説明

非接触充電装置

【課題】給電コイル12aを曲面形状をなす部位に搭載して、高効率で電力伝送を可能とする非接触充電装置を提供する。
【解決手段】ヘルメット1を収容する収容棚4の、曲面形状を有するプレート部材4に給電コイル12aを搭載し、更に、ヘルメット1の後部に受電コイル22aを搭載する。そして、給電コイル12aに電流を流した状態で、ヘルメット1を収容棚4の収容部3内に収容すると、給電コイル12aと受電コイル22aが互いに向き合うので、給電コイル12aから受電コイル22aに電力が伝送される。そして、伝送された電力はバッテリ24に充電される。このため、給電側から充電側に高効率で電力を伝送することができ、また、ヘルメット1を着用する作業者は、簡単な操作でバッテリ24を充電することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送電側に設けられる給電コイルと充電側に設けられる受電コイルを近接配置し、非接触で給電コイルから受電コイルに電力を伝送して、該受電コイルに接続されたバッテリを充電する非接触充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、作業者が工事現場で作業する際に着用する作業服やヘルメット等の着用品には、照明機器、冷却装置等の電気機器が搭載されるタイプのものがあり、このような着用品には、電気機器に電力を供給するためのバッテリが搭載される。
【0003】
従って、作業者は定期的(例えば、一日の作業が終了したとき)にバッテリを充電し、次回の使用時に備える必要がある。ところが、一日の作業が終了した後においては作業者は疲労していることが多く、作業服やヘルメットに装着されたバッテリを専用の充電器に接続して、充電操作を行うという面倒な操作を割愛することが多々あり得る。
【0004】
このような場合には翌日に再度作業服、或いはヘルメットを着用する際にバッテリの充電量が低下しており、使用できなくなるという問題が発生する。
【0005】
そこで、バッテリと充電器とを電線で接続するという面倒な操作を必要とせず、電源側からバッテリ側に非接触で電力を伝送することによりバッテリを充電する技術として、例えば特開2006−314181号公報(特許文献1)に記載されているものが知られている。該特許文献1には、給電側に一次コイルを設け、且つ、充電側に二次コイルを設け、一次コイルと二次コイルを近接して配置することにより、給電側で発生した電力を非接触で充電側に伝送し、充電側に設けられたバッテリを充電する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−314181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した特許文献1に開示された従来例は、給電コイルが搭載された平面形状の送電装置と、受電コイルが搭載されたやはり平面形状の充電装置を対向配置して、送電装置側から受電装置側に電力を伝送する構成であるので、設置場所に制約が生じる。
【0008】
例えば、ヘルメットが収容棚に収容されているときに、該ヘルメットに搭載されるバッテリを充電する場合には、収容棚に給電コイルを設ける必要があるが、主に曲面形状を有する収容棚に平面形状の給電コイルを設けることは容易でない。また、作業者が作業服を着用しており、且つ、椅子に着座しているときに作業者が携行するバッテリを充電する場合には、椅子の背もたれ等に給電コイルを設けることが望ましいが、曲面形状を有する椅子の背もたれに平面形状の給電コイルを設けることは容易でない。
【0009】
そこで、何とか曲面形状を有する部位、或いは柔軟性を有する部位に給電コイルを設置して、受電コイルに効率良く電力を伝送し、バッテリを充電したいという要望が高まっていた。
【0010】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、給電コイルを曲面形状をなす部位、或いは柔軟性を有する部位に搭載して、高効率で電力伝送を可能とする非接触充電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本願請求項1に記載の発明は、曲面形状、または柔軟性を有する送電側部材に配置された給電コイル(12a〜12d)と、前記給電コイルに接続され、電源(15)より出力される電力を前記給電コイルに供給する電力供給回路(例えば、レギュレータ回路13)と、着用者(例えば、作業者36)が装着する着用品に配置された受電コイル(22a〜22e)と、前記受電コイルと接続され、前記受電コイルを介して受電した電力を蓄積し、且つ、前記着用者が装備する電気機器に駆動用の電力を供給する蓄電手段(例えば、バッテリ24)と、を備え、前記給電コイルと前記受電コイルが近接配置された際に、前記給電コイルに供給された電力を前記受電コイルで受電し、受電した電力を前記蓄電手段に蓄電することを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明は、前記着用品はヘルメット(1)であり、前記送電側部材は、前記ヘルメットを収容する収容部材(例えば、プレート部材4)であり、前記給電コイルは、前記収容部材の、前記ヘルメット収容時に該ヘルメットに設けられた前記受電コイルと近接する位置に設けられ、前記ヘルメットが前記収容部材に収容された際に、前記給電コイルと前記受電コイルが近接配置されて、前記給電コイルに供給された電力を前記受電コイルに伝送することを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明は、前記着用品は衣服(例えば、作業服31)であり、且つ、前記受電コイルは前記衣服の背中部分に設けられ、更に、前記送電側部材は椅子であり、前記給電コイルは、前記椅子の背もたれに搭載され、前記着用者が前記椅子に着座した際に、前記給電コイルと前記受電コイルが近接配置され、前記給電コイルに供給された電力を前記受電コイルに伝送することを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明は、前記椅子は、車両用シート(33)であることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明は、前記着用品は靴(63)であり、前記受電コイルは前記靴の底面に埋設して配置され、前記送電側部材はフロアマット(62)であり、前記着用者が前記フロアマット上に前記靴を乗せた際に、前記給電コイルと前記受電コイルが近接配置され、前記給電コイルに供給された電力を前記受電コイルに伝送することを特徴とする。
【0016】
請求項6に記載の発明は、前記靴は、前記受電コイルと接続された第1コネクタ(66)を有し、前記第1コネクタと着脱可能な第2コネクタ(65)、及び該第2コネクタと前記蓄電手段とを接続する配線(61)が前記着用者に装備されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る非接触充電装置では、曲面形状、または柔軟性を有する送電側部材に、柔軟性を有する給電コイル(12a〜12d)を設け、更に、この給電コイルに対向する部位に受電コイル(22a〜22e)を設ける構成としているので、給電コイルと受電コイルを効率良く磁気結合させることができ、給電コイルから受電コイルに効率よく電力を伝送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態に係る非接触充電装置が搭載されるヘルメット、及び収容棚の外観図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る非接触充電装置が搭載されるヘルメットの外観図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る非接触充電装置が搭載されるヘルメットが収納棚に収納された場合の、前方側から見た様子を示す説明図である。
【図4】本発明の第1〜第3実施形態に係る非接触充電装置の、電気的な構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る非接触充電装置が搭載される作業服の外観図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る非接触充電装置が搭載される車両用シートの構成を示す説明図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る非接触充電装置により点灯が制御されるLEDベストの外観図。
【図8】本発明の第2実施形態に係る非接触充電装置の変形例を示す説明図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係る非接触充電装置が搭載される作業靴、及びフロアマットの外観図である。
【図10】本発明の第3実施形態に係る非接触充電装置が搭載される作業靴、及びフロアマットの詳細構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
[第1実施形態の説明]
図1は、本発明の第1実施形態に係る非接触充電装置が搭載されるヘルメット1(着用品)、及び該ヘルメット1を収容する収容棚2の外観図、図2はヘルメット1を後方から見たときの外観図、図3は収容棚2及びヘルメット1を正面から見たときの外観図である。また、図4は本実施形態に係る非接触充電装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【0021】
図1,図3に示すように、例えば、ロッカー室等の壁面には、ほぼ半円形状の切欠を有する収容部3が複数個(図では1つのみ記載)形成された収容棚2が設置されており、作業者(着用者)は作業が終了した後に、収容部3にヘルメット1を上方から乗せることによりヘルメット1を収容する。また、次回作業を行う場合には、収容棚2から自身のヘルメット1を取り出して着用する。
【0022】
収容棚2に形成された収容部3の周囲部には、前面側に突起してヘルメット1を安定的に保持するための曲面形状を有するプレート部材(送電側部材、収容部材)4が設けられ、更に、図3に示すように該プレート部材4には、給電側回路11(図4参照)の給電コイル12aが搭載されている。
【0023】
また、ヘルメット1は、図1,図2に示すように、着用者の頭部を覆うための帽体5、及び着用者の前方側に形成される鍔部6から構成され、帽体5の適所には複数のLED26aが搭載されたLEDベルト7が設けられている。また、ヘルメット1の後部表面には、充電側回路21(図4参照)が設けられ、該充電側回路21に搭載されるバッテリ24より各LED26aに電力を供給することにより、各LED26aを点灯させることができる。従って、例えば夜間時において、ヘルメット1を装着した作業者の存在を目立たせることができる。
【0024】
更に、充電側回路21には、受電コイル22a(図2,図3参照)が設けられており、ヘルメット1を収容棚2に収容した際に、受電コイル22aと、プレート部材4に設けられた給電コイル12aが互いに向き合うようになっている。
【0025】
また、第1実施形態に係る非接触充電装置は、図4に示すように、収容棚2側に設けられて、交流電源15(例えば、交流100V)より出力される電力を伝送する給電側回路11と、ヘルメット1側に設けられ、給電側回路11より伝送された電力を非接触で受電してバッテリ24に充電する充電側回路21を備えている。
【0026】
給電側回路11は、交流電源15より供給される交流電圧を所定レベルの交流電圧に変圧するレギュレータ回路13と、該レギュレータ回路13の出力端子に接続され、交流電流を流す給電コイル12aと、電力の出力、停止を切り替えるスイッチSW1と、を備えている。また、前述したように、プレート部材4は曲面形状を有するので、該プレート部材4に設けられる給電コイル12aも同様に曲面形状を有することになる。この場合、柔軟性を有する給電コイル12aを用いることにより、容易にプレート部材4に給電コイル12aを搭載することが可能となる。
【0027】
充電側回路21は、給電コイル12aとの間で磁路を形成することにより、給電コイル12aに供給される電力を非接触で受電する受電コイル22aと、該受電コイル22aで受電された交流電力を整流する整流回路23と、整流回路23で整流された電力を充電するバッテリ(蓄電手段)24を備えている。更に、バッテリ24に充電された電力をLED26a等の負荷26に供給する制御を行う駆動回路25を備えている。また、前述したように、ヘルメット1の帽体5は曲面形状を有するので、該帽体5に設けられる受電コイル22aも同様に曲面形状を有することになる。この場合についても、柔軟性を有する受電コイル12aを用いることにより、容易に帽体5に受電コイル22aを搭載することが可能となる。
【0028】
次に、上述のように構成された第1実施形態に係る非接触充電装置の作用について説明する。給電側回路11のスイッチSW1をオンとすると、図1に示す給電コイル12aに所定レベルの交流電圧が印加され、該給電コイル12aに電流が流れる。
【0029】
また、作業者が収容棚2の収容部3にヘルメット1を収容すると、該ヘルメット1の後部に設けられた受電コイル22aと、プレート部材4に設けられた給電コイル12aとが互いに向き合って配置されるので、給電コイル12aと受電コイル22aが磁気的に結合される。従って、給電コイル12aより伝送される電力が、非接触で受電コイル22aにて受電され、受電された交流電力は整流回路23で整流された後、バッテリ24に供給され、該バッテリ24に充電される。つまり、作業者がヘルメット1を収容部3に収容するという日常的な操作により、給電側回路11より伝送された電力が、非接触で充電側回路21で受電され、この電力がバッテリ24に充電されることになる。そして、バッテリ24に充電された電力により、LED26aを点灯させることができる。
【0030】
このように、第1実施形態に係る非接触充電装置では、作業者は、一日の作業が終了した後にヘルメット1に搭載されたバッテリ24を充電するために、接続線等を用いてバッテリ24に電源を接続するという面倒な作業を必要とせず、日常的な操作の中でバッテリ24を充電することができるので、充電操作を忘れるというトラブルの発生を回避することができる。
【0031】
即ち、第1実施形態に係る非接触充電装置では、曲面形状に形成されたプレート部材4に柔軟性を有する給電コイル12を設け、更に、やはり曲面形状を有するヘルメット1の帽体5に柔軟性を有する受電コイル22を設ける構成としているので、各コイル12a,22a間を確実に磁気結合させることができ、給電側回路11から充電側回路21に効率良く電力を伝送することが可能となる。
【0032】
[第2実施形態の説明]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態では、作業者(着用者)が着用する作業服(着用品、衣服)に受電コイルを設け、車両に搭載されるシートバック(背もたれ部分)に給電コイルを設け、作業者が車両に乗車したときに給電コイルから受電コイルに電力を伝送して、作業者が装備するバッテリを充電する。以下、第2実施形態を、図5〜図8を参照して詳細に説明する。
【0033】
図5は、作業者36が着用する作業服31の外観図、図6は、車両に搭載されるシート33の構成を示す説明図、図7は、作業者が作業服31の上から着用するLEDベスト41の外観図である。
【0034】
図5に示すように、作業服31の背中部分には柔軟性を有する受電コイル22bが装着され、該受電コイル22bは、電線(図示省略)を介して作業者36が携行するバッテリ24に接続されている。また、バッテリ24は、作業者36が作業服31の上に着用するLEDベスト41(図7参照)に接続されている。
【0035】
図7に示すように、LEDベスト41は、作業者36の胸部及びその背面側に対応する部分に複数のLED26bを備えており、該LED26bはバッテリ24より電力が供給されて点灯する。
【0036】
図6は、車両に搭載されるシート33を示す説明図であり、図6(a)は外観図、図6(b)は側面図、図6(c)は正面図、図6(d)は作業者36がシート33に着座したときの側面図をそれぞれ示している。そして、図示のように、シート33のシートバック34内部には、柔軟性を有する給電コイル12bが搭載されている。
【0037】
なお、第2実施形態に係る非接触充電装置についても、前述した図4に示す如くの回路構成を備えている。即ち、図6(a)〜(d)に示す給電コイル12bは、図4に示したレギュレータ回路13より電力が供給され、また、図5に示した受電コイル22bで受電した交流電圧は、図4に示した整流回路23で整流された後、バッテリ24に供給され、該バッテリ24にて充電される。そして、バッテリ24に充電された電力により、LEDベスト41に搭載されたLED26bを点灯させることができる。
【0038】
次に、第2実施形態に係る非接触充電装置の作用について説明する。図4に示す給電側回路11のスイッチSW1をオンとすると、図6に示すシートバック34内に搭載された給電コイル12bに所定レベルの交流電圧が印加され、該給電コイル12bに電流が流れる。
【0039】
そして、作業服31を着用した作業者36が車両に乗車し、シート33に着座すると、図6(d)に示すように、作業服31の背中部分に搭載された受電コイル22bと、シートバック34内に搭載された給電コイル12bとが互いに向き合って配置されることになる。従って、給電コイル12bと受電コイル22bが磁気的に結合されので、給電コイル12bより伝送される電力が受電コイル22bで受電され、受電された交流電力は整流回路23(図4参照)で整流された後、作業者36が携行するバッテリ24(図4,図5参照)に供給され、該バッテリ24に充電される。つまり、作業者36が作業服31を着用した状態で、車両内のシート33に着座するという通常の動作により、給電側回路11より伝送された電力が非接触で充電側回路21で受電され、この電力がバッテリ24に充電されることになる。そして、バッテリ24に充電された電力により、LEDベスト41に搭載されるLED26aを点灯させることができる。
【0040】
このように、第2実施形態に係る非接触充電装置では、作業者36は、自身が携行するバッテリ24の充電量が低下した場合に、接続線等を用いてバッテリ24に電源を接続して充電を行うという面倒な作業を必要とせず、車両のシート33に着座するという作業工程内での通常の動作でバッテリ24を充電することができ、充電操作を忘れるというトラブルの発生を回避することができる。
【0041】
即ち、第2実施形態に係る非接触充電装置では、シートバック34内に柔軟性を有する給電コイル12bを搭載し、更に、作業服31の背中部分にやはり柔軟性を有する受電コイル22bを設ける構成としているので、各コイル12b,22b間を確実に磁気結合させることができ、給電側回路11から充電側回路21に効率良く電力を伝送することが可能となる。
【0042】
なお、上述の第2実施形態では、作業服31とLEDベスト41とが別体とされた場合の例について説明したが、作業服31とLEDベスト41が一体的に構成されているタイプの場合であっても構わない。
【0043】
[第2実施形態の変形例の説明]
次に、第2実施形態の変形例について説明する。図8は第2実施形態の変形例に係る非接触充電装置を示す説明図であり、車両に搭載されるシート33のシートバック34(背もたれ部分)からシートクッション35(着座部分)に架けて給電コイル12cが設けられている。更に、作業者36が着用する作業服31の、腰の部分に受電コイル22cが設けられている。そして、このような構成においても、給電コイル12cと受電コイル22cを磁気的に結合することができ、給電側回路11から充電側回路21に効率良く電力を伝送して、バッテリ24を充電することができる。
【0044】
なお、上述した第2実施形態及び変形例では、作業服31の背中部分、或いは腰の部分に受電コイル22b,22cを装着する例について説明したが、受電コイルの取り付け位置はこれらに限定されるものではなく、作業服31の肩の部分、或いはLEDベスト41の肩の部分等、他の位置に設けることも可能である。
【0045】
更に、第2実施形態及び変形例では、作業者36が着座する椅子として、車両用のシート33を例に挙げ、シート33内に給電コイル12b,12cを搭載する例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、休憩室等に設けられる椅子に給電コイルを搭載し、作業者36が椅子に着座して休憩しているときに、バッテリ24を充電するように構成することも可能である。
【0046】
[第3実施形態の説明]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態では、作業者が着用する作業靴(着用品)内に受電コイルを設け、更に、床面に置かれるフロアマット(送電側部材)内に給電コイルを設け、作業者がフロアマット上に作業靴を載せているときに、給電コイルから受電コイルに電力を伝送して、作業者が装備するバッテリを充電する。以下、第3実施形態を、図9,図10を参照して詳細に説明する。なお、電気的な回路構成は、前述した図4に示した回路と同様である。
【0047】
図9は、第3実施形態に係る非接触充電装置を概略的に示す説明図であり、バッテリ24を携行する作業者36がフロアマット62の上に作業靴を乗せて立っている状態を示している。そして、フロアマット62側には図4に示す給電側回路11が接続され、作業者36側には図4に示す充電側回路21が接続されている。そして、非接触で給電側回路11から充電側回路21へ電力が伝送される。
【0048】
図10(a)は、作業者36が着用する作業靴63の構成を示す説明図であり、該作業靴63のつま先側の底面、及び踵側の底面には、それぞれ受電コイル22d,22eが埋設されている。また、図10(b)は、作業靴63がフロアマット62の上に乗せられた状態を示す説明図であり、フロアマット62の内部には、柔軟性を有する給電コイル12dが搭載されている。
【0049】
図10(b)に示すように、各受電コイル22d,22eは、電線によりプラグ(第1コネクタ)66に接続され、該プラグ66は、作業者36が着用する作業服31に配索される配線61の端部に設けられるソケット(第2コネクタ)65に対して着脱可能とされている。即ち、作業者36は、プラグ66をソケット65内に差し込むことにより各受電コイル22d,22eと配線61とを接続することができ、プラグ66をソケット65から引き抜くことにより、各受電コイル22d,22eと配線61とを切り離すことが可能である。
【0050】
次に、上述のように構成された本発明の第3実施形態に係る非接触充電装置の作用について説明する。まず、作業者36は、作業靴63、及び作業服31を着用した後、プラグ66をソケット65に差し込んで各受電コイル22d,22eと配線61を電気的に接続する。次いで、図4に示す給電側回路11のスイッチSW1をオンとすると、図10に示すフロアマット62内に搭載された給電コイル12dに所定レベルの交流電圧が印加され、該給電コイル12dに電流が流れる。
【0051】
そして、作業靴63を着用した作業者36が、作業靴63をフロアマット62の上に立つか、或いは椅子等に着座して作業靴63をフロアマット62の上に乗せると、フロアマット62内に搭載された給電コイル12dと、作業靴63内に搭載された受電コイル22d,22eが互いに向き合って配置されることになる。
【0052】
従って、給電コイル12dと各受電コイル22d,22eとが磁気的に結合されので、給電コイル12dより伝送される電力が各受電コイル22d,22eで受電され、受電された交流電力は図4に示す整流回路23で整流された後、作業者36が携行するバッテリ24(図9参照)に供給され、該バッテリ24に充電される。つまり、作業者36が作業靴63を着用した状態で、フロアマット62の上に乗るという日常的な動作により、給電側回路11より伝送された電力が、非接触で充電側回路21で受電され、この電力がバッテリ24に充電される。そして、バッテリ24に充電された電力により、例えば作業服に搭載されるLED(図示省略)等に電力を供給して、該LEDを点灯させることが可能となる。
【0053】
このようにして、第3実施形態に係る非接触充電装置では、作業者36は自身が携行するバッテリ24の充電量が低下した場合に、接続線等を用いてバッテリ24に電源を接続して充電を行うという面倒な作業を必要とせず、フロアマット62の上に作業靴63を乗せるという簡単な動作でバッテリ24を充電することができ、充電操作を忘れるというトラブルの発生を回避することができる。
【0054】
即ち、第3実施形態に係る非接触充電装置では、フロアマット62内に柔軟性を有する給電コイル12dを設け、更に、作業靴63内に受電コイル22d,22eを設ける構成としているので、給電コイル12dと各受電コイル22d,22eとの間を確実に磁気結合させることができ、給電側回路11から充電側回路21に効率良く電力を伝送することが可能となる。
【0055】
また、各受電コイル22d,22eと配線61との間は、プラグ66とソケット65により容易に着脱することができるので、作業者36に多くの負担をかけることなく、充電操作を行うことができる。
【0056】
以上、本発明の非接触充電装置を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、曲面形状や柔軟性を有する送電側部材に給電コイルを搭載して、非接触充電を行う際に極めて有用である。
【符号の説明】
【0058】
1 ヘルメット
2 収容棚
3 収容部
4 プレート部材
5 帽体
6 鍔部
7 LEDベルト
11 給電側回路
12(12a〜12d) 給電コイル
13 レギュレータ回路(電力供給回路)
15 交流電源
21 充電側回路
22(22a〜22e) 充電コイル
23 整流回路
24 バッテリ(蓄電手段)
25 駆動回路
26 負荷
26a LED
26b LED
31 作業服
33 シート
34 シートバック
35 シートクッション
36 作業者
41 LEDベスト
61 配線
62 フロアマット
63 作業靴
65 ソケット(第2コネクタ)
66 プラグ(第1コネクタ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲面形状、または柔軟性を有する送電側部材に配置された給電コイルと、
前記給電コイルに接続され、電源より出力される電力を前記給電コイルに供給する電力供給回路と、
着用者が装着する着用品に配置された受電コイルと、
前記受電コイルと接続され、前記受電コイルを介して受電した電力を蓄積し、且つ、前記着用者が装備する電気機器に駆動用の電力を供給する蓄電手段と、を備え、
前記給電コイルと前記受電コイルが近接配置された際に、前記給電コイルに供給された電力を前記受電コイルで受電し、受電した電力を前記蓄電手段に蓄電することを特徴とする非接触充電装置。
【請求項2】
前記着用品はヘルメットであり、
前記送電側部材は、前記ヘルメットを収容する収容部材であり、
前記給電コイルは、前記収容部材の、前記ヘルメット収容時に該ヘルメットに設けられた前記受電コイルと近接する位置に設けられ、
前記ヘルメットが前記収容部材に収容された際に、前記給電コイルと前記受電コイルが近接配置されて、前記給電コイルに供給された電力を前記受電コイルに伝送することを特徴とする請求項1に記載の非接触充電装置。
【請求項3】
前記着用品は衣服であり、且つ、前記受電コイルは前記衣服の背中部分に設けられ、
更に、前記送電側部材は椅子であり、前記給電コイルは、前記椅子の背もたれに搭載され、前記着用者が前記椅子に着座した際に、前記給電コイルと前記受電コイルが近接配置され、前記給電コイルに供給された電力を前記受電コイルに伝送することを特徴とする請求項1に記載の非接触充電装置。
【請求項4】
前記椅子は、車両用シートであることを特徴とする請求項3に記載の非接触充電装置。
【請求項5】
前記着用品は靴であり、前記受電コイルは前記靴の底面に埋設して配置され、
前記送電側部材はフロアマットであり、前記着用者が前記フロアマット上に前記靴を乗せた際に、前記給電コイルと前記受電コイルが近接配置され、前記給電コイルに供給された電力を前記受電コイルに伝送することを特徴とする請求項1に記載の非接触充電装置。
【請求項6】
前記靴は、前記受電コイルと接続された第1コネクタを有し、
前記第1コネクタと着脱可能な第2コネクタ、及び該第2コネクタと前記蓄電手段とを接続する配線が前記着用者に装備されることを特徴とする請求項5に記載の非接触充電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−44827(P2012−44827A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−185932(P2010−185932)
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【出願人】(391009372)ミドリ安全株式会社 (201)
【Fターム(参考)】