非接触歯車装置

【目的】この発明の目的は、歯車がいかなる回転数であっても、歯車同士が非接触の状態で係合することの可能な非接触歯車装置を提供することである。
【構成】この発明は、永久磁石よりなる複数の歯の歯先を同じ極性にした駆動側マグネット歯車5および従動側マグネット歯車8を各歯同士の磁気反発力または磁気吸引力によって非接触の状態で係合させて、駆動側マグネット歯車5の回転運動を従動側マグネット歯車8に伝達し、更に、伝達された従動側マグネット歯車8の回転運動を従動軸を介してワークに伝える非接触歯車装置において、上記従動側マグネット歯車のキー溝8cの幅より狭い幅のキーを上記従動軸のキー溝10aに嵌入することによって、狭い幅のキーと上記従動側マグネット歯車のキー溝8cとの間に隙間を形成しながら、上記従動側マグネット歯車8と従動軸10とをキー結合したことを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は非接触歯車装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の非接触歯車装置の一例が図8および図9に示されており、これらの図において、駆動モータ1の回転軸1aには駆動軸2が連結され、その駆動軸2はべアリング3を介して軸受部材4に支承されている。駆動軸2の先端部には駆動側マグネット歯車5がボルト7によって取り付けられている。駆動側マグネット歯車5の構成は、所定の厚みをもった円板5aの外周に永久磁石で出来ている複数の歯5bを等ピッチで取り付け、各歯5bの歯先を同じ極性にしたものである。
【0003】駆動側マグネット歯車5には従動側マグネット歯車8が非接触の状態で係合している。従動側マグネット歯車8の構成は、所定の厚みをもった円板8aの外周に永久磁石で出来ている複数の歯8bを等ピッチで取り付け、各歯8bの歯先を駆動側マグネット歯車5の歯5bと同じ極性にしている。そのため、駆動側マグネット歯車5の歯5bと従動側マグネット歯車8の歯8bとは磁気反発することによって、非接触の状態で係合している。従動側マグネット歯車8はボルト9によって従動軸10の先端部に取り付けられている。従動軸10はベアリング11を介して軸受部材4に支承され、そして、従動軸10の後端部にはワーク12がボルト13によって固定されている。
【0003】このような非接触歯車装置においては、駆動モータ1によって駆動軸2を回転させると、駆動側マグネット歯車5が回転する。駆動側マグネット歯車5の回転に伴って、従動側マグネット歯車8も回転するようになるが、その場合、駆動側マグネット歯車5の歯5bと従動側マグネット歯車8の歯8bとが同じ極性をし、磁気反発するため、これらの歯車5、8は非接触の状態で係合している。従動側マグネット歯車8が回転すると、それをボルト9によって取り付けている従動軸10と、その先端部に取り付けられたワーク12とが回転するようになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の非接触歯車装置は、上記のように従動側マグネット歯車8がボルト9によって従動軸10の先端部に取り付けられているので、歯車の回転時に特定の回転数になると発生する固有振動の逃げ場が無くなり、それが原因で駆動側マグネット歯車5と従動側マグネット歯車8とは非接触の状態での係合が出来なくなり、駆動側マグネット歯車5の歯5bと従動側マグネット歯車8の歯8bとが接触するようになる問題が起きた。
【0005】この発明の目的は、上記問題を解決して、歯車が如何なる回転数であっても、歯車同士が非接触の状態で係合すること可能な非接触歯車装置を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、この発明は、永久磁石よりなる複数の歯の歯先を同じ極性にした駆動側マグネット歯車および従動側マグネット歯車を各歯同士の磁気反発力または磁気吸引力によって非接触の状態で係合させて、駆動側マグネット歯車の回転運動を従動側マグネット歯車に伝達し、更に、伝達された従動側マグネット歯車の回転運動を従動軸を介してワークに伝える非接触歯車装置において、上記従動側マグネット歯車および従動軸にそれぞれキー溝を作り、上記従動側マグネット歯車のキー溝の幅より狭い幅のキーを上記従動軸のキー溝に嵌入することによって、狭い幅のキーと上記従動側マグネット歯車のキー溝との間に隙間を形成しながら、上記従動側マグネット歯車と従動軸とをキー結合したことを特徴とするものである。
【0007】
【作用】この発明においては、従動側マグネット歯車および従動軸にそれぞれキー溝を作り、従動側マグネット歯車のキー溝の幅より狭い幅のキーを従動軸のキー溝に嵌入することによって、狭い幅のキーと従動側マグネット歯車のキー溝との間に隙間を形成しながら、従動側マグネット歯車と従動軸とをキー結合しているので、従動側マグネット歯車がキーとキー溝との間に隙間により回転方向に遊びを持ちながら回転する。そのため、固有振動が発生しても、その振動は駆動側マグネット歯車の歯と、従動側マグネット歯車の歯との空間で緩衝することができ、歯同士が接触することなく、如何なる回転数であっても非接触の状態で回転伝達ができるようになる。
【0008】
【実施例】以下、この発明の実施例について図面を参照しながら説明する。この発明の第1実施例の非接触歯車装置は図1および図2に示されており、これらの図において、駆動モータ1の回転軸1aには駆動軸2が連結され、その駆動軸2はべアリング3を介して軸受部材4に支承されている。駆動軸2の先端部には駆動側マグネット歯車5がボルト7によって取り付けられている。駆動側マグネット歯車5の構成は、所定の厚みをもった円板5aの外周に永久磁石で出来ている複数の歯5bを等ピッチで取り付け、各歯5bの歯先を同じ極性にしたものである。
【0009】駆動側マグネット歯車5には従動側マグネット歯車8が非接触の状態で係合している。従動側マグネット歯車8の構成は、所定の厚みをもった円板8aの外周に永久磁石で出来ている複数の歯8bを等ピッチで取り付け、各歯8bの歯先を駆動側マグネット歯車5の歯5bと同じ極性にしている。そのため、駆動側マグネット歯車5の歯5bと従動側マグネット歯車8の歯8bとは磁気反発することによって、非接触の状態で係合している。従動側マグネット歯車8および従動軸10にはそれぞれキー溝8c、10aが作られ、従動側マグネット歯車8のキー溝8cの幅より狭い幅のキー14を従動軸10のキー溝10aに嵌入することによって、狭い幅のキー14と従動側マグネット歯車8のキー溝8cとの間に隙間h1 を形成しながら、従動側マグネット歯車8と従動軸10とをキー結合し、そして、従動軸10をベアリング11を介して軸受部材4に支承している。従動側マグネット歯車8はその前後に隙間h2 をもって設けられたC型止め輪15a、15bで従動軸10の軸線方向の移動が制約されている。従動軸10の後端部にはワーク12がボルト13によって固定されている。
【0010】このような第1実施例においては、駆動モータ1によって駆動軸2を回転させると、駆動側マグネット歯車5が回転する。駆動側マグネット歯車5の回転に伴って、従動側マグネット歯車8も回転するようになるが、その場合、駆動側マグネット歯車5の歯5bと従動側マグネット歯車8の歯8bとが同じ極性をし、磁気反発するため、これらの歯車5、8は非接触の状態で係合している。従動側マグネット歯車8が回転すると、従動軸10と、その先端部に取り付けられたワーク12とが回転するようになる。従動側マグネット歯車8が回転するとき、従動側マグネット歯車8のキー溝8cとキー14との間の隙間h1 、および従動側マグネット歯車8とC型止め輪15a、15bとの間の隙間h2 により、従動側マグネット歯車8と従動軸10とが回転方向に遊びながら回転するようになる。
【0011】次に、第2実施例が図3および図4に示されており、同図において、従動軸10およびワーク12にそれぞれキー溝10b、12aを作り、ワーク12のキー溝12aの幅より狭い幅のキー14を従動軸10のキー溝10cに嵌入することによって、狭い幅のキー14とワーク12のキー溝12aとの間に隙間h3 を形成しながら、ワーク12と従動軸10とをキー結合している。また、ワーク12はその前後に隙間h4 をもって設けられたC型止め輪15a、15bで従動軸10の軸線方向の移動が制約されている。
【0012】その次に、第3実施例は図5に示されており、従動側マグネット歯車8の両側にワーク12を配置したもので、従動軸10は従動側マグネット歯車8とキー結合する所で2分割されている。
【0013】更に、第4実施例の自公転式非接触歯車装置が図3および図6に示されており、同図において、21は駆動モータ、22は駆動回転軸、23は駆動回転アーム、24は自転歯車、25は従動軸、26は外輪歯車、27はベアリング、28はキー、29はワークである。キー28は上記第1実施例と同様に自転歯車24のキー溝と隙間をもっている。また、図示していないが、自転歯車29はC型止め輪で従動軸25の軸線方向の移動が制約されている。
【0014】ところで、上記各実施例ではキーやC型止め輪を用いているが、これらの代わりに、ゴムやスプリング等を用いた機構を用いても良い。
【0015】
【発明の効果】この発明においては、従動側マグネット歯車および従動軸にそれぞれキー溝を作り、従動側マグネット歯車のキー溝の幅より狭い幅のキーを従動軸のキー溝に嵌入することによって、狭い幅のキーと従動側マグネット歯車のキー溝との間に隙間を形成しながら、従動側マグネット歯車と従動軸とをキー結合しているので、従動側マグネット歯車がキーとキー溝との間に隙間により回転方向に遊びを持ちながら回転する。そのため、固有振動が発生しても、その振動は駆動側マグネット歯車の歯と、従動側マグネット歯車の歯との空間で緩衝することができ、歯同士が接触することなく、如何なる回転数であっても非接触の状態で回転伝達ができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施例の一部切欠断面図
【図2】この発明の第1実施例の側面図
【図3】この発明の第2実施例の一部切欠断面図
【図4】この発明の第2実施例の側面図
【図5】この発明の第3実施例の一部切欠断面図
【図6】この発明の第4実施例の一部切欠断面図
【図7】図6のA−A矢視図
【図8】従来の非接触歯車装置の一部切欠断面図
【図9】従来の非接触歯車装置の側面図
【符号の説明】
1・・・・・・駆動モータ
1a・・・・・駆動モータの回転軸
2・・・・・・駆動軸
3・・・・・・べアリング
4・・・・・・軸受部材
5・・・・・・駆動側マグネット歯車
5a・・・・・駆動側マグネット歯車の円板
5b・・・・・駆動側マグネット歯車の歯
7・・・・・・ボルト
8・・・・・・従動側マグネット歯車
8a・・・・・従動側マグネット歯車の円板
8b・・・・・従動側マグネット歯車の歯
8c・・・・・従動側マグネット歯車のキー溝
9・・・・・・ボルト
10・・・・・従動軸
10a・・・・従動軸のキー溝
11・・・・・ベアリング
12・・・・・ワーク
13・・・・・ボルト
14・・・・・キー
15a・・・・C型止め輪
15b・・・・C型止め輪

【特許請求の範囲】
【請求項1】永久磁石よりなる複数の歯の歯先を同じ極性にした駆動側マグネット歯車および従動側マグネット歯車を各歯同士の磁気反発力または磁気吸引力によって非接触の状態で係合させて、駆動側マグネット歯車の回転運動を従動側マグネット歯車に伝達し、更に、伝達された従動側マグネット歯車の回転運動を従動軸を介してワークに伝える非接触歯車装置において、上記従動側マグネット歯車および従動軸にそれぞれキー溝を作り、上記従動側マグネット歯車のキー溝の幅より狭い幅のキーを上記従動軸のキー溝に嵌入することによって、狭い幅のキーと上記従動側マグネット歯車のキー溝との間に隙間を形成しながら、上記従動側マグネット歯車と従動軸とをキー結合したことを特徴とする非接触歯車装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開平6−14524
【公開日】平成6年(1994)1月21日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−186246
【出願日】平成4年(1992)6月19日
【出願人】(000231464)日本真空技術株式会社 (1,740)