説明

非定常状態プロフイル透過率計の方法と装置

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は透過率などの属性を決定する際に用いられる方法と装置に係り、特にリザーバロックのコアサンプルの透過率を測定する非定常状態非破壊的方法に関する。
【0002】
【従来技術】透過率は、リザーバロックなどの多孔性材料の流体を送出する容量(ロックの流体伝導度)である。この透過率はリザーバ内の流体流の速度を決定する際の最も重要なパラメータの1つである。スラブ化または非スラブ化された全コアに対する詳細な透過率の測定の地質学的に複雑で異質な構造に対しては特に有用である。透過率の非破壊測定に「プローブ透過率計」を用いる概念は公知のものである。このような装置の1つは Edinburgh Petroleum Services で製造されている。
【0003】小径のチューブまたはプローブがリザーバから切断されたコアサンプルの表面に対して押圧される。このプローブの端部は、サンプルとプローブの間で気密封止を形成するゴム製ガスケットまたはOリングに嵌合される。この封止部分の内部を通してロックサンプルに一定の測定圧で空気または窒素が供給される。次に、このガスは、封止部分下方の点からロックサンプルを通して拡散し、わずかに半球状のパターンをなして放散し、最後に、ガスケットまたはOリングの外径部分を越えてサンプルの上面から、また大気圧に露出されるサンプルの他の表面から放出される。
【0004】プローブから送出されたガスの流量および圧力は質量流量計やロタメータおよび圧力トランスデューサや圧力ゲージなどの装置により直接測定される。流量および圧力が一定(時間的に変化しない)になると、「定常状態」が得られる。次に、上流の送出圧力および流量が記録され、透過度が計算される。この従来の定常状態法の変形例は、流量制御装置により上流の送出流量を一定に保持することからなる。上流の送出圧力が時間的に不変になると、定常状態の条件が得られ、測定がなされる。
【0005】このような定常状態測定法の1つの欠点は、定常状態になるまでに長居時間がかかる点にある。定常状態に達するまでの待ち時間は、コア材料の透過率が減少するにつれて増加する。すなわち、この待ち時間は透過率の小さなサンプルの場合20分以上になる。他の問題点は、流量を直接測定しなければならないということにある。殆どの流量測定装置は精度が単に約±1%という非常に狭い範囲にある。現在、市販されているプローブ透過率計により測定できる透過率の範囲は約0.1ミリダルシ(md)から約10,000mdの範囲にあることが要求されている。しかし、約5md以下の透過率の測定は大きなパーセント誤差を有する。本発明の目的は、リザーバロックの透過率を決定する方法と装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、ガスが正確に知られた容積のリザーバからコアサンプル中に流入するときの時間幅とガス圧力の変化を直接測定する瞬間圧力−減衰方法を用いる。この方法は次に、容積と圧力−時間パラメータから間接的に流量を決定し、瞬間的な流量と上流圧力に基づいてコアサンプルの透過率を計算する。この方法によれば、測定可能な透過率の範囲が増加される。また本発明の方法と装置によれば、Klinkenberg 透過率および有効(非スリップ補正された)ガスの透過率が決定される。
【0007】
【実施例】図1はプローブ透過率計10の第1の好適な実施例を示した図である。この透過率計10は、テーブル12、このテーブル12に装着されてコアサンプル16を保持するコアラック14、プローブ22をコアサンプル16上の所望の位置に配置するx−キャリッジ18およびy−キャリッジ20、圧力トランスデューサ24、およびマニホールド28と大形タンク容器30と制御システム(図略)を有するリザーバシステム26とで構成されている。当該透過率計10に供する制御システムにはコンピュータ(図略)が用いられる。
【0008】オペレータはコアラック14の第1チャネル191内にコアサンプル16を配置する。コアサンプル16は、コアサンプル16の上端部196が第1チャネル191のチャネルエッジ部198に向かうように配置される。コアサンプル16がスラブ状のときには、このサンプルはその平表面200が上向きになるように配置される。
【0009】スラブ状コアサンプルは、プローブ22とコアサンプル16のスラブ面200の間を適切に封止すると好適である。スラブ状コアを調節するために、コアの一部が、通常はダイアモンド埋め込みソーにより除去され、コア上に平表面を形成する。コアサンプル16の「上部」1/3が除去されることが多い。ここで「上部」とは、コアサンプル16がその軸線を水平位置にして配置されたときのコアサンプル16の上部をさす。スラブ状表面200は、プローブ22の平坦底部に従うその平坦さのために良好な封止を提供する。
【0010】未スラブ状全コアサンプル(図略)を適切に封止するために、プローブ22は、コアサンプル16の軸線の軸上に配置し、コンプライアントなプローブチップ(図略)と嵌合させ、全コアの曲率を補償するようにする。透過率の計算は、プローブ22がコアサンプル16の平面状上部境界に対して封止されているということに基づいてなされるが、当業者は湾曲面に対する計算に適合させることもできる。
【0011】コアサンプル16を適切に配置すると、オペレータは、コアラック14内の被測定コアサンプル16毎にコンピュータに基準の深さを入力する。コアサンプル16がコアサンプル長に切断されると、通常地面たらコアサンプル16が取られたリザーバの深さがコアサンプル16上に書かれ、またこの深さに対するコアサンプル16上の特定のラインを示すラインがコアサンプル16の軸線に垂直に描かれる。正常なときは、コアの1メートル毎に少なくとも1つのこのようなリザーバ深さマークが与えられる。
【0012】透過率計10内のテーブル12がxおよびy座標に区画され、これらの座標はテーブル12の前方左角から測定される。オペレータは、被試コアサンプル16上の基準深さラインの(オペレータに最も近い)前縁部のすぐ上に至るまでプローブ22を手動で配置する。これは、プローブ22が所望位置に至るまでyキャリッジ20をyレール36に沿い前方または後方に移動させると共にxキャリッジ18をxレール38に沿い横方向に移動させることにより行われる。
【0013】透過率計10内のプローブ22の配置はレーザ光17(図2に示した)を用いることにより容易になる。レーザエネルギー源(図略)は、プローブ22の上部円筒ハウジング94の上部に配置されたレーザ光170を付勢する。透過率計10内のレーザ光ハウジング172は、プローブ22の軸線に沿い上部円筒状ハウジング94の上部に装着され、長さが約1インチの円筒をなしている。平面ガラスレンズ174は、例えば Edmonds Scientific 社により製造されたもので、レーザ光170の下方のレーザ光ハウジング172の底部に配置される。レンズ174はOリング176に対して配置され、このOリング176は、上部円筒状ハウジング94の上室120に導く開口177を囲む溝に装着され、レーザ光ハウジング172と上部室120の間を封止する。
【0014】得られた光ビームは、ガラスレンズ174、開口178、プローブロッド106の中央を貫通する軸孔180、この軸孔180の底部の Plexiglasプラグ182、および下部円筒状ハウジング96内のプローブ室54の要部を通り、プローブの底部から出射する。この光は、コアサンプル16上で小さな赤い点状をなし、プローブ22の中心線が下げられたときに触れるコアサンプル16状の正確な位置を示す。
【0015】プローブ22が適切に配置されると、オペレータはボタン(図略)を押圧し、プローブ22が、このコアサンプル16に対する基準点の上にプローブ22が配置されたことをコンピュータに信号指示する。次に、コンピュータは、x位置センサ32およびy位置センサ34からの位置データを入力する。なお、透過率計10はxおよびy位置センサ32、34を用いているが、ステッパモータや駆動ねじ(図略)などの他の位置決定方法を用いることもできる。
【0016】コンピュータはこのコアサンプル16の基準点に対するxおよびyデータを格納する。x座標は基準深さを表し、y座標はテーブル12の前部に最も近いコアサンプル16の縁部を表す。プローブ22がxレール(図1)に沿い右手に移動されると、コンピュータは、コアのこの部分が、コアサンプル16の基準点によりリザーバ内でより深い点からなので、移動される距離を基準点に加えて深さを決定することになる。左手への移動はより浅い深さからのコアを表す。
【0017】y基準点は、オペレータに向かってコアラック14の前部に最近接するコアサンプル16の立ち上がりエッジを表す。プローブ22がyレール36に沿いオペレータから離れるように移動されると、コンピュータは、プローブ22がここではさらにコア内に配置されるので、y基準点に対して上記距離を付加する。このコアサンプルに対するyの最大値はコアサンプル16のスラブ状部分の幅になる。
【0018】同様にして、オペレータは、コンピュータコアラック14内の各々のコアサンプル16の上端部196および底部(図略)を示すと共に、荒石、がま、あるいはその他の望ましくない条件のためスキップされるコアサンプル16の任意部分の開始および終了点を示す。
【0019】図3はプローブ22およびリザーバシステム26の概略図であり、これらのプローブおよびリザーバシステムは、好適な実施例の透過率計10においては、正確に既知の容積の4つのガス収容室を有する。好適な実施例におけるこれらのガス収容室は Boyleの法則の方法により較正することができ、この方法においては、正確に既知容積の基準セル(図略)内の既知圧力のガスが較正される各々の室に膨張される。ガスの室内への膨張後、ガスの圧力が測定され、またその室の容積が、膨張開始時の既知圧力、膨張後の測定圧力、および基準セルの既知容積から計算される。
【0020】加圧ガス供給源40からガスが充填弁42を通してリザーバシステム26およびプローブ22に供給される。本透過率計10には窒素ガスが用いられるが、空気やヘリウムなどの他のガスを用いることもできる。ガスは、マニホールド室44(44A−Cとして示してある)に充填されると共に、小タンク弁48を通して小タンク室46(46A−Cとして示した)を、大タンク弁52を通して大タンク室50(50A−Cとして示してある)、およびプローブ弁56を通してプローブ室54に充填される。圧力トランスデューサ24は、プローブ室54がコアサンプル16と封止連通されたときのプローブ室54内のガス圧力を測定する。通風弁60がマニホールド室44に接続され、リザーバシステム26が大気圧に初期化されることを許容するために、また圧力トランスデューサ24の較正および上記室44、46、50〜54の較正のために設けられる。
【0021】本透過率計10における4つのガス収容室の近似的な要領は、大タンク室50が720cc、小タンク室46が120cc、マニホールド室44が20cc、プローブ室54が4ccである。このリザーバシステム26の構成の設計は、最大から最小までの各々のガス収容室の遮断が各々の6倍の残る容積の低減をもたらす。これに対応して、圧力減少速度は、これがリザーバシステム26およびプローブ22の全接続容積に逆比例することから因子6だけ増加される。透過率計10のマニホールド28は、以下に示すように、各種キャビテイを形成するように加工されたマニホールドブロック62と、ガス収容室と、チャネルとで構成されている。
【0022】図4に示したように、マニホールドブロック62の、大タンクコンテナ30から分離されたときの背面図から、通風弁キャビテイ64、充填弁キャビテイ66、プローブ弁キャビテイ68、およびOリング58により封止された大タンク流入口50Aの存在が明らかになる。本好適な実施例におけるマニホールドブロック62はアルミニウムで形成されるが、これは単なる例に過ぎず、真ちゅうなどの他の許容できる材料を用いてもよい。この材料は、以下に説明するように、その熱容量および熱伝導率に対して選択される。
【0023】図5は、マニホールドブロック62の上部部分を通しての図4のラインA−A′に沿う断面図である。この図には、通風弁キャビテイ64、充填弁キャビテイ66、小タンク弁キャビテイ70、プローブ内容積部分54A、プローブ外容積部分54B、およびマニホールド室44の3部分、すなわち通風チャネル44A、中央マニホールド内孔44B、および小タンクチャネル44Cが示してある。透過率計10の小タンク室46は3つの部分、すなわち上部部分46A、中央部分46B、および下部部分46C(図6に示してある)からなる。おな、小タンク室46からなる部分の個数、およびこれらの部分の形状と関係は単に例示としてのみ与えられたためのものであり、他の構成を排除するものではない。
【0024】図6はマニホールドブロック62の下部部分を通しての図4のラインB−B′に沿う断面図である。この図には、大タンク弁キャビテイ72、プローブ弁キャビテイ68、中央マニホールド内腔44B、プローブ内容積部分54A、プローブ外容積部分54B、プローブチャネル54C、トランスデューサチャネル54D、および大タンク室50の3つの部分のうちの2つ、すなわち大タンクチャネル50BおよびOリング58により大タンク容器(図略)から封止された大タンク流入口50Aが示してある。本好適な実施例の小タンク室46の底部部分46Cおよび大タンク室50の主本体50C(図3に示した)は銅製チューブ(図略)を収容し、リザーバシステム26が充填されたとき、またはリザーバシステム26からガスが解放されつつあるときリザーバシステム26内の温度を安定化させるように作用する。これは例示としてのものであり、本発明はこの温度安定化手段に拘束されるものではない。
【0025】ガスの温度が試験中ほぼ一定のときは改善された試験結果が得られる。ガスがリザーバの充填段階中に圧縮されるときは、リザーバシステム26内の温度は増加する。ガスが膨張するとき、温度は減少する。本好適な実施例の透過率計10においては、上記のように、リザーバシステム26のアルミニウム壁付き大タンク室50と小タンク46内に銅製チューブが配置される。この銅製チューブは大きな熱伝達面積を与え、大きな熱容量を持つので、温度安定器として作用する。この銅製チューブは、ガスがリザーバシステム26に供給される。また、ガスの温度が比較的一定のときは熱を吸収する。ガスがプローブ室54およびコアサンプル16中に膨張されると、銅製チューブの蓄積熱により膨張に起因して失われた温度が回復される。
【0026】この温度はまた、マニホールドブロック62および大タンク容器30に用いる材料によっても影響される。本好適な実施例においては熱伝達特性の点からアルミニウムが使用される。真ちゅうなどの他の材料も使用可能である。
【0027】図7は、マニホールド28およびプローブ2つの軸線を通しての図4のラインC−C′に沿う断面図である。この図には、プローブ室54の構成部分の全て、すなわち、プローブ内容積部分54A、プローブ外容積部分54B、プローブチャネル54C、トランスデューサチャネル54D、およびプローブクロス内腔54E、54Fが示してある。プローブ室54の構成部分の個数は、例として与えられたものであり、本発明を限定するものではない。
【0028】プローブ22は、3つの主要な部分、すなわちプローブハウジング90、プローブアセンブリ92、およびプローブ室54(54A−Fとして示してある。)を備えている。プローブ22の基本的な機能は、コアサンプルと共に封止を形成し、マニホールド室44とコアサンプルの間で加圧ガスに対する一定容積の通路として作用し、さらに加圧ガスのコアサンプル中への加圧ガスの注入点の近傍でガス圧力測定に対するサンプリング点を与えることにある。プローブハウジング90は、上部円筒状ハウジング94、下部円筒状ハウジング91、および下部ハウジングキャップ98から構成される。本好適な実施例においては、上部および下部円筒状ハウジング94、96はねじ込み接続部100で接続され、Oリング102により封止される。同様に、下部円筒状ハウジング96および下部ハウジングキャップ98がねじ込み接続部104で接合される。
【0029】プローブアセンブリ92は、上端部がねじ込み接続部110でオペレータピストン108に接合され、その下端部がねじ込み接続部114でプローブ先端部112に接合されたプローブロッド106を備えている。プローブアセンブリ92は、プローブハウジング90の内壁により形成されると共に、上部円筒状ハウジング94のオペレータピストン108により、また3つのOリング、すなわち、上部円筒状ハウジングの上部室120と下部室122の間で気密封止を形成するオペレータピストン108の外面の溝の第1のOリング116と、下部円筒状ハウジング96の内面の上部近傍の溝に配置された第3リング126とにより案内された円筒状空間内を上下に移動する。第2のOリング124と第3のOリング126はそれぞれプローブ外容積部54Bに対する上部および下部封止を形成する。
【0030】オペレータがコンピュータの初期化を完了すると(上記のように)、透過率計22は、以下の第2の好適な実施例の説明で示されるように、手動で配置することができると共にコンピュータで自動的に配置することができる。自動モードでは、コンピュータは(図1に示した)コアサンプル16の上端部196近傍の第1チャネル191内のコアサンプル上にプローブ22を配置する。さらに、コンピュータは、x位置センサ32およびy位置センサ34からの入力により位置のxおよびy座標を記録する。
【0031】リザーバ充填段階を開始するために、コンピュータは、リザーバシステム26内の弁(図3に示した)を要求された位置に調整し、これによりプローブ弁56および通風弁60が閉じられ、大タンク弁52、小タンク弁48、および充填弁42が解放される。次に、リザーバシステム26の3つのガス収容室(以下に示す)が、リザーバシステム26内で所望の充填圧が得られるまで加圧ガス供給源40からガスで充填される。本好適な実施例の透過率計10では充填圧力は約15psigに設定される。リザーバシステム26の3つのガス収容室はマニホールド室44(44A−Cとして示してある。)、および大タンク室50(50A−Cとして示してある。)である。
【0032】プローブ室54には、プローブ弁56が閉塞されることから、加圧ガスは印加されず、このリザーバ充填段階の間は大気圧に維持される。本好適な実施例の透過率計10に使用される弁はガス付勢ポペット弁であり、開放に約1/100 秒を必要とする。本好適な実施例においては加圧ガス供給源40からの窒素により弁を付勢する。通風弁60および充填弁42のストロークは約1/16インチであり、大タンク弁52、小タンク弁48、およびプローブ弁56のストロークは約3/16インチである。
【0033】さらに、本好適な実施例の透過率計10においては、プローブ弁56の端部(図略)は弾丸状に形成される。プローブ弁56を閉鎖するために、加圧ガス供給源40からのガスはプローブ−弁キャビテイ68に注入される。ガス圧力がプローブ−弁キャビテイ68(図5および図7)を通してプローブ弁56を押圧し、またプローブ弁56周りに弾丸状端部から約3/16インチに配置されたキャプチャOリング(図略)は、プローブ室54とマニホールド室44の間で気密封止を与えるプローブ−弁キャビテイ68内のシート67(図5および図7)を押圧する。
【0034】プローブ−弁キャビテイ68内の加圧ガスが解放されると、ばね(図略)はプローブ弁56をその解放位置に逆に付勢する。大タンク弁52、小タンク弁48、充填弁42、および通風弁60の全てが同様に動作する。本好適な実施例においては、弁内腔キャップ(図略)が適切にねじこまれて各弁をそれらのそれぞれの弁キャビテイ内に保持する。大タンク容器30は通風弁60、充填弁42、およびプローブ弁56の弁内腔キャップ(図略)はそれぞれマニホールドカバー(図略)の右および左側によりカバーされる。
【0035】次に、コンピュータはプローブアセンブリ92が降下するように指示する。本好適な実施例の透過率計10においては、プローブアセンブリ92の垂直移動は空気式制御装置(図略)により実現され、これらの制御装置は、加圧ガス供給源40からの窒素を上部流入口140に注入すると共に流入のチャネル142を通してプローブ22の上部室120に注入するように作用する。これは、オペレータピストン108の上面144に圧力を与え、これによりプローブアセンブリ92は、プローブ先端部112(図7)の溝148内に配置されたキャプチャ−Oリング146がコアサンプル16に係合すると共に加圧封止を形成するまで下方に移動される。オペレータピストン108が下方に強制されると、下部室122のガスは下部室通路152を通して排出される。
【0036】ここで、コンピュータは必要な圧力−時間測定を行う準備が完了し、以下に示すように圧力−減衰パラメータおよびコアサンプル16の透過率を決定する。プローブ弁56が解放され、これにより加圧ガスはプローブ室54を充填すると共にプローブ先端部112を通してコアサンプル16に進入する。プローブ室54はリザーバシステム26のガス収容室(約860cc)に比べて非常に小さい(約4cc)ことから、ガスがこの付加的な室内に膨張するとき圧力降下は最小となり、さらに生じたプローブ室54内の圧力はリザーバシステム26の充填圧力にほぼ等しくなる。
【0037】プローブ室54のトランスデューサチャネル54D(図7)内のガス圧力を測定する圧力トランスデューサ24からの入力を用いて、コンピュータは充填圧力を記録すると共に経過時間クロック(図略)を開始する。次に、コンピュータは2つの事象の第1の事象の発生を待機し、圧力トランスデューサ24により測定された圧力のいづれかが充填圧力の92.5%または2.5秒の経過にまで降下する。この第1の事象が生じると、コンピュータはその圧力および経過時間を記録し、経過時間クロックをリセットする。
【0038】次に、コンピュータは、次の2つの事象の第1の事象の発生を待機し、プローブ室54内の圧力は充填圧力の50%かリセットタイマの2.5秒経過のいずれかに降下する。次に、コンピュータは、使用される加圧ガスの好適な容積を選択して、これらの2つの組の圧力−時間値またはそれらの生じた圧力減衰率をコンピュータに記憶された所定のしきい値と比較することによりこのテスト位置におけるコアサンプル16の透過率を決定する。
【0039】本好適な実施例においては、コンピュータにより4つの異なる容積を選択することができる(図3R>3)。高透過率コアサンプルの場合(最も速い圧力減衰率)、コンピュータは、大タンク室50(50A−Cとして示してある。)、小タンク室46(46A−Cとして示してある)、マニホールド室44(44A−Cとして示してある)、およびプローブ室54のうち最大容積を選択する。次のより低い透過率範囲に対しては、コンピュータは、小タンク室46、マニホールド室44、およびプローブ室54を残して下タンク弁52を閉塞することにより次の最小容積を選択する。次に低い透過率範囲に対しては、コンピュータは、マニホールド室44およびプローブ室54を残して大タンク弁52および小タンク弁48を閉塞することにより次の最小容積を選択する。最小透過率範囲(最も遅い圧力減衰速度)に対しては、コンピュータは、大タンク弁56を閉塞することにより最小ガス収容室およびプローブ室54を選択する。
【0040】変化する圧力減衰速度に対応する1組の最大テスト時間間隔がコンピュータに格納され、これはオペレータにより修正可能である。最大テスト時間区間は、所望の圧力トランジエントが発生するのに必要な時間量にわたる。本好適な実施例においては、約0.1mdより大きな透過率のコアサンプルに対して最大時間24秒が用いられる。より低い透過率のコアサンプルに対しては、好適な最大テスト時間は約30秒である。圧力トランジエントが生じるのに必要な時間は、リザーバシステム26およびテストに用いられるプローブ室54の累積容積1およびコアサンプル16の透過率、さらにOリング146とコアサンプル16の間に形成された封止部分の内径149(図3に示してある)に正比例する。本好適な実施例における圧力トランジエントに要する時間は、0.1mdより大きな透過率の場合は4〜24秒と予測され、また0.1〜0.001mdの透過率の場合は24〜35秒と予測される。
【0041】全測定組に対して非常に低い透過率が予測されるときは、圧力トランジエントに対する時間は、Oリング146とコアサンプル16の間の形成された封止の内径149(図3)を増加させることにより低減されるかまたはより低い透過率限界が拡張可能になる。封止の内径を増加させる1つの方法は図9に示されたような異なるプローブキャップ112を用いることにより実現される。
【0042】コンピュータが、適当な弁を閉じることによりリザーバの容積を調整すると、圧力および時間が記録される。本好適な実施例においては、圧力トランスデューサ24は、秒あたり約100回プローブ22のトランスデューサチャネル54D内の圧力をサンプルする。コンピュータは一連の所定の19個のしきい値を用いる。圧力の値がしきい値に達すると、コンピュータは圧力と対応する時間区間を記録する。最低圧力しきい値(本好適な実施例においては、0.15psig)が得られると、または最大テスト時間が経過すると、どちらが初めに生じても、最終圧力測定値および時間が記録されてこの測定位置に対する2対の圧力−時間測定値の最小値を与える。次に、コンピュータはプローブ弁56を閉じると共に大タンク弁52、小タンク弁48および充填弁42を開放して次のテストのためにリザーバシステムを最充填する。
【0043】このリザーバ充填段階の間に、コンピュータは、加圧ガスを流入チャネル142および上部流入口140を通してプローブ22の上部室120から排出し、ガスを下部室通路152を通して加圧供給源40から下部室122に注入することによりプローブアセンブリを上昇させる。オペレータピストン108の底面154に対するガスの圧力によりオペレータピストン108の上方に駆動されてプローブアセンブリ92の上方運動を強制し、かくしてOリング146とコアサンプル16の表面200との間の圧力封止を破壊する。
【0044】コンピュータは、プローブアセンブリ92を上昇させながら、測定点におけるコアサンプル16の透過率を決定する。従来の定常状態法でなされたように流量を直接測定する代わりに、本発明の瞬間圧力−減衰法では、既知の調節されたリザーバ容積および測定された圧力−時間値から得られた圧力−減衰速度を用い、これにより圧力−時間測定対の瞬間流量関数が次のように計算される。
y[n]= VT (1n(p[n-1]/p[n]))/(t[n]-t[n-1]) (1)
ただし、 VT は調節されたリザーバの容積、 p[n] は対をなす圧力測定値の第2の対の測定値、 p[n-1] は対をなす圧力測定値の第1の対の測定値、さらに (t[n]-t[n-1])は2つの圧力測定の間の時間幅である。
【0045】上記瞬間流量関数 (y[n]) は、この y[n] が計算された圧力−時間幅の幾何学的平均圧力である。対数圧力範囲の中点で有効である。ガスは大気圧でコアサンプル16から排出され、また圧力トランスデューサ24のガス圧力は本好適な実施例においてはpsigとして測定されるので、圧力の測定はガスが流れるコアサンプルにおける瞬間的な圧力降下を表す。したがって、瞬間的な流量関数 (y[n])毎に、対応する瞬間圧力降下値 ( Pg [n])はこの幾何学的な平均圧力であり、それは、 pg [n]= ((p[n])(p[n-1]))1/2 (2)
として計算される。このようにして、幾つかの対をなす瞬間流量関数と圧力降下値が得られる。
【0046】上記の瞬間流量関数は次の等価な関係によっても表すことができる。
y[n]= (q[n])(p g [n]+ pa )/p g [n] (3)
ただし、qはコアサンプルに侵入するガスの瞬間容積測定流量、 pg は瞬間圧力降下値、 pa は大気圧である。
【0047】コアサンプル16に注入されるガスの圧力は時間と共に徐々に減少するので、平均流速、平均ガス密度、および平均細孔圧力の全てが対応して減少する。したがって、Klinkenberg (ガススリップ補正された)透過率、Klinkenberg スリップ因子、および Forchheimer慣性抵抗因子の全てが、 Forchheimer流れ方程式の適当な積分形を用いて多くの流動条件から決定することができる。これらのパラメータの全ては、上記のように、測定位置で記録された圧力−時間値の対から計算された単一圧力トランジェントから決定することができる。
【0048】
T=摂氏度で示した周囲温度として、式 = 0.01652 + 0.0000468 T (4)
により本好適な実施例で用いる窒素の粘性を決定した後、幾何学的因子( Go ri ) が選択される。この幾何学的因子は、Klinkenberg 透過率の既知の値、好適には限定応力に外そうされた値を持つ1組の均一コアサンプルを較正することにより得ることができ、あるいはこの幾何学的因子は、コアサンプル16に封止連通するOリング146の要部の内外半径(r i ), (ro ) ,および Go の値から理論的に計算することができる。ただし、 Go は、 D. J. Goggin, R. L. Thrasher & L. W. Lakeにより、ガス損失&高速流動降下を含むミニ透過率計応答の理論的&実験的解析(A Theoretical & Experimental Analysis of Mini-Premeameter Response Including Gas Slippage & High Velocity Flow Effects)(In Situ, Vol. 12,1988,79ページ)に示された外側半径の内側半径に対する比( ro /ri ) の関数である。
【0049】プローブ22からコアサンプル16を流れるガスの幾何学的形状は複数であり、流路長はかなり変動する。最も短い流路は、Oリング146の内側からその外側までの、コアサンプル16の表面直下のもので、上記外径を丁度越えてコアサンプル16の上面から出てくる半径方向の流路である。これらの流路の長さは大きく変動するため、流速も変動することになる。これらの変動は透過率の不均一性により強調される。したがって、かなり低い透過率のサンプルの場合を除くと、透過率の測定値は、プローブ22の圧力がかなり低い場合でも、省略できない慣性流抵抗の影響を受け易くなる。
【0050】この慣性流抵抗は、原理的には、瞬間圧力−減衰法でなされた多数の測定値から説明することが可能である。しかしながら、主として非常に不均質な石に対してなされる測定の場合は、全測定範囲にわたって Darcyの法則が適用されないコアサンプルは仕方がないとしても、計算はより粗いものになる。 Darcyの法則が適用されるか否かを決定するためには、選択された対をなす瞬間流量関数と圧力降下値の最小二乗曲線当て嵌め(カーブフイット)から得られた係数が解析される。2〜3対のデータが得られるときは、線形最小二乗曲線当て嵌めにより、関係 y[n]= A0 + A1pg [n] (5)
から係数 A0 (切片)および A1 (傾斜)が得られる。 Darcyの法則は、 A0 および A1 が共にゼロより大きければ測定範囲全体にわたって適用できる。
【0051】さらに多くのデータが得られるときは、最低圧力測定値を表す最後の6対のyと pg 値を用い、関係 y[n]= A0 + A1pg [n] + A2pg [n]2 (6)
に基づく2次方程式から係数 A0 , A1, および A2 が決定される。
【0052】A0 とA1がゼロより大きく、 A2 がゼロに等しいときは、6対のデータの全範囲にわたって Darcyの法則が適用される。このような Darcyの法則が適用されるときは、スリップ補正Klinkenberg 透過率(k∞) とKlinkenberg スリップ因子(b)は、次のように、圧力−時間測定から得られた係数 A0 ,A1から直接計算することができる。
k∞=29392 μ A1/Go r i (7)
b= A0/2A1 -pa (8)
ただし、μはガスの粘性であり、 Go r i は選択された幾何学的因子であり、さらに pa は大気圧である。
【0053】データが、 Darcyの法則が適用されないことを示すときは、瞬間流量関数(y* )は、最小瞬間圧力降下値(pg * ) に対応して、上記式(6)に示したように、二次の最小二乗関係から得られる。最小の pg * が選択されたしきい値より小さいときは、y * はゼロの pg * に対応するように外そうされる。 pg * 値がゼロのときは、対応するy * は値 A0 を有する。単一対のyと pg の値のみが得られる非常に低い透過率サンプルの場合には、y * は y[1] の値になり、また pg* は pg (1)の値になる。
【0054】スリップ因子(b)は、 Darcyの法則が適用されないより大きな透過率のコアサンプルの測定から直接は得られないが、この場合のスリップ因子はかなり小さく、Klinkenberg 透過率の計算を許容する適切な精度で相関により得ることかできる。相関から得られるスリップ因子は以下では b* により示すものとする。
【0055】相関からスリップ因子を得るには、スリップ因子( b* )の初期評価がなされ、次に、式 k∞=29392 μ y* /((Go r i ) (pg * + 2 pa + 2 b* )) (9)
にしたがって、Klinkenberg 透過率(k∞)が計算される。ただし、μはガスの粘性、 pg は選択された瞬間圧力降下値、y * は瞬間流量関数、 Go r i は幾何学的因子、また pa は大気圧である。
【0056】次に、計算されたk∞の値を用いて、式 b* = 6.9 k∞-0.382 (10)
からスリップ因子( b* )の改善された評価値が得られる。さらに、この新しいスリップ因子( b* )が式(9)に代入され、このプロセスが1つの繰り返しから次の繰り返しまでのスリップ因子( b* )の変化が0.1psi 以下になるまで反復される。次に、非スリップ補正ガス透過率としても知られる有効ガス透過率( kG ) が式 kG =29392 μ y* / ((Go r i ) (p g *+ 2 pa )) (11)
により計算される。ただし、μはガスの粘性、 pg * は選択された瞬間圧力降下値 y* は対応する瞬間流量関数、 Go r i は幾何学的因子、また pa は大気圧である。
【0057】リザーバ充填段階および計算がなされるので、コンピュータはyレール36に沿いプローブ22を収容するyキャリッジ20(図1)を移動させることにより、および/またはxレール38に沿いyキャリッジを収容するxキャリッジ18を移動させることにより、プローブ22を次の測定位置に配置する。この次の測定位置は、コンピュータにより決定されるが、第1チャネル191のコアサンプル16の端部がテストされているときは、コアラック14の第2チャネル192内に配置された次のコアサンプル16の初期位置のいずれかである。オペレータによる手動配置も可能である。このプロセスは、測定がなされ、透過率がコアラック14のコアサンプル16内の全ての所望測定点の全てに対して計算される。
【0058】図10および図11は第2の好適な実施例の透過率計210のそれぞれ前端部図および側面図である。yレール236およびxレール238に沿うプローブ32の物理的配置はオペレータにより手動でなされる。プローブ22の位置の検出は、基準点(基準深さマークに沿うコアサンプルの立ち上がりエッジ)に対するプローブ22の位置を連続的に測定する位置決めセンサ(Temposonics により製造されているものなどの)を用いて自動的になされる。本透過率計210では位置決めセンサにx線形変位トランスデューサ232およびy線形変位トランスデューサ234を用いるが、その他のセンサを用いることもできる。コアサンプル16に係合するプローブ22の垂直移動、リザーバシステムにおける弁の動作、圧力−時間の読み取り、および各計算は透過率計10に対してすでに説明したようにコンピュータにより自動的になされる。
【0059】オペレータはコアラック214上にコアサンプル16を配置し、コアサンプル上端部(図略)はコアラック214の左端部に、スラブ状面200はプローブ22に向けて上方に配向させる。次に、オペレータはコアサンプル16の基準深さ(上に説明した)と共にコンピュータを初期化する(図略)。さらに、オペレータは、レーザ光を用いて(上記のように)プローブ22をコアサンプル16上に配置する。xキャリッジ218が、プローブ22がコアサンプル16上の基準深さ線の直上のx軸線上に整合されるまで、xレール238に沿って移動される。次に、yキャリッジが、本実施例においてはコアラック214であるが、プローブ22が基準深さ線の立ち上がりエッジを越える(オペレータに向けて)までyレール236に沿い前後に移動される。さらに、オペレータはx線形変移トランスデューサ232およびy線形変移トランスデューサ234からの入力を用いて基準深さ線のxおよびy位置を記録する。
【0060】ここで、オペレータはプローブ22を被試コアサンプル16上の部位に手動で配置する。プローブ22が適切に配置されると、オペレータはボタンを押圧し、自動化手順を起動する。コンピュータはテスト点のxおよびy位置を記録し、次にプローブ先端部112 のOリング146 の間に封止部が形成されるまでプローブ22を降下させ、透過率計10に対して上記したように自動化段階を継続する。
【0061】測定点に対して圧力−時間測定および透過率計算が完了すると、コンピュータはプローブ22を自動的に上昇させ、リザーバ充填段階に行く。次に、コンピュータはオペレータがプローブ22を次の所望のテスト点の上に手動で配置するのを待ち、この手順が繰り返される。以上の説明は本発明の2つの好適な実施例についてなされたが、添付した請求の範囲に示されるように本発明の範囲から逸脱せずに多くの変形または変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一好適な実施例の斜視図である。
【図2】プローブの断面図である。
【図3】リザーバシステムとプローブの概略図である。
【図4】リザーバシステムのマニホールド部分の背面図である。
【図5】通風弁および充填弁キャビテイを通しての図4のラインA−A′に沿う断面図である。
【図6】プローブ弁および大タンク弁キャビテイを通しての図4のラインB−B′に沿う断面図である。
【図7】プローブの軸線を通しての図4のラインC−C′に沿う断面図である。
【図8】本発明の好適な実施例に用いられるプローブ先端部の断面図である。
【図9】低透過率コアサンプルと共に用いられる選択プローブ先端部の断面図である。
【図10】本発明の第二の好適な実施例の前面図である。
【図11】図10と同様の図である。
【符号の説明】
10 プローブ透過率計
12 テーブル
14 コアラック
16 コアサンプル
18 xキャリッジ
20 yキャリッジ
22 プローブ
24 圧力トランスデューサ
26 リザーバシステム
28 マニホールド

【特許請求の範囲】
【請求項1】 コアサンプルの透過率を決定する過渡的圧力−減衰方法であって、(a) コアサンプルに封止連通するようにプローブを配置するステップと、(b) 加圧ガスを含む既知容積のリザーバからコアサンプルに前記プローブを通して加圧ガスを注入し、これにより加圧ガスがコアサンプルを通し変形半球パターンをなして拡散するステップと、(c) 前記ガスがプローブを通してコアサンプル内に流れるときこのガスの圧力(p)を選択された間隔で測定すると共に圧力測定間の時間(t)を測定するステップと、(d) このステップ(c)の圧力−時間の測定に基づいて瞬間圧力−減衰パラメータを計算するステップと、(e) このステップ(d)の瞬間圧力−減衰パラメータからコアサンプルの透過率を決定するステップとを具備する透過率を決定する瞬間圧力−減衰方法。
【請求項2】 前記位置決めステップはさらにプローブを通してコアサンプル上にレーザ光を照射してコアサンプル上での選択された測定点でのプローブの位置決めを容易にするステップを含む請求項1記載の方法。
【請求項3】 前記圧縮ガスをコアサンプルに注入するステップは、(a) コアサンプルの透過率を評価するステップと、(b) このコアサンプルの評価された透過率に基づいて加圧ガスのリザーバの容積を、この容積が好適な容積にほぼ等しくなるまで調節するステップと、(c) このリザーバの調節された容積からの圧縮ガスをプローブを介してコアサンプルに注入するステップとを含む請求項1記載の方法。
【請求項4】 前記透過率評価ステップは、(a) コアサンプルに流入するガスの圧力の第1測定とこの測定が行われる時間の前記第1測定を行うステップであって、この第1測定が、ガスのコアサンプルへの流入開始時になされるステップと、(b) コアサンプルに流入するガスの圧力の第2測定とこの測定が行われる時間の前記第2測定を行うステップであって、この第2測定が、2つの事象のうちの第1の事象が生じたときになされ、前記事象の一方の事象はガス圧力の選択されたレベルへの降下であり、他方の事象は、第1測定後の選択された時間量の経過であるステップと、(c) コアサンプルに流入するガスの圧力の測定とこの測定を行う時間の測定との第3測定を行うステップであって、この第3測定は、2つの事象のうちの第1の事象が生じた時点でなされ、前記事象のうちの一方の事象はガス圧力の選択されたレベルへの降下であり、他方の事象は前記第2測定がなされてからの選択された時間量の経過であるステップと、(d) 前記各圧力測定とこれらの圧力測定の間の経過時間に基づいてコアサンプルの透過率を評価するステップとを含む請求項3記載の方法。
【請求項5】 前記リザーバは、その容積を調節する弁手段を有する複数個の室を備えており、室に対する弁の付勢によりこの室が閉じられると共にこの室の容積に等しい量だけリザーバの容積が低減される請求項3記載の方法。
【請求項6】 リザーバ内の各室の各容積を構成するステップをさらに含む請求項5記載の方法。
【請求項7】 前記加圧ガスはリザーバからプローブの室を介してコアサンプルに至ると共に、前記プローブ室は既知容積を有し、(a) 前記リザーバは弁駆動手段を有する3つの室を備え、(i) 第1室はプローブ室の容積の約5倍の容積を有し、(ii) 第2室は前記第1室の容積の約6倍の容積を有し、(iii) 第3室は前記第2室の容積の約6倍の容積を有し、(b) 前記容積調節ステップは、(i) 評価された透過率が第1透過率のしきい値より大きい第1室の弁手段を付勢するステップと、(ii) 評価された透過率が第2透過率のしきい値より大きいとき第2室の弁手段を付勢するステップと、(iii) 評価された透過率が第3透過率のしきい値より大きいとき第3室の弁手段を付勢するステップを含んでなる請求項5記載の方法。
【請求項8】 前記測定ステップは、(a) 選択された頻度でプローブ内のガス圧力を測定するステップと、(b) 圧力測定値を一連の選択された圧力しきい値と比較するステップと、(c) 圧力測定値を記録すると共に、圧力が選択された圧力しきい値の1つに達したときの測定時間を記録するステップと、(d) 2つの事象の第1の事象が生じるまでステップ(a)〜(c)を継続するステップであって、前記事象の一方は選択された圧力しきい値の最後のしきい値に達する圧力であり、他方の事象は選択された最大時間幅の経過であるステップとを含む請求項1記載の方法。
【請求項9】 前記瞬間圧力−減衰パラメータ計算ステップは、(a) 対をなす圧力−時間測定値に対して瞬間流量関数(y)を計算するステップであって、この計算が、VT =リザーバ内の加圧ガスの容積、p[n]=一対の圧力測定値の第2の測定値、(t[n]-t[n-1]) =2つの圧力測定値の間の時間幅として、y[n]= VT (1n(p[n-1]/p[n]))/(t[n]-t[n-1])からなるステップと、(b) 対応する瞬間圧力降下(p g ) を計算するステップであって、この計算がp g [n]=(p[n])(p[n-1]))1/2からなるステップとを含む請求項1記載の方法。
【請求項10】 前記透過率決定ステップは、(a) リザーバ内のガスの粘性(μ)を計算するステップと、(b) プローブとコアサンプルの間に形成されたシールの幾何学的形状に基づいて幾何学的形状因子(Go i ) を決定するステップと、(c) 選択された対をなす瞬間流量関数(y)と対応する圧力降下値(Pg )をカーブフィット(曲線の当てはめ)させて係数A0 , A1 およびA2 を決定するステップと、(d) Klinkenberg 透過率(k∞)を計算するステップであって、この計算がk∞=29392 μ A1/Go r iからなるステップと、(e) Klinkenberg ステップ因子(b) を計算するステップであって、この計算は、pa を大気圧として、b= A0/2A1 -Paからなるステップと、(f) コアサンプルの有効透過率(kG )を計算するステップであって、この計算は、pg = 瞬間圧力降下値およびy = 対応する瞬間流量関数として、kG =29392 μ y/( ( Go r i ) (pg + 2 pa ) )
からなるステップとを含む請求項9記載の方法。
【請求項11】 高透過率を有するコアサンプルに対する慣性流れ抵抗降下を排除するステップをさらに含み、この排除ステップは、(a) 複数のpg 値から最小の瞬間圧力降下値(pg * ) を選択するステップと、(b) 選択された pg * 値に基づいて瞬間流量関数(y * )を計算するステップであって、この計算がy * = A0 + A1pg * + A2 (pg * )2からなるステップと、(c) 選択された pg * 値が選択されたしきい値以下のとき値ゼロの Pg * に対応するように y* を外そうするステップと、(d) Klinkenberg スリップ因子( b* )に対する第1値を評価するステップと、(e) 前記スリップ因子( b* )に基づいてKlinkenberg 透過率(k∞)を計算するステップであって、計算がk∞=29392 μ y* /(( Go r i ) (pg * + 2 pa + 2 b* ) )
からなるステップと、(f) ステップ(e)のKlinkenberg の透過率(k∞)の計算値に基づいてKlinkenberg スリップ因子( b* ) の改善値を計算するステップであって、この計算がb* = 6.9 k∞-0.382からなるステップと、(g) 前回の繰り返しからのスリップ因子( b* ) の変化が選択された公差内に入るまでKlinkenberg 透過率とスリップ因子計算のステップ(e)と(f)を再び繰り返すステップと、(h) pg * とy * 値に基づいて有効透過率(kG )を計算するステップであって、この計算がkG = 29392μ y* /((Go r i ) (pg * + 2 pa ) )
からなるステップとを含む請求項10記載の方法。
【請求項12】 ガス圧力の測定前にリザーバ内のガスの温度が周囲温度に安定化することを許容するステップをさらに含む請求項1記載の方法。
【請求項13】 前記温度安定化ステップはリザーバ内に複数本の銅チューブを配置することにより容易化される請求項12記載の方法。
【請求項14】 瞬間圧力減衰法を用いてコアサンプルの透過率を決定する装置であって、(a) 既知容積の加圧ガスから加圧ガスを分与するリザーバと、(b) リザーバとコアサンプルに封止連通するプローブであって、リザーバからこのプローブを通してコアサンプル中に加圧ガスを通過させ、これにより加圧ガスが変形され半球パターンをなしてコアサンプルを通して拡散するプローブと、(c) 加圧ガスが前記プローブを通過するときの加圧ガスの圧力を測定する手段と、(d) 圧力測定の間の経過時間を測定する手段と、(e) 前記圧力−時間の測定値から圧力−減衰パラメータを計算すると共にこれらの圧力−減衰パラメータに基づいてコアサンプルの透過率を計算する手段とを備えたコアサンプルの透過率決定装置。
【請求項15】 前記プローブはリザーバに封止連通する入力端部と、コアサンプルに封止連通する出力端部と、前記入力端部を前記出力端部に接続する既知容積のプローブ室であって、前記圧力測定手段に圧力連通するプローブ室とを備える請求項14記載の装置。
【請求項16】 前記プローブの出力端部をコアサンプル上での選択された測定点に封止連通するように位置決めする手段をさらに備える請求項15記載の装置。
【請求項17】 前記位置決め手段は、(a) 前記プローブが移動自在に着座される第1キャリッジであって、コアサンプルの上に移動自在に装着され、前記プローブは、このプローブが測定点の第1座標に整合されるまでコアサンプルに沿い前記第1キャリッジを移動させることにより横方向に配置される第1キャリッジと、(b) コアサンプルが保持される第2キャリッジであって、コアサンプルが、測定点の第2座標がプローブの下方に配置されるまで前記第2キャリッジを後方または前方に移動させることにより整合される第2キャリッジと、(c) プローブが、第1キャリッジ内の静止位置と、プローブの出力端がコアサンプル上の測定点に封止連通する測定位置の間で第1および第2座標に整合された後プローブを移動させる手段とを備える請求項16記載の装置。
【請求項18】 前記配置手段は、(a) 前記プローブが移動自在に着座される第1キャリッジと、(b) 第1キャリッジが、移動自在に装着される第2キャリッジであり、コアサンプル上に移動自在に配置される第2キャリッジであって、前記プローブは、このプローブが測定点の第1座標に整合されるまで前記第2キャリッジをコアサンプルに沿い移動させることにより横方向に整合され、また前記プローブは、第2座標がプローブの下方に達するまで第1キャリッジを後方または前方に移動させることにより測定点の第2座標に整合されてなる第2キャリッジと、(c) 前記プローブが、第1キャリッジ内の静止位置と、プローブの出力端部がコアサンプル上の測定点と封止連通される測定位置の間の測定点の第1および第2座標に整合された後プローブを移動させる手段とを備えてなる請求項16記載の装置。
【請求項19】 前記配置手段はさらにレーザ光ガイド手段からなり、レーザ光プローブの出力端部の中心に整合される位置でプローブの出力端部からコアサンプル上にレーザ光があたるようにレーザ光が照明される請求項16記載の装置。
【請求項20】 前記プローブの基準位置に対する位置を決定する検出手段をさらに備える請求項16記載の装置。
【請求項21】 前記リザーバは複数個の弁手段によりプローブ室に接続された既知容積の複数個の室を備えており、ある室に対する弁手段の開放および閉成はそれぞれ、プローブ室に圧力連通するリザーバ内の加圧ガスの容積を増加および減少させてなる請求項15記載の装置。
【請求項22】 前記リザーバはさらに前記室の容積を調節する較正手段を備えてなる請求項21記載の装置。
【請求項23】 前記室は、(a) プローブ室の容積より大きな容積を有する1室であって、第1弁手段が第1の室とプローブ室の間を連通する第1室と、(b) この第1室の容積より大きな容積を有する第2室であって、第2弁手段が前記第2室とプローブ室の間を連通する第2室と、(c) 第2容積より大きな容積を有する第3室であって、第3弁手段がこの第3室とプローブ室の間を連通する第3室とを備える請求項21記載の装置。
【請求項24】 前記プローブ室は約4立方センチメートルの容積を有し、前記第1室は約20立方センチメートルの容積を有し、前記第2室は約120立方センチメートルの容積を有し、さらに前記第3室は約720立方センチメートルの容積を有する請求項23記載の装置。
【請求項25】 前記リザーバは複数個の銅製チューブを有してリザーバ内のガスの温度の安定化を容易にする請求項14記載の装置。

【図1】
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【図11】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【特許番号】特許第3247195号(P3247195)
【登録日】平成13年11月2日(2001.11.2)
【発行日】平成14年1月15日(2002.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−97708
【出願日】平成5年4月23日(1993.4.23)
【公開番号】特開平6−27015
【公開日】平成6年2月4日(1994.2.4)
【審査請求日】平成12年2月8日(2000.2.8)
【出願人】(595117792)コア ホールディングス ビー.ヴィ. (1)
【参考文献】
【文献】特表 昭63−502450(JP,A)
【文献】英国特許出願公開2127559(GB,A)