非接触媒体処理装置、および非接触媒体処理システム
【課題】利用者に対して、非接触媒体のアンテナ部へのかざし方や、非接触媒体の保管形態にかかる案内を適正且つ十分に行うことで、処理未了となる事態の発生頻度を抑えることができる非接触媒体処理装置を提供する。
【解決手段】自動改札機1は、非接触カード100から送信されてくる信号の信号強度、改札通路における利用者の移動速度、および非接触カード100との無線通信時間を検出し、その検出結果に基づいて、推定される利用者における非接触カード100の使用形態や保管形態に応じた案内メッセージを表示器41aに表示する。
【解決手段】自動改札機1は、非接触カード100から送信されてくる信号の信号強度、改札通路における利用者の移動速度、および非接触カード100との無線通信時間を検出し、その検出結果に基づいて、推定される利用者における非接触カード100の使用形態や保管形態に応じた案内メッセージを表示器41aに表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、無線通信機能を有する非接触媒体との無線通信により、この非接触媒体が記憶する情報の読み取りや、この情報の書き換えを行う非接触媒体処理装置、および非接触媒体処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、利用者が所持する非接触カード(非接触媒体)との無線通信により、この非接触カードに記憶されているカード情報の取得や、カード情報の更新を行う非接触カード処理装置を適用した自動改札機や、POS端末等が実用化されている。非接触カード処理装置は、周知のように、アンテナ部の周辺の無線通信エリア内に位置する非接触カードと無線で通信する。無線通信エリアは、アンテナ部から数cmの範囲である。通常、利用者が所持している非接触カードを無線通信エリア内に位置させる。すなわち、利用者は、非接触カードを無線通信エリア内に位置させるために、所持している非接触カードをアンテナ部にかざす。非接触カードは、パスケースや、財布等に収納した状態でアンテナ部にかざしてもよい。このとき、非接触カード処理装置は、利用者により非接触カードがアンテナ部に適正にかざされないと(非接触カードが無線通信エリア内に位置させられないと)、非接触カードとの無線通信が行えないので、非接触カードが記憶するカード情報を読み取ることができず、カード情報を用いた処理が行えない。例えば、非接触カード処理装置を適用した機器が自動改札機である場合には、利用者が適正な乗車券(非接触カード)を所持していても、この非接触カードが記憶するカード情報(乗車券情報)を読み取ることができず、この利用者に対して改札通路の通行(駅構内への入場や、駅構内から出場)を許可することができない(改札通路の通行を禁止する。)。また、非接触カード処理装置を適用した機器がPOS端末である場合には、取引金額の精算が行えず、結果的に取引が処理できない。
【0003】
そこで、利用者がアンテナ部にかざしている非接触カードが無線通信エリア内に位置しているかどうかを検知し、非接触カードが無線通信エリア内に位置していないときには、利用者に対して非接触カードをアンテナ部にもっと近づけるように案内することが提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−149072号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、非接触カード処理装置は、非接触カードが無線通信エリア内に位置している時間が、この非接触カードに対する処理に要する時間(以下、処理時間と言う。)に満たなかったときには処理未了となり、カード情報を用いた処理が行えない。この処理時間には、非接触カードが記憶しているカード情報の読み取りに要する時間、およびカード情報の読み取り後に非接触カードが記憶するカード情報の書き換えに要する時間が含まれている。そして、従来の非接触カード処理装置は、上述の特許文献1に示されているように、非接触カードが無線通信エリア内に位置していないときに、利用者に対して非接触カードをアンテナ部に近づけるように案内するだけであり、非接触カードの使用形態(アンテナ部へのかざし方等)にかかる案内が十分でなかった。特に、自動改札機のように、利用者が移動しながら非接触カードをアンテナ部にかざす機器では、利用者の移動速度や、非接触カードを所持している利用者の手の動きが速いために、非接触カードが無線通信エリア内に位置していた時間が処理時間に満たず、この非接触カードに対するカード情報の読み取りや、カード情報の書き換えが行えず処理未了となる事態の発生頻度が高い。また、非接触カードは、他の非接触カードと重ねてパスケースに収納していたり、金属物をパスケースに収納していると、無線通信部の共振周波数がずれるので、非接触カード処理装置との無線通信が適正に行えないことがある。すなわち、利用者における非接触媒体の保管形態が適正でないときにも処理未了となることがある。一方、改札口やレジにおける混雑を緩和するには、改札通路における利用者の流れをスムーズにするために、処理未了の発生頻度を抑えることが重要である。
【0005】
この発明の目的は、利用者に対して、非接触媒体のアンテナ部へのかざし方や、非接触媒体の保管形態にかかる案内を適正且つ十分に行うことで、処理未了の発生頻度を抑えることができる非接触媒体処理装置および非接触媒体処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の非接触媒体処理装置は、上記課題を解決するために、以下の構成を備えている。
【0007】
(1)アンテナ部を有し、このアンテナ部周辺の無線通信エリア内に位置する非接触媒体と無線通信を行う無線通信手段と、
前記無線通信手段が無線通信を行っている非接触媒体を所持している利用者の移動速度、前記無線通信手段による非接触媒体との無線通信時間、および前記無線通信手段が無線通信を行っている非接触媒体から送信されてきた信号の信号強度の内、少なくとも2つを検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された検出結果から推定される、利用者における非接触媒体の使用形態に応じた案内メッセージを出力する案内メッセージ出力手段と、を備えている。
【0008】
この構成では、無線通信手段が、アンテナ部周辺の無線通信エリア内に位置する非接触媒体と無線通信を行う。無線通信エリアは、アンテナ部の周囲数cmの範囲である。検出手段が、無線通信手段において無線通信を行っている非接触媒体を所持している利用者の移動速度、この非接触媒体との無線通信時間、およびこの非接触媒体から送信されてきた信号の信号強度の内、少なくとも2つを検出する。案内メッセージ出力手段が、検出手段における検出結果に基づいて推定される、利用者における非接触媒体の使用形態に応じた案内メッセージを出力する。ここで言う使用形態は、非接触媒体のアンテナ部へのかざし方や、非接触媒体の保管形態である。例えば、検出手段により検出された利用者の移動速度が速いときには、「もう少しゆっくり歩きましょう。」という案内メッセージを出力し、検出手段により検出された非接触媒体との無線通信時間が短いときには、「もう少しゆっくり歩きましょう。」や「非接触媒体をアンテナ部付近で止めてください。」という案内メッセージを出力し、非接触媒体から送信されてきた信号強度が小さいときには、「非接触媒体をアンテナ部にもう少し近づけてください。」や「他の非接触媒体等と重ねてケースに収納していませんか。」等の案内メッセージを出力する。したがって、利用者に対して、非接触媒体の使用形態に応じた案内を行うことができ、非接触媒体との無線通信が適正に行われなかったことによる処理未了の発生頻度を低減することができる。
【0009】
これにより、駅の改札口や店舗のレジ等における混雑を低減し、利用者に対するサービスの向上が図れる。
【0010】
(2)前記案内メッセージ出力手段は、非接触媒体を所持している利用者に対して、移動速度、前記アンテナ部への非接触媒体のかざし方、または非接触媒体の保管形態について、改善を促す案内メッセージを出力する手段である。
【0011】
この構成では、利用者に対して、移動速度、非接触媒体のかざし方、保管形態について、改善を促す案内メッセージを出力するので、非接触媒体との無線通信が適正に行われなかったことによる処理未了の発生頻度を低減することができる。
【0012】
(3)前記案内メッセージ出力手段は、前記無線通信手段における非接触媒体との無線通信が適正に行えなかった場合に、前記案内メッセージを出力する手段である。
【0013】
この構成では、非接触媒体との無線通信が適正に行われなかったときに、案内メッセージ出力手段が案内メッセージを出力する。すなわち、非接触媒体に対する処理が適正に行われなかったときに、利用者に対して、その原因を解消するための案内を行う。したがって、非接触媒体の使用形態における改善すべき点を、利用者に強く印象づけることができる。
【0014】
(4)前記無線通信手段により無線通信を開始した非接触媒体が、所定時間以内前に無線通信が適正に行えなかった非接触媒体であるかどうかを判定する判定手段を備え、
前記案内メッセージ出力手段は、前記判定手段が所定時間内に無線通信が適正に行われなかった非接触媒体であると判定した場合に、この非接触媒体との前回の無線通信時において、前記検出手段により検出された検出結果から推定される、利用者における非接触媒体の使用形態に応じた案内メッセージを、この非接触媒体に書き込む手段を含む。
【0015】
この構成では、非接触媒体との無線通信が適正に行われなかったために、再度非接触媒体をアンテナ部にかざしたときに、前回無線通信が適正に行われなかったことに対する案内メッセージが非接触媒体に書き込まれる。これにより、後で、この非接触媒体に書き込まれている案内メッセージを利用者に提示することができ、この案内メッセージを利用者にゆっくり確認させることができる。
【0016】
(5)前記無線通信手段は、無線通信を行っている非接触媒体が記憶する信号強度レベルを読み取る読取手段と、
前記案内メッセージ出力手段は、前記読取手段が読み取った信号強度レベルが予め定めた閾値レベルよりも低いときに、前記非接触媒体の不良を示す旨の案内メッセージを出力する手段である。
【0017】
この構成では、利用者に対して、非接触媒体の不良を知らせることもできる。この場合、所定の位置にセットされた非接触媒体と無線通信を行う機器において、信号強度レベルを非接触媒体に書き込むようにすればよい。
【0018】
(6)アンテナ部を有し、このアンテナ部周辺の無線通信エリア内に位置する非接触媒体と無線通信を行う無線通信手段と、
前記無線通信手段が無線通信を行っている非接触媒体を所持している利用者の移動速度、前記無線通信手段による非接触媒体との無線通信時間、および前記無線通信手段が無線通信を行っている非接触媒体から送信されてきた信号の信号強度の内、少なくとも2つを検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された検出結果を出力する検出結果出力手段と、を有し、
前記無線通信手段は、非接触媒体との無線通信により、この非接触媒体を識別する識別情報を取得する手段を含み、
前記検出結果出力手段は、非接触媒体の識別情報と、前記検出手段により検出された検出結果と、を対応付けて出力する手段である非接触媒体処理装置と、
前記非接触媒体処理装置の検出結果出力手段が出力した検出結果を取得する検出結果取得手段と、
非接触媒体の識別情報と、案内メッセージの送信先と、を対応付けて記憶する送信先記憶手段と、
前記検出結果取得手段が取得した検出結果から推定される、利用者における非接触媒体の使用形態に応じた案内メッセージを前記送信先記憶手段が記憶している該当する送信先に送信する案内メッセージ送信手段とを有するサーバ装置と、を備えている。
【0019】
この構成では、非接触媒体の利用者が所有する携帯電話等の端末に案内メッセージを送信することができる。これにより、案内メッセージを、利用者に確実に伝えることができるとともに、案内メッセージの内容を利用者にゆっくり確認させることができる。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、利用者に対して、非接触媒体の使用形態に応じた案内を行うことができ、非接触媒体との無線通信が適正に行われなかったことによる処理未了の発生頻度を低減することができる。したがって、駅の改札口や店舗のレジ等における混雑を低減し、利用者に対するサービスの向上が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、この発明の実施形態である非接触媒体処理装置を適用した自動改札機について説明する。
【0022】
図1は、この発明の実施形態である非接触媒体処理装置を適用した自動改札機の外観を示す斜視図である。図1に示すように、この実施形態の自動改札機1は、一対の自動改札パーツ1a、1bを改札通路を挟んで対向させて配置したものである。また、図2(A)は、一方の自動改札パーツ1aの改札通路側の側面図であり、図2(B)は自動改札機の上面図であり、図2(C)は自動改札機の正面図である。図3は、この実施形態の自動改札機の構成を示すブロック図である。この実施形態の自動改札機1は、駅の改札口に設置される。この実施形態の自動改札機1の改札通路における利用者の通行方向は、図1に示すA方向、またはB方向の一方であってもよいし、両方であってもよい。例えば、A方向は利用者が駅に入場する方向であり、B方向は利用者が駅から出場する方向である。図3に示すように、この実施形態の自動改札機1は、装置本体の動作を制御する制御部2と、改札通路に進入する利用者が所持しているキップ、定期券等の乗車券を受け付ける乗車券受付部3と、利用者毎に改札通路内における位置を検知する利用者検知部4と、改札通路に進入した利用者の出口側に設けられた扉を開閉する扉開閉部5と、利用者に対して案内表示を行う表示部6と、を備えている。乗車券受付部3、扉開閉部5、および表示部6については、改札通路をA方向に通行する利用者用(入場者用)と、改札通路をB方向に通行する利用者用(出場者用)と、を個別に備えている。すなわち、乗車券受付部3a、扉開閉部5a、および表示部6aは、改札通路をA方向に通行する利用者用の構成であり、乗車券受付部3b、扉開閉部5b、および表示部6bは、改札通路をB方向に通行する利用者用の構成である。
【0023】
なお、改札通路における利用者の通行方向が一方の方向に限定されている場合には、他方の方向にかかる乗車券受付部3a(または3b)、扉開閉部5a(または5b)、および表示部6a(または6b)については、設けなくてもよい。
【0024】
改札通路をA方向に通行する利用者用の乗車券受付部3aは、この利用者の右側に位置する自動改札パーツ1aに設けられ、改札通路をB方向に通行する利用者用の乗車券受付部3bは、この利用者の右側に位置する自動改札パーツ1bに設けられている。乗車券受付部3a、3bは、非接触カードを乗車券として受け付ける。ここで、非接触カードについて簡単に説明しておく。図4は、非接触カードの主要部の構成を示すブロック図である。非接触カード100は、本体の動作を制御する制御部101と、無線通信を行う無線通信部102と、カード情報を記憶する記憶部103と、を備えている。無線通信部102は、自動改札機1の乗車券受付部3との無線通信を行う。無線通信部101は、後述するように乗車券受付部3との電磁結合により、本体を動作させる動作電源を得る。図4では、動作電源を得る電源部については図示を省略している。記憶部103は、不揮発性のメモリで構成され、識別コード(所謂、カード番号)、定期券区間、プリペイド残高等をカード情報(乗車券情報)として記憶する。制御部101は、記憶部103が記憶するカード情報の読み出しや書換(更新)を行う。
【0025】
乗車券受付部3aは、アンテナコイル11aの周辺(アンテナコイル11aから数cmの範囲)が無線通信エリアであり、この無線通信エリア内に位置する非接触カード100と無線通信が行える。非接触カード100は、この無線通信エリア内に位置したときに、このアンテナコイル11aとの電磁結合により動作電源を得て、動作する。言い換えれば、非接触カード100は、乗車券受付部3の無線通信エリア内に位置していないときには、動作電源を得ることができず、停止している。乗車券受付部3aは、非接触カード100との無線通信により、この非接触カード100に対して、記憶しているカード情報の送信指示や、カード情報の更新指示(書換指示)を行う。非接触カード100は、自動改札機1側の指示にしたがって、記憶部103に記憶しているカード情報の送信や書換を行う。また、乗車券受付部3aは、非接触カード100との無線通信において、非接触カード100から送信されてきた無線通信信号の信号強度を検出する機能を有している。この信号強度は、例えば非接触媒体100との無線通信を開始してから終了するまでの間における信号強度の平均値としてもよいし、この無線通信期間におけるピーク値としてもよい。
【0026】
なお、自動改札パーツ1bに設けられている乗車券受付部3bも、上述の乗車券受付部3aと同じ構成である。乗車券受付部3bの無線通信エリアは、アンテナコイル11bから数cmの範囲である。
【0027】
制御部2は、乗車券受付部3a、3bにおける非接触カード100との無線通信時間を検出する機能を有している。具体的には、乗車券受付部3a、3bが非接触カード100との無線通信を開始したときにタイマをスタートさせ、この非接触カード100との無線通信が途切れたり、完了したときにタイマをストップさせることで無線通信時間を検出する機能を有している。
【0028】
利用者検知部4は、改札通路への利用者の進入、および改札通路内における利用者の位置を検知する利用者位置検知部4aと、改札通路に進入した利用者が該改札通路の通行に際して乗車券を必要とする利用者であるか、乗車券を必要としない利用者であるかを判定する利用者種別判定部4bと、を備えている。利用者位置検知部4aは、改札通路に沿って、自動改札パーツ1aの改札通路側の側面に略等間隔(例えば15cm間隔)に設けられた複数の発光部21と、自動改札パーツ1bの改札通路側の側面に略等間隔(例えば15cm間隔)に設けられた複数の受光部22と、を備えている。発光部21と、受光部22とは、対向させて取り付けている。また、発光部21、および受光部22は、改札通路の通行に際して乗車券を必要としない幼児も検出できる高さ、約800mmの高さ、に取り付けている。利用者位置検知部4aは、発光部21から出射されている光を受光部22が受光していれば、受光部22の取り付け位置に利用者が存在していないと判断し、発光部21から出射されている光を受光部22が受光していなければ、受光部22の取り付け位置に利用者が存在していると判断する。利用者位置検知部4aは、利用者毎に改札通路内における利用者の移動速度(通行速度)を検出する機能を有している。具体的には、改札通路内における利用者の位置を一定時間毎、例えば100ms毎、に検知することで、改札通路内における利用者の移動速度を検出する。また、利用者位置検知部4aにより、改札通路内における利用者の位置の追跡も行える。また、利用者種別判定部4bは、出射している光の反射光を検出する反射形センサ25〜27を有している。反射形センサ25〜27は、自動改札パーツ1a、1bの改札通路側の側面に設けられ、この改札通路の両側および改札通路の略中央の3カ所(合計6カ所)に設けられている。この反射形センサ25〜27は、光を斜め上方に照射する向きに取り付けている。反射型センサ25〜27から照射された光は、改札通路の幅方向の中央において、略1250mmの高さに達する。
【0029】
扉開閉部5aは、自動改札パーツ1a、1bの改札通路側の側面に設けられた扉31を開閉する。扉31は、改札通路をA方向に通行する利用者にとっての出口側に設けられている。一方、扉開閉部5bは、自動改札パーツ1a、1bの改札通路側の側面に設けられた扉32を開閉する。扉32は、改札通路をB方向に通行する利用者にとっての出口側に設けられている。また、表示部6aは自動改札パーツ1aの上面に設けられた表示器41aにおける表示を制御し、表示部6bは自動改札パーツ1bの上面に設けられた表示器41bにおける表示を制御する。表示器41a、41bは、改札通路の略中央に設けられている。表示部6は、利用者に対して非接触カード100の使用形態や、保管形態等の改善について案内する案内メッセージ等を表示器41a、41bに表示する。
【0030】
次に、この実施形態の自動改札機1の動作について説明する。図5および図6は、この実施形態の自動改札機の動作を示すフローチャートである。自動改札機1は、改札通路内に利用者がいないとき、改札通路に進入する利用者の動きを妨げないために扉31、32を全て開している。自動改札機1は、乗車券受付部3(3aまたは3b)の無線通信エリア内に非接触カード100が位置したことを検知すると(s1)、この非接触カード100が記憶するカード情報の読み取りを開始する(s2)。乗車券受付部3は、非接触カード100と無線通信を行っていないとき、無線通信エリア内に位置している非接触カード100に対して応答を要求するポーリングを行っている。自動改札機1は、乗車券受付部3において、前記ポーリングに対する応答を受信したかどうかにより、無線通信エリア内に非接触カード100が位置しているかどうかを検知する。非接触カード100が記憶しているカード情報の読み取りは、この非接触カード100との無線通信で行われる。自動改札機1は、s2で非接触媒体100が記憶するカード情報の読み取りを開始すると、この非接触カード100との通信時間の検出処理を開始する(s3)。s3では、無線通信時間を検出するタイマをリセットし、その後このタイマをスタートさせる。また、この非接触カード100との無線通信において、非接触カード100から送信されてきた無線通信信号の信号強度を検出する信号強度検出処理を開始するとともに、この非接触カード100を所持している利用者の移動速度を検出する移動速度検出処理を開始する(s4、s5)。
【0031】
その後、自動改札機1は、非接触カード100からのカード情報の読み取りが完了するまでに、非接触カード100との無線通信が途切れるかどうかを監視する(s6、s7)。非接触カード100が利用者により無線通信エリア内からエリア外に移動されると、この非接触カード100との無線通信が途切れる。自動改札機1は、非接触カード100からのカード情報の読み取りが完了する前に、この非接触カード100との無線通信が途切れると、扉開閉部5(5aまたは5b)により、利用者の出口側に設けられている扉31(または32)を閉する(s8)。また、自動改札機1は、s3〜s5で開始した通信時間、信号強度、移動速度の検出処理を停止し(s9)、この利用者が改札通路から退出するのを待つ(s10)。このとき、利用者は、改札通路を引き返し、進入した側から外に出る。s8では、報知音による報知等も同時に行われる。自動改札機1は、s9で利用者が改札通路から退出したことを検出すると、s8で閉した扉31(または32)を開する(s11)。また、このときに報知音による報知も停止する。
【0032】
また、自動改札機1は、s6で非接触カード100からのカード情報の読み取りが完了したと判定すると、今回読み取ったカード情報に基づいて、改札通路における利用者の通行可否を判定する(s12)。自動改札機1は、s12で改札通路における利用者の通行を許可しないと判定すると、上述したs8以降の処理を実行する。一方、自動改札機1は、s12で改札通路における利用者の通行を許可すると判定すると、非接触カード100に対するカード情報の更新処理を開始する(s13)。このカード情報の更新処理は、自動改札機1が非接触カード100へ更新するカード情報を送信し、非接触カード100が記憶部103に記憶しているカード情報を、自動改札機1から送信されてきたカード情報に書き換え、カード情報の更新完了を自動改札機1に通知する処理である。自動改札機1は、非接触カード100から更新完了の通知を受信すると、カード情報の更新が完了したと判定する。自動改札機1は、カード情報の更新が完了するまでに、非接触カード100との無線通信が途切れるかどうかを監視する(s14、s15)。自動改札機1は、カード情報の更新が完了すると、利用者の出口側に設けられている扉31(または32)を開するとともに、s3〜s5で開始した通信時間、信号強度、移動速度の検出処理を停止する(s16、s17)。その後、利用者が改札通路を通って、改札通路外に出るのを待つ(s18)。s16にかかる処理は、何らかの理由で、この利用者の出口側に設けられている扉31(または32)が閉した状態であって、利用者が改札通路を通って、外に出れないという状態が生じるのを防止するためである。
【0033】
自動改札機1は、s15でカード情報の更新が完了するまえに、非接触カード100との無線通信が途切れたと判断すると、s3〜s5で開始した通信時間、信号強度、移動速度の検出処理を停止し(s19)。その後、利用者が改札通路の中央に達するか、改札通路を引き返して改札通路から退出するのを待つ(s20、s21)。s20では、改札通路の略中央に設けられた反射形センサ26により利用者が検知された場合に、利用者が改札通路の中央に達したと判定する。自動改札機1は、利用者が改札通路の中央に達したと判定すると、この利用者の出口側に設けられている扉31(または32)を閉する(s22)。そして、自動改札機1は、非接触カード100との今回の無線通信における、信号強度、通信時間、移動速度の検出結果を読み出す(s23)。自動改札機1は、s23で読み出した検出結果に基づいて、今回非接触媒体100との無線通信が適正に行われなかった原因から推定される、利用者における非接触媒体100の使用形態(非接触カード100のかざし方)や保管形態(他の非接触カードや、金属物と一緒にパスケースに収納している等)に応じた案内メッセージを表示器41a(または41b)に表示する案内処理を行う(s24)。この案内処理の詳細については、後述する。その後、自動改札機1は、この利用者が改札通路から退出するのを待つ(s25)。自動改札機1は、利用者が改札通路を引き返し、改札通路から外に退出すると、s22で閉した扉31(または32)を開するとともに、s24で表示器41a(または41b)に表示した案内メッセージの表示を停止する(s26)。
【0034】
なお、改札通路を引き返し、一旦改札通路から外に出た利用者は、再度非接触カード100を乗車券受付部3の無線通信エリア内にかざし、自動改札機1との間で適正に処理が行われると、改札通路を通行することができる。
【0035】
次に、上述したs24にかかる案内処理について説明する。自動改札機1は、制御部2に図7に示す案内メッセージテーブルを記憶しているとともに、信号強度、通信時間、移動速度のそれぞれについて、適正であるか不適正であるかを判断する閾値を記憶している。具体的には、信号強度は、検出された信号強度が予め定められたレベルLよりも低ければ、不適正であると判断し、このレベルL以上であれば適正であると判断する。また、通信時間は、検出された通信時間が予め定められた時間Tよりも短ければ不適正であると判断し、この時間T以上であれば適正であると判断する。また、移動速度は、検出された移動速度が予め定められた速度Vよりも速ければ不正であると判断し、この速度V以下であれば適正であると判断する。
【0036】
案内メッセージテーブルは、図示するように、信号強度、通信時間、移動速度の適正、不適正の組合せパターン1〜8と、案内メッセージと、を対応付けたテーブルである。図7に示すパターン1は、信号強度、移動速度、通信時間が全て適正であったパターンであるにもかかわらず、非接触カード100との無線通信が適正に行えなかったことから、非接触カード100自体に何らかの障害が発生していると推定される。そこで、このパターン1には、「カード異常の可能性があります。係員にお問い合わせください。」という案内メッセージを対応付けている。
パターン2は、信号強度、移動速度については適正であったが、通信時間が不適正(短い)であったパターンであり、非接触カード100との無線通信が適正に行えなかった主たる原因が、非接触カード100を持っている利用者の手の動きが速かったためであると推定される。そこで、このパターン2には「アンテナ付近でカードを止めてください。」という案内メッセージを対応付けている。
パターン3は、信号強度については適正であったが、移動速度、および通信時間が不適正であったパターンであり、非接触カード100との無線通信が適正に行えなかった主たる原因が、非接触カード100を持っている利用者の移動速度が速かったためであると推定される。そこで、このパターン3には「ゆっくり歩いてください。」という案内メッセージを対応付けている。
パターン4は、信号強度、および通信時間については適正であったが、移動速度が不適正であったパターンであり、非接触カード100との無線通信が適正に行えなかった主たる原因が、非接触カード100自体に何らかの障害が発生していると推定される。そこで、このパターン4には「カード異常の可能性があります。係員にお問い合わせください。」という案内メッセージを対応付けている。
パターン5は、通信時間、および移動速度については適正であったが、信号強度が不適正であったパターンであり、非接触カード100との無線通信が適正に行えなかった主たる原因が、例えば他の非接触カードと重ねてパスケースに収納していたり、金属物をパスケースに収納している等、非接触カードの保管形態が原因であると推定される。そこで、このパターン5には「他のカードや金属物を一緒に収納していないか確認してください」という案内メッセージを対応付けている。
パターン6は、移動速度については適正であったが、信号強度、および通信時間が不適正であったパターンであり、非接触カード100との無線通信が適正に行えなかった原因が、アンテナ11a(または11b)に十分に近づけられていなかったこと、および非接触カード100を持っている利用者の手の動きが速かったためであると推定される。そこで、このパターン6には「カードをアンテナに近づけ、止めてください。」という案内メッセージを対応付けている。
パターン7は、信号強度、移動速度、通信時間の全てが不適正であったパターンであり、非接触カード100との無線通信が適正に行えなかった主たる原因が、アンテナ11a(または11b)に十分に近づけられていなかったこと、および利用者の移動速度が速かったことであると推定される。そこで、このパターン6には「ゆっくり歩いて、カードをアンテナに近づけ、止めてください。」という案内メッセージを対応付けている。
パターン8は、通信時間については適正であったが、信号強度、および移動速度が不適正であったパターンであり、非接触カード100との無線通信が適正に行えなかった原因が、アンテナ11a(または11b)に十分に近づけられていなかったこと、および利用者の移動速度が速かったことであると推定される。そこで、このパターン6には「ゆっくり歩いて、カードをアンテナに近づけてください。」という案内メッセージを対応付けている。
【0037】
自動改札機1における上述の案内処理は、図8に示すように、信号強度、移動速度、通信時間のそれぞれについて、検出結果から適正であったかどうかを判定し、上述のパターン1〜8のいずれのパターンに該当するかを判定し(s31)、ここで判定したパターンに対応付けられている案内メッセージを読み出し(s32)、これを表示器41a(または41b)に表示する(s33)、という処理である。
【0038】
このようにこの実施形態の自動改札機1は、非接触媒体100との無線通信が適正に行えなかったとき、その主たる原因に対応するための案内メッセージを表示器41a(または41b)に表示するので、利用者に対して非接触カード100の使用形態や保管形態にかかる案内が適切に行える。また、非接触媒体100との無線通信が適正に行えなかったときに、利用者に対して案内メッセージを出力するので、非接触媒体100との無線通信が適正に行えなかった原因を、利用者に強く印象づけることができる。これにより、利用者に対して、非接触カード100の使用形態や保管形態の改善を促すことができ、自動改札機での実際の使用時における未処理の発生頻度を抑えることができる。その結果、自動改札機1の改札通路における混雑の緩和も図れ、利用者に対するサービスを向上することができる。
【0039】
また、上述した実施形態では、信号強度、移動速度、および通信時間の3つを検出し、利用者に対する案内メッセージを決定する構成であるとしたが、これらの2つから案内メッセージを決定するようにしてもよい。この場合における案内メッセージテーブルを図9に示す。図9(A)は、信号強度、および移動速度から案内メッセージを決定する場合の案内メッセージテーブルを示し、図9(B)、信号強度、および通信時間から案内メッセージを決定する場合の案内メッセージテーブルを示し、図9(C)は、移動速度、および信号強度から案内メッセージを決定する場合の案内メッセージテーブルを示している。
【0040】
次に、この発明の別の実施形態について説明する。この実施形態では、自動改札機1に図10に示すs27、s28の処理を追加している。
【0041】
なお、図10に示すs3以降の処理は、図5、および図6に示した処理と同じであり、図示を省略している。
【0042】
上述したように、非接触カード100は、カード情報としてカード番号を記憶している。自動改札機1が無線通信により非接触カード100から読み取るカード情報には、このカード番号が含まれている。すなわち、自動改札機1は、無線通信が適正に行えなかった非接触媒体100のカード番号を読み取っている。この実施形態の自動改札機1は、無線通信が適正に行えなかった非接触媒体100のカード番号を一定時間、例えば1〜2分、記憶し、その後このカード番号を消去する。すなわち、、無線通信が適正に行えなかった非接触媒体100のカード番号を一時的に記憶する構成である。
【0043】
この実施形態の自動改札機1は、上述した実施形態と同様に、乗車券受付部3(3aまたは3b)の無線通信エリア内に非接触カード100が位置したことを検知し(s1)、この非接触カード100が記憶するカード情報の読み取りを開始する(s2)。そして、今回カード情報を読み取った非接触カード100が、カード番号を記憶している非接触カード(すなわち、前回無線通信が適正に行えず、一定時間内に再度無線通信を開始した非接触媒体100)であるかどうかを判定する(s27)。自動改札機1は、s27でカード番号を記憶しているカードでないと判定すると、s3以降の処理を実行する。一方、s27でカード番号を記憶しているカードであると判定すると、この非接触カード100に対して、前回無線通信が適正に行えなかった原因に応じた案内メッセージの書込を指示し(s28)、s3以降の処理を実行する。非接触媒体100は、記憶部103の所定の記憶領域に、自動改札機1から指示された案内メッセージを記憶する。
【0044】
このように、この実施形態の自動改札機1は、前回無線通信が適正に行えず、一定時間内に再度無線通信を開始した非接触媒体100に対して、前回無線通信が適正に行えなかった原因に応じた案内メッセージを書き込む。これにより、非接触媒体100は、自動改札機1との無線通信が適正に行えなかった原因に応じた案内メッセージを記憶する。
【0045】
一般に自動改札機1で利用される非接触カード100は、定期券の有効期間の更新やプリペイド金額の追加等を行うときに、券売機等の装置(不図示)が利用される。この種の装置(以下、特定装置と言う。)は、非接触カード100を所定の位置に取り込んだ状態で、この非接触カード100と無線通信を行う構成である。また、この特定装置で行われる定期券の有効期間の更新やプリペイド金額の追加等にかかる処理は、自動改札機1における処理に比べて長い時間を要し、利用者はこの間この特定装置の前から離れない。さらに、一般的な特定装置は、利用者に対して操作案内等を行うための表示器を有している。そこで、この特定装置において、所定の位置に取り込んだ非接触カード100が所定の記憶領域に案内メッセージを記憶しているかどうかを判断し、案内メッセージを記憶していれば、この案内メッセージを表示器に表示する構成を設けることで、案内メッセージを利用者にゆっくり確認させることができ、利用者に対する案内がより適正に行える。
【0046】
なお、非接触カード100が記憶する案内メッセージを表示する装置は、券売機等の駅務機器だけでなく、他の装置であってもよい。
【0047】
また、この発明の別の実施形態について説明する。この実施形態では、非接触カード100が信号強度を記憶部103の所定の記憶領域に記憶している。この非接触カード100が記憶する信号強度は、非接触カード100を所定の位置に取り込んだ状態で、この非接触カード100と無線通信を行う券売機等の装置により書き込まれたものである。券売機等の装置は、非接触カード100を所定の位置に取り込んだ状態で、この非接触カード100と無線通信を行うので、安定した状態で非接触カード100と無線通信を行ったときの信号強度を検出することができる。これにより、安定した状態で無線通信を行ったときの信号強度を非接触カード100に記憶させることができる。
【0048】
この実施形態の自動改札機1は、非接触カード100が記憶する信号強度についても、カード情報として読み取る構成である。この実施形態の自動改札機1は、図5、および図6に示した処理を実行するが、s24にかかる案内処理が上述した自動改札機1と異なる。図11は、この実施形態の自動改札機における案内処理を示す図である。この実施形態の自動改札機1は、非接触カード100が記憶部103に記憶している信号強度が適正であるかどうかを判定する(s35)。s35では、非接触カード100が記憶している信号強度が予め定められたレベルLよりも低ければ不適正であると判断し、このレベルL以上であれば適正であると判断する。自動改札機1は、s35で適正であると判断すると、図8に示したs31〜s33の処理を実行する。一方、s33で不適正であると判断すると、「カード異常です。近くの係員までカードをお持ちください。」という案内メッセージを読み出し(s36)、s33で、この案内メッセージを表示する。したがって、カード異常を利用者に適正に伝えることができる。
【0049】
さらに、この発明の非接触媒体処理システムの実施形態について説明する。図12は、この発明にかかる非接触媒体処理システムを適用した自動改札システムの構成を示す図である。各自動改札機1は、図12に示すように、データ通信ラインを介してサーバ装置70に接続されている。自動改札機1は、サーバ装置70に直接接続されていてもよいし、いくつかの装置を介して接続されていてもよい。また、公衆回線や専用回線を利用して接続されていてもよい。また、図12に示す80は、利用者が所有する携帯電話である。自動改札機1は、図13に示すように、図3に示した構成に加えて、サーバ装置70と通信する通信部7を備えている。
【0050】
なお、この実施形態の自動改札装置1は、図7に示した案内メッセージテーブルを記憶していない。
【0051】
また、サーバ装置70は、図14に示すように、本体の動作を制御する制御部71と、自動改札機1と通信する通信部72と、非接触カード100のカード番号とメールアドレスとを対応付けたアドレステーブル(図15参照)を記憶するアドレス記憶部73と、インタネット等を介して電子メールを送信するメール送信部74と、を備えている。アドレステーブルに記憶されているメールアドレスは、利用者の携帯電話80のメールアドレスであってもよいし、パソコン等の他の機器で使用しているメールアドレスであってもよい。
【0052】
この自動改札システムの動作について説明する。図16は、自動改札機の動作を示すフローチャートである。図16では、上記実施形態で説明した動作(図5、および図6で説明した動作)と同じ動作については、同じステップ番号(s**)を付しているとともに、一部のステップの図示を省略している。自動改札機1は、上述したs1〜s7の処理を実行し、s7で通信が途切れたと判定すると、s8〜s11の処理を実行する。自動改札機1は、s11で扉を開すると後述するs43以降の処理を実行する。
【0053】
また、自動改札機1は、s6でカード情報の読み取りが完了したと判定すると、上述したs12〜s15の処理を実行し、s14で更新が完了したと判定すると、s16〜s18にかかる処理を実行する。自動改札機1は、s18で利用者が改札通路から退出したと判定すると、後述するs43以降の処理を実行する。また、s15で更新が完了する前に、非接触カード100との無線通信が途切れたと判定すると、s19で検出処理を停止する。そして、利用者が改札通路の中央に達するか、改札通路を引き返して改札通路から退出するのを待つ(s20、s21)。自動改札機1は、利用者が改札通路の中央に達したと判定すると、この利用者の出口側に設けられている扉31(または32)を閉する(s22)。その後、自動改札機1は、s41で利用者が改札通路から退出したことを検出すると、s22で閉した扉31(または32)を開する(s42)。また、このときに報知音による報知も停止する。自動改札機1は、s42で扉31(または32)を開すると、後述するs43以降の処理を実行する。また、自動改札機1は、利用者が改札通路の中央に達する前に、改札通路から退出したと判定すると、s43以降の処理を実行する。
【0054】
以下、s43以降の処理について説明する。自動改札機1は、今回の非接触カード100との無線通信における、信号強度、移動速度、および通信時間のそれぞれについて検出結果を取得し(s43)、これらの検出結果を非接触カード100のカード番号に対応づけた記憶する(s44)。非接触カード100のカード番号は、この非接触カードから取得したカード情報に含まれている。自動改札機1は、検出結果を記憶している件数が所定の件数、例えば50件、に達したかどうかを判定し(s45)、所定の件数に達していなければ、処理を終了する。一方、s45で所定の件数に達したと判定すると、記憶している検出結果をカード番号とともにサーバ装置70に送信し(s46)、本処理を終了する。このとき、自動改札機1は、サーバ装置70に送信した検出結果を消去する。
【0055】
このように、自動改札機1は、非接触カード100のカード番号と、この非接触カード100と無線通信を行ったときに検出した信号強度、移動速度、および通信時間と、を対応付けてサーバ装置70に送信する。また、所定件数分の検出結果を纏めてサーバ装置70に送信する。
【0056】
次に、サーバ装置70の動作について説明する。図17は、サーバ装置の動作を示すフローチャートである。サーバ装置70は、通信部72において、自動改札機1から送信されてきた検出結果を受信すると、これを図示していない記憶部に一時的に記憶する(s51)。ここで記憶した検出結果は、後述するs54で利用者に対して案内メッセージを送信する必要があるかどうかを判定していない検出結果(以下、未処理の検出結果と言う。)である。自動改札機1は、記憶した検出結果から未処理の検出結果を読み出し(s52)、この検出結果に基づいて、利用者における非接触媒体の使用形態や保管形態を推定する(s53)。s53にかかる推定は、上述したように信号強度、移動速度、通信時間のそれぞれについて、適正であるか不適正であるかを判断した判断結果に基づいて行えばよい。サーバ装置1は、s53で推定した使用形態や保管形態から、利用者に対して案内メッセージを送信する必要があるかどうかを判定する(s54)。s54では、信号強度、移動速度、通信時間のいずれかに不適性と判断されている項目がある利用者について案内メッセージを送信する必要があると判定する。
【0057】
サーバ装置1は、s54で案内メッセージの送信が必要であると判定すると、アドレステーブルを検索して該当する利用者のメールアドレスを取得し、信号強度、移動速度、通信時間の検出結果に応じた案内メッセージを、このメールアドレスに対して送信する(s55)。そして、サーバ装置70は、自動改札機1から送信されてきた検出結果の全てについて、上述のs52〜s54の処理を完了したかどうかを判定し(s56)、未処理のものがあればs52に戻って上記処理を繰り返す。
【0058】
このように、この実施形態の自動改札システムでは、自動改札機1との無線通信については適正に行われているが、信号強度、移動速度、通信時間のいずれかに不適性と判断されている項目がある利用者、すなわち自動改札機1との無線通信がギリギリで行われており、少しのことで自動改札機1との無線通信が適正に行えなくなる可能性が高い利用者に対して案内メッセージを送信し、非接触カード100の使用形態や保管形態の改善を促すことができる。また、サーバ装置70が非接触カード100の使用形態や保管形態にかかる案内メッセージを利用者に電子メールで送信するので、利用者はこの案内メッセージをゆっくり確認することができる。さらに、s54にかかる処理を設けているので、非接触カード100の使用形態や保管形態に全く問題がない利用者に対して、案内メッセージを送信することがないので、このような利用者に煩わしさを感じさせることもない。
【0059】
なお、上記実施形態では、本願発明を自動改札機1に適用した場合を例にして説明したが、本願発明はPOS端末等の他の機器にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】この発明の実施形態である非接触媒体処理装置を適用した自動改札機の外観を示す図である。
【図2】この発明の実施形態である非接触媒体処理装置を適用した自動改札機の外観を示す図である。
【図3】この発明の実施形態である非接触媒体処理装置を適用した自動改札機の構成を示すブロック図である。
【図4】非接触カードの構成を示す図である。
【図5】この発明の実施形態である非接触媒体処理装置を適用した自動改札機の動作を示すフローチャートである。
【図6】この発明の実施形態である非接触媒体処理装置を適用した自動改札機の動作を示すフローチャートである。
【図7】この発明の実施形態である非接触媒体処理装置を適用した自動改札機が記憶する案内メッセージテーブルを示す図である。
【図8】この発明の実施形態である非接触媒体処理装置を適用した自動改札機における案内処理を示すフローチャートである。
【図9】この発明の別の実施形態である非接触媒体処理装置を適用した自動改札機が記憶する案内メッセージテーブルを示す図である。
【図10】この発明の別の実施形態である非接触媒体処理装置を適用した自動改札機の動作を示すフローチャートである。
【図11】この発明の実施形態である非接触媒体処理装置を適用した自動改札機における案内処理を示すフローチャートである。
【図12】この発明の実施形態である非接触媒体処理システムを適用した自動改札システムを示す図である。
【図13】この自動改札システムの自動改札機の構成を示すブロック図である。
【図14】この自動改札システムのサーバ装置の構成を示すブロック図である。
【図15】サーバ装置が記憶するアドレステーブルを示す図である。
【図16】この自動改札システムの自動改札機の動作を示すフローチャートである。
【図17】この自動改札システムのサーバ装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0061】
1−自動改札機
1a、1b−自動改札パーツ
2−制御部
3(3a、3b)−乗車券受付部
4−利用者検知部
5(5a、5b)−扉開閉部
6(6a、6b)−表示部
70−サーバ装置
80−携帯電話
100−非接触カード
【技術分野】
【0001】
この発明は、無線通信機能を有する非接触媒体との無線通信により、この非接触媒体が記憶する情報の読み取りや、この情報の書き換えを行う非接触媒体処理装置、および非接触媒体処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、利用者が所持する非接触カード(非接触媒体)との無線通信により、この非接触カードに記憶されているカード情報の取得や、カード情報の更新を行う非接触カード処理装置を適用した自動改札機や、POS端末等が実用化されている。非接触カード処理装置は、周知のように、アンテナ部の周辺の無線通信エリア内に位置する非接触カードと無線で通信する。無線通信エリアは、アンテナ部から数cmの範囲である。通常、利用者が所持している非接触カードを無線通信エリア内に位置させる。すなわち、利用者は、非接触カードを無線通信エリア内に位置させるために、所持している非接触カードをアンテナ部にかざす。非接触カードは、パスケースや、財布等に収納した状態でアンテナ部にかざしてもよい。このとき、非接触カード処理装置は、利用者により非接触カードがアンテナ部に適正にかざされないと(非接触カードが無線通信エリア内に位置させられないと)、非接触カードとの無線通信が行えないので、非接触カードが記憶するカード情報を読み取ることができず、カード情報を用いた処理が行えない。例えば、非接触カード処理装置を適用した機器が自動改札機である場合には、利用者が適正な乗車券(非接触カード)を所持していても、この非接触カードが記憶するカード情報(乗車券情報)を読み取ることができず、この利用者に対して改札通路の通行(駅構内への入場や、駅構内から出場)を許可することができない(改札通路の通行を禁止する。)。また、非接触カード処理装置を適用した機器がPOS端末である場合には、取引金額の精算が行えず、結果的に取引が処理できない。
【0003】
そこで、利用者がアンテナ部にかざしている非接触カードが無線通信エリア内に位置しているかどうかを検知し、非接触カードが無線通信エリア内に位置していないときには、利用者に対して非接触カードをアンテナ部にもっと近づけるように案内することが提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−149072号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、非接触カード処理装置は、非接触カードが無線通信エリア内に位置している時間が、この非接触カードに対する処理に要する時間(以下、処理時間と言う。)に満たなかったときには処理未了となり、カード情報を用いた処理が行えない。この処理時間には、非接触カードが記憶しているカード情報の読み取りに要する時間、およびカード情報の読み取り後に非接触カードが記憶するカード情報の書き換えに要する時間が含まれている。そして、従来の非接触カード処理装置は、上述の特許文献1に示されているように、非接触カードが無線通信エリア内に位置していないときに、利用者に対して非接触カードをアンテナ部に近づけるように案内するだけであり、非接触カードの使用形態(アンテナ部へのかざし方等)にかかる案内が十分でなかった。特に、自動改札機のように、利用者が移動しながら非接触カードをアンテナ部にかざす機器では、利用者の移動速度や、非接触カードを所持している利用者の手の動きが速いために、非接触カードが無線通信エリア内に位置していた時間が処理時間に満たず、この非接触カードに対するカード情報の読み取りや、カード情報の書き換えが行えず処理未了となる事態の発生頻度が高い。また、非接触カードは、他の非接触カードと重ねてパスケースに収納していたり、金属物をパスケースに収納していると、無線通信部の共振周波数がずれるので、非接触カード処理装置との無線通信が適正に行えないことがある。すなわち、利用者における非接触媒体の保管形態が適正でないときにも処理未了となることがある。一方、改札口やレジにおける混雑を緩和するには、改札通路における利用者の流れをスムーズにするために、処理未了の発生頻度を抑えることが重要である。
【0005】
この発明の目的は、利用者に対して、非接触媒体のアンテナ部へのかざし方や、非接触媒体の保管形態にかかる案内を適正且つ十分に行うことで、処理未了の発生頻度を抑えることができる非接触媒体処理装置および非接触媒体処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の非接触媒体処理装置は、上記課題を解決するために、以下の構成を備えている。
【0007】
(1)アンテナ部を有し、このアンテナ部周辺の無線通信エリア内に位置する非接触媒体と無線通信を行う無線通信手段と、
前記無線通信手段が無線通信を行っている非接触媒体を所持している利用者の移動速度、前記無線通信手段による非接触媒体との無線通信時間、および前記無線通信手段が無線通信を行っている非接触媒体から送信されてきた信号の信号強度の内、少なくとも2つを検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された検出結果から推定される、利用者における非接触媒体の使用形態に応じた案内メッセージを出力する案内メッセージ出力手段と、を備えている。
【0008】
この構成では、無線通信手段が、アンテナ部周辺の無線通信エリア内に位置する非接触媒体と無線通信を行う。無線通信エリアは、アンテナ部の周囲数cmの範囲である。検出手段が、無線通信手段において無線通信を行っている非接触媒体を所持している利用者の移動速度、この非接触媒体との無線通信時間、およびこの非接触媒体から送信されてきた信号の信号強度の内、少なくとも2つを検出する。案内メッセージ出力手段が、検出手段における検出結果に基づいて推定される、利用者における非接触媒体の使用形態に応じた案内メッセージを出力する。ここで言う使用形態は、非接触媒体のアンテナ部へのかざし方や、非接触媒体の保管形態である。例えば、検出手段により検出された利用者の移動速度が速いときには、「もう少しゆっくり歩きましょう。」という案内メッセージを出力し、検出手段により検出された非接触媒体との無線通信時間が短いときには、「もう少しゆっくり歩きましょう。」や「非接触媒体をアンテナ部付近で止めてください。」という案内メッセージを出力し、非接触媒体から送信されてきた信号強度が小さいときには、「非接触媒体をアンテナ部にもう少し近づけてください。」や「他の非接触媒体等と重ねてケースに収納していませんか。」等の案内メッセージを出力する。したがって、利用者に対して、非接触媒体の使用形態に応じた案内を行うことができ、非接触媒体との無線通信が適正に行われなかったことによる処理未了の発生頻度を低減することができる。
【0009】
これにより、駅の改札口や店舗のレジ等における混雑を低減し、利用者に対するサービスの向上が図れる。
【0010】
(2)前記案内メッセージ出力手段は、非接触媒体を所持している利用者に対して、移動速度、前記アンテナ部への非接触媒体のかざし方、または非接触媒体の保管形態について、改善を促す案内メッセージを出力する手段である。
【0011】
この構成では、利用者に対して、移動速度、非接触媒体のかざし方、保管形態について、改善を促す案内メッセージを出力するので、非接触媒体との無線通信が適正に行われなかったことによる処理未了の発生頻度を低減することができる。
【0012】
(3)前記案内メッセージ出力手段は、前記無線通信手段における非接触媒体との無線通信が適正に行えなかった場合に、前記案内メッセージを出力する手段である。
【0013】
この構成では、非接触媒体との無線通信が適正に行われなかったときに、案内メッセージ出力手段が案内メッセージを出力する。すなわち、非接触媒体に対する処理が適正に行われなかったときに、利用者に対して、その原因を解消するための案内を行う。したがって、非接触媒体の使用形態における改善すべき点を、利用者に強く印象づけることができる。
【0014】
(4)前記無線通信手段により無線通信を開始した非接触媒体が、所定時間以内前に無線通信が適正に行えなかった非接触媒体であるかどうかを判定する判定手段を備え、
前記案内メッセージ出力手段は、前記判定手段が所定時間内に無線通信が適正に行われなかった非接触媒体であると判定した場合に、この非接触媒体との前回の無線通信時において、前記検出手段により検出された検出結果から推定される、利用者における非接触媒体の使用形態に応じた案内メッセージを、この非接触媒体に書き込む手段を含む。
【0015】
この構成では、非接触媒体との無線通信が適正に行われなかったために、再度非接触媒体をアンテナ部にかざしたときに、前回無線通信が適正に行われなかったことに対する案内メッセージが非接触媒体に書き込まれる。これにより、後で、この非接触媒体に書き込まれている案内メッセージを利用者に提示することができ、この案内メッセージを利用者にゆっくり確認させることができる。
【0016】
(5)前記無線通信手段は、無線通信を行っている非接触媒体が記憶する信号強度レベルを読み取る読取手段と、
前記案内メッセージ出力手段は、前記読取手段が読み取った信号強度レベルが予め定めた閾値レベルよりも低いときに、前記非接触媒体の不良を示す旨の案内メッセージを出力する手段である。
【0017】
この構成では、利用者に対して、非接触媒体の不良を知らせることもできる。この場合、所定の位置にセットされた非接触媒体と無線通信を行う機器において、信号強度レベルを非接触媒体に書き込むようにすればよい。
【0018】
(6)アンテナ部を有し、このアンテナ部周辺の無線通信エリア内に位置する非接触媒体と無線通信を行う無線通信手段と、
前記無線通信手段が無線通信を行っている非接触媒体を所持している利用者の移動速度、前記無線通信手段による非接触媒体との無線通信時間、および前記無線通信手段が無線通信を行っている非接触媒体から送信されてきた信号の信号強度の内、少なくとも2つを検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された検出結果を出力する検出結果出力手段と、を有し、
前記無線通信手段は、非接触媒体との無線通信により、この非接触媒体を識別する識別情報を取得する手段を含み、
前記検出結果出力手段は、非接触媒体の識別情報と、前記検出手段により検出された検出結果と、を対応付けて出力する手段である非接触媒体処理装置と、
前記非接触媒体処理装置の検出結果出力手段が出力した検出結果を取得する検出結果取得手段と、
非接触媒体の識別情報と、案内メッセージの送信先と、を対応付けて記憶する送信先記憶手段と、
前記検出結果取得手段が取得した検出結果から推定される、利用者における非接触媒体の使用形態に応じた案内メッセージを前記送信先記憶手段が記憶している該当する送信先に送信する案内メッセージ送信手段とを有するサーバ装置と、を備えている。
【0019】
この構成では、非接触媒体の利用者が所有する携帯電話等の端末に案内メッセージを送信することができる。これにより、案内メッセージを、利用者に確実に伝えることができるとともに、案内メッセージの内容を利用者にゆっくり確認させることができる。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、利用者に対して、非接触媒体の使用形態に応じた案内を行うことができ、非接触媒体との無線通信が適正に行われなかったことによる処理未了の発生頻度を低減することができる。したがって、駅の改札口や店舗のレジ等における混雑を低減し、利用者に対するサービスの向上が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、この発明の実施形態である非接触媒体処理装置を適用した自動改札機について説明する。
【0022】
図1は、この発明の実施形態である非接触媒体処理装置を適用した自動改札機の外観を示す斜視図である。図1に示すように、この実施形態の自動改札機1は、一対の自動改札パーツ1a、1bを改札通路を挟んで対向させて配置したものである。また、図2(A)は、一方の自動改札パーツ1aの改札通路側の側面図であり、図2(B)は自動改札機の上面図であり、図2(C)は自動改札機の正面図である。図3は、この実施形態の自動改札機の構成を示すブロック図である。この実施形態の自動改札機1は、駅の改札口に設置される。この実施形態の自動改札機1の改札通路における利用者の通行方向は、図1に示すA方向、またはB方向の一方であってもよいし、両方であってもよい。例えば、A方向は利用者が駅に入場する方向であり、B方向は利用者が駅から出場する方向である。図3に示すように、この実施形態の自動改札機1は、装置本体の動作を制御する制御部2と、改札通路に進入する利用者が所持しているキップ、定期券等の乗車券を受け付ける乗車券受付部3と、利用者毎に改札通路内における位置を検知する利用者検知部4と、改札通路に進入した利用者の出口側に設けられた扉を開閉する扉開閉部5と、利用者に対して案内表示を行う表示部6と、を備えている。乗車券受付部3、扉開閉部5、および表示部6については、改札通路をA方向に通行する利用者用(入場者用)と、改札通路をB方向に通行する利用者用(出場者用)と、を個別に備えている。すなわち、乗車券受付部3a、扉開閉部5a、および表示部6aは、改札通路をA方向に通行する利用者用の構成であり、乗車券受付部3b、扉開閉部5b、および表示部6bは、改札通路をB方向に通行する利用者用の構成である。
【0023】
なお、改札通路における利用者の通行方向が一方の方向に限定されている場合には、他方の方向にかかる乗車券受付部3a(または3b)、扉開閉部5a(または5b)、および表示部6a(または6b)については、設けなくてもよい。
【0024】
改札通路をA方向に通行する利用者用の乗車券受付部3aは、この利用者の右側に位置する自動改札パーツ1aに設けられ、改札通路をB方向に通行する利用者用の乗車券受付部3bは、この利用者の右側に位置する自動改札パーツ1bに設けられている。乗車券受付部3a、3bは、非接触カードを乗車券として受け付ける。ここで、非接触カードについて簡単に説明しておく。図4は、非接触カードの主要部の構成を示すブロック図である。非接触カード100は、本体の動作を制御する制御部101と、無線通信を行う無線通信部102と、カード情報を記憶する記憶部103と、を備えている。無線通信部102は、自動改札機1の乗車券受付部3との無線通信を行う。無線通信部101は、後述するように乗車券受付部3との電磁結合により、本体を動作させる動作電源を得る。図4では、動作電源を得る電源部については図示を省略している。記憶部103は、不揮発性のメモリで構成され、識別コード(所謂、カード番号)、定期券区間、プリペイド残高等をカード情報(乗車券情報)として記憶する。制御部101は、記憶部103が記憶するカード情報の読み出しや書換(更新)を行う。
【0025】
乗車券受付部3aは、アンテナコイル11aの周辺(アンテナコイル11aから数cmの範囲)が無線通信エリアであり、この無線通信エリア内に位置する非接触カード100と無線通信が行える。非接触カード100は、この無線通信エリア内に位置したときに、このアンテナコイル11aとの電磁結合により動作電源を得て、動作する。言い換えれば、非接触カード100は、乗車券受付部3の無線通信エリア内に位置していないときには、動作電源を得ることができず、停止している。乗車券受付部3aは、非接触カード100との無線通信により、この非接触カード100に対して、記憶しているカード情報の送信指示や、カード情報の更新指示(書換指示)を行う。非接触カード100は、自動改札機1側の指示にしたがって、記憶部103に記憶しているカード情報の送信や書換を行う。また、乗車券受付部3aは、非接触カード100との無線通信において、非接触カード100から送信されてきた無線通信信号の信号強度を検出する機能を有している。この信号強度は、例えば非接触媒体100との無線通信を開始してから終了するまでの間における信号強度の平均値としてもよいし、この無線通信期間におけるピーク値としてもよい。
【0026】
なお、自動改札パーツ1bに設けられている乗車券受付部3bも、上述の乗車券受付部3aと同じ構成である。乗車券受付部3bの無線通信エリアは、アンテナコイル11bから数cmの範囲である。
【0027】
制御部2は、乗車券受付部3a、3bにおける非接触カード100との無線通信時間を検出する機能を有している。具体的には、乗車券受付部3a、3bが非接触カード100との無線通信を開始したときにタイマをスタートさせ、この非接触カード100との無線通信が途切れたり、完了したときにタイマをストップさせることで無線通信時間を検出する機能を有している。
【0028】
利用者検知部4は、改札通路への利用者の進入、および改札通路内における利用者の位置を検知する利用者位置検知部4aと、改札通路に進入した利用者が該改札通路の通行に際して乗車券を必要とする利用者であるか、乗車券を必要としない利用者であるかを判定する利用者種別判定部4bと、を備えている。利用者位置検知部4aは、改札通路に沿って、自動改札パーツ1aの改札通路側の側面に略等間隔(例えば15cm間隔)に設けられた複数の発光部21と、自動改札パーツ1bの改札通路側の側面に略等間隔(例えば15cm間隔)に設けられた複数の受光部22と、を備えている。発光部21と、受光部22とは、対向させて取り付けている。また、発光部21、および受光部22は、改札通路の通行に際して乗車券を必要としない幼児も検出できる高さ、約800mmの高さ、に取り付けている。利用者位置検知部4aは、発光部21から出射されている光を受光部22が受光していれば、受光部22の取り付け位置に利用者が存在していないと判断し、発光部21から出射されている光を受光部22が受光していなければ、受光部22の取り付け位置に利用者が存在していると判断する。利用者位置検知部4aは、利用者毎に改札通路内における利用者の移動速度(通行速度)を検出する機能を有している。具体的には、改札通路内における利用者の位置を一定時間毎、例えば100ms毎、に検知することで、改札通路内における利用者の移動速度を検出する。また、利用者位置検知部4aにより、改札通路内における利用者の位置の追跡も行える。また、利用者種別判定部4bは、出射している光の反射光を検出する反射形センサ25〜27を有している。反射形センサ25〜27は、自動改札パーツ1a、1bの改札通路側の側面に設けられ、この改札通路の両側および改札通路の略中央の3カ所(合計6カ所)に設けられている。この反射形センサ25〜27は、光を斜め上方に照射する向きに取り付けている。反射型センサ25〜27から照射された光は、改札通路の幅方向の中央において、略1250mmの高さに達する。
【0029】
扉開閉部5aは、自動改札パーツ1a、1bの改札通路側の側面に設けられた扉31を開閉する。扉31は、改札通路をA方向に通行する利用者にとっての出口側に設けられている。一方、扉開閉部5bは、自動改札パーツ1a、1bの改札通路側の側面に設けられた扉32を開閉する。扉32は、改札通路をB方向に通行する利用者にとっての出口側に設けられている。また、表示部6aは自動改札パーツ1aの上面に設けられた表示器41aにおける表示を制御し、表示部6bは自動改札パーツ1bの上面に設けられた表示器41bにおける表示を制御する。表示器41a、41bは、改札通路の略中央に設けられている。表示部6は、利用者に対して非接触カード100の使用形態や、保管形態等の改善について案内する案内メッセージ等を表示器41a、41bに表示する。
【0030】
次に、この実施形態の自動改札機1の動作について説明する。図5および図6は、この実施形態の自動改札機の動作を示すフローチャートである。自動改札機1は、改札通路内に利用者がいないとき、改札通路に進入する利用者の動きを妨げないために扉31、32を全て開している。自動改札機1は、乗車券受付部3(3aまたは3b)の無線通信エリア内に非接触カード100が位置したことを検知すると(s1)、この非接触カード100が記憶するカード情報の読み取りを開始する(s2)。乗車券受付部3は、非接触カード100と無線通信を行っていないとき、無線通信エリア内に位置している非接触カード100に対して応答を要求するポーリングを行っている。自動改札機1は、乗車券受付部3において、前記ポーリングに対する応答を受信したかどうかにより、無線通信エリア内に非接触カード100が位置しているかどうかを検知する。非接触カード100が記憶しているカード情報の読み取りは、この非接触カード100との無線通信で行われる。自動改札機1は、s2で非接触媒体100が記憶するカード情報の読み取りを開始すると、この非接触カード100との通信時間の検出処理を開始する(s3)。s3では、無線通信時間を検出するタイマをリセットし、その後このタイマをスタートさせる。また、この非接触カード100との無線通信において、非接触カード100から送信されてきた無線通信信号の信号強度を検出する信号強度検出処理を開始するとともに、この非接触カード100を所持している利用者の移動速度を検出する移動速度検出処理を開始する(s4、s5)。
【0031】
その後、自動改札機1は、非接触カード100からのカード情報の読み取りが完了するまでに、非接触カード100との無線通信が途切れるかどうかを監視する(s6、s7)。非接触カード100が利用者により無線通信エリア内からエリア外に移動されると、この非接触カード100との無線通信が途切れる。自動改札機1は、非接触カード100からのカード情報の読み取りが完了する前に、この非接触カード100との無線通信が途切れると、扉開閉部5(5aまたは5b)により、利用者の出口側に設けられている扉31(または32)を閉する(s8)。また、自動改札機1は、s3〜s5で開始した通信時間、信号強度、移動速度の検出処理を停止し(s9)、この利用者が改札通路から退出するのを待つ(s10)。このとき、利用者は、改札通路を引き返し、進入した側から外に出る。s8では、報知音による報知等も同時に行われる。自動改札機1は、s9で利用者が改札通路から退出したことを検出すると、s8で閉した扉31(または32)を開する(s11)。また、このときに報知音による報知も停止する。
【0032】
また、自動改札機1は、s6で非接触カード100からのカード情報の読み取りが完了したと判定すると、今回読み取ったカード情報に基づいて、改札通路における利用者の通行可否を判定する(s12)。自動改札機1は、s12で改札通路における利用者の通行を許可しないと判定すると、上述したs8以降の処理を実行する。一方、自動改札機1は、s12で改札通路における利用者の通行を許可すると判定すると、非接触カード100に対するカード情報の更新処理を開始する(s13)。このカード情報の更新処理は、自動改札機1が非接触カード100へ更新するカード情報を送信し、非接触カード100が記憶部103に記憶しているカード情報を、自動改札機1から送信されてきたカード情報に書き換え、カード情報の更新完了を自動改札機1に通知する処理である。自動改札機1は、非接触カード100から更新完了の通知を受信すると、カード情報の更新が完了したと判定する。自動改札機1は、カード情報の更新が完了するまでに、非接触カード100との無線通信が途切れるかどうかを監視する(s14、s15)。自動改札機1は、カード情報の更新が完了すると、利用者の出口側に設けられている扉31(または32)を開するとともに、s3〜s5で開始した通信時間、信号強度、移動速度の検出処理を停止する(s16、s17)。その後、利用者が改札通路を通って、改札通路外に出るのを待つ(s18)。s16にかかる処理は、何らかの理由で、この利用者の出口側に設けられている扉31(または32)が閉した状態であって、利用者が改札通路を通って、外に出れないという状態が生じるのを防止するためである。
【0033】
自動改札機1は、s15でカード情報の更新が完了するまえに、非接触カード100との無線通信が途切れたと判断すると、s3〜s5で開始した通信時間、信号強度、移動速度の検出処理を停止し(s19)。その後、利用者が改札通路の中央に達するか、改札通路を引き返して改札通路から退出するのを待つ(s20、s21)。s20では、改札通路の略中央に設けられた反射形センサ26により利用者が検知された場合に、利用者が改札通路の中央に達したと判定する。自動改札機1は、利用者が改札通路の中央に達したと判定すると、この利用者の出口側に設けられている扉31(または32)を閉する(s22)。そして、自動改札機1は、非接触カード100との今回の無線通信における、信号強度、通信時間、移動速度の検出結果を読み出す(s23)。自動改札機1は、s23で読み出した検出結果に基づいて、今回非接触媒体100との無線通信が適正に行われなかった原因から推定される、利用者における非接触媒体100の使用形態(非接触カード100のかざし方)や保管形態(他の非接触カードや、金属物と一緒にパスケースに収納している等)に応じた案内メッセージを表示器41a(または41b)に表示する案内処理を行う(s24)。この案内処理の詳細については、後述する。その後、自動改札機1は、この利用者が改札通路から退出するのを待つ(s25)。自動改札機1は、利用者が改札通路を引き返し、改札通路から外に退出すると、s22で閉した扉31(または32)を開するとともに、s24で表示器41a(または41b)に表示した案内メッセージの表示を停止する(s26)。
【0034】
なお、改札通路を引き返し、一旦改札通路から外に出た利用者は、再度非接触カード100を乗車券受付部3の無線通信エリア内にかざし、自動改札機1との間で適正に処理が行われると、改札通路を通行することができる。
【0035】
次に、上述したs24にかかる案内処理について説明する。自動改札機1は、制御部2に図7に示す案内メッセージテーブルを記憶しているとともに、信号強度、通信時間、移動速度のそれぞれについて、適正であるか不適正であるかを判断する閾値を記憶している。具体的には、信号強度は、検出された信号強度が予め定められたレベルLよりも低ければ、不適正であると判断し、このレベルL以上であれば適正であると判断する。また、通信時間は、検出された通信時間が予め定められた時間Tよりも短ければ不適正であると判断し、この時間T以上であれば適正であると判断する。また、移動速度は、検出された移動速度が予め定められた速度Vよりも速ければ不正であると判断し、この速度V以下であれば適正であると判断する。
【0036】
案内メッセージテーブルは、図示するように、信号強度、通信時間、移動速度の適正、不適正の組合せパターン1〜8と、案内メッセージと、を対応付けたテーブルである。図7に示すパターン1は、信号強度、移動速度、通信時間が全て適正であったパターンであるにもかかわらず、非接触カード100との無線通信が適正に行えなかったことから、非接触カード100自体に何らかの障害が発生していると推定される。そこで、このパターン1には、「カード異常の可能性があります。係員にお問い合わせください。」という案内メッセージを対応付けている。
パターン2は、信号強度、移動速度については適正であったが、通信時間が不適正(短い)であったパターンであり、非接触カード100との無線通信が適正に行えなかった主たる原因が、非接触カード100を持っている利用者の手の動きが速かったためであると推定される。そこで、このパターン2には「アンテナ付近でカードを止めてください。」という案内メッセージを対応付けている。
パターン3は、信号強度については適正であったが、移動速度、および通信時間が不適正であったパターンであり、非接触カード100との無線通信が適正に行えなかった主たる原因が、非接触カード100を持っている利用者の移動速度が速かったためであると推定される。そこで、このパターン3には「ゆっくり歩いてください。」という案内メッセージを対応付けている。
パターン4は、信号強度、および通信時間については適正であったが、移動速度が不適正であったパターンであり、非接触カード100との無線通信が適正に行えなかった主たる原因が、非接触カード100自体に何らかの障害が発生していると推定される。そこで、このパターン4には「カード異常の可能性があります。係員にお問い合わせください。」という案内メッセージを対応付けている。
パターン5は、通信時間、および移動速度については適正であったが、信号強度が不適正であったパターンであり、非接触カード100との無線通信が適正に行えなかった主たる原因が、例えば他の非接触カードと重ねてパスケースに収納していたり、金属物をパスケースに収納している等、非接触カードの保管形態が原因であると推定される。そこで、このパターン5には「他のカードや金属物を一緒に収納していないか確認してください」という案内メッセージを対応付けている。
パターン6は、移動速度については適正であったが、信号強度、および通信時間が不適正であったパターンであり、非接触カード100との無線通信が適正に行えなかった原因が、アンテナ11a(または11b)に十分に近づけられていなかったこと、および非接触カード100を持っている利用者の手の動きが速かったためであると推定される。そこで、このパターン6には「カードをアンテナに近づけ、止めてください。」という案内メッセージを対応付けている。
パターン7は、信号強度、移動速度、通信時間の全てが不適正であったパターンであり、非接触カード100との無線通信が適正に行えなかった主たる原因が、アンテナ11a(または11b)に十分に近づけられていなかったこと、および利用者の移動速度が速かったことであると推定される。そこで、このパターン6には「ゆっくり歩いて、カードをアンテナに近づけ、止めてください。」という案内メッセージを対応付けている。
パターン8は、通信時間については適正であったが、信号強度、および移動速度が不適正であったパターンであり、非接触カード100との無線通信が適正に行えなかった原因が、アンテナ11a(または11b)に十分に近づけられていなかったこと、および利用者の移動速度が速かったことであると推定される。そこで、このパターン6には「ゆっくり歩いて、カードをアンテナに近づけてください。」という案内メッセージを対応付けている。
【0037】
自動改札機1における上述の案内処理は、図8に示すように、信号強度、移動速度、通信時間のそれぞれについて、検出結果から適正であったかどうかを判定し、上述のパターン1〜8のいずれのパターンに該当するかを判定し(s31)、ここで判定したパターンに対応付けられている案内メッセージを読み出し(s32)、これを表示器41a(または41b)に表示する(s33)、という処理である。
【0038】
このようにこの実施形態の自動改札機1は、非接触媒体100との無線通信が適正に行えなかったとき、その主たる原因に対応するための案内メッセージを表示器41a(または41b)に表示するので、利用者に対して非接触カード100の使用形態や保管形態にかかる案内が適切に行える。また、非接触媒体100との無線通信が適正に行えなかったときに、利用者に対して案内メッセージを出力するので、非接触媒体100との無線通信が適正に行えなかった原因を、利用者に強く印象づけることができる。これにより、利用者に対して、非接触カード100の使用形態や保管形態の改善を促すことができ、自動改札機での実際の使用時における未処理の発生頻度を抑えることができる。その結果、自動改札機1の改札通路における混雑の緩和も図れ、利用者に対するサービスを向上することができる。
【0039】
また、上述した実施形態では、信号強度、移動速度、および通信時間の3つを検出し、利用者に対する案内メッセージを決定する構成であるとしたが、これらの2つから案内メッセージを決定するようにしてもよい。この場合における案内メッセージテーブルを図9に示す。図9(A)は、信号強度、および移動速度から案内メッセージを決定する場合の案内メッセージテーブルを示し、図9(B)、信号強度、および通信時間から案内メッセージを決定する場合の案内メッセージテーブルを示し、図9(C)は、移動速度、および信号強度から案内メッセージを決定する場合の案内メッセージテーブルを示している。
【0040】
次に、この発明の別の実施形態について説明する。この実施形態では、自動改札機1に図10に示すs27、s28の処理を追加している。
【0041】
なお、図10に示すs3以降の処理は、図5、および図6に示した処理と同じであり、図示を省略している。
【0042】
上述したように、非接触カード100は、カード情報としてカード番号を記憶している。自動改札機1が無線通信により非接触カード100から読み取るカード情報には、このカード番号が含まれている。すなわち、自動改札機1は、無線通信が適正に行えなかった非接触媒体100のカード番号を読み取っている。この実施形態の自動改札機1は、無線通信が適正に行えなかった非接触媒体100のカード番号を一定時間、例えば1〜2分、記憶し、その後このカード番号を消去する。すなわち、、無線通信が適正に行えなかった非接触媒体100のカード番号を一時的に記憶する構成である。
【0043】
この実施形態の自動改札機1は、上述した実施形態と同様に、乗車券受付部3(3aまたは3b)の無線通信エリア内に非接触カード100が位置したことを検知し(s1)、この非接触カード100が記憶するカード情報の読み取りを開始する(s2)。そして、今回カード情報を読み取った非接触カード100が、カード番号を記憶している非接触カード(すなわち、前回無線通信が適正に行えず、一定時間内に再度無線通信を開始した非接触媒体100)であるかどうかを判定する(s27)。自動改札機1は、s27でカード番号を記憶しているカードでないと判定すると、s3以降の処理を実行する。一方、s27でカード番号を記憶しているカードであると判定すると、この非接触カード100に対して、前回無線通信が適正に行えなかった原因に応じた案内メッセージの書込を指示し(s28)、s3以降の処理を実行する。非接触媒体100は、記憶部103の所定の記憶領域に、自動改札機1から指示された案内メッセージを記憶する。
【0044】
このように、この実施形態の自動改札機1は、前回無線通信が適正に行えず、一定時間内に再度無線通信を開始した非接触媒体100に対して、前回無線通信が適正に行えなかった原因に応じた案内メッセージを書き込む。これにより、非接触媒体100は、自動改札機1との無線通信が適正に行えなかった原因に応じた案内メッセージを記憶する。
【0045】
一般に自動改札機1で利用される非接触カード100は、定期券の有効期間の更新やプリペイド金額の追加等を行うときに、券売機等の装置(不図示)が利用される。この種の装置(以下、特定装置と言う。)は、非接触カード100を所定の位置に取り込んだ状態で、この非接触カード100と無線通信を行う構成である。また、この特定装置で行われる定期券の有効期間の更新やプリペイド金額の追加等にかかる処理は、自動改札機1における処理に比べて長い時間を要し、利用者はこの間この特定装置の前から離れない。さらに、一般的な特定装置は、利用者に対して操作案内等を行うための表示器を有している。そこで、この特定装置において、所定の位置に取り込んだ非接触カード100が所定の記憶領域に案内メッセージを記憶しているかどうかを判断し、案内メッセージを記憶していれば、この案内メッセージを表示器に表示する構成を設けることで、案内メッセージを利用者にゆっくり確認させることができ、利用者に対する案内がより適正に行える。
【0046】
なお、非接触カード100が記憶する案内メッセージを表示する装置は、券売機等の駅務機器だけでなく、他の装置であってもよい。
【0047】
また、この発明の別の実施形態について説明する。この実施形態では、非接触カード100が信号強度を記憶部103の所定の記憶領域に記憶している。この非接触カード100が記憶する信号強度は、非接触カード100を所定の位置に取り込んだ状態で、この非接触カード100と無線通信を行う券売機等の装置により書き込まれたものである。券売機等の装置は、非接触カード100を所定の位置に取り込んだ状態で、この非接触カード100と無線通信を行うので、安定した状態で非接触カード100と無線通信を行ったときの信号強度を検出することができる。これにより、安定した状態で無線通信を行ったときの信号強度を非接触カード100に記憶させることができる。
【0048】
この実施形態の自動改札機1は、非接触カード100が記憶する信号強度についても、カード情報として読み取る構成である。この実施形態の自動改札機1は、図5、および図6に示した処理を実行するが、s24にかかる案内処理が上述した自動改札機1と異なる。図11は、この実施形態の自動改札機における案内処理を示す図である。この実施形態の自動改札機1は、非接触カード100が記憶部103に記憶している信号強度が適正であるかどうかを判定する(s35)。s35では、非接触カード100が記憶している信号強度が予め定められたレベルLよりも低ければ不適正であると判断し、このレベルL以上であれば適正であると判断する。自動改札機1は、s35で適正であると判断すると、図8に示したs31〜s33の処理を実行する。一方、s33で不適正であると判断すると、「カード異常です。近くの係員までカードをお持ちください。」という案内メッセージを読み出し(s36)、s33で、この案内メッセージを表示する。したがって、カード異常を利用者に適正に伝えることができる。
【0049】
さらに、この発明の非接触媒体処理システムの実施形態について説明する。図12は、この発明にかかる非接触媒体処理システムを適用した自動改札システムの構成を示す図である。各自動改札機1は、図12に示すように、データ通信ラインを介してサーバ装置70に接続されている。自動改札機1は、サーバ装置70に直接接続されていてもよいし、いくつかの装置を介して接続されていてもよい。また、公衆回線や専用回線を利用して接続されていてもよい。また、図12に示す80は、利用者が所有する携帯電話である。自動改札機1は、図13に示すように、図3に示した構成に加えて、サーバ装置70と通信する通信部7を備えている。
【0050】
なお、この実施形態の自動改札装置1は、図7に示した案内メッセージテーブルを記憶していない。
【0051】
また、サーバ装置70は、図14に示すように、本体の動作を制御する制御部71と、自動改札機1と通信する通信部72と、非接触カード100のカード番号とメールアドレスとを対応付けたアドレステーブル(図15参照)を記憶するアドレス記憶部73と、インタネット等を介して電子メールを送信するメール送信部74と、を備えている。アドレステーブルに記憶されているメールアドレスは、利用者の携帯電話80のメールアドレスであってもよいし、パソコン等の他の機器で使用しているメールアドレスであってもよい。
【0052】
この自動改札システムの動作について説明する。図16は、自動改札機の動作を示すフローチャートである。図16では、上記実施形態で説明した動作(図5、および図6で説明した動作)と同じ動作については、同じステップ番号(s**)を付しているとともに、一部のステップの図示を省略している。自動改札機1は、上述したs1〜s7の処理を実行し、s7で通信が途切れたと判定すると、s8〜s11の処理を実行する。自動改札機1は、s11で扉を開すると後述するs43以降の処理を実行する。
【0053】
また、自動改札機1は、s6でカード情報の読み取りが完了したと判定すると、上述したs12〜s15の処理を実行し、s14で更新が完了したと判定すると、s16〜s18にかかる処理を実行する。自動改札機1は、s18で利用者が改札通路から退出したと判定すると、後述するs43以降の処理を実行する。また、s15で更新が完了する前に、非接触カード100との無線通信が途切れたと判定すると、s19で検出処理を停止する。そして、利用者が改札通路の中央に達するか、改札通路を引き返して改札通路から退出するのを待つ(s20、s21)。自動改札機1は、利用者が改札通路の中央に達したと判定すると、この利用者の出口側に設けられている扉31(または32)を閉する(s22)。その後、自動改札機1は、s41で利用者が改札通路から退出したことを検出すると、s22で閉した扉31(または32)を開する(s42)。また、このときに報知音による報知も停止する。自動改札機1は、s42で扉31(または32)を開すると、後述するs43以降の処理を実行する。また、自動改札機1は、利用者が改札通路の中央に達する前に、改札通路から退出したと判定すると、s43以降の処理を実行する。
【0054】
以下、s43以降の処理について説明する。自動改札機1は、今回の非接触カード100との無線通信における、信号強度、移動速度、および通信時間のそれぞれについて検出結果を取得し(s43)、これらの検出結果を非接触カード100のカード番号に対応づけた記憶する(s44)。非接触カード100のカード番号は、この非接触カードから取得したカード情報に含まれている。自動改札機1は、検出結果を記憶している件数が所定の件数、例えば50件、に達したかどうかを判定し(s45)、所定の件数に達していなければ、処理を終了する。一方、s45で所定の件数に達したと判定すると、記憶している検出結果をカード番号とともにサーバ装置70に送信し(s46)、本処理を終了する。このとき、自動改札機1は、サーバ装置70に送信した検出結果を消去する。
【0055】
このように、自動改札機1は、非接触カード100のカード番号と、この非接触カード100と無線通信を行ったときに検出した信号強度、移動速度、および通信時間と、を対応付けてサーバ装置70に送信する。また、所定件数分の検出結果を纏めてサーバ装置70に送信する。
【0056】
次に、サーバ装置70の動作について説明する。図17は、サーバ装置の動作を示すフローチャートである。サーバ装置70は、通信部72において、自動改札機1から送信されてきた検出結果を受信すると、これを図示していない記憶部に一時的に記憶する(s51)。ここで記憶した検出結果は、後述するs54で利用者に対して案内メッセージを送信する必要があるかどうかを判定していない検出結果(以下、未処理の検出結果と言う。)である。自動改札機1は、記憶した検出結果から未処理の検出結果を読み出し(s52)、この検出結果に基づいて、利用者における非接触媒体の使用形態や保管形態を推定する(s53)。s53にかかる推定は、上述したように信号強度、移動速度、通信時間のそれぞれについて、適正であるか不適正であるかを判断した判断結果に基づいて行えばよい。サーバ装置1は、s53で推定した使用形態や保管形態から、利用者に対して案内メッセージを送信する必要があるかどうかを判定する(s54)。s54では、信号強度、移動速度、通信時間のいずれかに不適性と判断されている項目がある利用者について案内メッセージを送信する必要があると判定する。
【0057】
サーバ装置1は、s54で案内メッセージの送信が必要であると判定すると、アドレステーブルを検索して該当する利用者のメールアドレスを取得し、信号強度、移動速度、通信時間の検出結果に応じた案内メッセージを、このメールアドレスに対して送信する(s55)。そして、サーバ装置70は、自動改札機1から送信されてきた検出結果の全てについて、上述のs52〜s54の処理を完了したかどうかを判定し(s56)、未処理のものがあればs52に戻って上記処理を繰り返す。
【0058】
このように、この実施形態の自動改札システムでは、自動改札機1との無線通信については適正に行われているが、信号強度、移動速度、通信時間のいずれかに不適性と判断されている項目がある利用者、すなわち自動改札機1との無線通信がギリギリで行われており、少しのことで自動改札機1との無線通信が適正に行えなくなる可能性が高い利用者に対して案内メッセージを送信し、非接触カード100の使用形態や保管形態の改善を促すことができる。また、サーバ装置70が非接触カード100の使用形態や保管形態にかかる案内メッセージを利用者に電子メールで送信するので、利用者はこの案内メッセージをゆっくり確認することができる。さらに、s54にかかる処理を設けているので、非接触カード100の使用形態や保管形態に全く問題がない利用者に対して、案内メッセージを送信することがないので、このような利用者に煩わしさを感じさせることもない。
【0059】
なお、上記実施形態では、本願発明を自動改札機1に適用した場合を例にして説明したが、本願発明はPOS端末等の他の機器にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】この発明の実施形態である非接触媒体処理装置を適用した自動改札機の外観を示す図である。
【図2】この発明の実施形態である非接触媒体処理装置を適用した自動改札機の外観を示す図である。
【図3】この発明の実施形態である非接触媒体処理装置を適用した自動改札機の構成を示すブロック図である。
【図4】非接触カードの構成を示す図である。
【図5】この発明の実施形態である非接触媒体処理装置を適用した自動改札機の動作を示すフローチャートである。
【図6】この発明の実施形態である非接触媒体処理装置を適用した自動改札機の動作を示すフローチャートである。
【図7】この発明の実施形態である非接触媒体処理装置を適用した自動改札機が記憶する案内メッセージテーブルを示す図である。
【図8】この発明の実施形態である非接触媒体処理装置を適用した自動改札機における案内処理を示すフローチャートである。
【図9】この発明の別の実施形態である非接触媒体処理装置を適用した自動改札機が記憶する案内メッセージテーブルを示す図である。
【図10】この発明の別の実施形態である非接触媒体処理装置を適用した自動改札機の動作を示すフローチャートである。
【図11】この発明の実施形態である非接触媒体処理装置を適用した自動改札機における案内処理を示すフローチャートである。
【図12】この発明の実施形態である非接触媒体処理システムを適用した自動改札システムを示す図である。
【図13】この自動改札システムの自動改札機の構成を示すブロック図である。
【図14】この自動改札システムのサーバ装置の構成を示すブロック図である。
【図15】サーバ装置が記憶するアドレステーブルを示す図である。
【図16】この自動改札システムの自動改札機の動作を示すフローチャートである。
【図17】この自動改札システムのサーバ装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0061】
1−自動改札機
1a、1b−自動改札パーツ
2−制御部
3(3a、3b)−乗車券受付部
4−利用者検知部
5(5a、5b)−扉開閉部
6(6a、6b)−表示部
70−サーバ装置
80−携帯電話
100−非接触カード
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ部を有し、このアンテナ部周辺の無線通信エリア内に位置する非接触媒体と無線通信を行う無線通信手段と、
前記無線通信手段が無線通信を行っている非接触媒体を所持している利用者の移動速度、前記無線通信手段による非接触媒体との無線通信時間、および前記無線通信手段が無線通信を行っている非接触媒体から送信されてきた信号の信号強度の内、少なくとも2つを検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された検出結果から推定される、利用者における非接触媒体の使用形態に応じた案内メッセージを出力する案内メッセージ出力手段と、を備えた非接触媒体処理装置。
【請求項2】
前記案内メッセージ出力手段は、非接触媒体を所持している利用者に対して、移動速度、前記アンテナ部への非接触媒体のかざし方、または非接触媒体の保管形態について、改善を促す案内メッセージを出力する手段である請求項1に記載の非接触媒体処理装置。
【請求項3】
前記案内メッセージ出力手段は、前記無線通信手段における非接触媒体との無線通信が適正に行えなかった場合に、前記案内メッセージを出力する手段である請求項1または2に記載の非接触媒体処理装置。
【請求項4】
前記無線通信手段により無線通信を開始した非接触媒体が、所定時間以内前に無線通信が適正に行えなかった非接触媒体であるかどうかを判定する判定手段を備え、
前記案内メッセージ出力手段は、前記判定手段が所定時間内に無線通信が適正に行われなかった非接触媒体であると判定した場合に、この非接触媒体との前回の無線通信時において、前記検出手段により検出された検出結果から推定される、利用者における非接触媒体の使用形態に応じた案内メッセージを、この非接触媒体に書き込む手段を含む請求項1〜3のいずれかに記載の非接触媒体処理装置。
【請求項5】
前記無線通信手段は、無線通信を行っている非接触媒体が記憶する信号強度レベルを読み取る読取手段と、
前記案内メッセージ出力手段は、前記読取手段が読み取った信号強度レベルが予め定めた閾値レベルよりも低いときに、前記非接触媒体の不良を示す旨の案内メッセージを出力する手段である請求項1〜4のいずれかに記載の非接触媒体処理装置。
【請求項6】
アンテナ部を有し、このアンテナ部周辺の無線通信エリア内に位置する非接触媒体と無線通信を行う無線通信手段と、
前記無線通信手段が無線通信を行っている非接触媒体を所持している利用者の移動速度、前記無線通信手段による非接触媒体との無線通信時間、および前記無線通信手段が無線通信を行っている非接触媒体から送信されてきた信号の信号強度の内、少なくとも2つを検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された検出結果を出力する検出結果出力手段と、を有し、
前記無線通信手段は、非接触媒体との無線通信により、この非接触媒体を識別する識別情報を取得する手段を含み、
前記検出結果出力手段は、非接触媒体の識別情報と、前記検出手段により検出された検出結果と、を対応付けて出力する手段である非接触媒体処理装置と、
前記非接触媒体処理装置の検出結果出力手段が出力した検出結果を取得する検出結果取得手段と、
非接触媒体の識別情報と、案内メッセージの送信先と、を対応付けて記憶する送信先記憶手段と、
前記検出結果取得手段が取得した検出結果から推定される、利用者における非接触媒体の使用形態に応じた案内メッセージを前記送信先記憶手段が記憶している該当する送信先に送信する案内メッセージ送信手段とを有するサーバ装置と、を備えた非接触媒体処理システム。
【請求項1】
アンテナ部を有し、このアンテナ部周辺の無線通信エリア内に位置する非接触媒体と無線通信を行う無線通信手段と、
前記無線通信手段が無線通信を行っている非接触媒体を所持している利用者の移動速度、前記無線通信手段による非接触媒体との無線通信時間、および前記無線通信手段が無線通信を行っている非接触媒体から送信されてきた信号の信号強度の内、少なくとも2つを検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された検出結果から推定される、利用者における非接触媒体の使用形態に応じた案内メッセージを出力する案内メッセージ出力手段と、を備えた非接触媒体処理装置。
【請求項2】
前記案内メッセージ出力手段は、非接触媒体を所持している利用者に対して、移動速度、前記アンテナ部への非接触媒体のかざし方、または非接触媒体の保管形態について、改善を促す案内メッセージを出力する手段である請求項1に記載の非接触媒体処理装置。
【請求項3】
前記案内メッセージ出力手段は、前記無線通信手段における非接触媒体との無線通信が適正に行えなかった場合に、前記案内メッセージを出力する手段である請求項1または2に記載の非接触媒体処理装置。
【請求項4】
前記無線通信手段により無線通信を開始した非接触媒体が、所定時間以内前に無線通信が適正に行えなかった非接触媒体であるかどうかを判定する判定手段を備え、
前記案内メッセージ出力手段は、前記判定手段が所定時間内に無線通信が適正に行われなかった非接触媒体であると判定した場合に、この非接触媒体との前回の無線通信時において、前記検出手段により検出された検出結果から推定される、利用者における非接触媒体の使用形態に応じた案内メッセージを、この非接触媒体に書き込む手段を含む請求項1〜3のいずれかに記載の非接触媒体処理装置。
【請求項5】
前記無線通信手段は、無線通信を行っている非接触媒体が記憶する信号強度レベルを読み取る読取手段と、
前記案内メッセージ出力手段は、前記読取手段が読み取った信号強度レベルが予め定めた閾値レベルよりも低いときに、前記非接触媒体の不良を示す旨の案内メッセージを出力する手段である請求項1〜4のいずれかに記載の非接触媒体処理装置。
【請求項6】
アンテナ部を有し、このアンテナ部周辺の無線通信エリア内に位置する非接触媒体と無線通信を行う無線通信手段と、
前記無線通信手段が無線通信を行っている非接触媒体を所持している利用者の移動速度、前記無線通信手段による非接触媒体との無線通信時間、および前記無線通信手段が無線通信を行っている非接触媒体から送信されてきた信号の信号強度の内、少なくとも2つを検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された検出結果を出力する検出結果出力手段と、を有し、
前記無線通信手段は、非接触媒体との無線通信により、この非接触媒体を識別する識別情報を取得する手段を含み、
前記検出結果出力手段は、非接触媒体の識別情報と、前記検出手段により検出された検出結果と、を対応付けて出力する手段である非接触媒体処理装置と、
前記非接触媒体処理装置の検出結果出力手段が出力した検出結果を取得する検出結果取得手段と、
非接触媒体の識別情報と、案内メッセージの送信先と、を対応付けて記憶する送信先記憶手段と、
前記検出結果取得手段が取得した検出結果から推定される、利用者における非接触媒体の使用形態に応じた案内メッセージを前記送信先記憶手段が記憶している該当する送信先に送信する案内メッセージ送信手段とを有するサーバ装置と、を備えた非接触媒体処理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2007−140790(P2007−140790A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−332096(P2005−332096)
【出願日】平成17年11月16日(2005.11.16)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月16日(2005.11.16)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
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