスクのフランジ部分に対して一般的に垂直となる関係に配置される。
【0009】
管状ホルダーには、一般的に破裂ディスクを補助的に受け、液体の過剰圧力下において破裂ディスクが十分完全に開口するように設計され、それによりディスクが破裂すると管状ホルダーを通過して液体が完全に流れることを可能にする、側壁構造が与えられる。こうした特性を有するディスクは、先行技術の設計と比較すると改善された試験結果を提供しながら、ディスクが破裂した後に、液体がホルダーを通過して完全に両方向に流れることを可能にすることがわかった。
【0010】
ディスクの凹面上に連続する非円形の刻線を与えることにより、破裂が起こると、近接する相互連結された刻線を定義するディスクの壁表面がお互いに分離するために、確実なディスクの破裂と開口が可能となる。これは、製品および/または圧力との接点から離れたディスク面に破裂ディスク上の刻線が形成される、より一般的な状況と対比されるべきである。こうした状況の場合、刻線を定義するディスクの壁面は、破裂中にお互いに接近する。
【0011】
刻線のうち曲線のカム部分は、もっとも深さが大きく、刻線のうちより長い円形部分の周囲を越えて張り出し、カムまたはレバーのように作用して、約1500〜2000psiの圧力でのディスクの確実な開口を保証する。刻線のより長い円形部分の周囲を越えて張り出す、刻線のうち張り出した最も深いくぼみ部分がなければ、従来の油井チュービングストリングの内径をブロックするのに必要とされる約2〜3インチの名目上の破裂径を有するディスクにおいて、この大きさの開口圧力を得るのは難しい。
【0012】
図面は、本明細書において開示および記載された特定の実施形態に、本発明を限定するものではない。図面は倍率変更したり強調したりする必要がなく、むしろ発明の原理を明確に図示するよう位置づけされる。
【発明の開示】
【0013】
好ましい実施形態の詳細な説明
図面を参照すると、特に図1において、グレード(grade)から下に向かって油層24まで伸張する、直立の連続したケーシング22を有する、従来の油井20が示されている。チュービング/パイプストリング26がケーシング22内に配置され、セクション28、30、32および34などの、端と端とで連結された複数のセクションを含む。当然のことながら、稼動している井戸は、そのチュービングストリング内に多数のこうしたセクションを有する。最下部にポンプアセンブリ35aを有する、セクション化された従来のサッカーロッド35が、油層24からポンプで石油をくみ上げるために、ストリング26内にある。ストリングセクションの大部分は、従来の連結器29によって互いに連結される。しかし、ストリング26の長手方向における選択された地点において(通常は油層24に近接するストリング26の下端付近)、一組のチュービングセクションの間に健全性試験装置36が挿入される。
【0014】
図2を参照すると、セクション34の上端と同様、セクション32の下端にねじ山がつけられているのがわかる。健全性試験装置36は、これらチュービングセクションとチュービングセクションの間にねじ山の組み合わせによって連結され、管状吸込口38および管状排出口40を含み、破裂ディスク42が吸込口と排出口との間に配置される。詳しくは、吸込口38は、その上端に近接する44において内側にねじ山がきられ、その下端に近接する46において外側にねじ山がきられる。吸込口38の最下端の底部は、外側環状面47aが内側環状面47bに接合されることによって定義される段上構造47を与える。内側環状面47bは、表面48aと軸方向に間隔を空けて配置され、かつ中間面47cによって該表面48aに相互連結される。中間面47cは、外側環状面47aおよび内側環状面47bを横切る。排出口40は、吸込口のねじ山46に連結できるように、排出口40の上端に近接する50において内側にねじ山がきられる。同様に、排出口の下端は、ストリングセクション34に連結できるように52においてねじ山がきられる。さらに排出口40には、環状面47aおよび47bと完全に対向する最上端の環状面54が与えられる。
【0015】
図2〜4から最も明白であるように、ディスク42が吸込口38と排出口40との間に配置され、吸込口38が排出口40に向かって移動する方向に吸込口38が回転される場合、ディスク42の外側環状フランジ部分44が、47a面および54によってそれぞれディスクの対向する側でかみ合わされるときに、吸込口38と排出口40の相対運動が阻止され、それによりディスク42を吸込口38と排出口40との間に固定する。
【0016】
破裂ディスク42は図4〜7に最もよく図示されている。一体型のディスクは一般的に、外側の比較的平らな外周環状フランジ部分44と、凹面48および対向する凸面50を与える内側の膨張した凹凸の破裂領域46とを含む。破裂領域46はフランジ部分44の内側にあり、破裂領域46とフランジ部分44との間に、環状の横方向に丸みがついた過渡領域52を有する。過渡領域52(図7)は、一組の仮想・同軸・円形の、水平方向に間隔を空けて配置された、外側および内側仮想マージン54、56各々によって定義される。
【0017】
ディスク42にはまた、ディスク42の丸みがついた過度領域52のマージン56の内側に近接して、ディスクの凹面48内に形成される、連続する刻線58が与えられる。刻線58は、過渡領域52に近接して、しかしそのわずかに内側に配置される。すなわち、過渡領域の内側のマージン56から内側に間隔を空けて配置される。加えて刻線58は、その周囲全体にわたって、深さが連続して変化する。
【0018】
図7を参照すると、刻線58に、円形状に周囲に延びる、より長い刻線部分60が与えられている。該刻線部分60は、丸みがついた過渡領域52の内側のマージン56に近接した、膨張領域46の外側部分の、実質的に周囲全体に延びている。より長い刻線部分60は、その長さと比べてより短い曲線のカム刻線部分62と結合する。カム刻線部分62は、刻線部分60の周囲に広がる領域を超えて延びている。好ましくは、カム刻線部分62は、曲線の刻線脚部分68と70とが中間地点で対向する、外側が弓形のベース刻線部分66を有する。該脚部分68および70は、外側直線状端部刻線脚部分72および74とそれぞれ結合する。外側直線状端部刻線脚部分72および74は、刻線部分60の対向する末端76と78の対応する方と接合する。
【0019】
図5〜7において180°の位置として示されている、カム刻線部分のベース刻線部分70の中間点は、刻線58の周囲に広がる領域に対し、図5においてx+yと示された深さが最も深い。これに対応して、刻線部分60は、図5において0°の位置として示されている中間地点において、深さが最も浅いXであり、0°地点は、刻線58の180°地点に完全に対向する。刻線58は、カム刻線部分60の180°地点に達するまで、刻線58の0°地点から反対方向に、連続して深さを増していく。
【0020】
図7に示された0°地点に近接する刻線部分60は、0°地点の反対側において、膨張領域46がディスクを破裂させるのに十分な過剰圧力にさらされた場合に切断しないヒンジ刻線部分を定義するための深さである。従って、ディスク42の中央の膨張領域46はフランジ部分44から離れないので、その結果、断片化しない破裂ディスクになる。
【0021】
膨らまされてディスクの製造中、刻線58は、適切な異なる深さの刻み目を入れる金敷を利用して、後でディスク42の凹面48になる金属素材の表面に形成される。刻線58が形成された後にはじめてディスクが膨らまされて、凹凸のある破裂領域46が与えられる。最初にディスクを膨らませてから刻み目をつけることもできるが、製造上の観点からみると、最初に刻み目をつけてから膨らませる方が大変好ましい。過渡領域52に沿った金属は、ディスクを膨らませている間に加工硬化され、それによってカム刻線部分62よりも強度が高い刻線ヒンジ部分81が与えられる。図8は、ディスク42の膨張領域46の形成に使用される従来の金型ユニット(die unit)82の概略図である。金型ユニット82は、中央のキャビティ86と、キャビティ86と通じていて高い正圧の液体(high positive pressure fluid)源と組み合わせるために適応させる経路88と、を有する圧力ベル(pressure bell)84を含む。ユニット82の一部を形成するレシーバー90は、圧力ベルとレシーバー92が図8に示されたように近接した位置関係に置かれたときにキャビティ86と位置が合わさる、中央のキャビティ92を有する。レシーバー90の経路94は、キャビティ92と通じており、ディスク42を膨らませている間に、キャビティ92内部の空気を逃すことを可能にする。金型ユニット82の使用において、円形で平らな金属ブランクが、圧力ベル84の外側の対向する円形マージンと、キャビティ86と92との間のレシーバー90と、の間で固定される。加圧された液体が経路88に導入され、キャビティ内の液体にさらされた金属ブランクの一部を変形させて、図8に概略が図示されているように、ブランクの膨張がもたらされる。ベル84に入れられた加圧された成形用の液体は、膨張した部分が破裂するであろう圧力の約80%の圧力と同程度であって、ディスクを膨らませるのに十分なだけの圧力であることが好ましい。
【0022】
好ましくは、ディスク42は、インコネル(Ni76%、Cr17%、およびFe7%の合金)およびニッケルからなる群より選択される金属で形成され、厚さが約0.010〜0.070インチ、より好ましくは約0.014〜0.050インチである。刻線58の深さは、より浅くなっている刻線ヒンジ部分81を除いた全体にわたって、ディスクの厚さの約35〜70%の厚さであり、より好ましくは、約40〜60%の厚さである。図7に示されている180°地点におけるカム刻線部分62のベース刻線部分66の深さは、約0.001〜0.004インチであり、より好ましくは約0.015〜0.003インチであり、最も好ましくは、図7に示されている0°地点における刻線部分60の刻線ヒンジ部分81の深さよりも約0.002インチ深い。
【0023】
油井内において使用される従来のチュービングストリングの健全性を試験するのに有用である代表的なディスク42において、こうしたディスクは、約0.31インチの厚さおよび約3.25インチの直径を有するインコネルブランクで製造されてよい。こうしたディスクの膨張領域46は、例えば、仮想の破線が引かれた過渡領域52の内側のマージンによって定義される、約2.485インチの直径を有していてもよい。刻線58のより長い刻線部分60は、好ましくは、過渡領域52の仮想マージン56から約0.05インチ内側に配置される。刻線58のうち、刻線58の0°地点とカム刻線部分62の180°地点との間における深さの差は、好ましくは約0.002インチである。弓形のベース刻線部分66は、好ましくは約0.30インチの長さで、ディスク46の中心軸96の周りにおいて弧の範囲が約15.88°である。カム刻線部分62における各々の刻線脚部分68は、好ましくは約0.14インチの長さであり、図7に示されるように、各々がそれぞれ地点98、100から約15.36°の弧を含む。カム刻線部分62の直線状刻線脚部分72は、好ましくは0.2インチの長さである。
【0024】
前述の代表的なディスクにおいて、約2000psiの圧力で破裂するように設計されたディスク42の場合は、該ディスクは示されたように0.031のインコネル材料から成り、刻線58の深さは、図7に示された0°地点における約0.013インチから、図7に示された180°地点における約0.017インチまで変化する。約1500psiの圧力で破裂するように設計されたディスクについては、刻線58の深さは、0°地点における約0.015インチから、180°地点における約0.017インチまで変化するべきである。
【0025】
好ましい破裂ディスクは、典型的な1500〜2000psiの範囲での過剰圧力でディスク42の膨張領域46の開口をもたらすカム刻線部分を有するが、カム刻線部分62によってもたらされるカムの開口の効果は、ディスク開口のための他の圧力の適用、例えば4000〜2500psiの範囲においても同様に有効であることが理解されるべきである。開口する圧力が高いほど、深さの変化する刻線は前述の例において指定されるほど深くなく、ディスクの厚さは、指定された値よりも大きくてよい。
【0026】
図1〜4は、チュービングストリング26内に配置された際の健全性試験装置36の操作を図示している。ディスク42のフランジ部分44が、排出口40のフランジ54と環状面48bとの間に固定される。この方法において、ディスク42は、管状吸込口38と管状排出口40との間に堅く挟まれる。ストリング26について漏洩試験の実施が所望される場合、チュービングストリング内の柱状の液体によってディスク上に加えられる圧力より大きな過剰圧力が加えられた液体が、ディスク42の凹面66に対して適用される。ストリング26において、本質的に漏洩がないことを前提として予め決められた液体の過剰圧力において、ディスク42が刻線58に沿って破裂する。
【0027】
約1500psiの過剰圧力において破裂するように設計された破裂ディスク42の場合、破裂ディスク42の表面66に対してその過剰圧力レベルに達したときに、図7に図示されたように一般的に180°地点から始まりつつ、カム刻線部分62が最初に分離し、それから180°地点から反対方向にある刻線58の刻線ヒンジ部分81に向かって破裂していく。カム刻線部分62から始まって、刻線58に沿ってディスクが破裂していくにつれ、図2および図4に図示されるように、ディスク42の凹凸状の膨張領域が、液体の流れの方向に回転して配置されると共に、刻線58のうち崩壊しない(バラバラにならない)ヒンジ部分81が、ディスクのフランジ部分44からディスクの領域46が分離することを防止する。注目すべきは、管状排出口40が、領域46の破裂時にディスク42の膨張領域46を補助的に受けるように設計された、一般的に準半球形の内面98を有することである。部品40の内面98の壁は、刻線58のヒンジ部分81が裂け、その結果ディスク42のフランジ部分44から膨張領域46が分離する結果を招いてしまうような、領域46のスイング過多を防止するように設計される。図4に図示されたように、ディスク42の膨張領域46の完全開口位置において、膨張領域は、フランジ部分44に対して実質的に垂直な位置関係であって、吸込口38と排出口40を通過する液体の流れる経路の外に維持される。図2および4に示されたように膨張領域46の完全な開口の結果として、液体が、ディスク42の開口された領域46によって実質的に妨げられることなく、両方向に流れることを可能とする。ディスク42が開口時に、健全性試験装置36を通過して両方向へ、妨げられることなく液体が流れることは、ディスク42の重要な操作機能である。
しかし、浅くなっているヒンジ領域84があるために、破裂領域64はフランジ62にくっついたままであり、下方向の、ストリングのポンプエリアの中に運ばれることはない。
【0028】
ディスク42が、それに適用される液体の過剰圧力が約2000psiにおいて破裂することが所望される場合、こうしたディスク開口のパラメータは、上記に詳細を述べた寸法および特性を有するディスクを製造することによって実現できるということがわかった。1500psiの液体圧力で破裂するように設計されたディスク42を利用するか、もしくは2000psiの液体圧力で破裂するように設計されたディスク42を利用するかは、主として、ある特定の油井におけるパイプストリングの長さとの関係である。2000psiで開口するディスクは、より長いパイプストリングおよびより大きな全容積を有し、したがってそこに入る液体がより重くなる、より深い油井において使用されるように設計される。一方で、1500psiで開口するディスクは、より浅い油井に適用される。
【0029】
図6を参照すると、刻線58における斜めに配向する刻線を定義する側壁58a、58bが、下方の頂端から分岐して、上方、ディスク42の凹面66へと向かっていることがわかる。ディスク42が破裂すると、側壁表面に対して圧縮力が加えられることなく、破裂領域46の動きによって、側壁58aと58bとの間の相対的分離が生じる。これは、凸面上に刻線を与えるというより一般的な方法と対比されるべきである。そうした場合、ディスクが破裂することによって、刻線を定義する側壁が互いに近づき、それによってこれらの表面が互いに押し付けられる。
【0030】
カム刻線部分62およびこれに沿った刻線58の仮想の連続線によって定義されるディスク42の破裂領域46部分が、例えば典型的な、直径が全体で3.25インチであるような従来のパイプストリングを閉止する関係で該パイプストリングに受けられる直径を有するディスクの設計を可能にすることがわかった。また、刻線58のヒンジ部分81よりも深いカム刻線部分62によってもたらされるカムアクション(cam action)がない場合に、通常ディスクを開口するのに必要な過剰圧力が4500psiであるのに比べると、破裂圧力が約1500〜2000psiで確実に開口する。
【0031】
本発明は、添付の図面において図示された好ましい実施形態、特に油井におけるパイプストリングの健全性試験において使用される場合に関連して述べられてはいるが、本発明の装置は、石油化学、石油精製、およびその他類似の産業上の利用における、液体が輸送される多様な異なるパイプまたはラインの試験において有用であることが理解されるべきである。また、請求の範囲に記載された本発明の範囲から逸脱することなしに均等物を実施しても、置換を実施してもよいことも、留意されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、ケーシングおよび内側のチュービングストリングを含み、後者に本発明の健全性試験装置が設置されている典型的な油井を図示した、部分垂直断面図である。
【図2】図2は、チュービングストリング内の健全性試験装置を図示した、大きく拡大した部分垂直断面図であり、該装置の破裂ディスクは開口して破裂した状態にあり、該装置を通過する完全な両方向への流れが可能になっている。
【図3】図3は、油井チュービングストリングの部分垂直断面図であり、本発明の試験装置が設置され、ディスクが、ストリングを通過する液体の流れに対してブロックする関係にある。
【図4】図4は、図3に類似する図であるが、破裂状態にあるディスクを図示している。
【図5】図5は、フランジおよび刻線形成後であるが膨らませる前であるディスク本体を図示し、さらに刻線全体にわたって異なる深さであることを図示した、大きく拡大した部分断面図である。
【図6】図6は、図5に類似する図であるが、 膨らませた後のディスク本体を図示している。
【図7】図7は、ディスクの膨張領域の凹面における非円形の刻線を図示している、破裂ディスクを大きく拡大した底面図であり、刻線のカム部分は、刻線の周囲を越えて張り出し、ディスクの凹面に対して過剰圧力の液体を適用すると、刻線のカム部分が最初に破裂して開口するように最も深くなっている。
【図8】図8は、ディスクの中央の領域に膨らみをもたらすのに使用可能な構成部分の概略を示した垂直断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油井ケーシング内のセクション化されたチュービングストリングの健全性を試験するための装置であって、
前記装置は、
内部を通過する経路を与え、対向する開口端部を有する管状ホルダーであって、前記ホルダー端部のひとつがチュービングストリングのひとつのセクションの端部への連結に適用される管状ホルダーと、
前記ホルダー内にあって通常前記経路を閉止する関係にある破裂ディスクであって、前記破裂ディスクは、第1環状面と、それに対向する第2環状面と、内側円形マージンと、を有する外側環状周辺フランジ部分と、前記フランジ部分の前記第1環状面の内部にあり、そこから突き出している、内側の、凹凸状の、通常半球状の膨張領域と、を含み、前記膨張領域は対向する凹面と凸面とを有し、外側円形マージンと、前記膨張領域の外側円形マージンと一体化され、前記膨張領域の外側円形マージンと前記フランジ部分の内側円形マージンとを結合する環状で横方向に弓形の過渡領域と、が与えられた破裂ディスクと、を含み、
前記膨張領域は、その凹面において、その外側円形マージンに近接し、前記過渡領域の近くに間隔を空けて配置される、連続する刻線が与えられ、前記刻線は、より長い半円形の部分と、前記半円形の刻線部分の長さと比較するとより短い一般的に曲線の刻線カム部分とを有し、前記カム刻線部分は、前記より長い刻線部分の直径の外側に張り出し、前記過渡領域の内側に配置され、
前記刻線は全体にわたって深さが変化するが、その中で前記カム刻線部分が一番深く、前記カム刻線部分の実質的に正反対側が一番浅く、該正反対側が前記刻線のヒンジ部分を定義し、
前記ディスクは、そこを通過して液体が流れるようにするために、前記ディスクの凹面に対して向けられた液体の過剰圧力の影響下において開口可能であり、前記カム刻線部分は、刻線の残りの部分と比較して、前記液体圧力下においてカム刻線部分が最初に破裂するような深さを有する一方で、より長い刻線部分は深さが変化し、それにより、刻線のヒンジ部分が切断されることなく、完全に開口した破裂位置へと前記破裂領域が回転されることを可能にし、前記中央の破裂領域の端が、前記ディスクの前記フランジ部分に対して一般的に垂直となる関係に配置され、
前記管状ホルダーは、一般的に破裂ディスクを補助的に受け、前記液体圧力下で十分に完全な開口を可能にするように設計され、それによって、ディスクの破裂後に前記管状ホルダーを通過して完全に実質的に妨げられることなく液体が双方向に流れることを可能にする側壁構造が与えられる。
【請求項2】
前記刻線の前記カム部分が一般的にU型状の形態である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記刻線の前記カム部分が、弓形のベース部分と、前記より長い刻線部分の対向する先端と結合する2つの対向する外側に向かって分岐する脚部分と、を有する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記刻線は、前記より長い刻線部分の前記ヒンジ部分から反対側に向かって前記カム刻線部分の中間点まで、深さが連続して変化する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記刻線の前記カム部分が、前記ディスクの厚さの約30%〜70%である、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記ディスクが約0.010〜0.075インチの厚さを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記ディスクが約0.014〜0.050インチの厚さを有する、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記ディスクが約0.030インチの厚さを有する、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記カム刻線部分の最も深い地点における深さが、前記より長い刻線部分のヒンジ部分のうち最も浅い部分よりも約0.015〜0.004インチ深い、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記カム刻線部分の最も深い地点における深さが、前記より長い刻線部分のヒンジ部分のうち最も浅い部分よりも約0.002インチ深い、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
ホルダー内経路がディスクの完全開口部分を収容できる寸法を有する管状破裂ディスクホルダーに、内部を通過する中央液体経路を閉止する関係で取り付けられるように適用される、一体型の、前もって破断する破裂ディスクであり、
前記ディスクが、通常前記経路を閉止する関係で前記ホルダーに取り付けられるように適用される破裂ディスクであって、前記ディスクが、第1環状面と、それに対向する第2環状面と、内側円形マージンと、を有する外側環状周辺フランジ部分と、前記フランジ部分の前記第1環状面の内部にありそこから突き出している、内側の、凹凸状の、通常半球状の膨張領域と、を含み、前記膨張領域は、対向する凹面と凸面とを有し、外側円形マージンと、前記膨張領域の外側円形マージンと一体化された、前記膨張領域の外側円形マージンと前記フランジ部分の内側円形マージンとを結合する環状で横方向に弓形の過渡領域と、が与えられた破裂ディスクを含み、
前記膨張領域は、その凹面において、その外側円形マージンに近接し、前記過渡領域の近くに間隔を空けて配置される、連続する刻線が与えられ、前記刻線は、より長い半円形の部分と、前記半円形の刻線部分の長さと比較するとより短い一般的に曲線の刻線カム部分とを有し、前記カム刻線部分は、前記より長い刻線部分の直径の外側に張り出し、前記過渡領域の内側に配置され、
前記刻線は全体にわたって深さが変化するが、その中で前記カム刻線部分が一番深く、前記カム刻線部分の実質的に正反対側が一番浅く、該正反対側が前記刻線のヒンジ部分を定義し、
前記ディスクは、そこを通過して液体が流れるようにするために、前記ディスクの凹面に対して向けられた液体の過剰圧力の影響下において開口可能であり、前記カム刻線部分は、刻線の残りの部分と比較して、前記液体圧力下においてカム刻線部分が最初に破裂するような深さを有する一方で、より長い刻線部分は深さが変化し、それにより、刻線のヒンジ部分が切断されることなく、前記破裂領域が完全に開口した破裂位置へと回転し、実質的に完全に両方向に液体が流れることを可能にし、前記中央の破裂領域の端が、前記ディスクの前記フランジ部分に対して一般的に垂直となる関係に配置される。
【請求項12】
前記刻線の前記カム部分が一般的にU型状の形態である、請求項11に記載のディスク。
【請求項13】
前記刻線の前記カム部分が、弓形のベース部分と、前記より長い刻線部分の対向する先端と結合する2つの対向する外側に向かって分岐する脚部分と、を有する、請求項12に記載のディスク。
【請求項14】
前記刻線において、前記より長い刻線部分の前記ヒンジ部分から反対側に向かって前記カム刻線部分の中間点まで、深さが連続して変化する、請求項11に記載のディスク。
【請求項15】
前記刻線の前記カム部分が、前記ディスクの厚さの約30%〜70%である、請求項11に記載のディスク。
【請求項16】
前記ディスクが約0.010〜0.075インチの厚さを有する、請求項11に記載のディスク。
【請求項17】
前記ディスクが約0.014〜0.050インチの厚さを有する、請求項16に記載のディスク。
【請求項18】
前記ディスクが約0.030インチの厚さを有する、請求項16に記載のディスク。
【請求項19】
前記カム刻線部分の最も深い地点における深さが、前記より長い刻線部分のヒンジ部分のうち最も浅い部分よりも約0.001〜0.005インチ深い、請求項11に記載のディスク。
【請求項20】
前記カム刻線部分の最も深い地点における深さが、前記より長い刻線部分のヒンジ部分のうち最も浅い部分よりも約0.004インチ深い、請求項19に記載のディスク。
【請求項21】
前記ディスクは、名目上の厚さが約0.03インチであり、前記刻線の深さが、前記より長い刻線部分の最も浅い地点の約0.013インチから、前記刻線の前記カム部分の最も深い地点の約0.017インチまで変化する、請求項11に記載のディスク。
【請求項22】
前記ディスクは、名目上の厚さが約0.03インチであり、前記刻線の深さが、前記より長い刻線部分の最も浅い地点の約0.013インチから、前記刻線の前記カム部分の最も深い地点の約0.015〜0.017インチまで変化する、請求項11に記載のディスク。
【請求項23】
前記ディスクは、材料、該ディスクの前記寸法および該ディスクに対する相対的な前記刻線の深さの変化が、前記ディスクの前記膨張領域に対する液体圧力が約1500psiにおいて前記カム刻線部分が最初に開口するように構成される請求項11に記載のディスク。
【請求項24】
前記ディスクは、材料、該ディスクの前記寸法および該ディスクに対する相対的な前記刻線の深さの変化が、前記ディスクの前記膨張領域に対する液体圧力が約2000psiにおいて前記カム刻線部分が最初に開口するように構成される請求項11に記載のディスク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2006−507430(P2006−507430A)
【公表日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−524523(P2004−524523)
【出願日】平成15年6月19日(2003.6.19)
【国際出願番号】PCT/US2003/019454
【国際公開番号】WO2004/011761
【国際公開日】平成16年2月5日(2004.2.5)
【出願人】(593224670)ファイク・コーポレーション (18)
【氏名又は名称原語表記】FIKE CORPORATION