説明

非接触スイッチ及び磁気センサ

【課題】誤作動を抑制することができるとともに、検出精度を高めることを可能とした非接触スイッチ及び磁気センサを提供する。
【解決手段】非接触スイッチ10は、所定の方向に向いた磁束を検出領域に発生させる磁石14と、検出領域に配置されて磁性部材13の近接による磁束の方向の変化を検出する磁気センサ11と、磁気センサ11の出力信号に基づいてオン又はオフを判断する判断部18とを備えている。磁石14は、N極となる第1の面と、S極となる第2の面とを形成する基準曲面CLに対して、その基準曲面のそれぞれの点において垂直方向に所定の厚みを有して形状が形成されている。磁石14は、基準曲面CLのそれぞれの点において垂直方向に着磁されて磁気形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気センサを用いた非接触スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
非接触スイッチとして、磁界感応センサを備えた近接スイッチが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この従来の近接スイッチは、コ字状に形成された基部にNS極を有する永久磁石を備えている。この永久磁石のコ字状凹部内には、3つのN極によって囲まれた無磁束の領域(無磁界領域)が形成されており、この無磁界領域において磁界に感応する磁界感応センサが取り付けられている。磁性体が一対の脚部の2つのN極に近接したとき、無磁界領域に磁界が発生するので、この磁界の変化を磁界感応センサにより検出することでスイッチ回路をオン・オフすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2921603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1記載の従来の近接スイッチにおいては、コ字状の永久磁石が均等な形状ではなく、不規則であり、磁極が均等位置に配置されていないので、形状誤差の影響を受けて永久磁石により与えられる磁界が歪み、永久磁石の部分ごとでパーミアンスが異なる。これにより、永久磁石の温度による減磁が不均一に発生し、磁界の方向(磁気ベクトルの方向)が大きく変化してしまうので、近接スイッチの切替位置がずれてしまう。
【0005】
本発明の目的は、誤作動を抑制することができるとともに、検出精度を高めることを可能とした非接触スイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]本発明は、所定の方向に向いた磁束を検出領域に発生させる磁石と、前記検出領域に配置され、磁性部材の近接による前記磁束の方向の変化を検出する磁気センサと、前記磁気センサの出力信号に基づいてオン又はオフを判断する判断部とを備えてなり、前記磁石は、N極となる第1の面と、S極となる第2の面とを形成する基準曲面に対して、その基準曲面のそれぞれの点において垂直方向に所定の厚みを有して形状が形成され、前記それぞれの点において前記垂直方向に着磁されて磁気形成されていることを特徴とする非接触スイッチが提供される。
【0007】
ここで、基準曲面とは、磁石の形状の基準となる曲面形状をいう。この磁石の形状は、基準曲面に対して、N極となる第1の面側及びS極となる第2の面側が対称の形状、非対称の形状、又はこれらを組み合わせた形状を含む。
【0008】
[2]上記[1]記載の発明にあって、前記磁石は、曲面部と、前記曲面部から同じ方向へ延びた一対の延出部とを有するU字形状に形成されてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、誤作動を抑制することができるとともに、検出精度を高めることができる非接触スイッチが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る無接点スイッチの一構成例を模式的に示す正面図である。
【図2】第1の実施の形態における無接点スイッチの側面図である。
【図3】(a)は第1の実施の形態に係る被検出部が近接したときのMRセンサが配置される平面の磁気ベクトルの向きを表した概略図であり、(b)は被検出部が離れたときのMRセンサが配置される平面の磁気ベクトルの向きを表した概略図である。
【図4】第1の実施の形態におけるブリッジ回路の概略図である。
【図5】第1の実施の形態におけるMRセンサを用いたブレーキ装置の機能ブロック構成の一例を示す図である。
【図6】第2の実施の形態における無接点スイッチの一構成例を模式的に示す正面図である。
【図7】第3の実施の形態における無接点スイッチの一構成例を模式的に示す正面図である。
【図8】第4の実施の形態におけるブリッジ回路の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて具体的に説明する。
【0012】
[第1の実施の形態]
(無接点スイッチの構成)
図1において、全体を示す符号10は、磁石の磁力を非接触で検出する無接点スイッチの一構成例を例示している。この無接点スイッチ10はセンサ11、基板12、及び磁性体13を備えている。センサ11は、磁石14と、2つのMRセンサ15,15とを有している。この基板12、磁石14、及びMRセンサ15は、例えば図示しない非磁性体である筐体に収容されており、樹脂材料でモールド化される。
【0013】
(磁石の構成)
この第1の実施の形態における無接点スイッチ10の最も主要な構成は、磁石14の構造にある。この磁石14は、N極となる第1の面と、S極となる第2の面とを有している。この第1の面と第2の面とを形成する基準曲面CL(基準曲面を形成する基準曲線CL)のそれぞれの点において、垂直方向に所定の肉厚(幅)W1,W2を有する形状が形成されており、垂直方向に着磁されて磁化されている。
【0014】
図示例によると、この磁石14は、例えばPPS樹脂にネオジムを加えて成形したプラスチック磁石であってもよく、圧縮成形や射出成形などにより周方向に均等な形状を有する円筒状に形成された磁界発生筒部として構成されている(以下、「円筒磁石14」という。)。この円筒磁石14は、両端部に中心軸線Oに垂直な円環状の開口端面を有する円筒部14aからなる。この円筒部14aは、内周面の曲率と外周面の曲率とが同じ曲率を有する円弧形状に形成されている。
【0015】
この円筒磁石14は、図1及び図2に示すように、円筒部14aの中心軸線Oを中心とする半径方向外周面側にN極となる第1の面を有するとともに、半径方向内周面側にS極となる第2の面を有する構成となっている。図示例によると、基準曲面CLを中心として円筒部14aの半径方向の肉厚W1,W2のそれぞれが周方向に一定に形成されており、円筒磁石14における円筒部14aの半径方向半々ずつがそれぞれN極及びS極に着磁されている。
【0016】
このように、円筒磁石14における円筒部14aの半径方向半々ずつがそれぞれN極及びS極に着磁されることで、円筒磁石14にはN極からS極へ磁束線Zが出る。この磁束線Zが磁界の方向となることから、磁界の方向(磁束線Zの方向)は、円筒部14aの半径方向となる。図示例では、磁束線Zが円筒部14aの外周面側を下向きに通り、円筒部14aの内周面側を上向きに通ることになる。
【0017】
この円筒磁石14は、図1及び図2に示すように、例えば円筒部14aの外部に配置された着磁用部材を利用して磁化される。その一例としては、例えば円筒部14aの対向端面に向けて着磁用部材を近接させることで所定の磁界が印加され、円筒部14aの中心軸線Oを中心とする半径方向には磁極Nと磁極Sが着磁される。図示例では、円筒部14aの半径方向外周面側から半径方向内周面側へ着磁しているが、これとは逆に、円筒部14aの半径方向外周面側にS極を形成し、半径方向内周面側にN極を形成しても機能させることができることは勿論である。
【0018】
図示例による円筒磁石14の内外周方向の曲率は、同一の曲面に形成されているが、本発明にあっては、これに限定されるものではない。本発明にあっては、円筒磁石14の内外周方向の曲率が異なる曲面形状、あるいは内外周方向の曲率が零の曲面である平面を含む形状であってもよい。また、磁界が基準曲面CLを形成する基準曲線CLに対して垂直な方向に交わる形状であれば、図示例の円筒磁石14における円筒部14aの半径方向の肉厚W1,W2が、円筒部14aの基準曲面CLに対して非対称なもの、対称なもの、又はこれらを組み合わせたものであってもよい。
【0019】
(基板の構成)
この基板12は、例えばシリコン等からなり、図1及び図2に示すように、直方形状に形成されている。基板12の表面には、円筒磁石14の円筒部14aの中心軸線Oを含む垂直面を対称面として、磁気センサである2つのMRセンサ15,15が形成されている。基板12の幅は、円筒磁石14の円筒部14aに対して基板12が挿入可能となるように、円筒部14aの内径より小さく形成されている。その円筒部14aの内部には、基板12の対向長辺部が円筒部14aの中心軸線Oを含む平面上に配置されており、MRセンサ15,15が円筒磁石14と相対移動しないように、図示しない固定部材を介して基板12が固定されている。
【0020】
(磁性体の構成)
この磁性体13は、例えば鉄材等で形成されており、図1及び図2に示すように、センサ11に近接、又はセンサ11から離れることで、円筒磁石14の磁界の大きさ(強さ)を変化させる被検出部とされている。この磁性体13の位置により無接点スイッチをオン・オフする構成が効果的に得られる。
【0021】
(センサの構成)
図1及び図2において、一対のMRセンサ15,15のうち、一方のMRセンサ15について説明するが、他方のMRセンサ15も同様の形状及び構造からなる。このMRセンサ15は、例えばパーマロイ等の強磁性体を用い、フォトリゾグラフィー法などにより作製された磁気抵抗素子を有している。
【0022】
図3を参照すると、図3には、磁性体13及び円筒磁石14に印加される磁界の一例が矢印(磁気ベクトルZ)で模式的に示されている。図3(a)は、図1に示す磁性体13と円筒磁石14との間の距離dが1mmのときの磁界を、図3(b)は、距離dが4mmのときの磁界をそれぞれ表している。なお、磁気ベクトルZの長さは、磁界の強さに比例しているが、矢印の大きさは、磁界の強さには関係しないものとする。
【0023】
この円筒磁石14には、図3(a)及び(b)に示すように、4つの磁界が形成される。この4つの磁界の切替領域には、磁気ベクトルZが円筒磁石14の中心軸線Oに対して真横方向(半径方向)を向く第1領域A及び第2領域Bが形成される。この第1及び第2領域A,Bは磁界の変化を検出する検出領域とされており、これらの領域A,B内のそれぞれには、MRセンサ15,15が配置されている。
【0024】
このMRセンサ15,15に印加される磁界は、図3(a)に示すように、磁性体13が円筒磁石14に近接した初期位置にある状態と、図3(b)に示すように、磁性体13が円筒磁石14から離れて、磁性体13の影響を受けない状態との間で変化する。この磁気ベクトルZの変化は、MRセンサ15,15により検出される。
【0025】
磁性体13が円筒磁石14に近接したとき、磁性体13及び円筒磁石14によって印加される磁界は、図3(a)に示すように、円筒部14aの内周面側を上向きに通って磁性体13へ指向して形成される。第1及び第2領域A,Bは、磁気ベクトルZの方向が円筒磁石14の中心軸線Oに対して真横方向を向く領域であり、磁気ベクトルZの向きがMRセンサ15,15に対してほぼ0度となれば、MRセンサ15,15には出力電圧が発生しないか、あるいは出力電圧が小さくなる。
【0026】
一方、磁性体13が円筒磁石14から離れたとき、図3(b)に示すように、円筒磁石14によって印加される磁界は移動する。磁性体13が円筒磁石14から遠ざかり、円筒磁石14の磁界が移動するのに伴い、第1及び第2領域A,BにおけるMRセンサ15,15を通過する磁気ベクトルZの方向が変化する。磁界の磁気ベクトルZの向きに応じてMRセンサ15,15の磁気抵抗値が変化するので、出力電圧の変化を検出することができる。
【0027】
これにより、磁性体13の円筒磁石14に対する距離dの変化を安定して検出することが可能となり、MRセンサ15,15は、磁界方向に応じた電圧を出力することができる。その結果、磁界の磁気ベクトルZの向きの変化に基づいた磁気抵抗値の変化が検出し易くなる。
【0028】
このMRセンサ15は、図4に示すように、4つの磁気抵抗素子R1〜R4を有しており、この磁気抵抗素子R1〜R4によりブリッジ回路16が構成される。磁気抵抗素子R1と磁気抵抗素子R3とが互いに直列接続されるとともに、磁気抵抗素子R2と磁気抵抗素子R4とが互いに直列接続されている。磁気抵抗素子R1,R3と磁気抵抗素子R2,R4とは互いに並列接続されている。
【0029】
この磁気抵抗素子R1と磁気抵抗素子R3との間には、図4に示すように、電源部に接続される入力端子16aが形成されている。磁気抵抗素子R2と磁気抵抗素子R4との間にはアース端子16bが形成されている。磁気抵抗素子R1と磁気抵抗素子R2との間には、中点電位V1が出力される出力端子16cが形成されている。磁気抵抗素子R3と磁気抵抗素子R4との間には、中点電位V2が出力される出力端子16dが形成されている。
【0030】
磁性体13の移動に伴い、円筒磁石14の磁界が移動するので、磁気抵抗素子R1〜R4に付与されている磁界の磁気ベクトルZの向きが変化する。磁気抵抗素子R1〜R4の磁気抵抗値が変化することで、中点電位V1と中点電位V2とが変化する。中点電位V1と中点電位V2との差分値が、出力電圧Vとして出力される。
【0031】
なお、MRセンサ15の配置位置は、図示例に限定されるものではなく、磁気ベクトルZの方向が円筒磁石14の中心軸線Oに対して真横方向に向かい、磁性体13の近接・離間により磁気ベクトルの向きが変化する領域であれば、例えば基板に平行な平面内に自由に配置可能である。磁気センサとしては、例えばホール素子やホールICなどを適用することができる。
【0032】
(ストップランプスイッチの構成)
上記のごとく構成されたセンサ11は、移動体の位置検出に用いられる非接触スイッチとして効果的に使用することができる。その一例としては、例えば車両のブレーキペダルの位置検出に用いられるストップランプ(ブレーキランプ)スイッチがある。図5を参照すると、図5には、ブレーキ装置の機能ブロック構成の一例が例示されている。なお、図5において上記第1の実施の形態と実質的に同じ部材には同一の部材名と符号を付している。
【0033】
このストップランプスイッチ100は、図示しない車体に固定されたセンサ11と、ブレーキペダル101のアーム部に固定された磁性体13とを備えている。ブレーキペダル101は、図示しない車体のフレームに固定されたブラケットに対して、アーム部の上端部が支軸を中心として車体前後方向に移動可能に設けられる。
【0034】
センサ11は、閾値17を図示しない記憶部に備えた判断部としてのECU(Electronic Control Unit)18に同じく図示を省略したコネクタを介して接続されている。このセンサ11、磁性体13、及びECU18により、非接触スイッチ10が構成される。センサ11や磁性体13の配置位置によってストップランプスイッチ100の切替点(オン・オフ)を制御することが可能である。
【0035】
このストップランプスイッチ100は、センサ11の円筒磁石14の磁界方向を変化させる磁性体13の位置によって、ブレーキ操作の有無を検出する。ブレーキペダル101が踏み込まれていないときの磁性体13の位置が基準位置とされる。ECU18では、センサ11からの出力電圧Vと閾値17とを比較してブレーキ操作の有無を判断する。ブレーキ操作が行われたと判断したときは、ブレーキランプ102を点灯させる。
【0036】
ブレーキペダル101を踏み込み操作していない状態においては、出力レベルLの検出信号が出力される。この検出信号は、ECU18において、閾値以下か否かが判定される。出力レベルLの場合には、閾値以下である旨の判定信号(オフ信号)が出力される。これにより、図示しないブレーキランプ駆動回路では、オフ信号を入力すると、ブレーキランプ102を消灯状態にする。
【0037】
一方、ブレーキペダル101を踏み込み操作すると、ブレーキペダル101がアーム部の支軸を中心として車体前方向に移動することで、磁性体13はセンサ11の円筒磁石14から離れる。この状態においては、出力レベルHの検出信号が出力される。この検出信号は、ECU18において閾値以下か否かが判定される。出力レベルHの場合には、閾値以上である旨の判定信号(オン信号)が出力される。これにより、ブレーキランプ駆動回路では、オン信号に基づいて、ブレーキランプ102を点灯状態とする。
【0038】
センサ11からのECU18に対する出力電圧Vは、2つのMRセンサ15,15毎に出力されるか、あるいは2つのMRセンサ15,15のうち、一方のセンサ15から出力されることで、ブレーキ操作の有無を判断する構成を採用してもよい。2つのMRセンサ15,15のうち、一方のセンサ15が故障したとき、ECU18は、故障していない他方のMRセンサ15からの出力電圧Vに基づいてブレーキランプ102の点灯・消灯(オン・オフ)を判断することができる。なお、出力電圧Vは、2つのMRセンサ15,15の出力を加算した値、あるいは2つの出力の平均値に基づいてブレーキランプ102の点灯・消灯(オン・オフ)を判断する構成であってもよいことは勿論である。
【0039】
(第1の実施の形態の効果)
この第1の実施の形態に係る非接触スイッチ10は、N極面とS極面とを形成する基準曲面を形成する基準曲線CLのそれぞれの点において、垂直方向に所定の肉厚W1,W2を有する円筒形状に形成されている。図示例では、円筒磁石14が均等な形状であり、磁極NSを半径方向半々ずつ均等に配置する構成となっているため、上記効果に加えて、以下の効果を有する。
(1)円筒磁石14から付与される磁界の歪みによる検出誤差を抑制することが可能になる。
(2)円筒磁石14からの磁界の方向が広い範囲にわたって均一となり、磁界の方向が均一な磁界をMRセンサ15の周囲の設置空間に形成することができるようになる。
(3)従来のコ字状の永久磁石と比べると、組み付け性を向上させることができる。
(4)磁束方向が円筒磁石14の中心軸線Oに対して真横方向に向かう安定した領域で磁性体13の近接・離間を検出するので、誤作動を抑制することが可能になる。それに加えて、2つのMRセンサ15,15により検出するので、検出精度を高めることができる。
(5)円筒磁石14の温度による減磁分を補償することができるので、指令値に対応する正確な制御を実現することができる。
【0040】
[第2の実施の形態]
この第2の実施の形態にあっても、上記第1の実施の形態に係る非接触スイッチ10と基本的な構成において変わるところはない。図6において、上記第1の実施の形態と大きく異なるところは、上記第1の実施の形態では、磁界発生筒部を円筒状に形成した構成となっていたものを、この第2の実施の形態にあっては、磁界発生筒部を半割円筒状に形成した点にある。なお、図6において上記第1の実施の形態と実質的に同じ部材には同一の部材名と符号を付している。従って、これらの部材に関する詳細な説明は省略する。
【0041】
図示例では、磁石21は、円筒部の中心軸線Oに沿って2つに分割した一方の半割円筒部21aからなる。この半割円筒部21aの内外周面は、内周面の曲率と外周面の曲率とが同一曲率を有する同心状半円弧面に形成されている。磁石21には、図示しない固定部材を介して基板12が固定されており、基板12の表面に形成されたMRセンサ15,15が半割円筒部21aと相対移動しないようになっている。基板12には、2つのMRセンサ15,15が中心軸線Oを含む垂直面を対称面として配置されている。なお、図示例では、半割円筒部21aの内外周方向の曲率は、同一の曲面に形成されているが、これに限定されるものではないことは、上記第1の実施の形態と同様である。
【0042】
(第2の実施の形態の効果)
この第2の実施の形態に係る非接触スイッチ10にあっても、磁石21の半割円筒部21aが均等な形状であり、磁極が半径方向半々ずつ均等に配置される構成となっているため、上記第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0043】
[第3の実施の形態]
この第3の実施の形態にあっても、上記第1の実施の形態に係る非接触スイッチ10と基本的な構成において変わるところはない。図7において、この第3の実施の形態にあっては、磁界発生筒部がU字状に形成されている。なお、図7において上記第1及び第2の実施の形態と実質的に同じ部材には同一の部材名と符号を付して、これらの部材に関する詳細な説明は省略する。
【0044】
図示例では、磁石22は、曲面部である半割円筒部21aと、半割円筒部21aの両側先端面から同じ方向へ延出した板状の延出部22a,22aとを有するU字形状に形成されている。この磁石21の内部には、図示しない固定部材を介して基板12が固定されている。基板12の表面に形成されたMRセンサ15,15と半割円筒部21aとが相対移動しないようになっている。基板12には、2つのMRセンサ15,15が中心軸線Oを含む垂直面を対称面として配置されている。この第3の実施の形態にあっても、半割円筒部21aの内外周方向の曲率は、同一の曲面に形成されているが、これに限定されるものではない。
【0045】
(第3の実施の形態の効果)
この第3の実施の形態に係る非接触スイッチ10にあっても、磁石22の磁極を均等に配置する構成となっているため、上記第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0046】
[第4の実施の形態]
上記第1の実施の形態では、無接点スイッチ10にブリッジ回路16を用いていたが、この第4の実施の形態にあっては、無接点スイッチ10にハーフブリッジ回路19a,19bを用いている。なお、図8において上記第1の実施の形態と実質的に同じ部材には同一の部材名と符号を付している。従って、これらの部材に関する詳細な説明は省略する。
【0047】
MRセンサ15は、図8に示すように、ハーフブリッジ回路19a,19bによって構成されている。ハーフブリッジ回路19aは、磁気抵抗素子R1,R2によって構成されており、図3に示す第1領域A又は第2領域Bに配置される。一方のハーフブリッジ回路19bは、磁気抵抗素子R3,R4によって構成されており、図3に示す第2領域B又は第1領域Aに配置される。
【0048】
ハーフブリッジ回路19aは、第1の出力電圧Vを磁性体13と円筒磁石14との距離dに応じて出力する。一方のハーフブリッジ回路19bは、第1の出力電圧V1とは異なる第2の出力電圧V2を距離dに応じて出力するように構成されている。ハーフブリッジ回路19aの出力電圧V1を図示しないオペアンプ等を用いて反転させ、その反転させた出力電圧とハーフブリッジ回路19bの出力電圧V2とを加算した出力電圧とすることができる。
【0049】
この第4の実施の形態に係るMRセンサ15にあっても、図5に示すように、車両のブレーキペダル101の位置検出に効果的に用いることができる。MRセンサ15からの出力電圧は、ECU18の閾値17と比較することで、ブレーキ装置におけるブレーキ操作の有無を判断し、ブレーキランプ102の点灯及び消灯の制御を行うことができる。なお、ハーフブリッジ回路19a,19bは、独立してモールド化して第1領域A及び第2領域Bに配置してもよく、1つのMRセンサとして、第1領域A及び第2領域Bにハーフブリッジ回路19a,19bが含まれるように、モールド化してもよい。
【0050】
(第4の実施の形態の効果)
ハーフブリッジ回路19a,19bを第1領域A及び第2領域Bに配置する構成となっているので、上記第1の実施の形態と同様に、安定してブレーキ操作の有無を判断することができる。
【0051】
上記実施の形態では、ブレーキランプ102の点灯及び消灯の制御を行うことを説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば車両のインパネの収納ボックス内の照明の制御、あるいは車両以外の他の制御にも適用できることは勿論である。
【0052】
以上の説明からも明らかなように、本発明の非接触スイッチの代表的な構成例を、上記実施の形態、変形例、及び図示例を挙げて説明したが、上記実施の形態、変形例、及び図示例は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。上記実施の形態、変形例、及び図示例の中で説明した特徴の組合せの全てが本発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきであり、本発明の技術思想の範囲内において種々の構成が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0053】
10…無接点スイッチ、11…センサ、12…基板、13…磁性体、14,21,22…磁石、14a…円筒部、15…MRセンサ、16…ブリッジ回路、16a…入力端子、16b…アース端子、16c,16d…出力端子、17…閾値、18…ECU、19a,19b…ハーフブリッジ回路、21a…半割円筒部、22a…延出部、100…ストップランプスイッチ、101…ブレーキペダル、102…ブレーキランプ、A…第1領域、B…第2領域、CL…基準曲面、d…距離、O…中心軸線、R1〜R4…磁気抵抗素子、V…出力電圧、V1,V2…中点電位、W1,W2…肉厚、Z…磁束線(磁気ベクトル)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の方向に向いた磁束を検出領域に発生させる磁石と、
前記検出領域に配置され、磁性部材の近接による前記磁束の方向の変化を検出する磁気センサと、
前記磁気センサの出力信号に基づいてオン又はオフを判断する判断部とを備えてなり、
前記磁石は、N極となる第1の面と、S極となる第2の面とを形成する基準曲面に対して、その基準曲面のそれぞれの点において垂直方向に所定の厚みを有して形状が形成され、前記それぞれの点において前記垂直方向に着磁されて磁気形成されていることを特徴とする非接触スイッチ。
【請求項2】
前記磁石は、曲面部と、前記曲面部から同じ方向へ延びた一対の延出部とを有するU字形状に形成されてなることを特徴とする請求項1記載の非接触スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−204268(P2012−204268A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69864(P2011−69864)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】