説明

非同期通信方法

【課題】 コンテンツを更新した際に、更新部分のみを非同期に配信することにより、コンテンツをリアルタイムに効率良く配信する技術を提供する。
【解決手段】ネットワークを介して接続する管理装置及びクライアント端末が行う通信方法であって、前記管理装置が、前記ネットワークをコンテンツの少なくとも一部を送信する前記クライアント端末との接続を確立し、前記コンテンツの更新を検出し、検出したコンテンツの更新を契機に、この更新部分を前記クライアント端末に送信するステップと、を行い、前記クライアント端末が、前記管理装置との接続を確立し、前記コンテンツの更新部分を待ち受け、前記待ち受け中に受信した更新部分に基づいて前記コンテンツを部分的に更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターネット等のネットワークを介してプッシュ型の情報配信を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットやイントラネット等のネットワークにおいては、クライアント端末側からURL(Uniform Resource Locator)で指定した情報(ウエブコンテンツ)の取得をリクエストし、これに応じてサーバが指定されたウエブコンテンツを当該クライアントに配信する所謂プル型の情報配信が一般的に行われている。
このようなネットワークシステムでは、例えばプラントに設置したサーバからプラントの機器に異常が生じた際に、この情報を端末へ配信するといったプッシュ型の情報配信を行おうとしても、サーバ側で生じたイベントに応じて端末との通信を確立する手段はなく、実現できなかった。
そこで、ウエブコンテンツをなすHTMLの記述中にJavaScript(Java及びJavaScriptは登録商標)等を含め、クライアント端末から定期的にサーバ上のHTMLページ生成プログラムを呼び出して新しい情報を収集する所謂ポーリング型の情報配信により、擬似的にプッシュ配信を実現するのが一般的であった。
【0003】
また、本願発明に関連する先行技術として、例えば、下記の特許文献1又は2に開示される技術がある。
【特許文献1】特開平10−171526号公報
【特許文献2】特開2001−350507号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したポーリング型の情報配信であると、一定の周期で端末側からサーバ側へ問いあわせを行うので、更新情報が無い場合にも通信を行うことになり、無駄なトラフィックが生じてしまうという問題点があった。
また、クライアント端末は、この一定の周期でしか情報を取得しないので、サーバ側が最新の情報に更新されていてもクライアント端末が次の問合せを行うまでクライアント端末には反映されず、情報の配信にタイムラグが生じてしまうという問題点があった。
即ち、ポーリング型の情報配信を行う場合、問合せの間隔を長くすると、クライアント端末に最新の情報が反映されるまでのタイムラグが大きくなり、正しくプラント(サーバ)の状況を表示することができなくなってくる。一方、問合せの間隔を短くすると、更新情報の無い場合にも問合せを行うことにより、ネットワークの使用効率を悪化させることになる。
また、ポーリング型の通信方式の場合、問合せ時に取得する情報は、HTMLのページ単位であるため、更新された内容がその一部分だけであっても、ページ全体を取得することになる。そのため、更新したい情報のサイズに対して、取得する情報のサイズが大きくなり、サーバと端末間の通信量が無駄に多くなってしまう。
そこで、本発明は、コンテンツを更新した際に、更新部分のみを非同期に配信することにより、コンテンツをリアルタイムに効率良く配信する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は、以下の構成を採用した。
即ち、本発明の非同期通信システムは、ネットワークを介して接続する管理装置及びクライアント端末からなり、
前記管理装置が、
前記ネットワークを介してコンテンツの少なくとも一部を送信する前記クライアント端末との接続を確立する接続部と、
前記コンテンツの更新を検出する検出部と、
前記検出部で検出した前記コンテンツの更新を契機に、この更新部分を前記クライアント端末に送信する部分配信部と、
を備え、
前記クライアント端末が、
前記管理装置との接続を確立する接続部と、
前記コンテンツの更新部分を待ち受ける待受け部と、
前記待受け部で受信した更新部分に基づいて前記コンテンツを部分的に更新する部分更新部と、を備えた。
【0006】
また、本発明の非同期通信方法は、ネットワークを介して接続する管理装置及びクライアント端末が行う通信方法であって、
前記管理装置が、
前記ネットワークをコンテンツの少なくとも一部を送信する前記クライアント端末との接続を確立するステップと、
前記コンテンツの更新を検出するステップと、
前記検出した前記コンテンツの更新を契機に、この更新部分を前記クライアント端末に送信するステップと、
を行い、
前記クライアント端末が、
前記管理装置との接続を確立するステップと、
前記コンテンツの更新部分を待ち受けるステップと、
前記待ち受け中に受信した更新部分に基づいて前記コンテンツを部分的に更新するステップとを行う。
【0007】
前記非同期通信システム及び非同期通信方法は、
前記コンテンツが、機器の監視情報であり、
前記管理装置が、前記機器の監視情報を取得し、該監視情報に変化があった場合に、前記コンテンツの更新として検出し、
前記監視情報から更新した部分の情報を前記更新部分として送信しても良い。
【0008】
前記非同期通信システム及び非同期通信方法は、
前記管理装置が、前記コンテンツとしてHTML或はXMLで記述されたウエブページを前記クライアント端末に送信するステップを更に行い、
前記クライアント端末が、前記コンテンツとしてのウエブページを受信するステップを更に行い、該ウエブページ中の記述によって定義された箇所を前記更新部分に基づいて更新しても良い。
【0009】
また、本発明の管理装置は、
ネットワークを介してクライアント端末と接続する装置であって、
前記ネットワークを介してコンテンツの少なくとも一部を送信する前記クライアント端末との接続を確立する接続部と、
前記コンテンツの更新を検出する検出部と、
前記検出部で検出した前記コンテンツの更新を契機に、この更新部分を前記クライアント端末に送信する部分配信部と、
を備えた。
また、本発明の非同期通信方法は、
ネットワークを介してクライアント端末と接続する管理装置が行う通信方法であって、
前記ネットワークを介してコンテンツの少なくとも一部を送信する前記クライアント端末との接続を確立するステップと、
前記コンテンツの更新を検出するステップと、
前記検出した前記コンテンツの更新を契機に、この更新部分を前記クライアント端末に送信するステップとを行う。
【0010】
前記管理装置及び非同期通信方法において
前記コンテンツが、機器の監視情報であり、
前記機器の監視情報を取得し、該監視情報に変化があった場合に、前記コンテンツの更新として検出し、前記監視情報から更新した部分の情報を前記更新部分として送信しても良い。
前記管理装置は、前記更新部分をXML形式或はCSV形式で送信しても良い。
また、本発明のクライアント端末は、
ネットワークを介して管理装置と接続する端末であって、
前記ネットワークを介してコンテンツの少なくとも一部を受信するための接続を前記管理装置との間で確立する接続部と、
前記コンテンツの更新部分を待ち受ける待受け部と、
前記待受け部で受信した更新部分に基づいて前記コンテンツを部分的に更新する部分更新部とを備えた。
【0011】
また、本発明の非同期通信方法は、
ネットワークを介して管理装置と接続するクライアント端末が行う通信方法であって、
前記ネットワークを介してコンテンツの少なくとも一部を受信するための接続を前記管理装置との間で確立するステップと、
前記コンテンツの更新部分を待ち受けるステップと、
前記待受け部で受信した更新部分に基づいて前記コンテンツを部分的に更新するステップとを行う。
【0012】
また、本発明は、上記非同期通信方法をコンピュータに実行させる非同期通信プログラムであっても良い。更に、本発明は、この非同期通信プログラムをコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録したものであっても良い。コンピュータに、この記録媒体のプログラムを読み込ませて実行させることにより、その機能を提供させることができる。
【0013】
ここで、コンピュータが読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータから読み取ることができる記録媒体をいう。このような記録媒体の内コンピュータから取り外し可能なものとしては、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R/W、DVD、DAT、8mmテープ、メモリカード等がある。
【0014】
また、コンピュータに固定された記録媒体としてハードディスクやROM(リードオンリーメモリ)等がある。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、コンテンツを更新した際に、更新部分のみを非同期に配信することにより、コンテンツをリアルタイムに効率良く配信する技術を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は、本発明に係る通信システムの概略図である。
本例の通信システム10は、インターネット等のネットワークを介して接続するウエブ
サーバ(管理装置)1及びクライアント端末2からなり、該サーバ1が工場の生産設備や情報管理設備等の状況を監視し、これら設備(機器)の状況をウエブコンテンツとして随時クライアント端末2へ提供することで、遠隔地にいる管理者がクライアント端末2のウエブブラウザを用いて工場の状況をリアルタイムに把握できるようにしている。
【0017】
図2は、本実施形態におけるウエブサーバ1の概略構成図である。図2に示すように、監視サーバ1は、本体11内にCPU(central processing unit)やメインメモリ等よ
りなる演算処理部12、演算処理の為のデータやソフトウェアを記憶した記憶部(ハードディスク)13、入出力ポート14、通信制御部(CCU:Communication Control Unit)15等を備えた一般的なコンピュータである。
【0018】
該入出力ポート14には、キーボードやマウス等の入力デバイス、そして表示装置やプリンター等の出力デバイスが適宜接続される。また、出力ポート14には、生産設備や情報管理設備が接続され、該設備から状況を示す情報(状況情報)の入力や、該設備への制御情報の出力等が行われる。
通信制御部15は、ネットワークを介して他のコンピュータと通信を行うための制御を行う。
【0019】
記憶部13には、オペレーティングシステム(OS)やアプリケーションソフト(プログラム)がインストールされている。
【0020】
演算処理部12は、前記OSやアプリケーションプログラムを記憶部13から適宜読み出して実行し、入出力ポート14や通信制御部15から入力された情報、及び記憶部13から読み出した情報を演算処理することにより、接続部や、コンテンツ配信部、検出部、部分配信部としても機能する。
【0021】
この接続部としては、ウエブコンテンツを送信する前記クライアント端末2との接続(非同期パス)を確立する。なお、このクライアント端末2との接続は、非同期通信を行っているあいだ接続を維持し、ウエブコンテンツの送信毎には切断しない。
コンテンツ配信部としては、前記生産設備や情報管理設備の管理画面を前記ウエブコンテンツとしてリクエスト元のクライアント端末2に送信する。該管理画面は、HTML或はXMLからなるウエブページであり、クライアント端末2のウエブブラウザで閲覧可能となっている。
【0022】
検出部としては、前記設備からそれぞれ所定の周期で送信された情報を前記入出力ポート14を介して受信し、この情報の変化をウエブコンテンツの更新として検出する。
部分配信部としては、前記検出部で検出した前記ウエブコンテンツの更新を契機に、この更新部分、即ち管理画面中の更新となる部分の情報(以下、部分情報とも称す)を前記クライアント端末2に送信する。従って、本実施形態の部分配信部は、部分情報をリクエストに応じて送信するのではなく、非同期にクライアント端末2へ送信する。
【0023】
図3は、本実施形態におけるクライアント端末2の概略構成図である。図3に示すように、クライアント端末2は、本体21内にCPU(central processing unit)やメイン
メモリ等よりなる演算処理部22、演算処理の為のデータやソフトウェアを記憶した記憶部(ハードディスク)23、入出力ポート24、通信制御部(CCU:Communication Control Unit)25等を備えた一般的なコンピュータである。
【0024】
該入出力ポート24には、キーボードやマウス等の入力デバイス、そして表示装置やプリンター等の出力デバイスが適宜接続される。
通信制御部15は、ネットワークを介して他のコンピュータと通信を行うための制御を
行う。
【0025】
記憶部23には、オペレーティングシステム(OS)やアプリケーションプログラム(非同期通信プログラム、JavaVM等)がインストールされている。
【0026】
演算処理部22は、前記OSやアプリケーションプログラムを記憶部23から適宜読み出して実行し、入出力ポート24や通信制御部25から入力された情報(ウエブページ中のJavaScript等)、及び記憶部23から読み出した情報に基づいて演算処理することにより、接続部や、部分更新部、待受け部、コンテンツ受信部としても機能する。
【0027】
接続部としては、前記サーバ1との接続(非同期パス)を確立する。
コンテンツ受信部としては、前記ウエブコンテンツとしてのウエブページを受信する。
待受け部としては、非同期通信中、前記ウエブサーバ1からの部分情報を待ち受け、部分情報を受信した場合に、この受信を部分更新部へ通知する。
部分更新部としては、前記待受け部で受信した更新部分に基づいて前記ウエブコンテンツを部分的に更新する。
【0028】
また、クライアント端末2のウエブブラウザは、部分更新情報の受信に限らず、受信した設備の状態に応じて、設備の停止や予備系への切替えなどの指示を送信する機能(送信部)を有しても良い。この指示等の情報の送信は、前記非同期パスを用いても良いし、別個に標準パス(クライアントのリクエストに対してサーバが返信する一般的なパス)を用いても良い。もし、非同期パスを共用する場合には、部分情報とそれ以外の情報とが区別できるタグ等をそれぞれに付加して通信し、部分情報以外の情報を通信する場合にも通信毎にパスを切断しないように制御すれば良い。なお、このほかのクライアント端末2から指示等の情報を送信についての手順は、一般的なウエブブラウザとサーバとの通信手順と同様であるので、省略する。
【0029】
次に、これらの通信システム10において実行される非同期通信方法について説明する。図4は、この非同期通信方法のシーケンスの説明図、図5は、非同期通信方法を実現するソフトウェア構成の説明図である。
【0030】
管理者が、URLを指定して管理画面を開く操作を行うと、クライアント端末2は、ウエブブラウザを起動し(ステップ1、以下S1のように略記する)、前記URLに基いてウエブサーバ1に接続し、管理画面をリクエストする(S2)。
これに応じウエブサーバ1は、コンテンツ配信部が該管理画面をクライアント端末2へ送信する(S3)。
【0031】
クライアント端末2は、通信制御部25を介して受信した管理画面を演算処理部22にロードし(S4)、該管理画面をなすHTMLの記述に従って表示装置での表示を行わせると共に、部分情報を取得するための通信コンポーネントを展開する(S5)。図6は、クライアント端末2にて、管理画面をロードした際の説明図である。該管理画面のHTML文中には、部分更新のためのタグを定義するHTC記述部分と、該定義に従って部分更新を行う部分更新部の機能を実現するJavaScript部分とを含む。また、クライアント端末2は、該部分更新部に部分情報の受信を通知する待受け部としての受信用プログラム(JAVAアプレット)を有する。なお、本例では、管理画面をウエブサーバ1のコンテンツ配信部からクライアント端末2へ送信したが、これに限らず、クライアント端末2の記憶部23に記憶しておき、この記憶部23からロードしても良い。同様に、該受信用プログラムは、ウエブサーバ1からクライアント端末2へ送信しても良いし、記憶部23から読み出しても良い。
【0032】
この管理画面をロードした際、クライアント端末2のブラウザが、管理画面の更新部分(ウエブコンテンツ)をウエブサーバ1にリクエストすると、該クライアント端末2の接続部とウエブサーバ1の接続部とがTCPにより接続(コネクション)を確立する(S6)。本例では、このコネクションをウエブコンテンツの送信毎には解放せず、随時(非同期に)ウエブサーバ1からクライアント端末1へ部分情報を送信する非同期パス(図5)としている。
【0033】
この非同期パスを設定した際、ウエブサーバ1は、検出部による検出を開始し、前記設備からの情報に変化があった場合には、この変化した情報(部分情報)を配信APL(部分配信部)に渡し、配信を要求する(S7)。
【0034】
配信APLは、この部分情報を受信した際、即ちウエブコンテンツの更新を契機に、図7のように該部分情報をHTTPにより平文(テキスト)で前記クライアント端末2へ送信する。(S8)
一方、クライアント端末2は、前記通信コンポーネントを展開した際に、待受け部としての受信用プログラムが起動され、部分情報の待受けを開始し、部分情報の受信を契機にHTCイベントを発生させる(S9)。このイベントに応じ、クライアント端末2のブラウザは、JavaScriptを実行し(S10)、ブラウザ画面に表示されているHTMLページの更新対象の部分のみを更新する(S11)。この際、HTMLページ全体を再表示することはない。
【0035】
例えば、図8,図9に示すように、管理画面30に、設備名31〜35と、各設備の状態欄36〜40とが表示されている場合に、製造設備31の状態が変化すると、ウエブサーバ1の配信APL43は、この変化した情報のみを部分情報としてクライアント端末2に送信する。なお、この部分情報は、前記変化した情報の内容(内容情報)と、どの状態欄に表示するのかを示す情報(更新位置情報)とを有している。例えば、ウエブサーバ1の配信APL43では、各設備から受信した稼動時間や稼働率、異常の有無などを内容情報とし、この内容情報に設備名を示すタグ(更新位置情報)を付加して部分情報を生成する。
【0036】
該部分情報を受信したクライアント端末2のApplet(待受け部)41は、HTCイベントを発生させ、受信用Javascript関数44が状態欄36〜40を更新する。ここで受信用Javascript関数44は、タグの示す設備名が、製造設備31であれば状態欄36、製造設備32であれば状態欄37のように、HTC記述部分に定義されている該タグと対応する箇所に内容情報を表示する。これにより、変化のあった状態欄36〜40のみを部分的に更新でき、ネットワークの帯域を無駄に消費することがない。
そして、管理者が非同期通信の終了の操作を行うと、クライアント端末2の接続部とウエブサーバ1の接続部とが非同期パス(コネクション)を解放する(S12)。
【0037】
〈具体例〉
本発明に係る非同期通信システム及び該システムによる非同期通信方法の具体例を図10〜図27を用いて説明する。
図10に示すように、クライアント端末2の通信コンポーネントは、HTTP通信専用に特化したSchnorchelというクラス名のアプレット41や、このアプレット41を内部に搭載するSchnorchelというタグ名を持つHTCファイル42で構成される。
【0038】
なお、本コンポーネントを組み込むための公開HTC仕様は以下の通りである。
[公開タグ名]:Schnorchel
[公開メソッド]:lookup(情報配信プログラム43URL)、このメソッドを呼び出すこと
で、Webサーバ上で動作する情報配信プログラムを起動し、情報の着信を待ち受ける
[公開イベント]:listener、このlistenerイベントにHTMLページで情報を受け取るためのeventを引数として持つ受信用Javascript関数44を設定する。
【0039】
即ち、クライアント端末2は、前記通信コンポーネントを展開する際、lookupメソッドを呼び出してサーバ1にコンテンツ更新の検出と部分情報の配信を開始させると共に、Schnorchel.class41を起動して待受けを開始する。そしてSchnorchel.class41は部分情報の着信毎に、該部分情報をevent.messageに格納し、新たな情報が到着したことをlistenerイベントにより受信用Javascript関数44へ通知する。該Javascript関数44は、event.messageから読み出した部分情報をHTCとして管理画面30の対応箇所(状態欄36〜40)に組み入れる。
一方、ウエブサーバ1は、この通信コンポーネントに対する情報を配信する情報配信プログラム(Sevlet)43を備え、非同期に部分情報を送信する。このウエブサーバ側の情報配信プログラムとしては、Sevletの例を示したが、これに限らず、端末側のアプレット41へ更新箇所と更新内容が伝達できるように所定の形式で部分情報を送信できれば良く、CGI、PHP,ASPなどの他の方式を用いても良い。
【0040】
図11〜図14は、ネットワーク上のノードの状態を管理するための管理画面45の例である。図11は、部分情報を受信する前の管理画面45を示している。
そして、ウエブサーバ1が、ノード(○○ヤンキース)の状態変化を検出し、図15に示す部分情報をクライアント端末2に送信した場合、クライアント端末2は、この部分情報に基づき図12に示すように状態表示欄46の表示を更新する。ここで図15に示す部分情報において、<Message>及び</Message>が状態表示欄46に表示する1行分の情報で
あることを示すタグであり、<node>及び</node>がノード名、<type>及び</type>が種別、<time>及び</time>が発生時間、<word>及び</word>がメッセージの列に表示すべき情報であることを識別するためのタグ(更新位置情報)である。即ち、前記Javascript関数44は、これらのタグで挟まれた情報(内容情報)をHTCで定義された列にそれぞれ表示させる。
【0041】
次に、図16に示す部分情報を受信した場合、クライアント端末2は、前述と同様に状態表示欄46の各列にそれぞれ内容情報を表示させる。本例では、新たに受信した情報を最上部に表示し、以前の情報を1行ずつ繰り下げて表示する。
【0042】
同様に、図17〜図23の部分情報を順次受信して部分的な更新を繰り返した結果が図13、更に図24〜図27の部分情報を順次受信して同様に部分的な更新を繰り返した結果が図14である。
【0043】
図14に示したように、受信した部分情報の数が、状態表示欄46の表示行数を超えた場合、超えた分の古い情報を消去しても良いし、スクロールバー47を設けてスクロール可能にしても良い。
【0044】
そして、管理者が閉じるボタン48を選択するといった終了の操作を行うと、クライアント端末2の接続部とウエブサーバ1の接続部とが非同期パスを切断し、ブラウザを閉じる。
このように本実施形態によれば、設備の状態をサーバ1から非同期に送信し、クライアント端末2に表示させることができる。これにより管理者は、インターネット等のネットワークを介して遠隔地の設備の状態をウエブブラウザでリアルタイムに管理することができる。
【0045】
本実施形態において、ウエブサーバ1は、設備からの情報を300ms〜3000msの周期で受信しているので、この周期に応じたタイミングで状態の変化をクライアント端
末2に通知できる。
【0046】
一方、従来のポーリング型のシステムで、同様のリアルタイム性を実現するためには、少なくとも300ms毎にクライアント端末からウエブサーバに問合せを行わなければならず現実的ではない。
【0047】
また、本実施形態の通信システム10は、管理画面を部分的に書き換えることが可能なので、更新毎に画面全体の情報を送信する必要がなく、ネットワークの帯域を効率良く利用できる。
なお、本実施形態では、部分情報をHTTPにより平文で送信したが、この形式は、単なるテキストや、HTML、XMLなど、更新内容と更新箇所を伝達できれば良く、特に限定するものではない。また、平文に限らず、画像やプログラムであっても良い。
【0048】
〈その他〉
本発明は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
例えば、以下に付記した構成であっても上述の実施形態と同様の効果が得られる。また、これらの構成要素は可能な限り組み合わせることができる。
【0049】
(付記1)
ネットワークを介して接続する管理装置及びクライアント端末からなる通信システムであって、
前記管理装置が、
前記ネットワークを介してコンテンツの少なくとも一部を送信する前記クライアント端末との接続を確立する接続部と、
前記コンテンツの更新を検出する検出部と、
前記検出部で検出した前記コンテンツの更新を契機に、この更新部分を前記クライアント端末に送信する部分配信部と、
を備え、
前記クライアント端末が、
前記管理装置との接続を確立する接続部と、
前記コンテンツの更新部分を待ち受ける待受け部と、
前記待受け部で受信した更新部分に基づいて前記コンテンツを部分的に更新する部分更新部と、
を備えた非同期通信システム。(1)
【0050】
(付記2)
前記コンテンツが、機器の監視情報であり、
前記検出部が、前記機器の監視情報を取得し、該監視情報に変化があった場合に、前記コンテンツの更新として検出し、
前記部分配信部が、前記監視情報から更新した部分の情報を前記更新部分として送信する付記1に記載の非同期通信システム。
【0051】
(付記3)
前記管理装置が、前記コンテンツとしてHTML或はXMLで記述されたウエブページを前記クライアント端末に送信するコンテンツ配信部を更に備え、
前記クライアント端末が、前記コンテンツとしてのウエブページを受信するコンテンツ受信部を更に備え、前記部分更新部が該ウエブページ中の記述によって定義された箇所を前記更新部分に基づいて更新する付記1に記載の非同期通信システム。
【0052】
(付記4)
前記部分配信部が、前記更新部分をXML形式或はCSV形式で送信する付記1に記載の非同期通信システム。
【0053】
(付記5)
ネットワークを介して接続する管理装置及びクライアント端末が行う通信方法であって、
前記管理装置が、
前記ネットワークをコンテンツの少なくとも一部を送信する前記クライアント端末との接続を確立するステップと、
前記コンテンツの更新を検出するステップと、
前記検出した前記コンテンツの更新を契機に、この更新部分を前記クライアント端末に送信するステップと、
を行い、
前記クライアント端末が、
前記管理装置との接続を確立するステップと、
前記コンテンツの更新部分を待ち受けるステップと、
前記待ち受け中に受信した更新部分に基づいて前記コンテンツを部分的に更新するステップと、
を行う非同期通信方法。(2)
【0054】
(付記6)
前記コンテンツが、機器の監視情報であり、
前記管理装置が、前記機器の監視情報を取得し、該監視情報に変化があった場合に、前記コンテンツの更新として検出し、
前記監視情報から更新した部分の情報を前記更新部分として送信する付記5に記載の非同期通信方法。
【0055】
(付記7)
前記管理装置が、前記コンテンツとしてHTML或はXMLで記述されたウエブページを前記クライアント端末に送信するステップを更に行い、
前記クライアント端末が、前記コンテンツとしてのウエブページを受信するステップを更に行い、該ウエブページ中の記述によって定義された箇所を前記更新部分に基づいて更新する付記5に記載の非同期通信方法。
【0056】
(付記8)
前記クライアント端末が、前記更新部分をXML形式或はCSV形式で送信する付記5に記載の非同期通信方法。
【0057】
(付記9)
ネットワークを介してクライアント端末と接続する管理装置であって、
前記ネットワークを介してコンテンツの少なくとも一部を送信する前記クライアント端末との接続を確立する接続部と、
前記コンテンツの更新を検出する検出部と、
前記検出部で検出した前記コンテンツの更新を契機に、この更新部分を前記クライアント端末に送信する部分配信部と、
を備えた管理装置。(3)
【0058】
(付記10)
前記コンテンツが、機器の監視情報であり、
前記検出部が、前記機器の監視情報を取得し、該監視情報に変化があった場合に、前記コンテンツの更新として検出し、
前記部分配信部が、前記監視情報から更新した部分の情報を前記更新部分として送信する付記9に記載の管理装置。
【0059】
(付記11)
前記部分配信部が、前記更新部分をXML形式或はCSV形式で送信する付記9に記載の管理装置。
【0060】
(付記12)
ネットワークを介してクライアント端末と接続する管理装置が行う通信方法であって、
前記ネットワークを介してコンテンツの少なくとも一部を送信する前記クライアント端末との接続を確立するステップと、
前記コンテンツの更新を検出するステップと、
前記検出した前記コンテンツの更新を契機に、この更新部分を前記クライアント端末に送信するステップと、
を行う非同期通信方法。
【0061】
(付記13)
前記コンテンツが、機器の監視情報であり、
前記機器の監視情報を取得し、該監視情報に変化があった場合に、前記コンテンツの更新として検出し、前記監視情報から更新した部分の情報を前記更新部分として送信する付記12に記載の非同期通信方法。
【0062】
(付記14)
前記更新部分をXML形式或はCSV形式で送信する付記12に記載の非同期通信方法。
【0063】
(付記15)
ネットワークを介してクライアント端末と接続する管理装置に実行されるプログラムであって、
前記ネットワークを介してコンテンツの少なくとも一部を送信する前記クライアント端末との接続を確立するステップと、
前記コンテンツの更新を検出するステップと、
前記検出した前記コンテンツの更新を契機に、この更新部分を前記クライアント端末に送信するステップと、
を前記管理装置に実行させる非同期通信プログラム。(4)
【0064】
(付記16)
前記コンテンツが、機器の監視情報であり、
前記機器の監視情報を取得し、該監視情報に変化があった場合に、前記コンテンツの更新として検出し、前記監視情報から更新した部分の情報を前記更新部分として送信する付記15に記載の非同期通信プログラム。
【0065】
(付記17)
前記更新部分をXML形式或はCSV形式で送信する付記15に記載の非同期通信プログラム。
【0066】
(付記18)
ネットワークを介して管理装置と接続するクライアント端末であって、
前記ネットワークを介してコンテンツの少なくとも一部を受信するための接続を前記管理装置との間で確立する接続部と、
前記コンテンツの更新部分を待ち受ける待受け部と、
前記待受け部で受信した更新部分に基づいて前記コンテンツを部分的に更新する部分更新部と、
を備えたクライアント端末。(5)
【0067】
(付記19)
ネットワークを介して管理装置と接続するクライアント端末が行う通信方法であって、
前記ネットワークを介してコンテンツの少なくとも一部を受信するための接続を前記管理装置との間で確立するステップと、
前記コンテンツの更新部分を待ち受けるステップと、
前記待受け部で受信した更新部分に基づいて前記コンテンツを部分的に更新するステップと、
を行う非同期通信方法。
【0068】
(付記20)
ネットワークを介して管理装置と接続するクライアント端末が行う通信プログラムであって、
前記ネットワークを介してコンテンツの少なくとも一部を受信するための接続を前記管理装置との間で確立するステップと、
前記コンテンツの更新部分を待ち受けるステップと、
前記待受け部で受信した更新部分に基づいて前記コンテンツを部分的に更新するステップと、
を前記クライアント端末に行わせる非同期通信プログラム。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明に係る通信システムの概略図
【図2】監視サーバの概略構成図
【図3】クライアント端末の概略構成図
【図4】非同期通信方法の説明図
【図5】非同期通信方法を実現するソフトウェア構成の説明図
【図6】クライアント端末に管理画面をロードした際の説明図
【図7】部分情報送信時の説明図
【図8】部分更新時の説明図
【図9】部分更新時の説明図
【図10】非同期通信方法の具体例の説明図
【図11】管理画面例を示す図
【図12】管理画面例を示す図
【図13】管理画面例を示す図
【図14】管理画面例を示す図
【図15】部分情報の例を示す図
【図16】部分情報の例を示す図
【図17】部分情報の例を示す図
【図18】部分情報の例を示す図
【図19】部分情報の例を示す図
【図20】部分情報の例を示す図
【図21】部分情報の例を示す図
【図22】部分情報の例を示す図
【図23】部分情報の例を示す図
【図24】部分情報の例を示す図
【図25】部分情報の例を示す図
【図26】部分情報の例を示す図
【図27】部分情報の例を示す図
【符号の説明】
【0070】
10 通信システム
1 ウエブサーバ(管理装置)
11 本体
12 演算処理部
13 記憶部(ハードディスク)
14 入出力ポート
15 通信制御部
2 クライアント端末
21 本体
22 演算処理部
23 記憶部(ハードディスク)
24 入出力ポート
25 通信制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して接続する管理装置及びクライアント端末からなる通信システムであって、
前記管理装置が、
前記ネットワークを介してコンテンツの少なくとも一部を送信する前記クライアント端末との接続を確立する接続部と、
前記コンテンツの更新を検出する検出部と、
前記検出部で検出した前記コンテンツの更新を契機に、この更新部分を前記クライアント端末に送信する部分配信部と、
を備え、
前記クライアント端末が、
前記管理装置との接続を確立する接続部と、
前記コンテンツの更新部分を待ち受ける待受け部と、
前記待受け部で受信した更新部分に基づいて前記コンテンツを部分的に更新する部分更新部と、
を備えた非同期通信システム。
【請求項2】
ネットワークを介して接続する管理装置及びクライアント端末が行う通信方法であって、
前記管理装置が、
前記ネットワークをコンテンツの少なくとも一部を送信する前記クライアント端末との接続を確立するステップと、
前記コンテンツの更新を検出するステップと、
前記検出した前記コンテンツの更新を契機に、この更新部分を前記クライアント端末に送信するステップと、
を行い、
前記クライアント端末が、
前記管理装置との接続を確立するステップと、
前記コンテンツの更新部分を待ち受けるステップと、
前記待ち受け中に受信した更新部分に基づいて前記コンテンツを部分的に更新するステップと、
を行う非同期通信方法。
【請求項3】
ネットワークを介してクライアント端末と接続する管理装置であって、
前記ネットワークを介してコンテンツの少なくとも一部を送信する前記クライアント端末との接続を確立する接続部と、
前記コンテンツの更新を検出する検出部と、
前記検出部で検出した前記コンテンツの更新を契機に、この更新部分を前記クライアント端末に送信する部分配信部と、
を備えた管理装置。
【請求項4】
ネットワークを介してクライアント端末と接続する管理装置に実行されるプログラムであって、
前記ネットワークを介してコンテンツの少なくとも一部を送信する前記クライアント端末との接続を確立するステップと、
前記コンテンツの更新を検出するステップと、
前記検出した前記コンテンツの更新を契機に、この更新部分を前記クライアント端末に送信するステップと、
を前記管理装置に実行させる非同期通信プログラム。
【請求項5】
ネットワークを介して管理装置と接続するクライアント端末であって、
前記ネットワークを介してコンテンツの少なくとも一部を受信するための接続を前記管理装置との間で確立する接続部と、
前記コンテンツの更新部分を待ち受ける待受け部と、
前記待受け部で受信した更新部分に基づいて前記コンテンツを部分的に更新する部分更新部と、
を備えたクライアント端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2006−268470(P2006−268470A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−86067(P2005−86067)
【出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】